JP3735165B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油冷式のインバータ、DC−DCコンバータ等の電力変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インバータ、DC−DCコンバータ等の電力変換装置の電気的な構成として、主に変圧器本体と半導体素子とがあり、変圧器本体は入力用変圧器本体と出力用変圧器本体とからなる。これらは使用時に発熱を伴うために、冷却する必要がある。また、高電圧で使用する場合、電気的に絶縁する必要がある。図5は、従来の電力変換装置を示す縦断面図である。同図において、1はタンク、2はタンク1の側壁に設けた放熱器、3はタンク1に充填された絶縁油、4aは入力用変圧器本体、4bは出力用変圧器本体、5は半導体素子、61は半導体素子5を着脱自在に取付けられる素子用放熱器である。なお、制御装置及び電気的接続は省略している。
【0003】
この従来例においては、入力用変圧器本体4a,出力用変圧器本体4b,半導体素子5及び素子用放熱器61を絶縁油3に侵漬させているので、入力用変圧器本体4a,出力用変圧器本体4b及び半導体素子5は、絶縁油3の自然対流により冷却される。
【0004】
図6は、従来の電力変換装置の他の例を示す縦断面図である。同図において、1はタンク、2は放熱器、3は絶縁油、4aは入力用変圧器本体、4bは出力用変圧器本体、5半導体素子、61は素子用放熱器である。7はタンク1の側壁外部に取付けられ、半導体素子5及び素子用放熱器61をタンク1の外部で収容するための箱体のカバー、7c,7dはそれぞれ箱体7の下部及び上部に設けられた吸込口及び吐出口、8は箱体7内の上部に設けられた冷却ファンである。なお、制御装置及び電気的接続は省略している。
【0005】
この従来例においては、入力用変圧器本体4a及び出力用変圧器本体4bは絶縁油3の自然対流により冷却され、他方、半導体素子5は、冷却用ファン8で吸引される冷却風が吸込口7c、素子用放熱器61、吐出口7dを経て外部へ排出されることにより冷却される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示した従来の油冷式の電力変換装置では、半導体素子5が故障した場合、または定期的な点検を行う場合、タンク1の上部にネジ止めして取付けた図示しないカバーを取り外し、半導体素子5を油中から取り出さなければならないために、作業性が悪いという問題があった。
【0007】
そこで、従来の他の例として図6に示したように、変圧器本体に対して油冷式、半導体素子に対して強制風冷式の2つの方式を採用した電力変換装置が考えられるが、それぞれが別々に構成され、かつ冷却機能を有するようにしているために、冷却ファン8が必要となると共に、これを設置するための適当な大きさの空間容積が必要となり、装置が大型化し、かつ高価となる問題がある。さらに、冷却ファン8の寿命は入力用変圧器本体4a及び出力用変圧器本体4bと比べて著しく小さく、通常3〜5年であるために、定期的に取り替える必要があり、故障する前に点検しなければならないという問題がある。特に、屋外に設置した場合、冷却ファンの寿命がさらに短くなるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、半導体素子の故障時または点検時の繁雑な作業をなくし、しかも冷却ファンを用いなくても半導体素子の冷却を低下させることのない電力変換装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入力用変圧器本体と出力用変圧器本体と半導体素子とを具備し、半導体素子を素子用放熱器に装着した電力変換装置に係わるものである。
【0010】
請求項1に記載の発明は、入力用変圧器本体と出力用変圧器本体とが絶縁油を充填したタンクに収容され、素子用放熱器をタンク外に配置すると共に、素子用放熱器に油道を設け、タンクの上部及び下部と油道とをそれぞれ接続する上部通油管及び下部通油管を配設し、タンクの側壁外部に取付けられ、素子用放熱器を収容すると共に、半導体素子の故障時または点検時に開閉される扉を有するカバーを設けたものである。
【0011】
これにより、半導体素子が素子用放熱器に装着されたままで、共に気中に露出した状態となり、また素子用放熱器の油道をタンク内の油が流通することになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る電力変換装置の一実施形態を示す縦断面図であり、素子用放熱器を1つのタンク内の油を用いて冷却する例を示している。同図において、1はタンク、2は放熱器、3は絶縁油、4aは入力用変圧器本体、4bは出力用変圧器本体、5は半導体素子で、従来例を示す図5及び図6と同様である。6は例えば内部に油道6cを形成した素子用放熱器、10は上部通油管、11は下部通油管、14はタンク1の側壁外部に取付けられ、半導体素子5を装着した素子用放熱器6を収容する箱体状のカバーであり、図示しない扉を有している。この扉は、半導体素子5の故障時または点検時に開閉される。
