JP3719261B2 - 車両の電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ハンドルの操舵操作を電動モータの回転によりアシストする車両の電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、例えば下記特許文献1に示されているように、ステアリングシャフトの外周面上に周方向に沿って1箇所又は複数箇所に設けたロック溝と、ステアリングシャフトのロック溝の設けられた軸方向位置にて同シャフトの外周面上に対向しスプリングによってステアリングシャフトの径方向内側に向けて付勢されたロックバーと、キーシリンダに挿入されたイグニッションキーの回動に連動してロックバーのステアリングシャフトの径方向内側への変位を規制し又は許容するカム機構とを備え、ロック状態にてハンドルの回動を禁止するとともに、ロック解除状態にてハンドルの回動を許容するステアリングロック機構はよく知られている。このステアリングロック機構においては、イグニッションキーをキーシリンダに挿入してイグニッションスイッチをオンさせる方向へ回動させると、カム機構がロックバーをステアリングシャフトの径方向外側に変位させてロックバーの先端をステアリングシャフトの外周面から離れて位置するロック解除位置に保持し、ハンドルの回動を許容する。一方、イグニッションキーをキーシリンダから引き抜くために前記回動位置から前記と反対方向に同キーを回動したとき、カム機構がロックバーをロック解除位置に保持することを解除してロックバーのステアリングシャフトの径方向内側への変位を許容するので、ロックバーがスプリングの付勢力によってロック溝に侵入して、ハンドルの回動を禁止する。
特開平11−43017号公報
しかし、上記従来の装置にあっては、運転者が、車両の運転を終了し、イグニッションキーをイグニッションスイッチをオンさせる方向と反対方向に回動した後にキーシリンダから引き抜いたとしても、ロックバーの先端面がロック溝に対向していない場合には、ロックバーの先端面がステアリングシャフトの外周面に当接して、同バーの先端部がロック溝に侵入しないので、ハンドルが完全にはロックされない。この状態で、ハンドルを回動させれば、ステアリングシャフトに設けたロック溝がロックバーの先端部位置まで回動した時点で、ロックバーの先端部はロック溝に侵入してハンドルは完全にロックされるので、車両の盗難が防止される。しかしながら、前記のようなハンドルの回動操作は運転者にとって面倒であったり、同回動操作をすることを忘れたり、運転者の知識不足のために同回動操作をしなかったりする場合があり、前記のようにハンドルが完全にロックされていない状態では、同ハンドルが完全にロックしている状態に比べて、車両を盗難するまでに要する時間が短縮されることになり、車両の盗難に対してやや安全に欠ける。
また、一方では、運転者がイグニッションキーをキーシリンダに挿入するとともに回動して車両を始動させる場合、ロックバーがロック溝に侵入した状態ではロックバーの外周面とロック溝の内周面との接触摩擦により、ロックバーをロック溝から引き抜くためにイグニッションキーの回動操作に多少の力が必要な場合があり、同キーの回動操作が重くなるという問題もある。このような場合、ハンドルを若干回動させながら、イグニッションキーを回動させれば、簡単にハンドルのロックを解除することができるが、このような操作は多少難しく、操作性が悪いという問題もある。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、ロック状態にてハンドルの回動操作を不能とするとともにロック解除状態にてハンドルの回動操作を許容するステアリングロック機構と、ハンドルの回動操作をアシストするための電動モータとを備えた車両の電動パワーステアリング装置において、車両の運転開始時にハンドルのロック解除が簡単になされるとともに、車両の運転終了時にハンドルが完全にロックされるようにした車両の電動パワーステアリング装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、ロック状態にてハンドルの回動操作を不能とするとともにロック解除状態にてハンドルの回動操作を許容するステアリングロック機構と、ハンドルの回動操作をアシストするための電動モータとを備えた車両の電動パワーステアリング装置において、電動モータを駆動制御してステアリングロック機構におけるロック状態の解除を補助するロック解除補助制御手段と、ハンドルと電動モータとの間に位置するステアリングシャフトに介在させたギヤ比を可変とする可変ギヤ機構とを設け、ロック解除補助制御手段による電動モータの駆動制御によってステアリングロック機構におけるロック状態の解除を補助するとともに、同ロック状態の解除を補助するための電動モータの回転時に可変ギヤ機構を制御してハンドルの回転量を小さくするようにしたことにある。
これによれば、運転者がイグニッションキーをキーシリンダに挿入するとともに回動して車両を始動させる場合、ロックバーがロック溝に侵入するとともにロックバーの外周面とロック溝の内周面とが接触していても、ロック解除補助制御手段が電動モータを駆動制御してステアリングロック機構におけるロック状態の解除を補助するので、前記ロックバーとロック溝との接触が自動的に解除される。したがって、運転者は、ハンドルを回動させながらイグニッションキーを回動させなくても、イグニッションキーを小さな力で回動するだけで、簡単にハンドルのロック状態を解除させることでき、このステアリングロック機構の操作性が良好となる。また、電動モータの回転時に可変ギヤ機構を制御してハンドルの回転量を小さくするために、ハンドルのロック解除時における同ハンドルの回転の違和感をなくすことができる。
また、本発明の他の構成上の特徴は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を設け、ロック解除補助制御手段が前記検出した操舵トルクに基づいて電動モータを駆動制御するようにしたことにある。
