JP3719403B2 - 透明樹脂成形物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電気を除去するための界面活性剤が塗布、形成された透明樹脂成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、例えば、自動車用計器類のガラス等には、その表面に帯電防止剤としての界面活性剤を塗布することにより、静電気を除去し、異物等の吸着を防止している。
【0003】
最近の計器は、その構成部品として軽量で安価な合成樹脂を用い、さらには、その表面上に印刷、塗装といった表面処理が多用されていることから、静電気による弊害が多い。また、計器の組付方法も圧入、ビス締め等が多く採用されているため、発生する削り粉、破片等が異物として計器可視部に付着する。
【0004】
このため、透明樹脂成形物よりなる計器の可視部(フロントパネルや文字盤(ダイヤル)等)の表面には、静電気の発生を防止する手段として帯電防止剤としての界面活性剤を塗布することが必須となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、使用する界面活性剤によっては、経時変化によって装飾視認性(透明性)を損なうという重大な欠点があり、カーメーカー等のユーザに対して多大な不満を与えることが度々生じている。
【0006】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、計器類の可視部等に使用される透明樹脂成形物において、静電気の発生防止と装飾視認性の経時劣化防止とを両立することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
計器類の可視部等に用いられる透明樹脂成形物に塗布される界面活性剤としては、装飾視認性(透明性)が必須であり、そのようなものとしては、通常カチオン系の界面活性剤が用いられる。
【0008】
本発明者は、カチオン系界面活性剤として通常用いられる第4級アンモニウム塩について検討したところ、その平均分子量を制御することにより静電気の発生防止と装飾視認性の経時劣化防止とを両立できることを実験的に見出した。本発明は、この検討結果に基づいてなされたものである。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明では、表面に静電気の発生を防止するための界面活性剤からなる膜(20)が形成された透明樹脂成形物(10)において、界面活性剤は、平均分子量が260〜385である第4級アンモニウム塩からなるものであることを特徴とする。
【0010】
それによれば、平均分子量が260〜385である第4級アンモニウム塩を界面活性剤として用いることにより、実用レベルにおいて静電気発生の防止と装飾視認性の経時劣化とを両立する透明樹脂成形物を実現することができる。なお、請求項1に記載の発明では、第4級アンモニウム塩は、n−アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩とn−アルキルジメチルアンモニウム塩との混合物であるとしている。
【0011】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係る透明樹脂成形物10の概略断面図である。この透明樹脂成形物10は板状のものであり、例えば自動車用計器のフロントパネルや文字盤(ダイヤル)等の可視部に適用することができる。
【0013】
透明樹脂成形物10の材質は、上記フロントパネル等に用いられるポリメチルメタクリレート(MMA樹脂)等のアクリル樹脂、上記文字盤等に用いられるポリカーボネート(PC樹脂)、さらにはポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)等の透明樹脂を採用することができる。
【0014】
透明樹脂成形物10の上面および下面には、静電気の発生を防止するための(帯電防止剤としての)界面活性剤からなる塗布膜20が形成されている。なお、この塗布膜20は、用途により、透明樹脂成形物10の上面のみまたは下面のみに形成されていても良い。この塗布膜20を構成する界面活性剤は、平均分子量が260〜385である第4級アンモニウム塩からなる。
【0015】
このような第4級アンモニウム塩としては限定するものではないが、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、n−アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩とn−アルキルジメチルアンモニウム塩との混合物、または、これらの混合物等を用いることができる。
【0016】
第4級アンモニウム塩の一般化学構造式を以下の化学式1に、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩の化学構造式を以下の化学式2に、それぞれ示しておく。
