JP3707186B2 - 振動燃焼検出方法および燃焼装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃焼装置の振動燃焼検出方法および燃焼装置に関し、より詳細には、ファンモータに流れる電流から振動燃焼を検出する方法と、その方法を適用して振動燃焼状態を改善する燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばガス給湯器等の燃焼装置として、複数のバーナと、このバーナに燃焼用空気を供給する送風用ファンおよびそのファンモータと、上記バーナに供給される燃料ガスのガス圧を調節するガス圧調節手段と、上記バーナの燃焼本数を切り替えるバーナ本数切替手段と、燃焼装置各部の動作を制御する制御手段とを主要部として備えたものが提供されており、そこでは給湯温度や給湯量などの能力に応じて適宜燃料ガスのガス圧を調節する一方、必要に応じてバーナの燃焼本数を小本数(一部燃焼)から大本数(全部燃焼)の間で適宜切り替えて燃焼運転が行われる。
【0003】
そして、このようなガス給湯器におけるファンモータの回転数は、通常、燃料ガスの供給量(つまり、バーナでの燃焼量)に対応して予め設定されるか、あるいは、この予め設定されたファンモータの回転数を燃焼用空気の通路を構成する送風流路の流路抵抗(空気抵抗)に応じて補正することによって、バーナの適正燃焼に必要とされる燃焼用空気の供給が行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種のガス給湯器では、上記のようにバーナでの適正燃焼が図られているにもかかわらず、突発的にバーナの炎が微小振動を引き起こすいわゆる振動燃焼の状態となる場合がある。バーナでの燃焼がこの振動燃焼状態となると、バーナの火力が低下するため安定した給湯ができなくなることから、この種のガス給湯器においてはその改善が強く望まれている。なお、この振動燃焼を生じる原因としては種々の原因が考えられるが、多くの場合この振動燃焼は何らかの理由によって燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とのバランスが崩れることによって生じており、しかもその殆どの場合は、ファンモータの回転数に対して燃料ガスの供給量が多いことが原因となっていること、さらには、上記のようにバーナの燃焼本数を切り替え可能に構成されている場合には、バーナの全本燃焼時に多く発生することが経験的に知られている。
【0005】
そして、このような振動燃焼は、上述のようにバーナの炎の微小振動であるために、これまで一般的にバーナの燃焼有無の検出(例えば立ち消えの検出等)に用いられていたようなフレームロッド等のセンサではこの振動燃焼を検出することができず、これまでこの振動燃焼の検出を目的としたセンサは提供されていなかった。なお、この点に関し、撮像装置等を用いて炎の燃焼状態を画像情報として監視すれば振動燃焼の検出も技術的には可能であるが、その場合、画像情報の処理装置等が必要となり装置が大型かつ高価なものとなるため、撮像装置等を一般家庭に用いられるようなガス給湯器へ適用することは装置規模やコストの面で事実上不可能であった。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、簡易な構成でしかも的確に振動燃焼を検出できる振動燃焼検出方法と、振動燃焼の改善機能を備えた燃焼装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る振動燃焼検出方法は、少なくとも燃焼部とこの燃焼部に燃焼用空気を送風する送風用ファンとを備えた燃焼装置において、前記送風用ファンのファンモータの電流値を監視して、この電流値の一定時間内における所定の振幅変動の回数を計数し、その計数結果に基づいて振動燃焼の有無を判断することを特徴とする。そして、より具体的には、ファンモータの電流値の微小時間当たりの変化量が所定値を超えた場合に、これを上記振幅変動として計数することが好ましい。
【0008】
すなわち、上記燃焼部が振動燃焼状態となると、炎の振動によって送風流路内の流路抵抗にも変動を生じる。そして、送風流路内の流路抵抗が変動すると、その影響を受けてファンモータに流れる電流にも変化が現れる。具体的には、このファンモータに流れる電流は、炎の微小振動にともなって例えば図3に示すようなパルス状の変動として(つまりハンチング状態となって)現れる。そのため、本発明の振動燃焼検出方法は、このファンモータ電流値を監視して、電流値のハンチング状態を検出した時に振動燃焼と判断するものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る燃焼装置は、複数のバーナと、燃焼用空気を供給する送風用ファンおよびそのファンモータと、前記バーナに供給される燃料ガスのガス圧を調節するガス圧調節手段と、前記バーナの燃焼本数を切り替えるバーナ本数切替手段と、前記ファンモータに流れる電流に検出するモータ電流検出手段と、このモータ電流検出手段により検出されたファンモータの電流に基づいてファンモータの回転数を制御するとともに燃焼装置各部の動作を制御する制御手段とを少なくとも備えたガス燃焼装置であって、前記ファンモータに流れる電流を監視するとともに、その電流値の振幅変動からバーナでの振動燃焼を判別する振動燃焼検出手段を備えることを特徴とする。つまり、請求項3の発明では、ファンモータの回転数が該ファンモータに流れる電流に基づいて制御されるガス燃焼装置において、このファンモータ制御用に検出された電流値を利用して振動燃焼の検出が行なわれる。そのため、この請求項3の発明によれば、従来より提供されていたファンモータの回転をその電流値に基づいて制御するいわゆる電流値制御の燃焼装置を、構成上大きな変更を行なうことなく、簡易な設計変更で振動燃焼の検出が可能となる。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る燃焼装置は、前記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、前記制御手段が、バーナでの燃焼を停止させるとともに、燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とを変更してバーナを再点火するように構成されたことを特徴とする。したがって、請求項4の発明によれば、バーナの再点火時に燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とが変更されていることから、この変更量を調節することで振動燃焼を生じる原因として最も多いとされる燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とのバランスの崩れを解消でき、再点火後の振動燃焼を防止し得る。
【0011】
さらに、本発明の請求項5に係る燃焼装置は、上記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、上記制御手段が、振動燃焼検出手段における振動燃焼の検出が止むまで燃料ガスのガス圧を減少させるように構成されたことを特徴とする。そのため、この請求項5の発明によれば、振動燃焼を生じる原因となるファンモータの回転に対する燃料ガスの供給過多を、燃料ガスのガス圧を減少させることで解消でき、その上、両者のバランスがとれたところでガス圧の減少が停止されるため、適正な燃焼を維持することが可能となる。
【0012】
また、本発明の請求項6に係る燃焼装置は、上記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、上記制御手段が、バーナの燃焼本数を切り替えるとともに、この燃焼本数の切り替えによる号数の変動を燃焼ガスのガス圧を調節して補正するように構成されたことを特徴とする。したがって、請求項6の発明によれば、例えば、振動燃焼が発生し易いバーナの全本燃焼時において振動燃焼が検出されると、バーナの燃焼本数を減らすことによって振動燃焼の解消が図られ、しかもその際、ガス圧の調節がなされるため号数の低下を招くことなく振動燃焼の解消が図れる。
【0013】
また、本発明の請求項7に係る燃焼装置は、上記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、上記制御手段が、振動燃焼検出手段における振動燃焼の検出が止むまでファンモータの回転数を上昇させるとともに、振動燃焼の検出が止むとファンモータの回転数を当初の回転数に復帰させるように構成されたことを特徴とする。したがって、この請求項7の発明によれば、燃焼ガスのガス圧を減少させることなく、つまり、号数を落とすことなく上記請求項5と同様の効果が見込まれる他、振動燃焼停止後にファンモータの回転数が復帰することから、特に一時的な振動燃焼の解消に有効となる。
