JP3725612B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体基板にアニール処理やCVD処理などの加熱を伴う処理を施す基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体基板(以下、「基板」という。)に酸化やシリサイド化などを施すアニール処理やCVD処理などといった加熱を伴う処理を施す装置では、基板の安定した品質を保つために汚染物質の発生が少ない石英を材料とする部材が多数用いられる。図5はこのような加熱を伴う処理を基板に施す装置の一例である基板処理装置101の断面を示す図である。この装置はランプ102を用いて基板109を加熱する装置であり、ランプ102と基板109との間に石英窓103が設けられている。この石英窓103はチャンバ本体部111とともに基板109が処理される処理空間SPを形成している。このように石英窓103が設けられる理由は、所望の処理環境中における基板109の処理の際に、不要な領域への処理ガスの拡散や他の領域から処理空間SPへの汚染物質の拡散を防止するために処理空間SPの領域を限定する必要があるからであり、また、処理環境に耐えうる透明材料として汚染物質の発生が少ない石英が適しているからである。
【0003】
ところで、石英は靱性に乏しい材料なので温度変化などに起因する変形によって不均一な力が加わると破損してしまうおそれがあり、これを防止する必要がある。また、処理空間SPの処理環境を適切な環境に維持するためには石英窓103とチャンバ本体部111との間において気密性を保つ必要もある。そこで、チャンバ本体部111と石英窓103との間には破損防止および気密性の確保を目的としてゴム系材料のOリングや樹脂ブロックなどの緩衝部材141が設けられており、石英窓103を固定する固定部120と石英窓103と間には破損防止を目的として同様の緩衝部材142が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、基板に加熱を伴う処理を施す基板処理装置では、石英部材を固定するに際し、処理空間の気密性の保持や石英窓の破損防止を目的として緩衝部材が設けられる。
【0005】
しかし、緩衝部材はその目的を達成するために樹脂で形成されており、これに熱が加わると劣化を生じたり処理環境に悪影響を与える汚染ガスを発生したりするという問題を有している。通常、図5に示す例のようにチャンバ本体部111や固定部120及びそれに連接された蓋部112には、水冷パイプ153や水冷ジャケット151、152を形成することにより冷却を行っているが、石英窓103を伝達してくる光や熱によって加熱される緩衝部材141、142を冷却するには十分ではなく、その結果、緩衝部材141、142が劣化したり、汚染ガスを発生して基板の処理環境に悪影響を与えてしまうという問題を有している。
【0006】
そこで、この発明は上記課題に鑑みなされたもので、緩衝部材が高温となることを防ぎ、緩衝部材の劣化を妨げ、汚染ガスの発生を防止することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、基板に加熱を伴う処理を施す基板処理装置であって、処理対象の基板を支持して収容する処理空間を規定するとともに、開口を有するチャンバ本体部と、前記処理空間内で支持された前記基板を加熱する加熱手段と、前記チャンバ本体部と前記加熱手段との間に介挿され、前記開口を覆う面状の石英部材と、内部に冷却用水路を備え、前記石英部材を冷却するとともに、前記石英部材を前記チャンバ本体部に固定する固定部と、前記開口の縁部と前記石英部材との間に配設され、前記石英部材とチャンバ本体部との間を密閉するとともに、前記石英部材への応力を緩衝する緩衝密閉部材と、前記開口の縁部に相当する位置において、前記固定部と前記石英部材との間に介挿された樹脂シートとを備える。
請求項2の発明は、請求項1記載の基板処理装置であって、前記冷却用水路が前記石英部材および前記樹脂シートを挟んで前記緩衝密閉部材と対向する位置にて、前記樹脂シートの近傍に配置される。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の基板処理装置であって、前記加熱手段がランプである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記樹脂シートの厚みが、100μm以上500μm以下である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記樹脂シートがポリイミドフィルムである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記樹脂シートが、前記開口の縁部に沿って相互に間隔を隔てつつ順次に配列された複数の樹脂シート素片からなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明にかかる一の実施の形態である基板処理装置1の断面を示す図であり、図2は図1中のAで示される部分の拡大図である。
【0013】
