JP3738459B2 - 自走式掃除機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動床面掃除機・自動床面仕上げ装置等のように往復移動を繰り返しながら自動的に清掃を行う自走式掃除機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、作業機器に走行駆動装置・センサ類および走行制御手段等を付加して、自動的に清掃を行う各種の自走式掃除機が開発されている。清掃機能として、ドライバキューム・ウェットバキューム・洗浄等の清掃形態や、ベアフロア・絨毯等の床面に合わせて、本体底部に各種吸込みノズルやブラシ等を備え、用途に応じて適宜交換ができるよう着脱自在のものもある。
【0003】
移動機能としては、走行および操舵手段と走行時の障害物を検知する障害物検知手段と位置を認識する位置認識手段とを備え、この障害物検知手段によって清掃場所の周囲の壁等に沿って移動しながら位置認識手段によって清掃区域を認識し、その清掃区域内全体を往復移動して清掃するものである。
【0004】
本発明に関連する絨毯目検出手段について説明する。絨毯目とは、絨毯の植毛が基布に対して垂直でなくやや斜めであるために生じる毛並みの性質のことである。この絨毯目が本体の向きに対して横方向に存在する(ほとんどの場合存在する)と、本体は清掃走行中に横滑りを起こして所定の走行軌跡からずれ、清掃のやり残し、または何度も同じ領域を通る無駄が生じるが、この横滑りを検出するのが図9に示す絨毯目検出手段である。
【0005】
ローラ43がレバー42を介して弾性体44の力により床面Fに付勢され、回転検出器47がレバー42と支持軸41を介してローラ43の本体1に対する相対的な角度(方向)を検出する。そして、ローラ43自体は、絨毯目の影響をほとんど受けず(発明者らは、接地面が面積が小さく、表面がなめらかで摩擦係数が小さい時に、絨毯目の影響を受けにくいことを確認している)横滑り生じないという特徴を持つ。この構成により次のような作用を示す。
【0006】
本体1が絨毯上を走行する時、本体1の向きに対して実際の走行方向は横滑りのため右あるいは左に傾くが、ローラ43は本体1の走行方向を向きながら追従する。つまり、本体1の向きとローラ43の向きとの間に相対的な角度差が生じ、この角度は絨毯目による本体1の走行中の横滑りの向きと強さを表している。絨毯目検出手段はこの角度を検出する。この検出角度に基づいてあらかじめ本体の向きを変えてやれば、所定の正確な走行軌跡を得ることができる。以上が絨毯目検出手段の概要である。
【0007】
ところが、清掃を行わない部屋間移動等の単なる本体移動時(以下非清掃移動時と略す)や、木床やPタイル等のベアフロア床面の清掃走行時には、絨毯目検出手段は必要なく(ただし、ベアフロア床面の清掃走行時については、傾斜した床面では前述の絨毯目と同様の影響を受けるので、絨毯目検出手段が有効となる場合もある)。ローラ43を床面に接地させていると、硬い床面との接触や敷居等の段差や突起への衝突等によりローラ43の接地面に摩耗や傷つきが生じて、表面の滑らかさがなくなり、いざ絨毯上を走行させる時に上述の絨毯目による角度差を感度よく検知できなくなったり、逆に、ローラ43が床面等を傷をつけてしまうこともあった。傷つかないまでも、スムースな非清掃移動の妨げとなった。
【0008】
そこで、図10に示すような昇降手段が考えられた。図10は従来の自走式掃除機の昇降手段を上から見た図である。非清掃移動時には、昇降ア−ム35を上昇・保持することにより、これもまたスムースな移動の妨げとなる床ノズル18と、センサ昇降ア−ム36を介して絨毯目検出手段のローラ43(図では、レバー42に連接し上下動がローラ43と連動する昇降板37)を連動して上昇させることができる。さらに、ベアフロア床面の清掃走行時には、センサ昇降ア−ム36のみを上昇・保持することにより、ローラ43のみを上昇させることができる。なお、床ノズル18は、ベアフロア・絨毯等の清掃床面に合わせた専用器に適宜交換できるよう、着脱自在となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来の自走式掃除機では、ベアフロア床面の清掃走行時に、絨毯目検出手段のローラ43を上昇させるのを忘れてしまうことがあった。
【0010】
