JP3709419B2 - 車両用ドアのウエザストリップ取付け構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両用ドアに付設されるドアトリムの上端縁に沿って取付けられるウエザストリップの取付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のウエザストリップは通常ドアトリムの上端縁に沿って、例えば図6に示すようにして取付けられていた。すなわち、図中上段に示すようにドアトリム50の基材50aの上端縁にアッパーベース51を取付けるタイプ(以下、「アッパーベースタイプ」という)にあっては、アッパーベース51に適宜間隔をおいて孔51a〜51aを設けておく一方、ウエザストリップ52の背面に沿って取付けられたベース53には上記孔51a〜51aに対応して係止爪53a〜53aを切起し形成し、各係止爪53aをそれぞれ対応する孔51a内に挿入した後折り曲げておくことで、当該ウエザストリップ52をドアトリム50の上端縁に対して幅方向W、長手方向Lおよび高さ方向Hに位置決めした状態で取り付けていた。
【0003】
また、図中下段に示すように基材55aの上端縁を折り曲げた状態で一体成形して折曲げ縁56を設けることにより、上記別体としてのアッパーベース51を不要としたタイプ(以下、「一体成形タイプ」という)のドアトリム55においても同様で、折曲げ縁56には適宜間隔で孔56a〜56aを設けて、各孔56a内にそれぞれウエザストリップ52側の係止爪53aを挿入した後折り曲げておくことでウエザストリップ52をドアトリム55の上端縁に沿って取付けていた。なお、上記アッパーベースタイプであっても一体成形タイプであっても、基材50a,55aの表面にはパッドおよび表皮が包着され、これらの端末はアッパーベース51(または折曲げ縁56)とウエザストリップ52との間に挟み込んだ状態で処理されるため、同端末部にも孔51a(または孔56a)に合わせて逃がし孔を形成しておき、これらの逃がし孔を経て係止爪53aが各孔51a(または孔56a)に挿入されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のウエザストリップの取付け構造にあっては、以下のような問題があった。すなわち、アッパーベースタイプにあっては、アッパーベース51を別部材として用意する必要があり、従ってその分ドアトリム50の製作工程が増え、またコストアップの要因となる。また、一体成形タイプにあっては、折曲げ縁56を一体成形するため型の抜き方向が異なることから型構造が複雑になり、従って型費が嵩む。さらに、これら何れのタイプのドアトリム50,55にあっても、ウエザストリップ53を取付ける際には、係止爪53aを孔51a(または孔56a)内に挿入し、さらに折り曲げるといった二つの作業を必要とし、従ってこれを効率よく行うためにはカシメ装置等の特別の設備を必要とした。
【0005】
本発明は、これら従来の問題に鑑みなされたもので、一体成形タイプのドアトリムではあるが型抜きが単純であるので型費が節約でき、また簡単な作業で効率よく取付けることのできる、車両用ドアのウエザストリップ取付け構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、本願発明は、前記各請求項に記載した構成のウエザストリップ取付け構造とした。
請求項1記載の構成によれば、ウエザストリップのベースに設けられた複数対の係止爪を、基材に設けられた係止部に挿入すると各対の係止爪は係止部の挟着部を弾性挟着した状態となり、これにより各対の係止爪が係止部に対して抜け不能に係止されてウエザストリップは基材の上端縁に沿って所定の状態に取付けられる。このことから、従来のように係止爪53aを基材側の係止孔51a(または56a)に挿入した後折り曲げるといった作業は不要であり、ウエザストリップの取り付けを簡単に行うことができる。
また、係止部は幅方向規制面、長手方向規制面および高さ方向規制面を備えているので、各係止部に係止された係止爪は上記各方向の移動を規制され、ひいてはウエザストリップの位置ズレが防止される。
【0007】
さらに、係止部は基材との一体成形により設けられるので、従来のアッパーベースタイプにおけるような別部材を必要とせず、しかも係止部における幅方向規制面、長手方向規制面、高さ方向規制面および挟着部は、それぞれ型の抜き方向が同じである態様に設けられているので、係止部を基材との一体成形により設ける場合に用いられる成形型の型構造は複雑化することなく、従って一体成形タイプであっても従来のように型費の増大を招くことはない。
