JP7393166B2 - 溶射用粉末、溶射用スラリー及び遮熱性コーティングの製造方法 - Google Patents

溶射用粉末、溶射用スラリー及び遮熱性コーティングの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶射用粉末、それを含む溶射用スラリー、及びこれを用いた遮熱性コーティングの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、CMAS耐性を向上することができる遮熱性コーティングを形成するための溶射用粉末、溶射用スラリーおよびそれを用いた遮熱性コーティングの製造方法に関する。
ガスタービンエンジンの静翼、動翼、燃焼器の壁材等の高温下で使用される材料においては、耐熱性の部材を遮熱性の被膜で被覆して高温から保護することが行われている。また、このような材料においては、ガスタービンエンジンの空気の取入れに付随する、シリカ系鉱物(塵、砂、火山灰、滑走路屑など)の吸込みに由来するカルシア-マグネシア-アルミナ-シリケートの堆積物(CMAS)耐性が要求される。
CMAS耐性コーティングは溶射法によって形成されることが多い。溶射法は、物理的蒸着法や化学的蒸着法などとともに、実用化されている表面改質技術の一つである。溶射は、基材の寸法に制限がなく、広い面積の基材に対しても一様な溶射被膜を形成できること、被膜の形成速度が大きいこと、現場施工が容易であること、比較的容易に厚膜が形成できることなどの特徴を有するため、近年、各種の産業にその適用が拡大し、極めて重要なコーティング技術となっている。
特許文献1には、CMAS耐性遮熱性コーティング(TBC)層を備える物品であって、約50質量%~約90質量%のTBC組成物と、約10質量%~約50質量%のCMAS耐性組成物とを含む、物品が開示されており、CMAS耐性組成物としてアルミナ、シリカなどが例示されている。
特許文献2には、希土類ケイ酸塩系気密層の形成を目的とした、液体担体中に懸濁させた希土類ケイ酸塩及び1種以上の酸化物を含む焼結助剤を含む懸濁液からなる溶射原料が開示され、焼結助剤として約5nm~約3μm、約5nm~約100nm、約30nm~約70nmの外径を有するSiO2が開示されている。
特開2013-540887号公報 特開2015-172245号公報
しかしながら、これらの従来技術においては十分なCMAS耐性が得られない、あるいはCMAS耐性の向上により硬度またはヤング率が低下するなどの問題があった。本発明はCMAS耐性をより向上し、かつ硬度及びヤング率等の機械的特性にも優れた溶射被膜を形成するための溶射用粉末、それを含む溶射用スラリー、及びこれを用いた遮熱性コーティングの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、遮熱性コーティングのための溶射用粉末であって、SiO2と、SiO2以外の酸化物系材料とを含み、溶射用粉末中におけるSiO2の含有量が、1質量%~10質量%である溶射用粉末を提供する。
本発明の溶射用粉末を使用して、溶射膜を形成することにより、CMASの侵入を抑制し、CMAS耐性をより向上し、かつ硬度、ヤング率等の機械的特性が優れた遮熱性コーティングを形成することができる。
図1は、比較例の溶射被膜にCMAS侵入層が形成された際の断面走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。(a)はYbTaOからなる溶射被膜に形成されたCMAS侵入層、(b)は8YSZからなる溶射被膜に形成されたCMAS侵入層、(c)はYb2SiO5からなる溶射被膜に形成されたCMAS侵入層の断面顕微鏡写真を示す。
本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、以下の実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
本発明の一実施形態は、遮熱性コーティングのための溶射用粉末であって、SiO2粉末と、SiO2以外の酸化物系粉末とを含み、溶射用粉末中におけるSiO2の含有量が、1質量%~10質量%である溶射用粉末を提供する。
