JP3718851B2 - フィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末およびその製法 - Google Patents
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Description
本発明は、フィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末およびその製法に関する。
背景技術
従来、フィラーとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末との混合物を水中で撹拌して造粒することによりフィラー入りPTFE粒状粉末をうる製法としては、たとえば特公昭43−8611号、特公昭44−22619号、特公昭48−37576号、特公昭49−17855号、特公昭56−8044号、特公昭57−18730号各公報などにおいて提案されている。
しかし、前記各公報記載の製法では、小粒径でかつ粒度分布がシャープなフィラー入りPTFE粒状粉末はえられていなかった。
そのために、たとえば輪ゴム状のシールリングのような小物や薄肉の成形体、また表面粒度の小さい成形品をえようとすると、フィラー入りPTFE粒状粉末をふるいにかけて小粒径のものだけを取り出して成形するか、またはえられた成形体を切削加工するといった繁雑で不経済な方法を用いなければならないという問題があった。
また、フィラー入りPTFE粒状粉末を単に粉砕するだけでは、優れた粉末流動性を有する粒状粉末はえられない。
また、特公昭60−21694号公報では、水不溶性有機液体とアニオン性界面活性剤との共存下にPTFE粉末と予めアミノシラン化合物によって表面処理したフィラーとを水中で撹拌して造粒することによりフィラー入りPTFE粒状粉末をうる製法が提案されているが、フィラー入りPTFE粒状粉末の見かけ密度やフィラー入りPTFE粒状粉末からえられる成形品の引張強度などの点で充分に満足できるものではない。
さらに、前記のような製法では、工程が長く、フィラーとPTFE粉末とを予め混合するというような繁雑な工程が必要であり、コストが高いなどの問題があった。
本発明者らは、前記したような問題に鑑み鋭意検討した結果、PTFE粉末とフィラーとを界面活性剤の存在下に水中でスラリー状態で混合し、さらに水と液−液界面を形成する有機液体の存在下で撹拌して造粒することにより、前記したような問題を解決できることを見出だした。
すなわち、本発明の目的は、加工性に優れたフィラー入りPTFE粒状粉末およびその製法を提供することにある。とくに見かけ密度が大きく、平均粒径が小さくてかつ粒度分布がシャープであり、粉末流動性などの粉末物性に優れ、伸びなどの成形品物性に優れた成形品を与えるフィラー入りPTFE粒状粉末およびその製法を提供することにある。
発明の開示
本発明は、懸濁重合法でえられるポリテトラフルオロエチレン粉末とフィラーとを水中で撹拌して造粒するに際し、該粉末とフィラーとを予め混合することなく別々に水中に投入し、界面活性剤の存在下で撹拌して混合しスラリー状態にしたのち、さらに水と液−液界面を形成する有機液体の存在下で撹拌して造粒することを特徴とするフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の製法に関する。
また本発明は、懸濁重合法でえられるポリテトラフルオロエチレン粉末とフィラーとを水中で撹拌して造粒するに際し、該粉末を水中に投入し界面活性剤の存在下で撹拌してスラリー状態にし、該スラリーにフィラーを添加して混合したのち、さらに水と液−液界面を形成する有機液体の存在下で撹拌して造粒することを特徴とするフィラー入りポリテトラフルオロエチレン造粒粉末の製法に関する。
また本発明は、懸濁重合法でえられるポリテトラフルオロエチレン粉末とフィラーとを水中で撹拌して造粒するに際し、重合後のポリテトラフルオロエチレン含水粉末を乾燥工程をへることなく湿式粉砕して水中に投入し、界面活性剤の存在下で撹拌してスラリー状態にし、該スラリーにフィラーを添加して混合したのち、さらに水と液−液界面を形成する有機液体の存在下で撹拌して造粒することを特徴とするフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の製法に関する。
さらに本発明は、前記いずれかの製法によりえられるフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の見かけ密度が0.6g/cm3以上であり、該粒状粉末の流動性(後に定義する)が6回以上または見かけ密度が0.6g/cm3以上0.9g/cm3未満のばあいは安息角が40度以下、0.9g/cm3以上1.0g/cm3未満のばあいは安息角が38度以下、1.0g/cm3以上のばあいは安息角が36度以下でかつ平均粒径が500μm以下であることを特徴とするフィラー入りPTFE粒状粉末に関する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明において粉状粉体の流動性を調べるために用いた装置の概略説明図である。
図2は、実施例1でえられた本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末中の粒子の粒子構造を示す光学顕微鏡写真(倍率:100倍)である。
図3は、実施例2でえられた本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末中の粒子の粒子構造を示す光学顕微鏡写真(倍率:200倍)である。
図4は、比較例1でえられたフィラー入りPTFE粒状粉末中の粒子の粒子構造を示す光学顕微鏡写真(倍率:100倍)である。
図5は、比較例2でえられたフィラー入りPTFE粒状粉末中の粒子の粒子構造を示す光学顕微鏡写真(倍率:100倍)である。
図6は、比較例3でえられたフィラー入りPTFE粒状粉末中の粒子の粒子構造を示す光学顕微鏡写真(倍率:200倍)である。
図7は、比較例4でえられたフィラー入りPTFE粒状粉末中の粒子の粒子構造を示す光学顕微鏡写真(倍率:200倍)である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の製法は、PTFE粉末(以下、とくにことわりのない限りPTFE含水粉末を含む)とフィラーとを界面活性剤の存在下に水中で撹拌してスラリー状態で混合することに最大の特徴があり、たとえば従来のように予めPTFE粉末とフィラーとを混合するというような繁雑な工程を必要としない。
すなわち、本発明の製法は、
(1)懸濁重合法でえられるポリテトラフルオロエチレン粉末とフィラーとを水中で撹拌して造粒するに際し、該粉末とフィラーとを予め混合することなく別々に水中に投入し、界面活性剤の存在下で撹拌して混合しスラリー状態にしたのち、さらに水と液−液界面を形成する有機液体の存在下で撹拌して造粒することを特徴とするフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の製法(以下、「製法(1)」ともいう)、
(2)懸濁重合法でえられるポリテトラフルオロエチレン粉末とフィラーとを水中で撹拌して造粒するに際し、該粉末を水中に投入し界面活性剤の存在下で撹拌してスラリー状態にし、該スラリーにフィラーを添加して混合したのち、さらに水と液−液界面を形成する有機液体の存在下で撹拌して造粒することを特徴とするフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の製法(以下、「製法(2)」ともいう)および
