JP3718613B2 - 画像イメージによる硬貨真偽判定方法及び装置 - Google Patents

画像イメージによる硬貨真偽判定方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表裏及び回転角自在で搬送されてくる硬貨に対して金種,真偽等を識別/判定する方法及び装置に関し、特に、類似した硬貨や変造/偽造硬貨を含む場合における画像イメージによる真偽等の判定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
識別対象の硬貨の金種は、磁気センサの検出データ、撮像された画像データに基づいて計測した外径寸法,穴径寸法によって決定される。しかしながら、この段階では、硬貨の表裏は決定することができない。表裏の決定に対しては、画像イメージによる識別が必要となる。画像イメージによる識別,真偽判定に関連した第1の従来技術としては、例えば、正規の硬貨の標準画像イメージとの照合により硬貨を識別した後、更に類似硬貨のテンプレート(いわゆるロックテンプレート)と照合して真偽を判定するようにしたものがある。具体例としては、先ず、硬貨の画像を同心円からなるリング画像を切出し、圧縮正規化を行った後、画像データを回転させて、基準のテンプレートの画像データとの距離が近いものを選び、その値が所定値以下であれば、そのテンプレートの硬貨であると判断を行ない、その後、例えば日本の10円硬貨と類似なものとしてある種のゲームコイン,類似外国貨について、専用にテンプンート(ロックテンプレート)を予め用意しておき、該当テンプンートに当てはめて、該当貨であるかどうかをチェックする。そして、たとえ10円硬貨と照合度が良好であっても、上記チェックで類似硬貨のテンプレートにぴったりあうものは、類似硬貨として排除するようにしている。
【0003】
この方法の問題点は、類似硬貨が出現するたびにロックテンプレートを用意しなくてはならないということで、商品化された識別装置に新たなロックテンプレートを追加するための人件費等の費用が発生し、好ましいことではない。
【0004】
第2の従来技術としては、例えば、特開平6−236472号「硬貨識別方法」に記載されたものがある。これは、硬貨の二次元画像より硬貨の中心点を中心とする一定半径のリング画像を複数切出し、各リング画像毎に準備した基準テンプレートのデータに合わせる様に該当画像を圧縮、正規化する。これにより、テンプレートと対比照合ができる様になり、次にリング画像を所定角度ずつ回転させ基準テンプレートとの一致照合演算の最低値(一致最良値)を探し、この時の回転角を用いて、他のリング画像の一致照合演算値を設定値と比較し、正否の判断を行うものである。この発明は、最適な他のリング画像を選んではいるが、新貨が発行された場合には、著しい特徴値が得られるリングを選び直さなくてはならないという問題を抱えている。
【0005】
第3の従来技術としては、特開平6−236471号「硬貨識別方法」に記載されたものがある。これは、硬貨の高密度画像から圧縮率の高いリング画像データを切出し、荒いピッチで1回転分の一致照合演算を行なって硬貨の回転角値を探し出し、次に当該硬貨の特徴を捉えた圧縮率の低い特徴エリア画像データを用いて、上記の回転角付近でさらに一致照合演算を行なって、演算値により正否の判断を行なうものである。この発明も前記第2の従来技術のものと同様に、詳細画像として選んだ場所の画像データが同じで他の場所にもっと特徴がある模様を持った新たな硬貨或いは変造/偽造硬貨があった場合には、その識別力は効果をなさないという問題を抱えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
画像イメージによって硬貨の金種,真偽等を識別/判定するようにしたものとしては、前記第1〜第3の技術が例として挙げられるが、前述したように、第1の技術では、ゲームコインや外国貨の専用テンプレートを予め用意しておく必要があるため、類似硬貨が出現するたびにロックテンプレートを用意しなくてはならず、商品化された識別装置に新たなロックテンプレートを追加するための人件費等の費用が発生するなどの欠点があった。さらに、新種の偽造硬貨などには実質上対応できないという問題があった。一方、前述の第2、第3の技術では、詳細画像として選んだ場所の画像データが同じで他の場所にもっと特徴がある模様を持った新たな類似硬貨或いは偽造硬貨があった場合には、その識別力は効果をなさないという問題があった。
【0007】
本発明は上述のような問題に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、新たな類似硬貨や変造/偽造硬貨が現れてもロックテンプレート等を用いること無く当該硬貨の真偽等を判定することができると共に、少ない基本テンプレートのデータにより効果的に類似硬貨の識別を行なうことができる、画像イメージによる硬貨真偽判定方法及び装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特に、類似した硬貨や変造/偽造硬貨を含む場合における画像イメージによる真偽等の判定方法及び装置に関するものであり、本発明の上記目的は、方法の発明に関しては、識別すべき硬貨の画像を取込装置で取込み、得られた画像信号をデジタル処理し、算出した硬貨画像のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360度分抽出した2次元のストライプ状サンプリングデータと、識別候補の硬貨の標準画像データである基本テンプレート画像との類似度を算出し、前記硬貨を識別する硬貨識別方法において、前記サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とを相対的に画像を回転させて、対応する画素同志の輝度差を総合してマッチング度を算出し、マッチング度が最良の回転位置を求め、該最良の回転位置に於けるマッチング度に基づいて金種及び表裏を確定し、次に、前記マッチング度が最良の回転位置を開始点として、前記サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とが所定回転角度ずれたときのマッチング度のパターンによって、前記確定された金種及び表裏の種類を確認すると共に前記識別すべき硬貨の少なくとも真偽を判定するようにすることによって達成される。
