JP3722848B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は車両に搭載される空調装置に関し、特にオーバーヒートの防止を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エアコンスイッチの操作(コンプレッサ作動指令)に伴って冷媒を圧送するコンプレッサと、圧送された冷媒を冷却するコンデンサと、冷却された冷媒を蒸発させるエバポレータとを有し、ブロアファンから送られる空気をエバポレータで冷却して車室内に吹出すようにした車両用空調装置が知られている。この種の空調装置では、通常、サーモスイッチなどのコンプレッサ停止手段を備え、例えばエバポレータ下流の空気温度が所定の設定温度未満になると、エアコンスイッチのオン・オフに拘らずコンプレッサを停止してエバポレータの凍結を回避するようにしている(日産自動車株式会社発行の新型車解説書 Y32−1 1991年6月)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の車両はウインドガラスの面積が広く車室内への熱負荷が増大する傾向にあり、加えて車両の大型化に伴って車室内空間が増大するため、十分な冷房性能を得るためには従来よりも高性能の空調装置が必要となってきている。しかしながら、高性能の空調装置を車両に搭載すると、上記コンデンサの放熱量が増加してエンジン冷却水温が上昇し、オーバーヒートし易くなるという欠点がある。これは、通常の車両ではコンデンサがラジエータの前面に配置されているため、コンデンサで熱交換された高温の空気がラジエータに直接作用するからである。特に登坂時などの耐熱走行時に上記オーバーヒートが起こり易い。
【0004】
そこで従来は、ラジエータの冷却性能を向上させたり、オーバーヒートしそうな状況では無条件にコンプレッサを停止する制御を行ったり、あるいは空調装置の性能アップを見合わせたりしてオーバーヒートの防止を図っている。しかしながら、ラジエータの冷却性能を向上させるとコストアップが余儀なくされ、またオーバーヒートしそうな状況で無条件にコンプレッサを停止させるものでは、コンプレッサ停止時に満足な冷房性能が得られず乗員に不快感を与える。さらに空調装置の性能アップを抑えると、オーバーヒートが発生しない状況においても満足な冷房性能が得られなくなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、ラジエータの冷却性能をアップさせることなくオーバーヒートを確実に防止でき、かつオーバーヒートが発生しない状況下では勿論、発生しそうな状況においても冷房性能の低下を最小限に抑制した車両用空調装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
クレーム対応図である図1(a)により説明すると、請求項1の発明は、コンプレッサ作動指令に伴って作動し、冷媒を圧送するコンプレッサ101と、圧送された冷媒を冷却するコンデンサ102と、冷却された冷媒を蒸発させて空気を冷却するエバポレータ103と、エバポレータ103に関する温度が設定温度Tt未満になるとコンプレッサ作動指令の有無に拘らずコンプレッサ101を停止する停止手段104とを備えた車両用空調装置に適用される。
そして、エンジン冷却水温Twを検出する水温センサ105と、この水温センサ105で検出されたエンジン冷却水温Twが所定温度未満の時には停止手段104の上記設定温度Ttを基準値に保持し、エンジン冷却水温Twが所定温度を越えるとエンジン冷却水温Twが所定温度未満となるまで、時間経過に伴い設定温度Ttを徐々に上昇させる制御手段106とを具備し、これにより上記問題点を解決する。
【0007】
【作用】
(1)請求項1の発明
例えば登坂などの耐熱走行時にはエンジン冷却水温Twが上昇するが、このとき空調装置、すなわちコンプレッサ101が作動していると、エンジン冷却水温Twの上昇がより顕著となる。本発明では、水温センサ105で検出されたエンジン冷却水温Twが所定温度を越えると、停止手段104の設定温度Ttが徐々に上昇し、これに伴ってコンプレッサ101が停止する可能性が徐々に高くなってゆく。このため、冷却水温Twが所定温度を越えた状態がある程度継続すると、停止手段104によりコンプレッサ101は停止され、これによりコンデンサ102の放熱量が減少してオーバーヒートが防止される。一方、コンプレッサ101が停止する前に例えば耐熱走行が解除されて冷却水温Twが所定温度以下に低下すると(オーバーヒートのおそれがなくなると)、サーモスイッチ104の設定温度Ttが基準値まで低下するので、場合によってはコンプレッサ101が停止しないこともあり得る。
