JP3710273B2 - 電子源及び画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子源及び画像形成装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子放出素子を多数個配置してなる電子源、該電子源を用いて構成した表示装置や露光装置等の画像形成装置、及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子放出素子には大別して熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、「FE型」と称す。)、金属/絶縁層/金属型(以下、「MIM型」と称す。)や表面伝導型電子放出素子等が有る。
【0003】
表面伝導型電子放出素子の例としては、M.I. Elinson, Radio Eng. Electron Phys., 10,1290(1965)等に開示されたものがある。
【0004】
表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面伝導型電子放出素子の典型的な構成例として、例えば特開平7−235255号公報には、Pd等の金属薄膜を用いた素子が開示されており、その素子構成を図1に模式的に示す。同図において、1は基板、2及び3は素子電極である。4はPd等の金属酸化物薄膜等からなる導電性膜で、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理により、その一部に電子放出部5が形成されている。
【0005】
通電フォーミングとは、上記導電性膜4の両端に電圧を印加通電し、導電性膜4を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした亀裂を含む電子放出部5を形成する処理である。
【0006】
さらに、電子放出特性を改善するため、後述するように「活性化」と称する処理を行い、上記電子放出部5に、あるいは電子放出部とその近傍に、炭素及び/又は炭素化合物からなる膜(カーボン膜)を形成する場合がある。
【0007】
上記の活性化処理は、有機物質を含む雰囲気中で、導電性膜4の両端に電圧を印加通電し、電子放出部5あるいはさらにその周辺にカーボン膜を堆積させる方法によって行うことができる。
【0008】
上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が単純で製造も容易であることから、大面積に亙って多数素子を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を活かすための種々の応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、表示装置等の画像形成装置への利用が挙げられる。
【0009】
多数の表面伝導型電子放出素子を配列形成した例としては、詳しくは後述するが、並列に表面伝導型電子放出素子を配列し、個々の素子の両端を配線(共通配線とも呼ぶ)にて夫々結線した行を多数行配列した電子源が挙げられる(例えば、特開昭64−031332号公報、特開平1−283749号公報、特開平2−257552号公報等)。
【0010】
また、特に表示装置等の画像形成装置においては、近年、液晶を用いた平板型表示装置が、CRTに替わって普及してきたが、自発光型でないため、バックライト等を持たなければならない等の問題点があり、自発光型の表示装置の開発が望まれてきた。自発光型表示装置としては、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源と、この電子源より放出された電子によって可視光を発光せしめる蛍光体とを組み合わせた表示装置である画像形成装置が挙げられる(例えば、アメリカ特許第5066883号明細書)。
【0011】
上記のような表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源を用いた画像形成装置では、電子源基板と蛍光体を有する基板との対向距離を短くすることができ、従来のCRTと異なり、薄型の装置を構成することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、前記電子源の一製造工程である活性化工程においては、有機物質の種類等にもよるが、有機物質の分圧が大きいと、得られる電子放出素子の電子放出特性(電子放出量、電子放出効率等)が低下する場合があり、有機物質を含む真空容器内の圧力を1×10-2Pa程度もしくはこれ以下の圧力に設定していた。
【0013】
一方、前述した画像表示等を目的とする画像形成装置を製造する際に、基板上に表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源基板に蛍光体を有する基板を対向させ、これらを薄型で非常に内部が狭い空間を有する外囲器内に設置した後に、電子源基板上の素子のフォーミング工程や、活性化工程を行う場合がある。しかしながら、薄型で非常に内部が狭い空間を有する外囲器の中に、前述した有機物質を導入して電子源基板の活性化工程を行う場合には、以下に述べるように、各電子放出素子に対して均一な活性化を行うことが難しいという問題がある。
【0014】
すなわち、薄型で内部空間が狭い外囲器内ではガスのコンダクタンスが小さく、かかる外囲器内に高真空下でガスの導入を行う場合には、ガス自身が外囲器の中に入りにくかったり、外囲器に設けられたガスの供給口や排気口からの距離によって有機物質の圧力(分圧)に差が生じ易く、電子源基板上の場所によって有機物質の濃度むらが生じ易いため、電子源基板上の各素子に対して均一に活性化を行えない場合があった。
【0015】
このように電子源基板上の各電子放出素子に対して不均一な活性化が行われると、電子放出素子毎に電子放出特性がばらつき、かかる電子源を用いた画像形成装置においては表示画像の輝度にむらが生じるという問題がある。
【0016】
本発明の目的は、電子放出特性が均一な複数の電子放出素子を有する電子源を提供し、更には、より高品位な画像を形成し得る画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0018】
すなわち、本発明の第1は、内部空間を有する外囲器内に、一対の素子電極間に電子放出部を含む導電性膜を有する電子放出素子を複数個備える電子源の製造方法において、
該外囲器内部に、少なくとも有機物質及び不活性ガスを含むガスを粘性流領域の圧力となるように封入後、該素子電極間に電圧を印加して、少なくとも該電子放出部に炭素又は/及び炭素化合物を堆積させる活性化工程を有し、該有機物質及び不活性ガスを含むガスを該外囲器内部で対流させることを特徴とする電子源の製造方法にある。
【0019】
また、本発明の第2は、基体上に、一対の素子電極間に電子放出部を含む導電性膜を有する電子放出素子を複数個備える電子源の製造方法において、
上記素子電極及び上記電子放出部を含む導電性膜が形成された上記基体上に、一時的に外気と遮断された空間を形成する外囲器を設け、この空間内に少なくとも有機物質及び不活性ガスを含むガスを粘性流領域の圧力となるように封入後、該素子電極間に電圧を印加して、少なくとも該電子放出部に炭素又は/及び炭素化合物を堆積させる活性化工程を有し、該有機物質及び不活性ガスを含むガスを上記空間内で対流させることを特徴とする電子源の製造方法にある。
【0020】
上記本発明の第1及び第2の電子源の製造方法は、さらにその特徴として、「前記外囲器に温度分布を与えることで、該外囲器内部の前記有機物質及び不活性ガスを含むガスを対流させる」こと、
「前記外囲器内部の前記有機物質及び不活性ガスを含むガスにイオンを生じさせ、該イオンに電磁気力を作用させることで、該有機物質を含むガスを対流させる」こと、
「前記外囲器内部の前記有機物質及び不活性ガスを含むガスの全圧が100Pa以上である」こと
前記電子放出素子が、表面伝導型電子放出素子である」こと、
をも含むものである。
【0023】
また、本発明の第は、内部空間を有する外囲器内に、一対の素子電極間に電子放出部を含む導電性膜を有する電子放出素子を複数個備える電子源と、該電子源から放出される電子線の照射により画像を形成する画像形成部材とを具備する画像形成装置の製造方法において、該電子源を上記本発明の第1又は第2の方法で製造することを特徴とする画像形成装置の製造方法にある。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施態様を示す。
【0026】
本発明においては、例えば特開平7−235255号公報に記載の電子放出素子を好適に用いることができ、その基本的構成には大別して、平面型と垂直型の2つがある。
【0027】
平面型の電子放出素子とは、素子電極が同一面上に形成された構成を有する素子のことを言い、垂直型の電子放出素子とは、素子電極が絶縁層を介して上下に位置し、この絶縁層の側面に導電性膜が形成された構成を有する素子のことを言う。以下、平面型の電子放出素子についてのみ概説する。
【0028】
図1は、本発明で用いられる平面型の電子放出素子の一構成例を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は縦断面図である。図1において、1は基板、2と3は電極(素子電極)、4は導電性膜、5は電子放出部である。
【0029】
基板1としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等によりSiO2 を積層したガラス基板及びアルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることができる。
