JP3730494B2 - 火災検知器及び火災検知方法 - Google Patents

火災検知器及び火災検知方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、監視区域の光エネルギーを受光して電気信号に変換することにより検知センサから出力される受光検知信号をプロセッサに入力して高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知器及び火災検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、所定の監視対象物、例えばトンネル内の壁面や天井にはトンネル内の火災を検出する火災検知器が設置され、トンネル長手方向の両側区域の火災を検出している。このような火災検知器としては、炎からの光や放射熱を受ける検知センサを用いて火災を検知し、防災受信盤へ火災信号を送出する。
【0003】
火災の炎とそれ以外の非火災源、例えば回転灯を識別する方法として本願発明者等は、光エネルギーを電気信号に変換する検知センサからの受光検知信号をMPU(マイクロプロセッサ)に入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する方法を提案している(特願平11−153917号)。
【0004】
この火災検知方法は次の手順をとる。
(1)受光検知信号から炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域である0.5Hz〜8.0Hzの信号を高速フーリエ変換法にて抽出する。
(2)受光検知信号から炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域である0.5〜8.0Hzの信号を含まず、且つ第1周波数帯域よりも高周波側の周波数である第2周波数帯域である8.5Hz〜16.0Hzの信号を高速フーリエ変換法にて抽出する。
(3)第1周波数帯域の抽出信号が第1所定値以上のレベルをもち、第2周波数帯域の抽出信号が第2所定値以上のレベルを持たない場合、又は両者の比率が所定値以上の場合、火災が発生したと判定する。
【0005】
これは出願人の種々の実験の結果、実質的な炎のゆらぎ周波数は、8.0Hzまでの範囲にあるのに対し、非火災源である回転灯の周波数は8.0Hzを越える範囲まであることが判明したためである。尚、一般的な火災モデルにあっては、炎のゆらぎ中心周波数fcは、4Hz以下で例えば約2.5Hzや約1.8Hzにあることが知られている。
【0006】
このような高速フーリエ変換法を用いた火災判定方法は、周波数フィルタによって検知センサで第2周波数帯域の上限周波数である16.0Hzまでの帯域に対応した信号を取得し、その上限周波数16.0Hzの2倍のサンプリング周波数32Hzで受光検知信号を例えば2秒間サンプリングして64点の離散値を取込み、例えば周波数ピッチを0.5Hzとした高速フーリエ変換を行って0.5Hz〜16.0Hzに含まれるパワースペクトル成分を演算している。
【0007】
ここでプロセッサによる高速フーリエ変換のアルゴリズムにあっては、離散的なフーリエ変換によってスペクトル成分の実数部と虚数部をもつ複素成分が算出され、次に実数部と虚数部の絶対値計算によってパワースペクトル成分が算出される。
【0008】
このような高速フーリエ変換法による火災の判定によれば、緊急自動車の回転灯のように炎のゆらぎ周波数を含むスペクトル成分をもつ周期的な光エネルギーの受光検知信号を誤って火災と判定することがなくなり、非火災源による誤報を確実に除去することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の高速フーリエ変換法を用いた火災の判定には、時間がかかりすぎる問題があった。
【0010】
まず、この種の火災検知器は、システム端末として防災受信盤から引き出された伝送路に多数接続されており、同時に、防災機器としての性質上、動作電源のバックアップが義務付けられている。この電源バックアップのための装置の大型化と高コスト化を避けるためには、火災検知器単体の消費電力を最大限低く抑えなければならない。
【0011】
このため火災検知器に実装するMPUとしては、例えば1MHzといった非常に低速の基本クロックで動作する低消費電力のものを使用しており、従って高速フーリエ変換法の演算に要する時間が長くなり、火災判定に時間がかかる問題がある。
【0012】
