JP3738700B2 - トナー供給ロールの製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機,プリンター,ファクシミリ等の画像形成装置の現像装置に用いられるトナー供給ロールの製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機,プリンター,ファクシミリ等の画像形成装置では、感光ドラム24(図6参照)の表面に原稿像を静電潜像として形成し、この静電潜像にトナー13(図6参照)を付着させてトナー像を形成し、このトナー像を複写紙上に転写定着することにより、複写を行っている。この場合におけるトナー像の形成は、図6に示すように、トナー供給ロール11がトナーボックス12から現像ロール17にトナー13を供給し、このトナー13を上記静電潜像に付着させることにより行われている。なお、この現像ロール17上に形成されるトナー層の厚みは層形成ブレード18により規制されるようになっている。そして、現像ロール17の表面に余ったトナーは、トナー供給ロール11により掻き取られ、トナーボックス12に戻されたのち、トナーボックス内のアジテータ(攪拌機)14により攪拌されるようになっている。なお、上記トナー供給ロール11,現像ロール17,トナーボックス12,およびアジテータ14は、トナーカートリッジ10を構成している。
【0003】
このような構造の画像形成装置に内蔵されているトナー供給ロール11は、通常、芯金(軸体)15の外周面にウレタンフォーム(スポンジ)層16を形成してなるものが用いられている。しかしながら、最近では、粉砕トナーに比べて粒子が均一で転写効率の高い重合法で製造された重合トナーが使用されるようになってきており、この重合トナーは、現像ロール17表面に最密充填的に付着することから、特に、その掻き取り性が悪くなり、残存トナーに起因するゴースト画像を生じる等の問題を生じやすい。そこで、上記掻き取り性等を向上させる目的で、上記芯金15外周のウレタンフォーム層16外周面に、軸方向に延びた複数の条溝が周方向に一定のピッチで形成されているものが提案され、好適に用いられている。すなわち、上記複数の条溝によって、トナーの掻き取りおよび供給が安定して行われるようになるためである。
【0004】
このようなトナー供給ロールの製法としては、例えば、予め芯金の周りに必要以上の厚みでウレタンフォームからなる層を形成したものを作製しておき、この層の全体を熱線によって溶融しながら、ロール外周面が所定の凹凸条溝となるよう切り抜くことによりロールを作製する方法(特開平5−61350号)が提案されている。また、他の製法として、ロール成形用金型の内周面に所定の溝形状を設けておき、この金型内に芯金をセットし、上記芯金と金型内周面との間の空隙においてウレタンフォーム成形を行い、金型内周面の溝形状を転写させたウレタンフォーム層を芯金外周面に形成する方法(特開平11−38749号)を、本出願人は既に提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱線で切り抜く上記方法では、ロール外径の加工精度を保持し難く、加工に手間がかかるといった問題がある。また、この方法では、ロール外周面の全面が、熱線による溶融で切り抜かれるため、ロール表面の空隙度〔空隙度は、ウレタンフォーム層内に存在する個々のセル(気泡)のうち、ロール表面に対し開口するセルの存在率に依存する〕が低下し、その結果、トナーの掻き取りおよび供給性能が低下するため、場合によっては画像不具合が発生するという問題がある。さらに、ロール表面には、加熱溶融によって生じた分解生成物も残るため、この溶融面にトナーが付着し、長期使用時に正常なトナー帯電性能が得られなくなるといった問題も生じる。
【0006】
また、内周面に所定の溝形状を設けたロール成形用金型を用いる前記他の方法では、得られるロールには特に問題はみられないのであるが、上記金型の製作に、通常、1ヶ月以上の期間を要するため、ロール外径の微調整が必要な際に迅速に対応できない。しかも、上記金型の製作にはコストがかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、トナーの掻き取りおよび供給性能に優れたトナー供給ロールを、容易にかつ効率よく製造することができるトナー供給ロールの製法の提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、表面弾性体層付きロール基体表面に、軸方向を揃えた状態で熱線を押し当てて、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成するトナー供給ロールの製法であって、複数の熱線を軸方向を揃えて一定ピッチで並べて固定した治具を準備し、この治具上に、表面弾性体層付きロール基体を、上記熱線と軸方向を揃えた状態で転動させ、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成するトナー供給ロールの製法を第1の要旨とする。