JP3730082B2 - シガレット検査装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シガレット製造装置により連続して製造されるシガレットのフィルタ端面の汚れや不良を検査するシガレット検査装置に関する。
【０００２】
【関連する背景技術】
シガレット製造装置（巻上機）は、通常、刻みたばこを長尺の巻紙にて、その長手方向に連続して巻き上げて長尺棒状のたばこロッド（棒巻きたばこ）を形成し、このたばこロッドを所定長毎に切断した後、その一端部にアセテート等の繊維素材からなるフィルタを装着することでフィルタ付きシガレットを連続して製造する如く構成される。
【０００３】
ところで上述した如くフィルタ付きシガレットを連続して製造する場合、シガレット製造装置におけるカッタ・ブレードに付着した油や、巻紙やフィルタラップを接着する為の接着剤の糊垢等が、希にフィルタ端面に付着し、汚れやシミを発生させる原因となる。このようなフィルタ端面に汚れやシミが生じたシガレットについては、これを確実に検出してその製造ラインから排除し、シガレットの製造品質を高めることが重要である。
【０００４】
一方、活性炭を含むフィルタ層（チャコールフィルタ）をその奥部に設けた、所謂チャコールフィルタタイプのシガレットにおいては、そのフィルタ端部に位置付けられるアセテート等の繊維素材からなるフィルタ層が規定の長さに満たないような場合、その奥部のチャコールフィルタの色が浮き上がって見えて、薄汚く感じられることがある。そこで従来、撮像装置（カメラ）にて撮像されるフィルタ端面の画像からその色成分を調べるチャコールフィルタの色の浮き上がりを検出し、チャコールフィルタの色が浮き上がったシガレットをその製造ラインから排除することが行われている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前述した油や糊垢の付着に起因する汚れやシミは、フィルタ端面に局所的に生じることが多く、これを上述したフィルタ端面の画像から容易に検出することが困難である。ましてフィルタ端面における周縁近傍部分に汚れやシミが生じているような場合、フィルタ端面の輪郭部分との区別が付き難いので、その検出が非常に困難である。ちなみにフィルタ端面を撮像した画像から該フィルタ端面の形状（フィルタの領域）を検出し、その上でフィルタ端面における局所的な汚れやシミを検出しようとすると、大掛かりで複雑な画像処理が必要となることが否めない。
【０００６】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、複雑な画像処理を用いることなしにフィルタ端面に生じた汚れやシミを確実に検出することのできる簡易な構成のシガレット検査装置を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するべく本発明に係るシガレット検査装置は、シガレット製造装置におけるシガレット搬送ドラム等の搬送機構により横並びに保持されて搬送されるシガレットのフィルタ端面を検査するものであって、
前記搬送機構によるシガレットの搬送に同期して、該搬送機構により保持されて搬送されるシガレットのフィルタ端面を含む所定の視野領域を撮像する撮像装置と、この撮像装置にて撮像された画像中の前記フィルタ端面の正常な色成分以外の色成分を持つ領域を判定して前記フィルタ端面の品質を判定する画像処理手段とを具備してなり、
特に前記搬送機構における前記撮像装置の撮像視野領域に含まれる部位を前記フィルタ端面の正常な色成分を有するように表面加工すると共に、シガレットを保持した搬送機構の後側の前記撮像装置の撮像視野領域に含まれる領域を前記フィルタ端面の正常な色成分を有するように設定する背景付与手段を設けたことを特徴としている。
【０００８】
即ち、本発明に係るシガレット検査装置は、シガレットのフィルタ端面を撮像する撮像装置の視野領域において上記フィルタ端面の背景となる部分、具体的には前記搬送機構の表面およびシガレットを保持した搬送機構の後側の領域を、予めフィルタ端面の正常な色成分を有するように設定することで、前記撮像装置の視野領域の全てが基本的に前記フィルタ端面の正常な色成分だけからなるようにする。そして前記撮像装置にて撮像されたフィルタ端面の画像中から該フィルタ端面の正常な色成分以外の色成分を持つ領域を検出することで、フィルタ端面の形状（輪郭）に拘わることなく該フィルタ端面に生じた汚れやシミを簡易にして確実に検出することを特徴としている。
