JP3706549B2 - 使い捨てのパンツ型おむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、使い捨てのパンツ型おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
実開平5−39531号公報に開示の使い捨てのパンツ型おむつは、胴周り開口の周縁部や脚周り開口の周縁部の外面に、それぞれの周縁部の周り方向へ伸展可能に形成された止着テープを有する。この止着テープの一端部は周縁部の外面に固定され、その一端部の反対端部である自由端部の内面には粘着剤が塗布されている。このおむつを着用したときに、胴周り開口や脚周り開口の周縁部でおむつにだぶつきがあれば、止着テープによってそれら周縁部の長さが短くなるように調整してそのだぶつきを少なくする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記公知のおむつでは、だぶついている部分を胴周り方向や脚周り方向へたぐり寄せて止着テープの内側に小さくまとめ、その後に止着テープの自由端部を周縁部の周り方向へ引張ってその周縁部の外面に止めると、おむつはだぶつくということがない。しかしながら、だぶついている部分を止着テープの内側にまとめるときに、おむつの内面や外面を形成しているシートが幾重にも不規則に重なり合って嵩張り、おむつを着用しているときの邪魔になったり、おむつの外観を見苦しいものにしたりするということがある。また、たぐり寄せることによっておむつには多数のひだを生じることがあり、そうしたひだがおむつの内外に通じていると、そのひだを介しておむつ内側の体液が漏れることにもなる。
【0004】
この発明は、前記公知のおむつの改良に係り、おむつの胴周り方向や脚周り方向へ延びる止着テープを使用しておむつのだぶつきを少なくするときに、おむつの内面や外面を形成しているシートが不規則に重なり合って嵩張り、おむつ着用時の邪魔となることがないように、またおむつの外観に悪い影響を与えることがないように、さらにはまた体液漏れの原因となることがないようにすることを課題にしている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、前胴周り域と後胴周り域と股下域とによってパンツ形状が画成され、胴周り開口と一対の脚周り開口とを備え、前記胴周り開口および脚周り開口いずれかの周縁部外面にその周縁部の周り方向へ延びるベルトの一端部が固定され、前記ベルトの前記一端部の反対端部である自由端部が前記外面の所要部位に着脱可能に形成されている使い捨てのパンツ型おむつである。
【0006】
かようなおむつにおいて、前記周縁部には、前記バンドの一端部が固定されている部位から前記バンドの延びる方向の所要範囲に高剛性域と低剛性域とが前記方向において交互に形成されていること、がこの発明の特徴である。
【0007】
かかるこの発明の好ましい実施態様の一つにおいて、前記高剛性域は、前記おむつの内面を形成するシートと外面を形成するシートとこれら両シートを接合する接着剤とを含み、前記接着剤が前記両シートに対して前記周縁部の周り方向において短く、前記周り方向に直交する方向において長く、ストライプ状に塗布されている。
【0008】
実施態様の他の一つにおいて、前記おむつの内面を形成するシートと外面を形成するシートとのうちの少なくとも一方が熱可塑性合成樹脂を含み、前記高剛性域が前記樹脂を溶融して前記両シートを接合することにより形成されている。
【0009】
実施態様の他の一つにおいて、前記おむつの胴周り開口周縁部および脚周り開口周縁部の周り方向において前記高剛性域が形成されている範囲は、前記ベルトの一端部と自由端部との間にある。
【0010】
実施態様の他の一つにおいて、前記胴周り開口周縁部では、前記前胴周り域の周り方向中央部と前記後胴周り域の全体とに弾性部材が取り付けられ、前記前胴周り域の周り方向における前記中央部の両端から前記後胴周り域へ至る間には弾性部材が取り付けられていない。
【0011】
実施態様のさらに他の一つにおいて、前記高剛性域は、前記前胴周り域の周り方向における前記中央部の両端から前記後胴周り域へ至る間に形成されている。
