JP3705703B2 - 電気化学素子の制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学素子の制御方法に関するものであり、特に電気化学素子の残量検出方法、劣化検出方法および充放電制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電池、コンデンサ、エレクトロクロミックデバイス等の電気化学素子は、広く電気機器や電子機器に用いられている。とりわけ、近年ではノート型パソコンおよびビデオカメラをはじめとするポータブル機器の普及、エネルギー需要の拡大、環境問題等の影響により、電池が急速に注目されてきている。
電気化学素子の代表的なものとして、電池が挙げられる。電池としては、種々のものが知られており、大きく分けて充電できない一次電池と、充電可能な二次電池に大別される。
一次電池としては、代表的なものにアルカリ電池がある。このほか、マンガン電池、リチウム電池、空気亜鉛電池等がある。一方、二次電池としては、代表的なものに、現在急速に普及してきたリチウムイオン二次電池が挙げられる。さらに、電気自動車用などの大型電源に用いられているニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池、鉛酸蓄電池、燃料電池等が挙げられる。
上記以外にも、太陽電池、熱電交換電池等の物理電池などがある。
【0003】
これら一次電池および二次電池の双方において、より高容量化、高エネルギー密度化およびサイクル性の向上を目指した電池およびその構成材料の研究開発が絶え間なく行われている。近年では、それとともに、電池エネルギーを効率的且つ最大限に利用するための取り組みとして、電池の残量検出方法、高温での保存や充放電サイクルに伴う劣化検出方法などの電池状態検出方法、急速で効率的な充電を行なうための充電方法などの制御方法に関する研究開発が活発に行なわれていて、このような制御方法は、数多くの一次電池や二次電池、さらには二次電池の充電装置に応用され始めている。
【0004】
これまで提案された電池の制御方法は、以下のように大別される。
電池の残量検出方法としては、以下の方法がある。
(1)電解液の比重変化を測定する方法
(2)実際の出力電流および入力電流をそれぞれ積算する方法(電流積算方法)
(3)無負荷状態での電池電圧を測定する方法
(4)有負荷状態での電池電圧を測定する方法
【0005】
電池の劣化検出方法としては、以下の方法がある。
(1)電池の内部インピーダンスを測定する方法(特開昭53−42327号公報、特開昭61−170678号公報等)
(2)周波数の異なる複数の信号を用いてそれぞれ電池の内部インピーダンスを測定し、得られた値を所定の演算式を用いて処理する方法(特開平8−43506号公報、特開平8−250159号公報)
(3)電池の構成要素である活物質の電気抵抗を測定する方法(特開昭56−103875号公報)
(4)所定時間電流を通電した時の電池電圧を測定し、それを予め定めた基準値と比較する方法(特開昭59−48661号公報、特開平3−95872号公報、特開平8−254573号公報、特開平8−55642号公報、特開平9−33620号公報)
(5)充放電のサイクル数をカウントする方法(特開平5−74501号公報、特開平6−20724号公報)
【0006】
二次電池の充放電方法としては、以下の方法がある。
(1)電池電圧が設定されている値に達するまでは定電流で充電し、その後定電圧充電に切り替える充電と、定電流放電を組み合わせた充放電方法
(2)過充電時の電池電圧の減少度合いを示す−ΔVによる満充電検知方法
(3)過充電時の発熱反応をサーミスタにより検出し、そのdT/dtの値で満充電を検出する方法
【0007】
