JP3718038B2 - 合成樹脂製のインテーク・マニホールドおよびその成形用金型 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、キャブレータ側に接続されるタンク部と、エンジンのシリンダ側に接続されるポート部と、その一端部がタンク部に連なり、他端部がさらに分岐してポート部に連なっている複数本の管路部とからなる、合成樹脂製のインテーク・マニホールドおよびその成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンすなわち内燃機関のインテーク・マニホールドは、キャブレータからエンジンのシリンダに燃焼用の混合気を導くためのもので、管路が枝のように分岐しているので吸入多岐管とも呼ばれ、従来は鋳物から一体形成されていた。しかしながら、鋳物は重量が大きく車体重量が増し燃費が悪くなるので、アルミニウムあるいはその合金から形成されるようになり、最近になって本体部分をアルミニウムから形成し、そのカバーをさらに軽量なプラスチックから成形されるようにもなってきている。このように、アルミニウムあるいはその合金製の本体部分と、プラスチック製のカバー部分とを分割体として成形されたインテーク・マニホールドは、その周縁部においてOリングを介在してボルト・ナットにより締め付け一体化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のインテーク・マニホールドもカバー部分とはいえ、プラスチックから構成されているので、全体としてみると、ある程度は軽量化の目的は達成されている。しかしながら、アルミニウム製の本体部分と、プラスチック製のカバー部分とを、別々に成形し、そしてOリングを介在してボルト・ナットで締め付けなければならないので、製作費、組立費等が嵩む欠点がある。また、本体部分が熱伝導のよいアルミニウム製のため、温度差によって結露することもあり、さらにはアルミニウムの表面は一般に滑らかではないので、特に曲管部において空気抵抗が大きくなり、吸気が一様に分配されないことも有り得る。また、本体部分がアルミニウム製のため重量的には必ずしも満足のいくものではなく、さらに軽量化されたインテーク・マニホールドが求められている。
【0004】
上記したような製作コストの点、重量の点等は、インテーク・マニホールド全体をプラスチックの射出成形により一体成形すると、解決できることが予想される。しかしながら、インテーク・マニホールドは、前述したように、狭いエンジン室内においてキャブレータ側と、エンジンのシリンダ側とに接続されるので形状的に制約を受け、また吸気の分配が一様で吸気の干渉が生じないような複雑な構造になっているので、射出成形による製作は不可能と思われ、現実には行われていない。
本発明は、上記したような従来の要求を満たすべく提案されたものであって、具体的には、吸気性能を落とすことなく、狭いエンジン室内に取り付けることができるにも拘らず、射出成形により成形できる形状の合成樹脂製のインテーク・マニホールドを提供することを目的としている。また、合成樹脂製のインテーク・マニホールドを成形する金型を提供することも目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わるインテーク・マニホールドは、キャブレータ側に接続されるタンク部と、エンジンのシリンダ側に接続されるポート部と、このタンク部とポート部とに両端部が接続されている管路部とからなっているが、この管路部が湾曲あるいは屈曲していれば、エンジンの吸気性能に悪影響を与えることなく、狭いエンジンルームにも設置できるという知見に基づいてなされたもので、また湾曲あるいは屈曲した管路部、容積の大きいタンク部等があっても、成形用の固定金型と可動金型とスライドコアとを用いると、成形できることを見いだしてなされたものであって、本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、キャブレータ側に接続されるタンク部と、エンジンのシリンダ側に接続されるポート部と、その一端部が前記タンク部に連なり、他端部がさらに分岐して前記ポート部に連なっている複数本の吸気管からなる管路部とを備え、これらが同じ金型による一次射出成形と二次射出成形により成形されているインテーク・マニホールドであって、前記管路部は、前記タンク部とポート部との間において湾曲していると共に、軸方向に分割された第1の管要素と第2の管要素とからなり、前記第2の管要素の一方の端部には前記タンク部が、そしてその分割面には接合フランジ部と前記ポート部を構成している下側フランジ部とが一次射出成形に一体的に成形され、前記第1の