JP3739889B2 - トナー用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真等に用いられるトナー用樹脂組成物に関するものであり、詳しくは、静電荷像を現像する方式のうちの、乾式現像方式に使用されるトナー用樹脂組成物及びトナーに関するものである。
【0001】
【従来の技術】
電子写真等において、静電荷像を現像する方式として乾式現像方式が多用されている。この乾式現像方式では、樹脂にカーボンブラック等の着色剤を分散させたトナーと呼ばれる摩擦帯電性の微粉末現像剤が用いられる。
【0002】
通常、摩擦によって帯電したトナーは、静電気的引力により感光体上の静電潜像に付着してトナー像が形成され、次いでこのトナー像が用紙に転写され、トナーに対して離型性を有する加熱ローラで定着される。
【0003】
このようなトナーには、耐オフセット性(加熱ローラにトナーが付着しないこと)、定着性(トナーが用紙に強固に付着すること)、耐ブロッキング性(トナー粒子が凝集しないこと)等の諸性能が要求される。特に、広い定着温度範囲を持ち、耐オフセット性に優れたトナーが要求される。
【0004】
この要求に応じるものとして、特開昭56−158340号公報には、低分子量体成分と高分子量体成分とを用い、樹脂の分子量分布を広くすることが提案されている。これによると、耐オフセット性、定着性、耐ブロッキング性に優れたものとなるが、近年の低温定着化に対し、さらに定着性を良くした場合の耐オフセット性および耐ブロッキング性のバランスをとることが困難となってきている。
【0005】
この点については、樹脂の低分子量化による軟化点の低下、あるいは、樹脂の分子量分布を狭くすることによる融解挙動のシャープ化などの方策がとられてきたが、トナーの凝集力が低下し、充分な定着強度(定着画像の強度)が得られないという問題が存在した。更に、これらの場合、耐オフセット性、保存性との両立も困難であった。
【0006】
これらの問題を解決するためには、樹脂成分中に低融点の結晶性化合物を添加すると、より低温で定着させることができるということが知られている。一方、この様な低融点結晶性化合物を用いると、その粘度の低さからブリードアウトが起こり、定着時にトナーと紙等との界面に析出して定着強度が低下する、或いは、トナーの保存性が保てなくなるといった問題が生じるため、その低融点結晶性化合物を化学的にグラフト、又は、微架橋させて上記の問題を解決しようとする提案がなされている(特開平7−64323号公報、特開平5−323664号公報参照)。
【0007】
しかしながら、これらの系では結着樹脂に低融点結晶性化合物が化学的に結合しているため、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)が低下してトナーの定着性と保存性とのバランスが保てなくなるという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した先行技術の種々の欠点を解消し、低温定着性、耐オフセット性及び耐ブロッキング性に優れており、定着強度の高いトナー用樹脂組成物及びトナーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した課題を達成するためになされたものであり、請求項1記載の発明は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び、極性基を有している単量体を構成単位として合むビニル系共重合体と、低融点結晶性化合物と、下記構造式(1)にて表されるブロック共重合体を主成分とするトナー用樹脂組成物であって、上記ビニル系共重合体は、重量平均分子量(Mw)=3000〜5万の低分子量重合体成分と重量平均分子量(Mw)=10万〜500 万の高分子量重合体成分とからなり、上記低融点結晶性化合物は、樹脂組成物中に1〜30重量%含まれており、且つ、樹脂組成物の表面における存在割合が50%以下であることを特徴とするトナー用樹脂組成物である。
【化1】
Figure 0003739889
式(1)中、Aはビニル共重合体成分、Bはオレフィン成分を表す。
【0010】
また、請求項2記載の発明は上記請求項1記載の発明のトナー用樹脂組成物が用いられていることを特徴とするトナーである。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明において用いられるビニル系共重合体は、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を構成単位として含む。上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−ter−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、等が挙げられる。これらの中でもスチレンが最も好ましい。
【0012】