(3)懸濁重合法でえられるポリテトラフルオロエチレン粉末とフィラーとを水中で撹拌して造粒するに際し、該粉末としてのポリテトラフルオロエチレン含水粉末を乾燥工程をへることなく湿式粉砕して水中に投入し、界面活性剤の存在下で撹拌してスラリー状態にし、該スラリーにフィラーを添加して混合したのち、さらに水と液−液界面を形成する有機液体の存在下で撹拌して造粒することを特徴とするフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の製法(以下、「製法(3)」ともいう)である。
前記製法(1)において、PTFE粉末とフィラーとは予め混合しておく必要がなく、水中への投入方法としては、たとえばPTFE粉末を先に投入するか、フィラーを先に投入するか、同時に投入する方法などがあげられる。
製法(1)においては、PTFE粉末とフィラーとを水中に投入し、界面活性剤を添加したのち撹拌することによりPTFE粉末とフィラーは、水に濡れ、撹拌を続けることにより、PTFE粉末、フィラー、水の均一な混合物の状態、すなわちスラリー状態となる。このものは、通常、粘度10〜1000cpsの粘稠物である。
スラリー状態になったのち、水と液−液界面を形成する有機液体を添加して撹拌することにより、該液体の液滴中において造粒(以下、「水中造粒」ともいう)が始まるが、すでに存在している界面活性剤のはたらきにより、該液滴はより小さくかつより球形に近い状態を保持しうる。
前記製法(2)において、PTFE粉末を水中に投入してから、界面活性剤を投入することにより、PTFE粉末は水に濡れ、撹拌することにより水との均一な混合物となる。このようなスラリー状態になったのち、さらにフィラーを投入し撹拌することにより、PTFE粉末、フィラー、水の均一な混合物(粘度10〜1000cpsの粘稠物)がえられる。
フィラーを添加したのちは、製法(1)と同様にして水中造粒を行えばよい。
前記製法(3)において、後記するようにPTFE含水粉末を乾燥工程をへることなく湿式粉砕し、水中に投入し界面活性剤を加え撹拌を始めると、前記スラリー状態になり、前記製法(2)と同様にしてフィラーを添加することにより、PTFE粉末とフィラーとが均一に混合される。
フィラーを添加したのちは、製法(1)と同様にして水中造粒を行えばよい。
なお、本発明の製法においては、あらかじめ界面活性剤を水に投入しておいてもよい。
本発明において用いるPTFE粉末は、通常の懸濁重合法によりえられた、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合体、TFEとの共重合が可能な単量体とTFEとの共重合体などからなる粉末が好ましく、その粉砕後の平均粒径は200μm以下であり、50μm以下であることが好ましいが、その下限は粉砕装置や粉砕技術によって決まり、乾燥後の含水率が0.1重量%以下、好ましくは0.02重量%以下である粉末があげられる。
前記粉砕に用いる粉砕機は、たとえばハンマー・ミル、羽根つきの回転子をもった粉砕機、気流エネルギー型粉砕機、衝撃粉砕機などの粉砕機があげられる。
また本発明においては、PTFE粉末としてPTFE含水粉末を用いることができ、たとえば前記PTFE粉末と同様の懸濁重合法によりえられ、重合系から取り出された平均粒径2〜3mmのPTFE組粒子を、たとえばパイプラインホモミキサーを用いて粗粉砕し、平均粒径200〜1000μm、含水率5〜30重量%のPTFE含水粉末があげられる。つぎに、このPTFE含水粉末を後記する自由粉砕機に投入し、孔径0.1〜0.3mmの多数の孔を設けたスクリーンを分級用の多孔板とし、動力2.2kW、処理量1.0〜100kg/hrの条件で湿式粉砕を行ない、平均粒径20〜100μm、含水率5〜30重量%の粉末がえられ、このような含水粉末を用いるばあいは、前記PTFE粉末をうるための乾燥工程が不要となる。
前記TFEと共重合が可能な単量体としては、たとえば式(I):
CF2=CF−ORf (I)
[式中、Rfは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、炭素数4〜9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基、式(II):
(式中、mは0または1〜4の整数である)で示される有機基または式(III):
(式中、nは1〜4の整数である)で示される有機基を表わす]で示されるパーフルオロビニルエーテルなどがあげられる。
前記パーフルオロアルキル基の炭素数は1〜10、好ましくは1〜5であり、炭素数をこの範囲内の数とすることにより溶融成形不可という性質を保持したまま、耐クリープ性に優れているという効果がえられる。
前記パーフルオロアルキル基としては、たとえばパーフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロヘキシルなどがあげられるが、耐クリープ性およびモノマーコストの点からパーフルオロプロピルが好ましい。
前記TFEと共重合が可能な単量体の重合割合を1.0〜0.001モル%の範囲内の割合とすることにより耐クリープ性に優れているという効果がえられる。
前記PTFE粉末またはPTFE含水粉末の粒子の平均粒径を前記範囲内の粒径とすることにより、造粒してえられる粒状粉末の取扱い性すなわち粉末流動性および見かけ密度に優れ、しかもえられる成形品物性に優れているという効果がえられる。
本発明において用いるフィラーのうち、親水性フィラーのばあい、フィラーが親水性のため水相に移行しやすく、PTFE粉末と均一に混合しにくい、すなわち使用したフィラーの全部がPTFE粉末と混合した粒状粉末がえられず、その一部は処理水中に残留するという難点がある。この現象はフィラーの分離とよばれる。
この問題に対処し、親水性フィラーをあらかじめ疎水化表面処理して、その表面活性を低下させてPTFE粉末の粒子の表面活性に近づけておいてから水中で撹拌を行なうなどの方法が採用される。
このような表面処理をするための化合物として知られているものには、(a)アミノ官能基を有するシラン、フェニル基を有するシランおよび(または)可溶なシリコーン(特開昭51−548号公報、特開昭51−549号公報、特開平4−218534号公報)、(b)炭素数12〜20の炭化水素のモノカルボン酸(特公昭48−37576号公報)、(c)脂肪族カルボン酸のクロム錯化合物(特公昭48−37576号公報)、(d)シリコーン(特開昭53−139660号公報)などがあり、また(e)親水性フィラーをPTFEそのもので被覆する方法(特開昭51−121417号公報)も知られている。