【0009】
また、装置の発明に関しては、識別すべき硬貨を撮像する撮像手段と、前記撮像手段からの画像信号をデジタル処理して算出した硬貨画像のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360度分抽出して2次元のストライプ状サンプリングデータとして切出すリング切出手段とを備え、前記サンプリングデータと識別候補の硬貨の標準画像データである基本テンプレート画像との類似度を算出し、前記硬貨を識別する硬貨識別機における真偽判定装置において、前記リング切出手段により切出されたサンプリングデータと前記基本テンプレート画像とを相対的に画像を回転させて、対応する画素同志の輝度差を総合してマッチング度を算出し、マッチング度が最良の回転位置を求めると共に、前記最良の回転位置に於けるマッチング度に基づいて金種及び表裏を確定する回転照合手段と、前記マッチング度が最良の回転位置を開始点として、前記サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とが所定回転角度ずれたときのマッチング度のパターンによって、前記確定された金種及び表裏の種類を確認すると共に前記識別すべき硬貨の少なくとも真偽を判定する真偽判定手段とを具備することによって達成される。
【0010】
さらに、方法の発明に関しては、識別すべき硬貨の画像を取込装置で取込み、得られた画像信号をデジタル処理して硬貨画像の中心位置を算出すると共に少なくとも外径値を含む検出データから前記識別すべき硬貨の金種候補を特定し、前記中心位置を中心として前記硬貨画像のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360度分抽出して2次元のストライプ状サンプリングデータとして切出し、前記サンプリングデータに対して輝度変化の急激な部分を強調処理すると共に当該金種候補の標準画像データである基本テンプレート画像に合わせるようにデータ圧縮し且つ前記サンプリングデータの輝度値を当該金種候補の標準輝度値に変換して回転照合用サンプリングデータとし、該回転照合用サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とを相対的に画像を回転させて、対応する画素同志の輝度差を総合してマッチング度を算出し、マッチング度が最良の回転位置を求め、該最良の回転位置に於けるマッチング度に基づいて金種及び表裏を確定し、次に、前記マッチング度が最良の回転位置を開始点として、該回転照合用サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とが所定回転角度ずれたときのマッチング度のパターンによって、前記確定された金種及び表裏の種類を確認すると共に前記識別すべき硬貨の少なくとも真偽を判定するようにすることによっても達成される。
【0011】
さらに、装置の発明に関しては、識別すべき硬貨を撮像する撮像手段と、前記撮像手段からの画像信号をデジタル処理して硬貨画像の少なくとも外径値及び中心位置を算出する外径計測中心位置算出手段と、前記中心位置を中心として前記硬貨画像のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360度分抽出して2次元のストライプ状サンプリングデータとして切出すリング切出手段と、前記サンプリングデータに対して輝度変化の急激な部分を強調処理するエッジ強調手段と、前記サンプリングデータを当該金種候補の標準画像データである基本テンプレート画像に合わせるようにデータ圧縮するデータ圧縮手段と、前記サンプリングデータの輝度値を当該金種の標準輝度値に変換する輝度変換手段と、前記エッジ強調手段,前記データ圧縮手段及び前記輝度変換手段により加工処理された当該サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とを相対的に画像を回転させて、対応する画素同志の輝度差を総合してマッチング度を算出し、マッチング度が最良の回転位置を求め、該最良の回転位置に於けるマッチング度に基づいて金種及び表裏を確定する回転照合手段と、前記マッチング度が最良の回転位置を開始点として、前記加工処理されたサンプリングデータと前記基本テンプレート画像とが所定回転角度ずれたときのマッチング度のパターンによって、前記確定された金種及び表裏の種類を確認すると共に前記識別すべき硬貨の少なくとも真偽を判定する真偽判定手段とを備えることによっても達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、識別硬貨全面の画像を取込み、リング状に切出した画像とテンプレート画像とを回転照合することにより類似度を演算して硬貨の種類や真偽を判定するものであるが、本発明では、リング状に切出した360度分の画像を所定の個数(回転角度毎)に分割して、一番類似している箇所(角度)を基点として、所定角度ずつ画像をずらしたときの基準テンプレートとのマッチング度を計算して、回転角に対するマッチング度のグラフを作成し、このグラフのパターンが正規のものと一致しているかによって、識別候補の金種・表裏の確認や真偽の判定を行なうようにしている。上記のようにしてグラフ化されたデータは、その硬貨特有の波形データとなり、正規の硬貨の波形データからその特徴量を抽出して登録しておけば、真偽の判定を含めて各種のチェックをを行うことができる。そのため、類似した外国貨や変造貨を専用のロックテンプレートを用いること無く排除できると共に、新たな外国貨や変造貨が現れても、上記グラフのパターンが一致しない限り、新たなデータ登録をすること無く排除できるようになる。
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明を適用した硬貨真偽判定装置の構成の一例をブロック図で示している。図1において、撮像手段21は、硬貨全面を撮像してx−y座標上に2次元の画像データを取込むための手段であり、2次元若しくは1次元のイメ−ジセンサと照明ユニットなどから構成される。
【0015】