これによれば、ロックバーがロック溝に侵入するとともにロックバーの外周面とロック溝の内周面とが接触している場合、前記接触及び同接触を解除する方向が検出した操舵トルクによって把握されるので、電動モータの回転方向を適切に制御できるようになり、ステアリングロック機構におけるロック状態を的確に解除することができるようになる。
また、本発明の他の構成上の特徴は、ロック状態にてハンドルの回動操作を不能とするとともにロック解除状態にてハンドルの回動操作を許容するステアリングロック機構と、ハンドルの回動操作をアシストするための電動モータとを備えた車両の電動パワーステアリング装置において、電動モータを駆動制御してステアリングロック機構におけるロック状態の設定を補助するロック補助制御手段と、ハンドルと電動モータとの間に位置するステアリングシャフトに介在させたギヤ比を可変とする可変ギヤ機構とを設け、ロック補助制御手段による電動モータの駆動制御によってステアリングロック機構におけるロック状態の設定を補助するとともに、同ロック状態の設定を補助するための電動モータの回転時に可変ギヤ機構を制御してハンドルの回転量を小さくするようにしたことにある。
これによれば、運転者がイグニッションキーをイグニッションスイッチをオンさせる方向と反対方向に回動した後にキーシリンダから引き抜いて車両の運転を停止する場合、ロックバーの先端面がロック溝に対向していなくても、ロック補助制御手段が電動モータを駆動制御してステアリングロック機構におけるロック状態の設定を補助するので、ステアリングシャフトに設けたロック溝がロックバーの先端面に対向した位置まで回動した時点で、ロックバーの先端部はロック溝に侵入してハンドルは完全にロックされる。したがって、運転者がイグニッションキーをキーシリンダから抜き取った後、ハンドルを回動操作しなくても、ハンドルは常に完全にロックされるので、このステアリングロック機構の操作性が良好となるとともに、車両の盗難に対してもより安全になる。また、電動モータの回転時に可変ギヤ機構を制御してハンドルの回転量を小さくするために、ハンドルのロック時における同ハンドルの回転の違和感をなくすことができる。
また、本発明の他の構成上の特徴は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を設け、ロック補助制御手段が前記検出した操舵トルクに基づいて電動モータを駆動制御するようにしたことにある。
これによれば、操舵トルク検出手段により、ステアリングロック機構においてロックバーの先端部がロック溝に侵入した後、ロックバーの外周面がロック溝の内周面を押圧している状態が検出され、ロック補助制御手段がこの操舵トルク検出手段による検出に基づいて電動モータを的確に駆動制御できるので、ステアリングロック機構によるハンドルのロックが確実になされる。
また、本発明の他の構成上の特徴は、ハンドルの回転位置を検出する回転角検出手段を設け、ロック補助制御手段が前記検出したハンドルの回転位置に基づいて電動モータを駆動制御するようにしたことにある。
これによれば、ステアリングロック機構におけるロックバーの先端面がロック溝に対向していなくても、回転角検出手段によりロックバーの先端面とロック溝との位置関係が把握されるので、ロック補助制御手段は電動モータの回転方向を適切に制御できるようになり、ステアリングロック機構によるハンドルのロックを的確に制御することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明すると、図1は、同実施形態に係る車両の電動パワーステアリング装置を概略的に示している。
この電動パワーステアリング装置は、ハンドル11に上端を一体回転するように接続したステアリングシャフト12を備え、同シャフト12の下端はラックアンドピニオン機構13のピニオンギア13aに一体回転するように接続されている。ラックアンドピニオン機構13のラックバー13bの両端には、同バー13bの軸線方向の変位に応じて左右に操舵される左右前輪FW1,FW2が接続されている。
ステアリングシャフト12の上部には、同シャフト12に設けたロック溝と、同シャフト12を回転可能に支持する支持部材側に設けたロックバーとの係合によりハンドル11の回動を禁止するステアリングロック機構14が組み付けられている。このステアリングロック機構14は、周知の構成で、前記ロック溝及びロックバーに加えて、イグニッションキーIGKの回動に連動してロックバーを変位させるカム機構を備えている。ロック溝は、ステアリングシャフト12の外周面上に周方向に沿って1箇所又は複数箇所に設けられている。ロックバーは、車体に対する固定側に設けられてステアリングシャフト12を軸線周りに回動可能に支持する支持部材に組み込まれて、ステアリングシャフト12のロック溝の設けられた軸方向位置にて同シャフト12の外周面上に対向しスプリングによって同シャフト12の径方向内側に向けて常時付勢されている。カム機構は、キーシリンダに挿入されたイグニッションキーIGKがイグニッションスイッチ25をオンさせる方向へ回動されたとき、ステアリングの付勢力に抗してロックバーを前記径方向外側に変位させてロックバーの先端面をステアリングシャフト12の外周面から離れて位置させるロック解除位置に保持するとともに、イグニッションキーIGKをキーシリンダから引き抜くために前記イグニッションスイッチ25をオンさせた回動位置から前記と反対方向に回動したとき、ロックバーをロック解除位置に保持することを解除してスプリングの付勢力によってロックバーの前記径方向内側への変位を許容する。
ステアリングシャフト12には、ピニオンギア13aとステアリングロック機構14の間の位置にて電動モータ15が組み付けられている。電動モータ15は、直流モータで構成されて、その回転に応じてハンドル11の回動操作に対してアシスト力を付与するもので、その回転は減速機16を介してステアリングシャフト12に伝達されるようになっている。