【0030】
対向する素子電極2,3の材料としては、一般的な導体材料を用いることができる。素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して設計される。
【0031】
尚、図1に示した構成だけでなく、基板1上に、導電性膜4、対向する素子電極2,3の順に積層した構成とすることもできる。
【0032】
導電性膜4を構成する主な材料は、Pd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、PdO,SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 等の酸化物、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,CeB6 ,YB4 ,GdB4 等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,HfN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等の中から適宜選択される。
【0033】
導電性膜4には、良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好ましい。その膜厚は、素子電極2,3へのステップカバレージ、素子電極2,3間の抵抗値及び後述するフォーミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常は、数Å〜数百nmの範囲とするのが好ましく、より好ましくは1nm〜50nmの範囲とするのが良い。その抵抗値は、Rsが102 Ω/□〜107 Ω/□の値であるのが好ましい。なお、Rsは、幅がwで長さがlの薄膜の抵抗Rを、R=Rs(l/w)と置いたときの値である。ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるいは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体として島状構造を形成している場合も含む)をとっている。微粒子の粒径は、数Å〜数百nmの範囲、好ましくは1nm〜20nmの範囲である。
【0034】
電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成された高抵抗の亀裂が含まれており、導電性膜4の膜厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング等の手法等に依存したものとなる。電子放出部5の内部には、数Å〜数十nmの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する場合もある。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成する材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するものとなる。また、後述の活性化処理の結果、電子放出部5及びその近傍の導電性膜4には、炭素及び/または炭素化合物を有する。
【0035】
本発明の電子源は、上述のような電子放出素子を基板上に複数個有するものであり、その製造方法の一例について図1〜図6を参照しながら説明する。尚、図2及び図5において、図1に示した部位と同じ部位には同一の符号を付している。
【0036】
1)素子電極の形成
基板1を洗剤、純水及び有機溶剤等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて基板1上に複数対の素子電極2,3を形成する(図2(a))。
【0037】
2)導電性膜の形成
複数対の素子電極2,3を設けた基板1上に、有機金属溶液を塗布して、有機金属膜を形成する。有機金属溶液には、前述の導電性膜4の材料の金属を主元素とする有機化合物の溶液を用いることができる。この有機金属膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によりパターニングし、各対の素子電極2,3間に跨がる導電性膜4を形成する(図2(b))。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて説明したが、導電性膜4の形成法はこれに限られるものではなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用いることもできる。
【0038】
3)フォーミング処理
続いて、フォーミング工程を施す。このフォーミング工程の方法の一例として通電処理による方法を説明する。所定の真空雰囲気下で素子電極2,3間に、不図示の電源より通電すると、導電性膜4の部位に、構造の変化した電子放出部5が形成される(図2(c))。通電フォーミングによれば、導電性膜4に局所的に破壊,変形もしくは変質等の構造の変化した部位(一般に、亀裂形態である場合が多い)が形成される。該部位が電子放出部5を構成する。通電フォーミングの電圧波形の例を図3に示す。
【0039】
通電フォーミングの電圧波形は、特にパルス波形が好ましい。これにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加する図3(a)に示した手法と、パルス波高値を増加させながらパルスを印加する図3(b)に示した手法がある。
【0040】
4)活性化処理
フォーミングを終えた素子には活性化工程と呼ばれる処理を施す。活性化工程とは、この工程により、素子電流If 、放出電流Ie が、著しく変化する工程である。
【0041】
活性化工程は、例えば、有機物質を含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、素子電極2,3間にパルス電圧の印加を繰り返すことで行うことができる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の素子の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため、場合に応じ適宜設定される。
【0042】
この活性化処理により、雰囲気中に存在する有機物質から、炭素或は炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流If ,放出電流Ie が著しく変化するようになる。
【0043】
ここで、炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含するもので、HOPGはほぼ完全なグラファイト結晶構造、PGは結晶粒が200Å程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒が20Å程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指す。)であり、その膜厚は、50nm以下の範囲とするのが好ましく、30nm以下の範囲とすることがより好ましい。
【0044】
本発明で用いることができる適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレン、アセチレンなどCn2nやCn2n-2等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。
【0045】
本発明では、上記の有機物質を単独で用いても良いし、必要に応じては、混合して用いても良い。また、これらの有機物質を有機物質でない他のガスと希釈して用いても良い。以下、この有機物質を含み、活性化工程の際に用いられるガスを「活性化ガス」と記載する。
【0046】
本発明では、後述するように活性化ガスを対流させることを特徴としているので、活性化ガスの全圧は、気体の粘性流領域であることを要し、より具体的には100Pa以上が好ましい。
【0047】
条件にもよるが、活性化ガス中の有機物質の分圧が高くなると、得られる電子放出素子の電子放出特性(電子放出量、電子放出効率)が低下する場合がある。したがって、活性化可能な限り、活性化ガス中の有機物質の分圧は低い方が好ましい場合があり、その場合には希釈した活性化ガスを用いることが好ましい。
【0048】
希釈ガスの要件としては、例えば、活性化ガス中の有機物質と反応しないこと、活性化工程で生じている炭素又は炭素化合物の形成反応を阻害したり、形成される炭素又は炭素化合物を分解したりしないことなどが挙げられる。このような希釈ガスとして用いることができるガスの種類としては、例えば、窒素、アルゴン、キセノンといった不活性ガスが挙げられる。
【0049】
本発明において、活性化工程における電圧印加の条件としては、電圧値の時間変化、電圧印加の方向、波形等を、状況に応じて適宜選ぶことが出来る。
【0050】
電圧値の時間変化は、フォーミングと同様に、電圧値を時間とともに上昇させていく手法や、固定電圧で行う手法で行うことができる。
【0051】
また、図4に示すように、電圧印加の方向は、駆動と同様の方向(順方向)のみに印加(図4(a))しても良いし、順方向、逆方向を交互に変化させて印加(図4(b))しても良い。交互に電圧を印加する場合、亀裂に対して対称にカーボン膜が形成されると思われ、これが好ましい場合もある。
【0052】
また、波形については、図4では矩形波の例を示したが、正弦波、三角波、鋸波等任意の波形を用いることができる。
【0053】
活性化工程の終了判定は、素子電流If を測定しながら、適宜行うことができる。
【0054】
5)安定化工程
