JP3705856B2 - 光コネクタ組立治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光コネクタ組立治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ心線を接続切り替え可能に成端する光コネクタとしては、MT(Mechanically Transferable)コネクタが知られている。前記MTコネクタは、光ファイバ心線の先端面が面一に露出された突き合わせ面同士を突き合わせることにより、一対の光ファイバ心線を突き合わせ接続するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記MTコネクタは、高精度に組み立てる必要があるので、工場で専用の機器を用いて組み立てることが一般的であり、現場で組み立ることが困難であった。このため、光ファイバ心線へのMTコネクタの現場付けはあまり普及していないのが実状であり、また、専用の機器を現場に搬入するには搬入作業に手間がかかるとともに、コストが上昇するといった問題がある。
【0004】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、現場において光ファイバの先端に光コネクタを簡便に組み立てることができる光コネクタ組立治具を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の光コネクタ組立治具では、前記課題を解決するため、光ファイバの先端に組み立てられて、光ファイバの先端面が面一に露出された突き合わせ面同士を突き合わせることにより、光ファイバ同士を突き合わせ接続する光コネクタを光ファイバの先端部に組み立てるための光コネクタ組立治具であって、前記光コネクタのコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに差し込まれた光ファイバを把持するファイバクランプと、前記コネクタハウジングの端面であって前記ファイバクランプが設けられる側とは逆側に設けられた前記突き合わせ面に位置決め面を当接させることにより、前記突き合わせ面と前記コネクタハウジングに差し込まれて前記突き合わせ面に出没される光ファイバの先端面とを面一に位置決めする位置決めブロックと、前記コネクタハウジングの前記突き合わせ面と前記位置決めブロックの位置決め面とを突き合わせた状態に保持するクリップとを備え、前記位置決めブロックの前記位置決め面とは逆側の端面を押圧する一の付勢手段および前記ファイバクランプの前記コネクタハウジングが存する側とは逆側の端面を押圧する他の付勢手段からなっていて、前記コネクタハウジングと前記ファイバクランプとの互いを接近させる方向に付勢する一対の付勢手段を設けることを前記課題の解決手段とした。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明の光コネクタ組立治具の実施の形態を、図1および図2を参照して説明する。
図1および図2において、本実施の形態の光コネクタ組立治具は、手動で持ち運び可能な長方形板状のベース1と、該ベース1の上面に開口されてベース1の長手方向に延在する溝2の両端に対向配置されたコイルバネ3(付勢手段)とで構成されている。
【0007】
溝2の一側(図1、図2左下側)は、突き合わせ接続した一対のMTコネクタをクランプしてこれらMTコネクタの突き合わせ面間に突き合わせ力を付与するクリップ4を収納可能に形成されたクリップ収納溝5とされている。
溝2の中央部は、溝2の他の部分に比べて拡張して形成され、光ファイバ切断機等から分離したファイバクランプ6が収納されるファイバクランプ収納溝7とされている。前記ファイバクランプ6は、光ファイバ切断機で切断した光ファイバテープ心線(以下「テープ心線」)8をクランプしたまま光ファイバ切断機からファイバクランプ収納溝7内に移設される。ファイバクランプ6からのテープ心線8の突出長は切断時に調整されており、ファイバクランプ6のセット時に再度調整する必要は無い。また、ファイバクランプ6は、テープ心線8を位置決めする位置決め溝を有するクランプ台6aと、該クランプ台6a上に図示しないヒンジを介して回動可能に取り付けられた押さえ板6bとの間にテープ心線8を挟み込み、押さえ板6bをクランプ台6aに吸着する磁石の磁気吸着力を以てテープ心線8をクランプするようになっている。したがって、ファイバクランプ6は、押さえ板6bを開閉することにより、テープ心線8のクランプ位置を容易に調整することができる。
【0008】
