JP3733185B2 - フッ素樹脂被覆方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性体上へのフッ素樹脂被覆方法及び、電子写真画像形成装置の定着装置に用いられる定着部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、弾性体上へのフッ素樹脂被覆方法としては、弾性体上にフッ素樹脂粉体及びフッ素樹脂分散液を塗装した後、加熱焼成する方法が用いられる。上記フッ素樹脂を加熱焼成する際には、フッ素樹脂の融点以上まで、フッ素樹脂を加熱し、焼成成膜する方法が取られている。
【0003】
また電子写真画像形成装置の定着部材として用いられる、定着部材としては、金属基材上に、弾性層を形成し、その外周面にトナー離型層としてのフッ素樹脂層を成膜したものが、多く用いられる。また最近では、耐熱性樹脂基材上に、弾性層を形成し、その外周面にトナー離型層としてのフッ素樹脂を成膜したものが用いられる場合もある。
【0004】
しかしながら、上記従来例のようなフッ素樹脂被覆方法には、次のような問題点がある。
【0005】
まず、弾性体上にフッ素樹脂を塗装し、加熱焼成する場合、フッ素樹脂の溶融粘度が極めて高い為、フッ素樹脂の融点よりかなり高い温度で加熱焼成しなくては、成膜したフッ素樹脂層の十分な平滑性が得られない。しかしながら、上記のようなフッ素樹脂焼成条件を実行した場合、弾性体自身の耐熱性が低いと、弾性体に極めて大きなダメージを与える結果となる。また、弾性体の熱劣化を防ぐ為にフッ素樹脂の加熱焼成成膜温度を下げたり、焼成成膜時間を短くしたりすると、フッ素樹脂層表面が充分に平滑に仕上がらず、悪くすると、フッ素樹脂が完全には成膜されず、表面にクラックや凹凸が生じ耐摩耗性の低下及びフッ素樹脂が元来持つ離型性の低下につながる。
【0006】
電子写真画像形成装置の定着部材として用いられる、定着部材としての、定着ローラ、定着フィルム、加圧ローラ等は、その使用上トナーの離型性が求められる為、表層にフッ素樹脂を用いることが多い。
【0007】
定着部材の中で、特にトナーと直接接触する定着ローラ及び定着フィルムにおいては、定着画像の光沢ムラを防ぐ為、表層フッ素樹脂の平滑性が要求される。しかしながら、上記したように、弾性体上のフッ素樹脂に所望の平滑性を付与することは極めて難しい。フッ素樹脂表面の平滑性が失われたり、フッ素樹脂層が完全に成膜されていなかったりすると、定着画像表面の光沢ムラの発生を引き起こすだけでなく、フッ素樹脂表面の離型性の低下、またフッ素樹脂の耐久性の低下という問題が生じ、定着部材としての使用が困難となる。
また、4層のトナー層となるカラートナー画像を定着する為の、定着ローラ及び定着フィルムにおいては、表層トナー離型層であるフッ素樹脂層が、トナーや記録材の凹凸に追従できるような柔軟性を持っていないと、熱を完全にトナーに伝えることができず、トナーの記録材への定着性が悪くなるという問題がある。そのためトナー離型層であるフッ素樹脂層の下層に、柔軟性のある弾性層を設けた構成の定着部材が用いられることが検討されている。
しかしながら、上記したように、フッ素樹脂の焼成には、従来、かなりの高温が必要であり、フッ素樹脂下層のゴム層に多大なダメージを与えるという問題点があった。その結果、弾性層のCセット(永久圧縮歪み)が悪化し、定着用部材に要求される、紙搬送性が得られなくなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の問題点を解決した新規のフッ素樹脂被覆方法及び定着用部材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は以下の手段によって達成される。
【0010】
