JP3731967B2 - 薄膜インサート成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンソールパネル、センタークラフター、スイッチベースなどの自動車内装品、ホイルキャップやモール等の自動車外装品などの製造に適用する薄膜インサート成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインサート成形品の製造方法としては、次のようなものがある。100μm〜600μmの厚手のベースフィルムが、テンションをかけられた状態でロールから巻き出されて別のロールに巻き取られる間に、ベースフィルムに絵柄層を印刷し、乾燥や冷却をしてインサートフィルムを作成し、このインサートフィルムを加熱して3次元形状に真空成形加工した後、真空成形加工したインサートフィルムを射出成形用の金型に載置し、型閉めしてキャビティに成形樹脂を射出して、樹脂成形品の成形と同時にインサートフィルムを接着させる、いわゆるインサート成形(「成形同時絵付け」ともいう。)する製造方法がある。この製造方法では、このインサートフィルムの不要部分の切除を行う場合は、射出成形用の金型に載置する前、あるいはインサート成形品を金型から取り出した後に行うことになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来は、インサートフィルムのベースフィルムが厚手であるため、(a)インサートフィルムの真空成形加工に30秒から数分と時間がかかったり、真空成形加工時における加熱温度が高くなったりするので、コストがかかる。(b)インサートフィルムの真空成形加工では屈曲角度の大きい形状や微細な凹凸形状、立ち上がりの大きい樹脂成形品の表面形状どおりに型どるいわゆる深しぼり形状などの三次元形状に成形する場合は、フィルム自体が厚手で折れ曲がりや変形がしにくいため、前記三次元形状に精度良く成形するのが困難であり、所望形状のインサート成形品が得られない。(c)インサートフィルムの不要部の切除を行う場合は、厚手で切断しにくいので高出力のレーザー光線処理や刃物による手作業が必要となり、手間がかかるとともに、射出成形用の金型が切りカスをかみやすい。よって、切りカスが混入したインサート成形品ができてしまう。(d)インサートフィルムは厚手で成形しにくいため真空吸引度の大きい装置が必要となるが、射出成形用の金型には形状に制約があり余分な装置を組み込めない。よって、厚手のインサートフィルムを射出成形用の金型内で真空成形することができない。このため、射出成形の金型とは別に、真空成形加工用の金型が余分に必要となり、コストがかかる。(e)上記厚手のベースフィルムの欠点を回避するためにの上記ベースフィルムを100μm以下の薄膜にすると、絵柄層を印刷する際に上記ベースフィルムにかかるテンションと乾燥時の熱などによってベースフィルムが伸縮してしまい、絵柄の見当不良や熱シワが発生する。よって、薄膜のベースフィルムに印刷が施されたインサート成形品はできなかった。
【0004】
この発明は上記の欠点を解決し、フィルム自体や絵柄の伸縮のないインサートフィルムを、任意の三次元形状の樹脂成形品にインサート成形法によって接着することができる薄膜インサート成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
この発明は上記目的を達成するために、延伸フィルム上に、延伸フィルムから剥離可能で厚さ10μm〜100μmの薄膜フィルムが全面に積層され、その上に絵柄層を有する印刷層が全面または部分的に積層された積層フィルムから延伸フィルムを剥離し、剥離された延伸フィルムを巻き取り手段により巻き取った後、延伸フィルムが剥離された状態の薄膜フィルムを射出成形用の金型内に送り込み、型閉めしてキャビティに成形樹脂を射出し、樹脂成形品の成形と同時に印刷層を挟んで薄膜フィルムと成形樹脂とを一体化接着させることを特徴とする薄膜インサート成形品の製造方法とした。
【0006】