【0014】
さらに、本発明の請求項8に係る燃焼装置は、上記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、上記制御手段が、所定の安全動作を行いバーナでの燃焼を停止させることを特徴とするため、例えばガス圧調節手段や制御手段等の故障によって振動燃焼が発生している場合に、無理な継続運転を行わずに燃焼を停止でき、装置使用者の安全が確保されるとともに、継続運転による故障状況の悪化を防止できメンテナンス上も有利である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る振動燃焼検出方法を利用した燃焼装置の一実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0016】
実施形態1
図1は本発明に係る燃焼装置の一実施形態を示す概略構成図であり、ここでは本発明の燃焼装置をガス瞬間給湯器に適用した場合を示す。このガス瞬間給湯器1は、従来より周知の構成からなり、具体的には、缶体2と、この缶体2内に設けられた複数のバーナ(燃焼部)3a,3b,3cと、該缶体2の上部に設けられた熱交換器4と、上記缶体2内に燃焼用空気を供給する送風用ファン5およびそのファンモータ6と、上記バーナ3に供給される燃料ガスのガス圧を調整するガス圧調節弁(ガス圧調節手段)7と、上記バーナ3の燃焼本数を切り替えるバーナ本数切替弁(バーナ本数切替手段)8a,8b,8cと、ガス瞬間給湯器1の各部の動作制御を行なうコントローラ(制御手段)9とを主要部として構成され、上記バーナ3には燃料ガス供給用のガス供給管10が接続されるとともに、上記熱交換器4には給水管11および出湯管12がそれぞれ接続されている。なお、13は点火装置13aに接続されたバーナ3の点火プラグを示している。また、15は上記燃料ガスの元開閉弁を示しており、16は上記出湯管12と接続された出湯カランを示している。
【0017】
そして、上記給水管11には入水量センサ11a、入水温度センサ11bが設けられるとともに、出湯管12には出湯温度センサ12aが設けられ、さらに上記ファンモータ6にはモータの回転数を検出する回転数センサ6aが、また、上記バーナ3に近接してバーナでの立ち消えを検出するための炎検知器14がそれぞれ設けられている。そして、これらのセンサ類はいずれも図示を省略するが後述する制御手段9に接続され、このコントローラ9においてこれらのセンサ類で検出された各種の情報に基づいてバーナ3の燃焼量(ガス圧調節弁7やバーナ本数切替弁8等の制御)やファンモータ6の回転数等が制御されている。
【0018】
ここで、コントローラ9で行われるファンモータ6の回転数制御は、上述したように、燃料ガスの供給量に対応して予め設定された回転数を送風流路の流路抵抗に応じて補正することにより行われる。具体的には、この流路抵抗に基づく回転数の補正動作は、図10に示すように、ファンモータ6の回転数Nと、該ファンモータ6に流れる電流Iと、流路抵抗Φとの間に一定の相関関係があることから、コントローラ9ではこれらの関係のデータを予めメモリ等に保持しておき、上記回転数センサ6aで検出されたファンモータ6の回転数とファンモータ6に流れる電流とに基づいて流路抵抗を判断し、この流路抵抗に基づいて上記予め設定されたファンモータ6の回転数を補正することにより行われている。なお、ここで流路抵抗は、例えば図10に示す場合では、回転数がN1 のときに電流がI0 となれば流路抵抗はΦ1 と判断され、また回転数がN0 のときに電流がI0 となれば流路抵抗はΦ0 と判断される。
【0019】
この他、流路抵抗Φは例えば下記に示す数式1または数式2の実験式により求めることもできる。ただし、以下の数式においては、Φは流路抵抗、Nはファンモータ6の回転数、Iはファンモータ6を流れる電流とし、また、g(N)、f(N)はそれぞれ回転数Nの関数を示すものとする。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】
そこで、次にファンモータ6にPWM方式のモータを使用した場合のファンモータ6の制御動作を、図2に示すコントローラ9の概略機能ブロック図に基づいて説明する。なお、図2に示す給湯制御部は、図外のリモートコントローラから入力される給湯温度等の設定情報と、上記入水量センサ11a、入水温度センサ11b、出湯温度センサ12a等のセンサ類から入力される各種情報とに基づいて上記ガス圧調節弁7やバーナ本数切替弁8等の開閉制御等を行なうものである。
【0023】
すなわち、このコントローラ9では、商用電源101を整流平滑手段102で整流・平滑して得た直流電力を、電力制御手段103においてデューティー比制御手段104からの出力される制御電圧に基づいてスイッチングし、ファンモータ6の駆動電力として供給している(PWM制御)。このスイッチングに際し、上記デューティー比制御手段104は、ファンモータ6の最適回転数を指令する最適回転数判別手段105からの最適回転数指令信号に基づいて制御電圧VS を決定しており、ここで指令される最適回転数は、最適回転数判別手段105において、上記バーナ3の燃焼量に応じて最適送風量判別手段106が判別した最適送風量と、上記の方法により流路抵抗判別手段111で求められた送風流路の流路抵抗とに基づいて、送風流路に対して上記最適送風量の送風が可能となるように演算される。
【0024】
また、この場合、ファンモータ6の電源として商用電源を整流・平滑して得た直流電力を用いているが、商用電源は通常電圧変動をともなうことから、上記電力制御手段103に流入する電流を検出しても、ファンモータ6に流れる電流を正確に検出することができない。そのため、図示の場合では、上記整流平滑手段102の出力電圧を検出する電圧検出手段107と、整流平滑手段102の出力電流を検出する電流検出手段108とを設けて、これらにおいて検出された整流平滑手段102の出力電圧と出力電流とに基づいて電流演算手段109においてファンモータ6に流れる電流が演算されている。つまり、図示の場合、ファンモータ6の電流を検出するモータ電流検出手段を、これら電圧検出手段107、電流検出手段108および電流演算手段109が構成しており、ここで検出されたファンモータ6に流れる電流値に基づいて流路抵抗が求められ、さらにはファンモータ6の回転数が制御されている。
【0025】
本発明はこのようにファンモータ6に流れる電流に基づいてファンモータ6の回転数制御を行なう燃焼装置において、さらに上記コントローラ9内に、このファンモータ6に流れる電流を監視するとともにその電流値の振幅変動からバーナ3での振動燃焼を判別する振動燃焼検出手段110を備えている。ここで、この振動燃焼検出手段110は、実際には上記デューティー比制御手段104、最適回転数判別手段105、最適送風量判別手段106、電流演算手段109などとともにマイクロコンピュータで構成され、以下のような手順で振動燃焼の検出を行なう。
【0026】
すなわち、例えば、バーナ3に供給される燃料ガスのガス圧とファンモータ6の回転数とのバランスが崩れるなどして上記バーナ3での燃焼が振動燃焼の状態となると、この振動燃焼による炎の振動によって送風流路内の流路抵抗にも微小変動を生じる。そして、流路抵抗がこのような微小変動の状態となると、上記ファンモータ6に流れる電流は、図3に示すようなハンチング状態となる。そのため、振動燃焼検出手段110では、この振動燃焼時のファンモータ6に流れる電流の振幅変動から振動燃焼を検出する。
【0027】
具体的には、図4のフローチャートに示すようにバーナ3で給湯燃焼が開始されると(図4ステップS1)、上記モータ電流検出手段でファンモータ6の電流検出が行なわれるとともに、ファンモータ6の回転数制御が開始される。
【0028】
次に、振動燃焼検出手段110は上記モータ電流検出手段で検出されたファンモータの電流値を基に、まずこの電流値の微小時間当たりの変化量を(ΔI/Δt)求めるとともに、この求められた変化量が予め定められた変化量(a)以上であるか否か判断する(図4ステップS2)。換言すれば、このステップS2は、種々の原因で変動するファンモータ6の電流値の中から振動燃焼に特有な急激な振幅変動を検出するステップであって、より詳細にはファンモータ6に流れる電流値の微小時間(Δt)当たりの変化(ΔI)を監視することにより電流値の急激な変化を検出している。なお、上記予め定められる変化量(a)は実験的に求められる数値(定数)とされる。