またフーリエ変換の解析精度を高めるためには、ピッチ周波数をそれまでの0.5Hzから例えば0.25Hzというように小さくする必要があるが、ピッチ周波数が1/2になれば必要サンプリング期間は2倍となり、更に演算時間も増大するため、低消費電力化と解析精度の向上を両立させることが難かしかった。
【0013】
本発明は、フーリエ変換の演算に要する時間を極力短くしてMPUの消費電力の低減と火災判定の精度を向上するようにした火災検知器及び火災検知方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。まず本発明は、光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力された受光検知信号をプロセッサに入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知器を対象とする。
【0015】
このような火災検知器につき本発明は、炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域と炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ第1周波数帯域よりも高周波側の周波数を含む第2周波数帯域の信号成分を含んだ受光検知信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングした後にフーリエ変換を行って実数部と虚数部をもつ複素スペクトル成分を求める演算を行う複素成分演算部と、複素成分演算部により複素スペクトル成分を算出した後に、第1周波数帯域の複素スペクトル成分の絶対値演算を行い第1周波数帯域のパワースペクトル成分を演算する第1絶対値演算部と、第1周波数帯域のパワースペクトル成分の中からピーク値を検出してそのピーク周波数を炎のゆらぎ中心周波数の上限に対応した所定の周波数閾値と比較する比較部と、ピーク周波数が周波数閾値を越えた場合に、火災が発生していないと判定して処理を終了する処理終了部と、ピーク周波数が前記周波数閾値以下の場合に、第2周波数帯域の複素スペクトル成分の絶対値演算を行い第2周波数帯域のパワースペクトル成分を演算する第2絶対値演算部と第1周波数帯域のパワースペクトル成分の積算値と前記第2周波数帯域のパワースペクトル成分の積算値に基づいて火災の判定を行う火災判定部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
このような本発明の火災検知器によれば、本願発明者は高速フーリエ変換の絶対値演算に時間がかかる点に着目し、まず炎のゆらぎ中心周波数を含む実質的な炎のゆらぎ周波数帯域である第1周波数帯域(例えば0.5Hz〜8.0Hz)について、フーリエ変換で得られた複素スペクトル成分の実数部と虚数部の各々を2乗して加算した後に平方根を開いてパワースペクトル成分を求める絶対値演算を行い、この中に炎のゆらぎ中心周波数の成分に対応するピーク値、例えば4.0Hz以下のピーク周波数をもつピーク値がなければ、第2周波数帯域(例えば8.5Hz〜16.0Hz)のフーリエ変換における絶対値計算を行わないことで、通常監視状態での演算時間を概ね半分程度に短縮する。
【0017】
また本発明は、光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力された受光検知信号をプロセッサに入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知方法を提供する。
【0018】
この火災検知方法は、
炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域と炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ第1周波数帯域よりも高周波側の周波数を含む第2周波数帯域の信号成分を含んだ受光検知信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングした後にフーリエ変換を行って実数部と虚数部をもつ複素スペクトル成分を求める演算を行う複素成分演算ステップと;
複素スペクトル成分を算出した後に、第1周波数帯域の複素スペクトル成分の絶対値演算を行い第1周波数帯域のパワースペクトル成分を演算する第1絶対値演算ステップと;
第1周波数帯域のパワースペクトル成分の中からピーク値を検出してそのピーク周波数を炎のゆらぎ中心周波数の上限に対応した所定の周波数閾値と比較する比較ステップと;
ピーク周波数が周波数閾値を越えた場合に、火災が発生していないと判定して処理を終了する処理終了ステップと;