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエステル、メタクリル酸グリシジル、ビスグリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェートなどを挙げることができ、中でも、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく用いられる。
【0013】
本発明において用いられるビニル系共重合体は、重量平均分子量(Mw)=3000〜5万の低分子量重合体成分と、重量平均分子量(Mw)=10万〜500万の高分子量重合体成分とから成っている。上記低分子量重合体成分のMwは、小さくなると樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が低下して耐ブロッキング性が低下し、大きくなると樹脂組成物の低温定着性が低下するため、Mw=3000〜5万に限定される。
【0014】
また、上記高分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)は、小さくなると樹脂組成物の溶融粘度が低下して耐オフセット性が低下し、大きくなると樹脂組成物の低温定着性が低下するため、Mw=10万〜500万に限定される。
【0015】
本発明において用いられる低融点結晶性化合物は、融点が55〜130℃の化合物であることが好ましい。融点が55℃未満であると、樹脂組成物の保存安定性が低下することがあり、融点が130℃よりも大きいと、樹脂組成物の低温定着性が低下することがある。
【0016】
このような低融点結晶性化合物としては、例えば、下記のような低分子量の結晶性化合物、ワックス類、結晶性ポリマー、等が挙げられる。
【0017】
上記低分子量の結晶性化合物としては、例えば、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール、1−ドコサノール、1−トリコサノール、1−テトラコサノール、セリルアルコール、等の高級アルコール;パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、等の高級脂肪酸及びそのエステル類;リノール酸アミド、リシノール酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エイコセン酸アミド、エルシン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、等の脂肪酸アミド、などが挙げられる。
【0018】
上記ワックス類としては、例えば、みつろう、鯨ろう、等の動物系ワックス;カルナバワックス、キャンデリラワックス、木ろう、等の植物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、低分子量ポリエチレン、等の合成炭化水素類;炭素数21以上のn−パラフィン、などが挙げられる。
【0019】
上記結晶性ポリマーとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、等のポリオールと、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、テレフタル酸、コハク酸、アジビン酸、セバシン酸、等の多塩基酸とを縮重合して得られるポリエステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、等のポリエーテル類;アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、イタコン酸ベヘニル、イタコン酸ステアリル、等の長鎖アルキルエステルを主重合単位として含むビニル系重合体、などが挙げられる。
【0020】
上記低融点結晶性化合物の含有量が少なくなると、樹脂組成物全体の結晶性が低下して低温定着性が低下し、多くなると樹脂組成物の可塑化が進んで保存性が低下するため、低融点結晶性化合物は樹脂組成物中に1〜30重量%含有され、好ましくは、5〜20重量%である。
【0021】
本発明において、樹脂組成物の表面における低融点結晶性化合物の存在割合が大きくなると、定着時に結晶性化合物がトナーと紙等との界面に析出し易くなって定着強度が低下したり、トナーの耐ブロッキング性が保てなくなるため、50%に限定され、好ましくは30%以下である。なお、ここでいう存在割合は、面積比を基に表される値である。
【0022】
ここで、樹脂組成物の表面における低融点結晶性化合物の存在割合は次のようにして測定される。
(1)試料調製:評価する樹脂組成物をコーヒーミル等の粉砕器を用いて粉砕し、ふるい等を用いて75μm以下の樹脂粉末を分取する。この樹脂を、赤外分光測定などで一般的に使用されている錠剤成型器(たとえばエス・ティ・ジャパン製テーブルプレス)を用いてタブ状に成形し、その平滑面を測定面とする。
【0023】
(2)評価装置:飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF−SIMS;PHI−EVANS社製TFS−2000)
【0024】
(3)評価条件:一次イオン:69Ga+イオン電圧:15kVイオン電流:2μA取り込み時間:5分質量範囲:1〜1000mass分析エリア:177×177μm□
