JP3719550B2 - 金属複核錯体およびその製造方法、ならびにこの金属複核錯体を用いた光学素子 - Google Patents
金属複核錯体およびその製造方法、ならびにこの金属複核錯体を用いた光学素子 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な金属複核錯体およびその製造方法、ならびこの金属複核錯体を用いた光学素子に関し、さらに詳しくは、発光素子等の光学的電子材料として好適な金属複核錯体およびその製造方法、ならびにこの金属複核錯体を用いた光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機発光物質を用いた発光素子として、オキシン錯体を用いた例が報告(Appl. Phys. Lett.,51(12), 21 (Sept.1987)) されて以来、全固体型のフラットパネルディスプレイ等への応用を目指した研究が進められている。高発光効率を得るための材料としては、亜鉛錯体やアルミニウム錯体等、種々の金属錯体が現在までに提案されている。
【0003】
しかしながら、比較的高輝度が得られる有機EL素子においても、輝度、色度ともに充分なものではなく、さらに様々の発光色を得るためにも新規な有機発光物質の開発が望まれている。
【0004】
本発明者らはかかる要望に応えるために一連の検討を鋭意進めた結果、所定の配位子を有する特定の金属複核錯体が種々の色度の高輝度、高螢光性および高電子輸送性を有する有機発光物質となりうるとの知見を得た。特願平7−137307号明細書として出願した、配位子としてヒドロキシベンズオキサゾールとキノリノールを採用するものはその一例である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる技術背景に鑑み提案するものであり、さらなる一層の高輝度、高螢光性、種々の色度、高電子輸送性を有する新規有機材料およびその効率的な製造方法を提供することである。
また本発明の別の課題は、かかる新規有機材料を用いることにより、種々の色度で高輝度に発光する光学素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した課題を達成するために提案するものである。
すなわち本発明の金属複核錯体は、
下記一般式(1)または(2)で示されることを特徴とする。
【0007】
【化9】
【0008】
【化10】
(ただし、M(II)は周期表第2A族元素および第2B族元素のうちのいずれか1種の金属を、
Xはハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基およびチオール基のうちのいずれか1種の対アニオンを、
R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基、およびこれらの原子または基で置換されたアルキル基、アリール基および複素芳香族のうちのいずれか1種を表す。)
【0009】
また本発明の金属複核錯体の製造方法は、
下記一般式(3)で示される金属塩と、
下記一般式(4)または(5)で示される化合物とを、アルコール中で反応させて、上記一般式(1)または(2)で示される金属複核錯体を得ることを特徴とする。
M(II)X2 (3)
【0010】
【化11】
【0011】
【化12】
(ただし、M(II)は周期表第2A族元素および第2B族元素のうちのいずれか1種の金属を、
Xはハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基およびチオール基のうちのいずれか1種の対アニオンを、
R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基、およびこれらの原子または基で置換されたアルキル基、アリール基および複素芳香族のうちのいずれか1種を表す。)
【0012】
反応溶媒のアルコールとしては、炭素数1〜12の低級アルコールを用いることが望ましい。アルコールは2価金属の複核錯体を安定化させ、目的物を良好に得ることが可能となる。すなわち、反応溶媒は金属塩および配位子の溶解度を考慮するとともに、副生成物としての単核の金属錯体の生成量が最小となるように選択されるものである。かかるアルコールは後述の実施例中で採用するエタノール以外にもメタノール、(イソ)プロパノール等を用いることができる。
反応溶媒としてのアルコールの使用量は反応物質に対して重量比で1〜1000倍程度であることが望ましい。また反応温度は使用するアルコールの沸点程度が好ましい。
【0013】
また前述した一般式(4)または(5)に示される化合物から水素原子を引き抜くために、このアルコール中にアルカリを添加して反応をおこなうことが望ましい。かかるアルカリとしては、アンモニア水が好適に用いられるが、充分に水素の引き抜きが行われれば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム等他のアルカリを用いてもよい。
【0014】