このような工程を経て得られた電子放出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程は、真空容器(本発明では、外囲器に相当する。)内の有機物質を排気する工程である。真空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることが出来る。真空容器内の有機成分の分圧は、上記炭素あるいは炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧で1.3×10-6Pa以下が好ましく、さらには1.3×10-8Pa以下が特に好ましい。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。このときの加熱条件は、80℃以上、好ましくは150℃以上で、できるだけ長時間処理するのが望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で、1.3×10-5Pa以下が好ましく、さらには1.3×10-6Pa以下が特に好ましい。
【0055】
安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な特性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、また真空容器や基板などに吸着したH2 O,O2 なども除去でき、結果として素子電流If ,放出電流Ie が、安定する。
【0056】
上述した工程を経て得られた電子源を構成する電子放出素子の基本特性について、図5により説明する。
【0057】
図5は、本発明により形成された電子源を構成する電子放出素子の放出電流Ie 及び素子電流If と、素子電圧Vf との関係を模式的に示した図である。図5においては、放出電流Ie が素子電流If に比べて著しく小さいので、任意単位で示している。尚、縦・横軸ともリニアスケールである。
【0058】
図5からも明らかなように、この電子放出素子は、放出電流Ie に関して次の3つの特徴的性質を有する。
【0059】
即ち、第1に、本素子はある電圧(閾値電圧と呼ぶ;図5中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ie が増加し、一方閾値電圧Vth以下では放出電流Ie が殆ど検出されない。つまり、放出電流Ie に対する明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0060】
第2に、放出電流Ie が素子電圧Vf に単調増加依存するため、放出電流Ie は素子電圧Vf で制御できる。
【0061】
第3に、放出電荷は、素子電圧Vf を印加する時間に依存する。つまり、電荷量は、素子電圧Vf を印加する時間により制御できる。
【0062】
以上の説明より理解されるように、本発明に用いられる電子放出素子は、入力信号に応じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。この性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成した電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能となる。
【0063】
図5においては、素子電流If が素子電圧Vf に対して単調増加する(MI特性)例を示したが、素子電流If が素子電圧Vf に対して電圧制御型負性抵抗特性(VCNR特性)を示す場合もある(不図示)。これらの特性は、前述の工程を制御することで制御できる。
【0064】
次に、上述の電子放出素子の複数個を基板上に配列した電子源と、かかる電子源からの電子線の照射により画像を形成する画像形成部材を備える画像形成装置について、具体例を挙げて説明する。
【0065】
本発明の電子源における電子放出素子の配列については、種々のものが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子からの電子を制御駆動する梯子状配置のものがある。これとは別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配された複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線に共通に接続するものが挙げられる。このようなものは所謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス配置について以下に詳述する。
【0066】
本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子については、前述した通り3つの特性がある。即ち、表面伝導型電子放出素子からの放出電子は、閾値電圧以上では、対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と幅で制御できる。一方、閾値電圧以下では、殆ど放出されない。この特性によれば、多数の電子放出素子を配置した場合においても、個々の素子にパルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して電子放出量を制御できる。
【0067】
以下この原理に基づき、本発明を適用可能な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板について、図6を用いて説明する。
【0068】
図6において、71は電子源基板、72はX方向配線、73はY方向配線である。74は電子放出素子、75は結線である。なお、電子放出素子74は、前述した平面型あるいは垂直型のどちらであってもよい。
【0069】
m本のX方向配線72は、Dx1,Dx2,……,Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構成することができる。配線の材料、膜厚、幅は適宜設計される。Y方向配線73は、Dy1,Dy2,……,Dynのn本の配線よりなり、X方向配線72と同様に形成される。これらm本のX方向配線72とn本のY方向配線73との間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を電気的に分離している(m,nは、共に正の整数)。
【0070】
不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成される。例えば、X方向配線72を形成した基板71の全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引き出されている。
【0071】
電子放出素子74を構成する一対の素子電極(不図示)は、それぞれm本のX方向配線72とn本のY方向配線73に、導電性金属等からなる結線75によって電気的に接続されている。
【0072】
配線72と配線73を構成する材料、結線75を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であっても、また夫々異なってもよい。これらの材料は、例えば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子電極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0073】
X方向配線72には、X方向に配列した電子放出素子74の行を選択するための走査信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方向配線73には、Y方向に配列した電子放出素子74の各列を入力信号に応じて変調するための、不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0074】
上記構成においては、マトリクス配線を用いて個別の素子を選択し、独立に駆動することができる。
【0075】
このような単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した画像形成装置について、図7と図8及び図9を用いて説明する。図7は、画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図であり、図8は、図7の画像形成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図9は、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0076】
図7において、71は電子放出素子を複数配した電子源基板、81は電子源基板71を固定したリアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85等が形成されたフェースプレートである。82は支持枠であり、該支持枠82には、リアプレート81、フェースプレート86が低融点のフリットガラス等を用いて接合される。74は、図1に示したような電子放出素子である。72,73は、電子放出素子74の一対の素子電極(不図示)と接続されたX方向配線及びY方向配線である。
【0077】
外囲器88は、上述の如く、フェースプレート86、支持枠82、リアプレート81で構成される。リアプレート81は主に基板71の強度を補強する目的で設けられるため、基板71自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート81は不要とすることができる。即ち、基板71に直接支持枠82を封着し、フェースプレート86、支持枠82及び基板71で外囲器88を構成してもよい。一方、フェースプレート86とリアプレート81の間に、スぺーサーと呼ばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0078】
