JP3726476B2 - クラッチ自動制御車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッチの断接がコントローラからの指令で自動的に制御されるようにされているクラッチ自動制御車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両には、クラッチ自体としては摩擦クラッチを使用するが、その制御を手動ではなく、コントローラからの信号により自動で行うようにしたものとか、手動でも自動でも制御できるようにしたものがある。ここでは、少なくとも自動で制御できるようにしてある車両のことを、クラッチ自動制御車両と言うことにする。
【0003】
クラッチ自動制御車両では、クラッチ油圧アクチュエータを具えており、このアクチュエータにコントローラから制御信号を送り、クラッチの断,接を制御している。即ち、発進時や変速時のギヤシフトに先立ちクラッチは断され、シフト完了後に接の制御がなされる。
手動による(クラッチペダルによる)クラッチ制御であれば、ドライバが車両の状況を判断しながら、断や接の制御を行う。しかし、自動によるクラッチ制御の場合は、コントローラ内に予めクラッチ制御のマップなり学習値(例、半クラッチ学習値)なりを用意しておき、各種センサからの検出信号でコントローラが車両状況を判断し、前記マップ等を基に制御信号を発してクラッチ制御を行っている。
【0004】
変速する場合において問題になるのは、ギヤシフト完了後にクラッチを接してゆく時に発生するショック(クラッチ接時ショック)である。このクラッチ接時ショックが大きいと、変速する度に乗員はカクンというショックを感じることになり、いわゆる「変速フィーリング」が悪くなる。
そこで、変速フィーリングを良くするために、いろいろな車両状況に関しての変速時用クラッチ制御マップが作成されている。例えば、車速に関して作成したマップ,エンジン回転数に関して作成したマップ,積載量に関して作成したマップ,路面μに関して作成したマップ等々である。これらの中からその時の状況に合うと思われるものを選んで、その時の変速のクラッチ制御に適用していた。
【0005】
なお、クラッチ自動制御車両に関する従来の文献としては、例えば、実開平6−8825号公報がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
(問題点)
前記した従来のクラッチ自動制御車両には、次のような問題点があった。
第1の問題点は、変速時クラッチ制御用マップとして、いろいろな車両状況に関して作成した多くのマップを保持しておかなければならないという点である。
第2の問題点は、多くのマップの中から、車両状況に合わせて的確なマップを選定しなければならず、煩雑であるという点である。
【0007】
(問題点の説明)
第1の問題点についてであるが、従来のやり方によれば、原理的には、変速フィーリングに影響を与える車両状況に関しては、全て変速時クラッチ制御マップを作成しておく必要がある。そのため、きめ細かく変速フィーリングを改善しようとする程、数多くのマップを保持しておく必要があった。
第2の問題点についてであるが、マップの数が多くなればなるほど、その使い分けが煩雑で難しくなる。うまく使い分けなければ、多くのマップを保持していても意味がない。例えば、車両の積載量が大の場合の変速時に、積載量に関して作成してあるクラッチ制御のマップを選んで使用しなければ、折角そのマップを保持していてもその恩恵に浴することは出来ない。
本発明は、以上のような問題点を解決することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明では、ギヤ位置センサと、エンジン回転数センサと、車速センサと、クラッチ位置センサと、アクセル開度センサと、車両の制御を行うコントローラと、断,接が該コントローラによって自動制御される摩擦クラッチを具えたクラッチ自動制御車両において、前記コントローラ内に、変速時における車両加速度の許容範囲を設定した目標加速度マップと、変速時における車両減速度の許容範囲を設定した目標減速度マップとを具え、車両加速度が、シフトアップ時には前記目標加速度マップで定める範囲となるよう、またシフトダウン時には前記目標減速度マップで定める範囲となるようクラッチを接する制御を行うこととした。
【0009】
また、前記コントローラ内に、変速時にクラッチを接する際、一気に接方向へ進めるクラッチストロークの量を、アクセル開度に応じて各ギヤ段毎に定めた変速時クラッチ一発接量マップを更に具え、変速時のクラッチ接制御の当初に、前記ギヤ位置センサで検出したギヤ段と前記アクセル開度センサで検出したアクセル開度とを基に、前記変速時クラッチ一発接量マップより求めたクラッチストロークだけ、クラッチを接方向に一気に駆動することを併せ行うようにしてもよい。
