JP3715928B2 - ファクシミリ通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファクシミリ通信方式、特にITU−T勧告V.8通信が可能なファクシミリ通信方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
1994年、ITU−Tにおいて、勧告V.8が成立し、このV.8に規定される手順をファクシミリ装置に適用することが考えられる。
【0003】
このV.8による手順が適用されるファクシミリ装置としては、V.34に規定される手順、画伝送をサポートするファクシミリ装置が対象とされている。ここで、その後、V.8において、V.17の記載はあるものの明確に通信が決められていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、受信機がV.34通信をサポートし、着信時、ANSam信号を送信し、送信機から、V.34通信不可を指定されたCM信号を受信した場合、明確には、その後のV.8通信手順が決まっていないので、V.21のDIS信号で送信するDIS信号の受信可能変復調の決定が不明確であるという問題がある。
【0005】
本発明は、受信機がV.34通信をサポートし、着信時、ANSam信号を送信し、送信機から、V.34通信不可を指定されたCM信号を受信した場合、V.21のDIS信号で送信するDIS信号の受信可能変復調の決定を明確にすることができるファクシミリ通信装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相手先装置との間でITU−T勧告V.8に規定される手順を実行し、上記手順に基づいて、上記相手先装置との間で実行可能な画伝送モードを設定するファクシミリ通信装置において、V.8手順によってV.21手順の実行が決定されたときに、DIS信号においてV.8受信機能無しとするとともに、所定条件で初期識別の制御手順を実行し、上記所定条件で行う初期識別の制御手順として、
(1)CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力とは無関係に、V.17、V.29、V.27ter通信機能ありを表すV.21のDIS信号を送信する手順、
(2)CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力と、自機のこれらの変復調の機能とに従い、通信可能な変復調を決定し、通信可能な変復調を、V.21のDIS信号で相手機に通知する手順、
のうちで、1つの手順を選択する手順選択手段を有するファクシミリ通信装置である。
また、本発明は、相手先装置との間でITU−T勧告V.8に規定される手順を実行し、上記手順に基づいて、上記相手先装置との間で実行可能な画伝送モードを設定するファクシミリ通信装置の制御方法において、V.8手順によってV.21手順の実行が決定されたときに、DIS信号においてV.8受信機能無しとするとともに、所定条件で初期識別の制御手順を実行し、上記所定条件で行う初期識別の制御手順として、
(1)CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力とは無関係に、V.17、V.29、V.27ter通信機能ありを表すV.21のDIS信号を送信する手順、
(2)CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力と、自機のこれらの変復調の機能とに従い、通信可能な変復調を決定し、通信可能な変復調を、V.21のDIS信号で相手機に通知する手順、
のうちで、1つの手順を選択する手順選択手段を有するファクシミリ通信装置の制御方法である。
【0007】
【発明の実施の形態および実施例】
まず、ITU−Tによって勧告化されているV.8の手順信号について説明する。
【0008】
V.8の手順信号には、起呼メニュー信号(以下、「CM」という)と、CM終端子(以下、「CJ」という)と、共通メニュー信号(以下、「JM」という)とが含まれている。
【0009】
CMは、起呼DCEから送信される信号であり、主に起呼DECで利用可能な変調方式を表示するために使用され、勧告V.21で定義された低域チャンネルV.21(L)によって変調された300bit/sの反復ビット列で構成されている。
【0010】
CJは、JMを検出した確認と、CMの終了とを示す信号であり、300bit/sのV.21(L)で変調され、スタートbit/sと、ストップbit/sとを含んだ連続する3つの総て「0」のオクテットによって構成されている。
【0011】