【0017】
【化1】
Figure 0003719403
【0018】
【化2】
Figure 0003719403
【0019】
なお、上記化学式1および化学式2中、Rはアルキル基、XはCl(塩素)等のハロゲンを示す。
【0020】
このような本実施形態の透明樹脂成形物10によれば、実用レベルにおいて静電気発生を防止できるとともに、自動車用計器等に用いて厳しい環境下にあっても塗布膜20が透明性を維持することができる。つまり、実用レベルにて静電気の発生防止と装飾視認性の経時劣化とを両立する透明樹脂成形物10が実現される。
【0021】
ここで、塗布膜20を構成する界面活性剤として、平均分子量が260〜385である第4級アンモニウム塩を用いるのは、次に述べるような本発明者の実験検討結果を根拠とするものである。検討結果を図2および図3の表に示す。
【0022】
[検討した界面活性剤(供試界面活性剤)]
検討用の界面活性剤として、▲1▼平均分子量が264であるモノアルキルトリメチルアンモニウム塩(ライオン・アクゾ社製、アーカード12−33W(商品名))、▲2▼平均分子量が292であるモノアルキルトリメチルアンモニウム塩、▲3▼平均分子量が320であるモノアルキルトリメチルアンモニウム塩(ライオン・アクゾ社製、アーカード16−29(商品名))、▲4▼平均分子量が362であるジアルキルジメチルアンモニウム塩(ライオン・アクゾ社製、アーカード210−80E(商品名))、▲5▼平均分子量が370であるn−アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩とn−アルキルジメチルアンモニウム塩との混合物(米国ACL社製、スタチサイドGP(商品名))、▲6▼平均分子量が405であるジアルキルジメチルアンモニウム塩、▲7▼平均分子量が448であるジアルキルジメチルアンモニウム塩(ライオン・アクゾ社製、アーカード2C−75(商品名))の7種を用いた。
【0023】
なお、上記の供試界面活性剤のうち▲2▼平均分子量が292であるモノアルキルトリメチルアンモニウム塩は、平均分子量が264である界面活性剤▲1▼と平均分子量が320である界面活性剤▲3▼とを1:1でブレンドして調整したものであり、▲6▼平均分子量が405であるジアルキルジメチルアンモニウム塩は、平均分子量が362である界面活性剤▲4▼と平均分子量が448である界面活性剤▲7▼とを1:1でブレンドして調整したものである。
【0024】
[塗布条件]
上記の供試界面活性剤を、イオン交換水により希釈し、この希釈液を塗装用のスプレーガンにより被処理物としての透明樹脂成形物10の表面に吹き付け処理する。本例では、透明樹脂成形物10として透明MMA樹脂からなるものを用いた。
【0025】
希釈液における供試界面活性剤の濃度(塗布濃度)は、あまり濃すぎると塗布後の外観(見栄えや視認性等)が悪くなるので、塗布後の外観に悪影響を及ぼさない濃度とする。このような塗布濃度は供試界面活性剤により異なるが、供試界面活性剤▲1▼〜▲7▼についてそれぞれ、図2、図3に示すような濃度とした。なお、供試界面活性剤▲2▼については、供試界面活性剤▲1▼と▲3▼の塗布濃度を1:1にブレンドして調整し、供試界面活性剤▲6▼については、供試界面活性剤▲4▼と▲7▼の塗布濃度を1:1にブレンドして調整した。
【0026】
上記スプレーガンによる吹き付けは、界面活性剤が均一に塗布されるように行う。例えば、被処理物に対し、スプレーガンの走査方向を縦、横両方に行うことでムラを無くす。本例では、吹き付け距離を200〜300mm、吹き付け圧力を294〜490kPa(元圧)、吐出量を10〜20mL/minとなるようにした。
【0027】
スプレーガンによる吹き付け処理を行った後、エアブローにより水を揮散させる。なお、放置して水を揮散させても良い。このような吹き付け条件を採用することにより、水が揮散した後の被処理物表面において、供試界面活性剤の塗布量が平均800mg〜1g/m2程度にて均一に塗布された上記塗布膜20を形成する。
【0028】
[検討項目]
(1)静電位:静電気の発生防止効果を調べるため静電位を測定する。静電位の測定は、「塗布直後」、「5分放置後」、「10分放置後」、「塗布→摩擦後」(図2、図3中では「摩擦後」)の4条件にて行った。
【0029】
「塗布直後」については、上記した塗布条件にて塗布し、乾燥させた直後(塗布膜形成直後)に、静電位計(例えば、リオン製静電場測定器EA−7型)にて帯電量を測定する。この場合、計器と測定部との間は10mmの距離を保ち、また、測定環境は25±5℃で湿度は35〜50%RHとした。この距離および測定環境は、他の三つの静電位測定条件も同じとした。
【0030】
「5分放置後」については、上記した塗布条件にて塗布し、乾燥させた直後から5分間放置後、「10分放置後」については上記した塗布条件にて塗布し、乾燥させた直後から10分間放置後、それぞれ帯電量を測定する。
