JP3712997B2 - 運搬車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば消火流体搬送用ホース等を運搬するのに適する運搬車に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば消火流体搬送用ホースを運搬するホースカーのような運搬車においては、左右方向軸心の車軸に取り付けられる車輪により、ホース等の積荷を収納する積荷収納部を支持している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような運搬車は非使用時においては収納スペースに格納され、例えばホースカーにあっては消防車の車体に形成された格納室に格納されることから、その収納スペースをできるだけ小さくすることが要望されている。本発明はそのような問題を解決することのできる運搬車を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、左右方向に沿う一つの軸を中心軸とする車軸に取り付けられる車輪により積荷収納部を支持する運搬車において、その車輪は、その積荷収納部に走行位置と収納位置との間で変位可能に連結され、その収納位置の車輪と積荷収納部の収納領域との左右方向から視認した重なり部分の面積は、その走行位置の車輪と積荷収納部の収納領域との左右方向から視認した重なり部分の面積よりも大きくされることを特徴とする。
これにより、車輪を収納位置に変位させることで、運搬車の収納スペースを小さくすることができる。
【0005】
その積荷収納部に連結されるハンドルを備え、そのハンドルは、その積荷収納部に走行位置と収納位置との間で変位可能に連結され、その収納位置のハンドルと積荷収納部の収納領域との上下方向から視認した重なり部分の面積は、その走行位置のハンドルと積荷収納部の収納領域との上下方向から視認した重なり部分の面積よりも大きくされるのが好ましい。
これにより、ハンドルを収納位置に変位させることで、運搬車の収納スペースをより小さくすることができる。
【0006】
その積荷収納部に左右方向軸心の第1連結軸まわりに一端側が回転可能に連結される第1連結部材と、その積荷収納部に一端側が着脱可能に連結される第2連結部材とを備え、その第1連結部材の他端側と第2連結部材の他端側とは、その第1連結部材の一端側と第2連結部材の一端側との前後間において左右方向軸まわりに相対回転可能に連結され、その車軸は、その第1連結部材と第2連結部材により、その第1連結部材の一端側と第2連結部材の一端側との前後間において支持され、その積荷収納部と第2連結部材との連結解除状態において、その積荷収納部に対する第1連結部材の回転と、その第1連結部材と第2連結部材の相対回転により、その車輪は走行位置と収納位置との間で上下に変位可能とされ、その積荷収納部と第2連結部材との連結により、その車輪は走行位置と収納位置とにおいて位置決め可能とされているのが好ましい。
これにより、簡単な構成で容易に車輪を走行位置と収納位置との間で変位させ、また、走行位置と収納位置とにおいて位置決めすることができる。
【0007】
その第2連結部材は、左右方向に沿うシャフト部を有し、その積荷収納部に連結具が設けられ、その連結具に、そのシャフト部が径方向から抜き差し可能な凹部が形成され、その凹部からのシャフト部の抜けが弾力により規制されるように、その凹部の開口幅がシャフト部の径方向において弾性的に変更可能とされ、その車輪が走行位置に位置する時、その凹部の内面にシャフト部の外周面が押し付けられることで、その車輪の上方への変位が阻止され、その車輪が収納位置に位置する時、その凹部の内面にシャフト部の外周面が押し付けられることで、その車輪の下方への変位が阻止されるのが好ましい。これにより、簡単な構成で容易に車輪の位置決めを行うことができる。また、車輪が走行位置にある時にシャフト部を抜き差しできる連結具の凹部の位置と、車輪が収納位置にある時にシャフト部を抜き差しできる連結具の凹部の位置との相違に、連結具を第2連結軸と同行回転させるだけで対応できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に示す車両1は、消防車の機能と救急車としての機能とを併せ持つ。