すなわち、本発明は、円筒及び円柱基材上に形成された弾性層上に表層となるフッ素樹脂層を被覆する方法において、前記弾性層と前記フッ素樹脂層の外側を、加熱収縮させた、融点あるいは分解温度が該フッ素樹脂層の融点と同等以上の熱収縮チューブで覆った後、熱収縮チューブのフッ素樹脂層への融着を起こさせないで、前記フッ素樹脂層を加熱焼成成膜することにより、前記フッ素樹脂層表面に、前記熱収縮チューブの内面形状を転写させることを特徴とする、フッ素樹脂被覆方法を提案するものであり、フッ素樹脂層は、熱収縮チューブ被覆前にあらかじめ予備加熱焼成成膜されていること、熱収縮チューブは、その内径がフッ素樹脂層を含めた外径の101%以上、108%未満であり、熱収縮率が10%以上であることを含む。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
図1はフッ素樹脂被覆弾性部材の断面図である。
本発明に使用される円筒及び円柱基材101としてはアルミニウム、鉄、SUS等の金属、ポリイミド樹脂等の耐熱樹脂等が挙げられ、厚みは30μm〜10mmの範囲が好ましい。円筒及び円柱基材上101に形成される弾性層102としてはシリコーンゴム等が挙げられ厚みは100μm〜10mmの範囲が好ましい。円筒及び円柱基材101上には公知の手段により弾性層102が設けられる。更に弾性層102上にフッ素樹脂層103が設けられる。フッ素樹脂層103を弾性層102上に設けるには弾性層102の表面をプライマー処理を施し、FEPやPFA等の粉体又は水性フッ素樹脂を塗装し温風循環式オーブンで乾燥させ、厚み10μm〜50μmになるようにフッ素樹脂層を形成させることにより図2に示すフッ素樹脂被覆弾性部材201が得られる。
図2は熱収縮チューブの被覆工程を説明するための斜視図である。
次いで図2に示すように熱収縮チューブ202にフッ素樹脂被覆弾性部材201を挿入し、温風循環式オーブン中に100〜200℃の温度範囲で10〜30分間加熱し、熱収縮チューブ202をフッ素樹脂被覆弾性部材201に密着被覆させる。更に熱収縮チューブ202を密着被覆させたフッ素樹脂被覆弾性部材201を温風循環式オーブン中で260〜310℃の温度範囲で10〜30分間フッ素樹脂塗料の焼成成膜を行う。また加熱焼成は熱収縮チューブ被覆前に予備加熱焼成を行ってもよい。このように、あらかじめフッ素樹脂を予備加熱焼成した後、熱収縮チューブで完全に覆われている状態で加熱焼成成膜する場合、予備加熱焼成を行なわなかった場合より、低温での面転写が可能となる。またこの時のほうが熱収縮チューブの装着が容易であり、作業性に優れている。
【0012】
本発明で使用する熱収縮チューブは、融点あるいは分解温度が本発明のフッ素樹脂層の融点と同等以上で焼成成膜時にフッ素樹脂層と融着を起こさないものであればその材質は限定しない。PFA熱収縮チューブが、扱いやすい。
また、表面平滑性の点からさらには、チューブの収縮時にフッ素樹脂層との間に気泡を残留させない点から、熱収縮チューブの内面は表面粗さが十点平均粗さ(Rz)で5μm以下が望ましい。
熱収縮チューブは、熱収縮チューブの装着性及び作業性の点から該内径がフッ素樹脂層を含めた外形の101%以上、フッ素樹脂層への充分な押圧力の点から108%未満、熱収縮率が10%以上であることが望ましい。
また、上記した本発明のフッ素樹脂被覆方法を用いて、画像形成装置の定着装置に使用される、定着用部材を製造した場合、フッ素樹脂表面の平滑性が確保され、また、フッ素樹脂層が完全に成膜されているので、良好な定着画像表面が得られ、フッ素樹脂表面の十分なトナー離型性と耐久性が期待できる。
また、フッ素樹脂焼成成膜時に弾性層の熱劣化が起こりにくくなり、Cセット低下による紙搬送性の不良を起すことがなくなる。また、カラー画像を定着する場合、弾性層の効果により、定着部材表層が、トナーや記録材の凹凸に追従することが可能となり、画像光沢ムラのない定着部材を提供することができる。
【0013】
【実施例】
