JP3715856B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタ等とされる電子写真方式あるいは静電記録方式の画像形成装置に関し、特にその現像器に特徴を有する画像形成装置である。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式、静電記録方式の画像形成装置では、静電潜像を担持した像担持体に、現像器の現像剤を担持した現像スリーブ(現像剤担持体)を対応させて現像を行うことが一般的であり、像担持体と現像スリーブの間に現像電界を形成するために、現像スリーブに現像バイアスが印加される。
【0003】
この現像バイアスとしては、図15に示すように、DC成分にAC成分を重畳したものが用いられてきており、図15に示すAC成分の矩形波は、従来、周波数2kHz(1/2周期=250μ秒)程度、ピークツウピーク電圧(Vpp)2kV程度が用いられ、良好な現像像が得られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図15に示すような現像バイアスには、画像のハイライト部分が「がさつく」という欠点と、現像剤のトナーの粒径を小さくして行った場合には、十分な画像濃度が得られないという欠点があった。
【0005】
この欠点の改善のために、たとえば図16に示すように、DC成分にAC成分を断続的に重畳したような現像バイアスを用いることが、本出願人より提案されている。しかしながら、この現像バイアスには以下のような問題があった。
【0006】
図16に示すような現像バイアス(本明細書では、ブランクパルスバイアスもしくはBPバイアスと称する)は、図15に示したような現像バイアス(本明細書では、矩形バイアスと称する)に比べて現像性はよいが、ハイライト部のがさつきをなくす条件として、パルス部の周波数を4kHz(1/2周期=125μ秒)以上に上げることが必須であった。また濃度を出す条件としてパルス部のVppを従来の矩形波と同様に2kV以上にする必要があった。
【0007】
パルス部のVppが2kV超え、また周波数が4kHz以上になると、現像部に導電性の異物が混入した場合には、その部分で異常放電が発生し、画像上にリング状の斑点が形成され、著しく画像品位を落とす問題があった。
【0008】
したがって、BPバイアスを用いた場合、従来の矩形バイアスの場合よりもVppを小さく抑制することが要求される。
【0009】
本発明の目的は、適切な現像バイアスにより良好な現像を行って、ハイライト部のがさつきを防止し、画像濃度が十分に得られ、かつ異常放電による画像不良のない画像形成装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、静電潜像を担持する像担持体と、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像器とを具備し、前記現像器は、前記像担持体と対向する、トナーとキャリアとを有する2成分現像剤を担持した現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像バイアスを印加するバイアス印加手段とを有し、前記バイアス印加手段により印加される現像バイアス電圧の波形の周期は、振動部と休止部とを備え、前記振動部から休止部に変化する直前の振動バイアスは、トナーを像担持体へと飛翔させる方向であり、その印加時間をT1とし、更にその直前の振動バイアスは、トナーを現像剤担持体への引き戻す方向であり、その印加時間をT2とすると、T1>T2の関係を有し、
更に下記式、
|V pp −2V cont |・Tb 2 /4<d 2 /|Q|
ただし、
V pp :現像バイアスのピークツウピーク電圧 [ V ] 、
Tb:現像剤担持体にかかる交番電圧の現像剤担持体にトナーを引き戻す
最大の時間 [ 秒 ] 、
V cont :画像コントラスト電位 [ V ] 、
Q:トナーの平均の摩擦帯電電荷量 [ C/kg ] 、
d:像担持体と現像剤担持体間の距離 [ m ]
を満たすことを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
