JP3734639B2 - 可変容量形アキシャルピストンモータの吸収量制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホイルショベル等の主として車両走行用に使用される可変容量形アキシャルピストンモータの速度を制御する吸収量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ホイルショベル等の走行用に可変容量形アキシャルピストンモータが使用されており、該モータの負荷圧が小さいときは、該モータの吸収量を小さくしてその速度(回転数)を上げるように吸収量制御装置により制御するのが一般的である。その具体的一例は図1及び図2に示す如くであり、可変容量形アキシャルピストンモータaの出力軸vと一体のシリンダブロックbに、該モータaのケーシングcに形成したボアd内を摺動し且つ該モータの作動回路圧が作用する大径と小径の受圧面e、fを備えた該シリンダブロックbの吸収量を調整するコントロールピストンgを連結する。
【0003】
該大径の受圧面eには、図3に示したように、導入回路hを介して該作動回路圧を導くようにし、該導入回路hには、該作動回路圧が作用した制御面iを有するスプールjを備えたサーボ弁kを設け、該スプールjに、調整可能な調整スプリングlの力と、該大径の受圧面と対向して該ピストンに設けたフィードバックスプリングmの力とを同方向に作用させ、該サーボ弁kにより該導入回路hへの作動回路圧の導入と該導入回路hのタンクsへの接続を制御する。該コントロールピストンgは、該大径の受圧面と対向して設けたプランジャーからなる移動制御手段nにより、その大径の受圧面方向の移動距離が制限される。
【0004】
該モータaは、カウンタバランス弁qを介在させた作動回路o、pを介して走行用エンジンで回転される可変容量形油圧ポンプ(図示してない)に接続され、該作動回路圧は、該作動回路o、p間に設けたシャトル弁rから抽出回路tを介して抽出される。
【0005】
該作動回路oに該油圧ポンプから流体が供給されると、該カウンタバランス弁qは位置Iに切り換わる。この場合、シャトル弁rから抽出される作動回路圧が大きいと、該サーボ弁kのスプールjがその制御面iに作用する作動回路圧によりフィードバックスプリングmをたわめて移動し、作動回路圧が導入回路hを介して大径の受圧面eに導入されるため、該コントロールピストンgが該シリンダブロックbの吸収量を増大させるように移動する。その結果、該モータaは低速で回転する。該ピストンgは、制御面iに発生する力と該大径の受圧面eに発生する力とが釣り合った位置でその移動が停止する。
【0006】
また、抽出された作動回路圧が小さいと、該スプールjは調整スプリングlの力に押されて図示の位置へ移動し、該導入回路hがタンクsに接続されるために大径の受圧面eに発生する力がなくなり、該コントロールピストンgはフィードバックスプリングmの力に押されて該シリンダブロックbの吸収量を小さくするように移動する。
【0007】
該モータaが車両走行用に使用されている場合、作動回路圧の大きい車両の起動時には、上記の吸収量制御装置の制御作動により該モータaの出力軸vが低速大トルクで回転し、車両が加速されて作動回路圧が小さくなると、該モータaは高速低トルクで回転するから、加速状態に応じて自動的に車速を制御できる。通常、該出力軸vは減速機wを介して走行装置に連結される。更に、走行制御として、加速時に影響を与えないで減速時にエンジンブレーキを利きやすくすることが好ましく、そのために、該コントロールピストンgの大径の受圧面eに適当な間隔を存して対向したピストンからなるリターダ用ストロークリミッタuを設け、該リミッタuにカウンタ圧力回路xからのカウンタ圧力を作用させて該モータaの吸収量を増やしている。該カウンタ圧力には、減速によって作動回路に発生する圧力が利用され、図示の例では該モータaの流出側の作動回路pとカウンタバランス弁qの間に発生する圧力が利用される。また、該減速機wの減速比が大きいとき(1速時)に該リミッタuが作動すると、エンジンブレーキが利きすぎて車両の減速時のショックが大きいので、減速比が小さいとき(2速時)だけ該リミッタuが作動するように、該カウンタ圧力導入回路xに、減速比に応じて開閉する開閉弁yを介在させ、図4に示すような出力軸の回転特性を得ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