管要素の分割面には接合フランジ部と前記ポート部を構成している上側フランジ部とが一次射出成形により一体的に成形され、この一体化された前記第2の管要素と前記第1の管要素が、二次射出成形により、前記接合フランジ部と前記上下側フランジ部が互いに接合されていることにより、前記タンク部とポート部と管路部とが一体化されている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインテーク・マニホールドにおいて、タンク部とポート部との間には、上下方向に高低差があるように、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のインテーク・マニホールドにおいて、その成形材料が、6.6−ナイロンあるいは6−ナイロンであるように、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のインテーク・マニホールドにおいて、その成形材料が6.6−ナイロンあるいは6−ナイロンにガラス繊維を混合したものであるように構成されている。
請求項5に記載の発明は、キャブレータ側に接続されるタンク部と、エンジンのシリンダ側に接続されるポート部と、その一端部が前記タンク部に連なり、他端部がさらに分岐して前記ポート部に連なっている複数本の管路部とからなり、前記管路部は軸方向に分割された第1、2の管要素が接合されていると共に、側面的にみて湾曲しているインテーク・マニホールドを成形するための金型であって、前記金型は、固定金型と、可動金型と、一対のスライドコアとからなり、前記固定金型と可動金型のいずれか一方の金型には、第1、2の凹部が設けられ、
他方の金型には、前記第1、2の凹部と共働する第1、2の凸部と、第3の凸部とが設けられ、前記第1の凹部と第1の凸部とにより、管路部の第1の管要素とポート部の一部とを成形するためのキャビテイが構成され、前記第2の凹部と第2の凸部とにより、管路部の第2の管要素とポート部の他の部分とを成形するためのキャビテイが構成され、前記一対のスライドコアは、前記他方の金型内にパーティングラインに平行な方向に互いに近接あるいは離間する方向に移動自在に設けられ、前記一対のスライドコアが互いに近接すると、前記第3の凸部と共働してタンク部と第2の管要素の一部とを成形するためのキャビテイが構成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
初めに、本実施の形態に係わる合成樹脂製の、4気筒エンジンに適用されるインテーク・マニホールドMについて説明する。図1は、インテーク・マニホールドMの斜視図、図2の(イ)は側面図、そして図2の(ロ)は下面図であるが、これらの図に示されているように、本実施の形態に係わるインテーク・マニホールドMは、概略的にはキャブレータ側に接続されるタンク部1と、エンジンのシリンダ側に接続されるポート部20と、このタンク部1とポート部20とに両端部が接続されている管路部10とからなっている。そして、管路部10は、全体としてみれば、図1あるいは図2の(イ)に示されているように、湾曲あるいは屈曲している。また、タンク部1とポート部20との間には上下方向に段差Lがある。
【0007】
タンク部1は、図1および図2の(イ)において下側に位置する下面開口部2、上方に位置する底部3、所定深さの4周壁4、4、…とからなり、全体として略箱体を呈するように成形されている。そして、箱体5の開口部の周囲には図示されない凹溝が成形され、この凹溝にシール材を装着してエンジンの構成部材に気密的に取り付けられる。また、下面開口部2の一辺から短管7が一体的に成形されている。この短管7がキャブレータに接続される。箱体5の底部3には、4個の孔8、8、…が開けられ、これらの孔8、8、…に連通した状態で管路部10の立上管部11、11、…が一体的に成形されている。このように、箱体5には立上管部11、11、…が設けられているので、タンク部1は集合管部ともいえる。なお、図2(イ)において参照数字9、9、…は、補強用のリブを示している。
【0008】
管路部10は、本実施の形態では、4本の吸気管からなり、これらの吸気管はタンク部1から立ち上がっている立上管部11、11、…、この立上管部11、11、…、に連なっている円弧管部12、12、…、この円弧管部12、12、…、から略水平に延びた水平管部13、13、…、この水平管部13、13、…から下がっている下管部14、14、…等からなっている。したがって、管路部10は、全体としてみると、図1あるいは図2の(イ)に示されているように、側面的にみて湾曲している。4本の立上管部11、11、…は、タンク部1近傍では、互いに近接している。しかしながら、水平管部13、13、…から下管部14、14、…にかけて、図2の(ロ)に示されているように、ポート部20に向かって、平面的にみて互いに順次離れ、そしてポート部20の近傍では分岐して8本の分岐管部15、15、…となっている。