また、この発明の薄膜インサート成形品の製造方法では、射出成形用の金型内に送り込まれた薄膜フィルムを金型のキャビティ形成面に密着させて三次元形状に加工した後、型閉めするようにしてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明についてさらに詳しく説明する。この発明の積層フィルム7は、延伸フィルム1上に、延伸フィルム1から剥離可能で厚さ10μm〜100μmの薄膜フィルム3が全面に積層され、その上に絵柄層4を有する印刷層6が全面または部分的に積層されたものである(図1参照)。
【0008】
延伸フィルム1は、熱によって伸縮しにくいフィルムである。延伸フィルム1は、後述する薄膜フィルム3に粘着してラミネートされ、薄膜フィルム3との積層物としてロールに巻かれて印刷原反として使用されるフィルムロールとなり、印刷原反の表面に絵柄層4などを印刷する際のフィルムロール間のテンションと乾燥時の熱とによって薄膜フィルム3の表面が伸縮しないようにするためのものである。延伸フィルム1は、後述する薄膜フィルム3と剥離可能とするために低粘着処理されたものでもよい。
【0009】
低粘着処理された延伸フィルム1としては、例えば、厚さ15〜100μmの延伸ポリエステルフィルム、延伸耐熱ポリエチレンフィルムなどがある。低粘着処理された延伸フィルム1は、たとえば、延伸フィルム1として、ロジン系、テンペル系、石油系などの粘着付与樹脂とポリオレフィン、ポリスチレンなどのホットメルト樹脂とが混入されたものを用いることによって、延伸フィルム1自体が低粘着性樹脂からなるものがある。
【0010】
低粘着処理は低粘着層2を形成することによって行ってもよい。低粘着層2は、天然ゴム系、合成ゴム系、シリコーン系、アクリル系などのホットメルト樹脂からなる粘着剤をリバースコート、ロールコート、グラビア印刷などの方法条件で延伸フィルム1上に形成する方法がある。低粘着処理によって、印刷時には、延伸フィルム1と後述する薄膜フィルム3とは粘着されているが、1cm幅あたり1g〜100gの力をかけると、延伸フィルム1と後述する薄膜フィルム3とを剥離することができるようになる。
【0011】
薄膜フィルム3は、後述する射出成形用の金型のキャビティ形成面12の三次元表面に密着しやすく、前記延伸フィルム1から剥離可能な薄手のフィルムのことである。薄膜フィルム3は、延伸フィルム1上の全面または部分的に積層されたものである。薄膜フィルム3は、例えば、厚さ30〜80μmのアクリルフィルム、厚さ12〜25μmのフッ素フィルム、厚さ10〜50μmのエチレンビニルアルコールフィルム、厚さ10〜50μmのポリカーボネートフィルム、厚さ50〜100μmの未延伸ポリエステルフィルム、厚さ12〜100μmの未延伸ポリプロピレンフィルム、厚さ20〜100μmの未延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、厚さ10〜100μmのセルロースアセテートフィルム、厚さ10〜100μmのポリスチレンフィルム、厚さ10〜100μmのポリ塩化ビニルフィルムなどがある。薄膜フィルム3の耐候性は、薄膜フィルム3にもともと備わっている場合もある。この場合は、紫外線吸収剤が混入された樹脂などからなるフィルムを用いる。薄膜フィルム3の耐候性は、薄膜フィルム3上に耐候性層を形成することによって得る場合がある。耐候性層は、フッ素またはアクリル樹脂からなる低温乾燥性の透明コート剤をロールコート、リバースコート、オフセット印刷、グラビア印刷のような方法条件で薄膜フィルム3上に形成するものである。また、薄膜フィルム3が、低粘着処理されたものでもよい。延伸フィルム1と薄膜フィルム3とは、低粘着層2を介してラミネート法などにより積層するとよい。積層した後に薄膜フィルム3には、ミシン目などを入れておいてもよい。
【0012】