また、清掃の場所・形態・床面等が変わる非清掃移動時に次の清掃に合わせた床ノズルに交換するため、あるいは床ノズルをメインテナンスするために床ノズルをはずし、この状態で、昇降手段により絨毯目検出手段のローラを上昇させずに移動してしまうことがあった。
【0011】
また、清掃床面が絨毯であるにもかかわらず、絨毯目検出手段のローラを下降接地させるのを忘れてしまい、ローラが上昇状態のままの出力が検出・フィードバックされ、所定の清掃走行ができずに本体の転落・衝突等の危険がある方向に走行してしまうことがあった。
【0012】
また、ベアフロアあるいは絨毯等の、床面に合っていない床ノズルを装着して清掃してしまい、所望の清掃効果が得られないことがあった。
【0013】
本発明は上記従来の自走式掃除機が有していた課題を解決しようとするものであって、ベアフロア用床ノズルの装着に連動して絨毯目検出手段のローラを自動的に上昇させることにより、ベアフロア床面清掃時のローラの上昇し忘れを防止できる自走式掃除機を提供することを第1の目的としている。
【0014】
また、絨毯用床ノズルの装着に連動して絨毯目検出手段のローラを下降・接地させることにより、非清掃移動を床ノズル未装着の状態で行った時にも、ローラを上昇状態で保持できる自走式掃除機を提供することを第2の目的としている。
【0015】
また、第1あるいは第2の目的に加えて、絨毯目検出手段のローラが上昇しているにもかかわらず誤って出力を取り込んで走行制御にフィードバックしてしまい、所定の清掃走行を行えずに本体が転落・衝突等の危険がある方向に走行するのを防ぐことができる自走式掃除機を提供することを第3の目的としている。
【0016】
また、第3の目的に加えて、床面が絨毯かベアフロアかを判別し、床面に合った床ノズルが装着されているか(絨毯目検出手段ローラの昇降状態が正常か)を判断して、誤った床ノズルが装着されている時は警告を発して交換を促すことのできる自走式掃除機を提供することを第4の目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記第1、第3、第4の目的を達成するための本発明の第1の課題解決手段は、本体を移動させる駆動手段と、本体を操舵する操舵手段と、前記駆動手段と操舵手段とを制御し本体の走行制御を行う走行制御手段と、床面に接地して回転するローラにより本体の走行中に床面の絨毯目の方向と強さを検出する絨毯目検出手段と、床面の清掃を行い本体に着脱自在なベアフロア用床ノズルと絨毯用床ノズルとを具備し、前記絨毯目検出手段は、ローラを回転自在に支持し鉛直方向に回動してローラを床面方向に付勢するレバーと、レバーと連接してレバーを上方へ押し上げる昇降レバーと、レバーの上昇を検出するローラ上昇検出手段と、ベアフロア用床ノズルまたは絨毯用床ノズルの床面からの高さを検出する床ノズル位置検出手段と、前記ローラ上昇検出手段と床ノズル位置検出手段との出力を比較し、ローラ上昇検出手段によりレバーの上昇が検知されておらず、且つ床ノズル位置検出手段により検出されたノズルと床面の高さが、床面がベアフロアである場合に相当する高さであるときに、警告を発する警告手段とを有し、前記ベアフロア用床ノズルの装着に連動して、前記昇降レバーを上昇させるものである。
【0018】
さらに、第2、第3、第4の目的を達成するための本発明の第2の課題解決手段は、本体を移動させる駆動手段と、本体を操舵する操舵手段と、前記駆動手段と操舵手段とを制御し本体の走行制御を行う走行制御手段と、床面に接地して回転するローラにより本体の走行中に床面の絨毯目の方向と強さを検出する絨毯目検出手段と、床面の清掃を行い本体に着脱自在なベアフロア用床ノズルと絨毯用床ノズルとを具備し、前記絨毯目検出手段は、ローラを回転自在に支持し鉛直方向に回動してローラを床面方向に付勢するレバーと、レバーと連接してレバーを上方へ押し上げる昇降レバーと、昇降レバーを上方に付勢する昇降レバー弾性体と、レバーの上昇を検出するローラ上昇検出手段と、ベアフロア用床ノズルまたは絨毯用床ノズルの床面からの高さを検出する床ノズル位置検出手段と、前記ローラ上昇検出手段と床ノズル位置検出手段との出力を比較し、ローラ上昇検出手段によりレバーの上昇が検知されていて、且つ床ノズル位置検出手段により検出されたノズルと床面の高さが、床面が絨毯である場合に相当する高さであるときに、警告を発する警告手段とを有し、前記絨毯用床ノズルの装着に連動して、前記昇降レバーを下降させるものである。
【0019】