【0009】
管路部10を構成している吸気管の立上管部11、11、…、水平管部13、13、…等は、同じ形状をしているので、以下主として1本の立上管部11、水平管部13等について説明する。吸気管すなわち管路部10は、立上管部11を除いて、長手方向に分割された第1の管要素Aと第2の管要素Bとからなり、これらが射出成形により一体化されている。さらに詳しく説明すると、第1の管要素Aは、長手方向あるいは軸方向に分割された上半分の円弧管部12、水平管部13、下管部14およびポート部20の上側フランジ部21からなり、これらが一体的に成形されている。一方、第2の管要素Bは、立上管部11、軸方向に分割された下半分の円弧管部12、水平管部13、下管部14およびポート部20の下側フランジ部22とからなり、これらが一体的に成形されている。
【0010】
このように、第1の管要素Aと第2の管要素Bは、分割成形されているが、これらの分割面には、外方へ所定量突き出た接合フランジ部16、16’、17、17’およびポート部20を構成している上下側フランジ部21、22が一体的に成形されている。なお、接合フランジ部16、16’は、管路部10が湾曲しているので、湾曲している。しかしながら、接合フランジ部17、17’と、上下側フランジ部21、22は、水平になっている。このような接合フランジ部16、16’、17、17’および上下側フランジ部21、22が、二次射出射出成形により互いに接合されて、第1の管要素Aと第2の管要素Bが一体化されている。管路部10には、インテーク・マニホールドMをエンジン室に取り付け、固定するための各種形状の取付ブラケットが、必要箇所に一体的に成形されているが、これらの取付ブラケットを代表して参照数字18、18、…で模式的示されている。
【0011】
ポート部20は、タンク部1の下面開口部2と平行な上側フランジ部21と下側フランジ部22とからなっている。そして、下側フランジ部22には、図2の(ロ)に示されているように、8個の吸気孔23、23、…が形成され、これらの吸気孔23、23、…が管路部10の分岐管部15、15、…にそれぞれ連通している。なお、ポート部20にも取り付け用の比較的大径の透孔を有する複数個の筒状部材24、24、…が一体的に成形されている。
【0012】
本実施の形態に係わるインテーク・マニホールドMは、上記のように構成されているので、タンク部1の下面開口部2をシール部材を介在して密封した状態で、タンク部1の短管7をキャブレータ側の吸気管に接続する。また、ポート部20の下側フランジ部22をエンジンのシリンダヘッドに取り付ける。これにより、吸気孔23、23、…がエンジンの吸気シリンダに連通する。インテーク・マニホールドMを取付ブラケット18、18、…、筒状部材24、24、…等によりエンジンルーム内に固定する。そうすると、従来周知のようにして、燃料を含んだ混合気がエンジンのシリンダに吸気される。
【0013】
次に、上記のように構成されたインテーク・マニホールドMを、一次形成と二次形成とにより射出成形する金型の実施の形態を説明する。なお、本実施の形態に係わるインテーク・マニホールドMは、4気筒エンジンに適用されるもので4本の吸気路を備えているが、以下の説明においては金型の断面図を用いて説明するので、1本の吸気管について説明する。図3は、一次成形するときの固定金型30と可動金型50の位置を示しているが、インテーク・マニホールドMの成形用金型は、図3に示されているように、概略的には固定金型30と、この固定金型30に対して型を開いた状態で、図3の(イ)において上下方向にスライド的に駆動される可動金型50と、この可動金型50の内部に上下方向にスライド可能に設けられている一対の第1、2のスライドコア70、70’とから構成されている。なお、溶融樹脂材料の射出通路となる一次および二次成形用のスプルー、ゲート、成形品の突出装置、可動金型50、スライドコア70、70’等を駆動する例えばピストン・シリンダユニット等は、図3には示されていない。
【0014】