絵柄を有する印刷層6は、薄膜フィルム3の表面の全面または部分的に、印刷により積層された層である。印刷層6は、文字や図形、記号などを部分的に形成したり、インサート成形品表面の全体あるいは一部を着色するための絵柄層4を有する層である。絵柄層4は、顔料インキ層だけでなく、蒸着膜からなる金属蒸着層や、パール顔料と樹脂バインダーなどからなる光輝性顔料層、染料と樹脂バインダーとからなる染料インキ層、後述する成形樹脂16つまり樹脂成形品19との接着性を向上させるための接着インキ層などを有していてもよい。接着層5は、ポリ塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などからなっていてもよい。印刷層6は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法や、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法などにより形成するとよい。
【0013】
この発明の薄膜インサート成形品の製造方法は、前記積層フィルム7を用い、延伸フィルム1が剥離された状態の薄膜フィルム3を射出成形用の金型内に送り込み、型閉めしてキャビティに成形樹脂16を射出し、樹脂成形品19の成形と同時に印刷層6を挟んで薄膜フィルム3と成形樹脂16とを一体化接着させるものである。射出成形用の金型内に送り込まれた薄膜フィルム3を金型のキャビティ形成面12に密着させて三次元形状に加工した後、型閉めするようにしてもよい。
【0014】
まず、前記積層フィルム7を用い、延伸フィルム1が剥離された状態の薄膜フィルム3を射出成形用の金型内に送り込む(図2参照)。つまり、前記積層フィルム7のうちの、延伸フィルム1と低粘着層2とが剥離され薄膜フィルム3が露出した部分を射出成形用の金型内に送り込むとよい。あるいは、前記積層フィルム7から分離した薄膜フィルム3を射出成形用の金型内に送り込んでもよい。送り込みの具体例としては、積層フィルム7をロール軸に一旦巻き取ってロール状巻物とし、ロール状巻物から積層フィルム7を巻き出しながら、ターンロール18などを介して、延伸フィルム巻き取り手段8などにより延伸フィルム1を巻き取ることによって、積層フィルム7の巻き出しと、巻き出し端における延伸フィルム1と低粘着層2との剥離とを連続的に行い、積層フィルム7の巻き出し端に薄膜フィルム3の露出部を形成するとよい。延伸フィルム巻き取り手段8は、固定型11あるいは可動型10の上方に設置してもよい。射出成形用の金型は、樹脂を射出するゲート部15を有する固定型11と可動型10などからなり、固定型11と可動型10とが型閉めされることによって、固定型11および可動型10のキャビティ形成面12によって囲まれた単数あるいは複数のキャビティが形成されるものである。キャビティを形成する凹部13は固定型11あるいは可動型10のいずれに形成されていてもよい。金型は、凹部13の周囲で薄膜フィルム3を固定するクランプ部材14を有してもよい(図2、3参照)。クランプ部材14は固定型11あるいは可動型10に設置されてもよい。薄膜フィルム3は、その印刷層6側が固定型11のキャビティ形成面12に対向するように送り込んでもよいし、その印刷層6側が可動型10のキャビティ形成面12に対向するように送り込んでもよい。
【0015】
次に、薄膜フィルム3を金型のキャビティ形成面12に密着するように三次元形状に加工してもよい(図3参照)。
【0016】
薄膜フィルム3を三次元形状に加工するためには、薄膜フィルム3を加熱し軟化させ、金型のキャビティ形成面12に密着させるとよい(図2)。加熱は、薄膜フィルム3の熱分布が均一となり全体がまんべんなく軟化するようにおこなうとよい。たとえば、フィルム軟化温度よりも約70℃高い温度がよい。薄膜フィルム3は、厚みの薄いフィルムであるため低温で済み三次元加工が迅速にできる。また、キャビティ形成面12に形成された真空吸引孔20から薄膜フィルム3を真空吸引してもよい。真空吸引する前に、キャビティ形成面12の周囲でクランプ部材14などにより薄膜フィルム3を固定して、キャビティ形成面12と薄膜フィルム3との間を密閉してもよい。クランプ部材14でクランプする際、あるいは、クランプした後真空吸引する前に、金型内の薄膜フィルム3を分断するなどして積層フィルム7から切り離してもよい。
【0017】