JMは、応答DECから送信される信号であり、主に起呼と応答DECとで共通した利用可能な変調方式を示すために使用され、勧告V.21で定義された高域チャンネルV.21(H)によって変調された300bit/sの反復ビット列で構成されている。
【0012】
次に、CM、CJ、JMの各信号の符号化フォーマットについて説明する。
【0013】
図7は、ITU−T勧告V.8の手順信号に含まれるプリアンブルの構成を示す図である。
【0014】
CM、CJ、JMには、共通の符号化フォーマットが使用され、各信号CM、CJ、JMは、繰り返すビットシーケンスで構成されている。1つのシーケンスは、図7に示すように、最初10個の「1」と、それに続く10ビットの同期符号と、さらに続く情報を載せたオクテットとによって構成されている。各オクテットのそれぞれには、先行するスタートビット(「0」)と、後続するストップビット(「1」)とが付加される。
【0015】
JMには、同じV.21(H)変調を使用している勧告T.30との混乱を避けるために、そのビット配置に、HDLCフラグ(01111110)が決して現れないような符号制約条件が課せられている。
【0016】
各オクテットは、ある1つの情報カテゴリに属する。大多数の応用によって信号の簡潔さが守られるならば、特別の応用のために、情報カテゴリが拡張されることを、この符号化フォーマットは許容している。
【0017】
1つのシーケンスの最初の情報カテゴリは、起呼機能でなければならない。それに後続する情報カテゴリの中では、順序は規定されない。1つのカテゴリの中の総ての情報は、1オクテット、または必要であれば、順序が決められた1つのオクテット・シーケンスで伝達される。
【0018】
次に、カテゴリオクテットについて説明する。
【0019】
図8は、ITU−T勧告V.8の手順信号の情報カテゴリを決定するカテゴリオクテットのフォームを示す図である。
【0020】
カテゴリオクテットは、新たな情報カテゴリの中で最初に発生されるオクテットであり、情報カテゴリを決定する4ビットの符号を含んでいる。
【0021】
このフォーマットは、以下のように構成され、表示されたビットは、左から右の順番で送信される。
【0022】
スタートビット (0) b0 b1 b2 0 1 0 b6 b7 ストップビット (1)
ビットb0〜b3は、図8に示すように、b0を最下位ビットとしたカテゴリを形成し、ビットb4は、フラグが成立しないように「0」に設定され、b5〜b7は、情報カテゴリのオプションビットである。
【0023】
3つのオプションビットで特定のカテゴリを表すときに不足する場合は、カテゴリオクテットの直後に、拡張オクテットをいくつでも続けることができる。
【0024】
この拡張オクテットのフォーマットは、以下に示すように構成される。
【0025】
スタートビット (0) b0 b1 b2 0 1 0 b6 b7 ストップビット (1)
ビットb0〜b2、b6、b7は、そのときのカテゴリに追加される5つのビットである。ビットb4は、カテゴリオクテットから拡張オクテットを区別するために、「1」に設定され、b3とb5とは、フラグが成立しないように「0」に設定される。
【0026】
次に、ビットb0〜b3で決定される情報カテゴリである起呼機能、変調モード、プロトコル、GSTNアクセスについて説明する。
【0027】
図9は、起呼機能オクテットのビットの使用例を示す図である。
【0028】
起呼機能オクテットの中の3つのオプションビットは、図9に示すように、特定の起呼機能を指定するために、使用されている。
【0029】
図10は、ITU−T勧告V.8の手順信号で指定する変調モードを示す図である。
【0030】
GSTNで使用可能なVシリーズ変調モードは、図10に示すように、3つの符号で指定される。使用可能であるという設定は、表示された起呼機能の中で、その変調モードが使用可能であり、かつ遠隔DCEに対しその能力を伝えたいと望む場合に限られる。
【0031】
図11は、ITU−T勧告V.8の手順信号のプロトコルカテゴリ内部の符号一覧を表す図である。
【0032】
プロトコルカテゴリ内部の符号一覧は、図11に表されている。もし、LAPMプロトコル符号がCMで示され、それを受け取った応答DCE側が同じくLAPMを使用したい場合は、JMでもLAPMを表示するプロトコルオクテットが表示される。
【0033】
図12は、ITU−T勧告V.8の手順信号のGSTNに接続するセルラーアクセスを示す符号を表す図である。
【0034】
GSTNに接続するセルラーアクセスを表示する符号は、図12に示されている。
【0035】
次に、V.34に規定されるINFO0の情報ビットについて説明する。
【0036】