図8は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみで構成することができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列により、ブラックストライプ(図8(a))あるいはブラックマトリクス(図8(b))等と呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とから構成することができる。ブラックストライプ、ブラックマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射によるコントラストの低下を抑制することにある。黒色導電材91の材料としては、通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料を用いることができる。
【0079】
ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法や印刷法等が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート86側へ鏡面反射することにより輝度を向上させること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージから蛍光体を保護すること等である。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製できる。
【0080】
フェースプレート86には、更に蛍光膜84の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0081】
前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、十分な位置合わせが不可欠となる。
【0082】
図7に示したような画像形成装置の製造方法の一例を以下に説明する。
【0083】
図12に、本発明の製造方法におけるフォーミング工程及び活性化工程で好適に用いられる装置の概要を模式的に示す。画像表示装置131は、排気管132を介して真空チャンバー133に連結され、さらにゲートバルブ134を介して排気装置135に接続されている。真空チャンバー133には、内部の圧力及び雰囲気中の各成分の分圧を測定するために、圧力計136、四重極質量分析器137等が取り付けられている。画像表示装置131の外囲器88内部の圧力などを直接測定することは困難であるため、該真空チャンバー133内の圧力などを測定し、処理条件を制御する。真空チャンバー133には、さらに必要なガスを真空チャンバー133内に導入して雰囲気を制御するため、ガス導入ライン138が接続されている。該ガス導入ライン138の他端には導入物質源140が接続されており、導入物質がアンプルやボンベなどに入れて貯蔵されている。ガス導入ライン138の途中には、ガスの導入量制御手段139が設けられている。該導入量制御手段139としては、具体的には、スローリークバルブなどガス流量を制御可能なバルブや、マスフローコントローラーなどが、導入物質の種類に応じて、それぞれ使用が可能である。
【0084】
図12の装置を用いて外囲器88の内部を排気すれば、前述のフォーミング工程を行うことができる。この際、例えば図13に示すように、Y方向配線73を共通電極141に接続し、X方向配線72の内の1つに接続された素子列に、電源142によって同時に電圧パルスを印加して通電フォーミングを行うことができる。このとき、パルスの形状や、処理の終了の判定などの条件は、個別素子のフォーミングについての既述の方法に準じて選択すればよい。また、複数のX方向配線に、位相をずらせたパルスを順次印加(スクロール)することにより、複数のX方向配線に接続された素子を纏めてフォーミングすることもできる。尚、図13中、143は電流測定用抵抗、144は電流測定用のオシロスコープを示す。
【0085】
フォーミング終了後、本発明における最大の特徴である活性化工程を行う。以下に、この活性化工程について詳述する。
【0086】
フェースプレート86とリアプレート81の間隔が狭い薄型の外囲器では、活性化ガスのコンダクタンスが小さくなり、外囲器内部で活性化ガスの雰囲気に分布が生じたり、活性化ガスの導入に時間がかかったするなどの問題があった。
【0087】
また、従来、活性化工程は、有機物質を含む1.3×10-2Pa以下の高真空の雰囲気下で行われていた。この場合、外囲器88の内面からの放出ガスや、活性化ガス導入のためのバルブの開度の変化等によって真空圧力の変動が生じないように、常に、真空排気された状態で、微量の活性化ガスを流し続ける必要があった。
【0088】
本発明では、外囲器内に導入した活性化ガスを、外囲器内で対流させることにより、外囲器内の活性化ガスの均一性を保ち、電子源基板上の電子放出素子の活性化を均一に行うものである。
【0089】
このように外囲器内で活性化ガスを対流させるため、活性化ガスの全圧は、気体の粘性流領域であり、より具体的には、100Pa以上が好ましい。
【0090】
外囲器88内へは、図12に示すように、ガス導入ライン138等を介し排気管132を通じて活性化ガスを導入することができ、この導入方法にはいくつかの手法がある。例えば、外囲器内部を一度排気した後、ガス導入を行う(排気管が1本の場合、この手法となる)。排気管が複数本ある場合には、この他に、活性化ガスを適当な時間流して行うことも可能である。
【0091】
活性化ガスの導入に際しては、活性化工程を阻害する成分(例えば、水等)をできるだけ抑えるために、予め外囲器88内を一度排気しておくことが好ましく、この際、外囲器88全体を加熱しながら排気を行う方が更に好ましい。
【0092】
本発明では、真空チャンバー138を介して、外囲器88内部に活性化ガスを導入後、真空チャンバー138と外囲器88との間に設けられたバルブ130を閉じ、活性化ガスを外囲器88内に封入した後に、外囲器88内で活性化ガスを対流させることを特徴とする。これにより、外囲器88内での活性化ガスの対流が、真空チャンバー138からの活性化ガスの拡散によって乱されることなく行うことができる。
【0093】
本発明の製造方法における活性化ガスの対流方法としては、例えば以下の手法が挙げられる。
【0094】
▲1▼.外囲器88の一部分を加熱又は冷却して、内部の活性化ガスに温度差を作り、対流させる。
【0095】
▲2▼.活性化ガス中にイオンを発生させ、そのイオンを電場又は磁場の作用によって動かし、イオンの動きに引きずらせて活性化ガスを対流させる。
【0096】
図14は、上記▲1▼の温度差を利用した対流方式の原理図である。
【0097】
図14(a)は、外囲器88のフェースプレート86又はリアプレート81のどちらか(図ではリアプレート81)を下側から線上に加熱するためのヒータ161を配置したものである。外囲器88を加熱又は冷却する場所は、電子源基板71を避けることが好ましい。これは、活性化工程が、電子源基板71の温度差による新たな影響を受けることを避けるためである。
【0098】
しかし、図14(b)に示すように、同様のヒータ161を多数本線上に配置して、活性化ガスを数箇所でより効率的に対流させることができる。この場合、活性化工程をヒータの場所に対応させて分割して行い、活性化を行っている素子の近傍以外のヒータを加熱する等の対策を行うことが好ましい。
【0099】
外囲器88へ与える温度差は、10℃以上が好ましい。この温度差が小さいと、外囲器内で活性化ガスの対流が不十分になり易い。一方、局所的な温度差で外囲器に生ずる熱ひずみによって、外囲器が破壊されないことが必要であり、これによって、外囲器に与える温度差の上限が決まる。ひずみと破壊の関係は、外囲器の大きさ、外囲器を構成している材料の種類によって決まる。一般に、A4サイズ程度の大きさで、ガラス材料と、これに熱膨張係数を合わせたフリットガラスを用いた外囲器の場合、外囲器に1mm当たり5℃以上の温度差にならないように、外囲器を加熱する必要がある。
【0100】
図15及び図16は、前記▲2▼の活性化ガス中に存在するイオンに電場又は磁場を作用させてイオンを動かすことで活性化ガスを対流させる原理図である。
【0101】
図15及び図16において、活性化ガス中にイオン162,175,176を発生させるには、活性化ガスを外囲器内部に導入後、活性化ガスの一部を電離させることにより行うことができる。この活性化ガスを電離させる方法としては、例えば、外囲器88内部に設けた対向電極163,164、170,171、172,173に電源167,174により高周波を印加することで放電させる方法がある。
【0102】
図15では、電界Eを作用させる電極165,166を外囲器88を構成する支持枠82の対向する内側に設けた例を示したが、この構成に限定されるものではない。
【0103】
図16においては、活性化ガス中に存在するイオン175,176に交番磁場Hを作用させて、イオン175,176を動かすことで活性化ガスを対流させることができる。すなわち、交番磁場Hを印加すると、磁場を打ち消すように渦電流Iが誘起される。この渦電流Iは、活性化ガス中のイオンの移動であるため、この移動によって活性化ガスを対流させることができるものである。尚、図16(a)は断面図、図16(b)は斜視図である。
【0104】
図16では、磁場Hを作用させるコイル169を外囲器88を構成する支持枠82の外周に設けた例を示したが、この構成に限定されるものではない。
【0105】