【0008】
【実施例】
図2〜図4により本発明の一実施例を説明する。
図2は本発明に係る車両用空調装置の構成図である。符号21は不図示のエンジンにより駆動されるコンプレッサであり、このコンプレッサ21によって圧送される冷媒は、コンデンサ22で冷却された後、不図示のリキッドタンクや膨張弁を通過して空調ダクト30内のエバポレータ23に達し、エバポレータ23で蒸発されて再びコンプレッサ21に戻る。空調ダクト30内には、エバポレータ23の上流にブロアファン31が設けられ、ダクト30内に導入された空気がブロアファン31によってエバポレータ23側に送られ、エバポレータ23を通過する際に冷却されて車室内に送風される。
【0009】
41は空調制御を行う制御回路(制御手段)であり、この制御回路41には、ブロアファンを制御するブロアファン制御回路42と、コンプレッサ21の作動を指令するエアコンスイッチ43と、ラジエータからエンジンに送られるエンジン冷却水温Twを検出する水温センサ44とが接続されるとともに、サーモスイッチ(停止手段)45を介してコンプレッサリレー46が接続されている。制御回路41は、エアコンスイッチ43のオンに伴ってコンプレッサリレー46をオンさせ、コンプレッサ21を作動させる。またブロアファンの速度は、本実施例では風量の少ない順に1速〜4速が設定可能とされている。
【0010】
サーモスイッチ45は、エバポレータ直後の空気温度が制御回路41で設定される設定温度(以下、サーモ設定温度と呼ぶ)Tt未満のときはオン状態を保持し、Tt以上になるとオフするもので、サーモスイッチ45がオフされると、エアコンスイッチ43のオン・オフに拘らずリレー46がオフ状態となり、コンプレッサ21が停止される。制御回路41は、水温センサ44で検出されるエンジン冷却水温Twに基づいて、以下に説明するようにブロアファン速度およびサーモスイッチ45の設定温度Ttを制御する。
【0011】
図3は制御回路41による空調制御のうち本発明に関わる部分を示すフローチャートである。
まずステップS1で水温センサ44の検出温度、すなわちエンジン冷却水温Twを入力し、これが所定温度T0(例えば、110℃)を越えるか否かを判定する。Tw≦T0であればステップS6に進み、変数MODの値を判定する。
ここで変数MODは、図4に示すようにブロアファン速度の最大値Vmaxと、サーモ設定温度Ttとの組合せを示し、本実施例では「1」〜「13」で示す13個の組合せが予め設定可能とされている。そして、このMODが設定されると、その値に応じて上記VmaxとTtとが設定されるようになっている。例えばMOD=5では、ブロアファン速度の最大値Vmaxが3速となり、またサーモ設定温度Ttが5℃となる。つまりブロアファン速度が3速を越えないよう制御されるとともに、エバポレータ直後の空気温度が5℃未満になるとサーモスイッチ45がオフしてコンプレッサ21が停止する。なお、当初はMOD=1に設定されているものとする。
【0012】
ステップS6で1≦MOD≦3であればステップS7でMOD=1とし、4≦MOD≦6であればステップS8でMOD=4とし、7≦MOD≦9であればステップS9でMOD=7とし、10≦MODであればステップS10でMOD=10とする。その後、処理は不図示のメインルーチンにリターンする。
【0013】
一方、ステップS1でTw>T0と判定されるとステップS2に進み、変数MODを「1」だけ歩進する。ステップS3ではMOD≦13か否かを判定し、肯定されるとステップS4で所定の待機時間だけ待ってからステップS1に戻り、否定されるとステップS5でコンプレッサリレー46をオフしてコンプレッサ21を強制的に停止し、その後、上述のステップS6に進む。
【0014】
以上の手順によれば、登坂などの耐熱走行によりエンジン冷却水温Twが上昇し、これが所定温度T0(例えば、110℃)を越えると、サーモ設定温度Ttが上昇する。具体的に説明すると、例えばMOD=1(Vmax=4速,Tt=3℃)で車両を走行しているときにエンジン冷却水温Twが所定温度T0を越えると、図4に示すように変数MODが「1」から「2」→「3」と変化し、これに伴って設定温度Ttが5℃→7℃と上昇してゆく。したがって、コンプレッサ21が停止する可能性が徐々に高くなってゆく。コンプレッサ21が停止すると、冷媒が圧送されなくなるのでコンデンサ22の放熱量が減少し、ラジエータに作用する温風量が減少してエンジン冷却水温の低下に寄与する。その結果、オーバーヒートは防止されるが、コンプレッサ21が停止している間は冷房性能を維持できない。