また、SiO2の含有量は1質量%~10質量%であるが、好ましくは3質量%~8質量%であるとよい。SiO2の含有量が1質量%未満ではCMAS耐性の向上の効果が現れず、10質量%を超えると、CMAS耐性の効果が飽和するのに対して溶射被膜の硬度、ヤング率などの機械的特性が低下する傾向に有り、遮熱性コーティングとしての実用性が低下する。
溶射粉末材料中にSiO2を1質量%~10質量%添加することによりCMAS耐性が向上する理由は必ずしも確定されているわけではないが、SiOを添加することによりコーティング被膜のCMASとの接触面における濡れ性が低下し、表面からCMASが侵入しにくくなることが一因と考えられる。また、溶射被膜中のSiO2粒子が蒸発することによりSiO2以外の酸化物の脱酸量が低下するためと考えられる。すなわち、従来の耐熱酸化物コーティングにおいては、CMASが付着すると酸化物の脱酸によりコーティング被膜中にCMASが浸入し、酸化物とCMASとの反応相が形成されていた。これに対し、SiOを添加することによりSiO2以外の耐熱酸化物の脱酸が低減し、さらにCMASとの接触面における濡れ性が低下するためCMASの侵入が低下できる。したがって、種々の耐熱酸化物にSiO2を1質量%~10質量%添加することによりCMAS耐性が向上することが期待できる。
得られた溶射用粉末中のSiO2粉末の粒子径は特に限定されるものではないが、体積基準の平均粒子径で0.001~2μm、好ましくは0.001~0.5μmであってよい。SiO粉末の体積基準の平均粒子径が小さく揮発しやすいほどSiO以外の酸化物粒子の脱酸素の量が低減し、CMAS の侵入がより低下する傾向にある。SiO粉末の体積基準の平均粒子径が2μmを超えるとSiO粉末が揮発しにくくなる傾向にある。また、SiO2粉末の体積基準の平均粒径はSiO2以外の酸化物系粉末の体積基準の平均粒子径より小さいか同程度であることが好ましい。SiO2粉末の体積基準の平均粒径はSiO2以外の酸化物系粉末の体積基準の平均粒子径より小さいほど、SiO以外の酸化物粒子の脱酸素の量が低減する傾向にあり、CMASの侵入がより低下するためである。
SiO2以外の酸化物系粉末としては、一般に耐熱材料に使用される酸化物粉末を使用することができる。例えば、Yb、Y、Sc、Lu、Dy、Er、Smなどの希土類元素や、Al、Ti、Ta、Zrなどの金属の酸化物や複合酸化物であってもよい。具体的には、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)等の金属酸化物、イットリア(Y2O3)安定化ジルコニア(YSZ)、イッテルビア酸化タンタル(YbTaO)、イッテルビア(Yb2O3)安定化ジルコニア(YbSZ)、イッテルビアシリカ(Yb2SiO、Yb2Si2O7)、ハフニアシリカ(HfSiO)、ジスプロシア(Dy2O3)安定化ジルコニア(DySZ)、エルビア(Er2O)安定化ジルコニア(ErSZ)、SmYbZr2O7であってもよい。イットリア安定化ジルコニアの中では、8質量%のイットリアで安定化されたジルコニア(8YSZ)や20質量%のイットリアで安定化されたジルコニア(20YSZ)であってもよい。
得られた溶射用粉末中のSiO2以外の酸化物粉末の粒子径は特に限定されるものではないが、体積基準の平均粒子径で1~5μm、好ましくは1.5~3μmであってよい。SiO2以外の酸化物粉末の体積基準の平均粒子径が1μm未満であると、得られる溶射被膜の遮熱性が要求される環境下での耐久性が低下する傾向にあり、5μmを超えると溶射被膜の遮熱性が要求される環境下でのCMAS侵入防止が低下する傾向にある。
本発明の溶射用粉末は、SiO2粉末とSiO2以外の酸化物粉末が単に混合されていてもよいが、両者が複合化されている複合粒子であってもよい。あるいは酸化物粒子にSiO2粒子が被覆された複合粒子であってもよい。複合粒子化、特に、酸化物粒子にSiO2粒子が被覆された複合粒子を形成することによって、酸化物粒子の脱酸素の量がより低下してCMAS侵入をより防止できることが期待できる。複合粒子の平均体積基準の平均粒子径は2~50μmであってよい。複合粒子の体積基準の平均平均粒子径が2μm未満であると得られる溶射被膜の遮熱性が要求される環境下での耐久性が低下する傾向にあり、50μmを超えると溶射被膜の遮熱性が要求される環境下でのCMAS侵入防止が低下する傾向にある。