溝2の一側の端部に配置されたコイルバネ3は、先端に取り付けられた押圧ブロック9を介して、クリップ収納溝5内に配置したクリップ4にクランプされた位置決めブロック10を溝2の他側方向に押圧するようになっている。前記位置決めブロック10は、金属等の硬質の材料で形成された直方体状のブロックであって、高精度の平坦面に形成された位置決め面11にMTコネクタのコネクタハウジング12の突き合わせ面13を当接させた状態で該コネクタハウジング12とともにクリップ4によってクランプされるようになっている。クリップ4は、位置決めブロック10を溝2の一側、コネクタハウジング12を溝2の他側としてクリップ収納溝5に収納される。
なお、クリップ収納溝5の底面14は、クリップ4を溝2の長手方向に摺動自在に支持する摺動面として機能する。
【0009】
溝2の他側はテープ心線8を収納するテープ心線収納溝15とされている。溝2の他側の端部に配置されたコイルバネ3は、ファイバクランプ収納溝7に配置されたファイバクランプ6を、テープ心線収納溝15に配置されてテープ心線8をファイバクランプ6におけるクランプ位置に保持する保持ブロック21を介して一側方向に押圧するようになっている。
なお、ファイバクランプ収納溝7の長手方向(溝2の長手方向と同方向)の寸法がファイバクランプ6の寸法よりやや大きく形成されているので、ファイバクランプ収納溝7に収納したファイバクランプ6は、ファイバクランプ収納溝7との間に生じる長手方向のクリアランスの範囲で移動可能になっている。また、ファイバクランプ収納溝7の底面16は、ファイバクランプ6のファイバクランプ収納溝7の長手方向への移動を許容する摺動面として機能するようになっている。
【0010】
テープ心線8は、先端部がコネクタハウジング12内に差し込まれ、該先端部の口出しして露出させた裸ファイバ17(先端部)がコネクタハウジング12の突き合わせ面13に形成した光ファイバ嵌合穴18に嵌合されている。裸ファイバ17と光ファイバ嵌合穴18との間の嵌合による摩擦力は、裸ファイバ17の先端面19が突き合わせ面13に出没可能な程度になっている。裸ファイバ17の先端面19は、コネクタハウジング12の突き合わせ面13が当接された位置決めブロック10の位置決め面11に突き当てられることにより、突き合わせ面13と面一に位置決めされるようになっている。
コネクタハウジング12の側面には、コネクタハウジング12内に挿入したテープ心線8の先端部をコネクタハウジング12と一体に固定する接着剤を注入するための接着剤注入用窓20が開口されている。テープ心線8の先端部とコネクタハウジング12とを固定する手段としては、圧着部材等を適用することも可能である。
【0011】
以下、本実施の形態の作用および効果を説明する。
前記光コネクタ組立治具は、概略組み立てたコネクタハウジング12を位置決めブロック10の位置決め面11に突き合わせ面13を当接させて位置決めブロック10とともにクリップ4でクランプしてクリップ収納溝5に収納し、成端すべきテープ心線8をクランプするファイバクランプ6をファイバクランプ収納溝7に収納し、コネクタハウジング12にテープ心線8の先端部を差し込んでおくとともに、溝2内で直列に配列させた位置決めブロック10とコネクタハウジング12とファイバクランプ6に配列の両端からコイルバネ3の押圧力を圧縮方向に作用させることにより、光ファイバ嵌合穴18に嵌合された裸ファイバ17の先端面19を突き合わせ面13と面一に精密位置決めするようになっている。
【0012】
すなわち、一対のコイルバネ3の押圧力は、直列に配列させた位置決めブロック10とコネクタハウジング12とファイバクランプ6を配列の軸線方向で圧縮する方向に作用し、コネクタハウジング12とファイバクランプ6との間に作用する圧縮方向の押圧力がテープ心線8を介して伝達されるので、光ファイバ嵌合穴18に嵌合した裸ファイバ17およびコネクタハウジング12が位置決め面11に圧接されて、裸ファイバ17の先端面19がコネクタハウジング12の突き合わせ面13と面一に精密位置決めされる。
この時、位置決めブロック10またはコネクタハウジング12、ファイバクランプ6のいずれかを一対のコイルバネ3の押圧力に抗して溝2の長手方向に移動させた時に、これら位置決めブロック10とコネクタハウジング12とファイバクランプ6が一体的に移動することで、一対のコイルバネ3の押圧力が適切に作用していることを簡便に確認することができる。なお、コイルバネ3の押圧力が適正に作用している場合には、位置決めブロック10、コネクタハウジング12、ファイバクランプ6相互間に圧接力が常時作用しているので、押圧力の確認作業時においてこれら各部品間に位置ずれ等を生じる心配は無い。
【0013】
裸ファイバ17の先端面19の位置決めが完了したら、接着剤注入用窓20からコネクタハウジング12内に接着剤を注入して、テープ心線8とコネクタハウジング12とを一体に固定する。
【0014】