外径計測中心位置算出手段22は、硬貨の外径計測と中心位置を算出する手段であり、フレームメモリ31bに取込まれた画像データから、後述するx,y方向の輝度ヒストグラムをヒストメモリ31a上で作成し、各輝度ヒストグラムに基づいて硬貨の外径値と中心座標を算出すると共に、各画素の輝度データを2値化して穴径値(穴無しは0)を算出する。
【0016】
リング切出手段23は、硬貨の画像をリング状に切出す手段であり、上記算出した中心座標を中心として硬貨画像をリング状に切出し、x方向(回転角θ方向),y方向(半径R方向)の2次元配列データとして作業メモリ31cに記憶する。エッジ強調手段24は、硬貨の模様などの特徴部を強調する手段であり、切出した画像データに対して後述する微分処理を行ない、輝度変化の急激なエッジ部分を強調する。データ圧縮手段25は、画像データを圧縮する手段であり、エッジ強調された画像データを当該金種候補の基本テンプレート(標準画像データ)と同サイズになるようにデータ圧縮する。上記基本テンプレート(当該金種の標準画像データ)は金種毎に予め基本テンプレート記憶手段31eに記憶されおり、上記データ圧縮手段25によるデータ圧縮率は金種に応じて決定される。
【0017】
輝度変換手段26は、センサーのばらつきや照明条件の変化等の影響を軽減して同一条件で認識可能とするため、各画素の輝度値を標準の輝度値に変換する手段であり、輝度変換用のテンプレートを用いて上記圧縮後の各画素データの輝度値を、輝度順位を対応させてテンプレートの輝度値に変換する。回転照合手段27は、上記輝度変換後の画像データと照合用の基本テンプレートとの回転照合を行ない、標準画像との類似度を算出する手段であり、当該金種の各識別候補の表裏両方について各回転角度に於けるパターンマッチング値を算出し、回転照合結果格納メモリ31fに格納する。
【0018】
外部金種決定手段28は、金種の識別,真偽判定等の対象となる硬貨の基準データを金種毎,表裏毎に予め設定して登録する手段であり、外径サイズ,穴の有無,材質などから当該金種を決定し、当該記憶手段に格納して登録する。本実施の形態では、輝度変換用の基本テンプレート(標準輝度データ),及び照合用の基本テンプレート(標準画像データ)を金種毎,表裏毎に設定し、標準輝度データ記憶手段31dと基本テンプレート記憶手段31eにそれぞれ記憶しておく。更に、外部金種決定手段28では、後述する回転パターン波形に基づく真偽判定の際に使用する判定値(対象貨の特徴量)を、対象貨と類似する外部貨幣(外国貨やゲームコイン等)を考慮して金種毎,表裏毎に決定し、基本テンプレート記憶手段31eに記憶しておく。
【0019】
金種判定手段29は、材質等を検出する磁気センサーの検出データとイメージ画像データに基づいて対象硬貨の金種などを判定する手段であり、本発明では、上記回転照合手段27で求めた回転照合結果を基に、最良の回転位置に於けるマッチング度に基づいて金種と表裏を判定した後、回転照合時に描く軌跡(後述する回転パターン波形)をチェックし、その軌跡により少なくとも当該貨幣の真偽を判定するようにしている。
【0020】
上述のような構成において、以下本発明の方法による処理例を図2のフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0021】
先ず、搬送される硬貨は表又は裏を上面にして撮像手段21のイメージセンサ部を通過し、図3の画像例に示されるように、x−y座標上に256×240画素を1画面として硬貨の画像1が取込まれる。この入力画像1は1画素が約0.13mm平方の高密度画像であり、AD変換により明るさを例えば256階調に分解して多値化され、明るさ(輝度)をZ軸とする3次元データとしてフレームメモリ31bに格納される(ステップS1)。
【0022】
外径計測中心位置算出手段22では、フレームメモリ31bに格納された画像データ(データサイズとしては、256×256)から、x,yの各方向でそれぞれ硬貨画像の検出境界が最大と最小である座標値を探し、その平均値を当該硬貨画像の中心座標(Cx,Cy)とし、また、上記最大と最小座標値の差を当該硬貨画像の外径値Dとして算出する。その際、背景ノイズ(隣接する硬貨や搬送ベルトの写り込み等)の影響を回避するため、次の方法で硬貨の中心座標(Cx,Cy)と外径値Dを求める。
【0023】
図4(A)に示す入力画像1において、硬貨の搬送方向Aに対して垂直な方向を水平方向xとした場合、水平方向xに対して、搬送ガイドの領域と搬送ベルトの領域とを除外した区間V−Vを検索範囲として設定する。また、垂直方向yに対しては、連続して搬送されてくる硬貨同士の接点エッジの影響が生じないように両端部の領域(例えば最小径の硬貨の半径の1/3〜1/4程度)を除外した区間H−Hを検索範囲として設定しておく。そして、各検索範囲内の画像データを用いて図4(B)及び(C)のように、垂直方向と水平方向の輝度ヒストグラムをそれぞれ作成してヒストメモリ31aに記憶する。ここで、垂直方向の輝度ヒストグラムVhistとは、全ての水平方向のラインについて、1水平ラインに於ける区間V−V内の各画素値(輝度)の総和を水平ライン輝度として求め、求めた各水平ライン輝度を水平ラインの番号順に並べたものである。また、水平方向の輝度ヒストグラムHhistとは、全ての垂直方向のラインについて、1垂直ラインに於ける区間H−H内の各画素値の総和を垂直ライン輝度として求め、求めた各垂直ライン輝度を垂直ラインの番号順に並べたものである。
【0024】
外径計測中心位置算出手段22では、水平方向と垂直方向の各輝度ヒストグラムHhist,Vhistの中央付近からそれぞれ両側へ向かって硬貨画像2のエッジ部を検索し、検出した各エッジ部の中点(図4(C)中のLEFT,RIGHTの中点と、図4(B)中のTOP,TAILの中点)の座標を当該硬貨画像の中心座標(Cx,Cy)として決定する。硬貨の外径値Dは、ベルト写り込み等の影響を受けない様、水平方向の外径値(図4(C)中のLEFTとRIGHTの座標値の差)を用いる。
【0025】
硬貨の穴径値については、次のようにして求める。外径計測中心位置算出手段22では、先ず、入力画像1の全画素について次の数1に示す閾値Skと比較して2値化を行なう。
【数1】
Sk=IMAXMIN+Offset