【0029】
そして、上記ステップS2で設定された変化量(a)を超える電流値の変化が検出されると、続いて次のステップでは、一定時間当たりにこの電流値変化が何回繰り返されたか、つまり電流値の振幅変動が何回あるかが計数されるとともに、この振幅変動が予め定めた所定回数を超えるか否かが判断される(図4ステップS3)。つまり、上記ステップS2で検出される電流値の急激な変化には振動燃焼とは関係のないものも含まれると考えられるので、ここで上記電流値の変動の繰り返しを検出して、この電流値の変動が振動燃焼に特有のハンチングの状態にあるか否かを判断している。なお、ここで予め定められる所定回数も上記電流値の変化量(a)と同様に実験的に求められる数値(定数)とされる。
【0030】
そして、このステップS3で電流値のハンチング状態が検出されると、バーナ3での燃焼は振動燃焼状態にあると判断され、本実施形態においてはここで振動燃焼と判断されると、コントローラ9からバーナ3の燃焼停止の指令がガス瞬間給湯器1の各部に伝達され、バーナ3での燃焼が一旦停止される(図4ステップS4)。
【0031】
そして、このようにしてバーナ3での燃焼が停止されると、今度はコントローラ9が上記ガス圧調節弁7に対して燃料ガスのガス圧の変更を指令するとともに、上記最適回転数判別手段105に対してファンモータ6の回転数を変更する指令を行い、燃料ガスのガス圧とファンモータ6の回転数を振動燃焼時とは異なる値として再度バーナ3の点火を行なう(図4ステップS5)。すわなち、このように振動燃焼を検出した場合に、コントローラ9が燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とを変更してバーナ3を再点火するように構成されていることから、振動燃焼の原因が燃料ガスのガス圧とファンモータ6の回転数とのバランスが崩れたことによる場合、このガス圧と回転数の変更量を適当な量とすることで、再点火後の燃焼が改善され振動燃焼が解消され得る。
【0032】
なお、このステップS5で再点火後が行なわれた後、および上記ステップS2,S3においてそれぞれ否定的な判断がされた場合には、いずれの場合も上記ステップS1に戻って再び振動燃焼の検出動作が再開される。
【0033】
実施形態2
次に、本発明の他の実施形態を図5示す。この図5は、上記振動燃焼検出手段110において振動燃焼が検出された際のコントローラ9における制御構成の改変例をフローチャートで示している。したがって、それ以外の点については上記実施形態1と共通しており、以下の説明においても共通する点については実施形態1と同じ符号を使用する(なお、以下に説明する実施形態3〜6においても同様である)。
【0034】
すなわち、図5のフローチャートにも示すように、この実施形態においてもステップS1〜S3において振動燃焼が検出されるのは上記実施形態1と同様である。そして、振動燃焼が検出されると、上記コントローラ9において、燃焼の目標号数(燃焼能力)を予め設定された割合(図示例ではX%)にしたがって下げる動作が行なわれる(図5ステップS4)。具体的には、このステップS4では、振動燃焼が検出されると上記ガス圧調節弁7を調節してバーナ3に供給される燃料ガスのガス圧を減少させる制御が行なわれる。
【0035】
そして、続くステップ5においては、再び上記ステップS2とS3で行なわれたと同じ判断が繰り返され、そこでもなお振動燃焼が検出される場合には再びステップS4に戻る。これは、上記ステップS4で目標号数をX%を下げた結果振動燃焼が停止したか否かを判断するもので、本実施形態ではこのステップS5で振動燃焼が検出されている限り、つまり、振動燃焼が停止するまで上記ステップS4で目標号数を下げるように構成されている。これは、振動燃焼の原因の殆どは、ファンモータの回転に対する燃料ガスの供給過多にあることから、燃料ガスのガス圧を下げることによって両者のバランスを回復させ、もって適正な燃焼への復帰が図られている。
【0036】
実施形態3
次に、本発明の第三の実施形態を図6および図7に基づいて説明する。この実施形態3に示すコントローラ9の制御動作は、上記バーナ本数切替弁8a,8b,8cを開閉させることによってバーナ3の燃焼本数を適宜切替可能に構成されたガス瞬間給湯器1(図1参照)において振動燃焼が発生するのは、殆どの場合バーナ3が全本燃焼(図1の例ではバーナ3a,3b,3c全てが燃焼)を行なっている場合であることに着目してなされたものであって、主としてバーナ3の全本燃焼時に振動燃焼が検出された際に、バーナ3の燃焼本数を切り替える(すなわち、全本燃焼から一部燃焼に切り替える)とともに、この燃焼本数の切り替えによる号数の変動分を燃焼ガスのガス圧を調節して補正するように構成されている。
【0037】
ここで、まず図6に基づいて上記バーナ本数切替弁8a,8b,8cの通常運転時の切り替え動作について簡単に説明すると、例えば、バーナ3が一部燃焼を行なっている際に(図に示すL1 )、給湯設定温度が高温に設定し直されたり、あるいは出湯カラン16の出湯量が増加されたりすると、上記コントローラ9が新たに増加すべき必要号数を演算し、その演算結果に応じて上記ガス圧調節弁7を調節してバーナ3の燃焼量を目標号数に対応させる(比例制御)。その際、ガス圧Pが最大付近(図で示す「ラップ代」の範囲)にある場合、一部燃焼の状態でのこれ以上のガス圧Pの増加は不可能なため、燃焼本数を増やして(図では全本燃焼として)ガス圧を減少させ、上記目標号数に対応した燃焼を得ている(図に示すL2 )。なお、給湯設定温度が低温に設定し直されたり、あるいは出湯カラン16の出湯量が減少されたりした場合は、上記と逆の動作、すなわち全本燃焼から一部燃焼への切替が行なわれている。
【0038】
本実施形態は、このようなバーナ本数の切り替え制御を行なうガス瞬間給湯器におけるコントローラ9の制御動作であり、図7のフローチャートに基づいて説明すると、ここでも、まず図7ステップS1〜S3において振動燃焼が検出される点は上記実施形態1と同様である。
【0039】
そして、上記ステップS3で振動燃焼が検出されると、続くステップS4において、ガス圧Pが符号Yで示すラップ代の範囲内か、およびバーナ3が全本燃焼しているかの双方について判断がなされる(図7ステップS4)。なお、ここで全本燃焼か否かの判断を行なっているのは、上述したように本実施形態に示す制御動作が主として全本燃焼から一部燃焼への切り替えを目的とするためであり、単にバーナ3の燃焼本数を切り替えだけを目的とする場合には、このステップS4では上記ラップ代の範囲内か否かの判断だけを行なう。
【0040】
そして、このステップS4において、バーナ3が全本燃焼であり、しかもラップ代の範囲内であると判断された場合は、上記バーナ本数切替弁8a,8b,8cに対してバーナ3の燃焼本数を減ずる指令が発せられ(図7ステップS5)、バーナ3ではバーナ本数切替弁8a,8b,8cのうちいずれか一つ(図1の場合、好ましくは8a)を閉じて燃焼本数を減らすとともに、ガス圧調節弁7を調節してガス圧Pを目標号数に対応したガス圧まで上昇させて燃焼運転を継続する(図7ステップS6)。したがって、本実施形態においては、振動燃焼が検出された場合に、バーナ3の燃焼本数を変更(上述の例では減少)させるため、全本燃焼時などにより発生する振動燃焼を改善できるとともに、この燃焼本数の変更にともなってガス圧も調整するから、燃焼号数を替えることなく運転を継続できる。
【0041】
なお、上記図7ステップS4において、バーナ3の燃焼本数あるいはガス圧Pのいずれかまたは双方が否定的に判断された場合は、後述する安全動作を行なってバーナ3での燃焼を停止する(図7ステップS7)。
【0042】
実施形態4
次に、本発明の第4の実施形態を図8のフローチャートに基づいて説明する。この図8に示すコントローラ9の制御動作もこれまでの場合と同様に、ステップS1〜S3において振動燃焼を検出を行なうが、ここでは、ステップS3において振動燃焼が検出されると、振動燃焼が停止するまでファンモータ6の回転数を上昇させている。
【0043】
すなわち、本実施形態では上記振動燃焼検出手段110が振動燃焼を検出すると(図8ステップS1〜S3)、ファンモータ6の回転数を経時的に一定の割合で増加させる(図8ステップS4)。具体的には、このステップS4では、例えば上記最適回転数判別手段106から出力される回転数指令信号を補正したり、あるいは上記デューティー比制御手段104から出力される制御電圧を補正することにより回転数を上昇させる制御が行なわれる。