この装置1は、ランプ2からの光を基板9に短時間照射し、基板9の温度を急激に昇降させることによりアニール処理を行うRTP(Rapid Thermal Processing)装置であり、大きく分けて外郭を構成するチャンバ本体部11、蓋部12、および、チャンバ本体部11と蓋部12との間に設けられてチャンバ本体部11とともに基板9の処理が施される空間(処理空間)SPを形成する円盤状の石英窓3とから構成される。処理空間SP内の下方には、ベース14が設けられ、さらにその上に基板9を支持する基板支持台13が設けられている。また、処理空間SP内の側方には、処理空間SP内の処理ガスが側壁に付着するのを防止するとともに汚染物質の基板9周辺への侵入を防止するライナー15が設けられており、さらに、チャンバ本体部11自身の内部にはチャンバ本体部11を冷却する水路である水冷ジャケット51が設けられている。蓋部12には、加熱手段であるランプ2が取り付けられるとともに、蓋部12自身の内部には冷却用の水路である水冷パイプ53や水冷ジャケット52が設けられている。
【0014】
また、図2に示すように、チャンバ本体部11と石英窓3との間には応力集中を緩和して石英窓3の破損を防止するとともに処理空間SPの気密性の保持を目的として緩衝密閉部材であるOリングが設けられており、蓋部12と石英窓3との間には石英窓3の破損防止を目的とするリング状の緩衝性のある樹脂シートとしてポリイミドフィルムが設けられている。
【0015】
次に、この基板処理装置1の処理動作について説明する。
【0016】
この装置では、まず、矢印Bに沿って基板9が搬入口16からロボットハンドにより処理空間SP内に搬入され、基板支持台13上に載置される。基板9の搬入が完了すると、搬入口16はシャッタ(図示省略)により塞がれて密閉された後、供給口17から処理ガスを矢印F1に沿って処理空間SP内に供給し、あるいは、排気口18から処理空間SP内のガスを矢印F2に沿って排気することにより、処理空間SP内の基板処理環境が調整される。基板処理環境が整うとランプ2が点灯されて基板9が加熱処理される。なお、基板9が処理される間も、ガスの供給・排気を適宜行って、処理空間SP内の処理環境は調整される。
【0017】
基板9の加熱処理が完了すると、搬入口16のシャッタが開き、ロボットハンドが基板9を矢印Bと反対方向に搬出する。
【0018】
以上、この基板処理装置1の処理動作について説明したが、次に、この基板処理装置1の石英窓3の固定方法およびその効果について説明する。
【0019】
この基板処理装置1では、図2に示すようにチャンバ本体部11と蓋部12との間に挟まれるように石英窓3が配置されている。また、石英窓3とチャンバ本体部11との間には緩衝密閉部材であるOリング41が設けられており、石英窓3と蓋部12との間にはOリングではなく応力集中の緩和を目的とするポリイミドフィルム42が設けられている。なお、この実施の形態では石英窓3は図3に示すように円盤状の形状をしており、この上に配置されるポリイミドフィルム42は円形をしている。Oリング41およびポリイミドフィルム42は共に緩衝性のある樹脂により形成されているので、石英窓3に対して局所的に応力を生じさせることはなく、また、石英窓3の温度変化による伸縮に対して柔軟に変形することができる。したがって、石英窓3、チャンバ本体部11および蓋部12が処理空間SP内の急峻な温度変化に伴って膨張・収縮しても、石英窓3とOリング41やポリイミドフィルム42との間には過大な応力は発生せず、石英窓3は破損することはない。
【0020】
ところで、ポリイミドフィルム42はその形状より、Oリングに比べて石英窓3との接触面積を大きくすることができ、また、厚みは非常に小さい。したがって、熱伝導性はOリングに比べて非常に良い。また、ポリイミドフィルム42の形状が平らであるので、ポリイミドフィルム42の近くの蓋部12内部に容易に水冷ジャケット52を設けることができる。したがって、石英窓3の熱をポリイミドフィルム42を介して水冷ジャケット52内を流れる冷却水に容易に吸収させることができ、石英窓3の周縁部の温度上昇を抑えることができる。これにより、この領域と接するOリング41の温度も高温となることはない。その結果、Oリングの長寿命化を図るとともに汚染ガスの発生を防止することができ、処理空間SP内の処理環境を良好に保つことができる。なお、この実施の形態においては蓋部12は、石英窓3に対してチャンバ本体部11側に圧力を与え、石英窓3を固定するとともに、石英窓3を冷却するという固定部の役割を有しているが、水冷ジャケットのみを固定部として形成し、蓋部12が下方にこの固定部を有するようにしてももちろんよい。
【0021】
以上のように、この装置ではポリイミドフィルム42を用いることにより石英窓3の冷却が実現されている。また、ポリイミドフィルム42は厚みが小さいほど熱伝導性が良く、石英窓3を効率よく冷却することができるが、石英窓3を固定する際に発生する応力を低減する緩衝部材としての役割も果たす必要があるので、その厚みは100μm〜500μm程度であることが好ましい。もちろん、この程度の厚みとなるように複数枚のポリイミドフィルムを重ね合わせて用いてもよい。
【0022】
また、蓋部12と石英窓3との間には気密性は要求されないので、ポリイミドフィルム42は図3に示すように円形である必要はなく、図4に示すように、4つの円弧状のポリイミドフィルム42sを樹脂シート素片として相互に分離させて配置するようにしてもよい。これによりポリイミドフィルムの加工が容易となると共に、材料費の削減も図ることができる。
【0023】
以上この発明に係る実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、樹脂シートとしてポリイミドフィルム42を用いているが、耐熱性のある樹脂であれば利用可能であり、フッ素系の樹脂シートなどであってもよい。
【0024】