しかしながら、上記のいずれの電気化学素子の制御方法、特に電池の制御方法によっても正確に電池の充放電動作を再現できない。したがって、電池の残存容量や劣化の検出の精度は低く、さらに高温での保存や充放電サイクルを繰り返すと検出精度が低下するという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点を解決し、電池をはじめとする電気化学素子の残存容量や劣化の検出および充放電を精度よく実施することができる電気化学素子の制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電気化学素子の状態を、その構成材料の動作モデル(数式、等価回路およびテーブルを含む)を用いて検出し、素子の制御に用いる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の電気化学素子の制御方法は、電極とイオン伝導体とを具備する電気化学素子の状態を、劣化を表す副反応を事前に含めた電極の電位モデル、電極の電子輸送モデル、電極のイオン輸送モデル、イオン伝導体のイオン輸送モデル、および電極とイオン伝導体との界面で生じる電気化学反応を表すモデルからなる群より選択される少なくとも一種のモデルを用いて分析し、その分析結果に基づいて、副反応による更なる劣化を防止するように充放電条件を制御する。
ここで、イオン伝導体のイオン輸送モデルの入力パラメータとしては、イオン伝導体中のイオンの拡散係数およびイオン濃度を用いることが有効である。
また、電極の電子輸送モデルの入力パラメータとしては、電極の電子伝導度を用いることが有効である。
【0011】
電極のイオン輸送モデルの入力パラメータとしては、電極内のイオンの拡散係数またはイオン濃度を用いることが有効である。
電極とイオン伝導体との界面で生じる電気化学反応を表すモデルの入力パラメータには、電気化学反応の交換電流密度を用いることが有効である。
上記の電極の電子輸送モデルおよびイオン輸送モデルは、好ましくは電極の均一複相反応を表す。
また、電極とイオン伝導体との界面で生じる電気化学反応を表すモデルは、好ましくは電極の均一複相反応以外の副反応を表す。
イオン伝導体と電極界面で生じる電気化学反応の反応熱、前記電気化学反応に伴うエネルギー損失、イオン伝導体内のイオン輸送に伴うエネルギー損失、電極内のイオン輸送に伴うエネルギー損失、電子輸送に伴うエネルギー損失等により決定される電気化学素子の温度変化に関するモデルをさらに用いると、より効果的である。
上記のような電気化学素子の制御方法は、特に電池の残存容量の検出、電池の劣化度合いの検出または電池の充放電の制御に有効である。
【0012】
電池の有する電池エネルギーを効率的かつ最大限引き出すためには、充放電動作中に電池の中で起こっている電気化学反応(主反応および副反応)を正確に把握し、使用中の電池の状態を理解する必要がある。
また、電池を高温で保存したり、充放電サイクルを繰り返した後では、自己放電反応、電極活物質の不可逆な相転移反応、イオン伝導体の分解およびガスの発生等の副反応等により、電池の劣化が進行し、通常の充放電動作特性を示さない場合がある。したがって、高温での保存や充放電サイクルの繰り返しにより電池内部にどのような劣化が生じるかを正確に知る必要がある。さらに、この劣化により電極の電位がどのように変化し、有負荷状態では電極のイオン輸送および電子輸送、またはイオン伝導体のイオン輸送がどのように変化するかを正確に把握できなければ、当然にして高温保存および充放電サイクル後の電池の充放電動作特性を予想できず、更に副反応を加速させ、劣化を促進する恐れがある。
【0013】
電池内部の劣化は、たとえば各電極の電位、有負荷状態の電極の電位およびイオン伝導体中の電位のそれぞれの変化に直接対応していて、これらの電位変化を考慮に入れた電池の制御方法を構築することで、電池の充放電動作特性を再現することが可能になる。
ここで、電池の充放電動作特性を再現するためのそれぞれのモデルとは、電池の内部で起こっている電気化学反応に基いたモデルであり、例えば、ある電池内温度での正極および負極のそれぞれの無負荷状態における電位モデルと、各電極の電子輸送モデルおよびイオン輸送モデルと、各電極とイオン伝導体の界面で生じる電気化学反応を表すモデルと、イオン伝導体のイオン輸送モデルなどの有負荷状態の電位分極分を表すモデルにより構成される。ここで用いられている電気化学反応とは、主反応である活物質の自由エネルギー変化を伴う反応であり、副反応とは、主反応以外の電気化学反応又は化学反応、例えば電解液の分解反応を意味する。
【0014】
一般に、電極の無負荷状態での電位モデルとは、電極の平衡状態の電位モデルを示しており、例えば数学的な記述をする場合、下式で表される。
すなわち、Oxを反応物質、nを反応電子数、e-を電子、Redを生成物質として電極の電気化学反応が、以下の式(1)で表されるとき、電極の無負荷状態の電位Eeqは、式(2)で表される。
【0015】
【数1】
Figure 0003705703