前記した親水性フィラーの表面処理をするためのより具体的な化合物としては、たとえばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(H2N(CH2)3Si(OC2H5)3)、m−またはp−アミノフェニルトリエトキシシラン(H2N−C6H4−Si(OC2H5)3)、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(H2NCONH(CH2)3Si(OC2H5)3、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3)、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノ−プロピルメチルジメトキシシラン(H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2)などのアミノシランカップリング剤などがあげられる。また、これらの化合物以外に、たとえばフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−クロロフェニルトリメトキシシラン、p−ブロモメチルフェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルシランジオールなどの有機シラン化合物があげられる。
なお、フィラーが撥水性を有しているばあいは、そのままで用いることができる。
前記フィラーとしては、たとえばガラス繊維、グラファイト粉末、青銅粉末、金粉末、銀粉末、銅粉末、ステンレス鋼粉末、ステンレス鋼繊維、ニッケル粉末、ニッケル繊維などの金属繊維または金属粉末、二硫化モリブデン粉末、フッ化雲母粉末、コークス粉末、カーボン繊維、チッ化ホウ素粉末、カーボンブラックなどの無機系繊維または無機系粉末、ポリオキシベンゾイルポリエステルなどの芳香族系耐熱樹脂粉末、ポリイミド粉末、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)粉末、ポリフェニレンサルファイド粉末などの有機系粉末などの1種または2種以上のフィラーがあげられるが、これらに限定されるものではない。
2種以上のフィラーを用いるばあい、たとえばガラス繊維とグラファイト粉末、ガラス繊維と二硫化モリブデン粉末、青銅粉末と二硫化モリブデン粉末、青銅粉末とカーボン繊維、グラファイト粉末とコークス粉末、グラファイト粉末と芳香族系耐熱樹脂粉末、カーボン繊維と芳香族系耐熱樹脂粉末などの組合せが好ましく、混合法は湿式法でも乾式法でもよい。
前記フィラーの平均粒径としては、10〜1000μmであることが好ましい。
前記PTFE粉末とフィラーとの混合割合としては、PTFE粉末100部(重量部、以下同様)に対して、前記フィラー2.5〜100部であることが好ましく、5〜80部であることがさらに好ましい。
本発明において用いる有機液体は、水と液−液界面を形成し水中に液滴として存在しうる有機液体であればよく、水中で液滴を形成し水と液−液界面を形成しうるものであれば水に多少溶解するものであってもよい。具体例としては、たとえば1−ブタノール、1−ペンタノールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、2−ペンタノンなどのケトン類;ペンタン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、トリクロロトリフルオロエタン、モノフルオロトリクロロメタン、ジフルオロテトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素などを用いることができる。これらのうちハロゲン化炭化水素が好ましく、特に1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタンなどの塩化炭化水素やフッ化塩化炭化水素が好ましい。これらは不燃性であり、かつフロン規制の要求などを満足するからである。これらの有機液体は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記水と液−液界面を形成する有機液体の添加量としては、PTFE粉末とフィラーとの合計量に対して30〜80%(重量%、以下同様)であり、40〜60%であることが好ましい。
本発明においては前記のように、水と液−液界面を形成する有機液体の液滴中においてフィラーを含むPTFE粉末の造粒が進行すると思われるが、ノニオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤などの界面活性剤のはたらきにより、この液滴がより小さく、より球形に近い形状になるために、平均粒径が小さく、また球形に近い粒子がえられ、また粒状粉末の見かけ密度が大きくなるものと思われる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチルアミンオキシド類、アルキルアミンオキシド類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリンエステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミンおよびこれらの誘導体などがあげられる。
より具体的には、ポリオキシエチルアミンオキシド類のものとしては、ジメチルオキシエチルアミンオキシドなどがあげられる。
アルキルアミンオキシド類としては、ジメチルラウリルアミンオキシド、ジメチルオレイルアミンオキシドなどがあげられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル類のものとしてポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどがあげられる。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類のものとしてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどがあげられる。
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類のものとしてポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステルなどがあげられる。
ソルビタン脂肪酸エステル類のものとしてソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステルなどがあげられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類のものとしてポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステルなどがあげられる。
グリセリンエステル類のものとしてモノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリルなどがあげられる。
また、これらの誘導体としては、たとえばポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などがあげられる。
これらの中でも好ましいものとしてはアミンオキシド類およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類であり、さらに好ましいものとしてはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチルアミンオキシドである。
前記アニオン性界面活性剤としては、たとえば高級脂肪酸およびその塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルリン酸エステルなどの既知のものが使用できるが、とくに好ましいアニオン性界面活性剤としては高級アルコール硫酸エステル塩、たとえばラウリル硫酸ナトリウム、フルオロアルキル基もしくはクロロフルオロアルキル基を有する含フッ素カルボン酸系または含フッ素スルホン酸系のアニオン性界面活性剤があげられ、代表的な化合物としては、式(IV):