【0012】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照して、この発明に係る使い捨てのパンツ型おむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0013】
図1に部分破断斜視図で示された使い捨てのパンツ型おむつ1は、前胴周り域2と、後胴周り域3と、股下域4とを有する。これら前後胴周り域2,3は、おむつ1の両側部5で合掌状に重なり合い、上下方向へ間欠的に形成された部位6で互いに接合してパンツ型の形状を画成している。おむつ1の内側は透液性表面シート12によって形成され、外側は不透液性裏面シート13によって形成されており、これら両シート12,13間に体液吸収性のコア14が配置されている。おむつ1はまた、胴周り開口16と一対の脚周り開口17とを有し、これら開口16,17の周縁部16a,17aは、コア14の周縁から延出して重なり合い、互いに接合する表面シート12と裏面シート13とによって形成されている。これらの周縁部16a,17aそれぞれでは、表面シート12と裏面シート13との間に、それらシート12,13の少なくとも一方の内面に接合する胴周り弾性部材18または脚周り弾性部材19がそれぞれの周縁部16a,17aの周り方向へ伸長状態で延びている。ただし、図示例の胴周り弾性部材18は、前胴周り域2の周り方向中央部と後胴周り域3の周り方向の全体とに位置し、脚周り弾性部材19は、脚周りの全体に位置している。おむつ1の両側部5では、胴周り開口16の周縁部16aと脚周り開口17の周縁部17aとに、上方バンド21と下方バンド22とが取り付けられ、これら両バンド21,22は、概ねそれらの周縁部16a,17aの周り方向へ延びている。
【0014】
図2は、図1のII−II線切断面を示す図面である。図1,2において、おむつ1の側部5に設けられた上方バンド21は、後胴周り域3に位置する後端部23が接着剤25を介して裏面シート13の外面に外れることがないように固定されている。後端部23から前胴周り域2へ向かって周縁部16aの周り方向へ延びる自由変形部分24は、前後胴周り域2,3が合掌状に重なり合う部位を越え、前端部26が、その内面に形成された止着部位27を介して前胴周り域2における裏面シート13の外面に仮想線で示されるように取り外し可能に止められている。胴周り開口16の周縁部16aは、表面シート12と裏面シート13とによって形成され、これら両シート12,13はそれぞれの可撓性を損なうことがないように接着または溶着によって互いに接合しているが、周縁部16aには、そのような接合に加え、周り方向へ1〜50mm、より好ましくは1〜5mmの幅を有し、おむつ1の上下方向へ5〜100mm、より好ましくは5〜50mmの長さを有し、表裏面シート12,13が互いに溶着するとともにフィルム化し、表裏面シート12,13よりも剛性の高い帯状域28が形成されている(図3を併せて参照)。かかる剛性の高い帯状域28は、表裏面シート12,13いずれかの内面にホットメルト接着剤を塗布してこれら両シート12,13を一体化することによって形成されることもある。
【0015】
帯状域28は、周縁部16aの周り方向へ間欠的に複数形成される。隣り合う帯状域28と28とは、それらの中間域29の幅が3〜50mmとなるように互いに離間している。好ましい帯状域28のJIS L 1096に準拠したガーレー剛性値は0.5〜20mN/25mm、より好ましい帯状域28のガーレー剛性値は1〜10mN/25mmの範囲にあって中間域29の剛性の少なくとも3倍であり、かかる帯状域28は可撓性の中間域29のように容易に変形するということがない。
【0016】
