JP3705756B2 - 電解液及び該電解液により生成させた電解水 - Google Patents

電解液及び該電解液により生成させた電解水 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、隔膜電解槽を用いて、陽極室に次亜塩素酸(HClO)を含有する電解酸性水を生成させると同時に、陰極室に電解アルカリ性水を生成させるための電解液、及び該電解液により生成させた電解水に関する。より詳しくは、陽極室に、殺菌効果の高い最適pH範囲内に制御された電解酸性水を、また陰極室に、洗浄効果の高い最適pH範囲内に制御された電解アルカリ性水を生成させるための電解液、及び該電解液により生成させた電解水に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、隔膜電解槽を用いて、塩化ナトリウム(NaCl)含有水溶液を電気分解させることにより、陽極室に次亜塩素酸を含有する電解酸性水を、また陰極室に電解アルカリ性水を生成させることは、広く知られている。
【0003】
陽極室で生成させた電解酸性水は、厨房、食器の他、医療用、食品用等の洗浄、消毒、殺菌用に用いられ、また陰極室で生成させた電解アルカリ性水は、厨房、食器、窓ガラス、衣類等の油汚れ、泥汚れの洗浄用に用いられる。
【0004】
特公平4−42077号公報には、殺菌水製造装置及び殺菌水製造方法が開示されており、明細書には、「塩素殺菌の場合、水溶液のpHにより残留塩素の存在比が変化し、それに伴って同一の残留塩素濃度でも殺菌効果が変動する。殺菌効果が最も大きいといわれている次亜塩素酸(HClO)の存在比の高いpH範囲、すなわちpH3〜7好ましくはpH4〜6の範囲にすれば、残留塩素濃度が低くとも大きな殺菌効果を発揮できる」、すなわち、殺菌用として用いる場合には、pH3〜7が、殺菌効果が最も大きい最適pH範囲であることが記載されている。
【0005】
一般に、隔膜電解槽を用いて、塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解させた場合、塩素イオン(Cl)が、陽極室側に電気的に引き寄せられ、隔膜を透過(電気透析)して、陽極室に塩酸(HCl)が生成して、酸性となり、また、ナトリウムイオン(Na)が、陰極室側に電気透析して、陰極室に水酸化ナトリウム(NaOH)が生成して、アルカリ性となる。
【0006】
陽極室に生成した塩酸は、強酸であり、かつpH緩衝作用がないため、生成させる電解酸性水のpHを、殺菌効果の高い最適pH範囲内に制御することは、困難であり、かつ使用水の水質の影響を受け、電解酸性水のpHが大幅に変動してしまうという問題点があった。このため、電解装置には、生成させる電解酸性水を、設定したpH範囲内に保持させるための自動制御回路を設けなくてはならず、電解装置がコスト高になるという問題点があった。
【0007】
一方、陰極室では水酸化ナトリウムを主成分とした強アルカリ性の電解アルカリ性水が生成する。水酸化ナトリウムは、強アルカリ性というだけでなく、“毒物及び劇物取締法”の“劇物”に指定されており、また“有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律”により、含有量や容器等が厳しく制限されており、一般家庭で用いる場合、特段の注意を払わなくてはならなかった。
【0008】
特開平9−262587号公報には、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩化物塩と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物塩等の、水に溶けてアルカリ性を示す化合物を含むアルカリ化剤とを含有した水溶液を、有隔膜電解槽で電気分解させ、陰極室に、pH10〜12.5の強アルカリ水を生成させると共に、陽極室に、pH3〜7.5の次亜塩素酸殺菌水を生成させる、強アルカリ水と次亜塩素酸殺菌水の同時生成方法が開示されている。
【0009】
しかしながら、上記の場合でも、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウムのような電離度の大きい強電解質を用いた電気分解では、前記と同様、自動制御回路なしには、陽極室に生成させる電解酸性水のpHを、設定したpH範囲内に制御することは、実質上難しかった。
【0010】
また、該電解液は、強アルカリ性であり、水酸化ナトリウムは、前記の通り“劇物”であり、含有量や容器等が、法的に厳しく制限されており、取り扱いには特段の注意を要する必要があった。
【0011】
さらに、同号公報の明細書には、アルカリ化剤として、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩も記載されている。炭酸水素塩を用いた場合は、安全性の面では、取り扱い上も安全で、かつ規制を受けるような法令はない。