該モータaの吸収量制御装置は、その回転の減速制御を行うために、コントロールピストンgにピストン状のリターダ用ストロークリミッタuを設けてカウンタ圧力を受けているが、該リミッタuやこれを収めるケースが必要で部品点数が多く組立も煩雑でコスト高になる欠点がある。また、該リミッタuは、該コントロールピストンgにストロークを確実に与えるための長さとカウンタ圧力に耐え得る丈夫さが必要であって比較的大型になるため、ケーシングcの一側から突出してしまう。該モータaは、その出力軸vを水平にしてホイルショベルなどの車両の底部に取り付けるのが一般的であり、地面と接近しているから不整地などの突起に衝突しやすく、突出した該リミッタuが損傷すると車両の走行に支障をきたして好ましくない。
【0009】
本発明は、部品点数が少なく構成が簡単でケーシングからの突出がなく破損しにくい可変容量形アキシャルピストンモータの吸収量制御装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、可変容量形アキシャルピストンモータのシリンダブロックに、該モータのケーシングに形成したボア内を摺動し且つ該モータの作動回路圧が作用する大径と小径の受圧面を備えた該シリンダブロックの吸収量を調整するコントロールピストンを連結し、該大径の受圧面へ該作動回路圧を導く導入回路に、該作動回路圧が作用した制御面を有するスプールを備えたサーボ弁を設け、該制御面に発生する力と対向させて、調整可能な調整スプリングの力と、該大径の受圧面と対向して該ピストンに設けたフィードバックスプリングの力とを該スプールに作用させ、該サーボ弁により該導入回路への作動回路圧の導入と該導入回路のタンクへの接続を制御し、該コントロールピストンの大径の受圧面方向の移動距離を制御する移動制御手段を設けた吸収量制御装置に於いて、該コントロールピストンの大径の受圧面を形成した大径端部の周面に環状の凹溝を設け、該コントロールピストンのボアに連続し且つ該大径端部が出没して該凹溝が開閉される制御室を形成し、該モータのカウンタ圧力をチェック弁と第1絞り及び該第1絞りよりも充分小さい第2絞りを介してタンクへ導くカウンタ圧力導入回路を設けて該第1、第2絞りの中間の圧力を該凹溝に導入し、該コントロールピストンが該アキシャルピストンモータの吸収量を増大する該小径の受圧面方向へ移動してその吸収量が最大と最小の中間まで移動すると該凹溝と該制御室の接続が遮断されることにより、上記の目的を達成するようにした。該カウンタ圧力の抽出点から該凹溝へのカウンタ圧力導入回路に開閉弁を設けることが有利である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づき説明すると、図5及び図6に於いて、符号1は可変容量形アキシャルピストンモータを示し、該モータ1は、ケーシング2を内外に延びる出力軸3の一端に設けた駆動板4と、該駆動板4に頭部を嵌着した複数本のピストン5が出没するシリンダブロック6と、該シリンダブロック6を出力軸3に対して傾斜させるためのコントロールピストン7と、該ケーシング2の内面に形成した円弧状凹溝8に沿って摺動自在で且つシリンダブロック6の後端に接したレンズ状のコントロールプレート9とを備え、該ピストン7と該プレート9はピン10により互いに連結され、該ピストン7がケーシング2の内部を移動することにより該出力軸3とシリンダブロック6との角度すなわち傾転角が変更される。該傾転角の変更でシリンダブロック6の吸収量すなわち該モータ1の吸収量が変更される。
【0012】
該シリンダブロック6には、図7に示したように、車両のエンジン11で駆動された可変容量形油圧ポンプ12から、カウンタバランス弁15や方向制御弁、リリーフ弁その他の制御機器を備えた作動回路13、14に接続したコントロールプレート9の2つのポート(図示してない)の一方を介して作動流体が供給される。該ピストン5は、作動流体の圧力でシリンダブロック6から押し出されて出力軸3を回転させ、仕事の終えた作動流体はもう一方のポートから作動回路14を介してタンク16へと戻る。
【0013】
該コントロールピストン7は、シャトル弁37を介して抽出された該モータ1の作動回路圧が作用する大径の受圧面17と小径の受圧面18を備えており、該大径の受圧面17へ作動回路圧を導く導入回路19に、該作動回路圧が作用した制御面20を有するスプール21を備えたサーボ弁22を設け、該制御面20に発生する作動回路圧による力と対向させて、調整可能な調整スプリング35の力と、該ピストン7の大径の受圧面17と対向して設けたフィードバックスプリング23の力とを該スプール21に作用させ、該サーボ弁22の作動により該導入回路19へ作動回路圧を導入するか或いは該導入回路19をタンク回路36を介してタンク16へ接続するかの制御を行い、該コントロールピストン7及びシリンダブロック6の移動を制御し、該モータ1の吸収量が制御される。