また、本発明は、表面弾性体層付きロール基体表面に、軸方向を揃えた状態で熱線を押し当てて、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成するトナー供給ロールの製法であって、複数の熱線を管体の内周面に同軸的にかつ一定ピッチで固定した治具を準備し、この治具の管体の内部に、管体の内径と略同寸の外径の表面弾性体層付きロール基体を、軸方向を揃えて圧挿し、その状態で上記熱線を加熱し、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成するトナー供給ロールの製法を第2の要旨とする。さらに、本発明は、表面弾性体層付きロール基体表面に、軸方向を揃えた状態で熱線を押し当てて、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成するトナー供給ロールの製法であって、長尺の熱線を略リング状絶縁具のリングに一定ピッチで巻き付け固定した治具を準備し、この治具の熱線を加熱した状態で上記リング内に、リングの内径と略同寸の外径である表面弾性体層付きロール基体を軸方向を揃えて圧挿し、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成するトナー供給ロールの製法を第3の要旨とする。
【0009】
すなわち、本発明のトナー供給ロールの製法によれば、複数の熱線を備えた治具を用い、表面弾性体層付きロール基体を、その治具上を転動させるか、あるいは治具内に挿入し、溶融凹溝を設けるために、加工が極めて簡単になり、かつ寸法の微調整も容易になる。また、本発明の製法によれば、得られるトナー供給ロールの外周面における溶融個所が、一定ピッチの凹溝の個所だけで済み、互いに隣接する凹溝と凹溝で挟まれた個所(実機に組み込んだ際に現像ロールと接触する凸条部分)では、加熱溶融がなされていないため、材質に基づく開口セルが潰れずそのまま露呈し、空隙度の大きい面となり、トナー掻き取り性等に優れるようになる。また、加熱溶融による分解生成物の付着もない。したがって、本発明の製法によって得られるトナー供給ロールは、トナーの掻き取りおよび供給性能が安定化し、帯電性能が長期にわたって保たれるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0011】
図1は、本発明の製法によって得られるトナー供給ロールの一実施の形態を示している。図に示すように、トナー供給ロール1は、軸体2の外周面に弾性体層3が一体形成されており、上記弾性体層3の表面には、軸体2方向に延びた複数の溶融凹溝4が一定のピッチで周方向に形成されている。そして、互いに隣接する溶融凹溝4と溶融凹溝4で挟まれた個所の表面部分は、溶融されていないため、弾性体層3の生地が現われ、弾性体層3の材質(例えばウレタンフォーム)に基づく多数の開口セルが分布している。
【0012】
上記軸体2は特に制限するものではなく、例えば、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体等が用いられる。そして、その材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄にメッキを施したもの等があげられる。
【0013】
上記弾性体層3の形成材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリルゴム,シリコンゴム,エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等からなるゴムフォームや、軟質ポリウレタンフォーム等があげられる。なかでも、エーテル系、エステル系およびオレフィン系の軟質ポリウレタンフォームが、より好ましく用いられる。
【0014】
上記トナー供給ロール1は、例えば、以下の方法(第1〜第3の製法)によって作製される。
【0015】
すなわち、第1の製法では、まず、上記溶融凹溝4を形成する前の、表面弾性体層付きロール基体を作製する。上記ロール基体は、例えば、スラブ発泡もしくは型発泡のフォーム素材を切り出し、それに軸体2を通した後、表面を研磨してロール形状の弾性体層3を形成することにより得られる。このようにして形成された弾性体層3内に存在する個々のセルのセル径は100〜500μmの範囲に設定されていることが、トナー供給ロールとしての性能発揮の観点から好ましい。また、上記弾性体層3の硬度は、1mm圧縮(50mm幅)時で350g以下に設定されていることが、効果の点で好ましい。
【0016】