X(CF2CF2)n(CH2)mA (IV)
または式(V):
X(CF2CFCl)n(CH2)mA (V)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子または塩素原子、nは3〜10の整数、mは0または1〜4の整数、Aはカルボキシル基、スルホン酸基またはそれらのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩を表わす)で示される化合物があげられる。
前記界面活性剤の添加量としては、PTFE粉末とフィラーとの合計量に対して0.01〜5%であり、0.1〜0.3%であることが好ましい。
この範囲内で界面活性剤を用いることにより、ほぼ球形で小粒径でかつ粒度分布がシャープであり粉末流動性に優れ、見かけ密度が大きい粒状粉末がえられるという効果がえられる。
なお、界面活性剤を用いると、ガラス繊維などのガラス、酸化チタン、チタン酸塩および/または窒化ホウ素などの白色のフィラーを用いるとき、用いる界面活性剤の種類によっては焼成後にえられる成形体が着色してしまうことがある。そこで、これら白色のフィラーを用いるばあいは、疎水基としてパーフルオロアルキル基またはパークロロフルオロアルキル基を含有する含フッ素アニオン性界面活性剤を用いることにより、着色しない成形体をうることができる。
前記製法(3)において、PTFE含水粉末の湿式粉砕は、湿式でかつ衝撃力によって粉砕する形式の粉砕機によって行われる。この種の粉砕機には各種のものが知られているが、前記湿式粉砕においては、粉砕と同時に所望の粒径まで粉砕された微粉末のみを連続的に取り出すことができることが望ましく、そのために衝撃力をハンマーによって加えるタイプの粉砕機から選択するばあいは、ハンマーの周速ができる限り大きいものが望ましい。
このような条件を満足する粉砕機のひとつは、たとえば奈良機械製作所(株)製の「自由粉砕機(JIYU MILL)」があげられる。この粉砕機は、粉砕室が偏平のシリンダー形状を呈しており、その対向する2つの側壁に断面が長方形ないしは長楕円形の棒状突起が多数植え込まれ、粉砕室の中央に回転する円盤状のローターが前記2つの側壁面と平行に設置され、そのローターの表裏両面に側壁と同様の棒状突起が、ローターが回転したとき前記側壁の棒状突起と衝突しないように多数植え込まれている構造を有する。
前記PTFE含水粉末はこの粉砕機の中心部に供給されローターの回転の遠心力によって外周方向に吹き飛ばされつつ側壁とローターの棒状突起に衝突し、その衝撃力により粉砕される。粉砕室のローター回転方向外周には環状の多孔板が設けられ、多孔板の孔径より小さく粉砕された粒子のみがこの孔を通過して多孔板の外側に取り出される。この多孔板は、金属などの網でもよいし、金属などの薄板に多数の孔を穿ったものなど種々のものが採用できる。その孔径によってえられる粒子の粒子径は変化し、孔径が小さいほどえられる粒子の粒子径は小さくなるが、粒子が水で湿潤しているので、実際に取り出される粒子の粒径は、多孔板に開けられた各孔の孔径よりかなり小さくなる。
前記自由粉砕機が、粉末が湿潤状態であっても微粉砕できる理由のひとつは、たとえばロータ周速の100m/s程度の高速のローター回転速度がえられることにあると考えられる。
なお、ハンマータイプの粉砕機であって、前記自由粉砕機と同程度以上の周速のえられるものとして、たとえば細川ミクロン(株)製の「コロプレックス」や「コントラプレックス」、日本ニューマチック(株)製の「ファインミル」などがある。これらはいずれも乾式条件下の粉砕に適したものであって、水の共存下に使用すると周速が低下したり、分級機構として風力分級法を用いているため、粉砕物が濡れているばあい風力分級は機能せず、目的の粒径より大きい粒子が分級、排出されるという現象を起こしてしまう。また基本的に湿式粉砕による粉砕機としてコロイドミルや擂解機などの剪断ミルがあるが、これらの粉砕機では極端な剪断力によりPTFE粉末が変質を受けるため使用できない。
本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末の製法(1)〜(3)としては、たとえばつぎのような製法があげられる。
製法(1)
内容量10リットルの造粒槽にイオン交換水1〜5リットルを入れる。これにPTFE粉末0.9〜1.9kg、続いてフィラー0.075〜0.8kgを添加する。
つぎに、界面活性剤の5%水溶液4〜200ミリリットルを添加し、100φのディスパー翼により2000〜3000rpmの撹拌速度で2〜5分間撹拌するとスラリー状態となり、さらに5〜10分間撹拌を続ける。
さらに、水と液−液界面を形成する有機液体450〜1500ミリリットルを添加し、100φのディスパー翼により1000〜2000rpmの撹拌速度で1〜2分間撹拌して造粒する。
つぎに、水0.5〜5リットルを追加し、10〜30℃の範囲内の温度でコーン翼により600〜900rpmの撹拌速度で0〜30分間整粒する。
つぎに、造粒槽内の温度を15〜60分間かけて、37.5〜38.0℃の範囲内の温度まで昇温し、その温度において0〜60分間保持する。
なお、この温度保持工程と前記水と液−液界面を形成する有機液体の添加直後のディスパー翼による混合工程は、フィラーがたとえばガラス繊維、青銅粉末、金粉末、銀粉末、銅粉末、ステンレス鋼粉末、ステンレス鋼繊維、ニッケル粉末、ニッケル繊維などの金属繊維または金属粉末のときは、フィラーの分離の点から行わない。
つぎに、撹拌を停止し、150メッシュのふるいを用いて造粒物と水とを分離し、この造粒物を電気炉内において、165℃で16時間乾燥し、本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末をうる。
このような製法(1)では、たとえばつぎのような粉末物性や成形品物性を有している粒状粉末がえられ、とくに粒度分布がシャープであるので従来のようにふるいにかけ小粒径の粒子を取り出したり、またPTFE粉末とフィラーとを予め混合するというような繁雑な工程が不要であるなど、従来の製法ではえられないフィラー入りPTFE粒状粉末の製法である。
(フィラー入りPTFE粒状粉末の物性)
見かけ密度:0.60g/cm3以上
0.60g/cm3より小さいと金型充填量が少なくなる。
流動性(21B法):6回以上
5.5回以下ではホッパー流動性の点で劣る。特に8回が好ましい。
安息角:40度以下
42度を超える粉末は流動性がわるく、好ましくない。特に40度以下が好ましい。
ただし、見かけ密度が0.9g/cm3以上1.0g/cm3未満のばあいは38度以下、見かけ密度が1.0g/cm3以上のばあいは36度以下である。
通常、粉末の安息角は見かけ密度が高いほど重力の影響を受けて小さな値となる。したがって、本発明の方法によりえられる粉末の安息角も見かけ密度により変化するが、従来技術によりえられる粉末に比べて小さくなる。
なお、従来技術によりえられる粉末の安息角は、見かけ密度が0.6g/cm3以上0.9g/cm3未満のばあい40度以上、見かけ密度が0.9g/cm3以上1.0g/cm3未満のばあい38度以上、見かけ密度が1.0g/cm3以上のばあい36度以上である。
粒度分布A:10メッシュのふるい上に残存する粒状粉末0%
20メッシュのふるい上に残存する粒状粉末5%以下