本発明によれば、好ましくは、前記現像バイアス電圧の振動部は実質的に矩形波である。前記現像バイアス電圧の振動部において、休止部を振動中心とした時の振動部の積分値は、実質的にゼロである。前記現像バイアス電圧の振動部と休止部の時間の比は1:1/2〜1:15である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施例を図面に則してさらに詳しく説明する。
【0013】
実施例1
図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【0014】
図1において、静電潜像担持体としての感光ドラム131は、図中矢印R方向に回転し、その表面が一次帯電器132により均一に帯電される。その後、感光ドラム131には画像に応じたレーザー光Lが露光され、表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、現像器133によりトナーとキャリアとからなる2成分現像剤を使用して現像バイアスの印加下に現像され、トナー像として可視化される。本実施例では、トナーはマイナス極性に帯電している。得られたトナー像は、図示しない紙搬送装置によって搬送されてきた紙上に転写帯電器134により転写され、その後、定着器135により定着されて、画像として出力される。
【0015】
転写工程において、感光ドラム131上に残留した転写残りトナーは、感光ドラム131に押圧されたクリーニングブレード161を有したクリーニング装置136によりクリーニングされる。その後、感光ドラム131は前露光装置137によって除電されて、再度の画像形成に供される。
【0016】
本発明は、現像時に、現像器133の現像スリーブ(現像剤担持体)133aに、バイアス印加手段である現像電源138から現像バイアスとしてBPバイアスを印加し、そのBPバイアスを工夫したことに特徴がある。本実施例で使用した現像バイアスを図2に示す。この現像バイアス電圧は、休止部(ブランク部)と振動部からなるBPバイアス(ブランクパルスバイアス)であり、振動部が4個のパルスから形成されている。図2において、現像スリーブにトナーを引き戻す方向の電圧の最大の印加時間をTbとすると、Tb≧T1である。
【0017】
この振動部は、休止部の直ぐ後に、トナーを現像器133の現像スリーブに引き戻す電界として、休止部の電位に対して電圧+900Vを時間Tb=T1印加し、その後、電圧−900Vを時間T2印加し、さらに電圧+900Vを時間T2印加して、最後にトナーを感光ドラム131に飛翔させる方向の電界として、休止部の電位に対して−900V、時間T1の印加を行い、その後、休止部となる。
【0018】
本実施例では、休止部の時間は6×(T1+T2)時間である。T1=1.5×T2となるように波形を選択した。T1+T2の1周期が8kHzとなるように選択したため、本実施例では、振動部が250μs(マイクロ秒)、休止部が750μsとなり、またT1=75μs、T2=50μsとなり、バイアスは、振動部と休止部を合わせた1周期が1000μsで、周波数が1kHzのBPバイアスとなった。
【0019】
従来提案されていたBPバイアスの波形を図3に示す。図3のバイアスはピークツウピーク電圧Vppを2kVに設定した(図2のバイアスはVppを1.8kVに設定した)。図4に、図2、図3のバイアスを用いて、同一条件で画像を出力した場合のV−D(現像コントラストvs画像濃度)曲線を示す。
【0020】
図4に示されるように、本発明における現像バイアスである図2のBPバイアスを用いることにより、従来ではBPバイアスのVppを2kVまで上げなければ得られなかった濃度が、Vppを1.8kVまで低下させても十分に得られるようになった。
【0021】
本実施例では、このようにBPバイアスのVppを1.8kVに抑えることができ、その結果、現像部への導電性の異物の混入があっても、従来問題になっていた異常放電による画像不良を発生することがなく、高濃度の画像が安定して得られるようになった。
【0022】
濃度が十分に得られるようになった理由として、以下のことが考えられる。図5は現像スリーブ上のトナー粒子1個にかかる力を示した図、図6はその拡大図である。図中qはトナーの電荷量、mは質量、aは加速度、ΔVは感光ドラムと現像スリーブ間の電位差、dは感光ドラムと現像スリーブ間のギャップである。
【0023】