本発明による円筒及び円柱基材上に形成された弾性層上に、フッ素樹脂を被覆する方法により、電子写真画像形成装置の定着装置に用いられる定着用部材を製造した例を、図1及び図2を参照しながら、説明する。
(実施例1−1)
101はアルミニウムからなる基材であり、基材101上には弾性層102であるシリコーンゴムとの接着を行なう為、あらかじめプライマー処理がなされている。基材101のプライマー処理は、一般的に用いられる、シリコーンゴムプライマーを基材101に塗布し、200℃に設定した温風循環式オーブン中に30分間放置することにより行なった。
【0014】
102はシリコーンゴムからなる弾性層であり、その形成方法に特に制約はないが、今回は基材をあらかじめセットしてある金型内に、LTV液状シリコーンゴムを挿入し、130℃に設定した温風循環式オーブン中に30分間放置して硬化することにより形成した。上記硬化工程を終了した後、シリコーンゴム弾性層の接着がなされた、基材101を、金型より脱型し、200℃に設定した温風循環式オーブンに4時間放置して、シリコーンゴム弾性層の2次加硫を行なった。またその際の、弾性層102の厚みは2mmであった。
【0015】
103はFEPからなるフッ素樹脂層であり、上記した弾性層102上に以下のように形成した。
【0016】
シリコーンゴム弾性層102とフッ素樹脂層103を接着する為のプライマ層としては、特に制約はないが、ここでは、シリコーンゴム弾性層102の表面をエポキシ系プライマーで処理した後、フッ素樹脂を混合したポリアミン系フッ素ゴム塗料を、約30μmの厚みで塗装し、200℃に設定した温風循環式オーブン中に30分間放置して、加硫硬化させたものを用いた。
【0017】
上記プライマー処理した、シリコーンゴム弾性層の102上には、フッ素樹脂層を形成する。水性フッ素樹脂塗料(ここではFEPの水性塗料)をスプレーにより塗装し、70℃に設定された温風循環式オーブン中に15分間放置することにより、水性フッ素樹脂塗料の乾燥を行なった。この時、外形が60mmになるように仕上げた。
【0018】
上記のように、弾性体上にフッ素樹脂塗料が塗装・乾燥されたフッ素樹脂被覆弾性部材201を、内径が、63mm、熱収縮率20%、内面の十点平均粗さ(Rz)1μm以下なるPFA熱収縮チューブ202に挿入した。その状態で200℃に設定された温風循環式オーブン中に15分間放置することにより、シリコーンゴム弾性層及びフッ素樹脂表面をPFA熱収縮チューブ202で完全に密着被覆した。さらに、その状態で310℃に設定された温風循環式オーブン中に30分間放置することにより、フッ素樹脂塗料の焼成成膜を行なった。
【0019】
上記のような工程を経て、フッ素樹脂被覆弾性定着用部材を製造した。
【0020】
その結果、フッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で1μm以下で仕上がった。
【0021】
このローラをカラー画像形成装置の定着ローラとして装着し、画だし評価を行なったところ画像光沢ムラは全く発生しなかった。また、弾性層の酸化による熱劣化を抑えることができ、Cセットの変化はなかった。そのことにより、定着用部材として要求される良好な紙搬送性を得ることができた。さらに、表層フッ素樹脂が弾性層の弾性効果により、トナー及び記録材の凹凸に追従しやすく、良好なカラー画像となる定着用部材が得られた。
(実施例1−2)
熱収縮チューブを、内径が、68mm、熱収縮率15%、内面の十点平均粗さ(Rz)1μm以下なるPFA熱収縮チューブに変えること以外全て(実施例1−1)と同様にしてフッ素樹脂被覆弾性層定着用部材を製造した。
【0022】
その結果、フッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で1μmで仕上がった。(実施例1−1)に比べて、熱収縮チューブの外形が大きいぶんだけ押圧力が小さく、平滑性はやや劣る。