一般式(3)で示される金属塩としては、後述する実施例においては塩化亜鉛を採用したが、陰イオンとしては溶媒への溶解度の観点から選択すればよく、塩化物に限定されるものではない。
また金属としてはBe、Mg、Ca、Sr、BaあるいはRa等の周期表第2A族元素や、Zn、CdあるいはHg等の周期表第2B族元素が望ましい。
【0015】
つぎに本発明の光学素子は、発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方を有する光学的素子であって、
これら発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方には、
前述した一般式(1)または(2)で示される少なくとも1種の金属複核錯体が含有されていることを特徴とする。すなわち、本発明の金属複核錯体を単独あるいは複数種混合して、あるいは他の発光材料と組み合わせて用いてもよい。
これら金属複核錯体に加えて、さらに螢光色素が含有されていてもよい。かかる螢光色素としては特に限定されないが、一例としてキナクリドンや下記構造式(6)で示されるDCM(4−ジシアノメチレン−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−2−メチル−4H−ピラン)が例示される。
【0016】
【化13】
【0017】
本発明の光学素子の一実施態様としては、基板上に、陽極と、ホール輸送層と、発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方と、陰極とが、この順に順次積層された構造を有することを特徴とする。
各層の厚さは、光学素子の動作電圧や耐圧等を考慮して決定される設計事項である。また各層の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、LB(Langmuir-Brodget)法あるいは有機分子量線エピタキシ(MOMBE)法等を採用することが可能である。
光学素子の安定性を高めるために、素子の一部あるいは全部を無機材料や有機材料あるいはそれらの積層材料からなる保護層で被覆してもよい。また色度を調整するためにカラーフィルタを組み込んでもよい。
本発明の光学素子としては、エレクトロルミネセンス(EL)素子に好適に適用することが可能である。この他にも、光通信装置、光電変換装置、感光体、撮像装置あるいは照明装置等へ応用することもできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照しつつさらに詳しく説明する。
図1は本発明の光学素子を有機EL素子に適用した概略断面図である。
このEL素子は、ガラス等の透明な基板6上に、一例としてITO(Indium Tin Oxide)からなる透明な陽極5、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2およびアルミニウム等の金属からなる陰極1を例えば真空蒸着法により順次形成し、必要に応じてパターニングしたものである。
【0019】
このEL素子は、陽極5と陰極1との間に直流電圧7を印加することにより、陽極5から注入されたホールがホール輸送層4を経て、また陰極1から注入された電子が電子輸送層2を経て、それぞれ発光層3に到達する。この結果、発光層3では電子/ホールの再結合が生じ、ここから所定波長の発光8が発生する。この発光8は透明な基板6側から観察することができる。
【0020】
発光層3には本発明の金属複核錯体を含有させるのであるが、発光層3は実質的に1種あるいは複数種の金属複核錯体のみからなる層であってもよいし、金属複核錯体にさらに螢光物質を添加した層であってもよい。また本発明の金属複核錯体と、他の発光物質であるアントラセン、ナフタリン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジンあるいはスチルベン等を併用してもよい。本発明の金属複核錯体、あるいはこれと螢光物質との混合物は、電子輸送層2に含有させることもできる。
【0021】
図2は本発明の光学素子を他の構造を有する有機EL素子に適用した例の概略断面図である。
図2に示される光学素子は、前述の図1に示した光学素子構造から発光層を省略し、電子輸送層2とホール輸送層4の界面から所定波長の発光8が発生するものであり、他の構成要素は図1に示した光学素子に準拠する。本発明の金属複核錯体、あるいはこれにさらに螢光物質を添加した混合物は、電子輸送層2に含有される。
なお図1および図2中のホール輸送層4の材料としては、例えばポルフィリン系化合物、アミン系芳香環族化合物等の使用が可能である。
また陰極1としては、Al、Mg、Al−Mg合金、Mg−Ag合金、Al−Li合金あるいはCa等、低仕事関数の金属または合金を使用することができる。
【0022】
本発明の発光素子を実際の有機EL素子に適用した具体例を、図3の概略斜視図に示す。