但し、IMAXMINは最小の水平ライン輝度をもつライン(背景部分で最も暗い部分をもつライン)内の最大輝度(該1ライン内の最も明るい画素値)、
Offsetは調整値
【0026】
例えば当該画素の輝度が閾値Sk以下であれば“1”(穴画素)、輝度が閾値を超えれば“0”(非穴画素)として、図5に示すように、入力画像1の全画素について2値化する。図6(A)及び(B)は、穴を有する5円硬貨の2値化前後のイメージを示しており、入力画像1は、図6(A)から図6(B)のように2値化される。続いて、図6(B)に示される2値化後の入力画像1において、図7に示すように硬貨画像2の中心座標(Cx,Cy)を中心とし、半径Ir(Ir=対象硬貨の最大穴径+α)の円内を穴画素評価領域として、その評価領域内に存在する値“1”をもつ画素の数をカウントし、このカウント値を穴径値IRとする。
【0027】
このようにして得られた外径値D,穴径値IR及び、図示されない金種を特定するための磁気センサの検出データに基づいて金種を特定し、予め準備してある各金種別の基本テンプレート(標準画像データ)の中から、当該特定金種のものを一致照合用の基本テンプレートとして選択する。識別結果としての金種候補はこの段階で決定されるが、金種が特定されただけであり、硬貨の表裏についてはこの段階では判明していないので、当該金種の基本テンプレートとしては表側と裏側の2個の基本テンプレートを選択する(ステップS2)。
【0028】
次に、以下に示す方法によって、硬貨画像2のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360度分抽出し、半径R方向をWy方向,回転角θ方向をWx方向として展開した配列データから成る2次元のストライプ状サンプリングデータを得る。リング切出手段23では、先ず、図8に示されるような切出しパラメータテーブルTB1を用い、図9に示すように、中心座標=(Cx,Cy),切出し基点(中心座標からの半径方向の切出し開始位置)=r,切出し幅(半径方向の切出し範囲)=Wy,切出し長(円周方向の切出し範囲)=Wxをパラメータとして、硬貨画像のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360度分を抽出して2次元のストライプ状サンプリングデータとして切出し、図10に示すように回転角θ方向をX軸,半径R方向をY軸として2次元の配列データPDATAに展開する。
【0029】
例えば直径Dから500円の硬貨を特定した場合、図8のテーブルTB1から金種500円に対する切出し起点r=65,切出し幅Wy=20,切出し長Wx=512として、リング状画像データSDATAをストライプ状にサンプリングして切出し、これを図10に示すようにr(Wy)方向,θ(Wx)方向の2次元の配列データPDATAとする。このようなリング状画像データSDATAから2次元配列データPDATAへの展開は、硬貨画像の中心座標を(Cx,Cy)として、例えば次の数2により極座標をユークリッド座標に変換することで行なう。なお、切出す際には、エッジ強調の処理時に3×3画素の空間フィルタを用いて微分処理を行なうため、半径方向については(r−1)〜(r+Wy+1)の間を対象として1画素ずつ余分に切出す。
【0030】
【数2】
PDATA(i,j)=SDATA(Px+Cx,Py+Cy)
但し、Px=ri×sinθj、Py=ri×cosθj,
ri=i+(r−1),θj=j×2π/Wx,
i=0〜(Wy−1),j=0〜(Wx−1)
【0031】
このようにしてリング切出手段23では、360度を含む特定角度(本例では360度)までのリング状画像データをストライプ状に切出して2次元の配列データとして適宜抽出する。500円硬貨の例では、切出しされる画像にはR方向に22個、θ方向に512個の画素が含まれる(ステップS3)。
【0032】
エッジ強調手段24では、切出し画像に対し、模様の特徴を強調するために、3×3画素の近傍領域に於けるx方向/y方向の微分を行なう。このエッジ強調の処理方法としては、例えば公知の技術である「Prewittオペレータ」による3×3空間フィルタリングを用い、図11(A)及び(B)に示すように、変換前の画素データをPDATA(i、j)とし、変換後の画素データをGDATA(m、n)として、次の数3〜数5により輝度値を補正することによってエッジ部分を強調する。その際、xフィルタ,yフィルタとしては、例えば図12(A)及び(B)に示すような3×3のフィルタを用いる。
【0033】
【数3】
ΔxDATA(i,j)=PDATA(i−1,j−1)+PDATA(i−1,j )+PDATA(i−1,j+1)−〔PDATA(i+1,j−1)+PDATA(i+1,j )+PDATA(i+1,j+1)〕
【数4】
ΔyDATA(i,j)=PDATA(i−1,j−1)+PDATA(i ,j−1)+PDATA(i+1,j−1)−〔PDATA(i−1,j+1)+PDATA(i ,j+1)+PDATA(i+1,j+1)〕
【数5】
GDATA(m,n)=|ΔxDATA(i,j)|+|ΔyDATA(i,j)|
【0034】
なお、第0行,第Wy+1行の各画素については微分和が計算できないので、結果として得られるGDATA(m,n)の行列は、図11(B)のようにWy行,Wx列となる。このエッジ強調処理により、輝度の変化の急激な部分が浮き出た画像が得られる(ステップS4)。
【0035】
次に、上記エッジ強調されたWy行,Wx列のデータGDATAをテンプレート(当該金種の標準画像データ)と同サイズの行列になるようにデータ圧縮する。この圧縮率は金種により異なり、500円硬貨の場合は、好ましくは1/8の圧縮率が適用され、図13(A)に示すように、x軸方向に4画素,y軸方向に2画素のデータ毎に平均輝度値を算出し、8画素のデータを1画素のデータに圧縮する。その結果、Wy=20行、Wx=512列のデータGDATAが、図13(B)に示すように、10行、128列のデータCDATAに圧縮される(ステップS5)。
【0036】