このローラをカラー画像形成装置の定着ローラとして装着し、画だし評価を行なったところ画像光沢ムラの問題はなかった。また、弾性層の酸化による熱劣化を抑えることができ、Cセットの変化はなかった。そのことにより、定着用部材として要求される良好な紙搬送性を得ることができた。しかしながら、熱収縮チューブの外形が大きいため、熱収縮時にフッ素樹脂層の間に気泡が残る場合があり、これによりローラ表面の外観不良を起す場合があった。
(実施例1−3)
水性フッ素樹脂塗料(ここではFEPの水性塗料)をスプレーにより塗装し、60mmになるように仕上げる工程まで全て(実施例1−1)と同様の工程をとった。
次に、予備加熱焼成成膜工程として、その状態で315℃に設定された温風循環式オーブン中に15分間放置することにより、フッ素樹脂塗料の焼成成膜を行なった。
この時、フッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で8μmで仕上がっていた。
冷却後、弾性体上にフッ素樹脂塗料が予備加熱焼成成膜された基材を、内径が、62mm、熱収縮率7%、内面の十点平均粗さ(Rz)1μm以下なるPFA熱収縮チューブに挿入した。その状態で200℃に設定された温風循環式オーブン周に15分間放置することにより、シリコーンゴム弾性層及びフッ素樹脂表面をPFA熱収縮チューブで完全に密着被覆した。さらに、その状態で290℃に設定された温風循環式オーブン中に30分間放置することにより、フッ素樹脂塗料の焼成成膜を行なった。
【0023】
上記のような工程を経て、フッ素樹脂被覆弾性定着用部材を製造した。
【0024】
その結果、(実施例1−1)に比ベて、熱収縮チューブの収縮率が小さい分だけ押圧力が小さく、フッ素樹脂表面の平滑性はやや劣り、表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で2μmで仕上がった。
このローラをカラー画像形成装置の定着ローラとして装着し、画だし評価を行なったところ画像光沢ムラは、問題ないレベルであった。また、弾性層の酸化による熱劣化を抑えることができ、Cセットの変化はなかった。そのことにより、定着用部材として要求される良好な紙搬送性を得ることができた。さらに、表層フッ素樹脂が弾性層の弾性効果により、トナー及び記録材の凹凸に追従しやすく、良好なカラー画像となる定着用部材が得られた。
(実施例1−4)
熱収縮チューブを、内径が、60.1mm、熱収縮率17%、内面の十点平均粗さ(Rz)1μm以下なるPFA熱収縮チューブを変えること以外全て(実施例1−3)と同様にしてフッ素樹脂被覆弾性定着用部材を製造した。
【0025】
その結果、フッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で1μm以下で仕上がった。
この様に、あらかじめフッ素樹脂を予備加熱焼成した後、熱収縮チューブで完全に覆われている状態で加熱焼成成膜する場合、予備加熱焼成を行なわなかった場合より、低温での面転写が可能となる。またこの時のほうが予備加熱焼成によりフッ素樹脂層表面の滑り性が良い為、熱収縮チューブの外形が小さい場合でも容易に装着出来た。
このローラをカラー画像形成装置の定着ローラとして装着し、画だし評価を行なったところ画像光沢ムラは全く発生しなかった。また、弾性層の酸化による熱劣化を抑えることができ、Cセットの変化はなかった。そのことにより、定着用部材として要求される良好な紙搬送性を得ることができた。さらに、表層フッ素樹脂が弾性層の弾性効果により、トナー及び記録材の凹凸に追従しやすく、良好なカラー画像となる定着用部材が得られた。
(比較例1−1)
水性フッ素樹脂塗料(ここではFEPの水性塗料)をスプレーにより塗装し、60mmになるように仕上げる工程まで全て(実施例1−1)と同様の工程をとった。