さらに、ドアトリムの上端縁に沿ってリブが設けられているので、当該上端縁の強度が高まる。
請求項2記載の構成によれば、ウエザストリップは、ベースの背面を基材の上端面および係止部の端面に当接させた状態で取付けられるので、ドアトリムの上端縁に沿って確実に位置決めされた状態で取付けられ、また見栄え良く取付けられる。
【0008】
【実施例】
次に、本発明の実施例を図1ないし図4に基づいて説明する。図1には、本例の取付け構造に係るドアトリムの基材1の一部と、この基材1の上端縁に沿って取付けられるウエザストリップ2の一部が示されている。なお、以下の説明において、車両の幅方向を「幅方向W」といい、車両の前後方向を「長手方向L」といい、車両の高さ方向を「高さ方向H」という。
【0009】
基材1は、樹脂を素材として図示省略した成形型を用いて一体成形により形成されている。この基材1の上端縁は図示するように湾曲状に形成されており、この湾曲部の裏面には、それぞれ略扇形の平板状をなすリブ3〜3が長手方向に適宜間隔をおいて設けられている。各リブ3の端面(正面)3aは、基材1の上端面1aと面一に揃えられて、後述するウエザストリップ2のベース10が当接される当接面とされている。
【0010】
各リブ3の高さ方向ほぼ中程には、ウエザストリップ2を取付けるための係止部4が形成されている。この係止部4は、リブ3の両側面に一定の長さおよび幅の溝部4a,4aを形成してなるもので、それぞれの溝部4aにおいて幅方向突き当たり面に相当する幅方向規制面5と、高さ方向上下側面に相当する高さ方向規制面6,6と、底面に相当する長手方向規制面7を備えている。両側面における幅方向規制面5,5は、それぞれリブ3の端面3aから一定の距離をおいて設けられており、また片側の側面において高さ方向規制面6,6は相互に一定の間隔をおいて平行に設けられている。また、リブ3の両側面に溝部4a,4aを形成することにより一定厚さの挟着部8が形成され、この挟着部8の両側面が上記長手方向規制面7,7となっている。また、この挟着部8の先端は断面鋭角形状に形成されている。
【0011】
このように基材1の裏面にリブ3〜3を形成し、また各リブ3に溝部4a,4aを形成することにより幅方向規制面5,5、高さ方向規制面6〜6および挟着部8を設けた構成としたので、当該基材1を一体成形する際に用いられる成形型の抜き方向は全て同じ方向で足りる構成となっている。
【0012】
このように形成された基材1の表面には表皮材20が被せられ、この表皮材20の端末部は基材1の上端縁に揃えられて、以下説明するウエザストリップ2が取付けられることによりそのベース10の上端折曲げ部によって押さえ付けられる。
【0013】
次に、ウエザストリップ2の背面には金属製のベース10が取付けられており、このベース10には一対の係止爪10a,10aが上記係止部4に対応した間隔で複数箇所に設けられている。この一対の係止爪10a,10aは、図2に示すように上下方向にずれて相互に対向した状態に設けられている。また、両係止爪10a,10aは相互に閉じ方向に若干傾斜して設けられているため、両係止爪10a,10aの先端間の隙間は、上記係止部4の挟着部8の板厚(長手方向規制面7,7間の間隔)よりも狭くなっている。さらに、両係止爪10a,10aは相互の開閉方向に適度な弾性力を有している。そして、図2に示すように両係止爪10a,10aの上下端縁間の寸法S1 は、前記係止部4における両高さ方向規制面6,6間の間隔よりも僅かに小さな寸法に形成され、かつ両係止爪10a,10aの長さS2 は、前記係止部4における幅方向規制面5とリブ3の端面3aとの間の距離にほぼ等しい寸法に設定されている。
【0014】
このように形成された、基材1に対してウエザストリップ2が以下のようにして取付けられる。すなわち、図1に示すように基材1の表面には表皮材20が包着され、この表皮材20の端末部が基材1の上端縁に揃えられた状態にセットされる。
【0015】
このようにして基材1に表皮材20をセットした後、ウエザストリップ2が取付けられる。すなわち、図3に示すようにウエザストリップ2の背面に設けられた複数対の係止爪10a,10aをそれぞれ対応する係止部4の溝部4a,4a内に嵌め込む。この際、両係止爪10a,10aの先端間の隙間は、係止部4の挟着部8の板厚よりも小さいので、両係止爪10a,10aは、挟着部8の先端鋭角部に案内されてそれぞれの弾性力に抗して押し開かれながら溝部4a内に挿入される。