三次元形状に加工する際、あるいは、後述する射出成形用の金型の型閉めの際に、キャビティ形成面12を覆う薄膜フィルム3を分断するなどして、積層フィルム7から切り離してもよい。あるいは、打ち抜きなどによりトリミングしてもよい。切り離しやトリミングは、金型に設けられたカッター刃やヒートカッターなどで行ってもよい。あるいは、金型の雄型と雌型とのクリアランスを薄膜フィルム3の厚みより薄くして、雄型と雌型との型閉め時の型締め力により行ってもよい。
【0018】
次に、型閉めしてキャビティに成形樹脂16を射出し、樹脂成形品19の成形と同時に絵柄を有する印刷層6を挟んで薄膜フィルム3と成形樹脂16と一体化接着させる(図4参照)。成形樹脂16としては、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂など樹脂がある。薄膜フィルム3を三次元形状に加工していない場合は、成形樹脂16の射出圧などによって、薄膜フィルム3を金型のキャビティ形成面12に密着させることになる。樹脂成形品19を冷却した後、型開きして、薄膜インサート成形品を取り出す(図5参照)。この後、樹脂成形品からはみ出た薄膜フィルム3のバリ17を除去してもよい(図6参照)。バリ17を除去するには、手ではぎ取る方法、レーザーで切段する方法などがある。薄膜フィルム3は弱い力ではぎ取ることができる。レーザー光線処理であっても短時間、低出力での処理が可能である。
【0019】
【実施例】
実施例1以下の条件で、金属色のセンターオーナメントを製造した。積層フィルムの延伸フィルムは、低粘着処理された厚さ150μmのポリエチレンフィルムを用いた。薄膜フィルムは、厚さ12μmのフッ素フィルムを用いた。印刷層は、光輝性顔料層、接着層からなり、薄膜フィルムと光輝性顔料層との間に金属蒸着層を積層した。金属蒸着層は、厚さ400Åのアルミ蒸着膜とした。光輝性顔料層は、アルミ顔料入りフッ素・アクリル樹脂系インキを用いてグラビア印刷法で形成した。接着層は、塩素化ポリプロピレン樹脂系インキを用いてグラビア印刷法で形成した。印刷においては、100℃の温度で乾燥後常温に冷却した。この積層フィルムをロール軸に一旦巻き取ってロール状巻物とした。このロール状巻物を、射出成形用の金型の上部に設置した。次に、ロール状巻物から積層フィルムを巻き出し、連続して延伸フィルムおよび低粘着層と、薄膜フィルムおよび印刷層との剥離を行い、積層フィルムに薄膜フィルムが露出した部分を形成しながら、連続して、露出した薄膜フィルムの部分を前記金型の可動型のキャビティ形成面の正面に挿入した。次に、キャビティ形成面の周囲でクランプ部材により薄膜フィルムを固定して、この薄膜フィルムを三次元形状に真空成形加工し金型のキャビティ形成面に密着させた後、薄膜フィルムをヒートカッターで分断して、ロール状巻物の積層フィルムから切り離した。真空成形加工は、250℃のヒーターで薄膜フィルムを160度程度に加熱しながら、1.5気圧の真空吸引力でセンターオーナメントの表面形状に真空成形で行った。成形加工時間は4秒であった。次に固定型と可動型とを型閉めして形成されたキャビティに、成形温度220℃〜240℃、金型温度30℃〜50℃で、ポリプロピレン樹脂を成形樹脂として射出成形した。ポリプロピレン樹脂成形品を冷却した後、ポリプロピレン樹脂成形品の周囲のベロ状となった薄膜フィルムを手で切除しバリ取りをした。このときの切除する力は、1cm幅あたり50gと非常に弱い力でできた。これにより、金属色の薄膜フィルムが接着された15mm厚のセンターオーナメントを得た。
【0020】