固定金型30には、前述したインテーク・マニホールドMの第1、2の管要素A、Bを成形するための、側面的にみて略円弧状を呈する第1、2の凹部31、35が、上下方向に所定の間隔をおいて形成されている。そして、これらの第1、第2の凹部31、35の周囲のパーティングラインPに沿った部分には接合フランジ部を成形するための凹部と凸部とが設けられている。すなわち、第1の凹部31の、図3の(イ)において上方部分には直線状あるいは平面状の凹部32が形成されている。この凹部32により、詳しくは後述する可動金型50と共働して、ポート部20の上側フランジ部21が第1の管要素Aと一体的に成形されることになる。また、第1の凹部31に連続して、図3の(イ)において下方部分には凸部33と凹部34とが設けられている。これらの凸部33と凹部34とにより、第2の管要素Bの立上部11に接続される接合フランジ部17が、第1の管要素Aと一体的に成形される。
【0015】
図3の(ロ)は、図3の(イ)において矢視ローロ方向にみた図に相当する断面図であるが、同図に示されているように、第1の凹部31のパーティングラインPに沿った部分には、第1の凹部31に連続した比較的小さな凸部38と、この凸部38に連続した小さな凹部39とが設けられている。これらの凹凸部38、39により、第1の管要素AのパーティングラインPに沿った部分、すなわち円弧管部12、水平管部13および下管部14に接合フランジ部16が第1の管要素Aと一体的に成形されることになる。この接合フランジ部16は、当然ながらパーティングラインPと同様に湾曲している。
【0016】
固定金型30の第2の凹部35の上方には、パーティングラインPから可動金型50方へ突き出た比較的大きな所定形状の凸部37と、小さな凸部36とが所定の間隔をおいて設けられている。この凸部37により、ポート部20の下側フランジ部22に吸気孔23が成形されることになる。また、凸部36により接合フランジ17’に二次成形用の凹部Sの半分が成形される。
【0017】
可動金型50の、パーティングラインP側には、第1、2の凸部51、55が設けられ、そして内部にはスライドコア70、70’用の上下方向のボア77、77’が明けられている。第1、2の凸部51、55は、固定金型30の第1、第2の凹部31、35とそれぞれ対をなすもので、固定金型30の第1、第2の凹部31、35と同じ間隔で設けられ、その大きさは固定金型30の第1、第2の凹部31、35よりも所定量だけ小さく、形状的には相似になっている。これにより、第1、2の凸部51、55と、固定金型30の第1、第2の凹部31、35とにより、所定肉厚の第1、2の管要素A、Bを成形するための第1、2のキャビテイKA、KBが形成される。なお、後述するように、可動金型50の第2の凸部55の一部は、第1のスライドコア70で形成されている。
【0018】
可動金型50の第1の凸部51の上方部分は、パーティングラインPに沿った直線部52’となっている。そして、この直線部52’の真上に固定金型30の方へ突き出た比較的小さな凸部52が設けられている。この直線部52’と凸部52は、固定金型30の凹部32と対をなすもので、これにより所定厚さのポート部20の上側フランジ21を成形するためのキャビテイK21が形成される。また、第1の凸部51の下方部分には、パーティングラインPに沿った比較的短い直線部53と、この直線部53よりも固定金型30の方へ突き出た小さな凸部54が設けられている。この直線部53と凸部54も、固定金型30の凹凸部34、33と対をなすもので、これらにより構成されるキャビテイK17により接合フランジ17が第1の管要素Aと一体的に成形される。
【0019】
可動金型50の第1の凸部51のパーティングラインPに沿った部分には、図3の(ロ)に示されているように、この第1の凸部51に連続して比較的短い直線部58と、この直線部58に同様に連続している小さな凸部59とが設けられている。これらの直線部58と凸部59は、固定金型30の凹部39と凸部38と対をなすもので、これらにより、接合フランジ16を成形するためのキャビテイK16が形成される。このキャビテイK16は、前述したように、円弧管部12、水平管部13および下管部14に接合フランジ16を成形するためのもので、管路部10と同様に湾曲している。
【0020】
可動金型50の第2の凸部55の上方には、パーティングラインPよりも内側へ窪んだ所定長さの直線状の凹部57が設けられている。そして、この凹部57の底に固定金型30の凸部37の先端部が当接するようになっている。これにより、ポート部20の下側フランジ部22に吸気孔23が成形される。また、凹部57と固定金型30の凸部36とにより下側フランジ部22に二次射出用の凹部Sの半分が成形される。なお、第2の管要素Bにも、図3の(ロ)に示されているような凹凸部により、接合フランジ部16’が一体的に成形されるが、そのための金型構造は、図3には省略して示されていない。
【0021】