【0010】
(解決する動作の概要)
クラッチ自動制御車両のコントローラ内に、変速時の車両加速度なり車両減速度なりにつき、変速フィーリングを悪化させない許容範囲を定めた目標加速度マップ,目標減速度マップを具えておく。そして、シフトアップ時には車両加速度が目標加速度マップの範囲に入るようクラッチ接の制御を行い、シフトダウン時には車両減速度が目標減速度マップの範囲に入るようクラッチ接の制御を行う。これにより、変速フィーリングの悪化を防ぐことが出来る。
【0011】
また、変速時にクラッチを接する当初において、半クラッチ位置よりやや接側の位置まで一気に進めるというクラッチ一発接を行えば、変速動作の時間を短くすることが出来る。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のクラッチ自動制御車両のブロック構成図である。図1において、1はシフトレバー、2はクラッチ制御切替スイッチ、3はブレーキスイッチ、3Aは駐車ブレーキスイッチ、4はブレーキペダル、4Aは駐車ブレーキ、5はコントローラ、5−1は目標加速度マップ、5−2は目標減速度マップ、5−3は変速時一発接量マップ、5−4はカウンタ、6はクラッチペダルセンサ、7はクラッチペダル、8はマスタシリンダ、9はアクセル開度センサ、10はアクセルペダル、11はエンジン、12はエンジン回転センサ、13はクラッチ、14はギヤ位置センサ、15はレリーズフォーク、16はトランスミッション、17はトランスミッション回転センサ、18は油圧パイプ、19はクラッチ油圧アクチュエータ、20はスレーブシリンダ、21はロッド、22はクラッチ位置センサである。
なお、ここではクラッチ自動制御車両として、クラッチ制御が手動でも自動でも出来るものを示している。
【0013】
ブレーキスイッチ3,駐車ブレーキスイッチ3A,クラッチペダルセンサ6,アクセル開度センサ9は、それぞれ対応する各ペダル等が操作されたか否か、あるいは踏み込みの程度を検出する。その検出信号はコントローラ5へ送られる。ギヤ位置センサ14はトランスミッション16での現在のギヤ位置を検出し、クラッチ位置センサ22は、クラッチ断とクラッチ接間でのクラッチ位置(クラッチストローク)を検出する。トランスミッション回転センサ17は、トランスミッション16のカウンタシャフトの回転数を検出する。この回転数を、ギヤ比等を考慮して換算処理することにより、車速を求めることが出来る(その場合、トランスミッション回転センサ17は、車速センサとして用いられている。)。これらのセンサの検出信号も、コントローラ5へ送られる。コントローラ5は、コンピュータ的に構成されている。
【0014】
クラッチ油圧アクチュエータ19は、コントローラ5からの制御信号に基づき、クラッチの断,接を制御するアクチュエータである。クラッチ13はコントローラ5からの信号で自動的に制御することも出来るし、クラッチペダル7により手動的に制御することも出来るようにされている。そのため、クラッチペダル7のマスタシリンダ8から、クラッチ13のスレーブシリンダ20に至る油圧パイプ18の途中に、クラッチ油圧アクチュエータ19が介挿されている。
【0015】
クラッチ制御切替スイッチ2は、クラッチ13の制御を自動的に行わせるか、手動的に(クラッチペダル7により)行わせるかを切り替えるスイッチである。手動側に切り替えると、クラッチペダル7からの油圧が、スレーブシリンダ20に伝えられる。自動側に切り替えると、クラッチ油圧アクチュエータ19内にあるポンプ等(図示せず)が、コントローラ5からの信号により運転され、その油圧がスレーブシリンダ20に伝えられる(この場合は、クラッチペダル7を踏んでも、その油圧はスレーブシリンダ20へ伝えられない)。
【0016】
なお、クラッチ自動制御車両では、シフトレバー1として、ノブ内にスイッチが内蔵されているものを使用することがある。ドライバがギヤをシフトしようとしてシフトレバー1に力を加えると、まず該スイッチがオンしてドライバのシフト意図を察知する。該スイッチオンの信号をコントローラ5が受けると、クラッチ13はギヤインに備えて断される。そのような状態にされた後、ギヤがシフトされる。
【0017】
ところで、このようなクラッチ自動制御車両で変速をする際には、コントローラ5からの指令により、まずクラッチが断にされ、ギヤが新しいギヤ段へシフトされた後、クラッチの接方向への駆動制御がなされる。
クラッチの駆動制御は、コントローラ5内に具えられた目標加速度マップ5−1,目標減速度マップ5−2,変速時クラッチ一発接量マップ5−3等や、クラッチストロークの各種学習値(例、半クラッチ位置,完接位置等)等を参照しながら行われる。