SiO2粉末の体積基準の平均粒子径、SiO2以外の酸化物粉末の体積基準の平均粒子径及び複合粒子の体積基準の平均粒子径はレーザ回折法や気体吸着法により測定することができる。例えば、レーザ回折/散乱粒度測定器においてはMalvern Panalytical社のレーザ回折式粒度分布測定装置Mastersizer 3000などを使用することができる。
このような混合形態、複合粒子、被覆粒子を得るためには、SiO2粉末とSiO2以外の酸化物粉末を所定の割合で予め混合、造粒、焼結、粉砕、分級などの工程を得られる粒子形態に応じて適宜、選択して行えばよい。具体的には、造粒焼結法、焼結粉砕法、溶融粉砕法などによって製造することができる。
例えば、混合工程では、水およびアルコールの混合溶液などの溶媒に粉末粒子を分散させることによりスラリーを調整する。造粒する場合は調整されたスラリーを、噴霧造粒機などの造粒機を用いて液滴状造粒した後乾燥する。複合粒子を得るためには、SiO2粉末とSiO2以外の酸化物粉末を所定の割合で予め混合し、造粒すればよい。この際、SiO2粉末とSiO2以外の酸化物粉末の粒径を調整することによって、酸化物粒子にSiO2粒子が被覆された複合粒子とすることができる。焼結では、焼結温度、焼結助剤などを適切に管理することにより最適な機械的強度を得ることが望ましい。その後、粉砕、分級により所定の粒度に調整された溶射用粉末を得ることができる。
造粒焼結法とは、原料粒子を二次粒子の形態に造粒した後、焼結して、原料粒子同士を強固に結合(焼結)させる手法である。この造粒焼結法において、造粒は、例えば、乾式造粒あるいは湿式造粒等の造粒方法を利用して実施することができる。造粒方法としては、具体的には、例えば、転動造粒法、流動層造粒法、撹枠造粒法、破砕造粒法、溶融造粒法、噴霧造粒法、マイクロエマルション造粒法等が挙げられる。なかでも好適な造粒方法として、噴霧造粒法が挙げられる。
焼結粉砕法では、まず、複数の原料粉末を混合して圧縮成形することにより成形体が形成される。次に、その成形体が焼結されて焼結体が形成される。続いて、その焼結体が粉砕されて分級されることによって、目的の溶射用粉末が得られる。溶融粉砕法では、まず、複数の原料粉末を混合して加熱溶融した後に冷却することにより固化物(インゴット)が形成される。次に、その固化物が粉砕されて分級されることによって、目的の溶射用粉末が得られる。
被覆粒子を形成するためには、原料粒子を一次粒子が大きいコア粒子と、一次粒子が小さい微粒子に分け、これらを適宜ブレンドすることにより、コア粒子の表面に微粒子を静電引力や有機バインダーの接着力により付着させる。その後、焼結工程で粒子間の結合強度を高めることによって得ることができる。
上記方法によって製造された溶射用粉末を使用して各種の溶射法により溶射することで、各種の基材に溶射被膜を形成することができる。溶射方法は特に制限されないが、例えば、大気プラズマ溶射(APS:atmospheric plasma spraying)、サスペンションプラズマ溶射(SPS:suspension plasma spraying)、減圧プラズマ溶射(LPS:low pressure plasma spraying)、加圧プラズマ溶射(high pressure plasma spraying)等のプラズマ溶射法、酸素支燃型高速フレーム(HVOP:High Velocity Oxygen Flame)溶射法、ウォームスプレー溶射法および空気支燃型高速フレーム溶射法(HVAF : High Velocity Air flame)等の高速フレーム溶射等を好適に利用することができる。
上記の方法により製造された溶射用粉末は粉末の状態で溶射装置に供給することもできるし、スラリーの形態として溶射装置に供給してもよい。溶射材料がスラリー状の形態の場合、分散媒を用いて調製することができる。分散媒として、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、トルエン、ヘキサン、灯油等が挙げられる。スラリー状の溶射材料は、その他の添加剤、例えば分散剤、凝集剤、粘度調整剤等をさらに含有してもよい