ピーク周波数が周波数閾値以下の場合に、第2周波数帯域の複素スペクトル成分の絶対値演算を行い第2周波数帯域のパワースペクトル成分を演算する第2絶対値演算ステップと;
第1周波数帯域のパワースペクトル成分の積算値と第2周波数帯域のパワースペクトル成分の積算値に基づいて火災の判定を行う火災判定ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による火災検知器の構成を示したブロック図である。図1において、火災検知器1は、光学波長バンドパスフィルタ3を備えた検知センサ2、前置フィルタ5、増幅部6、AD変換器7及びMPU8で構成される。
【0020】
光学波長バンドパスフィルタ3は、炎に固有のCO2 共鳴放射により高いピークを持つ概ね波長4.4μmを中心とする波長帯域を選択的に通過させる特性を持っており、所定の監視区域から入射する光エネルギー4について、波長4.4μmを中心とする波長帯域の成分を通して検知センサ2に入射させる。この光学波長バンドパスフィルタ3は必要に応じて設けられる。
【0021】
検知センサ2は、光学波長バンドパスフィルタ3を通して入射した光エネルギー4を受光して電気信号に変換し、受光検知信号を出力する。この検知センサ2としては、例えば焦電型のセンサを用いることができる。前置フィルタ5は本発明の高速フーリエ変換による火災判定で対象とする受光検知信号における第1周波数帯域と第2周波数帯域の両方を含む信号成分を通すもので、具体的には第2波長帯域の上限周波数を超える周波数成分をカットするローパスフィルタが使用される。
【0022】
即ち本発明にあっては、検知センサ2からの受光検知信号における炎のゆらぎ中心周波数を含む実質的な炎のゆらぎ周波数帯域である例えば0.5Hz〜8.0Hzの第1周波数帯域の信号成分と、この第1周波数帯域に隣接する高周波側の例えば8.5Hz〜16.0Hzの第2周波数帯域の信号成分を含む受光検知信号を高速フーリエ変換により周波数解析した信号、即ち第1周波数帯域のパワースペクトル成分と第2周波数帯域のパワースペクトル成分とに基づいて火災を判定することから、前置フィルタ5は、この第1周波数帯域及び第2周波数帯域を含むように、第2周波数帯域の上限である16.0Hz以上の周波数成分をカットするローパスフィルタを使用する。
【0023】
増幅部6は、前置フィルタ5で抽出した0〜16Hzの周波数成分を持つ受光検知信号を増幅する。AD変換器7は、増幅部6からの受光検知信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル受光検知信号に変換することでMPU8に取り込む。なお、AD変換器7は、MPU8の内部回路として通常、設けられている。
【0024】
ここでAD変換器7によるサンプリング周波数は、MPU8の高速フーリエ変換で周波数解析する上限周波数16Hzの2倍となる32Hzに設定されるものであるが、この実施形態にあっては周波数解析の精度を高めるためにサンプリング周波数を2倍の64Hzに設定している。このためMPU8における高速フーリエ変換にあっては、32Hzまでのパワースペクトル成分を解析できるが、本発明の実施形態にあっては、その内16Hzまでを有効な解析結果として扱うようにしている。
【0025】
MPU8は、0.5Hz〜8.0Hzの第1周波数帯域及び8.5Hz〜16.0Hzの第2周波数帯域の各周波数成分を含む受光検知信号をAD変換器7によるサンプリングにより入力し、高速フーリエ変換(FFT)を用いた周波数解析により火災を判定する。
【0026】
この高速フーリエ変換を用いた周波数解析による火災判定においては、パワースペクトルを求める絶対値演算に要する時間の解析時間全体に占める比重が大きい。本発明にあっては高速フーリエ変換におけるパワースペクトル成分を算出するための絶対値演算を、まず第1周波数帯域についてのみ行い、第1周波数帯域のパワースペクトル成分から炎のゆらぎ中心周波数に対応したピーク値の有無をチェックし、炎のゆらぎ中心周波数に対応したピーク値がなければ第2周波数帯域における高速フーリエ変換の絶対値演算は行わないようにし、これによって定常監視状態で火災がないときの演算時間を大幅に短縮している。
【0027】
図2は図1のMPU8のプログラム制御により実現される本発明の火災検知処理の機能ブロック図である。図2において本発明の火災検知処理は、複素成分演算部9、第1絶対値演算部10、比較部11、終了処理部12、第2絶対値演算部13及び火災判定部14で構成される。