【0016】
となる。ここで、E0は、電極の標準電位である。R、TおよびFは、それぞれ気体定数、温度(絶対温度)およびファラデー定数である。また、[Ox]および[Red]は、反応物質の活量および生成物質の活量である。このうち、標準電位E0 と活量 [ x] および [ ed] は、いずれも電極を構成する材料により決定されるパラメータである。ここで用いられた標準電位E 0の温度依存性は、以下の式(3)で表される。なお、dE(T)/dTは、標準電位の温度係数である。
【0017】
【数2】
Figure 0003705703
【0018】
また、電極の有負荷状態での電位分極分ηは、電気化学的な分極の大きさを示し、例えば以下の式(4)で表される。
【0019】
【数3】
Figure 0003705703
【0020】
ここで、Eおよびiは、それぞれ有負荷状態での電極の動作電位および動作電流である。また、Rohm、RctおよびRmtは、いずれも電池の構成材料により決定されるパラメータであって、それぞれ電極の抵抗(リードを含む)、電極とイオン伝導体との界面で生じる電気化学反応による反応抵抗、および電極のイオン輸送の抵抗である。なお、Rohmには、電極の電極抵抗に加えてイオン伝導体のイオン輸送の抵抗も含まれる。電池動作を再現する場合、正極および負極の電位分極分を考慮する必要があるため、各電極の電極抵抗、電極とイオン伝導体との界面で生じる電気化学反応による反応抵抗、および電極のイオン輸送の抵抗を足し合わせる必要がある。
【0021】
電位分極分ηを示す各電気化学的パラメータは、以下の通りである。
まず、Rohmは、電極抵抗およびイオン伝導体の抵抗の和である。電極抵抗は、電極の電子輸送モデルを示す電子伝導率の逆数に比例し、イオン輸送の抵抗は、イオン輸送モデルを示す輸率を含めたイオン伝導率の逆数に比例する。電池の場合、さらに、リードやIC回路等の電池外部の構成要素の電気抵抗が含まれる可能性もある。
【0022】
反応抵抗Rctは、各電極とイオン伝導体との界面で生じる電気化学反応を表すモデルであり、例えば一般的に以下に示す式(5)および式(6)の近似式から導出される。
【0023】
【数4】
Figure 0003705703
【0024】
ここで、パラメータi0およびαは、それぞれ電気化学反応の交換電流密度および電荷移動係数である。交換電流密度i0は、式(6)に示すように反応抵抗Rctに反比例する。交換電流密度i0の温度依存性は、以下の式(7)で表される。なお、パラメータEaは、式(1)に示した電気化学反応の活性化エネルギーである。
【0025】
【数5】
Figure 0003705703
【0026】
電極内のイオン輸送による抵抗を示すRmtは、例えば数学的には、以下の式(8)からRctと同様に導出される。
【0027】
【数6】
Figure 0003705703
【0028】
ここで、パラメータ[Ox(x=0)]および[Red(x=0)]は、反応物質の表面の活量および生成物質の表面の活量である。これらは、いずれもイオンの拡散速度を表す以下の式(9)および式(10)に初期条件および境界条件を設定することで導出される。
【0029】
【数7】
Figure 0003705703
【0030】
ここで、パラメータC(x,t)およびDelは、それぞれ電極中のある場所xのある時間tにおけるイオンの濃度および拡散係数を示している。拡散係数Delの温度依存性は、以下の式(11)で表される。
【0031】
【数8】
Figure 0003705703
【0032】
ここで、パラメータEdiffは、電極中のイオン拡散にともなう活性化エネルギーである。
【0033】
イオン伝導体中のイオン輸送モデルは、式(9)と同様の拡散式に電位勾配による泳動の項を含めて、以下の式(12)に示すように表される。
【0034】
【数9】
Figure 0003705703
【0035】
ここで、パラメータDi、Ci(x,t)およびziは、それぞれイオン伝導体中のイオンiの拡散係数、イオン伝導体中のある場所xのある時間tにおけるイオン濃度およびイオンの電荷を示している。式(4)においては、イオン伝導体中でのイオン輸送の抵抗は一定値としてRohmに含まれていたが、イオン伝導体中のイオン伝導率が非常に小さい場合には、Rohmに含まれていた一定のイオン輸送の抵抗を使うよりも、式(11)を用いることでさまざまな環境下での充放電動作特性をより良く再現できる。