次に、本加熱焼成成膜工程として、その状態で310℃に設定された温風循環式オーブン中に15分聞放置することにより、フッ素樹脂塗料の焼成成膜を行なった。
その時フッ素樹脂層の厚みは15μmであった。
【0026】
上記の様な工程を経てフッ素樹脂被覆弾性定着用部材を製造した。
【0027】
その結果、弾性層の熱劣化が生じ、ローラ硬度の低下が認められた。また、この際のフッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で7μmであった。このローラをカラー画像形成装置の定着ローラとして装着し、画だし評価を行なったところ、画像光沢ムラが発生し、定着部材としての使用は不適切なものであった。
(比較1−2)
さらに、フッ素樹脂の成膜焼成時間を60分に延長して、(比較例1−1)と同様にしてフッ素樹脂被覆弾性定着用部材を製造した。
その結果、フッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4μmに改善された。このローラを(従来例1)と同様にしてカラー画像形成装置の定着ローラとして装着し、画だし評価を行なったところ画像光沢ムラの問題は発生しなかった。しかしながら、弾性層の著しい熱劣化によるローラ硬度の低下と共にCセットの低下が生じており定着用部材として要求される紙搬送性が得られず、定着用部材としての使用は不適切なものであった。
(実施例2−1)
シリコーンゴム弾性層の前記プライマー処理工程まで、全く(実施例1−1)と同様にして準備した。
続いて、フッ素樹脂層を形成する。水性フッ素樹脂塗料(ここではPFAの水性塗料)をスプレーにより塗装し、70℃に設定された温風循環式オーブン中に15分間放置することにより、水性フッ素樹脂塗料の乾燥を行なった。この時、外形が60mmになるように仕上げた。
次に、予備加熱焼成成膜工程として、その状態で330℃に設定された温風循環式オーブン中に15分間放置することにより、フッ素樹脂塗料の焼成成膜を行なった。
其の厚みは20μmであり、この時、フッ素樹脂層は完全には成膜されておらず、表面にクラック・凹凸等の不良が見られた。またその際のフッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で15μmで仕上がっていた。
【0028】
冷却後、上記弾性体上にフッ素樹脂塗料が予備加熱焼成成膜された基材を、内径が、63mm、熱収縮率20%、内面の十点平均粗さ(Rz)1μm以下なるPFA熱収縮チューブに挿入した。その状態で200℃に設定された温風循環式オーブン中に15分間放置することにより、シリコーンゴム弾性層及びフッ素樹脂表面をPFA熱収縮チューブで完全に密着被覆した。さらに、その状態で310℃に設定された温風循環式オーブン中に30分間放置することにより、フッ素樹脂塗料の焼成成膜を行なった。
【0029】
上記のような工程を経て、フッ素樹脂被覆弾性定着用部材を製造した。
【0030】
その結果、フッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4μmで仕上がった。
このローラをカラー画像形成装置の定着ローラとして装着し、画だし評価を行なったところ画像光沢ムラは問題ないレベルであった。また、330℃という高温にもかかわらず、短時間の処理で済むため、弾性層の酸化による熱劣化を抑えることができ、従来、ゴム上に成膜することが極めて困難であった、PFAを成膜できると同時に、弾性体のCセットの変化はなかった。そのことにより、定着用部材として要求される良好な紙搬送性を得ることができた。また、表層フッ素樹脂が弾性層の弾性効果により、トナー及び記録材の凹凸に追従しやすくなりカラー画像において良好な定着画像の得られる定着用部材が可能となった。
(比較例2−1)
水性フッ素樹脂塗料(ここではFEPの水性塗料)をスプレーにより塗装し、60mmになるように仕上げる工程まで全て(実施例2−1)と同様の工程をとった。