【0012】
しかしながら、炭酸塩は、一般に電離度の小さい弱電解質であり、導電率が低く、槽電圧が高くなる。図1に示すように、水溶液中の炭酸イオンは、一般に、pHによって存在形態が変化し、強アルカリ性では、CO 2−の状態で電離しているものの、弱アルカリ性では、HCO となり、pH4〜7の弱酸性から中性では、HCOが生成してしまい、電離しなくなる。すなわち、電気分解の進行に伴い、陽極室の電解液のpHが低下し、弱酸性から中性となると、HCOとなって、電離しなくなるため、電解液の導電率が低下し、槽電圧が上昇していく傾向が見られる。
【0013】
上記の理由により、塩化物塩と、アルカリ化剤である炭酸水素塩とを含有する電解液を用いた電気分解では、電力コストが高くなり、電解装置は、容量の大きい直流電源を備えなければならず、高価となるという問題を有していた。また、槽電圧が高くなるため、電流密度を上げるのは困難であり、従来に比べ、電極面積が大きくなり、電解装置を大型化しなくてはならず、高価になるという問題があった。
【0014】
特開平10−57960号公報には、塩化ナトリウム及び/または硫酸ナトリウム含有水溶液を電解液として用いた、電解水の生成方法及び装置が開示されている。しかしながら、該電解液を用いて電気分解させた場合、塩素イオンや硫酸イオンが、陽極室側に電気透析され、強酸性の塩酸や硫酸(HSO)の酸性水が生成する。該酸性水は、腐食性が強く、皮膚や金属に付着しないよう特段の注意を要する必要があり、電解酸性水として用いることは、実質上難しかった。
【0015】
また、ナトリウムイオンが、陰極室側に電気透析され、強アルカリ性の水酸化ナトリウムを含有するアルカリ水が生成する。該アルカリ水は、アルカリ性が強く、ケン化作用が大きいため、洗浄効果は高いものの、腐食性が強く、取り扱いの面を考慮すると、電解アルカリ性水として用いることは、実質上難しかった。
【0016】
電解酸性水のpHを設定したpH範囲内に保持させるための自動回路が不要な、小型で簡易な構成の電解装置で電気分解でき、また低電力、低コストで、取り扱いが容易で、殺菌効果の高い最適pH範囲であるpH4〜7に制御された電解酸性水、及び取り扱いが容易で、洗浄効果の高い最適pH範囲であるpH11〜12.5に制御された電解アルカリ性水を生成できる電解液が望まれていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、取り扱いが容易で、殺菌効果の高い最適pH範囲であるpH4〜7に制御された電解酸性水、及び取り扱いが容易で、洗浄効果の高い最適pH範囲であるpH11〜12.5に制御された電解アルカリ性水を、低電力かつ低コストで生成させるための電解液を提供することであり、さらに、該電解液により生成させた電解水を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、電解液の導電率を高める電解質として、強電解質である硫酸ナトリウムを溶解させた水溶液に、pH緩衝作用を有する弱電解質である、炭酸及び/または炭酸塩、あるいはカルボン酸及び/またはカルボン酸ナトリウムを添加させた電解液を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明の、請求項1に記載の電解液は、隔膜電解槽を用いて、陽極室に電解酸性水を、陰極室に電解アルカリ性水を生成させるための電解液が、強電解質である硫酸ナトリウム含有水溶液に、pH緩衝作用を有する弱電解質である炭酸及び/または炭酸塩を、添加させてなることを特徴とする。
【0020】
請求項2に記載の電解液は、請求項1に記載の発明において、炭酸塩が、炭酸ナトリウム及び/または炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする。
【0021】
請求項3に記載の電解液は、隔膜電解槽を用いて、陽極室に電解酸性水を、陰極室に電解アルカリ性水を生成させるための電解液が、強電解質である硫酸ナトリウム含有水溶液に、pH緩衝作用を有する弱電解質であるカルボン酸及び/またはカルボン酸ナトリウムを添加させてなることを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載の電解液は、請求項3に記載の発明において、カルボン酸が、食品添加物である、アジピン酸、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、こはく酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の電解液は、請求項3に記載の発明において、カルボン酸ナトリウムが、食品添加物である、アジピン酸、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、こはく酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のナトリウム塩であることを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の電解液は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、電解液が、塩化物塩を添加されてなることを特徴とする。