可動金型50の下方寄りには、第3の凸部60が設けられている。この第3の凸部60は、インテーク・マニホールドMのタンク部1と立上部11とを成形するためのもので、図3の(イ)に示されているように、先端部がパーティングラインPに達している円柱部61と、この円柱部61から拡径するように大きくなっている曲線部62と、この曲線部62から上下方向に延びている拡大部63と、この拡大部63から水平方向に延びている水平部64とからなっている。
【0022】
可動金型50に形成されている上下方向の一対のボア77、77’の一部は、パーティングラインPに開口しているが、これらのボア77、77’に、第1、2のスライドコア70、70’が上下方向に進退自在に設けられている。第1のスライドコア70は、そのパーティングラインP側に位置する部分は、可動金型50の第2の凸部55の一部を構成している。また、可動金型50の第3の凸部60に面した成形面71は、第3の凸部60と相似形になっているが、型締め状態で第3の凸部60よりも所定量だけ大きい。したがって、この第1のスライドコア70の成形面71と、第3の凸部60との間に、インテーク・マニホールドMのタンク部1と立上部11の半分を成形するためのキャビテイK5が形成される。このキャビテイK5は、第2の管要素Bを成形するためのキャビテイKBと連通している。なお、図3の(イ)には正確には示されていないが、インテーク・マニホールドMの管路部10は水平管部14を有するので、第1のスライドコア70のロッド72を例えばピストン・シリンダユニットにより上方へ直線的に駆動することができる。これにより、インテーク・マニホールドMのタンク部1を取り出せる位置へ、第1のスライドコア70を退避させることができる。
【0023】
第2のスライドコア70’の、可動金型50の第3の凸部60を向いた成形面71’は、第3の凸部60と相似形になっているが、型締め状態で第3の凸部60よりも所定量だけ大きい。また、パーティングラインP側には、パーティングラインPと平行な凹部73’と凸部74’とが設けられている。したがって、第2のスライドコア70’と、第3の凸部60と、凹部73’と凸部74’とにより、インテーク・マニホールドMのタンク部1と立上部11の残りの半分と、接合フランジ17’を成形するためのキャビテイK5’が形成される。なお、これらの金型50、30には、取付ブラケット18、18、…等を成形するための凹凸部が設けられるが、そのための金型構造は示されていない。
【0024】
次に、上記金型30、50を使用してインテーク・マニホールドMを成形する例について説明する。図3の(イ)に示されているように、可動金型50を固定金型30に位置合わせした状態で型締めする。また、第1、2のスライドコア70、70’をスライドさせて図3の(イ)の位置に固定する。そうすると、固定金型30と可動金型50と第1、2のスライドコア70、70’とにより、前述したようなキャビテイKA、KB、K16、K21、K5等が構成される。耐熱樹脂材料例えば6.6−ナイロンを、これらのキャビテイKA、KB、K16、…に充填する。この一次成形により、第1、2の管要素A、Bが、接合フランジ部16、16’、17、17’および上下側フランジ部21、22と一体的に成形される。一次成形した全体の状態は、図4の(イ)に、そして一部は図3の(ハ)にそれぞれ示されている。
【0025】
ある程度の冷却固化を待って、可動金型50を所定量だけ開く。このとき、固定金型30には凸部38が設けられているので、第1の管要素Aの接合フランジ部16には、図3の(ハ)に示されているように、凹凸が成形されている。したがって、第1の管要素Aの固定金型30に対する付着力が増し、固定金型30に第1の管要素Aが残る。また、可動金型50を開くと、接合フランジ部16は収縮により、図3の(ハ)において矢印方向へ縮もうとするが、接合フランジ部16の凹部が固定金型30の凸部38、38に係合して、阻止される。これにより、第1の管要素Aは正規の寸法を保つ。同じような理由により、可動金型50には第2の管要素Bが正規の寸法を保って残る。
【0026】
可動金型50を、第2の管要素Bの接合フランジ部16’、17’および下側フランジ部22が、第1の管要素Aの接合フランジ部16、17および上側フランジ部21と整合する位置までスライドさせる。そうして、可動金型50を固定金型30に対して、再度型締めする。そうすると、対をなす接合フランジ部16’と16、17’と17および下側フランジ部22と上側フランジ部21は突き合わされる。そして、突き合わされた、これらのフランジ部の外周部には二次射出材料が充填される凹部S、S、…が形成される。型締めして、凹部S、S、…が形成された状態は、図4の(ロ)に示されている。二次成形により凹部S、S、…に耐熱樹脂材料を充填する。これにより、第1、2の管要素A、Bは一体化される。冷却固化を待って、第1、2のスライドコア70、70’を所定位置へスライド退避させる。可動金型50を開く。製品突き出し装置により成形されたインテーク・マニホールドMを取り出す。以下同様にして成形する。