ここで、トナーが現像中に受ける力を考える。トナーが現像スリーブから感光ドラムへ飛翔する方向の力が最大となるのは、振動部のバイアスが印加されている中で、トナーが感光ドラムへ飛翔する方向の電界が形成されているときである。また画像部に付着するトナーの量は、振動部からブランク部(休止部)へと変化するときに電界により加速されたトナーの速度に依存すると考えられる。振動部の電圧が印加されて、休止部に移る直前に現像スリーブから感光ドラム方向へトナーを飛翔させる電圧が印加された場合に、現像スリーブ上に静止しているトナーが加速された速度を、本発明と従来の場合とで比較してみる。
【0024】
加速されたトナーの速度は、
V=|q|/m×ΔV/d×TL
で表現できる。現像に必要なコントラストを350Vと考えると、従来のバイアスではΔVは1350Vとなる。それに対して本発明のバイアスではΔVは1250Vとなる。その他の値は従来のバイアスと本発明のバイアスで同一である。そこで、従来のバイアス印加でのブランク部になった瞬間のトナーの速度をV2、本発明のバイアス印加でのトナーの速度をV1とすると、
V1=1.23×V2
となり、Vppが低くてもトナーの飛翔速度は速くなっており、結果としてVppを低くしても画像濃度が十分に得られるようになったと思われる。
【0025】
実施例2
実施例1では、現像バイアスとして図2に示したBPバイアスを用いたが、本発明に有効なバイアスは図2のバイアスに限定されるものではない。
【0026】
本実施例で現像バイアスに用いたBPバイアスを図7に示す。本実施例のBPバイアスは、振動部が複数回の振動を有している。図中、T1=50μs、T2=25μsとし、T1=2×T2となるように波形を選択した。このBPバイアスは、図2のBPバイアスと同様、積分値をゼロにすることにより、複数回の振動を行っても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0027】
図7のBPバイアスによれば、Vppを1.6kVにしても十分濃度を得ることができ、かつ異常放電による画像不良も発生しなかった。また、このようなBPバイアスを用いることによっても、実施例1と同様、がさつき、画像ムラが少ない画像を得ることができた。
【0028】
実施例3
本発明の画像形成装置の他の実施例について図8により説明する。
【0029】
本実施例の画像形成装置は、上部にデジタルカラー画像リーダー部を、下部にデジタルカラー画像プリンタ部を有するカラー複写機である。
【0030】
リーダー部において、原稿30を原稿ガラス台31上に載せ、露光ランプ32により露光走査することによって得られる原稿30からの反射光像を、レンズ33によりフルカラーセンサ34に集光し、カラー色分解画像信号を得る。このカラー色分解画像信号は図示しない増幅回路で増幅された後、同じく図示しないビデオ処理ユニットで処理を施され、プリンタ部に送出される。
【0031】
プリンタ部において、像担持体である感光ドラム1は表面保護層を有する感光体であり、図の矢印方向に回転自在に設置されている。この感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1の表面を初期化する前露光ランプ11、感光ドラム1の表面を一様に帯電する帯電器2(本例ではコロナ帯電器)、感光ドラム1の表面上に画像情報に応じた静電潜像を形成するレーザ露光光学系3、感光ドラム1上に形成された静電潜像を現像する色の異なる現像剤(トナー)を収納した4個の現像器4(4Y、4C、4M、4K)よりなる固定配置の現像装置、感光ドラム1上のトナー量を検知する光検知手段13、感光ドラム1上に残留した現像剤を除去するクリーナ6等が、それぞれ配置されている。
【0032】
レーザ露光光学系3は、本例では、ポリゴンミラー3a、レンズ3b、ミラー3c等からなり、上記リーダー部からの色分解された画像信号によって変調され、レーザ出力部でイメージスキャン露光の光信号に変換され、変換されたレーザ光Eをポリゴンミラー3aで反射し、レンズ3bおよびミラー3cを通じて感光ドラム1の表面に投影し、各色のカラー画像信号に対応した静電潜像を形成する。
【0033】
プリンタ部での画像形成時には、感光ドラム1を図の矢印方向に回転させ、まず、前露光ランプ11によって感光ドラム1の表面を除電、初期化し、ついで帯電器2により感光ドラム1の表面をマイナスに一様帯電し、露光光学系3により色分解された各色の画像信号に対応するレーザ光Eを感光ドラム1の表面に順次照射し、所定の色順で静電潜像を形成する。
【0034】