【0044】
そして、続くステップS5においては、再び上記ステップS2とS3で行なわれたと同じ判断が繰り返され、そこでもなお振動燃焼が検出される場合には再びステップS4に戻る。これは、上記ステップS4でファンモータ6の回転数を上げた結果振動燃焼が停止したか否かを判断するもので、本実施形態ではこのステップS5で振動燃焼が検出されている限り、つまり、振動燃焼が停止するまで上記ステップS4でファンモータ6の回転数を上昇させるように構成されている。
【0045】
そして、このステップ5において振動燃焼の停止が判断されると、続くステップS6において、上記ステップS4で上昇させた回転数を元の回転数、すなわち、上記ステップS4へ移行する前の回転数に復帰させ(図8ステップS6)、ステップS1に戻って制御動作を再開する。つまり、本実施形態においては、振動燃焼の原因となるファンモータの回転数と燃料ガスとのバラツキを、ファンモータ6側の回転数を変更することによって是正するものであって、特に振動燃焼停止後に元の回転数に復帰させていることから、振動燃焼の原因であるファンモータの回転と燃料ガスとのバラツキが一時的に発生したような場合に特に有効である。
【0046】
実施形態5
次に、本発明の第5の実施形態を図9のフローチャートに基づいて説明する。この図9に示すコントローラ9の制御動作もこれまでの場合と同様に、ステップS1〜S3において振動燃焼を検出を行なうが、ここでは、振動燃焼が検出されると所定の安全動作を行なうように構成されている。
【0047】
すなわち、この第5の実施形態においては、上記実施形態1乃至4の場合と異なり、バーナ3での振動燃焼が検出されると所定の安全動作(例えば、図2に示す異常処理手段112に対して燃焼異常を伝達する等)が行なわれ、バーナ3での燃焼を停止させる(図9ステップS4)。したがって、実施形態5では上記実施形態1乃至4のように運転再開や燃焼の改善といった制御は行なわれない。しかしながら、例えば、上記ガス圧調節弁7やコントローラ9などの故障によって振動燃焼が発生している場合に、無理な継続運転を行うことなしに燃焼を停止するから、装置使用者の安全が確保され、さらには故障の進行を抑制できる等のメンテナンス上の利点もある。なお、ここでの安全動作としては、上記燃焼運転の停止の他、例えば異常処理手段112を図示しない警報処理手段に連係させることにより警告音を発したり、あるいはアラーム表示をさせるなど、これまでの給湯器が備えている各種の警報措置をとることが可能である。
【0048】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく本発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0049】
例えば、本発明に係る振動燃焼検出方法は、上記ガス瞬間給湯器に限定されずに各種の燃焼装置に適用可能であり、もちろん当該燃焼装置の燃料も上記のようなガスに限られず灯油等の他の燃料を用いたものであってもよい。また、ガス瞬間給湯器としては、上記のようにバーナ3の燃焼本数を切り替え可能に構成されたものに限定されるものではない。
【0050】
また、上記コントローラ9でのファンモータ6の回転数制御の方法・構成についても上述した例に限られず種々の設計変更が可能である。その際、本発明を適用するにあたってファンモータ6が該ファンモータ6に流れる電流によって制御されることが装置構成上好ましいが、それ以外の構成であっても本発明の適用に当たりファンモータ6の電流を検出する手段を設ければ本発明を適用可能なことは勿論である。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1または2の振動燃焼検出方法によれば、振動燃焼が送風用ファンのファンモータに流れる電流に基づいて検出されるため、撮像装置等の大型かつ高価な装置を用いることなく簡易な構成で的確に振動燃焼を検出できる。そのため、本発明は、例えば一般家庭で使用されるような比較的簡易な構成のガス瞬間給湯器にも好適に採用し得る。しかも、この種の燃焼装置においてこれまでファンモータの回転数制御用に検出されていたデータ(ファンモータに流れる電流)に基づいて振動燃焼を検出できることから、新たにセンサ類を設けることもなくわずかな設計変更で振動燃焼の検出が実現できる。
【0052】
また、本発明の請求項3乃至7の燃焼装置によれば、振動燃焼状態の解消が図れるため、振動燃焼の発生による火力の低下を防止することができ、給湯性能を安定させることができる。また、請求項8の発明によれば、振動燃焼が検出されると所定の安全動作が行なわれるので、振動燃焼が装置の故障に基づく場合等に使用者の安全の確保とメンテナンス上の利点を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る燃焼装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】同燃焼装置の制御手段のファンモータ制御機能を説明する機能ブロック図である。
【図3】同燃焼装置の振動燃焼時におけるファンモータに流れる電流の変動を示す説明図である。
【図4】同燃焼装置が振動燃焼を検出した場合の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態に係る燃焼装置が振動燃焼を検出した場合の制御動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る燃焼装置におけるバーナ本数の切り替え制御動作を示す説明図である。
【図7】同燃焼装置が振動燃焼を検出した場合の制御動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る燃焼装置が振動燃焼を検出した場合の制御動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る燃焼装置が振動燃焼を検出した場合の制御動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の燃焼装置におけるファンモータの回転数と、該ファンモータに流れる電流と、流路抵抗との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ガス瞬間給湯器
2 缶体
3a,3b,3c バーナ(燃焼部)
4 熱交換器
5 送風用ファン
6 ファンモータ
6a 回転数センサ
7 ガス圧調節弁(ガス圧調節手段)
8 バーナ本数切替弁(バーナ本数切替手段)
9 コントローラ(制御手段)
10 ガス供給管
11 給水管
12 出湯管
13 点火プラグ
14 炎検知器
107 電圧検出手段(モータ電流検出手段)
108 電流検出手段(モータ電流検出手段)
109 電流演算手段(モータ電流検出手段)
110 振動燃焼検出手段
【発明の属する技術分野】
本発明は燃焼装置の振動燃焼検出方法および燃焼装置に関し、より詳細には、ファンモータに流れる電流から振動燃焼を検出する方法と、その方法を適用して振動燃焼状態を改善する燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばガス給湯器等の燃焼装置として、複数のバーナと、このバーナに燃焼用空気を供給する送風用ファンおよびそのファンモータと、上記バーナに供給される燃料ガスのガス圧を調節するガス圧調節手段と、上記バーナの燃焼本数を切り替えるバーナ本数切替手段と、燃焼装置各部の動作を制御する制御手段とを主要部として備えたものが提供されており、そこでは給湯温度や給湯量などの能力に応じて適宜燃料ガスのガス圧を調節する一方、必要に応じてバーナの燃焼本数を小本数(一部燃焼)から大本数(全部燃焼)の間で適宜切り替えて燃焼運転が行われる。
【0003】
そして、このようなガス給湯器におけるファンモータの回転数は、通常、燃料ガスの供給量(つまり、バーナでの燃焼量)に対応して予め設定されるか、あるいは、この予め設定されたファンモータの回転数を燃焼用空気の通路を構成する送風流路の流路抵抗(空気抵抗)に応じて補正することによって、バーナの適正燃焼に必要とされる燃焼用空気の供給が行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種のガス給湯器では、上記のようにバーナでの適正燃焼が図られているにもかかわらず、突発的にバーナの炎が微小振動を引き起こすいわゆる振動燃焼の状態となる場合がある。バーナでの燃焼がこの振動燃焼状態となると、バーナの火力が低下するため安定した給湯ができなくなることから、この種のガス給湯器においてはその改善が強く望まれている。なお、この振動燃焼を生じる原因としては種々の原因が考えられるが、多くの場合この振動燃焼は何らかの理由によって燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とのバランスが崩れることによって生じており、しかもその殆どの場合は、ファンモータの回転数に対して燃料ガスの供給量が多いことが原因となっていること、さらには、上記のようにバーナの燃焼本数を切り替え可能に構成されている場合には、バーナの全本燃焼時に多く発生することが経験的に知られている。