図3のEL素子は、ホール輸送層4と、発光層3および電子輸送層2のいずれか少なくとも一方からなる積層体を、陰極1と陽極5の間に配設したものである。陰極1と陽極5は、ともにストライプ状にパターニングするとともに互いにマトリクス状に直交させ、シフトレジスタ内蔵の制御回路9および10により時系列的に信号電圧を印加し、その交叉位置で発光するように構成されたものである。かかる構成のEL素子は、文字・記号等のディスプレイとしては勿論、画像再生装置としても使用できる。また陰極1と陽極5ののストライプ状パターンを赤(R)、緑(G)、青(B)の各色毎に配し、マルチカラーあるいはフルカラーの全固体型フラットパネルディスプレイを構成することが可能となる。
【0023】
以下、本発明の金属複核錯体の製造方法につき、適宜比較例を加えながら詳細に説明を加える。
実施例1
塩化亜鉛2.72gと、2−ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール(以下、Bi −OHと略記する)6.8gとを50mlのエタノール中で加熱溶解し、10分間還流した。この反応系にアンモニア水10mlを滴下し、滴下終了後、さらに30分間還流を継続した。
反応終了後、室温まで放冷し、固体の反応生成物を濾別して収集した。この反応生成物を純水およびエタノールで順次洗浄し、黄色の固体を得た。この固体を真空昇華により精製し、3.1gの2−ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール亜鉛複核錯体を得た。
【0024】
このようにして得られた2−ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール亜鉛複核錯体のTOFマススペクトル分析結果(Finnigan Mat 社製 Vision 2000で測定) を図4および図5に示す。
図4は分子量0〜2000の範囲での測定結果を示す。この結果から、精製した反応生成物の分子量は755であり、Zn2 (Bi −O)3 の構造を有することが判る。また対アニオンとして塩素が検出された。
図5は図4に示した親ピーク(M+ )の拡大図であり、分子内に亜鉛原子が2個存在するときの、亜鉛の原子量64、66、68、70の存在比に対応した質量パターン(755、757、759)が得られ、亜鉛複核錯体であることを示している。
【0025】
比較例1
反応溶媒をエタノールから水へ変更した以外は実施例1に準じて反応をおこなったところ、Zn(Bi −O)2 の亜鉛単核錯体のみが得られ、TOFマススペクトル分析結果においても分子量755の複核錯体に相当する親ピークは得られなかった。
【0026】
実施例2
実施例1で使用した塩化亜鉛に替えて、塩化マグネシウム1.9gを使用した他は実施例1に準拠して反応をおこない、Mg2 (Bi −O)3 Clの構造式に相当するマグネシウム複核錯体1.2gを得た。
【0027】
実施例3
塩化亜鉛2.72gと、2−ヒドロキシフェニルベンズチアゾール(以下、Bt −OHと略記する)6.8gとを50mlのエタノール中で加熱溶解し、10分間還流した。この反応系にアンモニア水10mlを滴下し、滴下終了後、さらに30分間還流を継続した。
反応終了後、室温まで放冷し、固体の反応生成物を濾別して収集した。この反応生成物を純水およびエタノールで順次洗浄し、黄色の固体を得た。この固体を真空昇華により精製し、2.5gの2−ヒドロキシフェニルベンズチアゾール亜鉛複核錯体を得た。
【0028】
このようにして得られた2−ヒドロキシフェニルベンズチアゾール亜鉛複核錯体のTOFマススペクトル分析結果(Finnigan Mat 社製 Vision 2000で測定) を図6および図7に示す。
図6は分子量0〜2000の範囲での測定結果を示す。この結果から、精製した反応生成物の分子量は806であり、Zn2 (Bt −O)3 の構造を有することが判る。また対アニオンとして塩素が検出された。
図7は図6に示した親ピーク(M+ )の拡大図であり、分子内に亜鉛原子が2個存在するときの、亜鉛の原子量64、66、68、70の存在比に対応した質量パターン(806、808、810)が得られ、亜鉛複核錯体であることを示している。
【0029】
比較例2
反応溶媒をエタノールから水へ変更した以外は実施例1に準じて反応をおこなったところ、Zn(Bt −O)2 の亜鉛単核錯体のみが得られ、TOFマススペクトル分析結果においても分子量806の複核錯体に相当する親ピークは得られなかった。
【0030】
実施例4
実施例3で使用した塩化亜鉛に替えて、塩化マグネシウム1.9gを使用した他は実施例3に準拠して反応をおこない、Mg2 (Bt −O)3 Clの構造式に相当するマグネシウム複核錯体1.1gを得た。
【0031】
以下の実施例は、前実施例で得られた金属複核錯体を用いて、図2にその概略断面図を示した光学素子を作製した例である。
実施例5
ITOからなる陽極5が表面に形成されたガラスからなる基板6上に、下記構造式(7)を有するホール輸送剤N,N’−ビス(3−メチルフェニル)1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)を真空蒸着してホール輸送層4を形成した。
【0032】
【化14】
【0033】