【0028】
複素成分演算部9は、図1のAD変換器7によりサンプリング周波数64Hzで例えばサンプリング期間2秒間に亘りサンプリング数N=128点として取り込んだサンプリングデータを対象に、高速フーリエ変換のアルゴリズムに従って実数部Xと虚数部Yからなる複素スペクトル成分を、第1周波数帯域及び第2周波数帯域を含む0〜16Hzの周波数帯域について演算する。
【0029】
第1絶対値演算部10は、複素成分演算部9で算出された0Hz〜16Hzの周波数帯域の複素スペクトル成分の中から実質的な炎のゆらぎ周波数帯域である0.5Hz〜8.0Hzの第1周波数帯域に含まれる複素スペクトル成分を抽出し、それぞれの実数部と虚数部の二乗を加算して平方根を開く絶対値演算を行ってパワースペクトルを演算する。
【0030】
図3は本発明の高速フーリエ変換で算出された炎から得られた受光検知信号の0〜16Hzの周波数帯域におけるパワースペクトル成分の演算結果である。この高速フーリエ変換による演算結果としてのパワースペクトルは、f1=0.5Hzからf2=8.0Hzの第1周波数帯域15について、0.5Hzの周波数ピッチでパワースペクトルP1〜P16の16点が算出されている。
【0031】
またf3=8.5Hzからf4=16Hzの第2周波数帯域16については、パワースペクトルP17〜P32の16点が算出されている。なお、周波数が0Hzとなる直流成分P0については、その強度レベルが相対的に大きいことから、上に延びる直線の方向で省略している。
【0032】
図2の第1絶対値演算部10は、複素成分演算部9で算出された第1周波数帯域15に含まれる複素スペクトル成分の実数部と虚数部を対象に、
√{(実数部)2 +(虚数部)2
の絶対値演算を行って図3の第1周波数帯域15に含まれるパワースペクトルP1〜P16を算出する。
【0033】
ここで高速フーリエ変換の演算にあっては、複素成分演算部9による複素スペクトル成分の計算に対し、複素スペクトル成分の実数部と虚数部による絶対値演算に大幅な時間が掛かり、全体を100%とすると絶対値の演算には約4分の3の75%程度の演算時間が掛かる。
【0034】
第1絶対値演算部10による第1周波数帯域15のパワースペクトルの絶対値演算が終了すると比較部11が動作し、図3の第1周波数帯域15のように算出された16点のパワースペクトル成分P1〜P16の中からピーク値FLmax及びピーク周波数F0を検出する。
【0035】
図3の場合、パワースペクトル成分P5がピーク値FLmaxとなり、そのピーク周波数F0はF0=2.5Hzとして検出される。このようにして第1周波数帯域15の周波数スペクトル成分の中からピーク値FLmax及びピーク周波数F0が検出できたならば、ピーク周波数F0と予め定めた炎のゆらぎ中心周波数の上限周波数に対応した所定周波数閾値である例えば4.0Hzと比較し、もしピーク周波数F0が4.0Hzを超えていた場合には火災でないものと判定し、終了処理部12を起動して一連の高速フーリエ変換による火災判定処理を終了させるリセット処理を行う。
【0036】
これに対し比較部11で第1周波数帯域15で検出したピーク周波数F0が炎のゆらぎ中心周波数の上限周波数に対応した周波数閾値4.0Hz以下であった場合には、火災の炎による受光検知信号である可能性が高いことから、第2絶対値演算部13を起動し、非火災かどうか判断するために第2周波数帯域16についての処理を行う。
【0037】
即ち第2絶対値演算部13は複素成分演算部9で既に算出されている第2周波数帯域16の複素スペクトル成分を抽出し、各複素スペクトル成分の実数部と虚数部の絶対値演算により、例えば図3の第2周波数帯域16に示す16点のパワースペクトル成分P17〜P32を演算する。
【0038】
火災判定部14は、第2絶対値演算部13の演算が終了した時点で、既に得られている第1絶対値演算部10からの第1周波数帯域15のパワースペクトル成分P1〜P16と第2絶対値演算部13で演算された第2周波数帯域16のパワースペクトル成分P17〜P32を取り込み、それぞれについてパワースペクトルの積算を行って積算値WL,WHを求める。
【0039】
即ち第1周波数帯域15については絶対値として算出されたパワースペクトル成分P1〜P16を加算して積算値WLを算出する。また第2周波数帯域16についてはパワースペクトル成分P17〜P32を加算して積算値WHを算出する。そして第1周波数帯域15の積算値WLを第2周波数帯域16の積算値WHで割った比率AとしてA=(WL/WH)を算出する。
【0040】