【0018】
変速時クラッチ一発接量マップ5−3は、変速のためのギヤシフトを完了した後、クラッチを接方向へ制御する際、その当初において、短時間で一気に進めるクラッチストローク量(クラッチ一発接量)を定めたマップである。
図7は、変速時クラッチ一発接量マップを示す図であり、縦軸はクラッチ一発接量、横軸はアクセル開度である。図中の曲線に付したRは後退段,1,2,…6は、それぞれ第1速段,第2速段,…第6速段を意味している。クラッチ一発接量は、各ギヤ段毎にアクセル開度に応じて定められ、半クラッチ位置よりやや接側となるような値に定められる。図7によれば、例えば第4速段に変速する場合であって、アクセル開度がF%の時には、クラッチ一発接量の値はSF4と求められる。
クラッチ一発接を行えば、そのストロークまでは短時間で進められるから、変速動作全体の時間も短縮される。
【0019】
この後、急激に接すれば、シフトアップ時であれば車両は急激な加速度を受け、シフトダウン時には急激な減速度を受ける。この加速度,減速度が、変速フィーリングの悪化をもたらす。しかし、それを避けるために長い時間をかけて接を行うと、変速完了までに時間がかかってしまう。
そこで、本発明では、車両の加速度なり減速度なりを、変速フィーリングを悪化させない程度までは許容しつつ、出来る限り速やかに変速を完了するため、目標加速度マップおよび目標減速度マップを定め、これに従ってクラッチ制御をする。
【0020】
図4は、目標加速度マップを示す図である。縦軸は車両加速度、横軸はエンジン回転数NE とトランスミッション回転数NTMとの回転数差(NE −NTM)である。なお、トランスミッション回転数NTMは、図1のトランスミッション回転センサ17で検出されるカウンタシャフトの回転数である。このマップは、アクセル開度に対応させて設定される。図4はアクセル開度がK1 %の時のものである。
曲線イは目標加速度上限値の曲線であり、曲線ロは目標加速度下限値の曲線である。従って、目標範囲は、曲線イとロで挟まれた範囲(斜線の範囲)である。例えば、アクセル開度=K1 %であり、回転数差(NE −NTM)=N1 である場合、図4によれば目標加速度の上限値はA1Hであり、下限値はA1Lであるから、車両加速度がその間の値となるようクラッチの接の度合いを制御してゆく。
なお、目標加速度マップを適用するのは、シフトアップ時である。
【0021】
図5は、目標減速度マップを示す図である。図4とほぼ同様のマップであるが、次の点で相違している。第1の相違点は、横軸がトランスミッション回転数NTMとエンジン回転数NE との回転数差(NTM−NE )となっている点であり、第2の相違点は、加速度ではなく減速度となっている点である。このマップも、アクセル開度に対応させて設定される。図5は、アクセル開度=K2 %の場合のものである。回転数差(NTM−NE )=N2 である場合、目標減速度の上限値はB2Hであり、下限値はB2Lであるから、車両減速度がその間の値となるようクラッチの接の度合いを制御してゆく。
なお、目標減速度マップを適用するのは、シフトダウン時である。
【0022】
図3は、本発明における変速時のクラッチ位置の変化を示す図である。縦軸はクラッチ位置を示し、横軸は時間を示している。曲線は、クラッチ断から接までのクラッチ位置の変化を示しており、A,B,C,Dはその曲線上の点である。クラッチ断の状態のうちに、ギヤは新しいギヤ段へシフトされ、点Aのところから接方向への駆動が開始される。点Aから点Bまでは、クラッチストロークが短時間で一気に進められる部分(一発で接される部分)であるが、その一発接量SBAは、図7の変速時クラッチ一発接量マップで求められた量である。点Bの位置は、半クラッチ位置よりやや接側の位置となるようにされる。この一発接での制御は、与えられた一発接量SBAだけ無条件に進める制御であり、フィードバック制御ではなくフィードフォワード制御で行われる。
【0023】
その後、クラッチ位置は点Bから点Cへ徐々に進められて行く。この間の制御はフィードバック制御により行われるが、本発明では、シフトアップの時は目標加速度マップ5−1を参照し、シフトダウンの時は目標減速度マップ5−2を参照して、加速度なり減速度なりが目標範囲に入るようにクラッチ制御がなされる。
そして、もう完接に移行しても良いというクラッチ位置(点C)まで来たところで、完接にされる(点D)。
【0024】
図2は、本発明におけるシフトアップ時クラッチ制御を説明するフローチャートである。例えば、第2速段→第3速段へのシフトアップ時の制御であるが、この制御はコントローラ5内で行われる。なお、フローチャートは、クラッチが断にされ、新しいギヤ段へのシフトは完了している状態(図3の点A)からの制御を示している。