次いでこのホール輸送層4上に前実施例1で合成した亜鉛複核錯体Zn2 (Bi −O)3 Clを同じく真空蒸着して、発光層を兼ねる電子輸送層2を形成した。さらに陰極1としてアルミニウムを蒸着し、各層を必要に応じてパターニングした。
各層の真空蒸着条件は、一例として次の通りとした。
【0034】
このようにして作製した有機EL素子に、一例として18Vの直流電圧を印加し、その発光スペクトル強度をフォトマルチプライヤ(光電子増倍管)の出力強度で示した。これを図8に示す。発光スペクトルのピークは455nmにあり、青色の発光が得られた。
【0035】
実施例6
前実施例3で合成した亜鉛複核錯体Zn2 (Bt −O)3 を電子輸送層2の材料として採用した他は、前実施例5と同様に有機EL素子を作製した。
実施例6のEL素子の発光スペクトルを図9に示す。発光スペクトルのピークは465nmにあり、青色の発光が得られた。
【0036】
比較例3
前実施例1で合成した亜鉛複核錯体Zn2 (Bi −O)3 Clに替えて、従来技術で触れたオキシン錯体、具体的にはトリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウムを用いた以外は前実施例5に準じ、有機EL素子を作製した。
比較例3によるEL素子の発光スペクトルを図10に示す。発光スペクトル強度のピークは、実施例5および6のEL素子より長波長側にずれ、523nmの緑色発光であった。
【0037】
以上、本発明を詳細に説明したが、これら実施例は単なる例示であって、本発明はこれら実施例に何ら限定されることはない。例えば金属複核錯体における各置換基の種類、金属元素および対イオンの種類等は任意に変更が可能である。これらの分子設計により、種々の色度や輝度を有する発光素子を得ることができる。
また発光素子の層構成や電極構成等も実施例以外に各種構成が可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の金属複核錯体およびその製造方法によれば、高電子輸送性、種々の色度、高輝度および高螢光性の新規有機発光材料およびその効率的な製造方法を提供することができる。
また本発明の光学素子は、かかる新規有機材料を用いることにより、種々の色度で高輝度に発光する有機EL素子等の光学素子を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の一構成例を示す概略断面図である。
【図2】有機EL素子の他の一構成例を示す概略断面図である。
【図3】有機EL素子のさらに他の一構成例を示す概略斜視図である。
【図4】実施例1で合成した金属複核錯体のマススペクトルである。
【図5】実施例1で合成した金属複核錯体のマススペクトルの拡大図である。
【図6】実施例3で合成した金属複核錯体のマススペクトルである。
【図7】実施例3で合成した金属複核錯体のマススペクトルの拡大図である。
【図8】実施例5で作製した有機EL素子の発光スペクトルである。
【図9】実施例6で作製した有機EL素子の発光スペクトルである。
【図10】比較例3の有機EL素子の発光スペクトルである。
【符号の説明】
1…陰極、2…電子輸送層、3…発光層、4…ホール輸送層、5…陽極、6…基板、7…直流電圧、8…発光、9,10…制御回路
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な金属複核錯体およびその製造方法、ならびこの金属複核錯体を用いた光学素子に関し、さらに詳しくは、発光素子等の光学的電子材料として好適な金属複核錯体およびその製造方法、ならびにこの金属複核錯体を用いた光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機発光物質を用いた発光素子として、オキシン錯体を用いた例が報告(Appl. Phys. Lett.,51(12), 21 (Sept.1987)) されて以来、全固体型のフラットパネルディスプレイ等への応用を目指した研究が進められている。高発光効率を得るための材料としては、亜鉛錯体やアルミニウム錯体等、種々の金属錯体が現在までに提案されている。
【0003】
しかしながら、比較的高輝度が得られる有機EL素子においても、輝度、色度ともに充分なものではなく、さらに様々の発光色を得るためにも新規な有機発光物質の開発が望まれている。
【0004】
本発明者らはかかる要望に応えるために一連の検討を鋭意進めた結果、所定の配位子を有する特定の金属複核錯体が種々の色度の高輝度、高螢光性および高電子輸送性を有する有機発光物質となりうるとの知見を得た。特願平7−137307号明細書として出願した、配位子としてヒドロキシベンズオキサゾールとキノリノールを採用するものはその一例である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる技術背景に鑑み提案するものであり、さらなる一層の高輝度、高螢光性、種々の色度、高電子輸送性を有する新規有機材料およびその効率的な製造方法を提供することである。
また本発明の別の課題は、かかる新規有機材料を用いることにより、種々の色度で高輝度に発光する光学素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した課題を達成するために提案するものである。