【0025】
請求項7に記載の電解液は、請求項6に記載の発明において、塩化物塩が、塩化ナトリウムであり、かつ電解液中の塩素イオン濃度が、10〜100ppmであることを特徴とする。
【0026】
請求項8に記載の電解液は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明において、電解液中の硫酸ナトリウム濃度が、0.3〜5g/Lであることを特徴とする。
【0027】
請求項9に記載の電解水は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電解液により、陽極室に生成させる電解酸性水のpHが、4〜7であることを特徴とする。
【0028】
請求項10に記載の電解水は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電解液により、陽極室に生成させる電解酸性水のpHが、5〜7であることを特徴とする。
【0029】
請求項11に記載の電解水は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電解液により、陰極室に生成させる電解アルカリ性水のpHが、11〜12.5であることを特徴とする。
【0030】
請求項12に記載の電解水は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電解液により、陽極室に生成させる電解酸性水のpHが、4〜7であり、かつ陰極室に生成させる電解アルカリ性水のpHが、11〜12.5であることを特徴とする。
【0031】
請求項13に記載の電解水は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電解液により、陽極室に生成させる電解酸性水のpHが、5〜7であり、かつ陰極室に生成させる電解アルカリ性水のpHが、11〜12.5であることを特徴とする。
【0032】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0033】
本発明の電解液は、電解液の導電率を高める強電解質の硫酸ナトリウムを溶解させた水溶液に、pH緩衝作用を有する弱電解質である、炭酸及び/または炭酸塩、あるいはカルボン酸及び/またはカルボン酸ナトリウムを添加させて、調製される。
【0034】
本発明の電解液中の硫酸ナトリウム濃度は、0.3〜5g/Lである。硫酸ナトリウム濃度が0.3g/L未満の場合、電解液の導電率を高めることができず、また5g/L超の場合、処理時に噴霧した場合、塩が析出してしまい、不都合である。
【0035】
硫酸ナトリウムは、電離度の大きい強電解質であり、電解液の導電率を高め、電解時の槽電圧を低減させるのに有効であり、電力コストを低減させることができる。しかしながら、硫酸ナトリウムのような強電解質を含有する電解液は、陽極室に強酸性の硫酸水溶液を、陰極室に強アルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液を生成させるので、腐食性が強く、取り扱いが困難である。
【0036】
本発明において、電解液の導電率を高める強電解質である硫酸ナトリウム含有水溶液に、pH緩衝作用を有する弱電解質である、炭酸及び/または炭酸塩、あるいはカルボン酸及び/またはカルボン酸ナトリウムを添加させることにより、陽極室に生成させる硫酸含有水溶液のpHを、弱酸性〜中性の範囲に、陰極室に生成させる水酸化ナトリウム水溶液のpHを、弱アルカリ性に制御させることができる。
【0037】
本発明に用いられる炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等があげられ、これらの少なくとも1種が用いられる。上記炭酸塩中、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムは、安価であり経済性に優れており、かつ“食品衛生法”の“食品添加物”に指定されているので、食器類、厨房等の洗浄、消毒、殺菌用として好ましい。
【0038】
上記炭酸及び/または炭酸塩を用いた場合には、電解酸性水のpH範囲を6〜7に制御できる。