【0005】
そして、このような振動燃焼は、上述のようにバーナの炎の微小振動であるために、これまで一般的にバーナの燃焼有無の検出(例えば立ち消えの検出等)に用いられていたようなフレームロッド等のセンサではこの振動燃焼を検出することができず、これまでこの振動燃焼の検出を目的としたセンサは提供されていなかった。なお、この点に関し、撮像装置等を用いて炎の燃焼状態を画像情報として監視すれば振動燃焼の検出も技術的には可能であるが、その場合、画像情報の処理装置等が必要となり装置が大型かつ高価なものとなるため、撮像装置等を一般家庭に用いられるようなガス給湯器へ適用することは装置規模やコストの面で事実上不可能であった。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、簡易な構成でしかも的確に振動燃焼を検出できる振動燃焼検出方法と、振動燃焼の改善機能を備えた燃焼装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る振動燃焼検出方法は、少なくとも燃焼部とこの燃焼部に燃焼用空気を送風する送風用ファンとを備えた燃焼装置において、前記送風用ファンのファンモータの電流値を監視して、この電流値の一定時間内における所定の振幅変動の回数を計数し、その計数結果に基づいて振動燃焼の有無を判断することを特徴とする。そして、より具体的には、ファンモータの電流値の微小時間当たりの変化量が所定値を超えた場合に、これを上記振幅変動として計数することが好ましい。
【0008】
すなわち、上記燃焼部が振動燃焼状態となると、炎の振動によって送風流路内の流路抵抗にも変動を生じる。そして、送風流路内の流路抵抗が変動すると、その影響を受けてファンモータに流れる電流にも変化が現れる。具体的には、このファンモータに流れる電流は、炎の微小振動にともなって例えば図3に示すようなパルス状の変動として(つまりハンチング状態となって)現れる。そのため、本発明の振動燃焼検出方法は、このファンモータ電流値を監視して、電流値のハンチング状態を検出した時に振動燃焼と判断するものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る燃焼装置は、複数のバーナと、燃焼用空気を供給する送風用ファンおよびそのファンモータと、前記バーナに供給される燃料ガスのガス圧を調節するガス圧調節手段と、前記バーナの燃焼本数を切り替えるバーナ本数切替手段と、前記ファンモータに流れる電流に検出するモータ電流検出手段と、このモータ電流検出手段により検出されたファンモータの電流に基づいてファンモータの回転数を制御するとともに燃焼装置各部の動作を制御する制御手段とを少なくとも備えたガス燃焼装置であって、前記ファンモータに流れる電流を監視するとともに、その電流値の振幅変動からバーナでの振動燃焼を判別する振動燃焼検出手段を備えることを特徴とする。つまり、請求項3の発明では、ファンモータの回転数が該ファンモータに流れる電流に基づいて制御されるガス燃焼装置において、このファンモータ制御用に検出された電流値を利用して振動燃焼の検出が行なわれる。そのため、この請求項3の発明によれば、従来より提供されていたファンモータの回転をその電流値に基づいて制御するいわゆる電流値制御の燃焼装置を、構成上大きな変更を行なうことなく、簡易な設計変更で振動燃焼の検出が可能となる。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る燃焼装置は、前記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、前記制御手段が、バーナでの燃焼を停止させるとともに、燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とを変更してバーナを再点火するように構成されたことを特徴とする。したがって、請求項4の発明によれば、バーナの再点火時に燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とが変更されていることから、この変更量を調節することで振動燃焼を生じる原因として最も多いとされる燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とのバランスの崩れを解消でき、再点火後の振動燃焼を防止し得る。
【0011】
さらに、本発明の請求項5に係る燃焼装置は、上記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、上記制御手段が、振動燃焼検出手段における振動燃焼の検出が止むまで燃料ガスのガス圧を減少させるように構成されたことを特徴とする。そのため、この請求項5の発明によれば、振動燃焼を生じる原因となるファンモータの回転に対する燃料ガスの供給過多を、燃料ガスのガス圧を減少させることで解消でき、その上、両者のバランスがとれたところでガス圧の減少が停止されるため、適正な燃焼を維持することが可能となる。
【0012】
また、本発明の請求項6に係る燃焼装置は、上記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、上記制御手段が、バーナの燃焼本数を切り替えるとともに、この燃焼本数の切り替えによる号数の変動を燃焼ガスのガス圧を調節して補正するように構成されたことを特徴とする。したがって、請求項6の発明によれば、例えば、振動燃焼が発生し易いバーナの全本燃焼時において振動燃焼が検出されると、バーナの燃焼本数を減らすことによって振動燃焼の解消が図られ、しかもその際、ガス圧の調節がなされるため号数の低下を招くことなく振動燃焼の解消が図れる。
【0013】
また、本発明の請求項7に係る燃焼装置は、上記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、上記制御手段が、振動燃焼検出手段における振動燃焼の検出が止むまでファンモータの回転数を上昇させるとともに、振動燃焼の検出が止むとファンモータの回転数を当初の回転数に復帰させるように構成されたことを特徴とする。したがって、この請求項7の発明によれば、燃焼ガスのガス圧を減少させることなく、つまり、号数を落とすことなく上記請求項5と同様の効果が見込まれる他、振動燃焼停止後にファンモータの回転数が復帰することから、特に一時的な振動燃焼の解消に有効となる。
【0014】
さらに、本発明の請求項8に係る燃焼装置は、上記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、上記制御手段が、所定の安全動作を行いバーナでの燃焼を停止させることを特徴とするため、例えばガス圧調節手段や制御手段等の故障によって振動燃焼が発生している場合に、無理な継続運転を行わずに燃焼を停止でき、装置使用者の安全が確保されるとともに、継続運転による故障状況の悪化を防止できメンテナンス上も有利である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る振動燃焼検出方法を利用した燃焼装置の一実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0016】
実施形態1
図1は本発明に係る燃焼装置の一実施形態を示す概略構成図であり、ここでは本発明の燃焼装置をガス瞬間給湯器に適用した場合を示す。このガス瞬間給湯器1は、従来より周知の構成からなり、具体的には、缶体2と、この缶体2内に設けられた複数のバーナ(燃焼部)3a,3b,3cと、該缶体2の上部に設けられた熱交換器4と、上記缶体2内に燃焼用空気を供給する送風用ファン5およびそのファンモータ6と、上記バーナ3に供給される燃料ガスのガス圧を調整するガス圧調節弁(ガス圧調節手段)7と、上記バーナ3の燃焼本数を切り替えるバーナ本数切替弁(バーナ本数切替手段)8a,8b,8cと、ガス瞬間給湯器1の各部の動作制御を行なうコントローラ(制御手段)9とを主要部として構成され、上記バーナ3には燃料ガス供給用のガス供給管10が接続されるとともに、上記熱交換器4には給水管11および出湯管12がそれぞれ接続されている。なお、13は点火装置13aに接続されたバーナ3の点火プラグを示している。また、15は上記燃料ガスの元開閉弁を示しており、16は上記出湯管12と接続された出湯カランを示している。