【0013】
本実施形態は、カバー14内のタンク1の側壁の上部及び下部にそれぞれ穴1c1,1c2を設けて、この穴にそれぞれ上部通油管10及び下部通油管11を溶接等により取付ける。上部通油管10及び下部通油管11の他端には、図示しないフランジ取付けられており、上部通油管10及び下部通油管11は、それぞれ素子用放熱器6の油道出口6c1及び油道入口6c2にフランジ結合され、タンク1と素子用放熱器6とが連結される。
【0014】
図2は本発明に適用する素子用放熱器の概略構成図である。素子用放熱器6はアルミまたは銅等からなり、半導体素子5を搭載して吸熱する吸熱部6eが形成され、また放熱部となる油道6cが例えば上下方向に貫通するように形成されており、油道6cは油道出口6c1及び油道入口6c2を有している。
【0015】
本実施形態においては、半導体素子5が素子用放熱器6に装着されたままで、共に気中に露出した状態となるので、半導体素子5の故障時または点検時の繁雑な作業が不要となり、半導体素子5を着脱する作業のみとなる。また、半導体素子5で発生した熱は、素子用放熱器6を介して油道6内の油に伝わり、暖められた油は油道出口6c1を出て上部通油管10内を上昇し、タンク1の上部に設けた穴1c1を通してタンク1に流れ込む。半導体素子5で暖められた油は、入力用変圧器本体4a及び出力用変圧器本体4bで発生した熱により暖められた油と共に放熱器2で冷却されながら放熱器2内を下方へ移動し、タンク1の下部からタンク1内に流れ込む。冷却された油の一部は、タンク1の下部に設けた穴1c2を出て、下部通油管11内を上昇し、油道入口6c2から油道6に流れ込む。このように油が自然対流するので、半導体素子5は従来と同様に冷却される。
【0016】
図3は本発明に係る電力変換装置の他の実施形態を示す縦断面図であり、素子用放熱器を2つのタンク内の油を用いて冷却する例を示している。同図において、2は放熱器、3は絶縁油、5は半導体素子で、従来例を示す図5及び図6と同様である。1aは第1のタンク、1bは第2のタンク、4aは第1のタンク1aに収容された入力用変圧器本体、4bは第2のタンク1bに収容された出力用変圧器本体、6は例えば内部に油道6c,6dを形成した素子用放熱器、10,12は上部通油管、11,13は下部通油管、14は両タンク1a,1b間の側壁外部に取付けられ、半導体素子5を装着した素子用放熱器6を収容する箱体状の共通カバーであり、図示しない扉を有している。この扉は、半導体素子5の故障時または点検時に開閉される。
【0017】
本実施形態は、カバー14内の第1のタンク1aの側壁の上部及び下部にそれぞれ穴1c1,1c2を設けて、この穴にそれぞれ上部通油管10及び下部通油管11を溶接等により取付ける。上部通油管10及び下部通油管11の他端には、図示しないフランジ取付けられており、上部通油管10及び下部通油管11は、それぞれ素子用放熱器6の油道出口6c1及び油道入口6c2にフランジ結合され、第1のタンク1aと素子用放熱器6とが連結される。
【0018】
また同様に、カバー14内の第2のタンク1bの側壁の上部及び下部にそれぞれ穴1d1,1d2を設けて、この穴にそれぞれ上部通油管12及び下部通油管13を溶接等により取付ける。上部通油管12及び下部通油管13の他端には、図示しないフランジ取付けられており、上部通油管12及び下部通油管13は、それぞれ素子用放熱器6の油道出口6d1及び油道入口6d2にフランジ結合され、第2のタンク1bと素子用放熱器6とが連結される。
【0019】
図4は本発明に適用する他の素子用放熱器の概略構成図である。半導体素子5を搭載して吸熱する吸熱部6eが形成され、また放熱部となる油道6c,6dが例えば上下方向に貫通するように形成されており、油道6cは油道出口6c1及び油道入口6c2を、油道6dは油道出口6d1及び油道入口6d2を有している。
【0020】
本実施形態においては、半導体素子5で発生した熱は、素子用放熱器6を介して油道6c内の油に伝わり、暖められた油は油道出口6c1を出て上部通油管10内を上昇し、タンク1aの上部に設けた穴1c1を通してタンク1に流れ込む。半導体素子5で暖められた油は、入力用変圧器本体4aで発生した熱により暖められた油と共に放熱器2で冷却されながら放熱器2内を下方へ移動し、タンク1aの下部からタンク1a内に流れ込む。冷却された油の一部は、タンク1aの下部に設けた穴1c2を出て、下部通油管11内を上昇し、油道入口6c2から油道6cに流れ込む。このように油が自然対流するので、半導体素子5は冷却される。
【0021】
また同様に、半導体素子5で発生した熱は、素子用放熱器6を介して油道6d内の油に伝わり、暖められた油は油道出口6d1を出て上部通油管12内を上昇し、タンク1bの上部に設けた穴1d1を通してタンク1bに流れ込む。半導体素子5で暖められた油は、出力用変圧器本体4bで発生した熱により暖められた油と共に放熱器2で冷却されながら放熱器2内を下方へ移動し、タンク1bの下部からタンク1b内に流れ込む。冷却された油の一部は、タンク1bの下部に設けた穴1d2を出て、下部通油管13内を上昇し、油道入口6d2から油道6dに流れ込む。