【0039】
また、本発明に用いられるカルボン酸としては、“食品添加物”である、アジピン酸、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、こはく酸があげられ、これらの少なくとも1種が用いられる。電解酸性水中の次亜塩素酸の安定性を考慮すると、アジピン酸、酢酸、こはく酸が好ましい。また、上記カルボン酸の他に、そのナトリウム塩も用いることができる。
【0040】
上記カルボン酸及び/またはカルボン酸ナトリウムを用いた場合には、電解酸性水のpH範囲を4〜6に制御することができる。
【0041】
電解酸性水の処理対象、処理方法、処理目的等に応じて、上記炭酸及び/または炭酸塩、あるいは上記カルボン酸及び/またはカルボン酸ナトリウムを、適宜選択し、単独あるいは適宜組合せて、硫酸ナトリウム含有水溶液に添加させて調製した電解液を、電気分解させることにより、陽極室に、所望の最適pH範囲に制御された電解酸性水を、また陰極室に、所望の最適pH範囲に制御された電解アルカリ性水を生成させることができる。
【0042】
本発明の電解液は、所定量の硫酸ナトリウムと、所定量の炭酸及び/または炭酸塩、あるいはカルボン酸及び/またはカルボン酸ナトリウムとを、水に溶解させて調製した、所定の濃度の水溶液として用いられるか、予め高濃度に調製した水溶液を、使用場面において、水により希釈して、所定の濃度の水溶液に調製して用いられる。
【0043】
水が水道水の場合、原水中の塩素イオン濃度は、通常、数ppm〜数10ppmであり、特に塩化物塩を添加させなくとも、殺菌作用を有する次亜塩素酸を含有する電解酸性水を生成させることができる。しかしながら、水道水中の塩素イオン濃度は、地域により異なっており、電解酸性水中の次亜塩素酸濃度も変動してしまい、殺菌効果にバラツキの生ずる恐れがある。
【0044】
所定量の塩化物塩を、電解液に添加させることにより、電解酸性水中の次亜塩素酸濃度を一定範囲に制御させることができ、殺菌効果のより優れた電解酸性水が生成できるので、好ましい。
【0045】
電解液に添加される塩化物塩は、特に限定されないが、経済性の面を考慮すると、塩化ナトリウムが安価であり、好ましい。また、電解液中の塩素イオン濃度は、10〜100ppmである。塩素イオン濃度が10ppm未満の場合、殺菌効果が発現せず、また100ppm超の場合、電解酸性水の塩素臭が著しく、取り扱いが困難であり、不都合である。
【0046】
本発明の電解液を用いる電解装置としては、従来用いられている回分式または連続通水式の隔膜電解槽のいずれもでもよく、特に限定されない。
【0047】
図2は、本発明の電解液を用いる回分式隔膜電解槽1を組み込んだ電解装置の一実施態様を示す模式図である。なお、本発明は、図2によりなんら限定されない。
【0048】
隔膜電解槽1に、本発明の電解液を供給させ、一定時間、定電流電解させることにより、陽極室3に、殺菌効果の高い最適pH範囲に制御された、次亜塩素酸を含有する電解酸性水を、また、陰極室6に、洗浄効果の高い最適pH範囲に制御された電解アルカリ性水を生成させる。
【0049】
本発明の電解液は、pH緩衝作用を有する弱電解質を含有しており、電気分解させた場合、生成される電解酸性水のpHは、使用水の水質に依存せず、かつ電解条件を特別に変更せずとも、取り扱いが容易で、殺菌効果の高い最適pH範囲であるpH4〜7に制御された電解酸性水を得ることができる。
【0050】
電解酸性水のpHが4未満の場合、皮膚への刺激性、金属への腐食性が著しく、pHが7超の場合、殺菌効果が発現せず、不都合である。
【0051】
また、電解酸性水のpHが5〜7の場合、皮膚への刺激性、金属への腐食性もなく、取り扱いやすいので、特に好ましい。
【0052】
また、本発明の電解液を用いて生成される電解アルカリ性水のpHは、最適pH範囲である11〜12.5であり、従来の塩化ナトリウム及び/または硫酸ナトリウム等の強電解質のみを用いた場合と比べ、取り扱いが容易である。さらに、本発明の電解液を用いて生成される電解アルカリ性水は、アルカリ度が高く、洗浄効果に優れている。
【0053】
電解アルカリ性水のpHが11未満の場合、洗浄効果が不十分となり、またpHが12.5超の場合、皮膚への刺激性、金属への腐食性が著しく、取り扱いが困難であり、不都合である。
【0054】
本発明の電解液は、強電解質である硫酸ナトリウムと、pH緩衝作用を有する弱電解質である、炭酸及び/または炭酸塩、あるいはカルボン酸及び/またはカルボン酸ナトリウムとを組合せたものであり、該電解液を用いた電気分解では、従来のように、電解酸性水のpHを設定したpH範囲内に保持させるための自動制御回路が不要であり、簡易な構成の電解装置で十分であり、安価であり、経済性に優れている。
【0055】