図13は、ITU−T勧告によるV.34のINFO0シーケンスのビット定義を示す図である。
【0037】
INFO0は、送信能力を表示するために使用される信号であり、その信号シーケンスのビットは、図13に示すように、定義されている。
【0038】
なお、本実施例では、INFO0aは、被呼側から送出する信号であり、INFO0cは、発呼側から送出する信号である。
【0039】
[第1の実施例]
図1は、本発明の第1の実施例であるファクシミリ装置FS1の構成を示すブロック図である。
【0040】
ファクシミリ装置FS1は、電話回線2aに接続されている網制御装置(以下、NCUという。)2を備える。NCU2は、電話網をデータ通信などに使用するために、回線端末へ接続する等の電話交換網の接続制御、データ通信路への切替を行い、電話回線2aと電話機4との接続と、電話回線2bとハイブリッド回路6との接続とを、選択的に切り換える。
【0041】
NCU2と電話機4とは、信号線2bで接続され、NCU2とハイブリッド回路6とは、信号線2cで接続されている。NCU2の切換動作は、後述する制御回路20が制御する。
【0042】
信号線20aを介して、制御回路20から与えられる制御信号が「0」であると、電話回線2aと電話機4とが接続され、制御信号が「1」であると、電話回線2aとハイブリッド回路6とが接続される。なお、通常状態では、電話回線2aと電話機4とが接続されている。
【0043】
ハイブリッド回路6は、電話回線2aを介して送信される送信系からの送信信号と、電話回線2aを介して受信される受信系への受信信号とを分離する。送信系は、CCD(電化結合素子)等の撮像素子と、光学系によって構成される読取回路14と、ANSam送出回路10とを有する。
【0044】
読取回路14は、送信原稿から主走査方向の1ライン分の画像を、順次、読取り、この読み取られた画像を示すデータを、信号線14aに出力する。
【0045】
ANSam送出回路10は、信号線20dを介して、制御回路20からレベル「1」の信号が与えられると、信号線10aにANSam信号を出力する。これに対し、信号線20dを介して、制御回路20からレベル「0」の信号が与えられると、信号線10aへのANSam信号の出力は行われない。
【0046】
信号線14aを介して読取回路14から出力されたデータは、制御回路20に与えられる。制御回路20は、信号線14aを介して取り込まれたデータに符号化処理を施し、この符号化されたデータは、信号線20bを介して、変復調器8に出力される。
【0047】
変復調器8は、信号線20bからの符号化されたデータに変調処理を施し、変調信号を生成するとともに、信号線6aを介してハイブリッド回路6から取り込まれた受信信号に復調処理を施し、復調データを生成する。この変調処理と復調処理とは、ITU−T勧告V.8、V.21、V.27ter、V.29、V.17、V.34に基づいて行われる。変復調器8による変調、復調処理の内容は、信号線20cを介して制御回路20から与えられる信号によって指示され、この指示された変調、復調処理によって伝送モードが決定される。
【0048】
変復調器8で生成された変調信号は、信号線8aを介して、加算回路12に与えられる。加算回路12は、変復調器8からの変調信号と、ANSam送出回路10からのANSam信号とを加算する。この加算された信号は、信号線12aを介して、ハイブリッド回路6に出力され、ハイブリッド回路6は、上記加算された信号を、NCU2経由で、送信信号として電話回線2aに送出する。
【0049】
これに対し、受信系では、NCU2経由で相手装置から受信した信号が、信号線6aを介してハイブリッド回路6から変復調器8に出力される。変復調器8は、上記のように、信号線6aを介して取り込まれた受信信号に復調処理を施し、復調データを生成する。変復調器8で生成された復調データは、信号線8bを介して、制御回路20に与えられる。制御回路20は、復調データに復号化等の処理を施し、復号化されたデータは、信号線20eを介して、記録回路16に与えられる。
【0050】
記録回路16は、復号化されたデータが示す画像を、1ライン毎に順次、記録紙に記録する。
【0051】
読取回路14で読み取られたデータ、そのデータを符号化したデータ、受信したデータ、そのデータを復号化したデータは、必要に応じて、メモリ回路18に格納される。
【0052】
制御回路20は、相手先装置からの情報を受信し、相手先装置へ情報を送信する伝送制御を行う。
【0053】
この伝送制御を規定する伝送制御手順には、ITU−T勧告V.8、V.21、V.27ter、V.29、V.17、V.34の各手順が用いられている。
【0054】