【0022】
上記の素子用放熱器6は両タンク1a,1b間に設けたが、両タンクを近接させて、両タンクの側壁に亘るようにカバー14を取付け、このカバー内に素子用放熱器を設けてもよく、この場合、小形化がより図られる。
【0023】
上記の各実施形態で用いる素子用放熱器6は、外部にフィンを設けてもよく、油道6c,6dにフィンを設けてもよく、また油道6cをハニカム状にしてもよい。さらに、内部に油道を形成する代わりに、アルミまたは銅等からなる通油管状の油道を外部に取付けてもよい。また、油道の数を多くしてもよく、この場合、一対の上部通油管及び下部通油管の数は、油道の数に対応させる。このようにすると、冷却効率を高めることができる。また、放熱器2の構造、寸法、数は、冷却程度に応じて最適に設計されている。さらに、従来例で用いた冷却ファンよりも寿命が遥かに長い送油ポンプを用いて強制冷却してもよい。
【0024】
上記の各実施形態で用いる半導体素子5は、IGBTと称されるもので、その内部と金属製の放熱部とは電気的に絶縁されるように、モジュール化されている。この半導体素子5を、タンク1または1a,1bと導通状態にある素子用放熱器6の吸熱部6eに直接取付けても、何ら問題は生じない。
【0025】
上記の半導体素子5は、IGBTに限定されるものではなく、内部と電気的に絶縁されていない素子を用いてもよく、この場合は、上部通油管及び下部通油管10,11,12,13を絶縁性のものにすればよい。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、半導体素子の故障時または点検時の繁雑な作業が不要となり、また装置の大型化が防止でき、かつ高価となることが防止できる。さらに、半導体素子の冷却を低下させることなく、冷却ファンを不要にすることができる。また、冷却ファンを用いないので、冷却ファンの点検作業が不要となり、しかも屋外に設置しても長寿命化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電力変換装置の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明に適用する素子用放熱器の概略構成図である。
【図3】本発明に係る電力変換装置の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図4】本発明に適用する他の素子用放熱器の概略構成図である。
【図5】従来の電力変換装置を示す縦断面図である。
【図6】従来の電力変換装置の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1,1a,1b タンク
3 絶縁油
4a 入力用変圧器本体
4b 出力用変圧器本体
5 半導体素子
6 素子用放熱器
6c,6d 油道
10,12 上部通油管
11,13 下部通油管
Claims (1)
- 入力用変圧器本体と出力用変圧器本体と半導体素子とを具備し、前記半導体素子を素子用放熱器に装着した電力変換装置において、
前記入力用変圧器本体と出力用変圧器本体とが絶縁油を充填したタンクに収容され、
前記素子用放熱器を前記タンク外に配置すると共に、前記素子用放熱器に油道を設け、 前記タンクの上部及び下部と前記油道とをそれぞれ接続する上部通油管及び下部通油管を配設し、
前記タンクの側壁外部に取付けられ、前記素子用放熱器を収容すると共に、前記半導体素子の故障時または点検時に開閉される扉を有するカバーを設けた電力変換装置。
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JP24129696A JP3735165B2 (ja) | 1996-08-23 | 1996-08-23 | 電力変換装置 |
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Family Applications (1)
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JP24129696A Expired - Lifetime JP3735165B2 (ja) | 1996-08-23 | 1996-08-23 | 電力変換装置 |
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1996
- 1996-08-23 JP JP24129696A patent/JP3735165B2/ja not_active Expired - Lifetime
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