溶射被膜形成の対象となる基材の種類は特に制限されない。例えば合金等の金属材料、単純セラミック材料、複合セラミック材料、セラミックスマトリックスコンポジット等が挙げられる。金属材料の具体例としては、鉄、ニッケル、コバルト等を含む合金が挙げられる。例えばステンレス鋼や、ニッケル基にモリブデン、クロム等を加えた合金であるハステロイ(ヘインズ社製)、ニッケル基に鉄、クロム、ニオブ、モリブデン等を加えた合金であるインコネル(スペシャルメタルズ社製)、コバルトを主成分とし、クロム、タングステン等を加えた合金であるステライト(デロロステライトグループ社製)、鉄にニッケル、マンガン、炭素等を加えた合金であるインバー等が挙げられる。また、セラミック系材料としては、ジルコニア、アルミナ等のモノシリックセラミックス、セラミックマトリックス複合材(CMC)等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
<溶射粉末材の調整>
表1に示される体積基準の平均粒子径を有する酸化物粉末(8YSZ、YbTaO、YbSiO5)とSiO2粉末の組合せからなる原材料粉末を表1に示される方法(粒子形態)により実施例1~8及び比較例1~5の溶射粉末材を調製した。得られた溶射粉末材の組成、平均粒子径は表1に示されるとおりである。本発明において平均粒子径は体積基準の粒子径を意味するが、平均粒子径はMalvern Panalytical社のレーザ回折式粒度分布測定装置Mastersizer 3000を使用して測定した。
<溶射被膜の形成>
上記方法により製造した実施例1~8および比較例1~5の溶射粉末材を使用して大気圧プラズマ溶射(APS)またはサスペンションプラズマ溶射(SPS)により多孔質ジルコニアア基材上に溶射被膜を形成した。APSおよびSPSの溶射方法、条件は以下のとおりである。
(1)APS(大気圧プラズマ溶射)
プラクスエア・サーフィス・テクノロジーズ社製のプラズマ溶射装置SG-100を使用した。プラズマ発生条件は、プラズマ作動ガスとして、圧力0.34MPaのアルゴンガスと圧力0.34MPaのヘリウムガスを用い、電圧37.0V、電流900Aの条件でプラズマを発生させた。溶射ガンの移動速度は24m/min、溶射距離は90mmとした。
プラズマ溶射装置への溶射粉末材の供給には、プラクスエア・サーフィス・テクノロジーズ社製の粉末供給機Model1264型を用いた。溶射粉末材をプラズマ溶射装置へ供給する速度は、20g/minとした。
(2)SPS(サスペンションプラズマ溶射)
プログレッシブサーフェイス社製のプラズマ溶射装置100HEを使用した。溶射用スラリーをプラズマ溶射装置に供給する供給装置には、プログレッシブサーフェイス社製のLiquifeederHE(商品名) SPS/SPPSフィードシステムを使用した。溶射条件は、以下の通りである。
アルゴンガスの流量:180NL/min
窒素ガスの流量 : 70NL/min
水素ガスの流量 : 70NL/min
プラズマ出力 :105kW
溶射距離 : 76mm
トラバース速度 :1500mm/s
溶射角度 : 90°
スラリー供給量 : 38mL/min
パス数 : 50パス
<溶射被膜の特性評価>
(1)硬度およびヤング率の測定
上記方法により形成された実施例1~8および比較例1~5の溶射被膜のビッカース硬度を株式会社島津製作所社製の微小硬度計HMV0001を使用して測定した結果を表1に示した。同様に、ヤング率をH.FISCHER社製の超微小押し込み硬さ試験機HM2000を使用して測定した結果を表1に示した。
Figure 0007393166000001
(2)CMAS侵入層厚み評価試験
上記方法により形成された実施例1~8および比較例1~5の溶射被膜上に0.5mmの厚さとなる様にCMAS試験粉体を堆積し、Ar雰囲気中で1300℃3時間保持した後、溶射被膜の断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いたエネルギー分散型X線分析(EDX)により評価することでCMAS侵入層の厚みを測定した結果を表1に示した。本評価では桜島で採取した火山灰を平均粒子径50μmに粉砕した粉末をCMAS試験粉体として使用した。CMAS試験粉体の主成分は酸化ケイ素、炭素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等であった。溶射被膜の断面電子顕微鏡写真は、図1(a)~(c)に示されるように、表面にCMAS侵入層が形成されている。なお、図1の(a)は比較例1、(b)は比較例2、(c)は比較例4により形成された溶射被膜を上記方法によりAr雰囲気中で1300℃3時間保持した後の断面電子顕微鏡写真を示している。溶射被膜の表面に結晶粒度が粗く表面が凹凸状のCMAS侵入組織が形成されていることが分かる。