したがって、本実施の形態の光コネクタ組立治具によれば、位置決めブロック10とコネクタハウジング12とファイバクランプ6とをそれぞれ溝2の適切位置に挿入して、一対のコイルバネ3の押圧力を作用させるだけで、裸ファイバ17の先端面19を突き合わせ面13と面一に精密位置決めできるので、現場においてもMTコネクタを簡便に組み立てすることができ、組み立ての作業性が向上する。
【0015】
なお、本発明の光コネクタ組立治具は、直列に配列させた位置決めブロック、コネクタハウジング、ファイバクランプを一対の付勢手段の間にクランプして配列軸線方向に移動可能に保持可能な構成であれば、前記位置決めブロック、コネクタハウジング、ファイバクランプが配置される溝や摺動面を有していない構造を適用することも可能である。
付勢手段は、コイルバネ3に限定されない。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光コネクタ組立治具によれば、光ファイバの先端に組み立てられて、光ファイバの先端面が面一に露出された突き合わせ面同士を突き合わせることにより、光ファイバ同士を突き合わせ接続する光コネクタを光ファイバの先端部に組み立てるための光コネクタ組立治具であって、前記光コネクタのコネクタハウジングと、該コネクタハウジングの突き合わせ面およびコネクタハウジングに差し込まれて前記突き合わせ面に出没される光ファイバの先端面が当接されることによりこれらを面一に位置決めする位置決めブロックと、コネクタハウジングに差し込まれた光ファイバを把持するファイバクランプとを互いに当接させて直列に配列させた両端を挟み込んで配列の軸線方向両端から圧縮する方向の押圧力を付与する一対の付勢手段を具備し、位置決めブロックとコネクタハウジングとファイバクランプとを直列に配列して一対の付勢手段の間にクランプするだけで、光ファイバの先端面をコネクタハウジングの突き合わせ面と面一に精密位置決めでき、現場においても光コネクタを簡便に組み立てすることができ、組み立ての作業性が向上するといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光コネクタ組立治具の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】 図1の光コネクタ組立治具の側断面図である。
【符号の説明】
3…付勢手段(コイルバネ)、6…ファイバクランプ、10…位置決めブロック、12…コネクタハウジング、13…突き合わせ面、17…先端部(裸ファイバ)、19…先端面。
Claims (4)
- 光ファイバの先端面(19)が面一に露出された突き合わせ面(13)同士を突き合わせることにより、光ファイバ同士を突き合わせ接続する光コネクタを光ファイバの先端部(17)に組み立てるための光コネクタ組立治具であって、
前記光コネクタのコネクタハウジング(12)と、
前記コネクタハウジング(12)に差し込まれた光ファイバを把持するファイバクランプ(6)と、
前記コネクタハウジング(12)の端面であって前記ファイバクランプ(6)が設けられる側とは逆側に設けられた前記突き合わせ面(13)に位置決め面(11)を当接させることにより、前記突き合わせ面と前記コネクタハウジングに差し込まれて前記突き合わせ面(13)に出没される光ファイバの先端面とを面一に位置決めする位置決めブロック(10)と、
前記コネクタハウジング(12)の前記突き合わせ面(13)と前記位置決めブロック(10)の位置決め面(11)とを突き合わせた状態に保持するクリップ(4)とを備え、
前記位置決めブロック(10)の前記位置決め面(11)とは逆側の端面を押圧する一の付勢手段および前記ファイバクランプ(6)の前記コネクタハウジング(12)が存する側とは逆側の端面を押圧する他の付勢手段からなっていて、前記コネクタハウジング(12)と前記ファイバクランプ(6)との互いを接近させる方向に付勢する一対の付勢手段(3)を設けたことを特徴とする光コネクタ組立治具。 - ベースに溝を設け、
前記溝の内の両端に一対の前記付勢手段(3)を配置すると共に、前記溝の内にファイバクランプ(6)と前記クリップ(4)で保持された前記コネクタハウジング(12)および前記位置決めブロック(10)とを収納したことを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ組立治具。 - 前記光コネクタをMTコネクタで構成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光コネクタ組立治具。
- 前記光ファイバの心線をテープ心線で構成することを特徴とする請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の光コネクタ組立治具。
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