つぎに所定の現像器を所定の現像順であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に動作させて、感光ドラム1上の潜像を現像し、感光ドラム1上に樹脂を基体としたネガトナーによるトナー像を順次に形成する。ここで、現像装置の各現像器4C、4M、4Y、4Kは、偏心カム24C、24M、24Y、24Kの動作により、形成された潜像の色に応じて所要の現像器が択一的に感光ドラム1に接近して現像動作を行うように構成されている。
【0035】
一方、記録材カセット7a、7bまたは7cから(手差しの場合もある)、ピックアップローラ、給紙ガイド、給紙ローラ等からなる搬送系によって送給された転写紙のような記録材は、所定タイミングに同期して転写装置5に巻き付けられる。
【0036】
この転写装置5は、本例では、記録材担持体としての直径180mmの転写ドラム5a、感光ドラム1上のトナー像を記録材へ転写する転写用コロナ帯電器5b、記録材を転写ドラム5aに吸着させる吸着帯電手段である吸着帯電器5cおよび対向極としての吸着用ローラ5g、内側コロナ帯電器5dおよび外側コロナ帯電器5eを有し、回転駆動されるように軸支された転写ドラム5aの周面開口域には、記録材担持手段である誘電体からなる記録材担持シート5fが円筒状に一体的に張設されている。記録材担持シート5fは、ポリカーボネートフィルム等の誘電体シートを使用されている。
【0037】
転写ドラム5aは、感光ドラム1と同期して図の矢印方向に回転駆動され、シアン現像器4Cで現像して得られたシアントナー像が、記録材担持シート上に担持された記録材に、転写部において転写用帯電器5bによって転写される。転写ドラム5aはそのまま回転を継続し、つぎの色(たとえばマゼンタ)の画像の転写に備える。
【0038】
また、トナー像が転写された感光ドラム1はクリーナ6によって残留トナー等の付着物がクリーニングされ、再び帯電器2によって一様帯電され、つぎの色のマゼンタの画像信号により変調されたレーザ光により、前述のような画像露光を受ける。この潜像はマゼンタ現像器によって現像され、マゼンタトナー像として可視化され、このマゼンタトナー像は転写部において転写用帯電器5bによって、記録材担持シート5f上の記録材にシアントナー像の上から重ねて転写される。転写ドラム5aはそのまま回転を継続し、つぎの色(たとえばイエロー)の画像の転写に備える。
【0039】
続いて、以上のような画像形成および転写のプロセスをイエローおよびブラックについて行い、記録材上に4色のトナー像の重畳転写が終了すると、記録材は分離用帯電器5hにより除電され、ついで押上げコロ8bおよび分離爪8aの作用によって転写ドラム5aから分離され、搬送手段で定着器9(本例では熱ローラ定着器)に送られてトナー像が定着されて、外部のトレイ10上に排出される。かくして、一連のフルカラープリントのシーケンスが終了し、所要のフルカラープリント画像が得られる。
【0040】
記録材の両面に画像を形成する場合は、記録材が定着器9を出た後、直ぐに搬送パス切り換えガイド19を駆動して、記録材を搬送縦パス20を経て反転パス21aに一旦導く。その後、反転ローラ21の逆転により、送り込まれた際の後端を先頭にして、送り込まれた方向と反対向きに記録材を退出させ、中間トレイ22に収納する。その後、再び中間トレイ22から記録材を転写装置5に搬送し、上述の画像形成工程によって記録材のもう一方の面に画像を形成する。
【0041】
記録材を分離した後の転写ドラム5aにおいては、記録材担持シート5f上への粉体の飛散付着、記録材上のオイルの付着等を防止するために、記録材担持シート5fを介して対向するファーブラシ14とバックアップブラシ15、およびオイル除去ローラ16とバックアップブラシ17によって清掃を行う。このような清掃は、画像形成前もしくは画像形成後に行い、またジャム(紙づまり)発生時には随時行う。
【0042】
また、本例においては、所望のタイミングで偏心カム25を動作させ、転写ドラム5aと一体化しているカムフォロワ5iを作動させることにより、記録材担持シート5fと感光ドラム1とのギャップを任意に設定できる構成となっている。たとえば、スタンバイ(待機)中または電源オフ時には、転写ドラム5aと感光ドラム1の間隔を離す。
【0043】
つぎに、図9のブロック図により画像処理部の処理プロセスについて説明する。
【0044】