【0036】
このようにして、式(1)に表される各電極中の電気化学反応を、式(2)〜(12)と組み合わせることで、各電極の充放電動作特性、たとえば充放電曲線を再現することができる。
なお、上記の関係式は、電極を構成する活物質、イオン伝導体、イオン伝導体中のイオン等の違いや、電池内温度の違いによりそれぞれパラメータ値が変化する。
たとえば、高温での保存や充放電サイクルの繰り返しにより劣化が起こった場合、パラメータ値が変化する。式(4)に示した各抵抗成分は、劣化が起こった場合、無負荷状態の電位からの分極の割合が大きくなるために増大し、充放電動作特性に大きな影響を及ぼす。
充放電動作特性の再現として、上記の式(1)〜(12)に代えて、これ以外の電気化学反応の式を用いることも可能である。また、各電極の充放電動作特性はそれぞれの関係式をある近似式で置き換えて解くことができる。また、実験から得られた結果をある関数でフィッティングし、その関数を用いて解くことや、それぞれの関係式と等価な回路記述を行ない、回路シミュレータで解くことも可能である。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の電気化学素子の制御方法の好ましい実施例として、電池を用いた場合について詳細に説明する。
【0038】
参考例1》
参考例では、式(1)に示す主反応が均一単相反応の場合の充放電動作モデルについて説明する。均一単相反応の場合、例えば式(2)の無負荷状態の電極の電位モデルは、以下の式(13)で表される。ここで、C* oxおよびC* redは、それぞれ無負荷状態における反応物質の濃度および生成物質の濃度である。ただし、C* ox+C* red=C*である。同様に、式(8)は、以下の式(14)で表される。これより、C* redは、以下の式(15)で表される。
【0039】
【数10】
Figure 0003705703
【0040】
ここで、g(t)=i/(nFADel)であり、COx(0,t)およびCRed(0,t)は、電極表面のある時間tにおけるそれぞれ反応物質の濃度および生成物質の濃度である。これらCOx(0,t)およびCRed(0,t)は、式(9)および式(10)に初期条件および境界条件を設定することにより得られる。AおよびxLは、それぞれ電極の幾何学的面積および見かけの厚さである。ここで、xLには、たとえば反応物質の粒径が用いられる。
式(13)〜(15)を用いることにより、電極の電位Eeq、電極とイオン伝導体との界面で生じる主反応を表す反応抵抗Rct、および電極のイオン輸送の抵抗Rmtが求められる。これに電極の電子輸送およびイオン伝導体のイオン輸送に関わる電極抵抗Rohmを加えることにより、均一単相反応の場合の電極の充放電動作特性を再現することができる。
【0041】
上記の方法を、ニッケル電極に応用した。ニッケル電極は、広くニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池等の正極材料として用いられるもので、水酸化ニッケルを活物質とした電極である。イオン伝導体すなわち電解液としてはKOH水溶液を用いた。ニッケル電極の主反応は、以下の式(16)で表される。
【0042】
【数11】
Figure 0003705703
【0043】
この反応において、可動イオンはプロトンであり、水酸化ニッケルの反応はプロトンの濃度に依存する均一単相反応である。ここでいう均一単相反応とは、表現すべき電気化学反応における活物質の状態が、例えば固溶体のように原子レベルまで均一に混じり合って単一相を形成しているものをいう。
【0044】
以上の関係式をもとに、20℃、1atmでニッケル電極の充放電曲線を計算し、実際に測定した充放電曲線と比較した。その結果を図1および図2に示す。
図1は、実際にニッケル電極とKOH水溶液を用いた半電池を5mA、10mA、25mAまたは50mAの定電流で、活物質の理論容量の125%まで充電したときの充電曲線に、式(4)、式(13)、式(14)および式(15)を用いて計算して得られた値をプロットしたものである。図1中、実線は、実測値を示し、△印等は、その電気量での計算値を示す。なお、計算には、表1に示すパラメータおよび物理定数を用い、さらにそれぞれの関数式を二次の項まで級数展開した近似式を用いた。