その消防車としての機能として、本実施形態では水や消火薬剤等の消火流体をポンプ2により吐出する機能を有し、さらに、消火流体搬送用ホースを搬送する運搬車として、図8〜図11に示すホースカー3を搭載している。なお、消防車としての機能を奏するため、他の消防用機材や高所作業用の梯子装置等を備えてもよい。その救急車の機能として、本実施形態では臥位状態の救急患者4を収容する救急患者収容室5を備え、また、ストレッチャー等の救命用機器を搭載している。
【0009】
その車両1において、車輪6により支持される車体10は、金属フレームに外壁材を取り付けることで構成され、その外壁材は本実施形態では繊維強化プラスチック製とされている。その車体10における前部に運転室11が設けられ、前部と後部の間に上記救急患者収容室5が設けられ、その救急患者収容室5の後方において格納室12が設けられている。その救急患者収容室5に載置台21や介護者用の椅子28等が配置される。格納室12の内部空間は仕切り12aにより上下に区画され、その仕切り12aの下方空間にホースカー3が格納され、上方空間には消防用機材や救命用機材等が収納可能とされている。格納室12は車体10の後部外側面における開口を有し、その開口は車体10にその上端が左右方向に沿うヒンジ軸を介して取り付けられた後部扉13により開閉される。なお、本明細書における前後、左右、上下の方向は、水平な路面上の車両1とホースカー3の前後方向、左右方向、上下方向に対応する。
【0010】
車体10の左外側面に救急患者収容室5の出入り口15が設けられ、その出入り口15は上部扉16と下部扉17により開閉される。上部扉16の上端は車体10に前後方向に沿うヒンジ軸を介して取り付けられる。下部扉17は臥位状態の救急患者4を載置する載置台21の変位に連動する。本実施形態では車体10の右外側面には救急患者収容室5へ救急隊員や介護者が出入りするための補助出入り口が設けられ、上下方向に沿うヒンジ軸を介して車両1に取り付けられた扉18により開閉される。
【0011】
図4(1)、(2)に示すように、載置台21は車体10に連結機構22により収容位置と積卸し位置との間で変位可能に連結されている。図4(1)に示す収容位置の載置台21は救急患者収容室5の内部に配置され、図4(2)に示す積卸し位置の載置台21は出入り口15から突出するように車体10の外部に配置される。本実施形態の連結機構22は平行リンク機構により構成される。これにより、載置台21が収容位置と積卸し位置との間で変位する時、車両1の前後左右方向に沿う載置台21の上面は平行移動する。すなわち、図4(1)、(2)、図5に示すように、連結機構22を構成する平行リンク機構は、複数の第1リンク22aと複数の第2リンク22bとを有する。各第1リンク22aの一端は車体10にブラケット23を介して前後方向軸中心に相対回転可能に連結され、他端は載置台21に前後方向軸中心に相対回転可能に連結される。各第2リンク22bの一端は車体10にブラケット24を介して前後方向軸中心に相対回転可能に連結され、他端は載置台21に前後方向軸中心に相対回転可能に連結される。その連結機構22を平行リンク機構により構成することで、載置台21の上面を平行移動させることができるだけでなく、積卸し位置では収容位置よりも載置台21を下方に配置できる。これにより救急患者4の積卸しの容易化を図ることができ、また、救急患者収容室5では救急患者4の看護を行う上で適正位置に載置台21を配置できる。
【0012】
載置台21を収容位置と積卸し位置との間で変位させるアクチュエータを備えている。そのアクチュエータとして本実施形態では油圧シリンダ25を備える。その油圧シリンダ25の一端は車体10に前後方向軸中心に相対回転可能に連結され、他端は第1リンク22aから突出するアーム22a′に前後方向軸中心に相対回転可能に連結されている。これにより、その油圧シリンダ25を伸縮させることで載置台21を収容位置と積卸し位置との間で変位させることができる。なお、油圧シリンダ25を駆動する油圧発生装置(図示省略)は車体10に搭載されている。そのアクチュエータは油圧シリンダ25に限定されず、例えばモータであってもよい。
【0013】
下部扉17は、車体10に前後方向軸中心に相対回転可能に連結されると共に、連動用リンク26の一端に前後方向軸中心に相対回転可能に連結される。連動用リンク26の他端は各第1リンク22aに前後方向軸中心に相対回転可能に連結される。これにより、出入り口15の一部を開閉する場合は下部扉17は、載置台21の変位に連動することで開き位置と閉鎖位置との間で変位する。