つぎに、図2に示すように、複数の熱線6を軸方向を揃えて一定ピッチで並べ断熱性基板7に固定した治具Aを準備する。上記熱線6としては、ニクロム線等があげられる。そして、上記熱線6の固定の態様としては、図示のように断熱性基板7上に直接固定する場合であってもよく、また、上記断熱性基板7の表面に絶縁紙等(図示せず)を設け、その絶縁紙等の上に固定してもよい。なお、上記のように、複数本の熱線6を一定ピッチで並列させて用いるのに代えて、長尺の熱線を蛇行状に折り曲げ、所定の範囲内において、複数の熱線が一定ピッチで配列しているような状態となるようにしたものを用いてもよい。そして、上記複数の熱線6の上に、上述のようにして得られた表面弾性体層付きロール基体5を、上記熱線6と軸方向を揃えた状態にして転動させ(矢印方向)、上記ロール基体5の弾性体層51表面に、上記熱線6の熱により一定ピッチで溶融凹溝を形成する。このようにして、目的とするトナー供給ロールが得られる。この方法では、ロール基体を転動させるだけで、溶融凹溝が、所定ピッチや深さで形成されているため、作業が極めて簡単となる。また、熱線の太さや配設ピッチを変えることにより、寸法等の微調整を簡単に行うことができる。
【0017】
このようにして得られたトナー供給ロールには、先の図1に示すように、弾性体層3の表面において、軸体2方向に延びた複数の溶融凹溝4が一定のピッチで周方向に形成されている。したがって、この製法によって得られるトナー供給ロール1の外周面では、熱線による溶融個所が、一定ピッチの溶融凹溝4の個所のみであり、互いに隣接する溶融凹溝4と溶融凹溝4で挟まれた個所(凸条)では、弾性体層自身の材質に基づく開口セルが形成されている。上記弾性体層3に対して、研磨や切削等による機械加工が施されている場合には、トナー供給ロール1の寸法精度が向上するとともに、開口セルの分布密度も向上するようになる。また、この面(凸条)には、加熱溶融による分解生成物の付着もない。したがって、上記トナー供給ロール1は、実機に組み込んだ際に現像ロールと接触する個所(凸条)における性能が損なわれることがないため、安定した帯電性能が長期にわたって保たれるようになる。そして、上記トナー供給ロール1は、特に、非磁性一成分カラートナーと、表面にコーティング層をもつ弾性現像ロールとを用いた現像システムにおいて有好である。
【0018】
上記トナー供給ロール1外周面における溶融凹溝4の幅W1 、凸条の幅W2 および溶融凹溝4の深さ(凸条の高さ)Dは、上記製法における熱線6の太さや配列ピッチ等を適宜変更することにより、容易に調整できる。そして、上記熱線6の太さは1.0mm以下、好適には0.3〜1.0mmであり、上記熱線6のピッチは2.0mm以下、好適には0.5〜1.5mmである。すなわち、上記熱線6の太さが1.0mmより太いと、得られるトナー供給ロール1外周面における溶融凹溝4の幅W1 が大きくなってしまい、トナー供給むらが画像に現われやすくなる。また、上記熱線6のピッチが2.0mmより長いと、得られるトナー供給ロール1のトナー掻き取り性が不均一となり、濃度むらを生じやすくなる。そして、得られるトナー供給ロール1外周面における溶融凹溝4の幅W1 は0.3〜1.5mmの範囲に調整することが好ましく、前記凸条の幅W2 との比率(W1 /W2 )は、W1 /W2 =3/1〜1/3の範囲に調整することが好ましい。また、溶融凹溝4の深さ(凸条の高さ)Dは0.2〜1.5mmの範囲に調整することが好ましい。このような寸法範囲は、以下の第2,第3の製法およびそれによって得られるトナー供給ロールでも同様である。
【0019】
つぎに、トナー供給ロールの第2の製法について説明する。
【0020】
すなわち、第2の製法では、図4(a)に示すような、複数の熱線6を管体8の内周面に同軸的にかつ一定ピッチに固定した治具Bを準備する。そして、この管体8の内部に、管体8の内径と略同寸の外径である表面弾性体層付きロール基体5を圧挿する。ここで、上記ロール基体5は、先に述べた第1の製法と同様にして得られたものである。また、上記管体8の内径は、上記ロール基体5の外径と同じか若干小さめにするのが好ましく、上記管体8の内径を小さくするほど、得られるトナー供給ロールの溶融凹溝を深く形成することができる。そして、上記管体8の内部に上記ロール基体5を圧挿した状態で、上記熱線6を加熱し、上記ロール基体5の弾性体層51表面に、上記熱線6の熱により一定ピッチで溶融凹溝を形成する〔図4(b)〕。この場合、図3に示すように、治具Bを起立させた状態で圧挿し、熱線6を加熱することにより、溶融滓が治具Bから円滑に溶出する。ついで、冷却後、トナー供給ロールを治具Bから引き抜く。この方法によれば、前記第1の製法の効果(作業の容易化,寸法の微調整)に加えて、管体8内にロール基体5を圧挿後に熱線を加熱するため、火傷等の問題が生じず、作業性が良いという効果を奏する。
【0021】
このようにして得られたトナー供給ロールは、前記第1の製法で得られたトナー供給ロールと同様の作用効果を奏するほか、表層に熱線6の断面形状と近似した断面形状の溶融凹溝が形成され、凹溝の上端開口縁がエッジ状になることから、トナー掻き取り性が一層向上するようになる。このようにして、目的とするトナー供給ロールが得られる。
【0022】