造粒後の粒状粉末がこの範囲の粒度分布を有するときは粒度が揃っているため金型内の充填ムラがなくなり、好ましい。特に10メッシュ、20メッシュのふるい上に存する粒状粉末がいずれも0%であるのが好ましい。
粒度分布B:50重量%以上
造粒後の粒状粉末がこの粒度分布を有するときは金型の充填ムラがなくなり、好ましい。特に60重量%以上であるのが好ましい。
平均粒径:500μm以下
500μmよりも大きくなると薄肉の金型への充填ができなくなる。特に好ましくは薄肉の金型への充填性の点から150〜400μmである。
(成形物の物性)
引張強度:100kgf/cm2以上
100kgf/cm2より小さい成形物は機械的強度に劣る。なお、好ましくは、150kgf/cm2以上であり、用途に応じて決める。
伸び:100〜400%
100%より小さい成形物は機器への装着時や加工時に切断してしまうことがある。好ましくは150%以上である。
表面粗度:3.0μm以下
3.0μmを超える成形物は表面の凹凸が大きく、好ましくない。特に好ましくは2.0μm以下である。
製法(2)
内容量10リットルの造粒槽にイオン交換水1〜5リットルを入れる。これにPTFE粉末0.9〜1.9kgを添加する。
つぎに、界面活性剤の5%水溶液4〜200ミリリットルを添加し、100φのディスパー翼により2000〜3000rpmの撹拌速度で2〜5分間撹拌すると、スラリー状態となる。
つぎに、フィラー0.075〜0.8kgを添加し、100φのディスパー翼により2000〜4000rpmの撹拌速度で2〜15分間撹拌して混合する。
さらに水と液−液界面を形成する有機液体を添加するが、この操作以降、本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末をうるまでの工程は、製法(1)と同じ方法である。
このような製法(2)では、たとえばつぎのような粉末物性や成形品物性を有している粒状粉末がえられ、とくに粒度分布がシャープであるので従来のようにふるいにかけ小粒径の粒子を取り出したり、またPTFE粉末とフィラーとを予め混合するというような繁雑な工程が不要であるなど、従来の方法ではえられないフィラー入りPTFE粒状粉末の製法である。
(フィラー入りPTFE粒状粉末の物性)
見かけ密度:0.60g/cm3以上
0.60g/cm3より小さいと金型充填量が少なくなる。
流動性(21B法):6回以上
5.5回以下ではホッパー流動性の点で劣る。特に8回が好ましい。
安息角:40度以下
42度を超える粉末は流動性がわるく、好ましくない。特に40度以下が好ましい。
ただし、見かけ密度が0.9g/cm3以上1.0g/cm3未満のばあいは38度以下、見かけ密度が1.0以上のばあいは36度以下である。
粒度分布A:10メッシュのふるい上に残存する粒状粉末0%
20メッシュのふるい上に残存する粒状粉末5%以下
造粒後の粒状粉末がこの範囲の粒度分布を有するときは粒度が揃っているため金型内の充填ムラがなくなり、好ましい。特に10メッシュ、20メッシュのふるい上に存する粒状粉末がいずれも0%であるのが好ましい。
粒度分布B:50重量%以上
造粒後の粒状粉末がこの粒度分布を有するときは金型の充填ムラがなくなり、好ましい。特に60重量%以上であるのが好ましい。
平均粒径:500μm以下
500μmよりも大きくなると薄肉の金型への充填ができなくなる。特に好ましくは薄肉の金型への充填性の点から150〜400μmである。
(成形物の物性)
引張強度:100kgf/cm2以上
100kgf/cm2より小さい成形物は機械的強度に劣る。なお、好ましくは、150kgf/cm2以上であり、用途に応じて決める。
伸び:100〜400%
100%より小さい成形物は機器への装着時や加工時に切断してしまうことがある。好ましくは150%以上である。
表面粗度:3.0μm以下
3.0μmを超える成形物は表面の凹凸が大きく、好ましくない。特に好ましくは2.0μm以下である。
製法(3)
通常の懸濁重合法において重合系から取り出された平均粒径2〜3mmのPTFE粗粒子をパイプラインホモミキサーを用いて粗粉砕し、平均粒径200〜1000μm、含水率5〜30重量%のPTFE含水粉末をうる。
つぎに、このPTFE含水粉末を前記自由粉砕機に投入し、孔径0.1〜0.3mmの多数の孔を設けたスクリーンを分級用の多孔板とし、動力2.2kW、処理量1.0〜100kg/hrの条件で湿式粉砕を行ない、平均粒径20〜100μm、含水率5〜30%の粉末をえ、この粉末1.575〜2.6kgをイオン交換水に添加する工程以降、本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末をうるまでの工程は製法(2)と同じ方法である。
このような製法(3)では、たとえばつぎのような粉末物性や成形品物性を有している粒状粉末がえられ、とくに粒度分布がシャープであるので従来のようにふるいにかけ小粒径の粒子を取り出したり、またPTFE粉末とフィラーとを予め混合するというような繁雑な工程が不要であるなど、従来の製法ではえられないフィラー入りPTFE粒状粉末の製法である。
(フィラー入りPTFE粒状粉末の物性)
見かけ密度:0.60g/cm3以上
0.60g/cm3より小さいと金型充填量が少なくなる。
流動性(21B法):6回以上
5.5回以下ではホッパー流動性の点で劣る。特に8回が好ましい。
安息角:40度以下
42度を超える粉末は流動性がわるく、好ましくない。特に40度以下が好ましい。
ただし、見かけ密度が0.9g/cm3以上1.0g/cm3未満のばあいは38度以下、見かけ密度が1.0以上のばあいは36度以下である。
粒度分布A:10メッシュのふるい上に残存する粒状粉末0%
20メッシュのふるい上に残存する粒状粉末5%以下
造粒後の粒状粉末がこの範囲の粒度分布を有するときは粒度が揃っているため金型内の充填ムラがなくなり、好ましい。特に10メッシュ、20メッシュのふるい上に存する粒状粉末がいずれも0%であるのが好ましい。
粒度分布B:50重量%以上
造粒後の粒状粉末がこの粒度分布を有するときは金型の充填ムラがなくなり、好ましい。特に60重量%以上であるのが好ましい。
平均粒径:500μm以下
500μmよりも大きくなると薄肉の金型への充填ができなくなる。特に好ましくは薄肉の金型への充填性の点から150〜400μmである。
(成形物の物性)
引張強度:100kgf/cm2以上
100kgf/cm2より小さい成形物は機械的強度に劣る。なお、好ましくは、150kgf/cm2以上であり、用途に応じて決める。
伸び:100〜400%
100%より小さい成形物は機器への装着時や加工時に切断してしまうことがある。好ましくは150%以上である。
表面粗度:3.0μm以下
3.0μmを超える成形物は表面の凹凸が大きく、好ましくない。特に好ましくは2.0μm以下である。
本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末の製法における条件としては、たとえばつぎのようなものが好ましくあげられる。
(1)(A)PTFE粉末 100部
(B)フィラー 2.5〜100部
(C)界面活性剤((A)と(B)との合計量に対して) 0.01〜5%
(D)水と液−液界面を形成する有機液体((A)と(B)との合計量に対して) 30〜80%
添加順序:(A)→(B)→(C)→(スラリー状態)→(D)
より好ましくは
(A)PTFE粉末 100部
(B1)ガラス繊維またはカーボン繊維 5〜30部
(C1)ノニオン性界面活性剤((A)と(B1)の合計量に対して) 0.1〜1%
