JP3735671B2 - 溶射皮膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低い熱伝導性を有する溶射皮膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジェットエンジン等の金属部材を高温の燃焼ガスから保護するための遮熱コーティングを形成する方法として、カルシア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア等の低熱伝導率のセラミックス原料を用いて溶射法によって皮膜を形成する方法が知られている(例えば、下記非特許文献1参照)。
【0003】
この様な方法で形成されるセラミックス皮膜は、基本的に単一材料で構成されており、遮熱能力を高めるには、より低熱伝導の材料を使用する方法や皮膜を厚くする方法等が考えられる。
【0004】
低熱伝導材料については、高温での安定性と基材との適合性を同時に満足する必要があり、多くの研究者により精力的に材料探索が進められているが、現在の材料より優れた性能を有する決め手となる材料は未だ開発されていない。
【0005】
また、皮膜を厚くする方法に関しては、膜が厚くなるに従って基材との熱膨張率差により生じる残留応力が急激に増大し、剥離しやすくなるため、その厚さには自ずと限界がある。さらに、残留応力を低減するために、基材の金属からセラミックへと次第に組成を漸変させていく傾斜機能材料という概念が提案され、応力緩和に有効であることが示されている(例えば、下記非特許文献2参照)。しかしながら、この様な傾斜機能材料には、セラミックス相だけではなく、金属相が加えられており、その結果、熱伝導率が高くなって厚さの割には充分な遮熱効果が得られない。しかも、金属相の酸化が生じる等のため高温への適用には限界がある。
【0006】
ところで、セラミックス材料では、主に結晶格子の振動(フォノン)により熱が伝わるため、薄膜や超格子構造を作ってフォノンの平均自由行程を短くすれば、熱伝導率が低くなることが知られている(例えば、下記非特許文献3参照)。このような構造を作る方法としては、モレキュラービームエピタキシー等の方法が知られているが、この方法は、膜生成速度が極めて遅く、遮熱コーティングのような充分な膜厚が必要な用途への適用は事実上不可能である。しかも、人工的に作られた準安定な構造のため、高温でその構造を保持し続けることはできないと考えられる。
【0007】
【非特許文献1】
原田 良夫:「発電用高温ガスタービンにおける溶射の適用動向」,溶射技術,22(2), 20-29 (2002).
【0008】
【非特許文献2】
大木 基史:「傾斜組成遮熱コーティング材の熱サイクル損傷特性」,溶射技術,22(2), 45-58 (2002).
【0009】
【非特許文献3】
宇野良清,津屋 昇,森田 章,山下次郎 共訳:「第5版キッテル固体物理学入門上」,丸善,1978, pp.132-141
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した如き従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、遮熱コーティング等の用途に有用な低い熱伝導性を有する材料を十分に速い速度で形成できる方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、互いに固溶しない2種類以上のセラミックス微細粉末の造粒物を原料として用い、溶射法によって基材上に皮膜を形成する方法によれば、非常に微細な結晶粒子が分散したセラミックス複合皮膜を十分に速い速度で形成することができ、得られる皮膜は遮熱コーティング等の用途に適した優れた遮熱性を有することを見出した。
【0012】
即ち、本発明は、下記の溶射皮膜の形成方法を提供するものである。
1. 平均粒径が1μm以下で互いに固溶しない2種類以上のセラミックス微粉末を造粒して、平均粒径が10〜100μmの顆粒状物からなる溶射材料を形成する工程と、該溶射材料を溶射法により基材上に溶射し、複数種の平均粒径が300nm以下である微細結晶を内部に有する皮膜を形成する工程とを含む溶射皮膜の形成方法。
2. 上記セラミックス粉末の少なくとも一種類が酸化物セラミックスである溶射皮膜の形成方法。
3. 上記溶射法が、プラズマ溶射法、ガス燃焼フレーム溶射法、高速フレーム溶射法、爆発溶射法又は線爆溶射法である溶射皮膜の形成方法。
4. 上記溶射皮膜が、遮熱コーティングである溶射皮膜の形成方法。