【作用】
上記した本発明の第1の課題解決手段は、絨毯目検出手段のレバーと連接してレバーを上方へ押し上げる昇降レバーを有し、(ベアフロア用)床ノズル装着時に、床ノズルに設けた当接突起が前記昇降レバーに当接して前記レバーを上昇させることにより、ベアフロア用床ノズルを装着に連動して絨毯目検出手段のローラを自動的に上昇させることができるものである。また、レバーの上昇を検出するローラ上昇検出手段を有することにより、絨毯目検出手段のローラが上昇時の出力を遮断できるものである。さらに、ベアフロア用床ノズルまたは絨毯用床ノズルの床面からの高さを検出する床ノズル位置検出手段を有し、ローラ上昇検出手段と床ノズル位置検出手段との出力を比較して警告を発する警告手段を有することにより、床面接触圧力が小さい床ノズルと、大きい本体の、絨毯内への沈み込みの差を利用して、床ノズルの本体に対する位置(高さ方向)によって、床面が絨毯かベアフロアかを判別し、床面に合った床ノズルが装着されているか(絨毯目検出手段ローラの昇降状態が正常か)を判断して、誤った床ノズルが装着されている時は警告を発して交換を促すことができるものである。
【0020】
さらに、第2の課題解決手段は、絨毯目検出手段のレバーと連接してレバーを上方へ押し上げる昇降レバーと、昇降レバーを上方に付勢する昇降レバー弾性体とを有し、(絨毯用)床ノズル装着時に、床ノズルに設けた当接突起が前記昇降レバーに当接して前記レバーを下降させることにより、(絨毯用)床ノズル装着時以外は、床ノズル未装着の状態でも、絨毯目検出手段のローラを上昇状態で保持することができるものである。また、レバーの上昇を検出するローラ上昇検出手段を有することにより、絨毯目検出手段のローラが上昇時の出力を遮断できるものである。さらに、ベアフロア用床ノズルまたは絨毯用床ノズルの床面からの高さを検出する床ノズル位置検出手段を有し、ローラ上昇検出手段と床ノズル位置検出手段との出力を比較して警告を発する警告手段を有することにより、床面接触圧力が小さい床ノズルと、大きい本体の、絨毯内への沈み込みの差を利用して、床ノズルの本体に対する位置(高さ方向)によって、床面が絨毯かベアフロアかを判別し、床面に合った床ノズルが装着されているか(絨毯目検出手段ローラの昇降状態が正常か)を判断して、誤った床ノズルが装着されている時は警告を発して交換を促すことができるものである。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の第1の実施例を、図1・図2に基づいて説明する。図1は本実施例の自走式掃除機の縦断面図、図2は図1のA−A断面図である。図において、1は自走式掃除機の本体(以下単に本体と称する)、2L・2Rはそれぞれ本体1の左右に設けた駆動輪で、駆動モータ3L・3Rで減速機4L・4Rを介して左右独立に駆動される。
【0022】
5L・5Rはそれぞれ駆動モータ3L・3Rに接続されたロータリエンコーダ等からなるモータ回転検出器で、駆動モータ3L・3Rの軸回転数を検出している。また9は、本体1に回転自在に取り付けた従輪である。以上、駆動輪2L・2R・駆動モータ3L・3R・減速機4L・4R・モータ回転検出器5L・5R・従輪9は、本体1を移動させる駆動手段と操舵手段を構成している。
【0023】
31は蓄電池であり、本体1の全体に電力を供給している。12は本体1の周囲に突出して取り付けられた接触検知手段で、その表面は弾性材で構成され、本体1の周囲の壁面・柱・床面からの突起物・段差・家具・人間等の障害物に接触したときの衝撃を和らげ、かつその接触を検出する。22は本体1の周囲の障害物までの距離を計測する測距手段で、本体1の周囲に設けた超音波センサから構成されている。
【0024】
23は本体1の方向を計測する方向計測手段で、レートジャイロおよびこの出力を積分する積分器等から成っている。24は本体1の走行中に絨毯目の方向と強さを検出する絨毯目検出手段で、その詳細は図3に基づいて後述する。
【0025】
21は、駆動モータ3L・3Rを制御し、本体1の走行制御を行なう走行制御手段である。14は電動送風機、15は集塵室、16・17はその内部に設けたフィルタである。18は本体1の底部に設けた床ノズルで、ベアフロアで優れた清掃能力を示すベアフロア用と、同様に絨毯用があり、床面に合わせ交換して使用する。ベアフロア用と絨毯用の具体的な相違については、本発明と直接関係ないので説明を省略する。