【0017】
そして、上記給水管11には入水量センサ11a、入水温度センサ11bが設けられるとともに、出湯管12には出湯温度センサ12aが設けられ、さらに上記ファンモータ6にはモータの回転数を検出する回転数センサ6aが、また、上記バーナ3に近接してバーナでの立ち消えを検出するための炎検知器14がそれぞれ設けられている。そして、これらのセンサ類はいずれも図示を省略するが後述する制御手段9に接続され、このコントローラ9においてこれらのセンサ類で検出された各種の情報に基づいてバーナ3の燃焼量(ガス圧調節弁7やバーナ本数切替弁8等の制御)やファンモータ6の回転数等が制御されている。
【0018】
ここで、コントローラ9で行われるファンモータ6の回転数制御は、上述したように、燃料ガスの供給量に対応して予め設定された回転数を送風流路の流路抵抗に応じて補正することにより行われる。具体的には、この流路抵抗に基づく回転数の補正動作は、図10に示すように、ファンモータ6の回転数Nと、該ファンモータ6に流れる電流Iと、流路抵抗Φとの間に一定の相関関係があることから、コントローラ9ではこれらの関係のデータを予めメモリ等に保持しておき、上記回転数センサ6aで検出されたファンモータ6の回転数とファンモータ6に流れる電流とに基づいて流路抵抗を判断し、この流路抵抗に基づいて上記予め設定されたファンモータ6の回転数を補正することにより行われている。なお、ここで流路抵抗は、例えば図10に示す場合では、回転数がN1 のときに電流がI0 となれば流路抵抗はΦ1 と判断され、また回転数がN0 のときに電流がI0 となれば流路抵抗はΦ0 と判断される。
【0019】
この他、流路抵抗Φは例えば下記に示す数式1または数式2の実験式により求めることもできる。ただし、以下の数式においては、Φは流路抵抗、Nはファンモータ6の回転数、Iはファンモータ6を流れる電流とし、また、g(N)、f(N)はそれぞれ回転数Nの関数を示すものとする。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】
そこで、次にファンモータ6にPWM方式のモータを使用した場合のファンモータ6の制御動作を、図2に示すコントローラ9の概略機能ブロック図に基づいて説明する。なお、図2に示す給湯制御部は、図外のリモートコントローラから入力される給湯温度等の設定情報と、上記入水量センサ11a、入水温度センサ11b、出湯温度センサ12a等のセンサ類から入力される各種情報とに基づいて上記ガス圧調節弁7やバーナ本数切替弁8等の開閉制御等を行なうものである。
【0023】
すなわち、このコントローラ9では、商用電源101を整流平滑手段102で整流・平滑して得た直流電力を、電力制御手段103においてデューティー比制御手段104からの出力される制御電圧に基づいてスイッチングし、ファンモータ6の駆動電力として供給している(PWM制御)。このスイッチングに際し、上記デューティー比制御手段104は、ファンモータ6の最適回転数を指令する最適回転数判別手段105からの最適回転数指令信号に基づいて制御電圧VS を決定しており、ここで指令される最適回転数は、最適回転数判別手段105において、上記バーナ3の燃焼量に応じて最適送風量判別手段106が判別した最適送風量と、上記の方法により流路抵抗判別手段111で求められた送風流路の流路抵抗とに基づいて、送風流路に対して上記最適送風量の送風が可能となるように演算される。
【0024】
また、この場合、ファンモータ6の電源として商用電源を整流・平滑して得た直流電力を用いているが、商用電源は通常電圧変動をともなうことから、上記電力制御手段103に流入する電流を検出しても、ファンモータ6に流れる電流を正確に検出することができない。そのため、図示の場合では、上記整流平滑手段102の出力電圧を検出する電圧検出手段107と、整流平滑手段102の出力電流を検出する電流検出手段108とを設けて、これらにおいて検出された整流平滑手段102の出力電圧と出力電流とに基づいて電流演算手段109においてファンモータ6に流れる電流が演算されている。つまり、図示の場合、ファンモータ6の電流を検出するモータ電流検出手段を、これら電圧検出手段107、電流検出手段108および電流演算手段109が構成しており、ここで検出されたファンモータ6に流れる電流値に基づいて流路抵抗が求められ、さらにはファンモータ6の回転数が制御されている。
【0025】
本発明はこのようにファンモータ6に流れる電流に基づいてファンモータ6の回転数制御を行なう燃焼装置において、さらに上記コントローラ9内に、このファンモータ6に流れる電流を監視するとともにその電流値の振幅変動からバーナ3での振動燃焼を判別する振動燃焼検出手段110を備えている。ここで、この振動燃焼検出手段110は、実際には上記デューティー比制御手段104、最適回転数判別手段105、最適送風量判別手段106、電流演算手段109などとともにマイクロコンピュータで構成され、以下のような手順で振動燃焼の検出を行なう。
【0026】
すなわち、例えば、バーナ3に供給される燃料ガスのガス圧とファンモータ6の回転数とのバランスが崩れるなどして上記バーナ3での燃焼が振動燃焼の状態となると、この振動燃焼による炎の振動によって送風流路内の流路抵抗にも微小変動を生じる。そして、流路抵抗がこのような微小変動の状態となると、上記ファンモータ6に流れる電流は、図3に示すようなハンチング状態となる。そのため、振動燃焼検出手段110では、この振動燃焼時のファンモータ6に流れる電流の振幅変動から振動燃焼を検出する。
【0027】
具体的には、図4のフローチャートに示すようにバーナ3で給湯燃焼が開始されると(図4ステップS1)、上記モータ電流検出手段でファンモータ6の電流検出が行なわれるとともに、ファンモータ6の回転数制御が開始される。
【0028】
次に、振動燃焼検出手段110は上記モータ電流検出手段で検出されたファンモータの電流値を基に、まずこの電流値の微小時間当たりの変化量を(ΔI/Δt)求めるとともに、この求められた変化量が予め定められた変化量(a)以上であるか否か判断する(図4ステップS2)。換言すれば、このステップS2は、種々の原因で変動するファンモータ6の電流値の中から振動燃焼に特有な急激な振幅変動を検出するステップであって、より詳細にはファンモータ6に流れる電流値の微小時間(Δt)当たりの変化(ΔI)を監視することにより電流値の急激な変化を検出している。なお、上記予め定められる変化量(a)は実験的に求められる数値(定数)とされる。
【0029】
そして、上記ステップS2で設定された変化量(a)を超える電流値の変化が検出されると、続いて次のステップでは、一定時間当たりにこの電流値変化が何回繰り返されたか、つまり電流値の振幅変動が何回あるかが計数されるとともに、この振幅変動が予め定めた所定回数を超えるか否かが判断される(図4ステップS3)。つまり、上記ステップS2で検出される電流値の急激な変化には振動燃焼とは関係のないものも含まれると考えられるので、ここで上記電流値の変動の繰り返しを検出して、この電流値の変動が振動燃焼に特有のハンチングの状態にあるか否かを判断している。なお、ここで予め定められる所定回数も上記電流値の変化量(a)と同様に実験的に求められる数値(定数)とされる。
【0030】
そして、このステップS3で電流値のハンチング状態が検出されると、バーナ3での燃焼は振動燃焼状態にあると判断され、本実施形態においてはここで振動燃焼と判断されると、コントローラ9からバーナ3の燃焼停止の指令がガス瞬間給湯器1の各部に伝達され、バーナ3での燃焼が一旦停止される(図4ステップS4)。
【0031】
そして、このようにしてバーナ3での燃焼が停止されると、今度はコントローラ9が上記ガス圧調節弁7に対して燃料ガスのガス圧の変更を指令するとともに、上記最適回転数判別手段105に対してファンモータ6の回転数を変更する指令を行い、燃料ガスのガス圧とファンモータ6の回転数を振動燃焼時とは異なる値として再度バーナ3の点火を行なう(図4ステップS5)。すわなち、このように振動燃焼を検出した場合に、コントローラ9が燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とを変更してバーナ3を再点火するように構成されていることから、振動燃焼の原因が燃料ガスのガス圧とファンモータ6の回転数とのバランスが崩れたことによる場合、このガス圧と回転数の変更量を適当な量とすることで、再点火後の燃焼が改善され振動燃焼が解消され得る。