図3は、おむつ1の要部斜視図である。胴周り開口16の周縁部16aにおいて、好ましい帯状域28は開口16の縁にまで届くことがないように形成される。高剛性の帯状域28が開口16の縁に届くような態様でこの発明を実施することは可能であるが、そのような態様の帯状域28には、開口16の縁でおむつ1着用者の肌を強く刺激するという可能性がある。図示の上方バンド21は、図1の状態とは異なり、前端部26が周縁部16aから剥がされた状態にある。上方バンド21の止着部位27は、周縁部16aに対して着脱可能な止着手段、例えば粘着剤やメカニカルファスナの雄部材を前端部26の内面に設けることによって形成されている。粘着剤からなる止着手段は、裏面シート3がプラスチックフィルムや毛羽立ちの少ない不織布である場合に使用することができ、メカニカルファスナの雄部材からなる止着手段は、裏面シート3が毛羽立ちの多い不織布からなる場合や裏面シート3にメカニカルファスナの雌部材が取り付けられている場合に使用することができる。止着部位27はまた、上方バンド21に形成されて胴周り方向へ一列に並ぶ複数のボタン穴であってもよい。かかる止着部位27に対しては前胴周り域2の周縁部16aにボタンを取り付けておく。
【0017】
図4は、上方バンド21の使用状態を示す図3と同様の図面である。着用したおむつ1の前後胴周り域2,3が胴周り方向においてだぶついているときには、おむつ1の側部5において周縁部16aをそれがおむつ1の内外方向において重なり合うように折り重ねることによって周縁部16aの周長を短くしてだぶつきを少なくする。上方バンド21は、周縁部16aの周り方向へ緊張させながら引張り、止着部位27を周縁部16aの外面に止めることによって、周縁部16aがおむつ1の内外方向において規則的に折り重なった状態を維持し、より好ましくは周縁部16aが互いに密着して折り重なった状態を維持する。おむつ1をこのように始末すると、おむつ1のだぶついていた分は着用感に悪影響を与えるような大きな塊になって嵩張るということもなく、またおむつ1の外観を悪くすることもない。さらにはまた、周縁部16aを折り重ねることによって胴周りにひだが徒に増えるということもなく、しかも周縁部16aが密に重なることによっておむつ1内側の体液が外へ漏れるという機会が増えることもない。
【0018】
周縁部16aを胴周り方向へ折り重ねるときには、複数本ある高剛性の帯状域28のいずれかを選び、その帯状域28に沿って低剛性の中間域29を折曲すれば、折り重なる周縁部16aは図のように整った状態になる。これら帯状域28と中間域29とのうちで、帯状域28が周縁部16aの周り方向に形成される範囲は、少なくとも、図2のように胴周り方向へ延びた状態にある上方バンド21の後端部23から前端部26までの範囲に対向する範囲であり、もし必要ならば、前端部26を越えて胴周り方向中央部ヘ延びる範囲に形成されていてもよい。
【0019】
このように使用される上方バンド21は、周縁部16aの周り方向において非伸長性のもの、または弾性的に伸長性のものである。弾性的に伸長性の上方バンド21は、膨らもうとする腹部の動きに追随することができるので、腹部を圧迫しないという利点を有する。図1、3で明らかなように、おむつ1の前胴周り域2では、胴周り弾性部材18が周り方向の中央部にのみ取り付けられ、この中央部にのみギャザーが形成されている。胴周り方向におけるこの中央部の両端から後胴周り域3へ至る間の胴周り側部5にはギャザーが形成されておらず、そのような側部5における周縁部16aの表面は滑らかである。かかる状態の周縁部16aは、使用前のおむつ1であれば上方バンド21の止着部位27を容易に仮止めすることができ、また、着用したおむつ1がだぶついているのであればそのだぶついている分を胴周り弾性部材18に邪魔されることなく容易に図4のように折り重ねることができる。ただし、この発明は、胴周り弾性部材18が前胴周り域2の全体にわたって延びている態様で実施することも可能であり、また、胴周り弾性部材18が前胴周り域2に全く存在しない態様で実施することも可能である。上方バンド21は、図示例のようにおむつ1の両側部5に設ける他に、一方の側部5にのみ設けることも可能である。
【0020】
この発明に係るおむつ1では、胴周り開口16の周縁部16aに上方バンド21を設けることに加えて、または上方バンド21を設けることに代えて、図1に示されるように脚周り開口17の周縁部17aに下方バンド22を設けることができる。下方バンド22を有する周縁部17aは、周縁部16aの場合と同様に高剛性の帯状域28と低剛性の中間域29とが周縁部17aの周り方向に間欠的に形成される。図1の下方バンド22は、実質的な意味において周縁部17aの周り方向ヘ延びていれば十分にその機能を果たすことができる。