本発明の製造方法では、上記のようにして外囲器88内の活性化ガスを対流させることにより、外囲器88内の活性化ガスの均一性が保たれ、各電子放出素子の活性化を均一に行うことができ、均一な電子放出特性を有する複数の電子放出素子が形成されるものである。また、高真空領域で行っていた従来の活性化工程とは異なり、活性化ガスの全圧を大きく(例えば大気圧程度にも)設定することができるため、高真空装置を用いることなく外囲器88内に安定して活性化物質を導入することもでき、より簡単な工程により電子源及び画像形成装置を製造することができる。
【0106】
本発明においては、図17に示すように、活性化ガスの対流する経路に、活性化工程を阻害する成分を除去する手段を設けてもよい。活性化工程を阻害する成分としては、例えば水が挙げられ、活性化ガスの対流経路に水を除去する手段を設けることで、活性化工程で得られる電子放出素子の特性を向上させることができる。この水を除去する水分除去剤としては、例えば、無機塩酸、五酸化リン等を用いることができる。これらの水分除去剤は、外囲器88内で散在しないように、図17に示すように、例えば金属メッシュ容器等からなる水分除去体181内に保持させたり、又は、アルミナ等の不活性な担持体や外囲器88の表面にコーティングして用いることができる。尚、図17(a)は断面図、図17(b)は一部切欠斜視図である。
【0107】
以上のようにして活性化ガスを均一に導入した外囲器88内の雰囲気中で、電子源基板71上に形成された各電子放出素子に電圧を印加することにより、炭素あるいは炭素化合物、もしくは両者の混合物が電子放出部に堆積し、電子放出量が上昇し、均一性の良い電子源が形成される。このときの電圧の印加方法は、前記フォーミング工程の場合と同様の結線(図13参照)により、同様に行うことができる。
【0108】
活性化工程終了後は、個別素子の場合と同様に、安定化工程を行うことが好ましい。外囲器88を加熱して、80℃以上に保持しながら、イオンポンプ、ソープションポンプなどのオイルを使用しない排気装置135により排気管132を通じて排気し、有機物質の十分に少ない雰囲気にした後、排気管132の封止が成される。外囲器88の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行うこともできる。これは、外囲器88の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱により、外囲器88内の所定の位置に配置されたゲッター(不図示)を加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常はBa等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、外囲器88内の雰囲気を維持するものである。
【0109】
次に、単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例について、図9を用いて説明する。図9において、101は画像表示パネル、102は走査回路、103は制御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメモリ、106は同期信号分離回路、107は変調信号発生器、Vx 及びVa は直流電圧源である。
【0110】
表示パネル101は、端子Dox1 乃至Doxm 、端子Doy1 乃至Doyn 及び高圧端子87を介して外部の電気回路と接続している。端子Dox1 乃至Doxm には、表示パネル101内に設けられている電子源、即ち、m行n列の行列状にマトリクス配線された電子放出素子群を1行(n素子)づつ順次駆動する為の走査信号が印加される。
【0111】
端子Doy1 乃至Doyn には、前記走査信号により選択された1行の電子放出素子の各素子の出力電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。高圧端子87には、直流電圧源Va より、例えば10kVの直流電圧が供給されるが、これは電子放出素子から放出される電子ビームに、蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
【0112】
走査回路102について説明する。同回路は、内部にm個のスイッチング素子(図中、S1 乃至Sm で模式的に示している)を備えたものである。各スイッチング素子は、直流電圧電源Vx の出力電圧もしくは0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表示パネル101の端子Dox1 乃至Doxm と電気的に接続される。各スイッチング素子S1 乃至Sm は、制御回路103が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するものであり、例えばFETのようなスイッチング素子を組み合わせることにより構成することができる。
【0113】
直流電圧源Vx は、本例の場合には電子放出素子の特性(電子放出閾値電圧)に基づき、走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出閾値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定されている。
【0114】
制御回路103は、外部より入力される画像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の動作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同期信号分離回路106より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscan,Tsft 及びTmry の各制御信号を発生する。
【0115】
同期信号分離回路106は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と輝度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号分離回路106により分離された同期信号は、垂直同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分は、便宜上DATA信号と表した。このDATA信号は、シフトレジスタ104に入力される。
【0116】
シフトレジスタ104は、時系列的にシリアルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御回路103より送られる制御信号Tsft に基づいて動作する(即ち、制御信号Tsft は、シフトレジスタ104のシフトクロックであると言い換えてもよい。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分のデータ(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)は、Id1乃至Idnのn個の並列信号として前記シフトレジスタ104より出力される。
【0117】
ラインメモリ105は、画像1ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であり、制御回路103より送られる制御信号Tmry に従って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶された内容は、Id'1 乃至Id'n として出力され、変調信号発生器107に入力される。
【0118】
変調信号発生器107は、画像データId'1 乃至Id'n の各々に応じて、電子放出素子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信号は、端子Doy1 乃至Doyn を通じて表示パネル101内の電子放出素子に印加される。
【0119】
前述したように、本発明を適用可能な電子放出素子は放出電流Ie に関して以下の基本特性を有している。即ち、電子放出には明確な閾値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧が印加された時のみ電子放出が生じる。電子放出閾値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。このことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出閾値電圧以下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、電子放出閾値電圧以上の電圧を印加する場合には電子ビームが出力される。その際、パルスの波高値Vm を変化させることにより、出力電子ビームの強度を制御することが可能である。また、パルスの幅Pw を変化させることにより、出力される電子ビームの電荷の総量を制御することが可能である。
【0120】
従って、入力信号に応じて電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器107としては、一定長さの電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの波高値を変調できるような電圧変調方式の回路を用いることができる。パルス幅変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器107として、一定の波高値の電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いることができる。
【0121】