【０００９】
本発明の好ましい態様は、請求項２に記載するように前記搬送機構の表面加工は、前記フィルタ端面の正常な色成分の塗料による艶消し塗装により実現され、また前記背景付与手段は、前記搬送機構により保持されたシガレットのフィルタ端面とは反対側を前記フィルタ端面の正常な色成分にて背景照明する背景照明光源として実現される。
【００１０】
また好ましくは前記画像処理手段は、請求項３に示すように、前記フィルタ端面の正常な色成分を、ＲＧＢ値とその明度とからなる色分解値として予め記憶するメモリを備え、所定の許容範囲において上記記憶した色分解値と前記撮像装置にて撮像された画像とを照合することで、前記フィルタ端面の正常な色成分以外の色成分を持つ画像領域を検出することを特徴とする。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るシガレット検査装置について説明する。
図１はこの実施形態に係るシガレット検査装置の要部概略構成図で、１はシガレット製造装置に組み込まれて、該シガレット製造装置にて連続して製造されるシガレットを横並びにして搬送する搬送ドラム（搬送装置）である。この搬送ドラム１はフィルタ装着工程の後段に設けられるものであって、フィルタ装着工程にてシガレットＴの一端部にフィルタＦが装着され、その後、フィルタＦの向きを揃えて横並びに整列させた複数本のフィルタ付きシガレットを、該搬送ドラム１の周面に１本ずつ保持し、その回転により次工程に搬送する役割を担う。
【００１２】
しかして搬送ドラム１の側部には、該搬送ドラム１がなすシガレットＴの搬送路（搬送ドラム１の周面）に位置して、搬送ドラム１に保持されて搬送されるシガレットＴのフィルタ端面を撮像するカメラ（撮像装置）２が設けられている。このカメラ２は、例えば小型のＣＣＤカラーカメラからなり、搬送ドラム１によるシガレットＴの搬送路中の所定の搬送位置において、その撮像レンズ系の光軸が該シガレットＴの軸心と一致するように設けられており、これによって該シガレットＴのフィルタ端面の全体をその画像中心に捉えるようにその撮像視野領域が設定されている。
【００１３】
このカメラ２は、撮影同期回路３により前記搬送ドラム１の回転（シガレットＴの搬送）に同期させて駆動され、例えば１／１０００秒以上の高速で前記所定の搬送位置に位置付けられたシガレットＴのフィルタ端面を、ブレのない静止画像として撮像する。そしてこのカメラ２にて撮像された上記シガレットＴのフィルタ端面を含む画像は画像処理装置４に与えられ、後述する所定の画像処理によるフィルタ端面の汚れやシミの検出に供される。そしてこの画像処理装置４にてフィルタ端面の汚れやシミが検出されると、画像処理装置４はそのシガレットＴを排除するべく、前記搬送ドラム１の後工程に設けられた不良品排出装置５に対して不良品排除指令を発し、これによって該当するシガレットＴをその製造ラインから排除するものとなっている。
【００１４】
基本的には上述した如く構成されるシガレット検査装置において、この発明が特徴とする第１の点は、前記カメラ２の撮像視野領域に含まれる搬送ドラム１の表面、特にカメラ２に対峙する側の端面１ａが、予めシガレットＴにおけるフィルタＦの端面が有する正規の色成分と同じ色成分の塗料にて艶消し塗装されている点にある。即ち、フィルタ端面は、通常、アセテート等の繊維素材からなるフィルタの切断面であり、概ねその素材色である白色の無光沢な面をなす。これに対して搬送ドラム１は、通常、金属材で構成され、その金属質が現れた光沢面からなる表面を有する。そこでこの搬送ドラム１の表面に、上記フィルタ端面とほぼ同程度の色合いを持つ白色系の塗料を艶消し塗装（表面加工）することで、フィルタ端面の正常な色成分（白色）を有する面となるように設定されている。
【００１５】
また第２の特徴点は、前記カメラ２の撮像視野領域に含まれる搬送ドラム１の後側の領域に位置して、背景照明光源６を設けている点にある。この背景照明光源６は、搬送ドラム１を挟んで前記カメラ２に対峙させて設けられるものであって、例えば無光沢の白色面を有する透光板６ａと、この透光板６ａの裏面側に設けられた該透光板６ａを透過照明する白色光源６ｂとからなる。そして白色の透光板６ａの全面を白色化することにより、カメラ２が撮像したシガレットＴのフィルタ端面の背景が、該フィルタ端面の正常な色成分（白色）を有するように背景照明するものとなっている。