具体的には、相手先装置との間でITU−T勧告V.8に規定される手順を実行し、その手順に基づき上記相手先装置との間で実行可能な画伝送モードを設定するファクシミリ通信装置にて、V.8手順においてV.21手順の実行が決定されたときに、所定条件での初期識別の制御手順を実行する。
【0055】
より具体的には、所定条件での初期識別の制御手順として、CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力に無関係に、自機の有する通信能力を、V.17、または、V.29、またはV.27ter通信の中から決定し、V.21のDIS信号の送信で相手機に通知する手順である。
【0056】
たとえば、自機がV.17、V.29、V.27ter通信機能を有している場合、V.21の所定条件での初期識別の制御手順は、CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力に無関係に、V.17、V.29、V.27ter通信機能ありを表すV.21のDIS信号を送信する手順である。
【0057】
また、V.34通信を有効にするか否かを選択する手段を有し、V.21の所定条件での初期識別の制御手順は、CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力に無関係に、V.34通信を有効にしない初期識別信号の送信へ移行する手順である。
【0058】
図2、図3、図4は、ファクシミリ装置FS1の制御動作を示すフローチャートである。
【0059】
S2では、信号線20aにレベル「0」の信号を出力し、CMLをオフし、S4では、信号線20dにレベル「0」の信号を出力することによって、ANSam信号を出力しないように設定する。
【0060】
S6では、着呼が選択されたか否かを判定し、着呼が選択されないと、ステップS8が実行され、着呼が選択されると、ステップS10が実行される。
【0061】
S8では、その他の処理が実行され、その他の処理を実行した後に、ステップS2に戻る。
【0062】
S10では、信号線20aにレベル「1」の信号を出力し、CMLをオンし、S12では、タイマT1に35秒をセットし、S14では、メモリ18に格納されている情報を入力し、V.34通信の禁止が選択されているか否かを判断し、V.34通信の禁止が選択されていれば、ステップS24に進み、V.34通信の禁止が選択されていなければ、ステップS16に進む。
【0063】
S16では、信号線20dにレベル「1」の信号を出力することによって、ANSam信号を出力するように設定し、S18では、タイマに5秒をセットし、S20では、CM信号を受信したか否かを判断し、CM信号を受信していれば、ANSam信号の送信を止めた後に、ステップS50に進み、CM信号を受信していなければ、ステップS22に進む。
【0064】
S22では、タイマがタイムオーバしたか否かを判断し、タイマがタイムオーバしていれば、ANSam信号の送信を止めた後に、ステップS26に進み、タイマがタイムオーバしていなければ、ステップS20に進む。
【0065】
S24では、CED信号の送信を表し、S26では、V.21信号での(NSF/CSI/)DIS信号の送信を表し、ここで、V.27ter、V.29、V.17全て通信可を通知し、また、V.8の受信機能無しを通知し、S28では、タイマT4に3秒をセットする。
【0066】
S30では、V.21信号での(TSI/)DCS信号を受信したか否かを判断し、V.21信号での(TSI/)DCS信号を受信していれば、ステップS32に進み、V.21信号での(TSI/)DCS信号を受信していなければ、ステップS42に進む。
【0067】
S32では、Tr/TCF信号を受信し、S34では、受信良好であるか否かを判断し、受信良好であれば、ステップS36に進み、受信良好でなければ、ステップS44に進む。
【0068】
S36では、CFR信号を送信し、S38では、画信号の受信/記録を表し、S40では、後手順を表し、S42では、T4タイマがタイムオーバしたか否かを判断し、T4タイマがタイムオーバしていれば、ステップS48に進み、T4タイマがタイムオーバしていなければ、ステップS30に進む。
【0069】
S44では、FTT信号を送信し、S46では、T1タイマがタイムオーバしたか否かを判断し、T1タイマがタイムオーバしていれば、ステップS2に進み、T1タイマがタイムオーバしていなければ、ステップS28に進む。
【0070】
S48では、T1タイマがタイムオーバしたか否かを判断し、T1タイマがタイムオーバしていると、ステップS2に進み、T1タイマがタイムオーバしていなければ、ステップS26に進む。
【0071】