【0032】
なお、このステップS5で再点火後が行なわれた後、および上記ステップS2,S3においてそれぞれ否定的な判断がされた場合には、いずれの場合も上記ステップS1に戻って再び振動燃焼の検出動作が再開される。
【0033】
実施形態2
次に、本発明の他の実施形態を図5示す。この図5は、上記振動燃焼検出手段110において振動燃焼が検出された際のコントローラ9における制御構成の改変例をフローチャートで示している。したがって、それ以外の点については上記実施形態1と共通しており、以下の説明においても共通する点については実施形態1と同じ符号を使用する(なお、以下に説明する実施形態3〜6においても同様である)。
【0034】
すなわち、図5のフローチャートにも示すように、この実施形態においてもステップS1〜S3において振動燃焼が検出されるのは上記実施形態1と同様である。そして、振動燃焼が検出されると、上記コントローラ9において、燃焼の目標号数(燃焼能力)を予め設定された割合(図示例ではX%)にしたがって下げる動作が行なわれる(図5ステップS4)。具体的には、このステップS4では、振動燃焼が検出されると上記ガス圧調節弁7を調節してバーナ3に供給される燃料ガスのガス圧を減少させる制御が行なわれる。
【0035】
そして、続くステップ5においては、再び上記ステップS2とS3で行なわれたと同じ判断が繰り返され、そこでもなお振動燃焼が検出される場合には再びステップS4に戻る。これは、上記ステップS4で目標号数をX%を下げた結果振動燃焼が停止したか否かを判断するもので、本実施形態ではこのステップS5で振動燃焼が検出されている限り、つまり、振動燃焼が停止するまで上記ステップS4で目標号数を下げるように構成されている。これは、振動燃焼の原因の殆どは、ファンモータの回転に対する燃料ガスの供給過多にあることから、燃料ガスのガス圧を下げることによって両者のバランスを回復させ、もって適正な燃焼への復帰が図られている。
【0036】
実施形態3
次に、本発明の第三の実施形態を図6および図7に基づいて説明する。この実施形態3に示すコントローラ9の制御動作は、上記バーナ本数切替弁8a,8b,8cを開閉させることによってバーナ3の燃焼本数を適宜切替可能に構成されたガス瞬間給湯器1(図1参照)において振動燃焼が発生するのは、殆どの場合バーナ3が全本燃焼(図1の例ではバーナ3a,3b,3c全てが燃焼)を行なっている場合であることに着目してなされたものであって、主としてバーナ3の全本燃焼時に振動燃焼が検出された際に、バーナ3の燃焼本数を切り替える(すなわち、全本燃焼から一部燃焼に切り替える)とともに、この燃焼本数の切り替えによる号数の変動分を燃焼ガスのガス圧を調節して補正するように構成されている。
【0037】
ここで、まず図6に基づいて上記バーナ本数切替弁8a,8b,8cの通常運転時の切り替え動作について簡単に説明すると、例えば、バーナ3が一部燃焼を行なっている際に(図に示すL1 )、給湯設定温度が高温に設定し直されたり、あるいは出湯カラン16の出湯量が増加されたりすると、上記コントローラ9が新たに増加すべき必要号数を演算し、その演算結果に応じて上記ガス圧調節弁7を調節してバーナ3の燃焼量を目標号数に対応させる(比例制御)。その際、ガス圧Pが最大付近(図で示す「ラップ代」の範囲)にある場合、一部燃焼の状態でのこれ以上のガス圧Pの増加は不可能なため、燃焼本数を増やして(図では全本燃焼として)ガス圧を減少させ、上記目標号数に対応した燃焼を得ている(図に示すL2 )。なお、給湯設定温度が低温に設定し直されたり、あるいは出湯カラン16の出湯量が減少されたりした場合は、上記と逆の動作、すなわち全本燃焼から一部燃焼への切替が行なわれている。
【0038】
本実施形態は、このようなバーナ本数の切り替え制御を行なうガス瞬間給湯器におけるコントローラ9の制御動作であり、図7のフローチャートに基づいて説明すると、ここでも、まず図7ステップS1〜S3において振動燃焼が検出される点は上記実施形態1と同様である。
【0039】
そして、上記ステップS3で振動燃焼が検出されると、続くステップS4において、ガス圧Pが符号Yで示すラップ代の範囲内か、およびバーナ3が全本燃焼しているかの双方について判断がなされる(図7ステップS4)。なお、ここで全本燃焼か否かの判断を行なっているのは、上述したように本実施形態に示す制御動作が主として全本燃焼から一部燃焼への切り替えを目的とするためであり、単にバーナ3の燃焼本数を切り替えだけを目的とする場合には、このステップS4では上記ラップ代の範囲内か否かの判断だけを行なう。
【0040】
そして、このステップS4において、バーナ3が全本燃焼であり、しかもラップ代の範囲内であると判断された場合は、上記バーナ本数切替弁8a,8b,8cに対してバーナ3の燃焼本数を減ずる指令が発せられ(図7ステップS5)、バーナ3ではバーナ本数切替弁8a,8b,8cのうちいずれか一つ(図1の場合、好ましくは8a)を閉じて燃焼本数を減らすとともに、ガス圧調節弁7を調節してガス圧Pを目標号数に対応したガス圧まで上昇させて燃焼運転を継続する(図7ステップS6)。したがって、本実施形態においては、振動燃焼が検出された場合に、バーナ3の燃焼本数を変更(上述の例では減少)させるため、全本燃焼時などにより発生する振動燃焼を改善できるとともに、この燃焼本数の変更にともなってガス圧も調整するから、燃焼号数を替えることなく運転を継続できる。
【0041】
なお、上記図7ステップS4において、バーナ3の燃焼本数あるいはガス圧Pのいずれかまたは双方が否定的に判断された場合は、後述する安全動作を行なってバーナ3での燃焼を停止する(図7ステップS7)。
【0042】
実施形態4
次に、本発明の第4の実施形態を図8のフローチャートに基づいて説明する。この図8に示すコントローラ9の制御動作もこれまでの場合と同様に、ステップS1〜S3において振動燃焼を検出を行なうが、ここでは、ステップS3において振動燃焼が検出されると、振動燃焼が停止するまでファンモータ6の回転数を上昇させている。
【0043】
すなわち、本実施形態では上記振動燃焼検出手段110が振動燃焼を検出すると(図8ステップS1〜S3)、ファンモータ6の回転数を経時的に一定の割合で増加させる(図8ステップS4)。具体的には、このステップS4では、例えば上記最適回転数判別手段106から出力される回転数指令信号を補正したり、あるいは上記デューティー比制御手段104から出力される制御電圧を補正することにより回転数を上昇させる制御が行なわれる。
【0044】
そして、続くステップS5においては、再び上記ステップS2とS3で行なわれたと同じ判断が繰り返され、そこでもなお振動燃焼が検出される場合には再びステップS4に戻る。これは、上記ステップS4でファンモータ6の回転数を上げた結果振動燃焼が停止したか否かを判断するもので、本実施形態ではこのステップS5で振動燃焼が検出されている限り、つまり、振動燃焼が停止するまで上記ステップS4でファンモータ6の回転数を上昇させるように構成されている。
【0045】
そして、このステップ5において振動燃焼の停止が判断されると、続くステップS6において、上記ステップS4で上昇させた回転数を元の回転数、すなわち、上記ステップS4へ移行する前の回転数に復帰させ(図8ステップS6)、ステップS1に戻って制御動作を再開する。つまり、本実施形態においては、振動燃焼の原因となるファンモータの回転数と燃料ガスとのバラツキを、ファンモータ6側の回転数を変更することによって是正するものであって、特に振動燃焼停止後に元の回転数に復帰させていることから、振動燃焼の原因であるファンモータの回転と燃料ガスとのバラツキが一時的に発生したような場合に特に有効である。
【0046】
実施形態5
次に、本発明の第5の実施形態を図9のフローチャートに基づいて説明する。この図9に示すコントローラ9の制御動作もこれまでの場合と同様に、ステップS1〜S3において振動燃焼を検出を行なうが、ここでは、振動燃焼が検出されると所定の安全動作を行なうように構成されている。
【0047】