【0027】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、色々な形で実施できる。例えば、インテーク・マニホールドMの管路部10は、図示の実施の形態では略一様に湾曲しているが、屈曲していも実施できる。また、インテーク・マニホールドMの成形材料は、6−ナイロンでも、さらには6−ナイロンあるいは6.6−ナイロンにガラス繊維を混合したものでも実施できることは明らかである。また、本実施の形態では、可動金型50は固定金型30に対してスライドさせるようになっているが、第1、2の管要素A、Bを成形する位置を変えることにより、回転する金型構造とすることもできる。また、第1の管要素Aを可動金型50側で、そして、第2の管要素Bを固定金型30側で成形するように実施できることも明らかである。本実施の形態によると、同じ金型で一次成形と二次成形とを行うので、安価にインテーク・マニホールドMを得ることができるが、コストを問題にしなければ、一次成形で成形した第1、2の管要素A、Bを別の金型に移して二次成形により一体化することもできる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係わるインテーク・マニホールドは、キャブレータ側に接続されるタンク部と、エンジンのシリンダ側に接続されるポート部と、その一端部がタンク部に連なり、他端部がさらに分岐してポート部に連なっている複数本の吸気管からなる管路部とを備え、この管路部が、タンク部とポート部との間において湾曲しているので、吸気性能を落とすことなく狭いエンジンルーム内に設けることができる。また、管路部が軸方向に分割された第1の管要素と第2の管要素とからなり、前記第2の管要素の一方の端部には前記タンク部が、そしてその分割面には接合フランジ部と前記ポート部を構成している下側フランジ部とが一次射出成形に一体的に成形され、前記第1の管要素の分割面には接合フランジ部と前記ポート部を構成している上側フランジ部とが一次射出成形により一体的に成形され、この一体化された前記第2の管要素と前記第1の管要素が、二次射出成形により、前記接合フランジ部と前記上下側フランジ部が互いに接合されていることにより、前記タンク部とポート部と管路部とが一体化されているので射出成形により成形できる。すなわち、金型内で成形されているので形状精度が高く、あるいは表面が滑らかで吸気抵抗が小さい、高品質のインテーク・マニホールドを得ることができる。また、他の発明によると、インテーク・マニホールドの成形材料が、6.6−ナイロン、6−ナイロン等の耐熱材料あるいは、耐熱材料にガラス繊維を混合したものであるので、高温のエンジンルームにも安全に設けることができる。
さらに、金型の発明によると、固定金型と、可動金型と、一対のスライドコアとからなり、固定金型と可動金型のいずれか一方の金型には、第1、2の凹部が設けられ、他方の金型には、第1、2の凹部と共働する第1、2の凸部と、第3の凸部とが設けられ、第1の凹部と第1の凸部とにより、管路部の第1の管要素とポート部の一部とを成形するためのキャビテイが構成され、第2の凹部と第2の凸部とにより、管路部の第2の管要素とポート部の他の部分とを成形するためのキャビテイが構成され、一対のスライドコアは、他方の金型内にパーティングラインに平行な方向に互いに近接あるいは離間する方向に移動自在に設けられ、一対のスライドコアが互いに近接すると、第3の凸部と共働してタンク部と第2の管要素の一部とを成形するためのキャビテイが構成されるので、キャブレータ側に接続されるタンク部と、エンジンのシリンダ側に接続されるポート部と、その一端部が前記タンク部に連なり、他端部がさらに分岐してポート部に連なっている複数本の吸気管からなる管路部とを備え、この管路部は軸方向に分割された第1、2の管要素が接合されていると共に、側面的にみて湾曲しているインテーク・マニホールドを、可動金型と一対のスライドコアとを適宜駆動するだけで、射出成形により安価に量産できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係わるインテーク・マニホールドの全体を模式的に示す斜視図である。
【図2】 図1に示すインテーク・マニホールドをより具体的に示す図で、(イ)はその側面図、(ロ)はその下面図である。
【図3】 インテーク・マニホールドの成形用金型の実施の形態を示す図で、その(イ)は一次成形する位置における全体の断面図、(ロ)は(イ)においてローロ方向にみた図に相当する断面図、(ハ)は一次成形を終わった状態を(イ)においてローロ方向にみた断面図である。