すなわち本発明の金属複核錯体は、
下記一般式(1)または(2)で示されることを特徴とする。
【0007】
【化9】
【0008】
【化10】
(ただし、M(II)は周期表第2A族元素および第2B族元素のうちのいずれか1種の金属を、
Xはハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基およびチオール基のうちのいずれか1種の対アニオンを、
R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基、およびこれらの原子または基で置換されたアルキル基、アリール基および複素芳香族のうちのいずれか1種を表す。)
【0009】
また本発明の金属複核錯体の製造方法は、
下記一般式(3)で示される金属塩と、
下記一般式(4)または(5)で示される化合物とを、アルコール中で反応させて、上記一般式(1)または(2)で示される金属複核錯体を得ることを特徴とする。
M(II)X2 (3)
【0010】
【化11】
【0011】
【化12】
(ただし、M(II)は周期表第2A族元素および第2B族元素のうちのいずれか1種の金属を、
Xはハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基およびチオール基のうちのいずれか1種の対アニオンを、
R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基、およびこれらの原子または基で置換されたアルキル基、アリール基および複素芳香族のうちのいずれか1種を表す。)
【0012】
反応溶媒のアルコールとしては、炭素数1〜12の低級アルコールを用いることが望ましい。アルコールは2価金属の複核錯体を安定化させ、目的物を良好に得ることが可能となる。すなわち、反応溶媒は金属塩および配位子の溶解度を考慮するとともに、副生成物としての単核の金属錯体の生成量が最小となるように選択されるものである。かかるアルコールは後述の実施例中で採用するエタノール以外にもメタノール、(イソ)プロパノール等を用いることができる。
反応溶媒としてのアルコールの使用量は反応物質に対して重量比で1〜1000倍程度であることが望ましい。また反応温度は使用するアルコールの沸点程度が好ましい。
【0013】
また前述した一般式(4)または(5)に示される化合物から水素原子を引き抜くために、このアルコール中にアルカリを添加して反応をおこなうことが望ましい。かかるアルカリとしては、アンモニア水が好適に用いられるが、充分に水素の引き抜きが行われれば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム等他のアルカリを用いてもよい。
【0014】
一般式(3)で示される金属塩としては、後述する実施例においては塩化亜鉛を採用したが、陰イオンとしては溶媒への溶解度の観点から選択すればよく、塩化物に限定されるものではない。
また金属としてはBe、Mg、Ca、Sr、BaあるいはRa等の周期表第2A族元素や、Zn、CdあるいはHg等の周期表第2B族元素が望ましい。
【0015】
つぎに本発明の光学素子は、発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方を有する光学的素子であって、
これら発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方には、
前述した一般式(1)または(2)で示される少なくとも1種の金属複核錯体が含有されていることを特徴とする。すなわち、本発明の金属複核錯体を単独あるいは複数種混合して、あるいは他の発光材料と組み合わせて用いてもよい。
これら金属複核錯体に加えて、さらに螢光色素が含有されていてもよい。かかる螢光色素としては特に限定されないが、一例としてキナクリドンや下記構造式(6)で示されるDCM(4−ジシアノメチレン−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−2−メチル−4H−ピラン)が例示される。
【0016】
【化13】
【0017】
本発明の光学素子の一実施態様としては、基板上に、陽極と、ホール輸送層と、発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方と、陰極とが、この順に順次積層された構造を有することを特徴とする。
各層の厚さは、光学素子の動作電圧や耐圧等を考慮して決定される設計事項である。また各層の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、LB(Langmuir-Brodget)法あるいは有機分子量線エピタキシ(MOMBE)法等を採用することが可能である。
光学素子の安定性を高めるために、素子の一部あるいは全部を無機材料や有機材料あるいはそれらの積層材料からなる保護層で被覆してもよい。また色度を調整するためにカラーフィルタを組み込んでもよい。