【0031】
また、「塗布→摩擦後」については、上記に示した塗布条件にて塗布し、乾燥させた直後に、薬局方ガーゼにより往復10回、左右に被処理物の測定部を擦り付け(摩擦)、その後速やかに帯電量を測定する。
【0032】
(2)外観:外観については、透明性(装飾視認性)の確認を、曇りを加速するための「加速試験1」および「加速試験2」、「放置試験」、「化学反応性」により行う。
【0033】
「加速試験1」(図2、図3中、加速1と示す)の試験方法を図4に示す。10は、帯電防止処理された被処理物、すなわち、その表面に上記供試界面活性剤▲1▼〜▲7▼のいずれかからなる塗布膜20が形成されたMMA樹脂からなる透明樹脂成形物である。この被処理物10を50%硫酸(図中、符号35で示す)を入れたビーカー30の上に少し隙間を空けて配置する。
【0034】
ビーカー30は、ホットプレート40の上に置き、ホットプレート40は35℃に設定する。このような図4に示す状態は、環気中雰囲気を想定したものであり、この状態で5時間放置した後、塗布膜20の曇りの有無を目視にて確認する。
【0035】
「加速試験2」(図2、図3中、加速2と示す)の試験方法を図5に示す。上記加速試験1と同じ被処理物10を、自動車用計器構成材(メータアッセンブリ構成材)の破片50を入れたビーカー30の上に直接搭載する。この破片50は、例えばスルホン酸カルシウムを含むABS樹脂成形材の破片であり、量は1gとする。
【0036】
そして、ビーカー30は、ホットプレート40の上に置き、ホットプレート40は90℃に設定する。このような図5に示す状態は、車載用メータ(密閉)内の雰囲気を想定したものであり、この状態で48時間放置した後、塗布膜20の曇りの有無を目視にて確認する。
【0037】
「放置試験」(図2、図3中、放置と示す)は、上記加速試験1と同じ被処理物10を環気中に放置(室温で384時間)した後、塗布膜20の曇りの有無を目視にて確認する。
【0038】
「化学反応性」(図2、図3中、反応性と示す)は、環境中における曇りの要因と考えられる硫酸や硫酸アンモニウムと界面活性剤との反応生成物を調べる。帯電防止処理に適した濃度(図2、図3の塗布濃度参照)に希釈した上記供試界面活性剤▲1▼〜▲7▼の中に、1%硫酸、1%硫酸アンモニウムをそれぞれ滴下、撹拌した後に、5分間静置後に液体の状態を目視にて確認する。反応生成物が生成していれば白色生成物が発現する。
【0039】
[検討結果]
まず、静電位の判定基準については、ごみや埃等の吸着防止を図るには300V以下が好ましい。ただし、500V以下前後であっても帯電防止剤として使用することは問題ないレベルである。これは、MMA樹脂における帯電防止処理前は静電位が1000〜3000V程度であり、これを更に摩擦した場合には5000V以上に場合もあり、500V前後ならば、使用可能なレベルに静電気の発生を防止できている。
【0040】
このことから、静電位については、図2、図3に示すように、各供試界面活性剤▲1▼〜▲7▼について、「塗布直後」、「5分放置後」、「10分放置後」、「塗布→摩擦後」のいずれの条件においても、550V以下であり、使用可能な範囲であった。
【0041】
特に、供試界面活性剤▲1▼〜▲7▼のうち平均分子量の大きいものほど、静電気の発生防止効果が大きくなっており、平均分子量が小さくなるほど、静電気の発生防止効果が小さくなっている。また、この結果から、平均分子量が260より小さいものは、静電気の発生防止効果の点については、実用レベルを満足するには好ましくないと考えられる。
【0042】
また、外観の判定基準については、白さが気にならなければ実用上問題ない。図2、図3に示すように、各供試界面活性剤▲1▼〜▲7▼のうち平均分子量が370以下のものについて、「加速試験1」および「加速試験2」、「放置試験」、「化学反応性」のいずれにおいても、変化が無く透明性を維持しており、実用上問題ないレベルであった。また、平均分子量が370よりも大きいものでは、白色曇りが発生したり、白色物が生成し、実用上適用不可のレベルであった。
【0043】
この白色曇りの発生について、次のような検証を行った。上記供試界面活性剤▲7▼(平均分子量448)について、「加速試験2」を行った後の白色曇りが生じた塗布膜20の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した。1000倍の倍率で撮影したSEM写真に基づいて、塗布膜20の表面を模式的に表したのが図6である。
【0044】
図6において、半球状の部分21が白色曇りとして視認されるものである。この部分21は主成分が硫酸塩と推定される。これは、上記供試界面活性剤▲7▼について加速試験2を行った後の塗布膜20を、イオンクロマトグラフィにて成分分析したところ、加速試験2後の塗布膜20中には、環境中のSに寄因するSO4が多量に検出されたためである。
【0045】