【図4】溶融樹脂材料を充填した状態を示す図で、その(イ)は一次成形を終わった状態を、その(ロ)は二次成形に入る前の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 タンク部 10 管路部
10 ポート部 30 固定金型
31 第1の凹部 35 第2の凹部
50 可動金型 51 第1の凸部
55 第2の凸部 70、70’ スライドコア
M インテーク・マニホールド
A 第1の管要素
B 第2の管要素
P パーティングライン
KA、KB、K5、K5’ キャビテイ
Claims (5)
- キャブレータ側に接続されるタンク部(1)と、エンジンのシリンダ側に接続されるポート部(20)と、その一端部が前記タンク部(1)に連なり、他端部がさらに分岐して前記ポート部(20)に連なっている複数本の吸気管からなる管路部(10)とを備え、これらが同じ金型による一次射出成形と二次射出成形により成形されているインテーク・マニホールド(M)であって、
前記管路部(10)は、前記タンク部(1)とポート部(20)との間において湾曲していると共に、軸方向に分割された第1の管要素(A、A、…)と第2の管要素(B、B、…)とからなり、前記第2の管要素(B、B、…)の一方の端部には前記タンク部(1)が、そしてその分割面には接合フランジ部(16’、17’)と前記ポート部(20)を構成している下側フランジ部(22)とが一次射出成形に一体的に成形され、前記第1の管要素(A、A、…)の分割面には接合フランジ部(16,17)と前記ポート部(20)を構成している上側フランジ部(21)とが一次射出成形により一体的に成形され、この一体化された前記第2の管要素(B、B、…)と前記第1の管要素(A、A、…)が、二次射出成形により、前記接合フランジ部(16、16’、17、17’)と前記上下側フランジ部(21、22)が互いに接合されていることにより、前記タンク部(1)とポート部(20)と管路部(10)とが一体化されていることを特徴とする合成樹脂製のインテーク・マニホールド。 - 請求項1に記載のインテーク・マニホールド(M)において、タンク部(1)とポート部(20)との間には、上下方向に高低差(L)がある合成樹脂製のインテーク・マニホールド。
- 請求項1または2に記載のインテーク・マニホールド(M)において、その成形材料が、6.6−ナイロンあるいは6−ナイロンである合成樹脂製のインテーク・マニホールド。
- 請求項1または2に記載のインテーク・マニホールドにおいて、その成形材料が6.6−ナイロンあるいは6−ナイロンにガラス繊維を混合したものである合成樹脂製のインテーク・マニホールド。
- キャブレータ側に接続されるタンク部(1)と、エンジンのシリンダ側に接続されるポート部(20)と、その一端部が前記タンク部(1)に連なり、他端部がさらに分岐して前記ポート部(20)に連なっている複数本の吸気管からなる管路部(10)とを備え、前記管路部(10)は軸方向に分割された第1、2の管要素(A、A、…、B、B、…)が接合されていると共に、側面的にみて湾曲しているインテーク・マニホールド(M)を成形するための金型であって、
前記金型は、固定金型(30)と、可動金型(50)と、一対のスライドコア(70、70’)とからなり、前記固定金型(30)と可動金型(50)のいずれか一方の金型(30)には、第1、2の凹部(31、35)が設けられ、
他方の金型(50)には、前記第1、2の凹部(31、35)と共働する第1、2の凸部(51、55)と、第3の凸部(60)とが設けられ、
前記第1の凹部(31)と第1の凸部(51)とにより、管路部(10)の第1の管要素(A、A、…)とポート部(20)の一部(21)とを成形するためのキャビテイ(KA)が構成され、前記第2の凹部(35)と第2の凸部(55)とにより、管路部(20)の第2の管要素(B、B、…)とポート部(20)の他の部分(22)とを成形するためのキャビテイ(KB)が構成され、
前記一対のスライドコア(70、70’)は、前記他方の金型(50)内にパーティングライン(P)に平行な方向に互いに近接あるいは離間する方向に移動自在に設けられ、前記一対のスライドコア(70、70’)が互いに近接すると、前記第3の凸部(60)と共働してタンク部(1)と第2の管要素(B、B、…)の一部とを成形するためのキャビテイ(K5、K5’)が構成されることを特徴とする、合成樹脂製のインテーク・マニホールド成形用金型。
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