【0014】
載置台21に案内部21aが設けられている。積卸し位置で、その案内部21aを介して救急患者4の支持用ストレッチャー29が前後方向に沿って載置台21に積み卸し可能とされている。本実施形態では、その載置台21の上面における左右方向の中間部分21′が、左右縁近傍部分21″よりも上方に突出し、中間部分21′と両端縁近傍部分21″との間の段差が案内部21aとされている。また、案内部21aの上面の車両走行路Rからの高さは、後端近傍では前方に向かうに従い次第に高くなり、後端近傍よりも前方部分では一定とされている。車両走行路Rで車輪29aを介して移動するストレッチャー29の前部に取り付けられた転動輪29bの車両走行路Rからの高さhは、載置台21の上面における左右縁近傍部分21″の後端での高さH1よりも高く、前方部分での高さH2よりも低くされている。これにより、円滑にストレッチャー29を載置台21に前後方向に沿って積み卸しできる。なお、ストレッチャー29自体は公知のものを用いることができる。
【0015】
図2に示すように車体10に搭載される消火流体吐出用ポンプ2は例えば遠心ポンプにより構成され、車体10に搭載されるエンジンにより駆動される。そのポンプ2と消火流体搬送用配管との接続口が設けられている。すなわち、ポンプ2の吸引側に左右一つずつの吸入接続口30と吸入側中継接続口31がそれぞれボールコック30a、31aを介して接続され、ポンプ2の吐出側に左右二つずつの吐出接続口32がそれぞれボールコック32aを介して接続されている。図1に示すように、各接続口30、31、32は、車体10の左右外側面における救急患者収容室5の後方に配置される。吸入接続口30を介してポンプ2の吸引側に河川や消火栓等から消火用流体が導入され、吸入側中継接続口31を介してポンプ2の吸引側に他の消防車等から消火流体が導入され、吐出接続口32を介してポンプ2の吐出側から放水銃や他の消防車等に消火流体が吐出される。なお、ポンプ2の吸引側は公知の呼び水装置(図示省略)に接続され、ポンプ2の起動初期における河川等からの吸水が可能とされている。
【0016】
その吸入接続口30を介して消火流体吸引用配管40がポンプ2の吸引側に接続される。その消火流体吸引用配管40の一端に吸入接続口30との接続具40aが取り付けられ、他端に河川等から吸水するためのストレーナ40bが取り付けられている。なお、消火流体吸引用配管40を消火栓に接続する場合はストレーナ40bに代えて接続具が取り付けられる。
【0017】
車体10の左右外側面において開口する環状溝形の嵌め込み部45が救急患者収容室5の後方に設けられている。消火流体吸引用配管40は、嵌め込み部45に沿って巻いた状態となるように、その嵌め込み部45に嵌め込み可能とされている。本実施形態の消火流体吸引用配管40は嵌め込み部45に嵌め込まれることで2〜3回程度巻いた状態となる。その嵌め込み部45での消火流体吸引用配管40の巻き回数は限定されず、1回でも複数回でもよく、複数回とすることでコンパクトに収納できる。
【0018】
図6、図7に示すように、車体10の左右外側面に、嵌め込み部45の上半部、本実施形態では上端部、における内周側に連なる補助凹部50が設けられている。嵌め込み部45に嵌め込まれた消火流体吸引用配管40が、その補助凹部50から手を入れて把持可能とされている。なお、嵌め込み部45の外周側に連なるストレーナ配置用凹部59が形成され、ストレーナ40bが配置可能とされている。
【0019】
また、車体10の左右外側面に、嵌め込み部45により囲まれる凹部51が設けられている。上記ポンプ2の各接続口30、31、32は、その凹部51内に配置される。嵌め込み部45の内周に凹部51との連絡口52が設けられ、その連絡口52を介して消火流体吸引用配管40は凹部51と嵌め込み部45とに渡って配置可能とされている。
【0020】