シフトレジスタ104やラインメモリ105は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のものでも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0122】
デジタル信号式を用いる場合には、同期信号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化する必要があるが、これには同期信号分離回路106の出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ105の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号発生器107に用いられる回路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等を付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器107には、例えば高速の発振器及び発振器の出力する波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合わせた回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0123】
アナログ信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプ等を用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト回路等を付加することもできる。パルス幅変調方式の場合には、例えば電圧制御型発振回路(VCO)を採用でき、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0124】
このような構成をとり得る本発明の画像形成装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Dox1 乃至Doxm 、Doy1 乃至Doyn を介して電圧を印加することにより、電子放出が生じる。高圧端子87を介してメタルバック85あるいは透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速された電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形成される。
【0125】
ここで述べた画像形成装置の構成は、本発明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号についてはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限られるものではなく、PAL、SECAM方式等の他、これらよりも多数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用できる。
【0126】
次に、前述の梯子型配置の電子源及び画像形成装置について、図10及び図11を用いて説明する。
【0127】
図10は、梯子型配置の電子源の一例を示す模式図である。図10において、110は電子源基板、111は電子放出素子である。112は、電子放出素子111を接続するための共通配線Dx1〜Dx10 であり、これらは外部端子として引き出されている。電子放出素子111は、基板110上に、X方向に並列に複数個配置されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行が複数個配置されて、電子源を構成している。各素子行の共通配線間に駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に駆動させることができる。即ち、電子ビームを放出させたい素子行には、電子放出閾値以上の電圧を印加し、電子ビームを放出させたくない素子行には、電子放出閾値以下の電圧を印加する。各素子行間に位置する共通配線Dx2〜Dx9は、例えばDx2とDx3、Dx4とDx5、Dx6とDx7、Dx8とDx9とを夫々一体の同一配線とすることもできる。
【0128】
図11は、梯子型配置の電子源を備えた画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図である。120はグリッド電極、121は電子が通過するための開口、Dox1 乃至Doxm は容器外端子、G1 乃至Gn はグリッド電極120と接続された容器外端子である。110は各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基板である。図11においては、図7、図10に示した部位と同じ部位には、これらの図に付したのと同一の符号を付している。ここに示した画像形成装置と、図7に示した単純マトリクス配置の画像形成装置との大きな違いは、電子源基板110とフェースプレート86の間にグリッド電極120を備えているか否かである。
【0129】
図11においては、基板110とフェースプレート86の間には、グリッド電極120が設けられている。グリッド電極120は、電子放出素子111から放出された電子ビームを変調するためのものであり、梯子型配置の素子行と直交して設けられたストライプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応して1個ずつ円形の開口121が設けられている。グリッド電極の形状や配置位置は、図11に示したものに限定されるものではない。例えば、開口としてメッシュ状に多数の通過口を設けることもでき、グリッド電極を電子放出素子の周囲や近傍に設けることもできる。
【0130】
容器外端子Dox1 乃至Doxm 及びグリッド容器外端子G1 乃至Gn は、不図示の制御回路と電気的に接続されている。
【0131】
本例の画像形成装置では、素子行を1列ずつ順次駆動(走査)して行くのと同期してグリッド電極列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1ラインずつ表示することができる。
【0132】
以上説明した本発明の画像形成装置は、テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光プリンターとしての画像形成装置等としても用いることができる。
【0133】
本発明の製造方法は、必ずしも外囲器を有する画像形成装置でのみ適用されるのではなく、電子源基板の製造方法としても適用できる。例えば前述の表面伝導型電子放出素子を複数個、配列した基板上に分離可能なフードの様なもので覆うことで、基板上に一時的に外気と遮断された空間を作り、この空間内で活性化ガスの導入や対流等を行うことができる。その後、フードと基板を分離して、電子源基板を作成することができる。
【0134】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
【0135】
《実施例1》
本実施例では、表示等に用いる画像形成装置を説明する。図7は、画像形成装置の基本構成図であり、図8は、蛍光膜である。電子源基板71の一部の平面図を図18に示す。また、図18中のA−A’断面図を図19に示す。但し、図18、図19で、同じ符号で示したものは、同じものを示す。ここで71は電子源基板、72は図7のDxmに対応するX方向配線(下配線とも呼ぶ)、73は図7のDynに対応するY方向配線(上配線とも呼ぶ)、4は電子放出部を含む導電性膜、2及び3は素子電極、151は層間絶縁層、152は素子電極2と下配線72との電気的接続のためのコンタクトホールである。
【0136】
本実施例の電子源には、X方向配線上に300個、Y方向配線上に100個の電子放出素子が形成されている。
【0137】
次に製造方法を図20及び図21により工程順に従って具体的に説明する。
【0138】
工程−a
清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板71上に、真空蒸着により厚さ5nmのCr、厚さ600nmのAuを順次積層した後、ホトレジスト(AZ1370 ヘキスト社製)をスピンナーにより回転塗布、ベークした後、ホトマスク像を露光、現像して、下配線72のレジストパターンを形成し、Au/Cr堆積膜をウエットエッチングして、所望の形状の下配線72を形成する。
【0139】
工程−b
次に厚さ1.0μmのシリコン酸化膜からなる層間絶縁層151をRFスパッタ法により堆積する。
【0140】
工程−c
工程bで堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール152を形成するためのホトレジストパターンを作り、これをマスクとして層間絶縁層151をエッチングしてコンタクトホール152を形成する。エッチングはCF4 とH2 ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)法によった。
【0141】
工程−d
その後、素子電極2と素子電極3間のギャップLとなるべきパターンをホトレジスト(RD−2000N−41 日立化成社製)形成し、真空蒸着法により、厚さ5nmのTi、厚さ100nmのNiを順次堆積した。ホトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフトオフした。素子電極間隔Lは5μmとし、素子電極の幅Wを300μm、を有する素子電極2、3を形成した。
【0142】
工程−e
素子電極3の上に上配線73のホトレジストパターンを形成した後、厚さ5nmのTi、厚さ500nmのAuを順次真空蒸着により堆積し、リフトオフにより不要の部分を除去して、所望の形状の上配線73を形成した。