【００１６】
前述したカメラ２は、上述した如く設定された撮像環境において、搬送ドラム１に保持されて搬送されるシガレットＴのフィルタ端面を、該カメラ２の周囲に設けた白色の無影照明光源、例えばリングライト７にて照明し、該フィルタ端面を含む所定の撮像視野範囲の像を撮像する。この結果、カメラ２により撮像された画像は、基本的にはその全体がフィルタ端面の色成分からなる白色画像として求められる。
【００１７】
前述した画像処理装置４は、予め前記フィルタ端面が有する正常な色成分を、例えばその３原色成分に分解したＲＧＢ値とその明度とからなる色分解値として記憶したメモリ４ａを備えており、このメモリ４ａに記憶した上記色分解値を基準として上述した如くカメラ２にて撮像されたフィルタ端面の画像を処理し、上記正常な色成分以外の色成分を有する画像領域を検出する。具体的には画像処理装置４は、所定の許容範囲において上記色分解値とカメラにより撮像された画像の色成分とを比較照合し、上記色分解値から外れる色成分を有する画素（ピクセル）を検出することで、フィルタ端面の正常な色成分以外の画像領域を検出している。そして検出した画像領域の大きさを判定する等して、フィルタ端面に生じた汚れやシミを検出するものとなっている。
【００１８】
即ち、上述した搬送ドラム１を艶消し塗装することなく、また背景照明することのない撮像環境においてカメラ２が撮像したフィルタ端面の画像は、一般的には図２(ａ)に示すようにフィルタ端面を示す画像部分Ａと、搬送ドラム１を示す画像部分Ｂ、およびその背景をなす画像部分Ｃとに分かれ、それぞれ固有な色成分を持つ。これ故、フィルタ端面に汚れやシミに起因する変色部分Ｄが存在しても、その変色部分Ｄが各領域Ａ,Ｂ,Ｃの境界部分にある場合には、これを検出することが困難である。まして変色部分Ｄの色成分がその背景をなす画像部分Ｂ,Ｃの色成分と似ているような場合、当該変色部分Ｄがフィルタ端面に生じた汚れやシミに起因する画像部分Ａに存在するものか、フィルタ端面の外形の歪みに依存して背景をなす画像部分Ｂ,Ｃに含まれるものであるかを判断することが非常に困難となる。
【００１９】
この点、前述したように搬送ドラム１の表面をフィルタ端面の色と同じように艶消し塗装すれば、これを撮像した画像は図２(ｂ)に示すようになり、実質的に画像領域Ａ,Ｂの区別がつかなくなる。更に前述した背景照明を施せば、カメラ２により撮像される画像は、図２(ｃ)に示すようになり、実質的に画像領域Ａ,Ｂ,Ｃ間の区別もつかなくなる。この結果、フィルタ端面に生じた変色部分Ｄを、その画像全体における特異な色成分を有する画像部分であるとして検出することが可能となり、ここにその背景に拘わることなしてフィルタ端面に生じた汚れやシミを検出することが可能となる。
【００２０】
尚、画像処理装置４においては、予め画像中におけるフィルタ端面の概略的な画像領域Ａが明らかなので、図２(ｄ)に示すように画像領域Ａと、フィルタ端面の形状変化を踏まえて設定される周辺領域だけを、つまりフィルタ端面よりも僅かに大きいエリアを画像処理対象の領域Ｅとして抽出し、この領域Ｅ内における変色部分Ｄを検出するようにしても良い。このようにして画像処理対象とする領域（検査領域）を制限すれば、そのデータ処理量を低減することが可能となるので、画像処理装置４における処理負担を軽減することが可能となる等の効果が奏せられる。
【００２１】
かくして上述した如くしてフィルタ端面における汚れやシミの存在を検出するシガレット検査装置によれば、フィルタ端面の背景をなす領域を、フィルタ端面の正常な色成分を同じくした撮像環境を設定し、この環境下でフィルタ端面を撮像した画像から、その汚れやシミに起因する変色部分を検出するので、簡易な画像処理だけで確実に上記変色部分（汚れやシミ）を検出することができる。しかもフィルタ端面の正常な色成分は、該フィルタの仕様に応じて予め既知なるものであり、一般的には白色であるから、前述した如く搬送ドラム１の表面を艶消し塗装したり、背景照明光源６を設けて、その背景部分をなす色成分をフィルタ端面の色成分に合わせることが容易である。従ってシガレット検査装置を簡易に、且つ安価に構築することができる等の利点がある。