S50では、受信したCM信号に基づいて判断し、V.34半二重通信が可能であるか否かを判断し、V.34半二重通信が可能であれば、ステップS52に進み、V.34半二重通信が可能でなければ(ここで、V.21通信は可とし、また、V.27ter、または、V.29、または、V.17通信は可であるとする)、ステップS58に進む。
【0072】
S52では、V.21、V.27ter、V.29半二重、V.17、V.34半二重通信が可能を指定するJM信号を送信し、S54では、CJ信号を受信し、S56では、INFO0aの送信、以後、V.34の手順、画信号の受信を実行する。
【0073】
S58では、V.21、V.27ter、V.29半二重、V.17通信の中で、CM信号で可を指定している通信が可能を指定するJM信号を送信し、S60では、CJ信号を受信する。
【0074】
S62では、操作部の情報を入力し、V.34通信の禁止の登録が選択されたか否かを判断し、V.34通信の禁止の登録が選択されていれば、ステップS64に進み、V.34通信の禁止の登録が選択されていなければ、ステップS2に進む。
【0075】
S64では、V.34通信を禁止する/しないを、メモリ18に登録し、ここで、デフォルト値は、禁止しないと登録する。
【0076】
次に、上記伝送制御手順について説明する。
【0077】
図5は、ファクシミリ装置FS1に適用される伝送制御手順の一例を示す図である。
【0078】
まず、被呼端末からANSam信号を受信してから、V.34の手順、画伝送を実行するまでの伝送制御手順について説明する。
【0079】
図5を参照するに、被呼端末から全二重通信を可能にする信号(ANSam信号であって2100Hzを15Hzで変調した信号)が送出される。発呼側からは、V.8に基づく変調によるCM信号が送出され、このCM信号によって画伝送時に実行可能な伝送モードが被呼端末に通知される。
【0080】
CM信号を受信した被呼端末は、CM信号で指定された伝送モードの中で、受信可能な伝送モード(V.34)を発呼端末に通知し、この通知にJM信号が用いられる。
【0081】
JM信号を受信した発呼端末は、CJ信号を送出することによって、伝送モードを被呼端末に通知する。
【0082】
CJ信号を送出した後に、すなわちV.8手順が完了してから、50msecが経過した後に、発呼端末は、V.34手順の実行を開始し、電話回線2aの状況をチェックするためのラインプルービング信号(先頭にINFO0cが付加されている)を送出する。被呼端末は、発呼端末から受信したラインプルービング信号に応答した信号(先頭にINFO0aが付加されている)を送出し、この信号によって、以後の送出レベル、振幅レベルの補正、伝送ボーレートを発呼端末に通知する。
【0083】
発呼端末は、ラインプルービング信号を送出してから、50msecが経過した後に、ロングトレーニング信号を送出し、被呼端末は、このロングトレーニング信号に基づいて、モデムの等化器の調整、タイミング検出等を実施する。
【0084】
発呼端末は、ロングトレーニング信号を送出してから、50msecが経過した後に、パラメータ交換信号を送出する。被呼端末は、パラメータ交換信号に応答した信号を送出し、この信号によって、以後のリンク補正、ビットレートを発呼端末に通知する。
【0085】
パラメータ交換信号に応答した後、被呼端末は、CSI、DIS信号を送出し、発呼端末からTSI、DCS信号を受信するまで、フラグを送出し、TSI、DCS信号受信後、CFR信号を送出する。発呼端末は、CSI、DIS信号を受信した後、TSI、DCS信号を送出し、被呼端末からCFR信号を受信するまで、フラグを送出する。
【0086】
発呼端末は、フラグを送出してから、50msec経過後に、V.34による画伝送を開始し、画信号を送出する。画信号の送出を終了してから、50msec経過後に、V.34による手順が実行され、発呼端末から、PPS−MPS信号が送出され、被呼端末からのMCF信号を受信するまで、フラグが送出される。被呼端末は、PPS−MPS信号を受信した後に、MCF信号を送出する。
【0087】
フラグを送出してから、50msec経過後に、V.34による画伝送が実行され、発呼端末からは、再び、画信号が送出される。画信号の送出を終了してから50msec経過後に、V.34による手順が実行され、発呼端末は、PPS−EOP信号を送出し、MCF信号を受信するまで、フラグを送出する。被呼端末は、PPS−EOP信号を受信した後に、MCF信号を送出する。以降、同様の手順が、画伝送の終了まで繰り返される。
【0088】
次に、被呼端末からのANSam信号の受信から、V.21の手順、V.17の画伝送の実行までの伝送制御手順について、説明する。
【0089】