【0026】
そして、床ノズル18は伸縮自在な接続パイプ19を介して集塵室15と連通している。以上、電動送風機14・集塵室15・フィルタ16・17・床ノズル18・接続パイプ19は、清掃手段を構成している。28は表示部で、判別された床面は何か・装着ノズルは床面に合っているか・蓄電池31の残量等を表示する。29はハンドルで、人が本体1の移動を操作するときの取っ手となる。
【0027】
37は昇降板で詳細は図4に基づいて後述する。35は昇降ア−ムで、本体1に固定されたア−ム支点38で回動自由に、他方は床ノズル18に設けた床ノズル昇降作用点33に接続・切り離しが容易に保持されており、床ノズル18を(同時に昇降板37も下方から当接して)上昇させるとともに、着脱自在としている。
【0028】
次に本実施例の絨毯目検出手段24の詳細を、図3に基づいて説明する。構成の基本要素は従来の技術で説明した図9と同様であるが、ここではさらに詳細に説明する。48は取付台で本体1に固定されている。取付台48にはベアリング52を介して回転自由に支持軸41が取り付けられており、その回転軸は床面Fに垂直(ラインO)である。
【0029】
また取付台48には回転検出器47が固定されており、その検出軸47’は、連結される軸同士の角度ずれセンターずれを吸収するカップリング49を介して、支持軸41に固定されたカップリング連結部55に連結され、支持軸41の回転角度を検出する。支持軸41の下部には、ベアリング50を介してレバー軸45が保持されている。
【0030】
レバー軸45にはレバー42が固定されており、よってレバー42はレバー軸45を中心に支持軸41に対して回動自由である。レバー42の他端にはベアリング51を介してローラ軸46が回転自由に支持されており、このローラ軸46にローラ43が固定されている。ねじりコイルバネからなる弾性体44は、レバー軸45に固定されたピン53に一端を、支持軸41に固定されたピン54に他端を支持されており、その付勢力がレバー軸45のねじり力として現れ、レバー軸45のねじり力によりレバー42・ローラ軸46を介してローラ43が床面Fに付勢される。
【0031】
以上の構成による動作・絨毯目検出方法については従来の技術と同様である。
【0032】
次に、本実施例のレバーと昇降レバーの連接について、図4・図5に基づいて説明する。まず、昇降板(従来の技術の図10を参照)とレバーを連接する構成について図4に基づいて説明する。63は一方が支持軸41に固定された連接支持部である。62は横連接リンクで、一方を横連接軸66を介して連接支持部63に回動自由に支持されている。
【0033】
61は縦連接リンクで、下方をレバー連接軸64を介してレバー42に回動自由に支持されており、中程の一点を縦連接軸65を介して横連接リンク62の他方と回動自由に連接されている。昇降板37は、縦連接リンク61の上端に固定されており、取付台48に接触しないよう中心に孔が設けてある。レバー42と横連接リンク62、レバー軸45と横連接軸66の中心を結ぶラインと縦連接リンク61は平行であり、横連接軸66・縦連接軸65・レバー連接軸64・ア−ム軸45の各中心は平行四辺形の頂点となっている。昇降板37の板面は支持軸41の回転軸(図3参照:ラインO)と垂直である。以上が、昇降板37とレバー42(レバー連接軸64)を連接する構成である。
【0034】
以上の構成により動作は次のようになる。図4の昇降板37の例えば矢印U1で示す位置に上昇力を作用させると、昇降板37は、板面を支持軸41の回転軸(図3のラインOを参照)と垂直の関係を保ちながら上昇する。ところが上昇力の作用点が、昇降板37の他のどの位置にあっても、板面を支持軸41の回転軸と垂直の関係を保ちながら上昇する。
【0035】
つまり、ローラ43がいかなる位置にあっても、昇降板37をある一定高さ上昇させれば、レバー連接軸64も同高さ上昇し、レバー42がレバー軸45を中心に回動してローラ軸46およびローラ43は所定高さ上昇する。ようするに、ローラ43(レバー42)は昇降板37の昇降動作に連動するわけである。
【0036】
次に、昇降板37と昇降レバー56の関係について、図5に基づいて説明する。59は床ノズル18に固定された当接突起で、本実施例ではベアフロア用にのみ設けられている。57は昇降レバー支点で、床ノズル18と昇降板37の間に位置し、本体1に固定された取付具58に支持されている。56は昇降レバーで、昇降レバー支点57に回動自由に支持され、回動すると、一方が、昇降板37の下面に接触でき、かつローラ43には干渉せず、もう一方は、当接突起59に接触でき、かつ床ノズル18が昇降ア−ム35によって上昇する時に動作の妨げとならない、図のような位置関係・形状となっている。