次に、センサーばらつき等の影響を軽減するため、標準輝度データが設定されている輝度変換用のテンプレート使用して、上記圧縮後のデータCDATAに対して輝度変換処理をする。図14(A)は対象画像の輝度分布の例で、図14(B)はテンプレートの輝度分布の例をそれぞれ示している。以下に輝度変換の処理方法について図15を参照して説明する。先ず、圧縮後のデータ(a)を輝度順に並び変えて、輝度順テーブル(b)及び輝度順インデックステーブル(c)を作成する。テーブル(c)の要素は、対応するテーブル(b)の要素のテーブル(a)内の位置(インデックス)である。次に、輝度順テーブル(b)の各要素に対応する輝度順テーブル(d)の要素を参照し、この値を輝度順インデックステーブル(c)が指す位置、すなわち圧縮後のデータテーブル(a)内での位置に配置して、テーブル(e)を作成する。その結果、圧縮後のデータ(a)は、基本テンプレートの輝度値(高い順)に変換される。図16は、具体例を図15に対応させて示しており、変換前のデータである圧縮後データ(a)は、結果としてデータ(d)のように変換される。なお、輝度値が同じ場合、テンプレートの輝度に相当する値とする(ステップS6)。
【0037】
このように上記ステップS3〜ステップS6の加工処理をして得た2次元のストライプ状サンプリングデータを対象として、識別候補の硬貨の標準画像データである基本テンプレート画像(以下、マッチング用テンプレートと言う)との一致照合演算を行なう。図17は、500円硬貨の生画像に対する加工処理後のサンプリングデータIDATAとマッチング用テンプレートMDATAを示している。一致照合の演算方法は、図18(A)及び(B)に示すように、加工処理後のサンプリングデータIDATAとマッチング用テンプレートMDATAとにおいて、対応する画素fnとtnの輝度の差を全域に亘って求め、求めた各輝度差の絶対値の総和値Pmを下記数6により算出し、当該回転角度に於けるパターンマッチング値とする。
【0038】
【数6】
Pm=Σ|fn−tn|
但し、n=1〜総画素数(=圧縮後の配列データ数)
【0039】
そして、サンプリングデータIDATAとマッチング用テンプレートMDATAとを相対的に1周分回転させながら、各回転角度ごとに上記パターンマッチング値Pmを求める。本例では、加工処理後のサンプリングデータは、x方向(=R方向)に10行、y方向(=θ方向)に128列の配列データIDATAであり、回転ピッチを360/128度としてθ方向に一方の画像を回転させながら、すなわち上記配列データIDATAをx方向(若しくはマッチング用テンプレートMDATAを−x方向)に1画素(1列)ずつシフトしながら、上記パターンマッチング値Pmの演算を1回転分に相当する回数(本例では128回)繰り返し、回転数(回転角度)毎のパターンマッチング値Pmを回転結果格納メモリ31fに記憶する(ステップS7)。
【0040】
上記のパターンマッチング値Pmが最小値min(Pm)の位置が、基本テンプレート画像との照合度が最良の回転位置となる。回転照合手段27では、この最良の回転位置を当該金種の識別候補毎に表裏両方について算出し、上記の回転数毎のパターンマッチング値Pmと共に、回転結果格納メモリ31fに記憶する(ステップS8)。
【0041】
金種判定手段29では、上記パターンマッチング値の最小値min(Pm)が当該マッチング用テンプレートとの類似度の一番高い値(以下、ベストマッチング値PM-Bestと言う)であると判定し、このベストマッチング値PM-Bestに基づいて、識別対象の硬貨の金種と表裏をそれぞれ確定する。本例では、各識別候補の表裏毎に求めたベストマッチング値PM-Bestの中で最小のものに対応する基本テンプレート画像の金種の表/裏が,識別対象の硬貨の金種の表/裏として確定される(ステップS9)。
【0042】
図19は識別候補が4つある場合の例を示しており、同図を参照して複数の識別候補が存在する場合の上記ステップ6〜ステップS9の処理について説明する。圧縮後のサンプリングデータCDATAは、各識別候補の輝度変換用テンプレートを用いて当該テンプレートの輝度値に変換される。回転照合手段27では、輝度変換データIDATA1〜4と表裏のマッチング用テンプレートMDATA1〜4との回転照合演算を行ない、各識別候補毎,表裏毎にベストマッチング値PM-Best1〜PM-Best4を求める。そして、各ベストマッチング値PM-Best1〜PM-Best4を基準値Sbと比較し、ベストマッチング値が基準値Sb以下のものを同一パターンと判断し、金種及び表裏を確定する。
【0043】
なお、ベストマッチング値PM-Bestが基準値Sbを超える場合には当該硬貨をリジェクト貨と判定する。本来、硬貨画像の回転角値と回転演算の回転角度とが一致した場合にはベストマッチング値PM-Bestは0になる筈であるが、汚れた硬貨や粗いピッチで一致照合する場合には必ずしも0にならないので予め許容範囲を設けて上記基準値Sbとしている。
【0044】
以上のようにして確定した金種と表/裏は、基本テンプレート画像との輝度差の総和値に基づいて判断したものである。本発明では、ステップS10以降の処理として、更に、上記ベストマッチング値PM-Bestの回転角位置(=配列データのx方向のシフト位置)を開始点として、回転照合時の前記数6の演算結果である回転数毎のパターンマッチング値Pmを用い、リング画像(サンプリングデータ)とマッチング用テンプレート(正規の硬貨の標準の画像)とが所定回転角度ずれたときのマッチング度のパターン(以下、「回転パターン」と言う)によって、上記確定された金種及び表裏の正当性を確認すると共に、当該硬貨の真偽を判定する。
【0045】
以下、ステップS10以降の、回転パターンによる金種,真偽等の判定処理について具体例を示して詳細に説明する。なお、ステップS10〜S13の手順の説明については後述する。
【0046】
500円硬貨の場合の例を示すと、前述の回転照合による演算の結果、128個のマッチング値Pmが回転結果格納メモリ31fに記憶されている。この128個のマッチング値Pm(本例では、輝度差の総和値)は、類似度の1番高い回転位置でのマッチング値Pmがベストマッチング値PM-Bestであり、ベストマッチング値PM-Best以降の各回転角度に於けるマッチング値Pmは、回転ピッチを360度/128=約2.8度として、一方の画像を1ピッチずつθ方向にずらしたときの値である。
【0047】