図6は、ファクシミリ装置FS1に適用される伝送制御手順の他の例を示す図である。
【0090】
図6を参照するに、まず、被呼端末は、ANSamを送信し、発呼端末は、V.34半二重通信と、V.17通信不可能なCM信号(V.21、V.27ter、V.29半二重通信は可能)とを送信する。
【0091】
このときに、受信機は、ANSam信号の送信を中断し、V.34半二重通信と、V.17通信不可能なJM信号(V.21、V.27ter、V.29半二重通信は可能)とを送信する。送信機は、JM信号に応答して、CJ信号を送信する。受信機は、CJ信号を受信すると、V.27ter、V.29、V.17の受信機能が有り、V.8受信機能が無しを示すDIS信号を、V.21で送信する。
【0092】
送信機は、V.29送信を、DCS信号によって指定する。
【0093】
[第2の実施例]
本発明の第2の実施例は、第1の実施例において、所定条件での初期識別の制御手順としては、CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力と、自機のこれらの変復調の機能とに従い、通信可能な変復調を決定し、通信可能な変復調を、V.21のDIS信号で相手機に通知する実施例である。
【0094】
図6は、第1の実施例に対して、被呼端末は、V.21で送信するDIS信号は、V.27ter、V.29の受信機能が有り、V.8受信機能が無しとなる。
【0095】
図14は、図2〜図4に示すフローチャートと異なる部分の制御の流れを示す図である。
【0096】
S70は、S60を表し、S72では、V.21信号での(NSF/CSI/)DIS信号の送信を表し、ここで、V.27ter、V.29、V.17の中で、CM信号で通信可となった通信モードを通信可として通知し、また、V.8の受信機能無しを通知する。
【0097】
S74では、タイマT4に3秒をセットし、S76では、V.21信号での(TSI/)DCS信号を受信したか否かを判断し、V.21信号での(TSI/)DCS信号を受信していれば、ステップS78に進み、V.21信号での(TSI/)DCS信号を受信していなければ、ステップS90に進む。
【0098】
S78では、Tr/TCF信号を受信し、S80では、受信良好であるか否かを判断し、受信良好であれば、ステップS82(S36)に進み、受信良好でなければ、ステップS84に進む。
【0099】
S84では、FTT信号を送信し、S86では、T1タイマがタイムオーバしたか否かを判断し、T1タイマがタイムオーバしていれば、ステップS88(S2)に進み、T1タイマがタイムオーバしていなければ、ステップS74に進む。
【0100】
S90では、T4タイマがタイムオーバしたか否かを判断し、T4タイマがタイムオーバしていれば、ステップS92に進み、T4タイマがタイムオーバしていなければ、ステップS76に進む。
【0101】
S92では、T1タイマがタイムオーバしたか否かを判断し、T1タイマがタイムオーバしていれば、ステップS94(S2)に進み、T1タイマがタイムオーバしていなければ、ステップS72に進む。
【0102】
[第3の実施例]
本発明の第3の実施例は、第1の実施例において、所定条件での初期識別の制御手順として、第1の実施例の制御を実行するか、第2の実施例の制御を実行するかを選択する手段を有し、この選択に基づいて、V.8手順で、V.21手順が決定されたときにおけるV.21でのDIS信号のFIFの内容を決定する実施例である。
【0103】
図15は、図2〜図4、図14に示す流れと異なる部分の制御の流れを示す図である。
【0104】
S90では、S62のNOを表し、S92では、操作部の情報を入力し、V.8手順で、V.21手順が決定されたときにおけるV.21でのDIS信号のFIFの内容を登録することが選択されたか否かを判断し、FIFの内容を登録することが選択されていれば、ステップS94に進み、FIFの内容を登録することが選択されていなければ、ステップS96(S2)に進む。
【0105】
S94では、V.8でV.34半二重通信不可時におけるDIS信号は、受信機の最大機能の宣言、または、送信機と受信機の最大機能の宣言(AND条件)とするかを、メモリ18に登録し、ここで、デフォルト値は、受信機の最大機能の宣言と登録する。
【0106】
S96では、S2を表し、S98では、S60を表し、S100では、V.8でV.34半二重通信不可時におけるDIS信号の送信の登録を判定し、受信機の最大機能の宣言と記憶されていれば、ステップS102(S26)に進み、送信機と受信機の最大機能の宣言(AND条件)と記憶されていれば、ステップS104(S72)に進む。
【0107】
なお、上記実施例を、ファクシミリ装置以外の通信装置に適用するようにしてもよい。