【0015】
一方、上述のようにサーモ設定温度Ttが上昇する過程において、コンプレッサ21がまだ作動しているうちに耐熱走行が解除されると、冷却水温Twが低下し、これが所定温度T0以下になると、サーモ設定温度Ttが基準値(本実施例では3℃(MOD=1,4,7のとき))まで低下する。したがって、コンプレッサ21が停止する可能性が再び低くなり、結果としてコンプレッサ21を停止させずに、つまり冷房性能を低下させずにオーバーヒートを防止することができる。
【0016】
また、MOD=3になってもまだ冷却水温Twが所定温度T0以下にならない場合には、MOD=4となり、設定温度Ttは再び3℃に低下するが、ブロアファン速度の最大値Vmaxが4速から3速に低下する。このためブロアファン速度が3速を越える場合には3速に低下し、これによってエバポレータ23を通過する空気量が減少して空気と冷媒との熱交換量が減少する。その結果、コンデンサ21の放熱量が減少してエンジン冷却水温が低下する。すなわちコンプレッサ21を停止させずにエンジン冷却水温Twを低下させてオーバーヒートを防止できる。
【0017】
さらに、MOD=4でもまだ冷却水温Twが低下しない場合には、MODが「5」,「6」,……,「13」と徐々に変化し、これに伴ってサーモ設定温度Ttの上昇・低下とブロアファン最大速度Vmaxの低下が続行される。そして、MOD=13(Vmax=4速,Tt=9℃)でもまだ冷却水温Twが低下しない場合には、コンプレッサリレー46がオフされてコンプレッサ21が強制的に停止され、オーバーヒートが防止される。
【0018】
なお、上記変数MODにおけるブロアファン最高速度Vmaxおよびサーモ設定温度Ttの値、またMODの個数などは図4のものに限定されない。また以上では、ブロアファン最高速度Vmaxの低下とサーモ設定温度Ttの上昇とを共に行う空調装置について説明したが、いずれか一方のみ行うものにも本発明を適用できる。さらに、ブロアファン最高速度Vmaxを低下させる例を示したが、例えば冷却水温Twが所定温度を越えたら、そのときのブロアファン速度を所定量だけ低下させるような制御でもよい。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、エンジン冷却水温が所定温度未満のときには停止手段(例えばサーモスイッチ)の設定温度を基準値に保持し、エンジン冷却水温が所定温度を越えると設定温度を徐々に上昇させるようにしたので、必要時にはコンプレッサの停止によってエンジン冷却水温を低下させることができ、したがって、高性能の空調装置を搭載した場合でも、ラジエータの冷却性能を向上させることなくオーバーヒートを防止できる。また、オーバーヒートしそうな状況で無条件にコンプレッサを停止させるものと異なり、エンジン冷却水温が所定温度を越えるときでも場合によってはコンプレッサを停止させずにオーバーヒートを回避できるので、冷房性能の低下を最小限に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クレーム対応図。
【図2】本発明に係る車両用空調装置の一実施例を示す構成図。
【図3】実施例の動作を示すフローチャート。
【図4】ブロアファン速度の最大値とサーモ設定温度との組合せを示す図。
【符号の説明】
21 コンプレッサ
22 コンデンサ
23 エバポレータ
30 空調ダクト
31 ブロアファン
41 制御回路(制御手段)
42 ブロアファン制御回路
43 エアコンスイッチ
44 水温センサ
45 サーモスイッチ
【産業上の利用分野】