表1に示されるように、実施例1は比較例1を比較すると、造粒焼結によるYbTaOのみからなる比較例1のAPS溶射被膜に対して5質量%のSiOが含有されることにより、実施例1では硬度及びヤング率が僅かに低下するもののCMAS侵入層の厚みが8.2μmから3.5μmに大幅に低下していることが分かる。同様に、実施例2、3、4及び5と比較例2を比較すると、同様に、実施例2、3、4では造粒焼結による8YSZのみからなる比較例2のAPS溶射被膜に対して、それぞれ1質量%、5質量%、8質量%及び10質量%のSiOが含有されるとことにより、SiO含有量の増加に伴い硬度及びヤング率が僅かに低下するもののCMAS侵入層の厚みが5.6μmからそれぞれ3.4μm、2.2μm、1.8μm、1.4μmとSiOの含有量と共に低下していることが分かる。これに対して、比較例3と実施例5を比較すると、比較例3はSiOの含有量が20質量%と高すぎるため、CMAS侵入層の厚みは実施例5の1.4μmと同等であったが、硬度及びヤング率が大幅に低下していることが分かる。次に、比較例4と実施例6を比較すると、造粒焼結によるYbSiOのみからなる比較例4のAPS溶射被膜に対して5質量%のSiOが含有されることにより、実施例6は比較例4と硬度及びヤング率がほぼ同等であるがCMAS侵入層の厚みが1.4μmから0.5μmに大幅に低下していることが分かる。さらに、比較例5と実施例7を比較すると、焼結粉砕による8YSZのみからなる比較例5のSPS溶射被膜に対して5質量%のSiOが含有されることにより、実施例7では硬度及びヤング率が僅かに低下するもののCMAS侵入層の厚みが1.4μmから0.5μmに大幅に低下していることが分かる。これに対して、実施例7と同様の組成であるが、粒子形態を8YSZにSiO微粒子を被覆した粒子形態にしてSPS溶射被膜を形成した実施例8では、実施例7に比較して硬度が僅かに低下し、ヤング率もやや低下したが、CMASの侵入層の厚みは1.2μmとさらに低下していることが分かる。

Claims (8)

  1. 遮熱性コーティングのための溶射用粉末であって、
    SiO2粒子とSiO2以外の酸化物粒子を含み、
    溶射用粉末中における前記SiO2粒子の含有量が1質量%~10質量%であり、
    前記SiO2以外の酸化物粒子は、イッテルビアシリカであることを特徴とする溶射用粉末。
  2. 前記SiO2の体積基準の平均粒子径は前記SiO2以外の酸化物粒子の体積基準の平均粒子径よりも小さい請求項1に記載の溶射用粉末。
  3. 前記SiO2以外の酸化物粒子の体積基準の平均粒子径が1~5μmであり、前記SiO2粒子の平均粒子径が0.001~2μmである請求項2記載の溶射用粉末。
  4. 前記SiO2以外の酸化物粒子と前記SiO2粒子とが複合化され複合粒子が形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の溶射用粉末。
  5. 前記複合粒子は前記SiO2以外の酸化物粒子の表面に前記SiO2粒子が被覆されている請求項4記載の溶射用粉末。
  6. 前記複合粒子の体積基準の平均粒子径が2~50μmである請求項4又は5に記載の溶射用粉末。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の溶射用粉末と、前記溶射用粉末が分散された分散媒とを含む溶射用スラリー。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の溶射用粉末又は請求項7に記載の溶射用スラリーを基材にプラズマ溶射し、形成することを特徴とする遮熱性コーティングの製造方法。
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