また、上記実施の形態では、基板処理装置1としてランプを用いてアニール処理を施す枚葉式のRTP装置について説明したが、石英部材を介して基板を加熱する装置であれば有効に利用することができ、例えば、加熱工程がRTPである必要はないし、加熱手段がヒータなどであってもよいし、処理方式が複数枚の基板を石英管中において一度に処理するバッチ式であってもよいし、処理内容もCVD(Chemical Vapor Deposition)などであってもよい。このような様々な形態の基板処理装置における石英部材の固定部位において有効に冷却することができ、緩衝部材の長寿命化や汚染ガスの発生の防止を図ることができる。
【0025】
また、上記実施の形態では水冷ジャケット52を用いて石英窓3を冷却しているが、冷却方法はこれに限定されるものではなく、空冷などであってもよい。
【0026】
さらに、上記実施の形態では、加熱手段であるランプ2が基板9の上方から光を照射するようになっているが、もちろん、上下関係が逆であってもよいし、上方と下方の双方に石英窓とランプとを設け、上下から基板を加熱するようにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明では、石英部材と冷却機能を有する固定部との間に樹脂シートを設けているので、石英部材に過大な応力を発生させることなく石英部材を効率よく冷却することができ、その結果、緩衝密閉部材の長寿命化や汚染ガスの発生の防止を図ることができる。
請求項2記載の発明では、冷却用水路が固定部内の樹脂シート近傍に配置されるため、樹脂シートを介して石英部材を効率よく冷却することができる。
【0028】
請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明と同様、石英部材を効率よく冷却することができるので、石英部材を伝達する光および熱により緩衝密閉部材が高温となることはなく、緩衝密閉部材の長寿命化や汚染ガスの発生の防止を図ることができる。
【0029】
請求項4記載の発明では、樹脂シートの厚みが100μm以上500μm以下であるので、石英部材を効率よく冷却するとともに石英部材での過大な応力の発生を適切に防ぐことができ、その結果、請求項1の発明の効果とともに石英部材の破損を適切に防止することができる。
【0030】
請求項5記載の発明では、樹脂シートがポリイミドフィルムからなるので、石英部材の破損を防止しつつ、石英部材を冷却することができ、緩衝密閉部材の長寿命化や汚染ガスの発生の防止を図ることができる。
【0031】
請求項6記載の発明では、樹脂シートとして複数の樹脂シート素片が分散配置されるので、請求項1の効果と同様、緩衝密閉部材の長寿命化や汚染ガスの発生の防止を図ることができ、その上、樹脂シートの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る一の実施の形態である基板処理装置を示す断面図である。
【図2】図1に示されるA部の拡大図である。
【図3】石英窓とポリイミドフィルムとを示す斜視図である。
【図4】石英窓とポリイミドフィルムとを示す斜視図である。
【図5】従来の基板処理装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板処理装置
2 ランプ
3 石英窓
9 基板
11 チャンバ本体部
12 蓋部
13 基板支持台
41 Oリング
42 ポリイミドフィルム
42s ポリイミドフィルム
52 水冷ジャケット
Claims (6)
- 基板に加熱を伴う処理を施す基板処理装置であって、
(a) 処理対象の基板を支持して収容する処理空間を規定するとともに、開口を有するチャンバ本体部と、
(b) 前記処理空間内で支持された前記基板を加熱する加熱手段と、
(c) 前記チャンバ本体部と前記加熱手段との間に介挿され、前記開口を覆う面状の石英部材と、
(d) 内部に冷却用水路を備え、前記石英部材を冷却するとともに、前記石英部材を前記チャンバ本体部に固定する固定部と、
(e) 前記開口の縁部と前記石英部材との間に配設され、前記石英部材とチャンバ本体部との間を密閉するとともに、前記石英部材への応力を緩衝する緩衝密閉部材と、
(f) 前記開口の縁部に相当する位置において、前記固定部と前記石英部材との間に介挿された樹脂シートと、
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1記載の基板処理装置であって、
前記冷却用水路は、前記石英部材および前記樹脂シートを挟んで前記緩衝密閉部材と対向する位置にて、前記樹脂シートの近傍に配置されることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または2記載の基板処理装置であって、
前記加熱手段がランプであることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記樹脂シートの厚みが、100μm以上500μm以下であることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記樹脂シートがポリイミドフィルムであることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記樹脂シートが、前記開口の縁部に沿って相互に間隔を隔てつつ順次に配列された複数の樹脂シート素片からなることを特徴とする基板処理装置。
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