実施例2以下の条件で、木目柄のコンソールパネルを製造した。積層フィルムの延伸フィルムは、低粘着処理された厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。薄膜フィルムは、厚さ50μmのアクリルフィルムを用いた。印刷層は、木目導管柄層、木目下地層、接着層からなる。木目導管柄層は、カーボンブラック入りアクリル樹脂系インキを用いてグラビア印刷法で形成した。木目下地層は、ベンガラ入りアクリル樹脂系インキを用いてスクリーン印刷法で形成した。接着層は、ビニル樹脂系インキを用いてスクリーン印刷法で形成した。印刷においては、105℃の温度で乾燥後常温に冷却した。この積層フィルムをロール軸に一旦巻き取ってロール状巻物とした。このロール状巻物を、射出成形用の金型の上部に設置した。次に、ロール状巻物から積層フィルムを巻き出し、1cmあたり2.5gの引き剥がし力で延伸フィルムおよび低粘着層と薄膜フィルムとの剥離を連続して行い、積層フィルムに薄膜フィルムの露出部を形成しながら、連続して、印刷層が形成された薄膜フィルムを前記金型の可動型のキャビティ形成面の正面に挿入した。次に、キャビティ形成面の周囲でクランプ部材により薄膜フィルムを固定する際に、薄膜フィルムをヒートカッターで分断して積層フィルムから切り離し、この薄膜フィルムを三次元形状に真空成形加工し金型のキャビティ形成面に密着させた。真空成形加工は、250℃のヒーターで薄膜フィルムを加熱しながら、1.5気圧の真空吸引力でコンソールパネルの表面形状に真空成形で行った。成形加工時間は3秒であった。次に固定型と可動型とを型閉めして形成されたキャビティに、成形温度255℃〜285℃、金型温度40℃〜70℃で、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂を成形樹脂として射出成形した。アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂成形品を冷却した後、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂成形品の周囲のベロ状となった薄膜フィルムを手で剥がしバリ取りをした。このとき手で剥がす力は、1cm幅あたり100〜200gと非常に弱い力でできた。これにより、木目柄の薄膜フィルムが接着された8mm厚のコンソールパネルを得た。
【0021】
実施例3以下の条件で、シルバー色のサイドマットガードを製造した。積層フィルムの延伸フィルムは、低粘着処理された厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。薄膜フィルムは、厚さ70μmの未延伸のポリプロピレンフィルムを用いた。印刷層は、光輝性顔料層、下地顔料層、接着層からなる。光輝性顔料層は、アルミ顔料入りウレタン樹脂系インキを用いてリバースコート法で形成した。下地顔料層は、グレー色のウレタン樹脂に、酸化チタン10部/カーボンブラック1部の割合で混ぜ合わせたインキを用いてリバースコート法で形成した。接着層は、塩素化ポリプロピレン樹脂系インキを用いてリバースコート法で形成した。印刷においては、85℃の温度で乾燥後常温に冷却した。この積層フィルムをロール軸に一旦巻き取ってロール状巻物とした。このロール状巻物を、射出成形用の金型の上部に設置した。次に、ロール状巻物から積層フィルムを巻き出し、1cm幅あたり2.5gの引き剥がし力でもって延伸フィルムおよび低粘着層と薄膜フィルムとの剥離を連続して行い、積層フィルムに薄膜フィルムの露出部を形成しながら、連続して、薄膜フィルムを前記金型の可動型のキャビティ形成面の正面に挿入した。次に、キャビティ形成面の周囲でクランプ部材により薄膜フィルムを固定して、この薄膜フィルムを三次元形状に真空成形加工し金型のキャビティ形成面に密着させた後、薄膜フィルムをヒートカッターで分断して、ロール状巻物の積層フィルムから切り離した。真空成形加工は、250℃のヒーターで薄膜フィルム部を130度程度に加熱しながら、1.5気圧の真空吸引力でセンターオーナメントの表面形状に真空成形で行った。成形加工時間は約10秒であった。次に固定型と可動型とを型閉めして形成されたキャビティに、成形温度220℃〜240℃、金型温度30℃〜50℃で、ポリプロピレン樹脂を成形樹脂として射出成形した。ポリプロピレン樹脂成形品を冷却した後、ポリプロピレン樹脂成形品の周囲のベロ状となった薄膜フィルムを手で剥がしバリ取りをした。このとき手で剥がす力は、1cm幅あたり200〜500gであった。これにより、シルバー色の薄膜フィルムが接着された大きさが0.7平方メートルのサイドマットガードを得た。