電動モータ15には、電気制御装置20が電気的に接続され、電気制御装置20には、車速センサ21及び操舵トルクセンサ22が接続されている。車速センサ21は、車速Vを検出して、同車速Vを表す検出信号を電気制御装置20に供給する。操舵トルクセンサ22は、ステアリングロック機構14と減速機16の間の位置にてステアリングシャフト12の一部を構成するトーションバーなどの弾性捩れ部材の両端部間の回転変位量の差を検出して、同差に比例した信号を操舵トルクTMを表す信号として電気制御装置20に供給する。この操舵トルクTMは、ハンドル11の回動操作に対する反力にも対応するもので、回転方向に応じて操舵トルクTMを正負により表している。
電気制御装置20は、図2に示すように、負電圧端子(−)を接地したバッテリ23を備え、同バッテリ23の正電圧端子(+)には、第1リレースイッチ24a、イグニッションスイッチ25、キー挿入検出スイッチ26及び第2リレースイッチ27aの各一端がそれぞれ接続されている。
第1リレースイッチ24aは、後述する第1リレー制御回路44により制御される第1リレーコイル24bの非通電時にオフ状態に保たれるとともに、第1リレーコイル24bの通電時にオン状態に保たれて、駆動回路30にバッテリ電圧を供給する。駆動回路30は、電動モータ15に駆動電流を流すもので、FETなどのスイッチング素子31〜34を4辺とするブリッジ回路からなる。ブリッジ回路の互いに対向する一対の対角位置の一方はシャント抵抗35を介してリレースイッチ24aの他端に接続されており、同一対の対角位置の他方はシャント抵抗36を介して接地されている。また、前記ブリッジ回路の他方の対角位置には、電動モータ15の両端子がそれぞれ接続されている。
イグニッションスイッチ25は、イグニッションキーIGKをキーシリンダに挿入して一方向に回動させた状態にあるときオンし、その他の状態でオフしているものである。イグニッションスイッチ25の他端は、ダイオード28aを介して、マイクロコンピュータ40、駆動制御回路41、電流検出回路42、電圧検出回路43及び第1リレー制御回路44に接続されて、同スイッチ25がオン状態にあるとき各回路40〜44にバッテリ電圧を供給する。また、ダイオード28aのカソード側には、ダイオード28bを介して第1リレースイッチ24aからのバッテリ電圧も供給されるようになっている。さらに、イグニッションスイッチ25の他端とダイオード28aとの接続点の電位はマイクロコンピュータ40にも供給されるようになっている。
マイクロコンピュータ40は、図3,4のフローチャートに示す内蔵のプログラムの実行により、車速センサ21及び操舵トルクセンサ22からの車速V及び操舵トルクTMをそれぞれ入力して、車速V及び操舵トルクTMに応じて電動モータ15に流すための指令電流値I*を計算し、同計算した指令電流値I*に応じた制御信号を駆動制御回路41に出力するとともに、第1及び第2リレー制御回路44,45を制御する。駆動制御回路41は、マイクロコンピュータ40からの前記制御信号に応じて駆動回路30内のスイッチング素子31〜34をオン・オフ制御する。
電流検出回路42は、シャント抵抗36の両端に接続され、同抵抗36の両端の電圧に基づいて電動モータ15に流れる駆動電流値Imを表す検出信号をマイクロコンピュータ40に出力する。電圧検出回路43は、電動モータ15の両端に接続され、同モータ15の端子間電圧値Vmを表す検出信号をマイクロコンピュータ40に出力する。第1リレー制御回路44は、マイクロコンピュータ40からの制御信号に応じて第1リレーコイル24bの通電及び通電解除を制御する。
キー挿入検出スイッチ26は、イグニッションキーIGKがキーシリンダへ挿入されているときオンし、イグニッションキーIGKがキーシリンダから引き抜かれているときオフする。このキー挿入検出スイッチ26の他端は抵抗46を介して接地されており、同スイッチ26と抵抗46との接続点の電位はマイクロコンピュータ40及び第2リレー制御回路45に供給されるようになっている。
第2リレースイッチ27aは、第2リレー制御回路45により制御される第2リレーコイル27bの非通電時にオフ状態に保たれるとともに、第2リレーコイル27bの通電時にオン状態に保たれるものであり、同スイッチ27aの他端は抵抗47を介して接地されている。この第2リレースイッチ27aと抵抗47の接続点は、ダイオード28cを介してダイオード28a,28bの両カソード側に接続されていて、同スイッチ27aのオン時には、バッテリ電圧が、マイクロコンピュータ40、駆動制御回路41、電流検出回路42、電圧検出回路43及び第1リレー制御回路44にそれぞれ供給されるようになっている。
第2リレー制御回路45は、一端にてバッテリ23の正電圧端子(+)に接続された第2リレーコイル27bの他端と、一端を接地した抵抗48の他端との間に接続されている。この第2リレー制御回路45はフリップフロップ回路、スイッチング回路などにより構成されていて、キー挿入検出スイッチ26と抵抗46との接続点の電位の立ち上がり時に第2リレーコイル27bの通電を開始するとともに、マイクロコンピュータ40からの制御信号により前記通電を解除する。
次に、上記のように構成した実施形態の動作を説明する。車両を発進させるために、運転者がイグニッションキーIGKをキーシリンダ内に挿入してイグニッションスイッチ25がオンする方向に回動すると、前記イグニッションキーIGKをキーシリンダ内に挿入した時点でキー挿入検出スイッチ26がオンする。このキー挿入検出スイッチ26のオンにより、同スイッチ26と抵抗46との接続点の電位が上昇する。この電位の上昇に応答して、第2リレー制御回路45は第2リレーコイル27bを通電し始めるので、第2リレースイッチ27aがオンし、同スイッチ27a及びダイオード28cを介して、バッテリ電圧が、マイクロコンピュータ40、駆動制御回路41、電流検出回路42、電圧検出回路43及び第1リレー制御回路44に供給され始める。また、この時点から、操舵トルクセンサ22にも図示しない電圧供給路を介してバッテリ電圧が供給され始める。なお、バッテリ電圧の供給の開始は、イグニッションスイッチ25がオンする前である。