車体10の左右外側面に長方形板状の抜け規制部材46が設けられている。その抜け規制部材46は、その下端部が車体10に前後方向軸心のヒンジ(図示省略)を介して揺動可能に取り付けられ、その揺動により抜け規制位置と抜け許容位置との間で位置変更可能とされている。その抜け規制位置における抜け規制部材46は、図1に示すように嵌め込み部45に嵌め込まれた消火流体吸引用配管40の下部を覆い、適宜手段により揺動が解除可能に阻止される。例えば、抜け規制部材46に揺動可能に取り付けられたフックが車体側の受け部材に引っ掛けられることで、抜け規制部材46の揺動は解除可能に阻止される。図6に示すように抜け許容位置の抜け規制部材46は、嵌め込み部45からの消火流体吸引用配管40の抜けを許容する。その抜け許容位置の抜け規制部材46は車体10の外側面から外方に突出する状態に保持される。例えば、抜け規制部材46の端面が車体10の外側面に接することで、車体10の外側面から外方に突出する状態に保持され、これによりステップとして機能する。また、嵌め込み部45に嵌め込まれた消火流体吸引用配管40の抜けを、嵌め込み部45の上部2位置において規制する止め具47が、車体10の左右外側面に取り付けられている。各止め具47は公知のものを使用でき、例えば車体10に規制位置と規制解除位置との間で揺動可能に取り付けられ、その規制位置で嵌め込み部45に嵌め込まれた消火流体吸引用配管40を覆い、規制解除位置で嵌め込み部45からの消火流体吸引用配管40の抜けを許容し、ネジやフック等を介して車体10に連結されることで規制位置に位置決めされるものにより構成できる。
【0021】
図8〜図11に示すように、上記ホースカー3は、ホースを収納する積荷収納部61と、その積荷収納部61を支持する左右車輪62と、積荷収納部61に連結されるハンドル80とを備える。その車輪62は左右方向に沿う一つの軸を中心軸とする一対の車軸63に取り付けられている。両車輪62と両車軸63は、積荷収納部61に対して左右方向における外方に配置されている。その積荷収納部61は、板金材製の受け部61aと、その受け部61aの外周に取り付けられるパイプ製の囲い部61bとから構成され、その受け部61aの上方において囲い部61bに囲まれる領域が収納領域とされている。
【0022】
その積荷収納部61に左右一対の第1連結部材64の一端側が左右一対の左右方向軸心の第1連結軸65まわりに回転可能に連結されている。第1連結軸65は囲い部61bに板材66を介して軸中心に回転可能に取り付けられている。第1連結部材64は、一端側のパイプ部64aと、このパイプ部64aの他端からパイプ部64aの軸心と交差する方向に延びる車軸支持部64bとを有する。パイプ部64aの一端が第1連結軸65に一体化されている。車軸支持部64bに車軸63が軸中心に回転可能に取り付けられている。その車軸63に車輪62のハブ62aが取り付けられている。なお、車輪62のハブ62aとタイヤ62bのリム62cはスポーク(図示省略)により連結される。
【0023】
積荷収納部61に第2連結部材67の一端側が、左右方向軸心の第2連結軸68に取り付けられた連結具70を介して着脱可能に連結されている。その第2連結軸68は受け部61aの下方に配置され、その両端部はブラケット68aの下部に連結され、そのブラケット68aの上部が囲い部61bに一体化されている。
第2連結部材67は、第2連結軸68と平行に配置される左右方向に沿うシャフト部67aと、シャフト部67aの両端から延びる左右一対の連結部67bを有する。本実施形態の連結部67bは、シャフト部67aと一体の第1部分67b′と、第1部分67b′にボルト69を介して連結される第2部分67b″とを有する。そのボルト69の通孔は長孔とされることで、連結部67bの長さは調節可能とされている。
【0024】
図12に示すように、本実施形態の連結具70は、第2連結軸68に一体化される基部70aと、この基部70aから突出する二又部70bとを有し、その二又部70bの間が凹部70cとされている。その凹部70cにシャフト部67aが径方向から抜き差し可能とされている。凹部70cの内周はシャフト部67aの外周に沿う曲面とされている。その凹部70cからのシャフト部67aの抜けが弾力により規制されるように、凹部70cの開口幅がシャフト部67aの径方向において弾性的に変更可能とされている。すなわち、シャフト部67aの径方向における凹部70cの開口幅は自然状態ではシャフト部67aの径よりも小さくされ、弾力に抗して凹部70cの開口幅を拡げることでシャフト部67aは凹部70cに抜き差し可能とされている。これにより、第2連結部材67は積荷収納部61に対して連結具70を介して着脱可能に連結されている。本実施形態では、二又部70bの先端からシャフト部67aの径方向外方に向かう案内片70b′が形成され、シャフト部67aの凹部70cへの挿入作業の容易化が図られている。