【0037】
以上の構成により動作は次のようになる。まず、当接突起59の無い(例えば絨毯用の)床ノズル18が装着されている時は、昇降レバー56は、昇降板37にもローラ43にも床ノズル18にも接触せず、図の実線の状態になり(この状態で姿勢を保つ方法には、両側の重量のバランスをとる、または、スプリング等でわずかに付勢してストッパーを設ける等がある)、ローラ43は床面Fに接地して絨毯目を検出することができる。
【0038】
次に、当接突起59を有するベアフロア用の床ノズル18が装着される時は、図の2点鎖線のように、当接突起59が昇降レバー56を押して回動させ、昇降レバー56は昇降板37に下面から当接してこれを上昇させる。結果ローラ43が床面Fから上昇する。そして図の矢印A1で示すように、床ノズル18が昇降ア−ム35によって上昇するとき、昇降レバー56は当接突起59の拘束から解放される。
【0039】
なお、床ノズル18が昇降ア−ム35により上昇するときは、昇降板37も昇降ア−ム35によって持ち上げられる(図2参照)。
【0040】
以上の説明から明らかなように、ベアフロア用床ノズル18を装着すると自動的にローラ43が上昇するので、床ノズル18の交換により、ベアフロア上でローラ43を上昇させるのを忘れることがなく、確実に、接地面の摩耗や傷つき防止、絨毯上を走行させた時の角度ずれ検知感度の維持、ならびにローラ43による床面の傷をつけ防止ができるものである。
【0041】
(実施例2)
以下、本発明の第2の実施例を説明する。本体構成は基本的に前記実施例1の図1・図2と同様なので、説明を省略する。また、絨毯目検出手段24の構成の詳細も図3と、レバーと昇降レバーの連接のうち昇降板とレバーを連接する構成についても図4と同様なので説明を省略する。
【0042】
次に、本実施例の昇降板37と昇降レバー56の関係について、図6に基づいて説明する。59は床ノズル18に固定された当接突起で、本実施例では絨毯用にのみ設けられている。57は昇降レバー支点で、床ノズル18と昇降板37の間に位置し、本体1に固定された取付具58に支持されている。56は昇降レバーで、昇降レバー支点57に回動自由に支持され、回動すると、一方が、昇降板37の下面に接触できかつローラ43には干渉せず、もう一方は、当接突起59に接触でき、かつ床ノズル18が昇降ア−ム35によって上昇する時に動作の妨げとならない、図のような位置関係・形状となっている。そして昇降レバー56は、引っ張りバネからなる昇降レバー弾性体60により、昇降板37を、ローラ43の床面Fへの付勢に打ち勝って上昇させるよう付勢されている。
【0043】
以上の構成により動作は次のようになる。まず、当接突起59を有する絨毯用床ノズル18が装着される時は、当接突起59が昇降レバー56を押して回動させ、昇降板37が昇降レバー56の拘束から解放され、ローラ43が床面Fに接地して絨毯目を検出することができる(図の実線)。
【0044】
そして図の矢印A2で示すように、床ノズル18が昇降ア−ム35によって上昇するとき、昇降レバー56は当接突起59の拘束から解放される。次に、当接突起59が無いベアフロア用床ノズル18が装着されている時は、図の2点鎖線のように、昇降レバー56が昇降レバー弾性体60の付勢力によって昇降板37を上昇させ、ローラ43を床面Fから上昇させた状態で保持する。
【0045】
また、床ノズル18が昇降ア−ム35によって上昇するときは、昇降板37も床ノズル昇降ア−ム35によって持ち上げられる(図2参照)。
【0046】
また、床ノズル18が装着されてなく、昇降ア−ム35が上昇していない状態では、ベアフロア用床ノズル18が装着されている時と同様、昇降レバー56が昇降レバー弾性体60の付勢力によって昇降板37を上昇させ、ローラ43を床面Fから上昇させた状態で保持する。
【0047】