次に、本加熱焼成成膜工程として、その状態で350℃に設定された温風循環式オーブン中に30分間放置することにより、フッ素樹脂塗料の焼成成膜を行なった。
その時フッ素樹脂層の厚みは20μmであった。
【0031】
上記のような工程を経て、フッ素樹脂被覆弾性定着用部材を製造した。
【0032】
フッ素樹脂表面の平滑性をあげる為、焼成成膜温度を350℃とかなり高温にして表面性はやや改善はされたが、十点平均粗さ(Rz)で8μmであり、まだ不十分であった。
このローラを(実施例2−1)と同様にしてカラー画像形成装置の定着ローラとして装着し、画だし評価を行なったところ画像光沢ムラが発生した。しかも、弾性層の著しい熱劣化によるローラ硬度の低下と共にCセットの低下が生じており定着用部材として要求される紙搬送性が得られず、定着用部材としての使用は不適切なものであった。その結果、弾性層の熱劣化が生じ、ローラ硬度の低下が認められた。
(実施例3−1)
本発明による円筒及び円筒基材上に形成された弾性層上に、フッ素樹脂を被覆する方法により、電子写真画像形成装置の定着装置に用いられる別の定着用部材を製造した例を、(図3)を参照しながら、説明する。
【0033】
301は熱硬化性ポリイミド(厚み50μm)からなる基材であり、基材301上には弾性層302であるシリコーンゴムとの接着を行なう為、あらかじめプライマー処理がなされている。基材301のプライマー処理は、一般的に用いられる、シリコーンゴムプライマーを基材301に塗布し、200℃に設定した温風循環式オーブン中に30分間放置することにより行なった。
【0034】
302はシリコーンゴムからなる弾性層であり、その形成方法に特に制約はないが、今回はシリコーンゴム溶解液をスプレーにより塗布し、乾燥後、130℃に設定した温風循環式オーブン中に30分間放置して硬化することにより形成した。上記硬化工程を終了した後、シリコーンゴム弾性層の接着がなされた、基材301を、200℃に設定した温風循環式オーブンに4時間放置して、シリコーンゴム弾性層の2次加硫を行なった。またその際の、弾性層302の厚みは100μmであった。
【0035】
303はFEPからなるフッ素樹脂層であり、上記した弾性層302上に以下のように形成した。
【0036】
シリコーンゴム弾性層302とフッ素樹脂層303を接着する為のプライマ層としては、特に制約はないが、ここでは、シリコーンゴム弾性層302の表面をエポキシ系プライマーで処理した後、フッ素樹脂を混合したポリアミン系フッ素ゴム塗料を、約30μmの厚みで塗装し、200℃に設定した温風術環式オーブン中に30分間放置して、加硫硬化させたものを用いた。
【0037】
上記プライマー処理した、シリコーンゴム弾性層の302上には、フッ素樹脂層を形成する。水性フッ素樹脂塗料(ここではFEPの水性塗料)をスプレーにより塗装しに。この時、外形が60mmになるように仕上げた。
【0038】
次に、予備加熱焼成成膜工程として、その状態で315℃に設定された温風循環式オーブン中に15分間放置することにより、フッ素樹脂塗料の焼成成膜を行なった。
この時、フッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で8μmで仕上がっていた。
冷却後、上記弾性体上にフッ素樹脂塗料が予備加熱焼成成膜されたポリイミド基材中に基材の内面に接するように円柱状の心棒を挿入し、この状態でさらに、内径が、63mm、熱収縮率20%、内面の十点平均粗さ(Rz)1μm以下なるPFA熱収縮チューブに挿入した。その状態で200℃に設定された温風循環式オーブン中に15分間放置することにより、シリコーンゴム弾性層及びフッ素樹脂表面をPFA熱収縮チューブで完全に密着被覆した。さらに、その状態で290℃に設定された温風循環式オーブン中に30分間放置することにより、フッ素樹脂塗料の焼成成膜を行なった。