【0025】
第2連結部材67の連結部67bは、第1連結部材64の車軸支持部64bに左右方向軸心の連結軸73中心に相対回転可能に連結されている。これにより、第1連結部材64の他端側と第2連結部材67の他端側は、第1連結部材64の一端側と第2連結部材67の一端側との前後間において左右方向軸まわりに相対回転可能に連結されている。さらに車軸63は、第1連結部材64と第2連結部材67により、第1連結部材64の一端側と第2連結部材67の一端側との前後間において支持されることになる。その第2連結部材67の他端側を積荷収納部61に連結した状態では、第1連結部材64の一端側と他端側との距離と、第2連結部材67の一端側と他端側との距離の和は、第1連結部材64の一端側と第2連結部材67の一端側との距離よりも大きくされる。本実施形態では、車軸63の中心と連結軸73の中心とは偏心するが同心とされてもよい。
【0026】
積荷収納部61と第2連結部材67との連結具70を介する連結の解除状態において、積荷収納部61に対する第1連結部材64の第1連結軸65まわりの回転と、第1連結部材64と第2連結部材67の連結軸73まわりの相対回転により、車軸63と共に車輪62は走行位置と収納位置との間で上下に変位する。これにより車輪62は積荷収納部61に図8の走行位置と図11の収納位置との間で変位可能に連結されている。また、積荷収納部61と第2連結部材67との連結具70を介する連結により、車輪62は走行位置と収納位置とにおいて位置決めされる。すなわち、車輪62が走行位置に位置する時、連結具70の凹部70cの内面にシャフト部67aの外周面が押し付けられることで、車輪62の上方への変位が阻止される。車輪62が収納位置に位置する時、その凹部70cの内面にシャフト部67aの外周面が押し付けられることで、車輪62の下方への変位が阻止される。その収納位置の車輪62と積荷収納部61の収納領域との左右方向から視認した重なり部分の面積は、その走行位置の車輪62と積荷収納部61の収納領域との左右方向から視認した重なり部分の面積よりも大きくされている。
【0027】
上記ハンドル80は、積荷収納部61に図8の走行位置と図11の収納位置との間で変位可能に連結されている。すなわち、ハンドル80は前後方向に沿うロッド部80aと、ロッド部80aの一端から左右に突出する把持部80bと、ロッド部80aの他端の板状連結部80cとを有する。囲い部61bの後部上端における左右方向の中間位置に取り付けられたブラケット81に、ハンドル80の板状連結部80cが、左右方向軸心の連結軸82中心に回転可能に連結されている。また、ハンドル80とブラケット81に位置決め用ボルト83が挿通され、その挿通端にナット(図示省略)がねじ合わされる。そのボルト83のブラケット81における挿通孔81aは、積荷収納部61に対するハンドル80の回転時のボルト83の移動を許容するように円弧に沿う長孔とされている。そのボルト83とナットによりブラケット81とハンドル80を締め付けることでハンドル80の位置決めがなされ、その締め付け解除によりハンドル80は変位可能になる。その収納位置のハンドル80と積荷収納部61の収納領域との上下方向から視認した重なり部分の面積は、その走行位置のハンドル80と積荷収納部の収納領域との上下方向から視認した重なり部分の面積よりも大きくされている。
【0028】
その囲い部61bに取り付けられたブラケット89に、左右一対のパイプ材製スタンド90が左右方向軸91中心に揺動可能に取り付けられ、その揺動によりスタンド90は図8において実線で示す収納位置と2点鎖線で示す使用位置との間で変位する。囲い部61bに取り付けられた連結具92にスタンド90が着同可能とされている。連結具92は上記連結具70と同様のものとされている。
【0029】