以上の説明から明らかなように、絨毯用床ノズル18を装着したときにのみ絨毯目検出手段24のローラ43を下降・接地させては絨毯目を検出し、ベアフロア用床ノズル18の装着時や床ノズル18が未装着の状態ではローラ43は上昇状態で保持されるので、ベアフロア清掃時にローラ43を上昇させるのを忘れることがなく、確実に、接地面の摩耗や傷つき防止、絨毯上を走行させた時の角度ずれ検知感度の維持、ならびにローラ43による床面の傷つけ防止ができ、かつ、非清掃移動を床ノズル18を未装着の状態で行った時にも、ローラ43を上昇状態で保持して、敷居等の段差や突起への衝突を回避して、ローラ接地面の摩耗・傷つきによる検知感度の低下や、床面の傷つきを防止できるものである。
【0048】
(実施例3)
以下、本発明の第3の実施例を説明する。本体構成は、前記実施例1の図1・図2と同様なので説明を省略する。また、絨毯目検出手段24の構成の詳細も図3と、レバーと昇降レバーの連接のうち昇降板とレバーを連接する構成についても図4と同様なので説明を省略する。
【0049】
また、昇降板と昇降レバーの関係についても基本的には、前記実施例1の図5あるいは、前記実施例2の図6と同様なので共通部分の説明を省略するが、ローラ上昇検出手段70が構成に追加される。ローラ上昇検出手段70は、マイクロスイッチ等のON/OFFスイッチで構成され、ローラ43の上昇を、連動するレバー42・昇降板37を介して昇降板37の上昇により検出する。
【0050】
次に、本実施例の制御構成を、図7の制御ブロック図に基づいて説明する(なお、この制御構成の基本要素は、説明は省略したが前述の実施例1および実施例2においても同様である)。接触検知手段12・測距手段22・方向計測手段23・絨毯目検出手段24の出力は走行制御手段21に伝達される。
【0051】
走行制御手段21はこれらの情報を判断して、モータ回転検出手段5L・5Rの出力をフィードバックしながら駆動モータ3L・3Rに制御信号を出力して本体1を走行・操舵する。そして同時に、電動送風機14・床ノズル18に設けた回転ブラシ等を駆動する。本実施例ではローラ上昇検出手段70の出力も走行制御手段21に伝達され、走行制御手段21は判別手段74を有している。判別手段74はローラ上昇検出手段70の出力に基づいて、絨毯目検出手段24の出力を利用するかしないかを決定する。
【0052】
以上の構成により、動作は次のようになる。ローラ43が上昇してこれをローラ上昇検出手段70が検出した時には、ローラ43の向きは本体1の走行方向に追従せず上昇した時点の方向に固定されたままである。この状態での絨毯目検出手段24の出力は、絨毯目による影響を示す値とは全く関係ない値であるので、判別手段74が、この時の絨毯目検出手段24の出力を利用しないことを決定する。
【0053】
つまり、ローラ上昇検出手段70がローラ43の上昇を検出している時には、絨毯目検出手段24の出力を使わないということである。
【0054】
以上により、絨毯目検出手段24のローラ43が上昇時の出力を遮断することができるので、上昇時の絨毯目の影響とはまったく関係のない出力を取り込んで走行制御にフィードバックしてしまい、所定の清掃走行を行えなくなるのを防ぐことができるものである。なお、絨毯目検出手段24の出力の遮断を判別手段74の決定によるとしたが、ローラ上昇検出手段70を絨毯目検出手段24と走行制御手段21との間の通信経路に組み入れ、上昇検出時により通信経路自体を遮断する方法もある。
【0055】
(実施例4)
以下、本発明の第4の実施例を説明する。本体構成は、前記実施例1の図1・図2と同様なので説明を省略する。また、絨毯目検出手段24の構成の詳細も図3と、レバーと昇降レバーの連接のうち昇降板とレバーを連接する構成についても図4と同様なので説明を省略する。また、昇降板と昇降レバーの関係およびローラ上昇検出手段についても、前記実施例3の図5あるいは図6と同様なので説明を省略する。
【0056】
次に、本実施例の床ノズル位置検出手段について図8に基づいて説明する。71は発光手段で床ノズル18(各床面用それぞれ)に固定され、ほぼ水平の角度で指向性の強い光を発射する。72・73は受光手段で、本体1に垂直方向に並べて固定され、発光手段の光を受ける。床面がベアフロアの時に、発光手段71の光を下段の受光手段72が受けるように高さ関係が調整されている。以上、発光手段71、受光手段72・73は床ノズル位置検出手段を構成している。
【0057】
次に、本実施例の制御構成を、再び図7の制御ブロック図に基づいて説明する。基本的に前述の実施例3と同様なので共通部分の説明を省略し、追加部分のみ説明を行う。
【0058】