また、本発明の電解液を用いる電気分解では、特開平9−262587号公報開示の電解液の場合における、高槽電圧、及び電解に伴う槽電圧の上昇もなく、小型で簡易な構成の電解装置で十分であると共に、低電力で電気分解でき、経済性に優れている。
【0056】
本発明の電解液を用いた電気分解では、使用水の水質に依存せず、また電解条件を特別に変更させることなく、一定時間、定電流電解させるだけで、陽極室から、取り扱いが容易で、殺菌効果の高い最適pH範囲に制御された電解酸性水を、また陰極室から、取り扱いが容易で、アルカリ度が高く、洗浄効果の高い最適pH範囲に制御された電解アルカリ性水を、簡単かつ容易に生成させることができる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、実施例及び比較例を参照して説明する。本発明は、実施例により、なんら限定されない。
【0058】
実施例1
水道水に、硫酸ナトリウム1g/Lを溶解させた後、pH緩衝作用を有する弱電解質として炭酸ナトリウム1g/Lを添加させ、ついで塩化ナトリウム0.082g/L(塩素イオン濃度として50mg/L)を添加させて、電解液を調製した。
【0059】
電解装置としては、図2に示すように、陽極2及び陰極5が白金メッキチタン電極(縦60mm×横50mm)、隔膜4がポリエステル製不織布で構成されている、回分式の隔膜電解槽(全容量500mL)1を用いた。
【0060】
先に調製した電解液を、陽極室3及び陰極室6に、各々約250mLを供給させた後、直流電流0.3Aで30分間、定電流電解を行った。この時の槽電圧は、6.0Vであった。陽極室3に生成させた電解酸性水のpHは、6.3であり、殺菌効果の高い最適pH範囲であるpH4〜7に制御されていた。また、電解酸性水の酸化還元電位(ORP)は、950mV、次亜塩素酸濃度は、30ppmであった。また、陰極室に生成させた電解アルカリ性水のpHは、12.0であり、洗浄効果の高い最適pH範囲であるpH11〜12.5に制御されていた。また電解アルカリ性水のORPは、−890mVであった。
【0061】
実施例2
水道水に、硫酸ナトリウム1g/Lを溶解させた後、pH緩衝作用を有する弱電解質として酢酸1g/Lを添加させ、ついで塩化ナトリウムを0.082g/L(塩素イオン濃度として50mg/L)を添加させて、電解液を調製した。以下、実施例1と同様にして、電気分解を行った。この時の槽電圧は、5.5Vであった。陽極室3に生成させた電解酸性水のpHは、4.2であり、実施例1と同様、殺菌効果の高い最適pH範囲内に制御されており、また、ORPは、980mV、次亜塩素酸濃度は、30ppmであった。また、陰極室に生成させた電解アルカリ性水のpHは、11.5であり、実施例1と同様、洗浄効果の高い最適pH範囲内に制御されており、ORPは、−880mVであった。
【0062】
比較例1
水道水に、硫酸ナトリウム1g/Lを溶解させた後、塩化ナトリウム0.082g/L(塩素イオン濃度として50mg/L)を添加させて、pH緩衝作用を有する弱電解質が添加されていない電解液を調製した。以下、実施例1と同様にして、電気分解を行った。この時の槽電圧は、6.5Vであった。陽極室3に生成させた電解酸性水のpHは、2.2であり、皮膚への刺激性及び金属への腐食性を有する強酸であった。また、電解酸性水のORPは、1140mV、次亜塩素酸濃度は、20ppmであった。また、陰極室に生成させた電解アルカリ性水のpHは、12.9であり、最適pH範囲の上限12.5を超えた、強アルカリ性であった。また、電解アルカリ性水のORPは、−890mVであった。
【0063】
比較例2
水道水に、pH緩衝作用を有する弱電解質として炭酸ナトリウム1g/Lを溶解させた後、塩化ナトリウム0.082g/L(塩素イオン濃度として50mg/L)を添加させて、硫酸ナトリウムを含有しない電解液を調製した。以下、実施例1と同様にして、電気分解を行った。この時の槽電圧は、電解初期では10Vであり、電解の進行に伴い、槽電圧が上昇し、約30分後には、17Vに達した。この原因としては、陽極室の電解液のpHが、電解の進行に伴い低下し、電離していたCO 2−が、HCOとなって、電解液の導電率を低下させたためと考えられる。陽極室3に生成させた電解酸性水のpHは、6.5であり、ORPは、880mV、次亜塩素酸濃度は、30ppmであった。また、陰極室6に生成させた電解アルカリ性水のpHは、12.1であり、ORPは、−870mVであった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の電解液は、強電解質である硫酸ナトリウムと、pH緩衝作用を有する弱電解質である、炭酸及び/または炭酸塩、あるいはカルボン酸及び/またはカルボン酸ナトリウムとを組合せたものであり、該電解液を用いた電気分解では、従来のように、電解酸性水のpHを設定したpH範囲内に保持させるための自動制御回路が不要であり、簡易な構成の電解装置で十分であり、安価であり、経済性に優れている。