例えば、加速試験2後の塗布膜20中のイオン検出量(単位μg/150cm2)は、Fが0.2、Clが2.8、NO3が1.8、Brが0.1未満、HPO4が0.1未満、SO4が12.8、Naが2.6、NH4が2.3、Kが1.9、Mgが0.2、Caが1.3であった。
【0046】
それに対して、塗布する界面活性剤自身▲7▼におけるイオン検出量(単位μg/150cm2)は、上記検出イオンのうち界面活性剤中のHCl成分に起因するClが0.29と多かった以外は、すべて0.1未満であった。このことから、最も多いSO4すなわち環境中のSが、曇りの原因であると推定される。
【0047】
本発明者の推定した曇り発生のメカニズムを次の化学式3に示す。
【0048】
【化3】
SOX + H2O → H2SOX
2SOX + 2R4+Cl- → (R4N)2 +(SOX2- + 2HClこの化学式3に示すような化学反応によって、環境中のSOXが界面活性剤に吸着されている水分子に溶解し、これが界面活性剤と複分解反応を起こし、白色の曇り(硫酸塩)を生ずると推定される。
【0049】
つまり、図2、図3に示す結果から、透明樹脂成形物10における塗布膜20を構成する界面活性剤において、平均分子量が370を超える場合は、静電気発生防止効果は極めて優れているものの、環気中のSOXと反応することにより白色の曇りを呈し、装飾視認性(透明性)を損なう。
【0050】
一方、当該平均分子量が260未満である場合には、環気中のSOXと反応したとしても装飾視認性は良好であるものの、静電気発生防止効果には劣る。図2、図3は、これら静電気発生防止効果および装飾視認性の経時劣化防止効果を考慮して、上記供試界面活性剤▲1▼〜▲7▼の優劣を判定している。
【0051】
図中の供試界面活性剤▲1▼〜▲7▼のうちでは、最良のもの(判定マーク◎)は平均分子量370の活性剤▲5▼であり、続いて、良好に使用可能なもの(判定マーク○)として平均分子量が320、362である活性剤▲3▼、▲4▼となり、次に使用可能なものとして平均分子量が264、292である活性剤▲1▼、▲2▼となる。平均分子量が370を超える活性剤▲6▼、▲7▼は使用不可(判定マーク×)である。
【0052】
このように、塗布膜20を構成する界面活性剤として、平均分子量のばらつきを考慮して平均分子量が260〜385である第4級アンモニウム塩を用いれば、例えば、自動車用計器の可視部に適用しても、要求される静電気発生防止効果と装飾視認性(透明性)の経時劣化防止効果を達成することができる。
【0053】
具体的には、自動車用計器のフロントパネルやダイヤル、見返し板等の構成材として用いられる透明樹脂、その表面処理としての印刷膜、塗装膜あるいはABS樹脂等に含有されるSOX等、帯電防止処理後の透明樹脂成形物の透明性を損なう成分の存在下においても、長期間透明性を維持することができるといった優れた効果が、本実施形態では発揮される。
【0054】
なお、透明性を損なう成分としては、他には、リン酸イオン、炭酸イオン等の2価のアニオンも考えられる。ただし、このような成分のうちSOxが最も環境中に飛びやすく、多く存在すると考えられる。
【0055】
(他の実施形態)
なお、界面活性剤を帯電防止剤として透明樹脂成形物に塗布する場合、上記のスプレーガンを用いた方式(スプレー方式)に限らず、浸漬法や霧化雰囲気を通過させる方式でも良い。
【0056】
また、界面活性剤を塗布するにあたって希釈に用いる溶媒は、水以外にも、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコールでも良い。また、水とアルコールとの混合溶媒でも良い。要は、溶媒として均一に溶解あるいは分散が可能であれば上記に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る透明樹脂成形物の概略断面図である。
【図2】平均分子量の異なる界面活性剤を用いた検討結果を示す図表である。
【図3】図2に続く平均分子量の異なる界面活性剤を用いた検討結果を示す図表である。
【図4】加速試験1の試験方法を示す説明図である。
【図5】加速試験2の試験方法を示す説明図である。
【図6】白色曇りが生じた塗布膜の表面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10…透明樹脂成形物、20…塗布膜。

Claims (1)

  1. 表面に静電気の発生を防止するための界面活性剤からなる膜(20)が形成された透明樹脂成形物(10)において、
    前記界面活性剤は、平均分子量が260〜385である第4級アンモニウム塩からなり、前記第4級アンモニウム塩は、n−アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩とn−アルキルジメチルアンモニウム塩との混合物であることを特徴とする透明樹脂成形物。
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