【0025】
(4)定量方法:本評価装置は、有機物の最表面に存在する分子イオンの測定を行うものであり、樹脂あるいは化合物の特徴的なフラグメントから組成・構造分析を行うことができる。本発明において用いられる低融点結晶性化合物の具体的な定量方法は以下の通りである。
【0026】
(A)低融点結晶性化合物の分子イオンのスペクトル強度(S1)、および、全質量範囲のイオン強度(T1)を測定する。
(B)樹脂組成物について、含まれている低融点結晶性化合物の分子イオンのスペクトル強度(S2)、および、全質量範囲のイオン強度(T2)を測定する。
(C)得られた数値を下記計算式に代入して算出する。
(樹脂組成物の表面に存在する結晶性化合物量)=((S2/T2)/(S1/T1))×100(%)
【0027】
ここで、樹脂組成物の表面に存在する低融点結晶性化合物の割合を評価するために、一度樹脂組成物を粉砕するのは、本発明の樹脂組成物を用いたトナーは粉砕法によって得られるものであるため、樹脂組成物の塊の表面組成を評価するよりも樹脂組成物を粉体にしてその表面組成を評価するほうが、トナー物性と相関が近いデータが得られるためである。
【0028】
本発明のトナー用樹脂組成物において上記のように表面組成を制御する方法としては、例えば、使用されるビニル系共重合体中に極性基を有している成分を導入し、含まれる低融点結晶性化合物と相互作用を持たせることにより、樹脂表面への偏析を防ぐ方法がある。
【0029】
上記極性基を有している成分は、高分子量重合体成分の一部であってもよいし低分子量重合体成分の一部であってもよいし、その両方であってもよい。上記極性基を有している成分は、極性基を有している単量体を、例えば、ラジカルの分解温度が2つある重合開始剤を用いて、単量体を2段階で重合させる方法等により得られる。
【0030】
上記極性基を有している単量体としては、例えば、−OH、−N=、−S−、−COOH、−CHO、−SO、−CN、−NO、ハロゲン、等の基を少なくとも含むものが好ましくその具体例としては、クロロエチレン、フルオロエチレン等のハロゲン化エチレン類;p−クロロメチルスチレン、p−クロロスチレン等のハロゲン化物スチレン誘導体;p−ヒドロキシメチルスチレン、2−(p−ビニルフェニル)エタノール等のヒドロキシル化スチレン誘導体;p−ビニル安息香酸、3−ビニルサリチル酸等のカルボキシル化スチレン誘導体;p−ニトロスチレン、p−(2−ニトロエチル)スチレン等のニトロ化スチレン誘導体;p−シアノスチレン、m−シアノスチレン等のシアノ化スチレン誘導体、p−アミノスチレン、3,4−ジアミノスチレン等のアミノ(N含有も含む)スチレン誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、クロロエチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2 −アミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;アクリロニトリル、クロロアクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル誘導体;4−ビニルピリジン、2−ビニルテトラヒドロフラン等の複素環を有しているビニル系単量体などが挙げられる。
【0031】
本発明のトナー用樹脂組成物において表面組成を制御する別の方法としては、例えば、下記構造式(1)にて表されるブロック共重合体(ここで、Aはビニル系共重合体成分、Bはオレフィン成分)をビニル系共重合体に添加する方法が挙げられる。
【0032】
【化1】
Figure 0003739889
【0033】
このようなブロック共重合体は、ビニル系共重合体と親和性があるので、樹脂組成物中における分散性が非常によい。また、本発明において用いられる低融点結晶性化合物は、その構造中に長鎖アルキルが含まれているため、上記ブロック共重合体との親和性が良く、その結果、樹脂組成物中における分散性もよくなり、樹脂組成物表面への偏析が防がれる。
【0034】
このようなブロック共重合体としては、例えば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンのブロック共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンのブロック共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンのブロック共重合体)、ESBS(エポキシ化SBS)などが挙げられる。
【0035】
本発明のトナー用樹脂組成物においては、本発明の目的を達成し得る範囲内で、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン等が上記ビニル系共重合体に共重合されてもよく、また、これらのモノマーの重合体がブレンドされていてもよい。更に、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂等が混合されてもよく、脂肪族アミド、ビス脂肪酸アミド、金属石鹸、パラフィン等が混合されてもよい。