【0143】
工程−f
膜厚100nmのCr膜を真空蒸着により堆積・パターニングし、その上に有機Pd(ccp4230 奥野製薬(株)製)をスピンナーにより回転塗布、300℃で10分間の加熱焼成処理をした。また、こうして形成された主元素としてPdOよりなる微粒子からなる導電性膜4の膜厚は10nm、シート抵抗値は5×104 Ω/□であった。その後、Cr膜および焼成後の導電性膜4を酸エッチャントによりエッチングして所望のパターンを形成した。
【0144】
工程−g
コンタクトホール152部分以外にレジストを塗布するようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ5nmのTi、厚さ500nmのAuを順次堆積した。リフトオフにより不要の部分を除去することにより、コンタクトホール152を埋め込んだ。
【0145】
以上の工程により基板71上に下配線72、層間絶縁層151、上配線73、素子電極2,3、導電性膜4等を形成した。つぎに、以上のようにして作成した電子源を用いて表示装置を構成した例を、図7と図8を用いて説明する。
【0146】
以上のようにして多数の平面型表面伝導電子放出素子を作製した基板71をリアプレート81上に固定した後、基板71の5mm上方に、フェースプレート86(ガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85が形成されて構成される)を支持枠82を介し配置し、フェースプレート86、支持枠82、リアプレート81の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中で410℃で10分以上焼成することで封着し、外囲器88を作成した(図7参照)。また、リアプレート81への基板71の固定もフリットガラスで行った。図7において、74は電子放出素子、72、73はそれぞれX方向及びY方向の配線である。
【0147】
蛍光膜84は、黒色導電材91と蛍光体92とで構成された、ブラックストライプ配列のカラーの蛍光膜を用いた(図8(a)参照)。具体的には、先にブラックストライプを形成し、その間隙部に各色蛍光体を塗布し、蛍光膜84を作製した。ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法はスラリー法を用いた。また、蛍光膜84の内面側にはメタルバック85を設けた。メタルバック85は、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」と呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着することで作製した。前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行った。
【0148】
以上のようにして完成した外囲器88を排気管(図示せず)を介し、磁気浮上型ターボモレキュラーボンプで排気された真空装置と接続した。その後、外囲器88内を1.3×10-4Paまで排気した。
【0149】
容器外端子Dx1ないしDxm(m=300)とDy1ないしDyn(n=100)を通じ電子放出素子74の素子電極2,3間に電圧を印加し、電子放出部5を、導電性膜4を通電処理(フォーミング処理)することにより作成した。
【0150】
フォーミング処理の電圧波形を図3(b)に示す。図3(b)中、T1 及びT2 は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1 を1msec.、T2 を10msec.とし、矩形波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は0.1Vステップで昇圧し、フォーミング処理を行なった。また、フォーミング処理中は、同時に、0.1Vの電圧で、T2 間に抵抗測定パルスを挿入し、抵抗を測定した。尚フォーミング処理の終了は、抵抗測定パルスでの測定値が、約1MΩ以上になった時とし、同時に、素子への電圧の印加を終了した。それぞれの素子のフォーミング電圧VFは、5.0Vであった。
【0151】
このように作成された電子放出部5は、パラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された状態となり、その微粒子の平均粒径は3nmであった。
【0152】
次に、真空装置を経由して、外囲器88内に1%窒素希釈のアセチレンガスを1.01Paを導入し、その後窒素ガスを導入し、外囲器内の圧力を1.01×105 Paにし、排気管と真空装置を接続するバルブを閉じた。
【0153】
容器外端子Dx1ないしDxm(m=300)とDy1ないしDyn(n=100)を通じ電子放出素子74の素子電極2,3間に電圧を印加し活性化工程を行った。
【0154】
活性化工程での電圧印加条件は、波高値は±10V、パルス幅0.1msec.、パルス間隔5msec.の両極の矩形波(図4(b))を用いた。その後、矩形波の波高値は±10Vから±14Vまで3.3mV/sec.で徐々に電圧を増加させ、±14Vに達したときに電圧印加を終了した。
【0155】
また、活性化工程を行う際には、図14(a)に示すように、外囲器88のリアプレート81を上配線に沿った方向でしかも、電子源基板71の外側で線状に加熱した(加熱温度は、約60℃とした)。その後、排気管と真空装置を接続するバルブを開き、外囲器88内の活性化ガスを排気した。
【0156】
最後に安定化工程として、約1.33×10-4Paの圧力で、150℃10時間のベーキングを行った後、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し外囲器88の封止を行った。
【0157】
以上のように完成した本発明の画像形成装置において、各電子放出素子には、容器外端子Dx1ないしDxm(m=300)とDy1ないしDyn(n=100)を通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生手段よりそれぞれ、印加することにより、電子放出させ、高圧端子87を通じ、メタルバック85に6kV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜84に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示した。
【0158】
表示画像の輝度の分布を輝度計により測定した。ここで、表示画像の輝度の分布は、表示画像域を5×5の領域に分割し、その中心の約1cm2 の面積を有する25個所の輝度を測定し、輝度の分布を以下のように定義した。
【0159】
輝度の分布(%)=(輝度の標準偏差/平均輝度)×100
その結果、本実施例の画像形成装置の輝度の分布は、5%であった。
【0160】
《比較例1》
実施例1で、活性化工程を行う際に、外囲器88のリアプレート81の線状加熱を行わなかった以外は、すべて同様に行った。そして、表示画像の輝度の分布を実施例1と同様に測定したところ、10%であった。
【0161】
《実施例2》
図10と同様の構成で、隣接する2本の配線間に電子放出素子111を多数有する、梯子型の電子源基板を作成した。ここで、電子源基板110上の隣接配線間には、電子放出素子を120個形成し、このような隣接配線組を40組作成した。
【0162】
電子源基板は、清浄化した青板ガラス上に厚さ500nmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板上に、実施例1で示した工程d〜fと同様に行い、作成した。
【0163】
次に、この電子源基板110をリアプレート81上に固定した後、電子源基板110の上方に、電子通過孔l21を有するグリッド電極120を電子放出素子の配線電極112と直交する方向に配置した。更に電子源基板110の5mm上方に、実施例1と同様にして作成したフェースプレート86を支持枠82を介し配置し、フェースプレート86、支持枠82、リアプレート81の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中で410℃で10分以上焼成することで封着し、外囲器88を作成した(図11参照)。なお、リアプレート81への電子源基板110の固定もフリットガラスで行った。
【0164】
前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行った。
【0165】
また、外囲器88の内部には、図17に示すように、電子源基板71の近傍に、塩化カルシウム粒をステンレスメッシュ容器に入れた水分除去体181を置いた。水分除去体181は、外囲器内部で移動しないように仕切り枠182で固定した。なお、ステンレスメッシュ容器は、塩化カルシウム粒が外部に出ないように、また、外囲器内部の雰囲気に十分接するように、メッシュの荒さを#300にした。
【0166】
以上のようにして完成した外囲器88を排気管(不図示)を介し、オイルを使用しない真空ボンプで排気できる真空装置と接続した。その後、外囲器88内を1.33×10-4Paまで排気した。
【0167】
容器外端子Dx1ないしDxm(m=80)を通じ電子放出素子111の素子電極間に電圧を印加し、電子放出部5を、導電性膜4を通電処理(フォーミング処理)することにより作成した。
【0168】
次に、真空装置を経由して、外囲器88内に1%窒素希釈のアセチレンガスを1.01Paを導入し、その後窒素ガスを導入し、外囲器88内の圧力を1.01×105 Paまでにし、排気管と真空装置を接続するバルブを閉じた。
【0169】