【0021】
この発明において、高剛性の帯状域28は、胴周り開口16や脚周り開口17の周縁部16a,17aに表面シート12や裏面シート13とは別体の材料、例えば不織布やプラスチックフィルム、発泡弾性シートなどを接合することによって形成することもできる。こうした材料は、溶着によって1〜10mmの幅に形成された図示例の帯状域28に代えて10〜50mm程度の広い幅の帯状域28を得るときに役立つ。また、この発明において、表面シート12には熱可塑性合成繊維からなる不織布や開孔プラスチックフィルムを使用することが好ましく、裏面シート13にはプラスチックフィルムやプラスチックフィルムの外面に不織布を積層した複合シートを使用することが好ましい。これらの表裏面シート12,13であれば、シートどうしを溶着して帯状域28を得ることができる。胴周り開口16や脚周り開口17の周縁部16aや17aは、図示例のように表裏面シート12,13で形成することに代え、これらシート12,13とは別体のシート素材で形成することもできる。
【0022】
【発明の効果】
この発明に係る使い捨てのパンツ型おむつは、胴周り開口の周縁部および/または脚周り開口の周縁部に周縁部の周り方向ヘ延びるバンドと、その周り方向において交互に並ぶ高剛性域および低剛性域とを有するから、着用したおむつが胴周りや脚周りでだぶついたときに、そのだぶついた分をおむつの着用感や外観を悪くしたりすることがないように規則的に折り重ねることができる。そのように折り重ねた部分は互いに密着することが可能で、折り重ねることによって生じるひだを介しておむつ内側の体液が漏れるということがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】使い捨てのパンツ型おむつの部分破断斜視図。
【図2】図1のII−II線切断面を示す図。
【図3】おむつの要部斜視図。
【図4】上方バンドが使用状態にあるときの図3と同様な図面。
【符号の説明】
1 使い捨てのパンツ型おむつ
2 前胴周り域
3 後胴周り域
4 股下域
16 胴周り開口
16a 周縁部
17 胴周り開口
17a 周縁部
12 シート
13 シート
21 バンド
22 バンド
23 端部
28 高剛性域(帯状域)
29 低剛性域(中間域)
Claims (6)
- 前胴周り域と後胴周り域と股下域とによってパンツ形状が画成され、胴周り開口と一対の脚周り開口とを備え、前記胴周り開口および脚周り開口いずれかの周縁部外面にその周縁部の周り方向へ延びるバンドの一端部が固定され、前記バンドの前記一端部の反対端部である自由端部が前記外面の所要部位に着脱可能に形成されている使い捨てのパンツ型おむつにおいて、
前記周縁部には、前記バンドの一端部が固定されている部位から前記バンドの延びる方向の所要範囲に高剛性域と低剛性域とが前記方向において交互に形成されていることを特徴とする前記おむつ。 - 前記高剛性域は、前記おむつの内面を形成するシートと外面を形成するシートとこれら両シートを接合する接着剤とを含み、前記接着剤が前記両シートに対して前記周縁部の周り方向において短く、前記周り方向に直交する方向において長く、ストライプ状に塗布されている請求項1に記載のおむつ。
- 前記おむつの内面を形成するシートと外面を形成するシートとのうちの少なくとも一方が熱可塑性合成樹脂を含み、前記高剛性域が前記樹脂を溶融して前記両シートを接合することにより形成されている請求項1記載のおむつ。
- 前記おむつの胴周り開口周縁部および脚周り開口周縁部の周り方向において前記高剛性域が形成されている範囲は、前記ベルトの一端部と自由端部との間にある請求項1〜3のいずれかに記載のおむつ。
- 前記胴周り開口周縁部では、前記前胴周り域の周り方向中央部と前記後胴周り域の全体とに弾性部材が取り付けられ、前記前胴周り域の周り方向における前記中央部の両端から前記後胴周り域へ至る間には弾性部材が取り付けられていない請求項1〜4のいずれかに記載のおむつ。
- 前記高剛性域は、前記前胴周り域の周り方向における前記中央部の両端から前記後胴周り域へ至る間に形成されている請求項5記載のおむつ。
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