【００２２】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない、ここではＣＣＤカラーカメラを用いてフィルタ端面の画像を求めたが、例えば黄色透過フィルタ等の色選択性を有する光学フィルタを介してフィルタ端面の画像を得るようにすれば、汚れやシミによって生じた黄色系の変色領域だけを強調して撮像することが可能となるので、モノクロカメラを用いて簡易に検査することが可能となる。この場合には、白色成分の画像領域と黄色系の変色領域との画像信号レベルが変化するので、その画像信号レベルを判定して白色成分以外の変色領域を検出するようにすれば良い。またフィルタ端面を照明するリングライト７として、黄色系の照明光を発する用いれば、上述した黄色透過フィルタを用いる場合と同様に、汚れやシミによって生じた黄色系の変色領域を強調してその画像を得ることが可能となるので、この場合にも同様にして装置構成の簡素化を図ることが可能なる。
【００２３】
またここでは搬送ドラム１によりシガレットＴを搬送しながら、そのフィルタ端面の汚れやシミを検出するものとしたが、搬送コンベア上にシガレットＴを載置して搬送する場合においても同様に検査することができる。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【００２４】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シガレットのフィルタ端面を撮像した際にその背景となる部分を艶消し塗装したり背景照明する等して、フィルタ端面の正常な色成分となるようにしているので、フィルタ端面の形状を特定することなしに簡易にして確実にフィルタ端面に生じた汚れやシミの存在を検出することができる。しかも複雑な画像処理を用いることなく、フィルタ端面の不良を確実に検出し、排除指令を発することでその不良品を排除することができる等の実用上多大なる効果が奏せられる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係るシガレット検査装置の要部概略構成を示す図。
【図２】図１に示すシガレット検査装置において撮像されるフィルタ端面の画像と、背景処理による効果を模式的に示す図。
【符号の説明】
１ 搬送ドラム（搬送装置）
１ａ 艶消し塗装面
２ カメラ（撮像装置）
３ 撮影同期回路
４ 画像処理装置
５ 不良品排除装置
６ 背景照明光源
６ａ 透光板
６ｂ 白色光源
７ リングライト（フィルタ端面照明光源）

Claims (3)

1. シガレット製造装置に組み込まれて、搬送機構により横並びに保持されて搬送されるシガレットのフィルタ端面を検査するシガレット検査装置であって、
   前記搬送機構による前記シガレットの搬送に同期して、該搬送機構により保持されて搬送されるシガレットのフィルタ端面を含む所定の視野領域を撮像する撮像装置と、この撮像装置にて撮像された画像中の前記フィルタ端面の正常な色成分以外の色成分を持つ領域を判定して前記フィルタ端面の品質を判定する画像処理手段とを具備し、
   前記搬送機構は、前記撮像装置の撮像視野領域に含まれる部位を前記フィルタ端面の正常な色成分を有するように表面加工してなり、
   更に前記搬送機構の後側に位置付けられて、前記撮像装置の撮像視野領域に含まれる領域を前記フィルタ端面の正常な色成分を有するように設定する背景付与手段を備えることを特徴とするシガレット検査装置。
2. 前記搬送機構の表面加工は、前記フィルタ端面の正常な色成分の塗料による艶消し塗装により実現されるものであって、
   前記背景付与手段は、前記搬送機構により保持されたシガレットのフィルタ端面とは反対側を前記フィルタ端面の正常な色成分にて背景照明する背景照明光源からなる請求項１に記載のシガレット検査装置。
3. 前記画像処理手段は、前記フィルタ端面の正常な色成分を、ＲＧＢ値とその明度とからなる色分解値として予め記憶してなり、所定の許容範囲において上記記憶した色分解値と前記撮像装置にて撮像された画像とを照合して、前記フィルタ端面の正常な色成分以外の色成分を持つ領域を検出することを特徴とする請求項１に記載のシガレット検査装置。

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