上記実施形態の車両1によれば、火災現場において消防車として消防活動を行うことができるだけでなく、消火活動の必要がない場合や一刻を争う救急患者4の搬送が必要な場合には救急車として機能することができる。すなわち、一台の車両1で消防車の不足と救急車の不足を解消できる。その救急患者4を臥位状態で載置する載置台21を、収容位置と積卸し位置との間で変位させることができる。これにより、救急患者4を載置台21に載置し、また、載置台21から降ろす作業を、車体10の外部においてスペース的な制限を受けることなく行うことができるので、救急患者4の救急患者収容室5に対する搬出入作業を容易に行うことができる。その搬出入作業の際、救急患者4をストレッチャー29を介して載置台21に載置し、また、載置台21から降ろすことができ、より作業の容易化を図ることができる。その載置台21を連結機構22により平行移動させることで、救急患者4の姿勢を安定に保った状態で載置台21を収容位置と積卸し位置との間で変位させることができる。その救急患者収容室5の出入り口15の下部扉17は載置台21の変位に連動して開き位置と閉鎖位置との間で変位するので、その下部扉17を開閉する手間が不要になり、作業の迅速化を図ることができる。さらに、消火流体吐出用ポンプ2と消火流体搬送用配管との接続口30、31、32の前方に救急患者収容室5を配置することで、救急患者収容室5と車体10の前部に配置される運転室11とを隣接させ、救急患者収容室5内の患者や介護者と運転室11のドライバーとの間のコミュニケーションを容易に行うことができる。その救急患者収容室5の後方において車体10に格納室12が設けられているので、車体10における救急患者収容室5の後方領域を有効利用できる。
【0030】
さらに上記実施形態の車両1によれば、消火流体吸引用配管40を車体10の外側面において開口する環状溝形の嵌め込み部45に嵌め込むだけで巻いた状態とすることができ、また、その嵌め込み部45から引き出すだけで使用することができる。その消火流体吸引用配管40の嵌め込み部45への嵌め込みと嵌め込み部45からの取り出しを、ステップとして機能する抜け規制部材46に乗って行うことができ、しかも、嵌め込み部45に嵌め込まれた消火流体吸引用配管40が非使用時に抜け出るのを、その抜け規制部材46により規制できる。その嵌め込み部45の上半部における内周側に連なる補助凹部50から手を入れることで、嵌め込み部45に嵌め込まれた消火流体吸引用配管40が把持可能であることから、高所に位置する嵌め込み部45の上部からの消火流体吸引用配管40の取り出しを容易に行うことができる。その嵌め込み部45により囲まれる凹部51内に吸入接続口30が位置し、その吸入接続口30に接続された消火流体吸引用配管40が連絡口52を介して嵌め込み部45と凹部51とに渡って配置される。これにより、ポンプ2の吸引側の接続口30と嵌め込み部45との距離を小さくし、消火流体吸引用配管40を嵌め込み部45に嵌め込むことでコンパクトに収納することができる。
【0031】
上記実施形態のホースカー3によれば、収納位置の車輪62と積荷収納部61の収納領域との左右方向から視認した重なり部分の面積は、走行位置の車輪62と積荷収納部61の収納領域との左右方向から視認した重なり部分の面積よりも大きくなるので、車輪62を収納位置に変位させることで、ホースカー3の収納スペースである格納室12のスペースを小さくすることができる。さらに、収納位置のハンドル80と積荷収納部61の収納領域との上下方向から視認した重なり部分の面積は、走行位置のハンドル80と積荷収納部61の収納領域との上下方向から視認した重なり部分の面積よりも大きくなるので、ハンドル80を収納位置に変位させることで、ホースカー3の収納スペースをより小さくすることができる。さらに、積荷収納部61と第2連結部材67との連結を解除し、積荷収納部61に対して第1連結部材64を回転させると共に、第1連結部材64と第2連結部材67を相対回転させるだけで車輪62を上下させることができるので、簡単な構成で容易に車輪62を走行位置と収納位置との間で変位させることができる。さらに、積荷収納部61と第2連結部材67との連結と連結解除は、弾力に抗して連結具70の凹部70cの開口幅を拡げてシャフト部67aを凹部70cに抜き差しするだけでよい。そして、車輪62が走行位置に位置する時、凹部70cの内面にシャフト部67aの外周面が押し付けられることで車輪62の上方への変位が阻止され、車輪62が収納位置に位置する時、凹部70cの内面にシャフト部67aの外周面が押し付けられることで車輪62の下方への変位が阻止される。これにより、簡単な構成で容易に車輪62の位置決めを行うことができる。