5. 上記溶射皮膜を基材から分離する工程をさらに含む溶射皮膜の形成方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明方法では、溶射材料としては、互いに固溶しない2種類以上のセラミックス微粉末の造粒物を用いる。
【0014】
セラミックス微粉末としては、アルミナ,ジルコニア,チタニア,マグネシア,イットリアなどの単一金属酸化物、スピネル,ムライト,ジルコンなどの複金属酸化物、硼珪酸ガラス,石英ガラスなどの酸化物系ガラスを用いることができる。また、単一金属酸化物であって、溶射後、反応により、Al2TiO5、3Y2O3・5Al2O3等の複金属酸化物を生成する材料系も利用可能である。さらに、炭化クロム,炭化タングステン,硼化ジルコニウム,硼化チタンなどの非酸化物セラミックスも用いることができる。本発明では、この様なセラミックス微粉末から、互いに固溶しない2種類以上の材料を選択して用いる。互いに固溶しないセラミックス材料を用いることにより、溶射法によって、複数種の非常に微細な結晶粒子が分散した皮膜を形成することができる。
【0015】
特に、セラミックス微粉末の内で、少なくとも一種が酸化物セラミックスである場合には、形成されるセラミックス複合材料が優れた遮熱性を有するものとなる。
【0016】
尚、本発明では、原料として用いる互いに固溶しない2種類以上のセラミックス微粉末については、相互に完全に固溶しないことが必要ではなく、溶射後に形成される溶射皮膜において、複数種の微細結晶が形成されればよく、このような複数種の微細結晶が形成される範囲内であれば、各結晶中において他の元素が少量固溶しても良い。
【0017】
本発明における好ましいセラミックス微粉末の組合せとして、例えば、Al2O3とZrO2の組合せ、Al2O3とSnO2の組合せ、ZrO2とMgOの組合せ、ZrO2とThO2の組合せなど、共晶系の酸化物の組合せを挙げることができる。
【0018】
上記したセラミックス微粉末は、平均粒径が1μm程度以下であることが好ましい。この様な微粉末を用いることにより、溶射中に短時間で溶融して容易に均質な液相を形成できる。セラミックス微粉末は、必要に応じて、ジェットミル、ビーズミルなどを用いて粒径1μm程度以下となるように微粉砕すればよい。尚、本願明細書では、平均粒子径は、レーザービーム回折法によって求めた値である。
【0019】
本発明では、互いに固溶しない2種類以上のセラミックス粉末を造粒して顆粒状粉末とし、これを溶射材料として用いることが必要である。造粒した顆粒状粉末を溶射材料とすることによって、溶射の際に造粒粉が全体として溶融液滴となり、液相の粘性が高い場合であっても均質な組成の液滴を形成することができる。
【0020】
セラミックス微粉末を造粒して顆粒状粉末を作製する方法としては、例えば、スプレードライ法、転造造粒法、流動床造粒法等各種の公知方法を適用できる。顆粒状粉末の平均粒径は、10〜100μm程度であることが好ましい。この範囲の粒径の顆粒状粉末を用いることにより、取り扱いが容易となり、しかも均質な溶融液滴を形成できる。
【0021】
造粒して得られる顆粒状粉末は、結合強度が低い場合には、必要に応じて熱処理を行って焼結させても良い。これにより、溶射時に、溶融液滴が形成される前に造粒粉が崩壊することを抑制できる。この場合、焼結条件としては、造粒粉内の一次粒子同士が軽く焼結し、造粒粉同士は結合しない程度の条件を選べばよい。具体的な焼結条件については、粉末の種類に依存するので一概に規定できないが、例えば、アルミナ微粉末とジルコニア微粉末からなる造粒粉では、例えば、1000〜1200℃程度で30分程度加熱すればよい。
【0022】
溶射方法としては、基材上に溶射皮膜を形成できる方法であれば良い。具体的な方法については、特に限定的ではないが、例えば、プラズマ溶射法、ガス燃焼フレーム溶射法、高速フレーム溶射法、爆発溶射法、線爆溶射法などの公知方法を適用できる。これらの溶射法では、顆粒状の原料を溶融状態となるまで加熱して均質な液相状態とし、これを被覆対象物に吹き付けてその表面で凝固、堆積させることによって皮膜を形成できるので、CVD,PVD等の蒸着法と比べて高速で皮膜を形成できる。
【0023】
溶射時の雰囲気は、用いるセラミックス微粉末の種類、溶射方法、基材の種類などに応じて、不活性気体雰囲気(Ar,N2等)、大気雰囲気などとすることができる。例えば、セラミックス微粉末として、非酸化物系セラミックスを用いる場合には、溶射中に酸化されることを防止するためには、不活性気体雰囲気中で溶射を行えばよい。