【0025】
ステップ1…アクセル開度センサ9より検出されて来るアクセル開度を読み込む。
ステップ2…読み込んだアクセル開度を基に、変速時クラッチ一発接量マップ5−3(図7)より、クラッチ一発接量を求める。そして、コントローラ5よりクラッチ油圧アクチュエータ19に指令を発し、その量だけクラッチを一気に接方向へ進める。これにより、半クラッチ位置よりやや接側の位置まで、クラッチが進められる。クラッチ一発接は、フィードフォワード制御でクラッチを進める制御であるので、従来のフィードバック制御によるクラッチ制御に比べて、素早く進めることが出来、変速を速やかに行うことが出来る。
なお、フィードフォワード制御はクラッチ一発接の時だけであり、この後、完接位置までは、フィードバックにより徐々に進めて行く。
【0026】
ステップ3…エンジン回転センサ12,トランスミッション回転センサ17で検出しているエンジン回転数NE ,トランスミッション回転数NTMを読み込むと共に、アクセル開度も読み込む。目標加速度マップ5−1(図4)の中からアクセル開度に対応したマップを選び出し、そのマップより目標加速度範囲の上限値,下限値を求めるためである。図4によれば、アクセル開度=K1 %,NE −NTM=N1 の場合、上限値=A1H,下限値=A1Lと求められる。
【0027】
ステップ4…現在の車両加速度を算出し、目標加速度範囲の上限値より大か(図4の曲線イより上か)どうか調べる。なお、車両加速度は、トランスミッション回転センサ17の検出信号より車速を求め、それを微分することによって求める。
ステップ5…車両加速度が目標加速度範囲の上限値より大であれば、変速フィーリング上好ましくないから、クラッチを接方向に進めることはしない。接の度合いが進むと、加速度が更に大になる恐れがあるからである。従って、そのままの接状態を維持する(あるいは、クラッチ油圧アクチュエータ19に指令して、制御し得る最小単位だけ断方向に戻すとしてもよい。)。そして、ステップ3に戻る。
【0028】
ステップ6…ステップ4で車両加速度が上限値以下という場合は、目標減速度範囲の下限値より小か(図4の曲線ロより下か)どうか調べる。
ステップ7…下限値より小ということであれば、クラッチを接方向に進めても、変速フィーリングは許容される程度のものであるので、クラッチ油圧アクチュエータ19に指令して、制御し得る最小単位だけ接方向に進める。そして、ステップ3に戻る。
【0029】
ステップ8…このステップに来るのは、車両加速度が目標加速度範囲(図4の斜線の範囲)に入っている場合であるが、その時には、エンジン回転数NE とトランスミッション(のカウンタシャフト)回転数NTMとがほぼ等しくなったかどうか調べる。つまり、所定の小さな回転数ΔNを定めておいて、NE −NTM<ΔNとなったかどうか調べる。クラッチの接が進んで来るに従い、回転数差は小さくなって来る。まだ、そこまで等しくなっていないという場合には、ステップ3に戻る。
【0030】
ステップ9…回転数がほぼ等しくなっていた場合は、カウンタ5−4の値を1だけ増加させる。なお、カウンタ5−4は、変速のクラッチ接制御の際に、エンジン回転数とトランスミッション(カウンタシャフトの)回転数とが略等しくなってからの時間を計時する計時手段として設けているものであるので、この代わりに他の計時手段、例えば、タイマ等を設けてもよい。
ステップ10…カウンタ値が、所定値Mになったかどうか調べる。まだなっていなければ、ステップ3に戻る。図2のフローチャートは、一定の短い時間間隔で繰り返し流されるので、流された回数を数えることにより、経過時間を知ることが出来る(時間間隔をΔtとし、M回とすれば、M×Δtの時間が経過)。
なお、所定値Mの大きさは、変速動作に滑らかさを出すためには、略同回転の状態をどの位の時間維持することが望ましいかということを考慮して決定する。これは、実験等により予め定めておく。
【0031】
ステップ11…カウンタ5−4の値が所定値Mになった場合は、クラッチ位置センサ22からの検出信号を監視していて、クラッチ位置が完接にして良い位置(点C)まで、進行して来たかどうか調べる。まだ来ていなければ、ステップ3に戻る。
ステップ12…クラッチ位置が完接にして良い位置まで進行して来れば、クラッチを完接位置まで進める。なお、カウンタ5−4の値は、次の変速に備えて0に戻しておく。
【0032】
以上は、シフトアップ時の制御であるが、シフトダウン時の制御もほぼ同様である。図6に、本発明におけるシフトダウン時のクラッチ制御を説明するフローチャートを示し、図5にシフトダウン時に適用する目標減速度マップを示す。