【0032】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では運搬車としてホースカーに本発明を適用したが、ホース以外の積荷を運搬する運搬車にも本発明を適用できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、簡単な構成で容易に収納スペースを小さくできる運搬車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の車両の側面図
【図2】本発明の実施形態の車両における構成要素の平面配置図
【図3】本発明の実施形態の車両の背面図
【図4】本発明の実施形態の車両における(1)は収容位置の載置台と連結機構を示す正面構成説明図、(2)は積卸し位置の載置台と連結機構を示す正面構成説明図
【図5】本発明の実施形態の車両における積卸し位置の載置台と連結機構を示す側面構成説明図
【図6】本発明の実施形態の車両における嵌め込み部の側面図
【図7】本発明の実施形態の車両における嵌め込み部が形成された外壁材の部分斜視図
【図8】本発明の実施形態のホースカーにおける車輪とハンドルが走行位置に位置する時の側面図
【図9】本発明の実施形態のホースカーの正面図
【図10】本発明の実施形態のホースカーの底面図
【図11】本発明の実施形態のホースカーにおける車輪とハンドルが収納位置に位置する時の側面図
【図12】本発明の実施形態のホースカーにおける連結具の構成説明用断面図
【符号の説明】
3 ホースカー(運搬車)
10 車体
61 積荷収納部
62 車輪
63 車軸
64 第1連結部材
65 第1連結軸
67 第2連結部材
67a シャフト部
70 連結具
70c 凹部
80 ハンドル
Claims (3)
- 左右方向に沿う一つの軸を中心軸とする車軸に取り付けられる車輪により積荷収納部を支持する運搬車において、
その車輪は、その積荷収納部に走行位置と収納位置との間で変位可能に連結され、
その収納位置の車輪と積荷収納部の収納領域との左右方向から視認した重なり部分の面積は、その走行位置の車輪と積荷収納部の収納領域との左右方向から視認した重なり部分の面積よりも大きくされ、
その積荷収納部に左右方向軸心の第1連結軸まわりに一端側が回転可能に連結される第1連結部材と、
その積荷収納部に一端側が着脱可能に連結される第2連結部材とを備え、
その第1連結部材の他端側と第2連結部材の他端側とは、その第1連結部材の一端側と第2連結部材の一端側との前後間において左右方向軸まわりに相対回転可能に連結され、
その車軸は、その第1連結部材と第2連結部材により、その第1連結部材の一端側と第2連結部材の一端側との前後間において支持され、
その積荷収納部と第2連結部材との連結解除状態において、その積荷収納部に対する第1連結部材の回転と、その第1連結部材と第2連結部材の相対回転により、その車輪は走行位置と収納位置との間で上下に変位可能とされ、
その積荷収納部と第2連結部材との連結により、その車輪は走行位置と収納位置とにおいて位置決め可能とされている運搬車。 - その第2連結部材は、左右方向に沿うシャフト部を有し、
その積荷収納部に連結具が設けられ、
その連結具に、そのシャフト部が径方向から抜き差し可能な凹部が形成され、
その凹部からのシャフト部の抜けが弾力により規制されるように、その凹部の開口幅がシャフト部の径方向において弾性的に変更可能とされ、
その車輪が走行位置に位置する時、その凹部の内面にシャフト部の外周面が押し付けられることで、その車輪の上方への変位が阻止され、
その車輪が収納位置に位置する時、その凹部の内面にシャフト部の外周面が押し付けられることで、その車輪の下方への変位が阻止される請求項1に記載の運搬車。 - その積荷収納部に連結されるハンドルを備え、
そのハンドルは、その積荷収納部に走行位置と収納位置との間で変位可能に連結され、
その収納位置のハンドルと積荷収納部の収納領域との上下方向から視認した重なり部分の面積は、その走行位置のハンドルと積荷収納部の収納領域との上下方向から視認した重なり部分の面積よりも大きくされる請求項1または2に記載の運搬車。
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- 2002-07-19 JP JP2002211754A patent/JP3712997B2/ja not_active Expired - Lifetime
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