例えば、対象硬貨と同一のテンプレート同士で回転照合を行なえば、照合度が最良の回転位置から所定回転角度ずらしたある回転角度に於けるマッチング値としてはその硬貨特有のデータとなり、そのデータを波形にすることで、硬貨の特徴を抽出することができる。このことを利用して、正常硬貨同士を回転させたときの各マッチング値Pmが成す波形と、識別対象貨と正常硬貨とが成す波形とを照合すれば、類似硬貨や変造硬貨であっても高精度で判別可能になる。その際、識別対象物と正常硬貨とが成す波形の全てをチェックするのではなく、例えば、ベストマッチング値PM-Bestから特定角度までの距離を算出し、その距離が正常硬貨の範囲に入っているか否かをチェックして真偽判定を行なうようにすれば、少ないデータで効果的に類似硬貨の鑑別を行なうことが可能となる。
【0048】
図20は、縦軸をマッチング値Pm,横軸を回転数Rnとして、日本の流通硬貨である500円硬貨の一方の面に於ける波形(各回転数毎のマッチング値Pmの軌跡)をグラフで示している。本例は、回転ピッチを360度/128=約2.8度として、500円硬貨の裏の基本テンプレート画像同士を相対的に128回(1回転)回転させたときのマッチング値Pmが成す軌跡をグラフで表したものであり、起点(回転数=0)のマッチング値Pmがベストマッチング値PM-Bestである。縦軸のマッチング値は、汚れや摩耗を考慮して許容範囲を+α(本例ではα≒30000)として図示している。以下、当該金種の硬貨が回転照合時に描く軌跡を「マッチング軌跡」又は「回転パターン波形」と言う。
【0049】
図21は、500円硬貨と外径等が類似する外国貨のマッチング軌跡であり、図21(A)が韓国500ウォン、同図(B)がミャンマー1チャット、同図(C)がイラン50リアルのマッチング軌跡をそれぞれ示している。これらの例に示されるように、マッチング軌跡は、各硬貨毎に異なる波形となり、流通貨幣が成す波形をチェックすることで、類似硬貨と区別することができる。
【0050】
このように自己金種が回転照合時に描く軌跡により、特定回転角における特徴量をチェック(例えば、ベストマッチング値からの距離を検査)すれば、当該硬貨の真偽判定を行なうことができる。上記特徴量は、取扱いの対象となる流通硬貨の特徴量(判定値)であり、類似硬貨等の特徴データを登録しておく必要は無い。例えば、500円硬貨特定面を例とすると、図22中の▲1▼〜▲7▼に示すように複数の特定角度をチェック箇所として設け、各チェック箇所での判定値として、例えば、ベストマッチング値PM-Bestから当該チェック箇所でのマッチング値Pm+許容値αまでの距離PL1〜PL7を設定しておき、これらの判定値PL1〜PL7を基に真偽の判定と最終的な金種,表裏の判定を行なう。
【0051】
500裏面の場合の一例を示すと、特定角度の位置を示す回転数をZone値として、各Zone値の判定値(上記距離PL)を図23のようにテーブルTB-B500に設定しておく。そして、金種判定手段29では、Zone値=XXでのサンプリングデータとマッチング用テンプレートとのマッチング値をZoneXX,ベストマッチング値をPM-Bestとして、図22中の▲1▼〜▲7▼のチェック個所に対応する下記数7〜数13の判定式を全て満足した場合に、当該硬貨が正常硬貨であると判定する。
【0052】
【数7】
Zone10−PM-Best > 42000
【数8】
Zone32−PM-Best > 6300
【数9】
Zone56−PM-Best > 41000
【数10】
Zone64−PM-Best > 1900
【数11】
Zone73−PM-Best > 41000
【数12】
Zone97−PM-Best > 5000
【数13】
Zone120−PM-Best > 41000
【0053】
図23に示されるテーブルは金種の表裏毎に用意され、図24(A)及び(B)は、日本の流通硬貨である10円硬貨の表と裏のテーブルTB-F10,TB-B10の例である。また、図25(A)は10円硬貨の表のマッチング軌跡、図25(B)は10円硬貨の裏のマッチング軌跡を示している。そして、図26は10円硬貨と外径等が類似する外国貨の裏側のマッチング軌跡であり、図26(A)がゲームコイン1、同図(B)がゲームコイン2、同図(C)が外国貨1、同図(D)が外国貨2のマッチング軌跡をそれぞれ示している。10円硬貨を例とした場合は、図25(A)中の▲1▼〜▲7▼のチェック個所に対応する10円硬貨の表の判定式が下記数14から数20となり、図25(B)中の▲1▼〜▲7▼のチェック個所に対応する10円硬貨の裏の判定式が下記数21から数27となる。
【0054】
【数14】
Zone9−PM-Best > 9000
【数15】
Zone16−PM-Best > 12500
【数16】
Zone28−PM-Best > 15000
【数17】
Zone64−PM-Best > 9000
【数18】
Zone83−PM-Best > 12000
【数19】
Zone101−PM-Best > 15500
【数20】
(Zone120−PM-Best)+(Zone9−PM-Best) > 20000
【0055】
【数21】
Zone4−PM-Best > 3000
【数22】
Zone19−PM-Best > 11000
【数23】
Zone35−PM-Best > 5000
【数24】
Zone64−PM-Best > 9000
【数25】
Zone95−PM-Best > 5000
【数26】
Zone105−PM-Best > 9000
【数27】
(Zone124−PM-Best)+(Zone4−PM-Best) > 5000
【0056】
このように、各国の類似硬貨や類似コインは、回転パターン波形が異なっているので、所定角度毎に回転させたときに得た各マッチング値のパターンのパターンマッチングを行えば、従来のようなロックテンプレートを特別に用意すること無く、変造/偽造硬貨のチェックを含めて真偽の判定を高精度で行なうことができる。
【0057】
上記回転パターンによる金種,真偽等の判定処理を図2のフローチャートに沿って説明する。金種判定手段29では、前記ステップS9において、回転数毎のパターンマッチング値Pmとベストマッチング値PM-Bestとを求めて、識別対象の硬貨の金種の表/裏を確定した後、以下の処理をする。