本発明の光学素子としては、エレクトロルミネセンス(EL)素子に好適に適用することが可能である。この他にも、光通信装置、光電変換装置、感光体、撮像装置あるいは照明装置等へ応用することもできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照しつつさらに詳しく説明する。
図1は本発明の光学素子を有機EL素子に適用した概略断面図である。
このEL素子は、ガラス等の透明な基板6上に、一例としてITO(Indium Tin Oxide)からなる透明な陽極5、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2およびアルミニウム等の金属からなる陰極1を例えば真空蒸着法により順次形成し、必要に応じてパターニングしたものである。
【0019】
このEL素子は、陽極5と陰極1との間に直流電圧7を印加することにより、陽極5から注入されたホールがホール輸送層4を経て、また陰極1から注入された電子が電子輸送層2を経て、それぞれ発光層3に到達する。この結果、発光層3では電子/ホールの再結合が生じ、ここから所定波長の発光8が発生する。この発光8は透明な基板6側から観察することができる。
【0020】
発光層3には本発明の金属複核錯体を含有させるのであるが、発光層3は実質的に1種あるいは複数種の金属複核錯体のみからなる層であってもよいし、金属複核錯体にさらに螢光物質を添加した層であってもよい。また本発明の金属複核錯体と、他の発光物質であるアントラセン、ナフタリン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジンあるいはスチルベン等を併用してもよい。本発明の金属複核錯体、あるいはこれと螢光物質との混合物は、電子輸送層2に含有させることもできる。
【0021】
図2は本発明の光学素子を他の構造を有する有機EL素子に適用した例の概略断面図である。
図2に示される光学素子は、前述の図1に示した光学素子構造から発光層を省略し、電子輸送層2とホール輸送層4の界面から所定波長の発光8が発生するものであり、他の構成要素は図1に示した光学素子に準拠する。本発明の金属複核錯体、あるいはこれにさらに螢光物質を添加した混合物は、電子輸送層2に含有される。
なお図1および図2中のホール輸送層4の材料としては、例えばポルフィリン系化合物、アミン系芳香環族化合物等の使用が可能である。
また陰極1としては、Al、Mg、Al−Mg合金、Mg−Ag合金、Al−Li合金あるいはCa等、低仕事関数の金属または合金を使用することができる。
【0022】
本発明の発光素子を実際の有機EL素子に適用した具体例を、図3の概略斜視図に示す。
図3のEL素子は、ホール輸送層4と、発光層3および電子輸送層2のいずれか少なくとも一方からなる積層体を、陰極1と陽極5の間に配設したものである。陰極1と陽極5は、ともにストライプ状にパターニングするとともに互いにマトリクス状に直交させ、シフトレジスタ内蔵の制御回路9および10により時系列的に信号電圧を印加し、その交叉位置で発光するように構成されたものである。かかる構成のEL素子は、文字・記号等のディスプレイとしては勿論、画像再生装置としても使用できる。また陰極1と陽極5ののストライプ状パターンを赤(R)、緑(G)、青(B)の各色毎に配し、マルチカラーあるいはフルカラーの全固体型フラットパネルディスプレイを構成することが可能となる。
【0023】
以下、本発明の金属複核錯体の製造方法につき、適宜比較例を加えながら詳細に説明を加える。
実施例1
塩化亜鉛2.72gと、2−ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール(以下、Bi −OHと略記する)6.8gとを50mlのエタノール中で加熱溶解し、10分間還流した。この反応系にアンモニア水10mlを滴下し、滴下終了後、さらに30分間還流を継続した。
反応終了後、室温まで放冷し、固体の反応生成物を濾別して収集した。この反応生成物を純水およびエタノールで順次洗浄し、黄色の固体を得た。この固体を真空昇華により精製し、3.1gの2−ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール亜鉛複核錯体を得た。
【0024】
このようにして得られた2−ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール亜鉛複核錯体のTOFマススペクトル分析結果(Finnigan Mat 社製 Vision 2000で測定) を図4および図5に示す。
図4は分子量0〜2000の範囲での測定結果を示す。この結果から、精製した反応生成物の分子量は755であり、Zn2 (Bi −O)3 の構造を有することが判る。また対アニオンとして塩素が検出された。
図5は図4に示した親ピーク(M+ )の拡大図であり、分子内に亜鉛原子が2個存在するときの、亜鉛の原子量64、66、68、70の存在比に対応した質量パターン(755、757、759)が得られ、亜鉛複核錯体であることを示している。
【0025】
比較例1