【0110】
【発明の効果】
本発明によれば、受信機がV.34通信をサポートし、着信時に、ANSam信号を送信し、送信機から、V.34通信不可を指定されたCM信号を受信した場合、V.8通信手順を実行した後に、V.21のDIS信号では、相手側のCM信号によって指定された変復調とは無関係に、自機が、V.34通信を実行しない時におけるプロトコルへ移行、または、相手側のCM信号によって指定された変復調機能と自機の変復調とによって、適切に決定できるユーザ選択が可能になり、特定送信機が誤動作した場合の対応が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例であるファクシミリ装置FS1の構成を示すブロック図である。
【図2】ファクシミリ装置FS1の動作を示すフローチャートである。
【図3】ファクシミリ装置FS1の動作を示すフローチャートである。
【図4】ファクシミリ装置FS1の動作を示すフローチャートである。
【図5】ファクシミリ装置FS1に適用される伝送制御手順の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例の動作を示すフローチャートであり、図2〜図4に示すフローチャートと異なる部分のみを示すフローチャートである。
【図7】ITU−T勧告V.8の手順信号に含まれるプリアンブルの構成を示す図である。
【図8】ITU−T勧告V.8の手順信号の情報カテゴリを決定するカテゴリオクテットのフォームを示す図である。
【図9】起呼機能オクテットのビットの使用例を示す図である。
【図10】ITU−T勧告V.8の手順信号で指定する変調モードを示す図である。
【図11】ITU−T勧告V.8の手順信号のプロトコルカテゴリ内部の符号一覧を表す図である。
【図12】ITU−T勧告V.8の手順信号のGSTNに接続するセルラーアクセスを示す符号を表す図である。
【図13】ITU−T勧告によるV.34のINFO0シーケンスのビット定義を示す図である。
【図14】ファクシミリ装置FS1の動作を示すフローチャートである。
【図15】ファクシミリ装置FS1の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
FS1…ファクシミリ装置、
6…ハイブリッド回路、
8…変復調器、
10…ANSam送出回路、
14…読取回路、
16…記録回路、
20…制御回路。
Claims (2)
- 相手先装置との間でITU−T勧告V.8に規定される手順を実行し、上記手順に基づいて、上記相手先装置との間で実行可能な画伝送モードを設定するファクシミリ通信装置において、
V.8手順によってV.21手順の実行が決定されたときに、DIS信号においてV.8受信機能無しとするとともに、所定条件で初期識別の制御手順を実行し、
上記所定条件で行う初期識別の制御手順として、
(1)CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力とは無関係に、V.17、V.29、V.27ter通信機能ありを表すV.21のDIS信号を送信する手順、
(2)CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力と、自機のこれらの変復調の機能とに従い、通信可能な変復調を決定し、通信可能な変復調を、V.21のDIS信号で相手機に通知する手順、
のうちで、1つの手順を選択する手順選択手段を有することを特徴とするファクシミリ通信装置。 - 相手先装置との間でITU−T勧告V.8に規定される手順を実行し、上記手順に基づいて、上記相手先装置との間で実行可能な画伝送モードを設定するファクシミリ通信装置の制御方法において、
V.8手順によってV.21手順の実行が決定されたときに、DIS信号においてV.8受信機能無しとするとともに、所定条件で初期識別の制御手順を実行し、
上記所定条件で行う初期識別の制御手順として、
(1)CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力とは無関係に、V.17、V.29、V.27ter通信機能ありを表すV.21のDIS信号を送信する手順、
(2)CM信号によって指定されたV.17、または、V.29、または、V.27ter通信能力と、自機のこれらの変復調の機能とに従い、通信可能な変復調を決定し、通信可能な変復調を、V.21のDIS信号で相手機に通知する手順、
のうちで、1つの手順を選択する手順選択手段を有することを特徴とするファクシミリ通信装置の制御方法。
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