図9の画像処理部40において、デジタル画像データ42はD/A変換器402によってアナログ画像信号403に変換され、比較器411の一方の端子に入力される。タイミング信号発生回路407は、入力された基準クロック信号43により画素クロック404や、パターン信号発生器409へのスクリーンクロック408を作成して出力している。パターン信号発生器409はスクリーンクロック408を基にパターン信号410を出力し、比較器411の他方の端子に入力している。
【0045】
デジタル画素信号42は画素クロック404に同期して入力され、D/A変換器402は画素クロック404に同期してアナログ画像信号403を出力する。スクリーンクロック408は画素クロック404を整数倍したクロック信号で、たとえば三角波であるパターン信号410の周期を規定している。
【0046】
アナログ画像信号403とパターン信号410は比較器411により比較され、アナログ画像信号403の方が大きいときは0、小さいときは1として、パルス幅変調された2値化画像データ41が作成され出力される。
【0047】
図10に、図9の各部のタイミングチャートを示す。これにより、さらに画像処理プロセスについて説明する。
【0048】
ここで、スクリーンクロック408は画素クロック404の2倍の周期を持つクロックとしている。デジタル画像信号が16進数の00(白)からFF(黒)に段階的に変化するとき、パターン信号410により変調された2値化画像データ41のパルス波形を示している。このようにパターン信号の振幅を変えることによって、デジタル画像データ42の入力レベルと2値化画像データ41のパルス幅の関係を変えることができる。
【0049】
2値化画像データ41は、フルカラー複写機の画像形成部に入力され、レーザ光による露光幅を制御し、感光ドラム上に画像データに応じた露光幅を持つレーザースポットが投影され、潜像が形成される。これらの潜像は、前述した現像器4Y、4C、4M、4Kにより現像される。
【0050】
つぎに本発明の特徴部分である現像工程について詳述する。現像剤は、非磁性トナーと磁性キャリア(磁性粒子)とからなる2成分現像剤を用いている。混合比は重量比で、非磁性トナーが約5%になるようにした。非磁性トナーは約8μmの体積平均粒径を有する。磁性キャリアは樹脂コーティングされたフェライト粒子(最大磁化60emu/g)からなり、その重量平均粒径は50μmであり、抵抗値は108Ωcm以上の値を示す。また磁性キャリアの透磁性率は約5.0である。
【0051】
現像器4(4Y〜4K)の現像容器には、感光ドラム1に近接する部位に開口部が設けられ、この開口部から現像剤担持体としての現像スリーブが外部に突出している。現像スリーブは現像容器内に回転可能に組み込まれ、感光ドラム1との間隔が500μmとなるように配置されている。現像スリーブの外径は25mm、その周速は280mm/秒である。
【0052】
本実施例において、
Vpp:現像剤担持体にかかる現像バイアスの交番電圧のピークツウピーク
電圧[V]、
Tb:現像剤担持体にかかる現像バイアスの交番電圧の現像剤担持体にト
ナーを引き戻す最大の時間[秒]、
Vcont:画像コントラスト電位[V](現像バイアスのDC電圧から最大画像
濃度を出力する場合の潜像電位との電位差)、
Q:トナーの平均の摩擦帯電電荷量[C/kg]、
d:像担持体と現像剤担持体間の距離[m]
としたとき、現像バイアスとして、
|Vpp−2Vcont|・Tb 2 /4<d2/|Q|
の条件を満たす交番電界が断続的に形成されるような交互電圧が印加される。
【0053】
本実施例で用いたトナーは、摩擦帯電量が約−2.0×10-2C/kgのと、約−3.0×10-2C/kgの2種類を使用した。
【0054】
つぎにトナーの摩擦帯電電荷量(2成分現像剤)の測定方法について、図11により説明する。図11は、トナーの摩擦帯電電荷量(トリボ)を測定する装置である。
【0055】
まず、摩擦帯電量を測定しようとするトナーをキャリアと合して2成分現像剤の形にして、50〜100ml容量のポリエチレン製のビンに入れ、約10〜40秒間手で振盪し、ついでこの現像剤を約0.5〜1.5g、底が500メッシュの導電性スクリーン143になった金属製の測定容器142に入れ、容器142に金属製の蓋144を被せる。この状態の測定容器142全体の重量を計り、これをW1(kg)とする。
【0056】