【0036】
本発明においては、その目的を達成し得る範囲内で、帯電制御剤としてニグロシン、スピロンブラック(保土谷化学社製)等の染料やその他のフタロシアニン系の顔料を添加することができる。また、着色剤として、カーボンブラック、クロムイエロー、アニリンブルー等を用いることができる。更に、離型剤として、低分子量ポリエチレンやポリプロピレンワックス等を添加したり、流動性を高めるために疎水性シリカ等を添加してもよい。
【0037】
本発明における請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明のトナー用樹脂組成物を用いて構成されたことを特徴とするトナーである。本発明のトナーは、上記トナー用樹脂組成物に、前述したカーボンブラック等の着色剤やその他の添加剤を含有させてなる微粉末に、鉄粉やガラスビーズ等のキャリアーを混合することにより構成される。さらに、磁性粉を混合して使用してもよい。
【0038】
具体的には、帯電制御剤としてニグロシン、スピロンブラック等の染料や、フタロシアニン系の顔料、更には、カーボンブラック、クロムイエロー、アニリンブルー等の着色剤を用い、それらを溶融混練した後、粉砕、分級することにより得られる。更に、必要に応じて疎水性シリカやコロイダルシリカ等の流動化剤を用いることができる。
【0039】
【作用】
【0040】
低融点結晶性化合物を添加した樹脂組成物を用いたトナーにおいては、定着時に低融点結晶性化合物がトナーと紙との界面に析出し、定着強度が低下する。このような析出は、樹脂組成物においてその表面に存在する低融点結晶性化合物の量と関連性がある。
【0041】
本発明のトナー用樹脂組成物は、樹脂組成物の表面に存在する低融点結晶性化合物の量を制御することにより、得られるトナーの定着強度が強固になり、低温定着性、耐オフセット性及び耐ブロッキング性も向上する。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の非限定的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を更に詳細に説明する。
【0043】
参考例1
3Lセパラブルフラスコにトルエン720gを入れ、重量平均分子量が150万のスチレン−n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体(St−BA−MMA共重合体)120g、ベヘニルアルコール60gを投入して溶解した。気相を窒素ガスにて置換したのち、この系をトルエンの還流温度まで加温した。
【0044】
トルエンの還流が起きた状態で、攪拌しながら、β−ヒドロキシエチルメタクリレート60g、重合開始剤としてパーヘキサMC(2段階分解型重合開始剤;日本油脂社製)30.0gを溶解した混合物を、1時間かけて滴下した後、スチレン310g、ブチルアクリレート30g、メチルメタクリレート20gを、1.5時間かけて滴下しながら溶液重合を行った。
【0045】
滴下終了後、更に、トルエンの還流温度にて攪拌しながら、30分間熟成した。その後、オイルバス温度を150℃まで徐々に上げながら、減圧下トルエンを脱溶剤して樹脂を得た。この樹脂を冷却し、粉砕して、β−ヒドロキシエチルメタクリレートがブロック的に共重合された樹脂組成物Aを得た。
【0046】
得られた樹脂組成物Aは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られた分子量分布が2つあって、低分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)は13,000、高分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)は600,000であり、ガラス転移温度(Tg)は62℃であった。また、樹脂組成物Aの表面においてベヘニルアルコールが占める割合は25%であった。
【0047】
上記GPC測定には、装置として、日本ミリポアリミテッド社製HTR−Cを用い、カラムには昭和電工社製KF−800P(1本)、KF‐806M(2本)、KF−802.5(1本)を直列に繋いで使用した。
【0048】
上記GPCの測定条件は、温度40℃、試料濃度0.2重量%テトラヒドロフラン溶液(0.45ミクロンのフィルターを通過したもの)とし、注入量100μLを打ち込んだ。また、更正試料としては標準ポリスチレンを用いた。
【0049】
また、ガラス転移温度(Tg)の測定は、セイコー電子工業社製DSC220Cを用い、昇温速度10℃/minにて行った。
【0050】
得られた樹脂組成物A100重量部、カーボンブラック(MA−100:三菱化学社製)5重量部、スピロンブラックTRH1重量部、PPワックス(ビスコール660p:三洋化成社製)3重量部をメルトブレンドし、冷却後粗粉砕し、更に、ジェトミル(日本ニューマチック工業社製ラボジェット)で微粉砕して約8〜12μmの平均粒度を有するトナ−粉末を得、得られた粉末を分級機(日本ニューマチック工業社製MDS−2)で分級することにより平均粒径10μmのトナーを作製した。
【0051】