本実施例では受光手段72・73の出力も走行制御手段21に伝達される。本施例の判別手段74は、まず受光手段72・73の出力に基づいて床面の判別を行い、次にこれとローラ上昇検出手段70の出力により、装着床ノズル18が床面に合った正しいものか(ベアフロア用か絨毯用か)を判断する。これらの結果を表示部28に伝達・表示する。判別手段74と表示部28で警告手段を構成している。
【0059】
以上の構成により、動作は次のようになる。
【0060】
まず床面がベアフロアの時には、発光手段71の光を下段の受光手段72が受ける。このことにより判別手段74は床面がベアフロアであると判別する。そしてこの時、ローラ上昇検出手段70がローラ43の上昇を検出していれば、床面に合ったベアフロア用床ノズル18が正しく装着されていると判断し、ローラ43の上昇を検出していなければ、床面がベアフロアであるにもかかわらず間違って絨毯用床ノズル18が装着されていると判断する。
【0061】
次に床面が絨毯の時には、床面接触圧力が小さい床ノズル18は、床面接触圧力が大きい本体1より、絨毯内への沈み込みの深さが小さく、本体1に対して相対的に高さが高くなる。よって発光手段71の光を上段の受光手段73が受けることになる(図8の2点鎖線)。このことにより判別手段74は床面が絨毯であると判別する。
【0062】
そしてこの時、ローラ上昇検出手段70がローラ43の上昇を検出していなければ、床面に合った絨毯用床ノズル18が正しく装着されていると判断し、ローラ43の上昇を検出していれば、床面が絨毯であるにもかかわらず間違ってベアフロア用床ノズル18が装着されていると判断する。
【0063】
この結果が表示部28に表示される。特に、床面に合わない間違った床ノズル18が装着されている場合には目立った表示で警告を行い、本体1のスタートを受け付けず、床ノズル18の交換を促す。
【0064】
以上により、床ノズル18に設けた発光手段71と、本体1に垂直方向に並べて設けた複数の受光手段72・73と、床面に合わない間違った床ノズルの装着を警告する警告手段とにより、床面接触圧力が小さい床ノズル18と、大きい本体1の、絨毯内への沈み込みの差を利用して床面が絨毯かベアフロアかを判別し、床面に合った床ノズル18が装着されているか(絨毯目検出手段24のローラ43の昇降状態が正常か)を判断して、間違った床ノズル18が装着されている時は警告を発して交換を促すことができるものである。
【0065】
なお、受光手段72・73がともに受光しない時には床ノズル18が未装着であるという判断ができ、装着を促すものである。また、絨毯にもさまざまな種類があり、相対的な沈み込みの差ばらつくときには、受光手段73の個数を増やしてもよい。また、表示・警告の形態は特に限定するものではなく、注意を促すものであればよい。
【0066】
【発明の効果】
以上の実施例から明かなように本発明の第1の課題解決手段によれば、ベアフロア床面清掃時のローラの上昇し忘れを無くすことができ、確実に、ローラ接地面の摩耗や傷つきを防止して絨毯上を走行させた時の角度ずれ検知の感度を維持し、ローラが床面を傷つけることを防止できるものである。また、絨毯目検出手段のローラが上昇時の、絨毯目による影響とは全く関係ない出力を遮断することができ、誤って出力を取り込んで走行制御にフィードバックしてしまい、所定の清掃走行を行えずに本体が転落・衝突等の危険がある方向に走行してしまうのを防ぐことができるものである。また、床面が絨毯かベアフロアかを判別でき、この出力とローラ上昇検出手段との出力を比較して警告を発する警告手段を有することにより、床面に合った床ノズルが装着されているか(絨毯目検出手段ローラの昇降状態が正常か)を判断して、間違った床ノズルが装着されている時は警告を発して交換を促すことができるものである。
【0067】
また、本発明の第2の課題解決手段により、絨毯目検出手段のローラを上昇させる昇降レバーと、昇降レバーを上方に付勢する昇降レバー弾性体とを有し、絨毯用床ノズル装着時に、床ノズルに設けた当接突起が昇降レバーに当接して動作させることにより、絨毯用床ノズル装着時にのみローラを下降・接地させ、それ以外の時は、床ノズル未装着の状態であっても、ローラを上昇状態で保持できるので、床ノズル交換時やメインテナンス時に床ノズルをはずした状態で、絨毯目検出手段のローラを上昇させずに非清掃移動したり、ベアフロア床面清掃時のローラの上昇し忘れを無くすことができ、確実に、敷居等の段差や突起への衝突を回避して、ローラ接地面の摩耗・傷つきによる検知感度の低下や、床面の傷つきを防止できるものである。