【0039】
上記のような工程を経て、フッ素樹脂被覆弾性定着用部材を製造した。
【0040】
その結果、フッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で1μm以下で仕上がった。
このローラをカラー画像形成装置の定着フィルムとして装着し、画だし評価を行なったところ画像光沢ムラは全く発生しなかった。また、弾性層の酸化による熱劣化を抑えることができ、Cセットの変化はなかった。そのことにより、定着用部材として要求される良好な紙搬送性を得ることができた。さらに、表層フッ素樹脂が弾性層の弾性効果により、トナー及び記録材の凹凸に追従しやすく、良好なカラー画像となる定着用部材が得られた。
【0041】
各実施例及び比較例の表層フッ素樹脂成膜条件及び定着部材の性能評価結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003733185
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、円柱状及び円筒状基材上に形成された弾性体上にフッ素樹脂層を加熱焼成する際、フッ素樹脂層を、上記弾注層とフッ素樹脂層の外側に配した熱収縮チューブの収縮力で押圧し、加熱焼成成膜するため、従来の焼成温度に比べてかなり低い温度での成膜が可能となり、弾性層の熱劣化を押さえることができる。同時にフッ素樹脂層表面は、熱収縮チューブの内面形状が転写される為、容易に平滑化される。さらに、弾性層とフッ素樹脂層は、熱収縮チューブで完全に覆われている為、外気から遮断されており、加熱の際に生じる、弾性層の酸化による劣化が防止される。
【0044】
その結果良好なフッ素樹脂膜を弾性体上に形成することが可能になる。
【0045】
また、上記のような方法を用いて製造した電子写真画像形成装置の定着装置に用いられる定着部材は、フッ素樹脂表面の平滑性が確保され、また、フッ素樹脂層が完全に成膜されているので、良好な定着画像表面が得られ、フッ素樹脂表面の十分なトナー離型性と耐久性が期待できる。
また、フッ素樹脂焼成成膜時に弾性層の熱劣化が起こりにくくなり、Cセット低下による紙搬送性の不良を起こすことがなくなる。また、カラー画像を定着する場合、弾性層の効果により、定着部材表層が、トナーや記録材の凹凸に追従することが可能となり、画像光沢ムラのない定着部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フッ素樹脂被覆弾性部材の断面図である。
【図2】本発明の熱収縮チューブの被覆工程と説明するための斜視図である。
【図3】別の例のフッ素樹脂被覆弾性定着部材の断面図である。
【符号の説明】
101、301 基材
102、302 弾性層
103、303 フッ素樹脂層
201 フッ素樹脂被覆弾性部材
202 熱収縮チューブ

Claims (3)

  1. 円筒及び円柱基材上に形成された弾性層上に表層となるフッ素樹脂層を被覆する方法において、
    前記弾性層と前記フッ素樹脂層の外側を、加熱収縮させた、融点あるいは分解温度が該フッ素樹脂層の融点と同等以上の熱収縮チューブで覆った後、熱収縮チューブのフッ素樹脂層への融着を起こさせないで、前記フッ素樹脂層を加熱焼成成膜することにより、前記フッ素樹脂層表面に、前記熱収縮チューブの内面形状を転写させることを特徴とする、フッ素樹脂被覆方法。
  2. 前記フッ素樹脂層は、前記熱収縮チューブ被覆前にあらかじめ予備加熱焼成成膜されている請求項1記載のフッ素樹脂被覆方法。
  3. 前記熱収縮チューブは、該熱収縮チューブの内径が前記フッ素樹脂層を含めた外径の101%以上、108%未満であり、熱収縮率が10%以上である請求項1または請求項2に記載のフッ素樹脂被覆方法。
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