このバッテリ電圧の供給開始により、マイクロコンピュータ40は、作動を開始して図3の初期制御プログラムの実行をステップ100にて開始する。前記初期制御プログラムの実行開始後、マイクロコンピュータ40は、ステップ102にて、CPU,ROM,RAM,インターフェース回路などからマイクロコンピュータ40自体、並びに電動モータ15、車速センサ21、操舵トルクセンサ22、駆動回路30、駆動制御回路41、電流検出回路42、電圧検出回路43、第1及び第2リレー制御回路44,45などのシステム全体の正常な作動を確認するためのイニシャルチェックを行う。そして、システムのいずれかの部分が異常であれば、ステップ104にて「NO」と判定して、ステップ106にて図示しない表示器にて異常に関する情報を表示するとともに、マイクロコンピュータ40内部の不揮発性メモリ部分に前記情報を書き込んだ後、ステップ130にて初期制御プログラムの実行を終了する。
一方、前記イニシャルチェックの結果、システム全体が正常であれば、ステップ104にて「YES」と判定して、ステップ108にて第1リレー制御回路44に制御信号を出力して、第1リレーコイル24bを通電制御する。この第1リレーコイル24bへの通電により、第1リレースイッチ24aはオンし、駆動回路30にはバッテリ23からのバッテリ電圧が供給されるようになる。
前記ステップ108の処理後、ステップ110にて操舵トルクセンサ22から操舵トルクTMを入力し、ステップ112にて操舵トルクTMがほぼ「0」であるか否かを判定し、ステップ114にて操舵トルクTMの正負を判定する。ステップ112の判定処理は、ステアリングロック機構14においてロックバーをロック溝から引き抜く荷重が大きいか否か、すなわちステアリングロック機構14において、ロックバーがロック溝の内周面に当接していてステアリングロック機構14と減速機16との間に位置するステアリングシャフト12(トーションバー)に捩れトルクが作用しているか否かを判定するものである。また、ステップ114の判定処理は、操舵トルクTMの作用している方向を判定するものである。
いま、ロックバーのロック溝の内周面に対する当接によりステアリングシャフト12に捩れトルクが作用していて操舵トルクTMがほぼ「0」でなければ、ステップ112にて「NO」と判定して、プログラムをステップ114以降に進める。そして、操舵トルクTMが正であれば、ステップ114にて「YES」と判定して、ステップ116にて指令電流値I*を正の所定電流値Ir1に設定する。一方、操舵トルクTMが負であれば、ステップ114にて「NO」と判定して、ステップ118にて指令電流値I*を負の所定電流値−Ir1に設定する。
ここで、ステアリングシャフト12に付与されている捩れトルクの方向と操舵トルクセンサ22により検出される操舵トルクTMの正負の関係、及び電動モータ15により駆動されるステアリングシャフト12の回動方向と指令電流値I*の正負の関係について説明しておく。まず、ハンドル11の通常回動操作時について考えると、左右前輪FW1,FW2を右方向(又は左方向)に操舵するためにハンドル11を右方向(又は左方向)に回動操作する場合にステアリングシャフト12に発生する操舵トルクTMを正(又は負)に定義するとともに、このハンドル11の回動操作をアシストする指令電流値I*を正(又は負)に定義すると、電動モータ15は正(又は負)の指令電流値I*に対してハンドル11を右回転(又は左回転)させるようにステアリングシャフト12を回動させる方向に回転することになり、この電動モータ15の回動方向を正(又は負)とする。一方、ステアリングロック機構14におけるロックバーとロック溝との係合によりハンドル11がロックされている状態において、操舵トルクセンサ22によって検出されている操舵トルクTMが正(又は負)であるということは、ステアリングシャフト12及びハンドル11が左方向(又は右方向)に回転しようとしているにもかかわらず、ステアリングロック機構14におけるロックバーがステアリングシャフト12のステアリングロック機構14よりも上部及びハンドル11の左方向(又は右方向)の回動を阻止している状態であり、ゆえに、この場合には、電動モータ15はステアリングシャフト12のステアリングロック機構14よりも下部を右方向(又は左方向)すなわち操舵トルクTMが「0」になる方向に回動させれば、前記ロックバーとロック溝との係合は解除されることになる。
このような説明からも理解できるように、ステップ114〜118の処理により決定される指令電流値I*は、ステアリングロック機構14におけるロックバーとロック溝との係合を解除する方向に電動モータ15を回転制御するためのものである。そして、マイクロコンピュータ40は、ステップ122にて、電流検出回路42から電動モータ15の駆動電流値Imを入力し、同駆動電流値Imが前記決定した指令電流値I*になるような駆動制御信号を駆動制御回路41に出力し、同制御回路41が駆動回路30のスイッチング素子31〜34のオン・オフを前記駆動制御信号に応じて制御する。したがって、電動モータ15はその回転トルクが指令電流値I*に比例するように回転制御され、同モータ15の回転は減速機16を介してステアリングシャフト12に伝達されるので、同シャフト12の回転によりステアリングロック機構14におけるロックバーとロック溝との係合が解除される。また、このようにしてロックバーとロック溝との係合が解除されれば、操舵トルクTMは「0」になるので、ステップ112にて「YES」と判定され、ステップ120にて指令電流値I*が「0」に設定されるので、電動モータ15は回転制御されることがなくなる。