また、絨毯目検出手段のローラが上昇時の、絨毯目による影響とは全く関係ない出力を遮断することができ、誤って出力を取り込んで走行制御にフィードバックしてしまい、所定の清掃走行を行えずに本体が転落・衝突等の危険がある方向に走行してしまうのを防ぐことができるものである。また、床面が絨毯かベアフロアかを判別でき、この出力とローラ上昇検出手段との出力を比較して警告を発する警告手段を有することにより、床面に合った床ノズルが装着されているか(絨毯目検出手段ローラの昇降状態が正常か)を判断して、間違った床ノズルが装着されている時は警告を発して交換を促すことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1〜第2の課題解決手段の実施例を示す自走式掃除機の断面図
【図2】 図1のA−A断面図
【図3】 本発明の第1〜第2の課題解決手段の実施例を示す自走式掃除機の絨毯目検出手段の断面図
【図4】 同自走式掃除機の昇降板とレバーの連接を説明する説明図
【図5】 本発明の第1の課題解決手段の実施例を示す自走式掃除機の昇降板と昇降レバーの関係を説明する説明図
【図6】 本発明の第2の課題解決手段の実施例を示す自走式掃除機の昇降板と昇降レバーの関係を説明する説明図
【図7】 本発明の第1・第2の課題解決手段の実施例を示す自走式掃除機の制御ブロック図
【図8】 本発明の第2の課題解決手段の実施例を示す自走式掃除機の床ノズル位置検出手段を説明する説明図
【図9】 従来の自走式掃除機の絨毯目検出手段の一部破断側面図
【図10】 同自走式掃除機の昇降手段を説明する説明図
【符号の説明】
1 本体
2 駆動輪
3 駆動モータ
9 従輪
18 床ノズル
21 走行制御手段
24 絨毯目検出手段
37 昇降板
42 レバー
43 ローラ
56 昇降レバー
59 当接突起
60 昇降レバー弾性体
70 ローラ上昇検出手段
71 発光手段
72 受光手段
73 受光手段
74 判別手段
Claims (2)
- 本体を移動させる駆動手段と、本体を操舵する操舵手段と、前記駆動手段と操舵手段とを制御し本体の走行制御を行う走行制御手段と、床面に接地して回転するローラにより本体の走行中に床面の絨毯目の方向と強さを検出する絨毯目検出手段と、床面の清掃を行い本体に着脱自在なベアフロア用床ノズルと絨毯用床ノズルとを具備し、前記絨毯目検出手段は、ローラを回転自在に支持し鉛直方向に回動してローラを床面方向に付勢するレバーと、レバーと連接してレバーを上方へ押し上げる昇降レバーと、レバーの上昇を検出するローラ上昇検出手段と、ベアフロア用床ノズルまたは絨毯用床ノズルの床面からの高さを検出する床ノズル位置検出手段と、前記ローラ上昇検出手段と床ノズル位置検出手段との出力を比較し、ローラ上昇検出手段によりレバーの上昇が検知されておらず、且つ床ノズル位置検出手段により検出されたノズルと床面の高さが、床面がベアフロアである場合に相当する高さであるときに、警告を発する警告手段とを有し、前記ベアフロア用床ノズルの装着に連動して、前記昇降レバーを上昇させる自走式掃除機。
- 本体を移動させる駆動手段と、本体を操舵する操舵手段と、前記駆動手段と操舵手段とを制御し本体の走行制御を行う走行制御手段と、床面に接地して回転するローラにより本体の走行中に床面の絨毯目の方向と強さを検出する絨毯目検出手段と、床面の清掃を行い本体に着脱自在なベアフロア用床ノズルと絨毯用床ノズルとを具備し、前記絨毯目検出手段は、ローラを回転自在に支持し鉛直方向に回動してローラを床面方向に付勢するレバーと、レバーと連接してレバーを上方へ押し上げる昇降レバーと、昇降レバーを上方に付勢する昇降レバー弾性体と、レバーの上昇を検出するローラ上昇検出手段と、ベアフロア用床ノズルまたは絨毯用床ノズルの床面からの高さを検出する床ノズル位置検出手段と、前記ローラ上昇検出手段と床ノズル位置検出手段との出力を比較し、ローラ上昇検出手段によりレバーの上昇が検知されていて、且つ床ノズル位置検出手段により検出されたノズルと床面の高さが、床面が絨毯である場合に相当する高さであるときに、警告を発する警告手段とを有し、前記絨毯用床ノズルの装着に連動して、前記昇降レバーを下降させる自走式掃除機。
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