【0014】
こうした構成は、従来の吸収量制御装置も備えるところであるが、本発明では、必要に応じて該吸収量を制御するために、該コントロールピストン7の大径の受圧面17を形成した大径端部24の周囲に環状の凹溝25を設け、該ピストン7が摺動するボア26に連続し且つ大径の受圧面17の断面積と同じ面積で該大径端部24が出没して該凹溝25が開閉される制御室27を形成した。そして、該モータ1のカウンタ圧力をチェック弁31、第1絞り28及び該第1絞りよりも充分に絞り面積の小さい第2絞り29を介してタンク16へ導くカウンタ圧力導入回路30を設け、該第1、第2絞り28、29の中間の圧力が該大径の受圧面17に作用するようにした。該コントロールピストン7が吸収量の減少方向へ移動し、該凹溝25と制御室27の間の接続が閉じられると、カウンタ圧力が該制御室27に入らなくなり、コントロールピストン7は停止する。
【0015】
該カウンタ圧力は、図7の作動回路13に油圧ポンプ12からの流体が供給される場合は、作動回路14にカウンタバランス弁15により発生するので、チェック弁31を介して該作動回路14から凹溝25へカウンタ圧力を導くようにした。該作動回路14のカウンタ圧力の抽出点から制御室27までのカウンタ圧力導入回路30に開閉弁32を介在させ、該モータ1の出力軸3が減速機33を介してホイール等の走行手段34に連結されている場合には、減速機33の減速比の選択に連動して該開閉弁32を開閉させることを可能にした。
【0016】
車両走行に適用した図示の実施例の作動を説明すると、該油圧ポンプ12から作動回路13に作動流体が供給された場合、油圧モータ1を回転させ作動回路14からタンク16へと作動流体が戻る。該油圧モータ1の回転は、減速機33を介して走行手段34に伝達され、車両が走行する。車両の起動時及び低速走行時には比較的大きな作動回路圧が作動回路13に発生し、その作動回路圧の作用によりサーボ弁22の制御面20に発生する力が、調整スプリング35の力よりも大きいと、スプール21が移動して導入回路19に作動回路圧を導入し、コントロールピストン7の大径の受圧面17に作動回路圧が作用する。該コントロールピストン7の小径の受圧面18にも作動回路圧が作用しており、両受圧面17、18の面積差により発生する推力で該コントロールピストン7がシリンダブロック6の吸収量を大きくするように移動する。これにより、該モータ1は車両の走行状態に応じた低速大トルクで回転する。サーボ弁22のスプール21は、該コントロールピストン7の移動を伝達するフィードバックスプリング23の力により釣合位置まで押し戻される。
【0017】
車両が加速されて作動回路圧が減少すると、該サーボ弁22のスプール21が調整スプリング35に押されて該導入回路19をタンク16へ接続するので、該大径の受圧面17にはタンク圧が作用するようになり、小径の受圧面18に作用する作動回路圧で該コントロールピストン7がシリンダブロック6の吸収量を小さくするように制御室27へ進入するように移動する。これにより該モータ1は高速低トルクで回転し、車速が速くなる。
【0018】
車両の減速機を2速(減速比小)にした場合は、該開閉弁32が開かれ、カウンタ圧力を該コントロールピストン7の凹溝25へ導くように準備される。この凹溝25が開いた状態にあるとき、アクセルペダルを離すと油圧ポンプ12からの流量が減少し、作動回路14の圧力が作動回路13よりも高まり、カウンタ圧力が発生する。該凹溝25が制御室25に開いているのでチェック弁31を介してカウンタ圧力が大径の受圧面17に作用するため、コントロールピストン7が吸収量を増大する方向に強制的に押され、該凹溝25と制御室27が閉じられる位置で停止し、吸収量が最大と最小の中間になり、該モータ1の吸収トルクが大きくなってエンジンブレーキが利きやすくなる。なお、絞り28は、絞り29よりも充分大きくし、コントロールピストン7を該モータ1の吸収量を大きくする方向に押すことを妨げないようにする。減速機を1速(減速比大)にした場合は、該開閉弁32を閉じておくことにより、チェック弁31からのカウンタ圧力が大径の受圧面17に導入されないので、強制的な吸収量の増大が行われず、低速時にエンジンブレーキが利き過ぎることによるショックの発生がない。該モータ1の吸収量とモータ入口圧力の関係は、図4に示した従来のものとほぼ同様になる。