つぎに、測定容器142を吸引機141に設置し(吸引機141の少なくとも測定容器142と接する部分は絶縁体)、吸引口147から吸引し、風量調節弁146を調節して、真空計145の圧力を250mmAqとする。この状態で十分、好ましくは2分間吸引を行い、トナーを吸引除去する。このときの測定容器142に接続した電位計149が示す電位を読み、これをV1(V)とする。また吸引後の測定容器142全体の重量を計り、これをW2(kg)とする。測定容器142に電位計149と並列接続したコンデンサ148の容量をC1(μF)とすると、トナーの摩擦帯電量は、下式:
トナーの摩擦帯電量(μC/kg)=C1×V1×10-3/(W1−W2)
のごとく計算される。
【0057】
本実施例において、画像濃度が約0.2程度のハイライトハーフトーン画像とベタ画像を出力し、ハイライトハーフトーン画像の滑らかさとベタ画像の濃度を評価した。
【0058】
ここで、画像出力のための静電潜像の形成はつぎのようである。まず、感光ドラムを−650Vに一様帯電し、ハイライトハーフトーン画像を出力する場合には、半導体レーザーによってPWM(パルス幅変調)を行い、表面電位を約−450Vまで落とし、ベタ画像を出力する場合には約−150Vまで落とした(Vcont=350V)。
【0059】
つぎに、上述した構成の現像器および帯電量を有するトナーを用いて、反転現像方式により潜像を現像した。本実施例では、現像バイアスの直流電圧を−500Vに設定し、断続的に与える交番電圧の振幅Vppを1800Vに固定し、引戻し時間の最大時間Tbを変化させた。このとき、交番電界を経つ時間は、図12に示すように、交番電界1周期ごとに2周期分とした。現像剤は2成分現像剤で、そのトナーには、前述の2種類のトナー(摩擦帯電量が約−2.0×10-2C/kgと約−3.0×10-2C/kg)を試した。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
表1に示されるように、A=|Vpp−2Vcont|・Tb2/4、B=d2/|Q|として、これらの関係がA<Bとなる場合のみ、ベタにおいて高濃度を維持し、さらにハイライトの再現性が良好であった。
【0061】
前述したように、図5および図6は、現像スリーブ上のトナー粒子1個にかかる力を示した図で、図中qはトナーの電荷量、mは質量、aは加速度、ΔVは感光ドラムと現像スリーブ間の電位差、dは感光ドラムと現像スリーブ間のギャップである。
【0062】
感光ドラムから現像スリーブへトナーが移動できる距離Xは、以下のようにして求められる。トナーに対して、現像スリーブに引戻す剥ぎ取り電圧が振動電界印加中に最大時間としてTb秒間印加される。この間にトナーが移動できる距離Xは、下記の式(1):
X=|Q|・|1/2・Vpp−Vcont|・Tb2/2d ・・・(1)
で求められる。
【0063】
ここで、感光ドラム上に現像されたトナーが、剥ぎ取り電圧が最大時間だけ印加された場合の移動距離Xでは、現像スリーブに戻されない条件を設定してやることにより、トナーは感光ドラム上に偏った振動を繰り返す。このときの条件は、Xが感光ドラムと現像スリーブ間のギャップdよりも小さくなるときである。
【0064】
式で表すと、
|Q|・|1/2・Vpp−Vcont|・Tb2/2d<d
∴ |Vpp−2Vcont|・Tb2/4<d2/|Q| ・・・(2)
このような条件下において現像を行うと、剥ぎ取り電圧が最大時間の電界によっても、S−D間を十分に往復運動することができない上に、前述したように交番電圧が立たれる直前の現像促進側の電圧の印加時間を長くすることにより、Vppが低い場合でもDC成分が潜像電位に見合った量のトナーを感光ドラムに引き付けるように働くため、ドットの欠落が発生しなくなる。また感光ドラム上において、断続的に振動を繰り返すことにより、潜像部にトナーが集中し、1つ1つのドットが忠実に再現されるため、従来の矩形バイアスでは不均一な画像しか得られないような浅い潜像でも、均一な画像が出力できるようになる。
【0065】
本実施例では、印加する交互電界、すなわちBPバイアスを、図12に示すようにしたが、本発明はこれに限られず、たとえば図13に示すように、2波長印加、5波長休止、あるいは図14に示すように、3波長印加、10波長休止としてもよい。またこれらの振動部の波形は矩形波でなくても、三角波やサイン波など様々な波形が印加でき、複写速度や現像条件に応じて最も適切な波形を選ぶことができる。またバイアス印加時間と休止時間の比は1:1/2〜1:15が好ましく、この範囲で良好な結果が得られた。