【0024】
特に、溶射法としてはプラズマ溶射法が好ましい。プラズマ溶射法によれば、原料を直流アークプラズマジェット中に投入し、高温のプラズマの熱で瞬時に溶融することにより、短時間で顆粒状粉末全体を完全に溶融させて均質な溶融物を容易に形成できる。また、プラズマ溶射法では、溶融物を高速のガスジェットにより加速して被覆対象物に吹き付け、その表面で凝固・堆積させるので、非常に高速での成膜が可能である。
【0025】
溶射法によって溶融液滴を基材に吹き付けることにより、基材に衝突した液滴は、扁平に潰れるとともに基材に熱を奪われて瞬時に凝固する。この際、過冷却が生じると共に冷却速度が非常に大きいために、多数の結晶の核が生成し、ほとんど粒成長することなく凝固が完了する。本発明では、溶射材料として互いに固溶しない2種類以上のセラミックス微粉末を用いているため、形成される皮膜は、複数種の非常に微細な結晶粒子が分散したセラミックス複合材料となる。
【0026】
この際、非常に微細な結晶粒子が分散した溶射皮膜が形成されるように冷却速度を制御する。結晶粒子の粒径は、300nm程度以下であることが好ましく、50nm程度以下であることがより好ましく、10nm程度以下であることが更に好ましい。
【0027】
具体的な冷却速度については、材料組成や基材の種類によって異なるので、一概に規定できないが、冷却速度が速くなると微細結晶が析出することなくアモルファス相が形成され、冷却速度が遅くなると析出する結晶径が大きくなるので、目的とする大きさの微細結晶が形成されるように、材料組成などに応じて適切な冷却速度を決めればよい。この際、必要に応じて、水冷ジグの使用、圧縮空気吹き付け等により温度管理を行えばよい。
【0028】
上記した方法によって形成される溶射皮膜は、非常に低い熱伝導性を有する材料となる。この理由については、以下のように考えることができる。
【0029】
即ち、上記した方法で形成される溶射皮膜では、異種結晶粒界は、結晶の不整合が大きい場合には、フォノン(結晶格子の振動の量子)の散乱サイトとして働くと考えられる。
【0030】
熱伝導率λは、下記式
λ=ρ・Cp・α
(ここで、ρ:密度,Cp:比熱,α:熱拡散率)で表され、
熱拡散率αは、下記式
α=vs・lp/3
(ここで、vs:音速,lp:フォノンの平均自由行程)で表される。従って、結晶径を十分小さくすれば、異種結晶粒界でフォノンが散乱され、平均自由行程を短くすることが可能となる。本発明方法によれば、2種類以上の非常に微細な結晶粒子が分散した皮膜が形成されるために熱拡散率が小さくなり、その結果、熱伝導率も低下するものと考えられる。
【0031】
また、一般に、溶射皮膜の硬度及び耐摩耗性は、分散した粒子の径が小さい程向上すると考えられる。本発明方法によって形成されるセラミックス複合材料は、微細な結晶粒子が分散した構造であることによって、高強度で靭性にも優れた皮膜となる。
【0032】
溶射皮膜の支持体となる基材(被溶射体)としては、溶射が可能である限り特に限定されない。この様な基材としては、公知の被溶射体である金属、セラミックスなどが例示される。また、冷却操作を必要とするが、プラスチック、布帛、紙などを支持体として使用することも可能である。
【0033】
被溶射体の具体的形状については、特に限定されず、用途に応じて種々の形態とすることができる。例えば、高温で使用されるタービン用部品、ジェットエンジン用部品などの表面に遮熱コーティングとして形成することができる。
【0034】
また、本発明による複合材料は、平板基材上に堆積された溶射層を基材から分離することにより、板状又はシート状材料として形成することもできる。或いは、所定形状の部品に対応する形状を有する型内にセラミックス材料を溶射した後、溶射層を型から分離することにより、所望の形態の部品を得ることもできる。
【0035】
上記した各種基材に溶射皮膜を形成する際には、基材が金属材料である場合には、必要に応じて、基材表面にブラスト加工などの前処理を施すことができる。
【0036】
更に、金属基材と溶射皮膜との密着性を向上させるために、セラミックスの溶射皮膜を形成する前に、金属を溶射材料として用いて基材上に金属の溶射皮膜を形成しても良い。
【0037】
【発明の効果】
以上の通り、本発明では、溶射法を採用しているために、膜生成速度が非常に速く、厚膜を容易に形成でき、また、大面積の部材や複雑形状の部材にも適用可能である。しかも、得られる皮膜は遮熱性が良好であり、高強度で靭性にも優れた皮膜となる。
【0038】