本発明は車両に搭載される空調装置に関し、特にオーバーヒートの防止を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エアコンスイッチの操作(コンプレッサ作動指令)に伴って冷媒を圧送するコンプレッサと、圧送された冷媒を冷却するコンデンサと、冷却された冷媒を蒸発させるエバポレータとを有し、ブロアファンから送られる空気をエバポレータで冷却して車室内に吹出すようにした車両用空調装置が知られている。この種の空調装置では、通常、サーモスイッチなどのコンプレッサ停止手段を備え、例えばエバポレータ下流の空気温度が所定の設定温度未満になると、エアコンスイッチのオン・オフに拘らずコンプレッサを停止してエバポレータの凍結を回避するようにしている(日産自動車株式会社発行の新型車解説書 Y32−1 1991年6月)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の車両はウインドガラスの面積が広く車室内への熱負荷が増大する傾向にあり、加えて車両の大型化に伴って車室内空間が増大するため、十分な冷房性能を得るためには従来よりも高性能の空調装置が必要となってきている。しかしながら、高性能の空調装置を車両に搭載すると、上記コンデンサの放熱量が増加してエンジン冷却水温が上昇し、オーバーヒートし易くなるという欠点がある。これは、通常の車両ではコンデンサがラジエータの前面に配置されているため、コンデンサで熱交換された高温の空気がラジエータに直接作用するからである。特に登坂時などの耐熱走行時に上記オーバーヒートが起こり易い。
【0004】
そこで従来は、ラジエータの冷却性能を向上させたり、オーバーヒートしそうな状況では無条件にコンプレッサを停止する制御を行ったり、あるいは空調装置の性能アップを見合わせたりしてオーバーヒートの防止を図っている。しかしながら、ラジエータの冷却性能を向上させるとコストアップが余儀なくされ、またオーバーヒートしそうな状況で無条件にコンプレッサを停止させるものでは、コンプレッサ停止時に満足な冷房性能が得られず乗員に不快感を与える。さらに空調装置の性能アップを抑えると、オーバーヒートが発生しない状況においても満足な冷房性能が得られなくなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、ラジエータの冷却性能をアップさせることなくオーバーヒートを確実に防止でき、かつオーバーヒートが発生しない状況下では勿論、発生しそうな状況においても冷房性能の低下を最小限に抑制した車両用空調装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
クレーム対応図である図1(a)により説明すると、請求項1の発明は、コンプレッサ作動指令に伴って作動し、冷媒を圧送するコンプレッサ101と、圧送された冷媒を冷却するコンデンサ102と、冷却された冷媒を蒸発させて空気を冷却するエバポレータ103と、エバポレータ103に関する温度が設定温度Tt未満になるとコンプレッサ作動指令の有無に拘らずコンプレッサ101を停止する停止手段104とを備えた車両用空調装置に適用される。
そして、エンジン冷却水温Twを検出する水温センサ105と、この水温センサ105で検出されたエンジン冷却水温Twが所定温度未満の時には停止手段104の上記設定温度Ttを基準値に保持し、エンジン冷却水温Twが所定温度を越えるとエンジン冷却水温Twが所定温度未満となるまで、時間経過に伴い設定温度Ttを徐々に上昇させる制御手段106とを具備し、これにより上記問題点を解決する。
【0007】
【作用】
(1)請求項1の発明
例えば登坂などの耐熱走行時にはエンジン冷却水温Twが上昇するが、このとき空調装置、すなわちコンプレッサ101が作動していると、エンジン冷却水温Twの上昇がより顕著となる。本発明では、水温センサ105で検出されたエンジン冷却水温Twが所定温度を越えると、停止手段104の設定温度Ttが徐々に上昇し、これに伴ってコンプレッサ101が停止する可能性が徐々に高くなってゆく。このため、冷却水温Twが所定温度を越えた状態がある程度継続すると、停止手段104によりコンプレッサ101は停止され、これによりコンデンサ102の放熱量が減少してオーバーヒートが防止される。一方、コンプレッサ101が停止する前に例えば耐熱走行が解除されて冷却水温Twが所定温度以下に低下すると(オーバーヒートのおそれがなくなると)、サーモスイッチ104の設定温度Ttが基準値まで低下するので、場合によってはコンプレッサ101が停止しないこともあり得る。
【0008】
【実施例】
図2〜図4により本発明の一実施例を説明する。
図2は本発明に係る車両用空調装置の構成図である。符号21は不図示のエンジンにより駆動されるコンプレッサであり、このコンプレッサ21によって圧送される冷媒は、コンデンサ22で冷却された後、不図示のリキッドタンクや膨張弁を通過して空調ダクト30内のエバポレータ23に達し、エバポレータ23で蒸発されて再びコンプレッサ21に戻る。空調ダクト30内には、エバポレータ23の上流にブロアファン31が設けられ、ダクト30内に導入された空気がブロアファン31によってエバポレータ23側に送られ、エバポレータ23を通過する際に冷却されて車室内に送風される。