容器外端子Dx1ないしDxm(m=80)を通じ電子放出素子111の素子電極間に電圧を印加し活性化工程を行った。
【0170】
活性化工程での電圧印加条件は、波高値は±10V、パルス幅0.1msec.、パルス間隔5msec.の両極の矩形波(図4(b))を用いた。その後、矩形波の波高値は±10Vから±14Vまで3.3mV/sec.で徐々に電圧を増加させ、±14Vに達したときに電圧印加を終了した。
【0171】
また、活性化工程を行う際に、図17に示すように、外囲器88のリアプレート81上の水分除去体181の位置に対向する場所で線状のヒータ161で加熱した(加熱温度は、約60℃とした)。
【0172】
その後、排気管と真空装置を接続するバルブを開き、外囲器88内の活性化ガスを排気した。
【0173】
最後に安定化工程として、約1.33×10-4Paの圧力で、150℃10時間のベーキングを行った後、実施例1と同様の電圧印加を行い、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し外囲器88の封止を行った。
【0174】
以上のように完成した本発明の画像形成装置において、各電子放出素子には、容器外端子Dx1ないしDxm(m=80)を通じ、電圧を印加することにより電子放出させ、放出された電子はグリッド電極120の電子通過孔l21を通過した後、高圧端子87を通じ、メタルバック、あるいは透明電極(不図示)に印加された数kV以上の高圧により加速され、蛍光膜84に衝突し、励起・発光させる。その際、グリッド電極120に情報信号に応じた電圧を容器外端子G1 ないしGn を通じ印加することにより、電子通過孔l21を通過する電子ビームを制御し画像表示するものである。
【0175】
本実施例では、絶縁層であるSiO2 (不図示)を介し、電子源基板110の10μm上方に50μm径の電子通過孔121を有するグリッド電極120を配置することで、加速電圧として6kV印加したとき、電子ビームのオンとオフは50V以内の変調電圧で制御できた。また、表示画像の輝度分布を実施例1と同様に測定したところ4%であった。
【0176】
《比較例2》
実施例2で、活性化工程を行う際に、外囲器88のリアプレート81の線状加熱を行わなかった以外は、すべて同様に行った。そして、表示画像の分布を実施例1と同様に測定したところ、15%であった。
【0177】
以上の実施例では、マトリクス配置の電子源を用いた画像形成装置(実施例1)及び梯子状配置の電子源とグリッド電極を用いた画像形成装置(実施例2)を示したが、電子放出素子からの電子を蛍光体に衝突させる構成であれば、本発明はどのような装置にも適用できるものである。
【0178】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電子放出特性が均一な複数の電子放出素子を持った電子源が得られ、かかる電子源を用いて構成した画像形成装置にあっては、輝度むらのない均一な表示画像が得られる。また、本発明の製造方法で得られる電子源は、この他に、電子線(EB)描画装置、記録装置にも適用することが可能である。さらに、本発明の製造方法によれば、これらの装置を簡単な工程で作成することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる基本的な表面伝導型電子放出素子の一構成例を示す模式的平面図及び断面図である。
【図2】図1の表面伝導型電子放出素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図3】本発明に係わる通電フォーミングの電圧波形の例を示す図である。
【図4】本発明に係わる活性化工程の電圧波形の例を示す図である。
【図5】本発明に係わる表面伝導型電子放出素子についての放出電流Ie 及び素子電流If と素子電圧Vf の関係の一例を示す図である。
【図6】本発明に係わる単純マトリクス配置した電子源の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図8】蛍光膜の一例を示す模式図である。
【図9】画像形成装置にNTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行なうための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図10】本発明に係わる梯子型配置した電子源の一例を示す模式図である。
【図11】本発明の画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図12】本発明に係わるフォーミング工程及び活性化工程を行うための真空排気装置の一例を示す模式図である。
【図13】本発明に係わるフォーミング工程及び活性化工程のための結線方法の一例を示す模式図である。
【図14】本発明に係わる温度差を用いた活性化ガスの対流手法の一例を示す模式図である。
【図15】本発明に係わる電界を用いた活性化ガスの対流手法の一例を示す模式図である。
【図16】本発明に係わる磁界を用いた活性化ガスの対流手法の一例を示す模式図である。
【図17】本発明に係わる活性化ガスの対流経路に活性化阻害物質の除去手段を設けた例を示す模式図である。
【図18】実施例1および比較例1の電子源の平面図である。
【図19】実施例1および比較例1の電子源の断面図である。
【図20】実施例1および比較例1の電子源の製法図である。
【図21】実施例1および比較例1の電子源の製法図である。
【符号の説明】
1 基板
2,3 素子電極
4 導電性膜
5 電子放出部
71 電子源基板
72 X方向配線
73 Y方向配線
74 電子放出素子
75 結線
81 リアプレート
82 支持枠
83 ガラス基板
84 蛍光膜
85 メタルバック
86 フェースプレート
87 高圧端子
88 外囲器
91 黒色導電材
92 蛍光体
101 表示パネル
102 走査回路
103 制御回路
104 シフトレジスタ
105 ラインメモリ
106 同期信号分離回路
107 変調信号発生器
x ,Va 直流電圧源
110 電子源基板
111 電子放出素子
112 電子放出素子を配線するための共通配線
120 グリッド電極
121 電子が通過するための開口
130 バルブ
131 画像表示装置
132 排気管
133 真空チャンバー
134 ゲートバルブ
135 排気装置
136 圧力計
137 四重極質量分析器
138 ガス導入ライン
139 ガス導入量制御装置
140 導入物質源
141 共通電極
142 電源
143 電流測定用抵抗
144 オシロスコープ
151 層間絶縁層
152 コンタクトホール
161 加熱ヒータ
162 イオン
163,164 対向電極(放電電極)
165,166 対向電極
167 高周波電源
168 直流電源
169 コイル
170〜173 対向電極(放電電極)
174 高周波電源
175,176 イオン
181 水分除去体
182 仕切り枠

Claims (7)

  1. 内部空間を有する外囲器内に、一対の素子電極間に電子放出部を含む導電性膜を有する電子放出素子を複数個備える電子源の製造方法において、
    該外囲器内部に、少なくとも有機物質及び不活性ガスを含むガスを粘性流領域の圧力となるように封入後、該素子電極間に電圧を印加して、少なくとも該電子放出部に炭素又は/及び炭素化合物を堆積させる活性化工程を有し、該有機物質及び不活性ガスを含むガスを該外囲器内部で対流させることを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 基体上に、一対の素子電極間に電子放出部を含む導電性膜を有する電子放出素子を複数個備える電子源の製造方法において、
    上記素子電極及び上記電子放出部を含む導電性膜が形成された上記基体上に、一時的に外気と遮断された空間を形成する外囲器を設け、この空間内に少なくとも有機物質及び不活性ガスを含むガスを粘性流領域の圧力となるように封入後、該素子電極間に電圧を印加して、少なくとも該電子放出部に炭素又は/及び炭素化合物を堆積させる活性化工程を有し、該有機物質及び不活性ガスを含むガスを上記空間内で対流させることを特徴とする電子源の製造方法。
  3. 前記外囲器に温度分布を与えることで、該外囲器内部の前記有機物質及び不活性ガスを含むガスを対流させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子源の製造方法。
  4. 前記外囲器内部の前記有機物質及び不活性ガスを含むガスにイオンを生じさせ、該イオンに電磁気力を作用させることで、該有機物質を含むガスを対流させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子源の製造方法。
  5. 前記外囲器内部の前記有機物質及び不活性ガスを含むガスの全圧が100Pa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子源の製造方法。
  6. 前記電子放出素子が、表面伝導型電子放出素子であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子源の製造方法。
  7. 内部空間を有する外囲器内に、一対の素子電極間に電子放出部を含む導電性膜を有する電子放出素子を複数個備える電子源と、該電子源から放出される電子線の照射により画像を形成する画像形成部材とを具備する画像形成装置の製造方法において、該電子源を請求項1〜のいずれかに記載の方法で製造することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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