(D1)ハロゲン化炭化水素((A)と(B1)との合計量に対して) 40〜60%
添加順序:(A)→(B1)→(C1)→(スラリー状態)→(D1)
(2)(A)PTFE粉末 100部
(B)フィラー 2.5〜100部
(C)界面活性剤((A)と(B)との合計量に対して) 0.01〜1%
(D)水と液−液界面を形成する有機液体((A)と(B)との合計量に対して) 30〜80%
添加順序:(A)→(C)→(スラリー状態)→(B)→(D)
より好ましくは
(A)PTFE粉末 100部
(B1)ガラス繊維またはカーボン繊維 5〜30部
(C1)ノニオン性界面活性剤((A)と(B1)の合計量に対して) 0.1〜0.3%
(D1)ハロゲン化炭化水素((A)と(B1)との合計量に対して) 40〜60%
添加順序:(A)→(C1)→(スラリー状態)→(B1)→(D1)
(3)(A1)PTFE含水粉末(含水率5〜30%) 100部
(B)フィラー 2.5〜100部
(C)界面活性剤((A1)と(B)との合計量に対して) 0.01〜1%
(D)水と液−液界面を形成する有機液体((A1)と(B)との合計量に対して) 30〜80%
添加順序:(A1)→(C)→(スラリー状態)→(B)→(D)
より好ましくは
(A1)PTFE含水粉末(含水率5〜30%) 100部
(B1)ガラス繊維またはカーボン繊維 3〜30部
(C1)ノニオン性界面活性剤((A1)と(B1)の合計量に対して) 0.1〜0.3%
(D1)ハロゲン化炭化水素((A1)と(B1)との合計量に対して) 40〜60%
添加順序:(A1)→(C1)→(スラリー状態)→(B1)→(D1)
実施例
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。
実施例1
内容量10リットルの造粒槽にイオン交換水1.5リットルを入れ、さらに粉砕後の平均粒径が31μmのPTFE粉末(ダイキン工業(株)製ポリフロンM−12、PTFEホモポリマー)1.275kg(ドライ基準)と、予めアミノシランカップリング剤で撥水処理されたガラス繊維(日本電気硝子(株)製EPG40M−10A、平均直径12μm、平均繊維長80μm)0.225kgとを順次添加する。
つぎにアミンオキシド系ノニオン性界面活性剤(ジメチルオキシエチルアミンオキシド)の5重量%水溶液90mlを添加する。
つぎに、100φのディスパー翼を用いて3000rpmの撹拌速度で2分間撹拌するとPTFE粉末とフィラーが、水に濡れ、粘度10〜1000cpsの粘稠状のスラリー状態となり、この状態でさらに3分間撹拌して混合する。
つぎに、水と液−液界面を形成する有機液体(塩化メチレン)750mlを添加し、100φのディスパー翼を用いて1500〜2000rpmの撹拌速度で1〜2分間撹拌して造粒する。
つぎに、水4.5リットルを追加し、コーン翼を用いて800rpmでの撹拌下、25℃±2℃で15分間整粒する。
つぎに、槽内温度を20分かけて38℃まで昇温して撹拌を停止し、150メッシュのふるいを用いて造粒物と水とを分離し、えられた造粒物を電気炉内において、165℃で16時間乾燥して、本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末をえ、つぎの試験を行なった。
見かけ密度:JIS K 6891−5.3に準じて測定した。
粉砕後の平均粒径(一次粒子の粒径)
ウェットシーブ法:JIS標準ふるい20メッシュ(ふるい目の開き840μm)、250メッシュ(ふるい目の開き62μm)、270メッシュ(ふるい目の開き53μm)、325メッシュ(ふるい目の開き44μm)および400メッシュ(ふるい目の開き37μm)使用される。まず、20メッシュふるいを250メッシュふるいの上に重ねる。5gの粉末試料を20メッシュふるいの上に乗せて、シャワー霧吹きをを用いて約3リットル/m2の割合で約30秒間、四塩化炭素を霧吹くことにより、下方ふるい上に注意深く洗い落とす。試料が完全に洗い落とされたら、上方ふるいを取り除き、下方ふるいをまんべんなく約4分間霧吹く。その後、下方ふるいを空気乾燥し、このふるいの上に保留された乾燥粉末の重量を測定する。この一連の操作を20メッシュふるいと他の3つの小メッシュふるいの1つとを用いて各々新しい5gの粉末試料について繰り返す。累積重量百分率値をうるために各ふるい上に保留される粉末の重量に20を掛け、つぎにこれらの数値を対数確率紙上にふるい目の開きに対してプロットする。これらの点を直線で結び、累積百分率50(d50)および84(d34)に相当する粒径を読み取り、次式によってウェットシーブサイズ(dWS)を計算して求める。
流動性(21B法という):特開平3−259925号公報記載の方法に準じて測定した。
すなわち、測定装置としては、図1(特開平3−259925号公報記載の第3図に対応)に示されるごとく支持台42に中心線を一致させて支持した上下のホッパー31および32を用いる。上部ホッパー31は、入口33の直径74mm、出口34の直径12mm、入口33から出口34までの高さ123mmで、出口34を仕切板35があり、これによって中の粉末を保持したり落したりすることが適宜できる。下部ホッパー32は入口36の直径76mm、出口37の直径12mm、入口36から出口37までの高さ120mmで、上部ホッパーと同様出口37に仕切板38が設けられている。上部ホッパーと下部ホッパーとの距離は各仕切板の間が15cmとなるように調節されている。なお図1中39および40はそれぞれ各ホッパーの出口カバーであり、41は落下した粉末の受器である。
流動性の測定は被測定粉末約200gを23.5〜24.5℃に調温した室内に4時間以上放置し、10メッシュ(目の開き1680ミクロン)でふるったのち、同温度で行なわれる。
(I)まず、容量30ccのコップに丁度1杯の被測定粉末を上部ホッパー31へ入れたのち、ただちに仕切板35を引抜いて粉末を下部ホッパーへ落す。落ちないときは針金でつついて落す。粉末が下部ホッパー32に完全に落ちてから15±2秒間放置したのち下部ホッパーの仕切板38を引抜いて粉末が出口37から流れ落ちるかどうかを観察し、このとき8秒以内に全部流れ落ちたばあいを落ちたものと判定する。
(II)以上と同じ測定を3回くり返して落ちるかどうかをみ、3回のうち2回以上流れ落ちたばあいは流動性「良」と判定し、1回も落ちないばあいは流動性「不良」と判定する。3回のうち1回だけ流れ落ちたばあいは、さらに2回同じ測定を行ない、その2回とも落ちたばあいは結局その粉末の流動性は「良」と判定し、それ以外のばあいは流動性「不良」と判定する。
(III)以上の測定で流動性「良」と判定された粉末については、つぎの同じ容量30ccのコップ2杯の粉末を上部ホッパーへ入れて前述したところと同様にして測定を行ない、結果が流動性「良」とでたときは順次粉末の杯数を増加してゆき、「不良」となるまで続け、最高8杯まで測定する。各測定の際には、前回の測定で下部ホッパーから流出した粉末を再使用してもよい。
(IV)以上の測定でPTFE粉末は使用量が多いほど流れ落ちにくくなる。
そこで流動性「不良」となったときの杯数から1を引いた数をもってその粉末の「流動性」を定める。
造粒パウダーの粒度分布Aおよび平均粒径:上から順に10、20、32、48および60メッシュ(インチメッシュ)の標準ふるいを重ね、10メッシュふるい上にPTFE粒状粉末をのせ、ふるいを振動させて下方へ順次細かいPTFE粒状粉末粒子を落下させ、各ふるい上に残留したPTFE粒状粉末の割合を%で求めたのち、対数確率紙上に各ふるいの目の開き(横軸)に対して残留割合の累積パーセント(縦軸)を目盛り、これらの点を直線で結び、この直線上で割合が50%となる粒径を求め、この値を平均粒径とする。