【0016】
このようにして複数箇所に設けられた対をなす係止爪10a,10aがそれぞれ係止部4の溝部4a,4a内に挿入された状態で当該ウエザストリップ2が基材1の上端縁に沿って取付けられるのであり、この取付け状態において、各係止爪10aの先端が係止部4の幅方向規制面5,5にほぼ当接された状態となってそれ以上の挿入が阻止されるので、当該ウエザストリップ2は、幅方向一方すなわち取付け方向に位置決めされ、かつこの位置から取付け方向への位置ズレが阻止された状態で取付けられる。また、両係止爪10a,10aはそれぞれの弾性力によって挟着部8を挟み込んだ状態となっているので、ウエザストリップ2は幅方向の一方すなわち抜け方向に係止された状態で取付けられている。以上のことから、ウエザストリップ2は、幅方向Wの両方向に位置ズレしない状態に取付けられる。
【0017】
さらに、上記取付け状態において、係止爪10a,10aが挟着部8の側面すなわち長手方向規制面7,7に当接された状態となっているので、ウエザストリップ2はその長手方向Lについても位置ズレ不能に取付けられ、また、各対における一方の係止爪10aの上端縁および他方の係止爪10aの下端縁がそれぞれ係止部4の高さ方向規制面6,6にそれぞれほぼ当接された状態となっているので、両係止爪10a,10aの高さ方向の移動が規制され、これにより当該ウエザストリップ2の高さ方向の位置決めがなされ、かつこの位置から高さ方向に位置ズレ不能な状態で取付けられている。
【0018】
このように、ウエザストリップ2は、各対の係止爪10a,10aを係止部4の溝部4a,4a内に挿入して挟着部8を挟み込んだ状態とするだけで基材1の上端縁に沿って取り付けられるので、従来のように係止爪53aを孔51a(または孔56a)内に挿入した後折り曲げるといったように二工程を要することなく効率よく取付けることができるようになる。
【0019】
また、リブ3〜3および係止部4〜4は、基材1との一体成形にあたり成形型からの抜き方向が同一となる状態で設けられているので、当該基材1を成形するための成形型が単純化され、従って型費が嵩むことはない。
【0020】
次に、本発明に関連する技術であって、前記例示した取り付け構造および特許請求の範囲の各請求項に記載した発明とは異なる関連技術について説明する。この関連技術が図5に示されている。
この関連技術は、前記係止爪10aおよびこれに対応する係止部4の変形例である。上記説明した実施例では、ウエザストリップ2のベース10に、上下にずれて対向する一対の係止爪10a,10aを設ける一方、係止部4にはこの一対の係止爪10a,10aによって挟み込まれる挟着部8を設けた構成とされていた。これに対して図5の分図(a) に示した実施例では、ウエザストリップ30のベース31には、横方向(長手方向)に切起し形成してなる係止爪31a〜31aを長手方向に適宜間隔をおいて形成し、各係止爪31aは図示するように鋸刃形状にプレス成形され、これにより各係止爪31aにはその板厚方向に弾性力を有している。
【0021】
一方、各係止爪31aに対応して、基材36の上端縁の裏面には同様にしてリブ37〜37が形成され、各リブ37の端面には図示するように係止部として縦方向(高さ方向)に長い係止溝37aが形成されている。このリブ37および係止溝37aは、基材36の成形型の抜き方向が同一となる態様で設けられている。この係止溝37aの上下の幅および奥行きの寸法は係止爪31aの幅および切起し長さに合わせられている。また、この係止溝37aの幅は、係止爪31aの厚さよりもわずかに小さな寸法で形成されている。このため、各係止爪31aはその鋸刃形状をわずかに押し潰しつつこの係止溝37a内に挿入され、従って挿入された状態においてはその弾性力により係止溝37a内からの抜け止めがなされるようになっている。しかも、挿入された状態において係止溝37aの奥行き方向の移動および幅方向(高さ方向)の移動が規制されるため、結局係止爪31aは、幅方向W、長手方向Lおよび高さ方向Hの移動を規制された状態で係止溝37a内にはめ込まれ、これによりウエザストリップ30が基材36ひいてはドアトリムの上端縁に沿って位置決めされた状態で取付けられる。
【0022】