得られたトナー300gにコーヒーミルで微粉砕した疎水性シリカ粉末0.9gを投入し回転台及び振とう機を用いて配合した。このトナー5gを100mLサンプル瓶にとり、45℃、50℃、55℃の各恒温槽中に8時間放置した後、目視によりケーキング状態を観察した。その結果、55℃でも凝集は見られなかった。
【0052】
また、このトナー6.5部を粒径約50〜80μmの鉄粉キャリアー93.5部と混合して現像剤を作製し、得られた現像剤を用いて定着画像を得た。なお、電子写真複写機としては富士ゼロックス3500を改造したものを用いた。
【0053】
得られた現像剤の定着温度は、電子写真複写機の熱ローラーの設定温度を種々変えて得られた複写物をパッドで摩擦し、定着画像の濃度の変化率、即ち、定着率が85%以上となる時の設定温度とした。樹脂組成物Aを用いた現像剤の定着温度は120℃と充分低かった。また、非オフセット幅は112℃以上で上限は200℃を越えていた。なお、非オフセット幅は、電子写真複写機の熱ローラーの設定温度を種々変えてオフセットの発生しない温度域とした。
【0054】
更に、現像剤の定着画像の強度の評価を行った。評価は、上記定着試験よりも30℃高い温度で得られた定着画像に積水化学工業社製セキスイスーパーメンディングテープを貼付し、これを剥がしたときの定着画像の濃度低下が全く起こらなかった場合を非常に良好(◎)とし、濃度低下が10%未満であった場合を良好(○)とし、濃度低下が10%以上であった場合を不良(×)として評価したところ、樹脂組成物Aを用いた現像剤の定着強度は非常に良好であった。
【0055】
参考例2
重合開始剤として過酸化ベンゾイル30.0g を用いた以外は参考例1と同様にして、β−ヒドロキシエチルメタクリレートがランダムに共重合された樹脂組成物Bを得た。得られた樹脂組成物Bは、低分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が15,000、高分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が600,000で、Tgが59℃であり、樹脂組成物Bの表面においてベヘニルアルコールが占める割合は38%であった。
【0056】
この樹脂組成物Bを用いて参考例1と同様にしてトナー化することにより平均粒径10μmのトナーを作製し、更に、参考例1と同条件で配合して現像剤を作製した。その結果、樹脂Bを用いた現像剤のケーキング状態の観察では45℃、50℃では凝集は見られず、55℃で少量の凝集が見られたのみであり、定着温度は122℃と充分低く、非オフセット幅は114〜190℃であった。また、定着強度は良好であった。
【0057】
参考例3
極性基を有している単量体としてクロロメチルスチレン60gを用いた以外は参考例1と同様にして、クロロメチルスチレンがブロック的に共重合された樹脂組成物Cを得た。得られた樹脂組成物Cは、低分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が13,000、高分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が600,000で、Tgが62℃であり、樹脂組成物Cの表面においてベヘニルアルコールが占める割合は28%であった。
【0058】
この樹脂組成物Cを用い参考例1と同様にしてトナー化することにより平均粒径10μm のトナーを作製し、更に、参考例1と同条件で配合して現像剤を作製した。その結果、樹脂Cを用いた現像剤のケーキング状態の観察では55℃でも凝集は見られず、定着温度は125℃と充分低く、非オフセット幅は112℃以上で上限は200℃を越えていた。また、定着強度は非常に良好であった。
【0059】
参考例4
低融点結晶性化合物として重量平均分子量500の高分子量アルコールを60g用いた以外は参考例1と同様にして樹脂組成物Dを得た。得られた樹脂組成物Dは、低分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が13,000、高分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が600,000で、Tgが64℃であり、樹脂表面において高分子量アルコールが占める割合は18%であった。
【0060】
この樹脂組成物Dを用いて参考例1と同様にしてトナー化することにより平均粒径10μmのトナーを作製し、更に、参考例1と同条件で配合して現像剤を作製した。その結果、樹脂Dを用いた現像剤のケーキング状態の観察では55℃でも凝集は見られず、定着温度は126℃と充分低く、非オフセット幅は116℃以上で上限は200℃を越えていた。また、定着強度は非常に良好であった。
【0061】
実施例1
重量平均分子量150万のSt−BA−MMA共重合体120g、ベヘニルアルコール60gに加えて、SEBS(シェル社製クレイトンG1726)18gを投入したこと以外は参考例1と同様にして、樹脂組成物Eを得た。得られた樹脂組成物Eは、低分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が13,000、高分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が600,000で、Tgが63℃であり、樹脂組成物Eの表面においてベヘニルアルコールが占める割合は20%であった。