【0009】
41は空調制御を行う制御回路(制御手段)であり、この制御回路41には、ブロアファンを制御するブロアファン制御回路42と、コンプレッサ21の作動を指令するエアコンスイッチ43と、ラジエータからエンジンに送られるエンジン冷却水温Twを検出する水温センサ44とが接続されるとともに、サーモスイッチ(停止手段)45を介してコンプレッサリレー46が接続されている。制御回路41は、エアコンスイッチ43のオンに伴ってコンプレッサリレー46をオンさせ、コンプレッサ21を作動させる。またブロアファンの速度は、本実施例では風量の少ない順に1速〜4速が設定可能とされている。
【0010】
サーモスイッチ45は、エバポレータ直後の空気温度が制御回路41で設定される設定温度(以下、サーモ設定温度と呼ぶ)Tt未満のときはオン状態を保持し、Tt以上になるとオフするもので、サーモスイッチ45がオフされると、エアコンスイッチ43のオン・オフに拘らずリレー46がオフ状態となり、コンプレッサ21が停止される。制御回路41は、水温センサ44で検出されるエンジン冷却水温Twに基づいて、以下に説明するようにブロアファン速度およびサーモスイッチ45の設定温度Ttを制御する。
【0011】
図3は制御回路41による空調制御のうち本発明に関わる部分を示すフローチャートである。
まずステップS1で水温センサ44の検出温度、すなわちエンジン冷却水温Twを入力し、これが所定温度T0(例えば、110℃)を越えるか否かを判定する。Tw≦T0であればステップS6に進み、変数MODの値を判定する。
ここで変数MODは、図4に示すようにブロアファン速度の最大値Vmaxと、サーモ設定温度Ttとの組合せを示し、本実施例では「1」〜「13」で示す13個の組合せが予め設定可能とされている。そして、このMODが設定されると、その値に応じて上記VmaxとTtとが設定されるようになっている。例えばMOD=5では、ブロアファン速度の最大値Vmaxが3速となり、またサーモ設定温度Ttが5℃となる。つまりブロアファン速度が3速を越えないよう制御されるとともに、エバポレータ直後の空気温度が5℃未満になるとサーモスイッチ45がオフしてコンプレッサ21が停止する。なお、当初はMOD=1に設定されているものとする。
【0012】
ステップS6で1≦MOD≦3であればステップS7でMOD=1とし、4≦MOD≦6であればステップS8でMOD=4とし、7≦MOD≦9であればステップS9でMOD=7とし、10≦MODであればステップS10でMOD=10とする。その後、処理は不図示のメインルーチンにリターンする。
【0013】
一方、ステップS1でTw>T0と判定されるとステップS2に進み、変数MODを「1」だけ歩進する。ステップS3ではMOD≦13か否かを判定し、肯定されるとステップS4で所定の待機時間だけ待ってからステップS1に戻り、否定されるとステップS5でコンプレッサリレー46をオフしてコンプレッサ21を強制的に停止し、その後、上述のステップS6に進む。
【0014】
以上の手順によれば、登坂などの耐熱走行によりエンジン冷却水温Twが上昇し、これが所定温度T0(例えば、110℃)を越えると、サーモ設定温度Ttが上昇する。具体的に説明すると、例えばMOD=1(Vmax=4速,Tt=3℃)で車両を走行しているときにエンジン冷却水温Twが所定温度T0を越えると、図4に示すように変数MODが「1」から「2」→「3」と変化し、これに伴って設定温度Ttが5℃→7℃と上昇してゆく。したがって、コンプレッサ21が停止する可能性が徐々に高くなってゆく。コンプレッサ21が停止すると、冷媒が圧送されなくなるのでコンデンサ22の放熱量が減少し、ラジエータに作用する温風量が減少してエンジン冷却水温の低下に寄与する。その結果、オーバーヒートは防止されるが、コンプレッサ21が停止している間は冷房性能を維持できない。
【0015】
一方、上述のようにサーモ設定温度Ttが上昇する過程において、コンプレッサ21がまだ作動しているうちに耐熱走行が解除されると、冷却水温Twが低下し、これが所定温度T0以下になると、サーモ設定温度Ttが基準値(本実施例では3℃(MOD=1,4,7のとき))まで低下する。したがって、コンプレッサ21が停止する可能性が再び低くなり、結果としてコンプレッサ21を停止させずに、つまり冷房性能を低下させずにオーバーヒートを防止することができる。