【0022】
以上のいずれの実施例でも、積層フィルムの印刷時には、積層フィルムに絵柄の伸縮や見当不良、熱シワなどは見受けられなかった。また、薄膜フィルムの真空成形加工は10秒以下の短い時間でできた。また、薄膜フィルムの真空成形加工では屈曲角度の大きい形状や微細な凹凸形状、立ち上がりの大きいセンターオーナメント表面の細かい凹凸やコンソールパネルの孔部の深い溝などの三次元形状に成形しても、薄膜フィルムが薄手で折れ曲がりや変形しやすいため、前記三次元形状に精度良く成形できた。また、薄膜フィルムの分断やバリ取りの場合は、薄膜フィルムが薄手で切断しやすい。また、薄膜フィルムが薄手で成形しやすいため、射出成形用の金型に低出力の真空吸引装置を容易に組み込めた。
【0023】
【発明の効果】
この発明は、伸縮しにくい延伸フィルムと薄膜フィルムの積層物を原反として印刷層を形成した積層フィルムから延伸フィルムを剥離し、剥離された延伸フィルムを巻き取り手段により巻き取った後、延伸フィルムが剥離され三次元形状に成形しやすい印刷層を有する薄膜フィルムのみの部分を、射出成形用の金型内に送り込み、キャビティ内に成形樹脂を射出し、印刷層を有する薄膜フィルムと樹脂成形品とを接着させるものである。したがって、印刷層の形成時には、伸縮しにくい延伸フィルムと薄膜フィルムの積層物上に印刷できるため、印刷層の絵柄の伸縮や見当不良が発生せず、積層フィルムに熱シワなどは発生しない。一方、伸縮しにくい延伸フィルムと薄膜フィルムの積層フィルムから剥離された薄膜フィルムは薄手である。このため、薄膜フィルムの三次元形状への加工が短時間でできる。また、薄膜フィルムの三次元形状への加工では屈曲角度の大きい形状や微細な凹凸形状などの三次元形状に成形しても精度良く成形できる。また、バリ取りが弱い力で簡単にできる。また、低出力の真空吸引装置を射出成形用の金型に容易に組み込める。得られるインサート成形品は薄膜フィルムで覆われているため、フィルムの異物感がないにもかかわらず、絵柄を有する印刷層が保護されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の積層フィルムの一実施例を示す断面図である。
【図2】 この発明の薄膜インサート成形品の製造方法の工程の一つを示す断面図である。
【図3】 この発明の薄膜インサート成形品の製造方法の工程の一つを示す断面図である。
【図4】 この発明の薄膜インサート成形品の製造方法の工程の一つを示す断面図である。
【図5】 この発明の製造方法によって得られる薄膜インサート成形品を示す断面図である。
【図6】 この発明の製造方法によって得られる薄膜インサート成形品を示す断面図である。
【符号の説明】
1 延伸フィルム
2 低粘着層
3 薄膜フィルム
4 絵柄層
5 接着層
6 印刷層
7 積層フィルム
8 延伸フィルム巻き取り手段
10 可動型
11 固定型
12 キャビティ形成面
13 凹部
14 クランプ部材
15 ゲート部
16 成形樹脂
17 バリ
18 ターンロール
19 樹脂成形品
20 真空吸引孔
Claims (2)
- 延伸フィルム上に、延伸フィルムから剥離可能で厚さ10μm〜100μmの薄膜フィルムが全面に積層され、その上に絵柄層を有する印刷層が全面または部分的に積層された積層フィルムから延伸フィルムを剥離し、剥離された延伸フィルムを巻き取り手段により巻き取った後、延伸フィルムが剥離された状態の薄膜フィルムを射出成形用の金型内に送り込み、型閉めしてキャビティに成形樹脂を射出し、樹脂成形品の成形と同時に印刷層を挟んで薄膜フィルムと成形樹脂とを一体化接着させることを特徴とする薄膜インサート成形品の製造方法。
- 射出成形用の金型内に送り込まれた薄膜フィルムを金型のキャビティ形成面に密着させて三次元形状に加工した後、型閉めする請求項1に記載の薄膜インサート成形品の製造方法。
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