このようにして算出した比率Aが予め定めた所定の閾値TH1以上であれば火災と判定し、外部に火災信号を出力する。この比率Aを判定する閾値TH1としては、本願発明者らの実験では、ある条件下で炎の場合はA>4.0となり、非火災などの原因となる水銀灯や回転灯の場合はA≦3.0となることが確認されていることから、火災判定の閾値THとして例えばTH1=4.0を設定することで炎を検出することができる。
【0041】
ここで図2の複素成分演算部9による演算時間をTF、第1絶対値演算部10による演算時間をT1、第2絶対値演算部13による演算時間をT2とすると、第1絶対値演算部10の演算結果から比較部11で火災でないと判定された場合の演算所要時間Taは
Ta=TF+T1
となる。
【0042】
一方、比較部11で火災らしいと判断されて第2絶対値演算部13及び火災判定部14による演算が行われた場合の演算所要時間Taは
Ta=TF+T1+T2
となる。
【0043】
このため通常の監視状態にあっては、防災受信盤から引き出された信号線に接続されている本発明の火災検知器のほとんど全てで火災の炎以外の光エネルギーを受光した状態にあり、この結果、各火災検知器における高速フーリエ変換による火災判定の処理は図2における複素成分演算部9及び第1絶対値演算部10側の処理となり、その場合の演算所要時間はTa=TF+T1となり、大幅にMPU8による高速フーリエ変換の演算時間を短縮することが可能となっている。
【0044】
これにより非火災時の判定処理時間を短縮し、次の監視動作への復帰を早くすることができ、すなわち真火災の早期検出を実現している。
【0045】
図4は図1のMPU8による高速フーリエ変換を用いた本発明の火災判定処理のフローチャートである。この火災判定処理にあっては、AD変換器7によるサンプリング周波数を64Hz、サンプリング期間を2秒間とすることで、128点のサンプル点を得ている。
【0046】
図4において、まずステップS1でサンプリング周波数64Hzでサンプリング期間2秒間に亘ってサンプリングした128点の受光検知信号を対象に高速フーリエ変換の演算を実行し、図3の第1周波数帯域15及び第2周波数帯域16の各複素スペクトル成分を演算結果として取得する。
【0047】
この場合、サンプリング周波数を64Hzとしていることから、演算上は複素スペクトル成分が32Hzまで得られるが、本発明で使用する有効な結果は16Hzまでの複素スペクトル成分とする。
【0048】
続いてステップS2で第1周波数帯域15を対象とした0.5〜8.0Hzの複素スペクトル成分の実数部と虚数部の絶対値演算を行ってパワースペクトル成分P〜P16を算出する。この場合、算出するパワースペクトル成分は直流成分P0を除いた16点について行うので、絶対値演算は16回行うことになる。
【0049】
このステップS2の第1周波数帯域15側の絶対値演算の演算時間T1としては、1回の絶対値演算の時間をΔtとすると
T1=Δt×16
となる。例えば絶対値の1回の演算時間Δt=12msecとすると、第1周波数帯域15側の絶対値の演算時間T1はT1=192msecとなる。
【0050】
続いてステップS3で、直流パワースペクトル成分P0を除く0.5Hz〜8.0Hzの間の第1周波数帯域15のパワースペクトル成分P1〜P16を対象にピーク値FLmax及びピーク周波数F0を検出する。
【0051】
続いてステップS4で、第1周波数帯域15から検出したピーク周波数F0が予め定めた炎のゆらぎ中心周波数の上限周波数に対応した周波数閾値4.0Hzと比較し、もし周波数閾値4.0Hzより大きければ炎のゆらぎ中心周波数に依存したピーク値は存在しないものと判断し、この場合は火災でないことから次のステップS5〜S10の処理をスキップして処理を終了する。
【0052】
これに対しステップS4でピーク周波数F0が炎のゆらぎ中心周波数の上限に対応した周波数閾値4.0Hz以下であった場合には火災の可能性が高いことから、ステップS5からの処理に移行する。
【0053】
ステップS5にあっては8.5Hz〜16Hzの第2周波数帯域16について既にステップS1で算出している複素スペクトル成分を取り出し、それぞれの実数部と虚数部の絶対値演算によりパワースペクトル成分P17〜P32を算出する。この場合の絶対値演算の回数は16回行うことになる。
【0054】
ここで第2周波数帯域16についての絶対値演算の演算時間T2は、1回の絶対値演算時間をΔtとすると
T2=Δt×16
となる。例えば1回の絶対値演算時間Δt=12msecとすれば、第2周波数帯域16における16回の絶対値演算時間T2はT2=192msecとなる。