【0062】
この樹脂組成物Eを用いて参考例1と同様にしてトナー化することにより平均粒径10μmのトナーを作製し、更に、参考例1と同条件で配合して現像剤を調製した。その結果、樹脂Eを用いた現像剤のケーキング状態の観察では55℃でも凝集は見られず、定着温度は125℃と充分低く、非オフセット幅は113℃以上で上限は200℃を越えていた。また、定着強度は非常に良好であった。
【0063】
比較例1
単量体として、スチレン410g、ブチルアクリレート40g、MMA30gを用いた以外は参考例1と同様にして樹脂組成物Fを得た。得られた樹脂組成物Fは、低分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が13,000、高分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が600,000で、Tgが63℃であり、樹脂組成物Fの表面においてベヘニルアルコールが占める割合は65%であった。
【0064】
この樹脂組成物Fを用いて参考例1と同様にしてトナー化することにより平均粒径10μmのトナーを作製し、更に、参考例1と同条件で配合して現像剤を作製した。その結果、樹脂Fを用いた現像剤のケーキング状態の観察では、45℃で凝集が見られ、定着温度は120℃と充分低く、非オフセット幅は110〜200℃であった。また、定着強度は参考例1〜4、実施例1と比べて非常に劣っていた。
【0065】
比較例2
低融点結晶性化合物のベヘニルアルコールを400g用いた以外は参考例1と同様にして樹脂組成物Gを得た。得られた樹脂組成物Gは、低分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が13,000、高分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が600,000で、Tgが48℃であり、樹脂組成物Gの表面においてベヘニルアルコールが占める割合は70%であった。
【0066】
この樹脂組成物Gを用いて参考例1と同様にしてトナー化することにより平均粒径10μmのトナーを作製し、更に、参考例1と同条件で配合して現像剤を作製した。その結果、樹脂Gを用いた現像剤のケーキング状態の観察では、45℃で凝集が見られ、定着温度は115℃と充分低く、非オフセット幅は106℃〜180℃であった。また、定着強度は参考例1〜4、実施例1と比べて非常に劣っていた。
【0067】
比較例3
低融点結晶性化合物のベヘニルアルコールを3g用いた以外は参考例1と同様にして樹脂組成物Hを得た。得られた樹脂組成物Hは、低分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が13,000、高分子量重合体成分の重量平均分子量(Mw)が600,000で、Tgが68℃であり、樹脂組成物Hの表面においてベヘニルアルコールが占める割合は1%であった。
【0068】
この樹脂組成物Hを用いて参考例1と同様にしてトナー化することにより平均粒径10μmのトナーを作製し、更に、参考例1と同条件で配合して現像剤を作製した。その結果、樹脂Hを用いた現像剤のケーキング状態の観察では55℃でも凝集は見られなかったが、定着温度は145℃と高く、非オフセット幅は130℃以上で上限は200℃を越えていた。また、定着強度は非常に良好であった。
【0069】
得られた結果を表1及び表2に示した。
【0070】
【表1】
Figure 0003739889
【0071】
【表2】
Figure 0003739889
【0072】
【発明の効果】
本発明のトナー用樹脂組成物及びトナーは、樹脂組成物の表面に存在する低融点結晶性化合物の量が制御されているので、低温定着性、定着強度、非オフセット性及び保存性が向上する。

Claims (2)

  1. スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び、極性基を有している単量体を構成単位として含むビニル系共重合体と、低融点結晶性化合物と、下記構造式(1)にて表されるブロック共重合体を主成分とするトナー用樹脂組成物であって、上記ビニル系共重合体は、重量平均分子量(Mw)=3000〜5万の低分子量重合体成分と重量平均分子量(Mw)=10万〜500万の高分子量重合体成分とからなり、上記低融点結晶性化合物は、樹脂組成物中に1〜30重量%含まれており、且つ、樹脂組成物の表面における存在割合が50%以下であることを特徴とするトナー用樹脂組成物。
    Figure 0003739889
    式(1)中、Aはビニル共重合体成分、Bはオレフィン成分を表す。
  2. 請求項1記載のトナー用樹脂組成物が用いられていることを特徴とするトナー。
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