さらに、トナー供給ロールの第3の製法について説明する。
【0023】
すなわち、第3の製法では、図5に示すような、長尺の熱線6’を略リング状絶縁具9のリング9’に一定ピッチで巻き付け固定した治具Cを準備する。ここで、略リング状とは、リング状あるいは短いパイプ状のことをいう。そして、上記熱線6’を加熱し、その状態で上記リング9’内に、リング9’の内径と略同寸の外径である表面弾性体層付きロール基体5を所定の速度で圧挿し、リング9’を通過させる。ここで、上記ロール基体5は、先に述べた第1の製法と同様にして得られたものである。また、上記リング9’の内径は、上記ロール基体5の外径と同じか若干小さめにするのが好ましく、上記リング9’の内径を小さくするほど、得られるトナー供給ロールの溶融凹溝を深く形成することができる。さらに、上記圧挿は、上記ロール基体5を固定した状態にして、上記リング9’を動かすことにより行うようにしてもよい。そして、上記圧挿により、上記ロール基体5の弾性体層51表面には、上記熱線6’の熱によって一定ピッチの溶融凹溝が形成される。この方法によれば、第1の製法の効果に加えて、溶融滓が上記ロール基体5の圧挿通過時に、生成溶融凹溝の端部(圧挿方向と反対側の端部)から流下し除去される。したがって、溶融滓の残存付着による前記弊害は全く生じないという効果を奏する。このようにして、目的とするトナー供給ロールが得られる。このトナー供給ロールは、前記第2の製法で得られたトナー供給ロールと同様の作用効果を奏する。
【0024】
本発明のトナー供給ロールの製法では、特殊な金型を用いていないため、低コストであり、しかも、本発明によれば、トナー供給ロールの外周面全域に対し、極めて短時間に、効率良くかつ再現性良く、溶融凹溝を形成することができる。
【0025】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0026】
【実施例1】
〔ロール基体の作製〕
まず、円筒状金型を準備し、この金型内に芯金(直径5mm、SUS304製)をセットした後、上記金型内周面と芯金との間の空隙にポリウレタン原料を注入し、これを発泡硬化させた後、脱型して、芯金の外周面に軟質ポリウレタンスポンジ層(硬度:180g、セル径:350μm)を形成した。ついで、この軟質ポリウレタンスポンジ層を形成した芯金を回転させながら研磨加工し、外径が16mmとなるよう調整した、表面弾性体層付きロール基体を得た。
【0027】
〔トナー供給ロールの作製(溶融凹溝の形成)〕
ニクロム線を巻き付けたリング状絶縁治具(直径0.3mmニクロム線を内径15.5mmのリングに所定のピッチで巻き付けたもの)を準備した。ついで、上記ニクロム線を発熱させた状態で、上記のようにして得られた表面弾性体層付きロール基体を、リング内に一定の速度(約10mm/秒)で圧挿通過させ、上記ロール基体の外周面全域に対し周方向に等間隔で溶融凹溝を形成して、目的とするトナー供給ロールを得た。
【0028】
【実施例2】
ニクロム線を巻き付けたリング状絶縁治具(直径0.5mmニクロム線を内径15.5mmのリングに所定のピッチで巻き付けたもの)を準備し、これを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナー供給ロールを作製した。
【0029】
【実施例3】
ニクロム線を巻き付けたリング状絶縁治具(直径1.0mmニクロム線を内径15.5mmのリングに所定のピッチで巻き付けたもの)を準備し、これを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナー供給ロールを作製した。
【0030】
【比較例1】
実施例1と同様にして作製した表面弾性体層付きロール基体に対し、何も加工を施さず、そのままトナー供給ロールとした。
【0031】
【比較例2】
実施例1で作製したような軟質ポリウレタンスポンジ層を形成した芯金(研磨加工前)を用意し、発熱させたニクロム線で上記軟質ポリウレタンスポンジ層の全周をカットしていき、ロール外周の断面がノコギリ刃形状の凹凸(深さ1mm、ピッチ1.5mm)であるトナー供給ロール(外径16mm)を作製した。
【0032】
このようにして得られた実施例および比較例のトナー供給ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性について比較評価を行った。これらの結果を、得られたトナー供給ロールにおける溶融凹溝の幅、溶融凹溝の深さおよび凸条の幅と併せて、後記の表1に示した。
【0033】
〔ゴースト〕
得られたトナー供給ロールをレーザービームプリンターに組み込み、5000枚プリント後の画像において比較評価した。そして、ゴーストのない画像が得られた場合を○、画像にゴーストが現れた場合を△として評価した。
【0034】
〔濃度むら〕