【0055】
次にステップS6で、第1周波数帯域15についてステップS2で既に算出している絶対値としてのパワースペクトル成分P1〜P16を取り込んで積算し、積算値WLを算出する。また次のステップS7で、第2周波数帯域16についてステップS5で既に算出している絶対値としてのパワースペクトル成分P17〜P32を積算し、積算値WHを求める。
【0056】
次にステップS8で第1周波数帯域15の積算値WLと第2周波数帯域16の積算値WHとの比率AをA=(WL/WH)として算出する。続いてステップS9で、比率Aが予め定めた所定の閾値TH1例えばTH1=4.0と比較し、TH1以上であれば火災と判定し、ステップS10に進んで火災信号を外部に出力する。
【0057】
またステップS9で比率Aが閾値TH1より小さければ、火災の炎以外の非火災報原因例えば緊急車両の回転灯などの光を受光して第1周波数帯域15に4Hz以下のピーク周波数F0が検出されたものと判断し、この場合には非火災であることからステップS10をスキップし、一連の処理を終了する。
【0058】
このため図4のフローチャートの処理にあっては、火災でない場合には演算時間TaはTa=TF+T1=TF+192msとなり、一方、火災の場合には演算所要時間Ta=TF+T1+T2=TF+384msとなり、この実施形態では火災でなかった場合にMPU8における1回の火災検知のための演算時間を約200ms短縮することができる。
【0059】
このようにMPU8による高速フーリエ変換を用いた周波数解析による火災判定の演算に要する時間が短縮できれば、その分、MPU8の消費電力を低減し、電源バックアップのための装置を更に小型化して低コスト化することができる。
【0060】
また非火災時の1回の火災判定の演算時間を変えない場合には、短縮処理により得られる空き時間を利用して高速フーリエ変換による周波数解析の精度を高めることができる。
【0061】
具体的にはサンプリング周波数を64Hzのままサンプリング期間を2倍の4秒間に増やして256点のサンプリングデータを対象とした高速フーリエ変換を行って周波数分解能を0.25Hzピッチに高めても良いし、サンプリング周波数を128Hzでサンプリング期間を2秒間のままとし、周波数解析の精度を高めても良い。
【0062】
なお、上記の実施形態にあっては、火災の判定を第1周波数帯域15と第2周波数帯域16の絶対値として算出された各パワースペクトル成分の積算値の比率に基づいて判定しているが、第1周波数帯域15の積算値WLが所定レベル以上で且つ第2周波数帯域16の積算値WHが所定レベル以下の場合に、火災と判定するようにしても良い。
【0063】
また、上記実施形態にあっては、第1周波数帯域15と第2周波数帯域16を不連続にしているが、連続させても、あるいは一部をオーバラップさせても良い。また、第2周波数帯域16は、一つの周波数帯域に限らず、複数の周波数帯域であっても良い。
【0064】
重要なことは、第1周波数帯域15に炎のゆらぎ中心周波数が含まれていて、且つ、第2周波数帯域16に炎のゆらぎ中心周波数が含まれておらず、第1周波数帯域よりも高い周波数を含むことである。これ以外の事項は検出性能などの要求に合わせて適宜に調整すれば良い。
【0065】
また本発明は上記の実施形態に示した数値による限定は受けず、その目的と利点を損なわない適宜の変形を含む。
【0066】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、炎のゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域について高速フーリエ変換の絶対値演算によるパワースペクトル成分を求め、このパワースペクトル成分の中に炎のゆらぎ中心周波数に対応するピーク値がなければ、第1周波数帯域の高周波側の第2周波数帯域についての高速フーリエ変換における絶対値演算を行わないようにしたことで、火災がない通常の監視状態での火災検知器におけるMPUの演算時間を大幅に短縮し、火災検知器に消費電力を低減するための低速のMPUを使用していても、高速フーリエ変換の演算に要する時間が短縮できることで、その分、火災判定の処理能力を向上し、または演算時間の短縮で更に消費電力の低減を図ることができる。
【0067】
また演算時間が同じであれば、高速フーリエ変換における周波数解析の分解能や精度が向上し、火災判定が正確にでき、非火災報を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による火災検知器のブロック図