このようなステップ110〜122からなる処理は、イグニッションキーIGKの回動によってイグニッションスイッチ25がオンされるまで繰り返し行われるので、ロックバーとロック溝との間に作用している摩擦力がなくなり又は低減される。したがって、運転者は小さな力でイグニッションキーIGKをイグニッションスイッチ25がオンする方向に回動することができるとともに、この回動によりロックバーがロック溝から引き抜かれてステアリングロック機構14によるハンドル11のロック状態を解除できるので、このステアリングロック機構14の操作性が向上する。
そして、前記イグニッションキーIGKの回動によりイグニッションスイッチ25がオンすると、同スイッチ25とダイオード28aの電位がバッテリ電圧まで上昇する。この電圧上昇に応答して、マイクロコンピュータ40は、ステップ124にて「YES」すなわちイグニッションスイッチ25がオンされたと判定して、プログラムをステップ126に進める。ステップ126においては、第2リレー制御回路45に制御信号を出力して、今まで通電状態にあった第2リレーコイル27bの通電を解除する。したがって、この時点では、第2リレースイッチ27aを介したバッテリ電圧のマイクロコンピュータ40などに対する給電は停止するが、同マイクロコンピュータ40などには、イグニッションスイッチ25及び第1リレースイッチ24aを介してバッテリ電圧が給電される。
前記ステップ126の処理後、ステップ128にて図4のアシスト制御プログラムの実行を許容して、ステップ130にてこの初期制御プログラムの実行を終了する。以降、マイクロコンピュータ40は、図4のアシスト制御プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行し始める。
アシスト制御プログラムの実行は、ステップ200にて開始され、ステップ202にてロック動作フラグROPが”1”であるか否かを判定する。このロック動作フラグROPは、初期には”0”に設定されていて、”1”により、車両の運転を停止してイグニッションキーIGKを抜き取った直後に、ステアリングロック機構14のロックを完全に行わせるために電動モータ15を作動させている状態を表し、”0”によりそれ以外の状態を表す。したがって、この場合には、ステップ202にて「NO」すなわちロック動作フラグROPが”1”でないと判定して、プログラムをステップ204に進める。ステップ204においては、キー挿入検出スイッチ26と抵抗46との接続点の電位を入力して、同電位が接地電位であるか否かによりイグニッションキーIGKがキーシリンダから抜き取られているか否かを判定する。この場合、イグニッションキーIGKはキーシリンダに挿入された状態にあるので、ステップ204にて「NO」すなわち接地電位でないと判定して、プログラムをステップ206以降に進める。
ステップ206にておいては、車速センサ21及び操舵トルクセンサ22から車速V及び操舵トルクTMを入力する。そして、ステップ208にて、マイクロコンピュータ40に内蔵されて操舵トルクTMに応じて変化するアシスト電流値Iaを複数の車速域毎に記憶した変換テーブルを参照し、前記入力した車速V及び操舵トルクTMに応じたアシスト電流値Iaを決定する。変換テーブルの変換特性は図5のグラフに示されており、これにより、アシスト電流値Iaは、操舵トルクTMの増加にしたがって増加するとともに、車速Vの増加にしたがって減少するように決定される。
前記ステップ208の処理後、ステップ210にて前記計算したアシスト電流値Iaを指令電流値I*として設定し、ステップ212にて、前記ステップ122の処理と同様に、電流検出回路42から電動モータ15の駆動電流値Imを入力して、同駆動電流値Imが指令電流値I*に等しくなるように電動モータ15の回転を制御する。したがって、電動モータ15はその回転トルクが指令電流値I*に比例するように制御される。
前記ステップ212の処理後、ステップ232にてアシスト制御プログラムの実行が終了される。そして、所定時間が経過する毎に、イグニッションキーIGKが抜き取られるまで、ステップ206〜212の処理が繰り返し実行されるので、ハンドル11の回動操作は、操舵トルクTM及び車速Vに応じた電動モータ15による回動トルクでアシスト制御されることになる。
一方、車両の運転終了に伴い、運転者がイグニッションキーIGKをキーシリンダから引き抜くと、キー挿入検出スイッチ26はオフして、同スイッチ26と抵抗46との接続点の電位は接地電位に低下する。これに応答し、マイクロコンピュータ40は、ステップ204にて「YES」と判定し、ステップ214,216にて車速V及び操舵トルクTMがそれぞれほぼ「0」であるか否かを判定する。ステップ214,216の判定処理は、車両の運転が終了したことを確実にするための判定処理であり、車速V及び操舵トルクTMのいずれか一方でもほぼ「0」でなければ、プログラムをステップ204に戻して、ステップ204,214,216の判定処理を繰り返す。イグニッションキーIGKがキーシリンダから引き抜かれ、かつ車速V及び操舵トルクTMが共にほぼ「0」であれば、ステップ204,214,216にてそれぞれ「YES」と判定して、ステップ218にてロック動作フラグROPを”1”に設定した後、プログラムをステップ220,222に進める。なお、この状態でも、第1リレースイッチ24a及びダイオード28bを介して、バッテリ23からのバッテリ電圧がマイクロコンピュータ40などに供給されて、同コンピュータ40などの動作は確保される。
ステップ220においては、指令電流値I*を正の所定電流値Ir2に設定する。ステップ222においては、上記ステップ122,212の処理と同様に、電流検出回路42から電動モータ15の駆動電流値Imを入力し、同駆動電流値Imが前記決定した指令電流値I*に等しくなるように電動モータ15の回転を制御する。これにより、電動モータ15は回転し、減速機16を介してステアリングシャフト12及びハンドル11が回動される。