粒度分布B:平均粒径の0.7〜1.3倍の直径を有する粒子の全粒子に対する重量割合であり、平均粒径に0.7倍あるいは1.3倍の値を乗ずることによって算出し、累積曲線中にその点を書込むことによって重量割合を求める。
引張強度(以下、TSともいう)および伸び(以下、ELともいう):内径100mmの金型に25gの粉末を充填し、約30秒間かけて最終圧力が約500kg/cm2となるまで徐々に圧力を加え、さらに2分間その圧力に保ち予備成形体をつくる。金型から予備成形体を取り出し、365℃に保持してある電気炉へこの予備成形体を入れ、3時間焼成後、取り出して焼成体をうる。この焼成体からJISダンベル3号で試験片を打ち抜き、JIS K6891−58に準拠して、総荷重500kgのオートグラフを用い、引張速度200mm/分で引張り、破断時の応力と伸びを測定する。
安息角:ホソカワミクロン製パウダーテスターを用いて測定した。
Z値(着色):造粒粉末200gを直径50mmの金型に充填し、成形圧力500kg/cm2で5分間保持し、得られた予備成形品(直径約50mm、高さ約50mm)を室温から50℃/hrの昇温速度で365℃まで昇温し、365℃で5.5時間保持した後、50℃/hrで冷却した成形品を、端から約25mm(中心部分)のところで、旋盤で横割りし、切り出した部分の中心部のZ値を国際照明委員会の定めるXYZ系のZ値測定法に基づいて測定した。
表面粒度:粉末210gを直径50mmの金型に充填し、成形圧力500kg/cm2で5分間保持し、えられた予備成形品を50℃/hrの昇温速度で室温から365℃まで昇温し、365℃で5.5時間保持したのち、50℃/hrで冷却する。えられた成形品の上部表面を東京精密機械(株)製の表面あらさ測定機を用い、JIS B 0601に記載の中心線平均粗さ(Ra)法に従い測定した。
なお、実施例1でえられたフィラー入りPTFE粒状粉末については、つぎの方法により該粉末中の粒子の写真撮影を行なった。
粒子の形状:ソニー(株)製光学顕微鏡ビデオマイクロスコープを用いて拡大倍率100倍または200倍の像について写真撮影を行なった。
結果を表1および図2に示す。
実施例2
内容量10リットルの造粒槽にイオン交換水1.5リットルを入れ、さらに粉砕後の平均粒径が31μmのPTFE粉末(ダイキン工業(株)製ポリフロンM−12、PTFEホモポリマー)1.350kg(ドライ基準)と、カーボン繊維(大阪ガスケミカル(株)製ピッチ系カーボンファイバーSG−249)0.150kgとを順次添加する。
つぎに、100φのディスパー翼を用いて4000rpmで5分間撹拌して混合する。
つぎにアミンオキシド系ノニオン性界面活性剤(ジメチルオキシエチルアミンオキシド)の5重量%水溶液90mlを添加する。
つぎに、100φのディスパー翼を用いて3000rpmの撹拌速度で2分間撹拌するとスラリー状態となり、この状態でさらに3分間撹拌して混合する。
つぎに、水と液−液界面を形成する有機液体(塩化メチレン)750mlを添加し、100φのディスパー翼を用いて2000rpmの撹拌速度で2分間撹拌して造粒する。
つぎに、水4.5リットルを追加し、コーン翼を用いて800rpmの撹拌速度で25±2℃において15分間整粒する。
つぎに、槽内温度を20分かけて38℃まで昇温してこの温度に10分間保持したのち、撹拌を停止し、150メッシュのふるいを用いて造粒物と水とを分離し、えられた造粒物を電気炉内において、165℃で16時間乾燥して、本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末をえ、実施例1と同様にして試験および写真撮影を行なった。結果を表1および図3に示す。
比較例1
三井三池(株)製の内容量150リットルのヘンシェルミキサーにPTFE粉末(ダイキン工業(株)製ポリフロンM−111、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)0.1モル%が共重合されている変性PTFE)22.5kgおよびオーウェンズコーニング社製撥水未処理ガラス繊維(平均直径15.8μm、平均繊維長80μm)2.5kgを入れ、1130rpmの撹拌速度で12分間乾式混合を行ない、均一な混合物25kgをえた。
つぎに、この混合物40kgを近畿工業(株)製の内容量300リットルのリボンミキサーに入れ、20rpmの速度で回転させながら、水と液−液界面を形成する有機液体(パークロロエチレン)44リットルを3分間かけて添加したのち、10分間転動して造粒する。
つぎに、えられた造粒物を不二パウダル社製のフラッシュミル(カッターが1000rpmで回転している)へ6kg/分の供給速度で供給し、解砕したのち再度、前記リボンミキサーへ投入して20rpmの回転速度で10分間転動して造粒し、フィラー入りPTFE粒状粉末をえ、実施例1と同様にして試験および写真撮影を行なった。結果を表1および図4に示す。
比較例2
まず、粉砕後の平均粒径が28μmのPTFE粉末(ダイキン工業(株)製ポリフロンM−12、PTFEホモポリマー)9.35kg(ドライ基準)と、予めアミノシランカップリング剤で撥水処理されたガラス繊維(平均直径12μm、平均繊維長80μm)1.65kgとを内容量75リットルのヘンシェルミキサーを用いて予備混合した。
内容量10リットルの造粒槽にイオン交換水6リットルを入れ、さらに前記予備混合してえられたPTFE粉末とガラス繊維との混合物2kgを入れる。
つぎに、水と液−液界面を形成する有機液体(塩化メチレン)1200mlを添加し、コーン翼を用いて800rpmでの撹拌下、25±2℃で5分間造粒する。
さらに、100φのディスパー翼を用いて2,000rpmで2分間撹拌を続ける。
つぎに、コーン翼を用いて800rpmでの撹拌下、25℃±2℃で10分間整粒する。
つぎに、槽内温度を20分かけて38℃まで昇温して撹拌を停止し、150メッシュのふるいを用いてえられた造粒物を電気炉内において、165℃で16時間乾燥して、フィラー入りPTFE粒状粉末をえ、実施例1と同様にして試験および写真撮影を行なった。結果を表1および図5に示す。
比較例3
比較例1において、PTFE粉末の量を21.25kgとし、ガラス繊維の代わりに実施例2で用いたカーボン繊維3.75kgを用いたこと以外は、比較例1と同様の方法によりフィラー入りPTFE粒状粉末をえ、実施例1と同様にして試験および写真撮影を行なった。結果を表1および図6に示す。
比較例4
まず、粉砕後の平均粒径が28μmのPTFE粉末(ダイキン工業(株)製ポリフロンM−12、PTFEホモポリマー)9.35kg(ドライ基準)と実施例2で用いたカーボン繊維1.65kgとを内容量75リットルのヘンシェルミキサーを用いて予備混合した。
内容量10リットルの造粒槽にイオン交換水6リットルを入れ、さらに前記予備混合してえられたPTFE粉末とカーボン繊維との混合物2kgを入れる。
つぎに、水と液−液界面を形成する有機液体(塩化メチレン)1200mlを添加し、コーン翼を用いて800rpmでの撹拌下、25±2℃で5分間造粒する。
さらに、100φのディスパー翼を用いて2,000rpmで2分間撹拌を続ける。
つぎに、コーン翼を用いて800rpmでの撹拌下、25℃±2℃で10分間整粒する。