得られたトナー供給ロールをレーザービームプリンターに組み込み、非磁性一成分カラートナーを使用して、低温低湿(15℃×10%)条件下において3日間放置した後、5%印字で5000枚プリントし、初期画像と5000枚プリント後(耐久後)の画像を、各種濃度およびパターンの画像において比較評価した。なお、評価基準は、以下のように設定した。
○:濃度むらがなく、均一な画像が得られた。
△:濃度むらが多少みられるものの、画質低下のない画像が得られた。
×:濃度むらが発生した。
【0035】
【表1】
【0036】
上記表1の結果から、実施例により得られたトナー供給ロールを使用した場合では、いずれも、ゴーストおよび濃度むらがみられず、しかも長期にわたって高画質が得られている。これに対して、比較例により得られたトナー供給ロールを使用した場合では、ゴーストや、長期使用後の画像不具合が発生している。
【0037】
他方、前述の第1の製法および第2の製法に従って、上記実施例1と同様のニクロム線を用い、同様のピッチで装着して、それぞれ治具Bおよび治具Cを作製し、これを用いて、実施例1で用いたのと同じロール基体を、同様の速度で移動させ、それぞれ目的とするトナー供給ロールを作製した。これらのものに対し、上述の比較評価を行ったところ、上記実施例により得られたトナー供給ロールと同様に、ゴーストおよび濃度むらがみられず、しかも長期にわたって高画質が得られるようになることがわかった。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明のトナー供給ロールの製法によれば、加工が極めて簡単になり、かつ寸法の微調整も容易になる。また、得られるトナー供給ロールの外周面における溶融個所が、一定ピッチの凹溝の個所だけで済み、互いに隣接する凹溝と凹溝で挟まれた個所(実機に組み込んだ際に現像ロールと接触する凸条部分)では、加熱溶融がなされていないため、材質に基づく開口セルが潰れずそのまま露呈し、空隙度の大きい面となり、トナー掻き取り性等に優れるようになる。また、加熱溶融による分解生成物の付着もない。したがって、本発明の製法によって得られるトナー供給ロールは、トナーの掻き取りおよび供給性能が安定化し、帯電性能が長期にわたって保たれるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製法により得られるトナー供給ロールを示す斜視図である。
【図2】本発明のトナー供給ロールの製法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明のトナー供給ロールの製法の他の例を示す説明図である。
【図4】上記製法における管体の断面図であり、(a)は表面弾性体層付きロール基体を圧挿する前の断面図であり、(b)は上記ロール基体を圧挿した後の断面図である。
【図5】本発明のトナー供給ロールの製法のさらに他の例を示す説明図である。
【図6】画像形成装置の現像部を示す説明図である。
【符号の説明】
5 表面弾性体層付きロール基体
51 弾性体層
6 熱線
7 断熱性基板
A 治具
Claims (3)
- 表面弾性体層付きロール基体表面に、軸方向を揃えた状態で熱線を押し当てて、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成するトナー供給ロールの製法であって、複数の熱線を軸方向を揃えて一定ピッチで並べて固定した治具を準備し、この治具上に、表面弾性体層付きロール基体を、上記熱線と軸方向を揃えた状態で転動させ、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成することを特徴とするトナー供給ロールの製法。
- 表面弾性体層付きロール基体表面に、軸方向を揃えた状態で熱線を押し当てて、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成するトナー供給ロールの製法であって、複数の熱線を管体の内周面に同軸的にかつ一定ピッチで固定した治具を準備し、この治具の管体の内部に、管体の内径と略同寸の外径の表面弾性体層付きロール基体を、軸方向を揃えて圧挿し、その状態で上記熱線を加熱し、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成することを特徴とするトナー供給ロールの製法。
- 表面弾性体層付きロール基体表面に、軸方向を揃えた状態で熱線を押し当てて、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成するトナー供給ロールの製法であって、長尺の熱線を略リング状絶縁具のリングに一定ピッチで巻き付け固定した治具を準備し、この治具の熱線を加熱した状態で上記リング内に、リングの内径と略同寸の外径である表面弾性体層付きロール基体を軸方向を揃えて圧挿し、上記ロール基体表面の弾性体層に上記熱線の熱により一定ピッチで複数の溶融凹溝を形成することを特徴とするトナー供給ロールの製法。
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