【0058】
金種判定手段29では、先ず、ベストマッチング値PM-Bestにより、取込み画像と基本テンプレート画像との位相ズレを計算する。本例では、取込み画像をストライプ状のサンプリングデータとした後、回転数(回転角度)毎のパターンマッチング値Pmの配列データとしており、この判定対象の配列データにおいてベストマッチング値PM-Bestを基点とすることで、前記ステップS9において確定した当該金種の正規の配列データのデータ順序と合わせる(ステップS10)。
【0059】
続いて、ベストマッチング値PM-Bestの位置を基点に、回転パターンの軌跡を抽出する。具体例としては、上記正規の配列データは、正規の硬貨の基準テンプレートを回転させて得たパターンマッチング値Pmの配列データであり、本例では、図23及び図24のような特徴量を抽出した判定用テーブルが配列データに相当する。この場合、回転パターンの軌跡の抽出は、判定用テーブルに示される各Zone値(判定個所の回転数)に対応するパターンマッチング値Pmを、判定対象の配列データから抽出することで行われる(ステップS11)。
【0060】
次に、ベストマッチング値PM-Bestから特定角度までの距離を算出する。例えば、図22の例では、ベストマッチング値PM-Bestから当該チェック箇所でのマッチング値Pm+許容値αまでの距離PL1〜PL7を算出する(ステップS12)。そして、算出した特定角度までの距離を正規の距離(判定用テーブルに示される判定値)と比較することで、確定済みの金種,表裏を確認すると共に真偽を判定する。すなわち、複数の特定角度位置におけるマッチング度を正規のものと比較し、適正な値であれば、確定済みの金種,表裏が正当であると判定し、許容範囲外であれば、正規のものとは異なる硬貨であると判定する。なお、前記ステップS9の処理において、確定済みの金種,表裏の候補が複数存在して特定できていなかった場合には、正規の硬貨であればこの時点で金種,表裏が特定される(ステップS13)。
【0061】
なお、上述した実施の形態では、各加工処理の手順についてフローチャートを用いて時系列に説明したが、加工処理の順番はフローチャートの順番に限るものではない。また、日本の流通硬貨を識別対象として説明したが、識別対象とする硬貨は、日本の流通硬貨に限るものではない。また、類似硬貨や偽造貨については、回転パターンの特徴量(判定値)を用意しない場合を例として説明したが、例えば発見された偽造貨の回転パターンの特徴量を設定しておけば、当該偽造貨を認識した場合に警報等により犯罪行為を通知することが可能となる。また、撮像手段により一方の面を撮像して処理する形態を例として説明したが、硬貨の表裏両方の面を撮像して処理する形態としても良く、その場合は、例えば透明部材から成る搬送路の面の上下に撮像手段の撮像部を対向設置し、それぞれの撮像手段からの入力画像データに基づいてデータ加工等の処理を並行して行ない、表裏両方を検査して真偽等を判定する形態となる。
【0062】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、基本テンプレート画像との回転照合により探し出したマッチング度が最良の値によって候補の金種を見つけ出した後、類似硬貨かどうかの判定に所定角度毎に回転させたときにできるマッチング値のパターンを用いてパターンマッチングを行なうようにしたので、新たな類似硬貨や新種の変造/偽造硬貨などに対しても、上記パターンが一致しない限り、当該硬貨の真偽等を確実に判定することができる。また、ロックテンプレートを特別に用意することが無くなり、新たな類似硬貨や偽造硬貨が現れたときにも、それらの硬貨のデータをテンプレートとして登録する必要が無いので、テンプレートなどの鑑別用データの管理が容易になると共に、少ないデータを基に効果的に類似硬貨等の識別を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硬貨真偽判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明に於ける処理例を説明するためのフローチャートである。
【図3】フレームメモリに取込まれた硬貨画像の一例を模式的に示す図である。
【図4】硬貨の外径値及び中心位置の算出方法を説明するための図である。
【図5】硬貨の穴径値の算出方法を説明するための第1の図である。
【図6】硬貨の穴径値の算出方法を説明するための第2の図である。
【図7】硬貨の穴径値の算出方法を説明するための第3の図である。
【図8】リング画像の切出し方法を示す図である。
【図9】リング画像の切出しパラメータテーブルの一例を示す図である。
【図10】リング画像の切出し後のデータ配列を示す図である。
【図11】硬貨画像の特徴部のエッジ強調処理を説明するための第1の図である。
【図12】硬貨画像の特徴部のエッジ強調処理を説明するための第2の図である。
【図13】画像データの圧縮処理を説明するための図である。
【図14】標準輝度への輝度変換処理を説明するための第1の図である。
【図15】標準輝度への輝度変換処理を説明するための第2の図である。
【図16】標準輝度への輝度変換処理を説明するための第3の図である。
【図17】加工処理後の硬貨画像及び基本テンプレートの例を示す図である。
【図18】基本テンプレートとの回転照合処理を説明するための図である。
【図19】複数の識別候補がある場合の金種及び表裏の確定方法を説明するための図である。
【図20】同一金種の流通硬貨同士を回転させたときの各マッチング値が成す波形の一例を示す図である。
【図21】類似硬貨同士を回転させたときの各マッチング値が成す波形の一例を示す図である。
【図22】回転パターン波形の検査による金種,真偽の判定方法を説明するための図である。
【図23】回転パターン波形の検査に用いるテーブルの一例を示す図である。
【図24】回転パターン波形の検査に用いるテーブルの他の例を示す図である。
【図25】同一金種の流通硬貨同士を回転させたときの各マッチング値が成す波形の他の例を示す図である。
【図26】類似硬貨同士を回転させたときの各マッチング値が成す波形の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 高密度画像