反応溶媒をエタノールから水へ変更した以外は実施例1に準じて反応をおこなったところ、Zn(Bi −O)2 の亜鉛単核錯体のみが得られ、TOFマススペクトル分析結果においても分子量755の複核錯体に相当する親ピークは得られなかった。
【0026】
実施例2
実施例1で使用した塩化亜鉛に替えて、塩化マグネシウム1.9gを使用した他は実施例1に準拠して反応をおこない、Mg2 (Bi −O)3 Clの構造式に相当するマグネシウム複核錯体1.2gを得た。
【0027】
実施例3
塩化亜鉛2.72gと、2−ヒドロキシフェニルベンズチアゾール(以下、Bt −OHと略記する)6.8gとを50mlのエタノール中で加熱溶解し、10分間還流した。この反応系にアンモニア水10mlを滴下し、滴下終了後、さらに30分間還流を継続した。
反応終了後、室温まで放冷し、固体の反応生成物を濾別して収集した。この反応生成物を純水およびエタノールで順次洗浄し、黄色の固体を得た。この固体を真空昇華により精製し、2.5gの2−ヒドロキシフェニルベンズチアゾール亜鉛複核錯体を得た。
【0028】
このようにして得られた2−ヒドロキシフェニルベンズチアゾール亜鉛複核錯体のTOFマススペクトル分析結果(Finnigan Mat 社製 Vision 2000で測定) を図6および図7に示す。
図6は分子量0〜2000の範囲での測定結果を示す。この結果から、精製した反応生成物の分子量は806であり、Zn2 (Bt −O)3 の構造を有することが判る。また対アニオンとして塩素が検出された。
図7は図6に示した親ピーク(M+ )の拡大図であり、分子内に亜鉛原子が2個存在するときの、亜鉛の原子量64、66、68、70の存在比に対応した質量パターン(806、808、810)が得られ、亜鉛複核錯体であることを示している。
【0029】
比較例2
反応溶媒をエタノールから水へ変更した以外は実施例1に準じて反応をおこなったところ、Zn(Bt −O)2 の亜鉛単核錯体のみが得られ、TOFマススペクトル分析結果においても分子量806の複核錯体に相当する親ピークは得られなかった。
【0030】
実施例4
実施例3で使用した塩化亜鉛に替えて、塩化マグネシウム1.9gを使用した他は実施例3に準拠して反応をおこない、Mg2 (Bt −O)3 Clの構造式に相当するマグネシウム複核錯体1.1gを得た。
【0031】
以下の実施例は、前実施例で得られた金属複核錯体を用いて、図2にその概略断面図を示した光学素子を作製した例である。
実施例5
ITOからなる陽極5が表面に形成されたガラスからなる基板6上に、下記構造式(7)を有するホール輸送剤N,N’−ビス(3−メチルフェニル)1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)を真空蒸着してホール輸送層4を形成した。
【0032】
【化14】
【0033】
次いでこのホール輸送層4上に前実施例1で合成した亜鉛複核錯体Zn2 (Bi −O)3 Clを同じく真空蒸着して、発光層を兼ねる電子輸送層2を形成した。さらに陰極1としてアルミニウムを蒸着し、各層を必要に応じてパターニングした。
各層の真空蒸着条件は、一例として次の通りとした。
【0034】
このようにして作製した有機EL素子に、一例として18Vの直流電圧を印加し、その発光スペクトル強度をフォトマルチプライヤ(光電子増倍管)の出力強度で示した。これを図8に示す。発光スペクトルのピークは455nmにあり、青色の発光が得られた。
【0035】
実施例6
前実施例3で合成した亜鉛複核錯体Zn2 (Bt −O)3 を電子輸送層2の材料として採用した他は、前実施例5と同様に有機EL素子を作製した。
実施例6のEL素子の発光スペクトルを図9に示す。発光スペクトルのピークは465nmにあり、青色の発光が得られた。
【0036】
比較例3
前実施例1で合成した亜鉛複核錯体Zn2 (Bi −O)3 Clに替えて、従来技術で触れたオキシン錯体、具体的にはトリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウムを用いた以外は前実施例5に準じ、有機EL素子を作製した。
比較例3によるEL素子の発光スペクトルを図10に示す。発光スペクトル強度のピークは、実施例5および6のEL素子より長波長側にずれ、523nmの緑色発光であった。
【0037】
以上、本発明を詳細に説明したが、これら実施例は単なる例示であって、本発明はこれら実施例に何ら限定されることはない。例えば金属複核錯体における各置換基の種類、金属元素および対イオンの種類等は任意に変更が可能である。これらの分子設計により、種々の色度や輝度を有する発光素子を得ることができる。
また発光素子の層構成や電極構成等も実施例以外に各種構成が可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の金属複核錯体およびその製造方法によれば、高電子輸送性、種々の色度、高輝度および高螢光性の新規有機発光材料およびその効率的な製造方法を提供することができる。