すなわち、この第5の実施形態においては、上記実施形態1乃至4の場合と異なり、バーナ3での振動燃焼が検出されると所定の安全動作(例えば、図2に示す異常処理手段112に対して燃焼異常を伝達する等)が行なわれ、バーナ3での燃焼を停止させる(図9ステップS4)。したがって、実施形態5では上記実施形態1乃至4のように運転再開や燃焼の改善といった制御は行なわれない。しかしながら、例えば、上記ガス圧調節弁7やコントローラ9などの故障によって振動燃焼が発生している場合に、無理な継続運転を行うことなしに燃焼を停止するから、装置使用者の安全が確保され、さらには故障の進行を抑制できる等のメンテナンス上の利点もある。なお、ここでの安全動作としては、上記燃焼運転の停止の他、例えば異常処理手段112を図示しない警報処理手段に連係させることにより警告音を発したり、あるいはアラーム表示をさせるなど、これまでの給湯器が備えている各種の警報措置をとることが可能である。
【0048】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく本発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0049】
例えば、本発明に係る振動燃焼検出方法は、上記ガス瞬間給湯器に限定されずに各種の燃焼装置に適用可能であり、もちろん当該燃焼装置の燃料も上記のようなガスに限られず灯油等の他の燃料を用いたものであってもよい。また、ガス瞬間給湯器としては、上記のようにバーナ3の燃焼本数を切り替え可能に構成されたものに限定されるものではない。
【0050】
また、上記コントローラ9でのファンモータ6の回転数制御の方法・構成についても上述した例に限られず種々の設計変更が可能である。その際、本発明を適用するにあたってファンモータ6が該ファンモータ6に流れる電流によって制御されることが装置構成上好ましいが、それ以外の構成であっても本発明の適用に当たりファンモータ6の電流を検出する手段を設ければ本発明を適用可能なことは勿論である。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1または2の振動燃焼検出方法によれば、振動燃焼が送風用ファンのファンモータに流れる電流に基づいて検出されるため、撮像装置等の大型かつ高価な装置を用いることなく簡易な構成で的確に振動燃焼を検出できる。そのため、本発明は、例えば一般家庭で使用されるような比較的簡易な構成のガス瞬間給湯器にも好適に採用し得る。しかも、この種の燃焼装置においてこれまでファンモータの回転数制御用に検出されていたデータ(ファンモータに流れる電流)に基づいて振動燃焼を検出できることから、新たにセンサ類を設けることもなくわずかな設計変更で振動燃焼の検出が実現できる。
【0052】
また、本発明の請求項3乃至7の燃焼装置によれば、振動燃焼状態の解消が図れるため、振動燃焼の発生による火力の低下を防止することができ、給湯性能を安定させることができる。また、請求項8の発明によれば、振動燃焼が検出されると所定の安全動作が行なわれるので、振動燃焼が装置の故障に基づく場合等に使用者の安全の確保とメンテナンス上の利点を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る燃焼装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】同燃焼装置の制御手段のファンモータ制御機能を説明する機能ブロック図である。
【図3】同燃焼装置の振動燃焼時におけるファンモータに流れる電流の変動を示す説明図である。
【図4】同燃焼装置が振動燃焼を検出した場合の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態に係る燃焼装置が振動燃焼を検出した場合の制御動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る燃焼装置におけるバーナ本数の切り替え制御動作を示す説明図である。
【図7】同燃焼装置が振動燃焼を検出した場合の制御動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る燃焼装置が振動燃焼を検出した場合の制御動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る燃焼装置が振動燃焼を検出した場合の制御動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の燃焼装置におけるファンモータの回転数と、該ファンモータに流れる電流と、流路抵抗との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ガス瞬間給湯器
2 缶体
3a,3b,3c バーナ(燃焼部)
4 熱交換器
5 送風用ファン
6 ファンモータ
6a 回転数センサ
7 ガス圧調節弁(ガス圧調節手段)
8 バーナ本数切替弁(バーナ本数切替手段)
9 コントローラ(制御手段)
10 ガス供給管
11 給水管
12 出湯管
13 点火プラグ
14 炎検知器
107 電圧検出手段(モータ電流検出手段)
108 電流検出手段(モータ電流検出手段)
109 電流演算手段(モータ電流検出手段)
110 振動燃焼検出手段
Claims (8)
- 少なくとも燃焼部とこの燃焼部に燃焼用空気を送風する送風用ファンとを備えた燃焼装置において、
前記送風用ファンを回転させるファンモータの電流値を監視して、この電流値の一定時間内における所定の振幅変動の回数を計数し、その計数結果に基づいて振動燃焼の有無を判断することを特徴とする振動燃焼検出方法。 - 前記所定の振幅変動として、ファンモータの電流値の微小時間当たりの変化量が所定値を超えた場合に計数を行なうことを特徴とする請求項1に記載の振動燃焼検出方法。
- 複数のバーナと、燃焼用空気を供給する送風用ファンおよびそのファンモータと、前記バーナに供給される燃料ガスのガス圧を調節するガス圧調節手段と、前記バーナの燃焼本数を切り替えるバーナ本数切替手段と、前記ファンモータに流れる電流に検出するモータ電流検出手段と、このモータ電流検出手段により検出されたファンモータの電流に基づいてファンモータの回転数を制御するとともに燃焼装置各部の動作を制御する制御手段とを少なくとも備えたガス燃焼装置であって、
前記ファンモータに流れる電流を監視するとともに、その電流値の振幅変動からバーナでの振動燃焼を判別する振動燃焼検出手段を備える
ことを特徴とする燃焼装置。 - 前記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、前記制御手段が、バーナでの燃焼を停止させるとともに、燃料ガスのガス圧とファンモータの回転数とを変更してバーナを再点火するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の燃焼装置。
- 前記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、前記制御手段が、振動燃焼検出手段における振動燃焼の検出が止むまで燃料ガスのガス圧を減少させるように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の燃焼装置。
- 前記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、前記制御手段が、バーナの燃焼本数を切り替えるとともに、この燃焼本数の切り替えによる号数の変動を燃焼ガスのガス圧を調節して補正するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の燃焼装置。
- 前記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、前記制御手段が、振動燃焼検出手段における振動燃焼の検出が止むまでファンモータの回転数を上昇させるとともに、振動燃焼の検出が止むとファンモータの回転数を当初の回転数に復帰させるように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の燃焼装置。
- 前記振動燃焼検出手段において振動燃焼が検出された際に、前記制御手段が、所定の安全動作を行いバーナでの燃焼を停止させることを特徴とする請求項3に記載の燃焼装置。
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1997
- 1997-02-25 JP JP05852897A patent/JP3707186B2/ja not_active Expired - Fee Related
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