2 硬貨画像
21 撮像手段
22 外径計測中心位置算出手段
23 リング切出手段
24 エッジ強調手段
25 データ圧縮手段
26 輝度変換手段
27 回転照合手段
28 外部金種決定手段
29 金種判定手段
31a ヒストメモリ
31b フレームメモリ
31c 作業メモリ
31d 標準輝度データ記憶手段
31e 基本テンプレート記憶手段
31f 回転照合結果格納メモリ

Claims (4)

  1. 識別すべき硬貨の画像を取込装置で取込み、得られた画像信号をデジタル処理し、算出した硬貨画像のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360度分抽出した2次元のストライプ状サンプリングデータと、識別候補の硬貨の標準画像データである基本テンプレート画像との類似度を算出し、前記硬貨を識別する硬貨識別方法において、前記サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とを相対的に画像を回転させて、対応する画素同志の輝度差を総合してマッチング度を算出し、マッチング度が最良の回転位置を求め、該最良の回転位置に於けるマッチング度に基づいて金種及び表裏を確定し、次に、前記マッチング度が最良の回転位置を開始点として、前記サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とが所定回転角度ずれたときのマッチング度のパターンによって、前記確定された金種及び表裏の種類を確認すると共に前記識別すべき硬貨の少なくとも真偽を判定するようにしたことを特徴とする画像イメージによる硬貨真偽判定方法。
  2. 識別すべき硬貨を撮像する撮像手段と、前記撮像手段からの画像信号をデジタル処理して算出した硬貨画像のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360度分抽出して2次元のストライプ状サンプリングデータとして切出すリング切出手段とを備え、前記サンプリングデータと識別候補の硬貨の標準画像データである基本テンプレート画像との類似度を算出し、前記硬貨を識別する硬貨識別機における真偽判定装置において、前記リング切出手段により切出されたサンプリングデータと前記基本テンプレート画像とを相対的に画像を回転させて、対応する画素同志の輝度差を総合してマッチング度を算出し、マッチング度が最良の回転位置を求めると共に、前記最良の回転位置に於けるマッチング度に基づいて金種及び表裏を確定する回転照合手段と、前記マッチング度が最良の回転位置を開始点として、前記サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とが所定回転角度ずれたときのマッチング度のパターンによって、前記確定された金種及び表裏の種類を確認すると共に前記識別すべき硬貨の少なくとも真偽を判定する真偽判定手段とを具備したことを特徴とする硬貨識別機における真偽判定装置。
  3. 識別すべき硬貨の画像を取込装置で取込み、得られた画像信号をデジタル処理して硬貨画像の中心位置を算出すると共に少なくとも外径値を含む検出データから前記識別すべき硬貨の金種候補を特定し、前記中心位置を中心として前記硬貨画像のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360度分抽出して2次元のストライプ状サンプリングデータとして切出し、前記サンプリングデータに対して輝度変化の急激な部分を強調処理すると共に当該金種候補の標準画像データである基本テンプレート画像に合わせるようにデータ圧縮し且つ前記サンプリングデータの輝度値を当該金種候補の標準輝度値に変換して回転照合用サンプリングデータとし、該回転照合用サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とを相対的に画像を回転させて、対応する画素同志の輝度差を総合してマッチング度を算出し、マッチング度が最良の回転位置を求め、該最良の回転位置に於けるマッチング度に基づいて金種及び表裏を確定し、次に、前記マッチング度が最良の回転位置を開始点として、該回転照合用サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とが所定回転角度ずれたときのマッチング度のパターンによって、前記確定された金種及び表裏の種類を確認すると共に前記識別すべき硬貨の少なくとも真偽を判定するようにしたことを特徴とする画像イメージによる硬貨真偽判定方法。
  4. 識別すべき硬貨を撮像する撮像手段と、前記撮像手段からの画像信号をデジタル処理して硬貨画像の少なくとも外径値及び中心位置を算出する外径計測中心位置算出手段と、前記中心位置を中心として前記硬貨画像のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360度分抽出して2次元のストライプ状サンプリングデータとして切出すリング切出手段と、前記サンプリングデータに対して輝度変化の急激な部分を強調処理するエッジ強調手段と、前記サンプリングデータを当該金種候補の標準画像データである基本テンプレート画像に合わせるようにデータ圧縮するデータ圧縮手段と、前記サンプリングデータの輝度値を当該金種の標準輝度値に変換する輝度変換手段と、前記エッジ強調手段,前記データ圧縮手段及び前記輝度変換手段により加工処理された当該サンプリングデータと前記基本テンプレート画像とを相対的に画像を回転させて、対応する画素同志の輝度差を総合してマッチング度を算出し、マッチング度が最良の回転位置を求め、該最良の回転位置に於けるマッチング度に基づいて金種及び表裏を確定する回転照合手段と、前記マッチング度が最良の回転位置を開始点として、前記加工処理されたサンプリングデータと前記基本テンプレート画像とが所定回転角度ずれたときのマッチング度のパターンによって、前記確定された金種及び表裏の種類を確認すると共に前記識別すべき硬貨の少なくとも真偽を判定する真偽判定手段とを備えたことを特徴とする画像イメージによる硬貨真偽判定装置。
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