このとき、イグニッションキーIGKを抜き取る前のキーシリンダ内の回動により、ステアリングロック機構14内においては、ロックバーがスプリングの付勢力によりロック解除位置からステアリングシャフト12の径方向内側に変位しているが、ロックバーの先端面がロック溝に対向していなければ、同バーはロック溝に侵入できずにステアリングシャフト12の外周面に当接している。もちろん、ロックバーの先端面がロック溝に対向していれば、同バーはロック溝に侵入している。
しかし、前記ステップ222の処理によるステアリングシャフト12の回動により、同シャフト12の外周面に設けたロック溝がロックバーの先端面に対向する位置まで回動すると、ロックバーは前記スプリングの付勢力によってロック溝内に侵入する。したがって、前記所定電流値Ir2は、ロックバーの先端面がスプリングによってステアリングシャフト12の外周面上に押しつけられた状態でも、ステアリングシャフト12を回動できる程度の電動モータ15の駆動電流値Im以上に設定されている。これにより、運転者がイグニッションキーIGKをキーシリンダから抜き取った後、ハンドル11を回動操作しなくても、同ハンドル11は常に完全にロックされるので、ステアリングロック機構14の操作性が良好になるとともに、車両の盗難に対してもより安全になる。
前記ステップ222の処理後、ステップ224にて操舵トルクセンサ22から操舵トルクTMを入力して、同操舵トルクTMの絶対値|TM|が所定値TM0よりも大きいか否かを判定する。この判定処理は、ハンドル11が確実にロックされたことを判定するもの、すなわちロックバーがロック溝に侵入した後、ロックバーの外周面がロック溝の内周壁に当接してステアリングシャフト12が回転不能になり、トーションバーの捩れによってステアリングシャフト12に操舵トルクTMが発生しているか否かを判定するものである。そして、操舵トルクTMの絶対値|TM|が所定値TM0よりも大きくなければ、ステップ224にて「NO」と判定してプログラムをステップ226に進める。
ステップ226においては、電流検出回路42及び電圧検出回路43からの電動モータ15の駆動電流値Im及び端子間電圧値Vmをそれぞれ入力し、駆動電流値Im及び端子間電圧値Vmに基づいて、下記式1の演算の実行により電動モータ15の回転角速度ωを計算する。
ω=(Vm−Rm・Im)/K …式1
前記式1は、インダクタンスを考慮しない(インダクタンスは小さいので通常無視できる)直流モータの回転角速度を求める近似式であり、K,Rmはモータにより決まる定数である。そして、ステップ228にて、前記計算した回転角速度ωが「0」であるか否かを判定する。この判定処理は、前記ロックバーの外周面がロック溝の内周面に当接したことによるステアリングシャフト12の回転不能をも含めて、左右前輪FW1,FW2が路肩などに当接、ハンドル11が回動される限界(ステアリングエンド)への到達、電動モータ15の故障を含むシステムの故障などによって電動モータ15がロック状態になっていることを判定するものである。
前述のように、ステアリングシャフト12がその外周面をロックバーの先端面に当接させながら回動中であったり、ロックバーがロック溝に侵入した後であってもロックバーの外周面がロック溝の内周面へ当接してステアリングシャフト12の回動が不能となる前には、電動モータ15が前記のようにロックされていなければ、操舵トルクTMの絶対値|TM|は所定値TM0以下であり、かつ電動モータ15の回転角速度ωも「0」でないので、ステップ224,228における共に「NO」との判定により、ステップ232にてこのアシスト制御プログラムの実行を一旦終了する。
このアシスト制御プログラムの実行終了後、所定時間が経過すれば、同プログラムはふたたび実行されるが、ロック動作フラグROPが”1”に設定されているので、ステップ202にて「YES」と判定されて、ステップ220以降の処理が実行され、ステップ220,222の処理により電動モータ15は回転制御され続ける。そして、ロックバーがロック溝に侵入してロックバーの外周面がロック溝の内周壁へ当接し、ステアリングシャフト12の回動が不能となると、ステップ224にて「YES」すなわち操舵トルクTMの絶対値|TM|は所定値TM0よりも大きい、又はステップ228にて「YES」すなわち電動モータ15の回転角速度ωが「0」であると判定して、プログラムをステップ230に進める。また、電動モータ15が前記ロックバーとロック溝との係合による以外の理由でロック状態になった場合にも、ステップ228にて「YES」と判定されて、プログラムはステップ230に進められる。
ステップ230においては、第1リレーコイル24bの通電を解除するための制御信号を第1リレー制御回路44に出力し、同制御回路44が第1リレーコイル24bの通電を解除する。これにより、第1リレースイッチ24aがオフするので、駆動回路30へのバッテリ電圧の供給も、ダイオード28bを介したマイクロコンピュータ40などへのバッテリ電圧の供給も停止する。また、このとき、イグニッションスイッチ25及び第2リレースイッチ27aもオフ状態に保たれているので、電動モータ15の作動停止を含めてこの電動パワーステアリングシステム全体の動作が停止する。このようにして、電動モータ15の作動が停止される結果、同モータ15を不必要に回動制御することがなくなり、同モータ15の保護が図られる。
なお、上記実施形態においては、車両の運転開始時に、イグニッションキーIGKのキーシリンダへの挿入を挿入検出スイッチ26により検出するようにしたが、これに代えて又はこれに加えて、イグニッションキーIGKのキーシリンダへの挿入検知機能を有するイモビライザーシステムを搭載した車両においては、同イモビライザーシステムによるイグニッションキーIGKのキーシリンダへの挿入検知信号を利用するようにしてもよい。また、エンジンを遠隔操作により始動させることが可能なキーエントリシステムを搭載した車両においては、同システムのエンジンスタート信号を検出スイッチ26による検出に代え又は加えて利用するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、車両の運転開始時に、ハンドル11のロック解除を補助するために電動モータ15を作動させるか否かの判定処理を、図3のステップ112にてロックバーをロック溝から引き抜く荷重が大きいか否かを判定することにより行った。しかし、これに代えて又はこれに加えて、イグニッションキーIGKをイグニッションスイッチ25をオンする側へ回動するためのトルクが大きい否かを判定したり、ロックバーとロック溝との接触圧力が大きいか否かを判定するようにしてもよい。これらの場合、キーシリンダ内にトルクセンサを組込んだり、ロック溝内又はロックバーの外周面に圧力センサなどを組み付けたりするようにすればよい。