次に、図5の分図(b) に示すように構成してもよい。すなわち、上記分図(a) に示した実施例では係止爪31aを横方向に切起して形成したが、係止爪41aは縦方向に切起し形成してもよい。なお、この場合にも係止爪41aは鋸刃形状にプレス成形しておく。一方、基材46の上端縁裏面に形成されたリブ47〜47の端面には横方向(長手方向)に長い係止溝47aが形成されている。そして、この係止溝47aの横幅および奥行きの寸法は係止爪41aの幅および切起し長さに合わせられており、またこの係止溝47aの上下幅は、係止爪41aの厚さよりもわずかに小さな寸法で形成されている。この構成によっても、各係止爪41aはそれぞれ対応する係止溝47a内に嵌め込まれた状態において、幅方向W、長手方向Lおよび高さ方向Hの移動を規制され、従ってウエザストリップ40が基材46ひいてはドアトリムの上端縁に沿って位置決めされた状態で取付けられる。
【0023】
このように、図5の分図(a) または分図(b) に示す構成によってもウエザストリップ30,40は、各係止爪31a〜31a、41a〜41aを係止溝37a,47aに嵌め込むだけでドアトリムの上端縁に沿って位置ズレすることなく良好な状態に取付けられるので、従来より効率よくウエザストリップ30,40の取付けを行うことができる。
【0024】
しかも、リブ37,47および係止部としての係止溝37a,47aはそれぞれ基材36,46との一体成形にあたり型抜き方向が同一となる状態で設けられているので、型構造が単純化され、従って型費を増大させることなく、従来のアッパーベース51等の別部材を必要としない一体成形タイプのドアトリムとすることができる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、成形型を複雑化することなく、従来のアッパーベース等の別部材を必要としない一体成形タイプのドアトリムを得ることができ、請求項2記載の発明によれば、ウエザストリップをドアトリムの上端縁に沿って確実に位置決めされた状態で見栄え良く取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に関し、ウエザストリップと基材との取付け状態を示す斜視図である。
【図2】 切起し前の状態における一対の係止爪の正面図である。
【図3】 ウエザストリップの取付け手順を示す図であり、分図(a) は取付け前の状態における係止部および係止爪の横断面図であり、分図(b) は取付け状態における係止部と係止爪の係止状態を示す横断面図である。
【図4】 係止部を示す図であり、分図(a) は側面図、分図(b) は正面図、分図(c) は横断面図である。
【図5】 本発明に関連する技術を示す図であり、分図(a) は横方向に切り起こされた係止爪に係る取付け構造を示す斜視図であり、分図(b) は縦方向に切り起こされた係止爪に係る取付け構造を示す斜視図である。
【図6】 従来の取付け構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…基材
2…ウエザストリップ
3…リブ
4…係止部、4a…溝部
5…幅方向規制面
6…高さ方向規制面
7…長手方向規制面
8…挟着部
10…ベース、10a…係止爪
20…表皮材
30,40…ウエザストリップ
31,41…ベース
36,46…基材
37,47…リブ、37a,47a…係止溝
W…幅方向(車両の幅方向)
L…長手方向(車両の前後方向)
H…高さ方向(車両の高さ方向)
Claims (2)
- 車両用ドアのドアトリムの上端縁に対するウエザストリップの取付け構造であり、前記ウエザストリップの背面に沿って取付けられたベースには相互に閉じ方向に弾性付勢された一対の係止爪を長手方向に適宜間隔をおいて複数対設ける一方、該係止爪の各対に対応して前記ドアトリムの基材の上端縁の裏面にリブを当該基材との一体成形により設け、該各リブの両側面に、前記一対の係止爪の幅方向の移動を規制するための幅方向規制面と、高さ方向の移動を規制するための高さ方向規制面と、前記一対の係止爪に弾性挟着されて当該一対の係止爪の長手方向および抜け方向の移動を規制するための挟着部を、前記一体成形に用いる型の抜き方向が同じとなる態様で備えた係止部を設けて、該係止部に対する挿入動作のみで前記係止爪が抜け不能に係止される構成としたことを特徴とする車両用ドアのウエザストリップ取付け構造。
- リブの端面と基材の上端面とを面一に揃えてウエザストリップのベースが当接される当接面とすることを特徴とする請求項1記載の車両用ドアのウエザストリップ取付け構造。
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