つぎに、槽内温度を20分かけて38℃まで昇温して撹拌を停止し、150メッシュのふるいを用いてえられた造粒物を電気炉内において、165℃で16時間乾燥してフィラー入りPTFE粒状粉末をえ、実施例1と同様の試験および写真撮影を行なった。結果を表1および図7に示す。
実施例3〜7
用いる界面活性剤をパーフルオロオクタン酸アンモニウム塩に変え、それらの含有量をそれぞれ、表2に示す量にした以外は実施例1と同様にして本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末をえた。ついで、粒度分布Aの試験でさらに60メッシュのふるいの下に80メッシュのふるいを重ねた以外は実施例1と同様にして試験を行なった。結果を表2に示す。
比較例5
用いる界面活性剤をオレイル硫酸ナトリウムに変え、その含有量を0.1重量%にした以外は、実施例3と同様にしてフィラー入りPTFE粒状粉末をえた。ついで実施例3と同様にして試験を行なった。結果を表2に示す。
なお、表1および2の粒度分布欄の10onは10メッシュのふるい上に、20onは20メッシュのふるい上に、32onは32メッシュのふるい上に、48onは48メッシュのふるい上に、60onは60メッシュのふるい上に、80onは80メッシュのふるい上にいずれも残存する粒子の割合を示しており、60passは60メッシュのふるいを、80passは80メッシュのふるいを通過する粒子の割合を示している。
表1の結果から明らかなように、本発明の製法によりえられるフィラー入りPTFE粒状粉末は、見かけ密度が大きく、とくに小粒径で粒度分布がシャープであり、小粒径であるにもかかわらず優れた流動性を有しており、安息角が小さく、また該粒状粉末からえられる成形品は、引張強度、伸びに優れ、表面粗度が小さい。
また、本発明の製法は、前記のような優れた物性を有するフィラー入りPTFE粒状粉末を提供できるとともに、PTFE粉末とフィラーとを予め混合するというような繁雑な工程が不要であり、界面活性剤の添加量により、フィラー入りPTFE粒状粉末の平均粒径および粒度分布を制御できることがわかる。
図2は実施例1で、また図3は実施例2でえられた本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末中の粒子の粒子構造を示す光学顕微鏡写真であり、図4〜7は界面活性剤を用いない従来の造粒法でえられたフィラー入りPTFE粒状粉末中の粒子の粒子構造を示す光学顕微鏡写真である。
これらの図から明らかなように、本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末中の粒子は、ほぼ球形であるが、前記した従来の造粒法でえられたフィラー入りPTFE粒状粉末中の粒子は球形ではない。
本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末が、その粒子の平均粒径が小さいにもかかわらず、粉末流動性に著しく優れているのは、たとえばこのようにその粒子の形状がほぼ球形であることが考えられる。
産業上の利用可能性
本発明のフィラー入りPTFE粒状粉末は見かけ密度が大きく、その粒子の大部分はほぼ球形であり平均粒径が小さくて粒度分布がシャープであり、平均粒径が小さいにもかかわらず粉末流動性に優れ、安息角が小さく、粒状粉末からえられる成形品は、引張強度、伸びに優れ、表面粗度が小さい。
また、本発明の製法は、前記のような優れた物性を有するフィラー入りPTFE粒状粉末を提供できるとともに、PTFE粉末とフィラーとを予め混合するというような繁雑な工程が不要であり、とくに界面活性剤の量により平均粒径および粒度分布を制御でき、粒度分布がシャープな粒状粉末が安価にえられる製法である。
Claims (9)
- 懸濁重合法でえられるポリテトラフルオロエチレン粉末とフィラーとを水中で撹拌して造粒するに際し、該粉末とフィラーとを予め混合することなく別々に水中に投入し、界面活性剤の存在下で撹拌して混合しスラリー状態にしたのち、さらに水と液−液界面を形成する有機液体の存在下で撹拌して造粒し、平均粒径が500μm以下でかつ見かけ密度が0.6g/cm3以上であるフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末をうることを特徴とするフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の製法。
- 懸濁重合法でえられるポリテトラフルオロエチレン粉末とフィラーとを水中で撹拌して造粒するに際し、該粉末を水中に投入し界面活性剤の存在下で撹拌してスラリー状態にし、該スラリーにフィラーを添加して混合したのち、さらに水と液−液界面を形成する有機液体の存在下で撹拌して造粒し、平均粒径が500μm以下でかつ見かけ密度が0.6g/cm3以上であるフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末をうることを特徴とするフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の製法。
- 懸濁重合法でえられるポリテトラフルオロエチレン粉末とフィラーとを水中で撹拌して造粒するに際し、重合後のポリテトラフルオロエチレン含水粉末を乾燥工程をへることなく湿式粉砕して水中に投入し、界面活性剤の存在下で撹拌してスラリー状態にし、該スラリーにフィラーを添加して混合したのち、さらに水と液−液界面を形成する有機液体の存在下で撹拌して造粒することを特徴とするフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の製法。
- 界面活性剤の量がポリテトラフルオロエチレン粉末とフィラーとの合計量に対して0.01〜5重量%である請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載のフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の製法。
- ポリテトラフルオロエチレンが、テトラフルオロエチレン99〜99.999モル%とパーフルオロビニルエーテル1〜0.001モル%とを共重合してえられる変性ポリテトラフルオロエチレンである請求の範囲第1〜4項のいずれかに記載のフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末の製法。
- 請求の範囲第1〜5項のいずれかに記載の製法によりえられるフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末であって、該粒状粉末の見かけ密度が0.6g/cm3以上であることを特徴とするフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末。
- 粒状粉末の流動性が21B法で6回以上である請求の範囲第6項記載のフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末。
- 粒状粉末の安息角が40度以下である請求の範囲第6項記載のフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末。
- 粒状粉末の平均粒径が500μm以下である請求の範囲第6項記載のフィラー入りポリテトラフルオロエチレン粒状粉末。
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