また、上記実施形態においては、車両の運転終了時においてステアリングロック機構14によるハンドル11のロックの必要性を確実に検出するため、図4のステップ204,214,216にてイグニッションキーIGKがキーシリンダから引き抜かれ、かつ車速V及び操舵トルクTMが共にほぼ「0」であるかを判定するようにしたが、ステップ214,216のいずれか一方、又は両方の判定処理を省略してもよい。さらに、前記ハンドル11のロックの必要性を、前記ステップ204の判定処理(又はステップ204,214,216の判定処理)に代えて又は加えて、ドアの開閉信号によりドアが開閉されたこと、ドアロック検出信号によりドアがロックされたこと、シートベルト着用有無検出信号によりシートベルトがはずされたこと、シフトポジション検出手段におけるパーキング位置検出信号に基づく車両の運転停止、サイドブレーキ位置検出手段におけるサイドブレーキの引き検出信号に基づく車両の運転停止、ハンドル接触センサによるハンドル11から手を放したことの検出などにより判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、ハンドル11が確実にロックされたことを判定するために、図4のステップ224にて操舵トルクTMの絶対値|TM|が所定値TM0よりも大きいことを判定するようにしたが、操舵トルクセンサ22とマイクロコンピュータ40との間に位相補償回路などの種々の回路を挿入した場合には、同挿入した回路の前又は後の信号に基づいて操舵トルクTMの絶対値|TM|が所定値TM0よりも大きいことを判定するようにしてもよい。また、マイクロコンピュータ40が、図5に示す特性の変換テーブルを用いて操舵トルクTMをアシスト電流値Iaへ変換処理するプログラムを常に実行する場合には、アシスト電流値Iaの絶対値|Ia|と所定値との比較により、操舵トルクTMの絶対値|TM|が所定値TM0よりも大きいことを判定するようにしてもよい。
また、ステアリングシャフト12の回転位置(回転角)を検出する回転角センサを備えた電動パワーステアリング装置においては、前記ステップ224の処理に代えて、ロックバーとロック溝との相対的な回転位置を検出して、ロックバーの先端面がロック溝に対向する位置まで電動モータ15を作動させるようにしてもよい。これによれば、電動モータ15の回転方向を適切に制御できるようになり、ステアリングロック機構14によるハンドル11のロックを的確に制御することができる。
さらに、ステアリングロック機構が電動モータ15及び減速機16よりも左右前側FW1,FW2側に位置する場合には、同ロック機構によるハンドル11のロック時にも、ステアリングシャフト12における操舵トルクセンサ22の組み付け位置には捩れが発生しないので、操舵トルクTMは常に「0」に保たれる。したがって、この場合には、前記回転角センサを用いた方法、又はステアリングロック機構内にロックバーの位置によりロック状態を検出する検出スイッチを設けて、ハンドル11が確実にロックされたことを判定するようにするとよい。また、このロック検出スイッチを設ける方法は、上記実施形態の場合にも適用できる。
また、上記実施形態においては、電動モータ15のロック状態を図4のステップ226,228の処理により判定するようにしたが、これに代えて又は加えて、ステアリングシャフト12、電動モータ15などに回転角センサなどを設けた場合には、同回転角センサにより検出された回転角から計算した回転速度が「0」になったことにより電動モータ15のロック状態を検出するようにしてもよい。また、電動モータ15に温度センサを設けたり、同モータ15の温度を駆動電流値Im(指令電流値I*)の積算値により推定したりする場合には、温度センサにより検出された温度又は前記推定温度により電動モータ15のロック状態を判定するようにしてもよい。また、前記電動モータ15の温度を駆動電流値Im(指令電流値I*)の積算値により推定する場合、同積算値により電動モータ15のロック状態を判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、車両の運転終了時にハンドル11を完全にロックするために、図4のステップ220にて指令電流値I*を正の所定電流値Ir2に設定して、ステップ222の処理により前記指令電流値I*に応じて電動モータ15の回転を制御するようにした。しかし、前記ステップ220にて指令電流値I*を負の所定電流値−Ir2に設定して、電動モータ15を前記とは逆方向に回転させるようにしてもよい。また、ハンドル11の回転位置が検出できるシステムであれば、ハンドル11がニュートル位置に近い位置でロックされる方向に電動モータ15の回転方向を制御するようにしたり、ロックバーの先端面がロック溝に対向するまでの角度が小さい方向に電動モータ15を回転させてもよい。
また、上記実施形態においては、ステップ224,228の処理によりロックバーの外周面がロック溝の内周面に当接又は電動モータ15がロックしたとき、電動モータ15の回転を停止するようにしたが、前記ステップ224又はステップ228の「YES」との判定後、電動モータ15を所定角度だけ反対方向に回転させるようにしてもよい。これにより、ハンドル11がステアリングエンドに到達してしまった場合でも、確実にハンドル11を完全にロックさせることができる。