また本発明の光学素子は、かかる新規有機材料を用いることにより、種々の色度で高輝度に発光する有機EL素子等の光学素子を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の一構成例を示す概略断面図である。
【図2】有機EL素子の他の一構成例を示す概略断面図である。
【図3】有機EL素子のさらに他の一構成例を示す概略斜視図である。
【図4】実施例1で合成した金属複核錯体のマススペクトルである。
【図5】実施例1で合成した金属複核錯体のマススペクトルの拡大図である。
【図6】実施例3で合成した金属複核錯体のマススペクトルである。
【図7】実施例3で合成した金属複核錯体のマススペクトルの拡大図である。
【図8】実施例5で作製した有機EL素子の発光スペクトルである。
【図9】実施例6で作製した有機EL素子の発光スペクトルである。
【図10】比較例3の有機EL素子の発光スペクトルである。
【符号の説明】
1…陰極、2…電子輸送層、3…発光層、4…ホール輸送層、5…陽極、6…基板、7…直流電圧、8…発光、9,10…制御回路
Claims (11)
- 下記一般式(3)で示される金属塩と、
下記一般式(4)で示される化合物とを、アルコール中で反応させて、下記一般式(1)で示される金属複核錯体を得ること
を特徴とする金属複核錯体の製造方法。
M(II)X2 (3)
Xはハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基およびチオール基のうちのいずれか1種の対アニオンを、
R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基、およびこれらの原子または基で置換されたアルキル基、アリール基および複素芳香族のうちのいずれか1種を表す。) - 下記一般式(3)で示される金属塩と、
下記一般式(5)で示される化合物とを、アルコール中で反応させて、下記一般式(2)で示される金属複核錯体を得ること
を特徴とする金属複核錯体の製造方法。
M(II)X2 (3)
Xはハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基およびチオール基のうちのいずれか1種の対アニオンを、
R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基、およびこれらの原子または基で置換されたアルキル基、アリール基および複素芳香族のうちのいずれか1種を表す。) - 前記アルコールとして、炭素数1〜12の低級アルコールを用いること
を特徴とする請求項3または4記載の金属複核錯体の製造方法。 - 前記一般式(4)または(5)に示される化合物から水素原子を引き抜くために、前記アルコール中にアルカリを添加して前記反応をおこなうこと
を特徴とする請求項3または4記載の金属複核錯体の製造方法。 - 発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方を有する光学素子であって、
前記発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方には、
下記一般式(1)で示される少なくとも1種の金属複核錯体が含有されていること
を特徴とする光学素子。
Xはハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基およびチオール基のうちのいずれか1種の対アニオンを、
R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基、およびこれらの原子または基で置換されたアルキル基、アリール基および複素芳香族のうちのいずれか1種を、それぞれ表す。) - 発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方を有する光学素子であって、
前記発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方には、
下記一般式(2)で示される少なくとも1種の金属複核錯体が含有されていること
を特徴とする光学素子。
Xはハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基およびチオール基のうちのいずれか1種の対アニオンを、
R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基、およびこれらの原子または基で置換されたアルキル基、アリール基および複素芳香族のうちのいずれか1種を表す。) - 前記一般式(1)または(2)で示される金属複核錯体に加えて、
さらに螢光色素が含有されていること
を特徴とする請求項7または8記載の光学素子。 - 基板上に、陽極と、ホール輸送層と、発光層および電子輸送層のいずれか少なくとも一方と、陰極とが、この順に順次積層された構造を有すること
を特徴とする請求項7または8記載の光学素子。 - 前記発光素子は、エレクトロルミネセンス素子であること
を特徴とする請求項7または8記載の光学素子。
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