シフトアップ時と相違する点は、図4の目標加速度マップではなく、図5の目標減速度マップを適用する点、ステップ4,6で「車両加速度」ではなく「車両減速度」を監視している点である。各ステップの説明は、図2のフローチャートの対応するステップとほぼ同様であるので省略する。
【0033】
なお上例では、変速におけるクラッチ接制御の当初において、変速時クラッチ一発接量マップ5−3より求めたストローク量だけ一気に進めるというクラッチ一発接を行う例を示したが、このことは車両加速度の制御とは直接関係はなく、必ずしも併せて実施する必要はない。従来から行っていた、フィードバック制御によるクラッチ接制御を、当初から行ってもよい。ただ、クラッチ一発接を行うと、変速動作の時間が短縮される。
また、クラッチ自動制御車両として、クラッチ制御が手動でも自動でも可能な車両を例にとって説明したが、自動でのみ制御するようにしてある車両についても、同様に適用できることは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、次のような効果を奏する。
(請求項1の発明の効果)
クラッチ自動制御車両のコントローラ内に、変速時の車両加速度なり車両減速度なりにつき、変速フィーリングを悪化させない許容範囲を定めた目標加速度マップ,目標減速度マップを具えておき、シフトアップ時には車両加速度が目標加速度マップの範囲に入るようクラッチ接の制御を行い、シフトダウン時には車両減速度が目標減速度マップの範囲に入るようクラッチ接の制御を行うので、変速フィーリングの悪化を防ぐことが出来る。
また、変速フィーリングの悪化を防ぐためにコントローラに具えておくマップは、上記の2種類で良いので、従来に比べてマップの種類が少なくて済む。そのため、マップの使い分け等に煩わされることがなくなる。
【0035】
(請求項2の発明の効果)
また、変速時にクラッチを接する当初において、半クラッチ位置よりやや接側の位置まで一気に進めるというクラッチ一発接を併せて行えば、請求項1の発明の効果(マップの種類少なくて、変速フィーリングの悪化防止)に加えて、変速動作の時間を短くすることが出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のクラッチ自動制御車両のブロック構成図
【図2】 本発明におけるシフトアップ時クラッチ制御を説明するフローチャート
【図3】 本発明における変速時のクラッチ位置の変化を示す図
【図4】 目標加速度マップを示す図
【図5】 目標減速度マップを示す図
【図6】 本発明におけるシフトダウン時クラッチ制御を説明するフローチャート
【図7】 変速時クラッチ一発接量マップを示す図
【符号の説明】
1…シフトレバー、2…クラッチ制御切替スイッチ、3…ブレーキスイッチ、3A…駐車ブレーキスイッチ、4…ブレーキペダル、4A…駐車ブレーキ、5…コントローラ、5−1…目標加速度マップ、5−2…目標減速度マップ、5−3…変速時クラッチ一発接量マップ、5−4…カウンタ、6…クラッチペダルセンサ、7…クラッチペダル、8…マスタシリンダ、9…アクセル開度センサ、10…アクセルペダル、11…エンジン、12…エンジン回転センサ、13…クラッチ、14…ギヤ位置センサ、15…レリーズフォーク、16…トランスミッション、17…トランスミッション回転センサ、18…油圧パイプ、19…クラッチ油圧アクチュエータ、20…スレーブシリンダ、21…ロッド、22…クラッチ位置センサ
Claims (2)
- ギヤ位置センサと、エンジン回転数センサと、車速センサと、クラッチ位置センサと、アクセル開度センサと、車両の制御を行うコントローラと、断,接が該コントローラによって自動制御される摩擦クラッチを具えたクラッチ自動制御車両において、
前記コントローラ内に、
変速時における車両加速度の許容範囲を設定した目標加速度マップと、
変速時における車両減速度の許容範囲を設定した目標減速度マップと
を具え、
車両加速度が、シフトアップ時には前記目標加速度マップで定める範囲となるよう、またシフトダウン時には前記目標減速度マップで定める範囲となるようクラッチを接する制御を行う
ことを特徴とするクラッチ自動制御車両。 - コントローラ内に、
変速時にクラッチを接する際、一気に接方向へ進めるクラッチストロークの量を、アクセル開度に応じて各ギヤ段毎に定めた変速時クラッチ一発接量マップを更に具え、
変速時のクラッチ接制御の当初に、前記ギヤ位置センサで検出したギヤ段と前記アクセル開度センサで検出したアクセル開度とを基に、前記変速時クラッチ一発接量マップより求めたクラッチストロークだけ、クラッチを接方向に一気に駆動する
ことを特徴とする請求項1記載のクラッチ自動制御車両。
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