また、上記実施形態においては、車両の運転開始時に、ハンドル11のロック解除を補助するために電動モータ15に流す駆動電流値Imを図3のステップ116,118の処理により常に一定にするようにしたが、システムの負荷軽減及び衝撃音(異音)軽減のために、電動モータ15への通電開始時に指令電流値I*の絶対値|I*|を徐々に大きくするようにしてもよい。また、電動モータ15への通電終了時には、電動モータ15への指令電流値I*の絶対値|I*|を徐々に小さくするようにしてもよい。また、車両の運転終了時におけるハンドル11のロック動作のために電動モータ15を回転させる場合にも、前記と同様に、同モータ15の回転開始時に指令電流値I*の絶対値|I*|を徐々に大きくしたり、同モータ15の回転終了時に指令電流値I*の絶対値|I*|を徐々に小さくようにしてもよい。
また、このようなロック解除又はロック時における指令電流値I*を電動モータ15の角速度ωに応じて変更制御して、同モータ15の回転速度が遅いとき指令電流値I*を大きな値に設定し、同モータ15の回転速度が速くなるにしたがって指令電流値I*を小さな値になるように設定してもよい。
なお、上記実施形態では、常に電動モータ15によりハンドル11のロック解除又はロックを補助するようにしたが、運転者により切換え操作される切換えスイッチにより、前記補助を行う場合と、同補助を停止する場合とを選択できるようにしてもよい。
また、上記実施形態において、ハンドル11のロック解除又はロック時における同ハンドル11の回転の違和感をなくすために、ハンドル11と電動モータ15との間に位置するステアリングシャフト12にギヤ比を可変とする可変ギヤ機構を介在させて、前記補助のための電動モータ15の回転時には、可変ギヤ機構を制御してハンドル11の回転量を小さくするようにするとよい。
本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体概略図である。 図1の電気制御装置の全体ブロック図である。 図2のマイクロコンピュータにより実行される初期制御プログラムのフローチャートである。 図2のマイクロコンピュータにより実行されるアシスト制御プログラムのフローチャートである。 操舵トルクとアシスト電流値との関係を示すグラフである。
符号の説明
FW1,FW2…左右前輪、IGK…イグニッションキー、11…ハンドル、12…ステアリングシャフト、14…ステアリングロック機構、15…電動モータ、20…電気制御装置、21…車速センサ、22…操舵トルクセンサ、23…バッテリ、24a,27a…リレースイッチ、24b,27b…リレーコイル、25…イグニッションスイッチ、26…キー挿入検出スイッチ、30…駆動回路、40…マイクロコンピュータ、44,45…リレー制御回路。

Claims (5)

  1. ロック状態にてハンドルの回動操作を不能とするとともにロック解除状態にてハンドルの回動操作を許容するステアリングロック機構と、ハンドルの回動操作をアシストするための電動モータとを備えた車両の電動パワーステアリング装置において、
    前記電動モータを駆動制御して前記ステアリングロック機構におけるロック状態の解除を補助するロック解除補助制御手段と、
    ハンドルと前記電動モータとの間に位置するステアリングシャフトに介在させたギヤ比を可変とする可変ギヤ機構とを設け、
    前記ロック解除補助制御手段による前記電動モータの駆動制御によって前記ステアリングロック機構におけるロック状態の解除を補助するとともに、同ロック状態の解除を補助するための電動モータの回転時に前記可変ギヤ機構を制御してハンドルの回転量を小さくするようにしたことを特徴とする車両の電動パワーステアリング装置。
  2. 前記請求項1に記載した車両の電動パワーステアリング装置において、
    操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を設け、
    前記ロック解除補助制御手段は前記検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを駆動制御するようにした車両の電動パワーステアリング装置。
  3. ロック状態にてハンドルの回動操作を不能とするとともにロック解除状態にてハンドルの回動操作を許容するステアリングロック機構と、ハンドルの回動操作をアシストするための電動モータとを備えた車両の電動パワーステアリング装置において、
    前記電動モータを駆動制御して前記ステアリングロック機構におけるロック状態の設定を補助するロック補助制御手段と、
    ハンドルと前記電動モータとの間に位置するステアリングシャフトに介在させたギヤ比を可変とする可変ギヤ機構とを設け、
    前記ロック補助制御手段による前記電動モータの駆動制御によって前記ステアリングロック機構におけるロック状態の設定を補助するとともに、同ロック状態の設定を補助するための電動モータの回転時に前記可変ギヤ機構を制御してハンドルの回転量を小さくするようにしたことを特徴とする車両の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記請求項3に記載した車両の電動パワーステアリング装置において、
    操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を設け、
    前記ロック補助制御手段は前記検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを駆動制御するようにした車両の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記請求項3に記載した車両の電動パワーステアリング装置において、
    ハンドルの回転位置を検出する回転角検出手段を設け、
    前記ロック補助制御手段は前記検出したハンドルの回転位置に基づいて前記電動モータを駆動制御するようにした車両の電動パワーステアリング装置。
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