【0019】
該コントロールピストン7の大径端部24の周囲に環状の凹溝25を形成し、カウンタ圧力導入回路30にチェック弁31と第1、第2絞り28、29を設ける構成は、従来の複雑な構造のピストン状のリターダ用ストロークリミッタを設ける構成に比べて簡単に製作でき、大径端部方向の装置の長さをケーシング2から突出しないように短くし得、該モータ1を車両の下部に取り付けても、吸収量制御装置が不整地に衝突して損傷する不都合が生じにくい。
【0020】
具体的一例において、大径端部24の直径を28mmに設定した場合、第1絞り28の直径を1.4mm、第2絞り29の直径を1mmに形成することにより、通常のエンジンブレーキ操作により発生する圧力の中間の圧力で該コントロールピストン7をそのストロークの中間の位置まで移動させることができ、吸収量を減少させ車速を増大させる作動にも支障がなかった。
【0021】
【発明の効果】
以上のように本発明によるときは、可変容量形アキシャルピストンモータの吸収量制御装置を構成するコントロールピストンの大径端部の周面に環状の凹溝を設け、該ピストンのボアに連続させ且つ該大径端部が出没して該凹溝が開閉される制御室を形成し、該モータのカウンタ圧力をタンクへ導くカウンタ圧力導入回路に設けた第1、第2絞りの中間の圧力を該凹溝に導入したので、小型で且つ部品点数の少ない簡単な構成で吸収量を最大と最小の中間とする位置に該ピストンを移動させることができ、該ピストンの移動を制御する構成部材を該モータのケーシング内に収めて外部への突出を避けれるから、該モータへの衝突による該制御装置の損傷を防げ、該制御装置の組立も容易で安価に製作できる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の可変容量形アキシャルピストンモータの吸収量制御装置の截断側面図
【図2】図1の左側面図
【図3】図1の吸収量制御装置を使用した制御回路の線図
【図4】吸収量とモータ入口圧力の関係図
【図5】本発明の実施の形態を示す截断側面図
【図6】図5の右側面図
【図7】図5の吸収量制御装置を使用した制御回路の線図
【符号の説明】
1 可変容量形アキシャルピストンポンプ、2 ケーシング、3 出力軸、5 ピストン、6 シリンダブロック、7 コントロールピストン、13・14 作動回路、16 タンク、17 大径の受圧面、18 小径の受圧面、19 導入回路、20 制御弁、21 スプール、22 サーボ弁、23 フィードバックスプリング、24 大径端部、25 凹溝、26 ボア、27 制御室、28 第1絞り、29 第2絞り、30 カウンタ圧力導入回路、31 チェック弁、32 開閉弁、35 調整スプリング、36 タンク回路、
Claims (2)
- 可変容量形アキシャルピストンモータのシリンダブロックに、該モータのケーシングに形成したボア内を摺動し且つ該モータの作動回路圧が作用する大径と小径の受圧面を備えた該シリンダブロックの吸収量を調整するコントロールピストンを連結し、該大径の受圧面へ該作動回路圧を導く導入回路に、該作動回路圧が作用した制御面を有するスプールを備えたサーボ弁を設け、該制御面に発生する力と対向させて、調整可能な調整スプリングの力と、該大径の受圧面と対向して該ピストンに設けたフィードバックスプリングの力とを該スプールに作用させ、該サーボ弁により該導入回路への作動回路圧の導入と該導入回路のタンクへの接続を制御し、該コントロールピストンの大径の受圧面方向の移動距離を制御する移動制御手段を設けた吸収量制御装置に於いて、該コントロールピストンの大径の受圧面を形成した大径端部の周面に環状の凹溝を設け、該コントロールピストンのボアに連続し且つ該大径端部が出没して該凹溝が開閉される制御室を形成し、該モータのカウンタ圧力をチェック弁と第1絞り及び該第1絞りよりも充分小さい第2絞りを介してタンクへ導くカウンタ圧力導入回路を設けて該第1、第2絞りの中間の圧力を該凹溝に導入し、該コントロールピストンが該アキシャルピストンモータの吸収量を増大する該小径の受圧面方向へ移動してその吸収量が最大と最小の中間まで移動すると該凹溝と該制御室の接続が遮断されることを特徴とする可変容量形アキシャルピストンモータの吸収量制御装置。
- 上記カウンタ圧力の抽出点から上記凹溝へのカウンタ圧力回路に開閉弁を設けたことを特徴とする請求項1に記載の可変容量形アキシャルピストンモータの吸収量制御装置。
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