【0016】
また、MOD=3になってもまだ冷却水温Twが所定温度T0以下にならない場合には、MOD=4となり、設定温度Ttは再び3℃に低下するが、ブロアファン速度の最大値Vmaxが4速から3速に低下する。このためブロアファン速度が3速を越える場合には3速に低下し、これによってエバポレータ23を通過する空気量が減少して空気と冷媒との熱交換量が減少する。その結果、コンデンサ21の放熱量が減少してエンジン冷却水温が低下する。すなわちコンプレッサ21を停止させずにエンジン冷却水温Twを低下させてオーバーヒートを防止できる。
【0017】
さらに、MOD=4でもまだ冷却水温Twが低下しない場合には、MODが「5」,「6」,……,「13」と徐々に変化し、これに伴ってサーモ設定温度Ttの上昇・低下とブロアファン最大速度Vmaxの低下が続行される。そして、MOD=13(Vmax=4速,Tt=9℃)でもまだ冷却水温Twが低下しない場合には、コンプレッサリレー46がオフされてコンプレッサ21が強制的に停止され、オーバーヒートが防止される。
【0018】
なお、上記変数MODにおけるブロアファン最高速度Vmaxおよびサーモ設定温度Ttの値、またMODの個数などは図4のものに限定されない。また以上では、ブロアファン最高速度Vmaxの低下とサーモ設定温度Ttの上昇とを共に行う空調装置について説明したが、いずれか一方のみ行うものにも本発明を適用できる。さらに、ブロアファン最高速度Vmaxを低下させる例を示したが、例えば冷却水温Twが所定温度を越えたら、そのときのブロアファン速度を所定量だけ低下させるような制御でもよい。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、エンジン冷却水温が所定温度未満のときには停止手段(例えばサーモスイッチ)の設定温度を基準値に保持し、エンジン冷却水温が所定温度を越えると設定温度を徐々に上昇させるようにしたので、必要時にはコンプレッサの停止によってエンジン冷却水温を低下させることができ、したがって、高性能の空調装置を搭載した場合でも、ラジエータの冷却性能を向上させることなくオーバーヒートを防止できる。また、オーバーヒートしそうな状況で無条件にコンプレッサを停止させるものと異なり、エンジン冷却水温が所定温度を越えるときでも場合によってはコンプレッサを停止させずにオーバーヒートを回避できるので、冷房性能の低下を最小限に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クレーム対応図。
【図2】本発明に係る車両用空調装置の一実施例を示す構成図。
【図3】実施例の動作を示すフローチャート。
【図4】ブロアファン速度の最大値とサーモ設定温度との組合せを示す図。
【符号の説明】
21 コンプレッサ
22 コンデンサ
23 エバポレータ
30 空調ダクト
31 ブロアファン
41 制御回路(制御手段)
42 ブロアファン制御回路
43 エアコンスイッチ
44 水温センサ
45 サーモスイッチ
Claims (1)
- コンプレッサ作動指令に伴って作動し、冷媒を圧送するコンプレッサと、
前記圧送された冷媒を冷却するコンデンサと、
前記冷却された冷媒を蒸発させて空気を冷却するエバポレータと、
このエバポレータに関する温度が設定温度未満になると前記コンプレッサ作動指令の有無に拘らずコンプレッサを停止する停止手段とを備えた車両用空調装置において、
エンジン冷却水温を検出する水温センサと、
この水温センサで検出されたエンジン冷却水温が所定温度未満のときには前記停止手段の前記設定温度を基準値に保持し、前記エンジン冷却水温が所定温度を越えるとエンジン冷却水温が前記所定温度未満となるまで、時間経過に伴い前記設定温度を徐々に上昇させる制御手段とを具備することを特徴とする車両用空調装置。
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1993
- 1993-03-03 JP JP04278993A patent/JP3722848B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH06255352A (ja) | 1994-09-13 |
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