【図2】図1のMPUの機能構成のブロック図
【図3】本発明の高速フーリエ変換で得られたスペクトル成分の説明図
【図4】本発明の高速フーリエ変換法を用いた火災検知処理のフローチャート
【符号の説明】
1:火災検知器
2:検知センサ
3:光学波長バンドパスフィルタ(4.4μm狭帯域バンドパスフィルタ)
4:光エネルギー
5:前置フィルタ
6:増幅部
7:AD変換器
8:MPU(マイクロプロセッサ)
9:複素成分演算部
10:第1絶対値演算部
11:比較部
12:終了処理部
13:第2絶対値演算部
14:火災判定部
15:第1周波数帯域
16:第2周波数帯域

Claims (2)

  1. 光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力された受光検知信号をプロセッサに入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知器に於いて、
    炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域と炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ前記第1周波数帯域よりも高周波側の周波数を含む第2周波数帯域の信号成分を含んだ受光検知信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングした後にフーリエ変換を行って実数部と虚数部をもつ複素スペクトル成分を求める演算を行う複素成分演算部と、
    前記複素成分演算部により複素スペクトル成分を算出した後に、前記第1周波数帯域の複素スペクトル成分の絶対値演算を行い第1周波数帯域のパワースペクトル成分を演算する第1絶対値演算部と、
    前記第1周波数帯域のパワースペクトル成分の中からピーク値を検出してそのピーク周波数を炎のゆらぎ中心周波数の上限に対応した所定の周波数閾値と比較する比較部と、
    前記ピーク周波数が前記周波数閾値を越えた場合に、火災が発生していないと判定して処理を終了する処理終了部と、
    前記ピーク周波数が前記周波数閾値以下の場合に、前記第2周波数帯域の複素スペクトル成分の絶対値演算を行い第2周波数帯域のパワースペクトル成分を演算する第2絶対値演算部と、
    前記第1周波数帯域のパワースペクトル成分の積算値と前記第2周波数帯域のパワースペクトル成分の積算値に基づいて火災の判定を行う火災判定部と、
    を備えたことを特徴とする火災検知器。
  2. 光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力された受光検知信号をプロセッサに入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知方法に於いて、
    炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域と炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ前記第1周波数帯域よりも高周波側の周波数を含む第2周波数帯域の信号成分を含んだ受光検知信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングした後にフーリエ変換を行って実数部と虚数部をもつ複素スペクトル成分を求める演算を行う複素成分演算ステップと、
    前記複素スペクトル成分を算出した後に、前記第1周波数帯域の複素スペクトル成分の絶対値演算を行い第1周波数帯域のパワースペクトル成分を演算する第1絶対値演算ステップと、
    前記第1周波数帯域のパワースペクトル成分の中からピーク値を検出してそのピーク周波数を炎のゆらぎ中心周波数の上限に対応した所定の周波数閾値と比較する比較ステップと、
    前記ピーク周波数が前記周波数閾値を越えた場合に、火災が発生していないと判定して処理を終了する処理終了ステップと、
    前記ピーク周波数が前記周波数閾値以下の場合に、前記第2周波数帯域の複素スヘクトル成分の絶対値演算を行い第2周波数帯域のパワースペクトル成分を演算する第2絶対値演算ステップと、
    前記第1周波数帯域のパワースペクトル成分の積算値と前記第2周波数帯域のパワースペクトル成分の積算値に基づいて火災の判定を行う火災判定ステップと、
    を備えたことを特徴とする火災検知方法。
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