【0066】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想内でのあらゆる変形が可能である。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像形成装置では、バイアス印加手段により現像剤担持体に印加する現像バイアス電圧を、波形の1周期に振動部と休止部とを備えるブランクパルスバイアスとし、その振動部から休止部に変化する直前の振動バイアスがトナーを像担持体へと飛翔させる方向であり、その印加時間がT1で、さらにその直前の振動バイアスがトナーを現像剤担持体への引き戻す方向であり、その印加時間がT2で、これらの振動バイアスにT1>T2の関係を有するようにさせたので、周波数が高くピークツウピーク電圧が低い条件でも、画像の均一性が高く、濃度が十分な画像が得られ、異常放電による画像欠陥もなく、高画質の画像を安定して得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1の実施例で使用したBPバイアスを示す波形図である。
【図3】従来のBPバイアスを示す波形図である。
【図4】図2、図3のバイアスを用いて同一条件で画像を出力した場合のV−D曲線を示す図である。
【図5】現像スリーブ上のトナー粒子1個にかかる力を示した図である。
【図6】図5の拡大図である。
【図7】本発明の他の実施例で使用したBPバイアスを示す波形図である。
【図8】本発明の画像形成装置のさらに他の実施例を示す構成図である。
【図9】図8の画像形成装置の画像処理部を示すブロック図である。
【図10】図8の画像処理部のタイミングチャートである。
【図11】2成分現像剤におけるトナーの摩擦帯電量を測定するのための測定装置を示す斜視図である。
【図12】図8の実施例で使用したBPバイアスを示す波形図である。
【図13】本発明で使用することができるBPバイアスの他の例を示す波形図である。
【図14】本発明で使用することができるBPバイアスのさらに他の例を示す波形図である。
【図15】矩形バイアスを示す波形図である。
【図16】従来のBPバイアスを示す波形図である。
【符号の説明】
131 感光ドラム
132 一次帯電器
133 現像器
133a 現像スリーブ
134 転写帯電器
135 定着器
138 現像電源
Claims (5)
- 静電潜像を担持する像担持体と、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像器とを具備し、前記現像器は、前記像担持体と対向する、トナーとキャリアとを有する2成分現像剤を担持した現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像バイアスを印加するバイアス印加手段とを有し、前記バイアス印加手段により印加される現像バイアス電圧の波形の周期は、振動部と休止部とを備え、前記振動部から休止部に変化する直前の振動バイアスは、トナーを像担持体へと飛翔させる方向であり、その印加時間をT1とし、更にその直前の振動バイアスは、トナーを現像剤担持体への引き戻す方向であり、その印加時間をT2とすると、T1>T2の関係を有し、
更に下記式、
|V pp −2V cont |・Tb 2 /4<d 2 /|Q|
ただし、
V pp :現像バイアスのピークツウピーク電圧 [ V ] 、
Tb:現像剤担持体にかかる交番電圧の現像剤担持体にトナーを引き戻す
最大の時間 [ 秒 ] 、
V cont :画像コントラスト電位 [ V ] 、
Q:トナーの平均の摩擦帯電電荷量 [ C/kg ] 、
d:像担持体と現像剤担持体間の距離 [ m ]
を満たすことを特徴とする画像形成装置。 - 前記現像バイアス電圧の振動部は実質的に矩形波である請求項1の画像形成装置。
- 前記現像バイアス電圧の振動部は実質的に2周期以上である請求項1の画像形成装置。
- 前記現像バイアス電圧の振動部において、休止部を振動中心とした時の振動部の積分値は、実質的にゼロである請求項1の画像形成装置。
- 前記現像バイアス電圧の振動部と休止部の時間の比は1:1/2〜1:15である請求項1の画像形成装置。
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