【0065】
また、本発明の電解液を用いる電気分解は、特開平9−262587号公報開示の電解液の場合における、高槽電圧、及び電解に伴う槽電圧の上昇もなく、小型で簡易な構成の電解装置で十分であると共に、低電力で電気分解でき、経済性に優れている。
【0066】
本発明の電解液を用いた電気分解では、使用水の水質に依存せず、また電解条件を特別に変更させることなく、一定時間、定電流電解させるだけで、陽極室から、取り扱いが容易で、殺菌効果の高い最適pH範囲に制御された電解酸性水を、また陰極室から、取り扱いが容易で、アルカリ度が高く、洗浄効果の高い最適pH範囲に制御された電解アルカリ性水を、簡単かつ容易に生成させることができる。
【0067】
【図面の簡単な説明】
【図1】各pHにおける、水溶液中の炭酸イオンの存在形態と存在比を示す図である。
【図2】本発明の電解液を用いる回分式の隔膜電解槽を組み込んだ電解装置の一実施様態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 隔膜電解槽
2 陽極
3 陽極室
4 隔膜
5 陰極
6 陰極室
7 直流電源

Claims (13)

  1. 隔膜電解槽を用いて、陽極室に電解酸性水を、陰極室に電解アルカリ性水を生成させるための電解液が、強電解質である硫酸ナトリウム含有水溶液に、pH緩衝作用を有する弱電解質である炭酸及び/または炭酸塩を、添加させてなることを特徴とする電解液。
  2. 炭酸塩が、炭酸ナトリウム及び/または炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の電解液。
  3. 隔膜電解槽を用いて、陽極室に電解酸性水を、陰極室に電解アルカリ性水を生成させるための電解液が、強電解質である硫酸ナトリウム含有水溶液に、pH緩衝作用を有する弱電解質であるカルボン酸及び/またはカルボン酸ナトリウムを添加させてなることを特徴とする電解液。
  4. カルボン酸が、食品添加物である、アジピン酸、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、こはく酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の電解液。
  5. カルボン酸ナトリウムが、食品添加物である、アジピン酸、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、こはく酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のナトリウム塩であることを特徴とする請求項3に記載の電解液。
  6. 電解液が、塩化物塩を添加されてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電解液。
  7. 塩化物塩が、塩化ナトリウムであり、かつ電解液中の塩素イオン濃度が、10〜100ppmであることを特徴とする請求項6に記載の電解液。
  8. 電解液中の硫酸ナトリウム濃度が、0.3〜5g/Lであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電解液。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電解液により、陽極室に生成させる電解酸性水のpHが、4〜7であることを特徴とする電解水。
  10. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電解液により、陽極室に生成させる電解酸性水のpHが、5〜7であることを特徴とする電解水。
  11. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電解液により、陰極室に生成させる電解アルカリ性水のpHが、11〜12.5であることを特徴とする電解水。
  12. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電解液により、陽極室に生成させる電解酸性水のpHが、4〜7であり、かつ陰極室に生成させる電解アルカリ性水のpHが、11〜12.5であることを特徴とする電解水。
  13. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電解液により、陽極室に生成させる電解酸性水のpHが、5〜7であり、かつ陰極室に生成させる電解アルカリ性水のpHが、11〜12.5であることを特徴とする電解水。
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