従って、本発明によれば、例えば、タービン用部品、ジェットエンジン用部品等の比較的大きな複雑な形状の部品に対しても優れた性能を有する遮熱コーティングを容易に形成できる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0040】
実施例1
平均粒径0.16μmのアルミナ粉末と平均粒子径0.042μmのジルコニア粉末を体積比で50:50になるように混合し、さらに結合材としてポリビニルアルコール(PVA)を加え、水を分散媒として、ボールミル混合により均質なスラリーを作製した。このスラリーからスプレードライ法により平均2次粒子径約30μmの球状の造粒粉を製造した。
【0041】
この造粒粉を用いて、プラズマ溶射法により炭素鋼基材上にセラミックス皮膜を形成した。溶射条件は、下記表1に示す通りである。
【0042】
【表1】
Figure 0003735671
【0043】
得られた皮膜を剥離し、粉末X線回折法により測定したところ、結晶相としてm-ZrO2, t'-ZrO2, γ-Al2O3が生成しており、その結晶子サイズはそれぞれ、約6nm、5nm、8nmであった。この皮膜の厚さ方向の熱拡散率を、室温でレーザーフラッシュ法により測定した結果を下記表2に示す。
【0044】
実施例2
平均粒径0.16μmのアルミナ粉末と平均粒子径0.040μmの3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末を用いて、実施例1と同様の方法でプラズマ溶射法により皮膜を作製した。
【0045】
得られた皮膜は、結晶相としては、割合は異なるもののやはりm-ZrO2, t'-ZrO2, γ-Al2O3が生成しており、その結晶子サイズはそれぞれ、約6nm、6nmm、8nmであった。この皮膜の厚さ方向の熱拡散率を実施例1と同様にして測定した結果を下記表2に示す。
【0046】
比較例1
市販のプラズマ溶射用のアルミナ粉末(平均粒径 19.7μm)と8wt%イットリア安定化ジルコニア粉末(325〜140メッシュ)を体積比で50:50になるように単純に混合し、この粉末をプラズマ溶射してセラミックス複合皮膜を形成した。 得られた皮膜は、t'-ZrO2の扁平に潰れた粒子と γ-Al2O3の扁平に潰れた粒子の積層からなっており、潰れた粒子の厚さは1〜3μmであった。この皮膜の厚さ方向の熱拡散率を実施例1と同様にして測定した結果を下記表2に示す。
【0047】
Figure 0003735671
以上の結果から明らかなように、実施例1及び実施例2では、比較例1とアルミナとジルコニアの含有率が同じであるにもかかわらず、熱拡散率はほぼ半分の値であった。これは、本発明方法によって、ナノサイズの結晶粒子が分散した皮膜が形成されたことによるものと考えられる。
【0048】
尚、比較例1の熱拡散率から熱伝導率を見積もると2 w/m・K程度である。この値はバルクのジルコニアセラミックスの熱伝導率とほぼ同じであり、熱伝導率が約30 w/m・Kのアルミナを50vol%も含んでいることを考えると、熱伝導を妨げるようにアルミナ−ジルコニア粒界が存在するため、非常に小さな値になっていると言える。実施例1及び2では、比較例1と比べて、熱拡散率がほぼ半分であることから、ナノサイズの粒子分散複合構造を形成することにより、極めて熱伝導の低い皮膜が形成されることが判る。

Claims (5)

  1. 平均粒径が1μm以下で互いに固溶しない2種類以上のセラミックス微粉末を造粒して、平均粒径が10〜100μmの顆粒状物からなる溶射材料を形成する工程と、該溶射材料を溶射法により基材上に溶射し、複数種の平均粒径が300nm以下である微細結晶を内部に有する皮膜を形成する工程とを含む溶射皮膜の形成方法。
  2. 上記セラミックス粉末の少なくとも一種類が酸化物セラミックスである請求項1に記載の溶射皮膜の形成方法。
  3. 上記溶射法が、プラズマ溶射法、ガス燃焼フレーム溶射法、高速フレーム溶射法、爆発溶射法又は線爆溶射法である請求項1〜2のいずれか1項に記載の溶射皮膜の形成方法。
  4. 上記溶射皮膜が、遮熱コーティングである請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶射皮膜の形成方法。
  5. 上記溶射皮膜を基材から分離する工程をさらに含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶射皮膜の形成方法。
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