図2は、同じ半電池を5mA、10mA、25mAまたは50mAの定電流で、参照極としての水銀電極に対しての電位差が0Vに低下するまで放電したときの放電曲線に、上記と同様に計算により得られた値をプロットしたものである。
【0045】
【表1】
Figure 0003705703
【0046】
図1に示すように、充電反応の場合、充電レートの違いによらず計算値と実測値は充電末期付近まではよく一致することがわかる。一方、放電反応の場合、図2に示すように、放電終了まで両者はよく一致することがわかる。このように、上記のモデルを用いることにより、電極の充放電曲線を正確に再現することができる。
ここで、充放電中の電極容量は、C* OxおよびC* Redに直接依存するため、電池の残存容量の検出を行うこともできる。
【0047】
なお、本参考例では、充放電動作の再現として、上記の式を用いたが、これ以外の電気化学反応の式を用いることもできる。また、それぞれの関係式を近似式で置き換えて解くこともできる。さらに、あらかじめ用意されたパラメータ関数に実測データをフィッティングしてパラメータ値を求める方法、実験結果そのものを用いて解く方法、またはそれぞれの関係式と等価な回路記述を行なった回路シミュレータを用いて解く方法も有用である。
【0048】
参考例2》
参考例では、式(1)に示す主反応が均一複相反応を伴う場合の充放電動作について説明する。例えば、二相共存反応で相変化を伴う主反応の場合、式(2)の無負荷状態の電位モデルは、例えば以下の式(17)で表される。ここでの均一複相反応とは、2相以上の複相が同一の活物質中に存在する場合である。
【0049】
【数12】
Figure 0003705703
【0050】
ここで、パラメータWは、反応物質と生成物質の相互作用の項である。
W<2RTでは均一単相反応と見なせるが、W>2RTの場合、相変化を伴うため、c* Ox/c*の関数に対し、
1)0<c<c* Ox,1
2)c* Ox,1<c<c* Ox,2および
3)c* Ox<c<c*
の三種類の領域が現れてくる。1)と3)は均一単相反応領域であって、2)は相変化を伴う二相共存反応領域である。c* Ox,1およびc* Ox,2は、以下の式(18)より導出される。
【0051】
【数13】
Figure 0003705703
【0052】
主反応が相変化を伴う場合には、ただ2つの相の割合だけが変わるため、電極内部において、無負荷状態の電極電位Eeqは、c* Ox,1<c<c* Ox,2の範囲では変化せず、E0となる。同様に、式(14)は、相変化を含む場合、以下の式(19)のようになる。
【0053】
【数14】
Figure 0003705703
【0054】
無負荷状態の電極電位の場合と同様に、交換電流密度の値も、c* Ox,1<c<c* Ox,2の領域では変化しない。0<c<c* Ox,1およびc* Ox<c<c*の領域における電極表面での濃度は、実施例1と同様の方法で導けるが、相変化を伴う
* Ox,1<c<c* Ox,2の領域では、相境界面の移動を伴う式から、電極表面での濃度を決定する必要がある。cOx(0,t)およびcRed(0,t)は、式(9)および式(10)より、以下の式(20)、(21)および(22)に示す条件で求めることができる。
【0055】
【数15】
Figure 0003705703
【0056】
ここで、δは電極の表面から相境界面までの距離を示す。2相の境界面を隔てて、第1相側における濃度と第2相側における濃度は、式(22)に示すような関係で表される。ここでは、電極表面の濃度として第2相側における濃度を用いる。
以上のように、式(18)〜(22)を用いることで、Eeq、RctおよびRmt が求まり、これに電極の抵抗分およびイオン伝導体のイオン輸送の抵抗分を含む抵抗成分R ohmを加えれば、相変化を伴う主反応の場合の充放電動作を再現することができる。特に、相互作用項Wが非常に大きい場合には、0<c<c*で相変化を伴うような主反応となるため、均一単相反応領域がなくなり、相変化を伴うc* Ox,1<c<c* Ox,2の領域における式だけを用いればよい。例えば、リチウム金属、カドミウム金属または亜鉛金属を用いた電極のように、その電極反応が溶解および析出を伴うような主反応のみで記述される電極の場合が該当する。
【0057】
また、主反応が均一単相反応と均一複相反応を伴う場合、それぞれの反応ごとに主反応を分割し、上記のそれぞれのモデルを用いて主反応を再現することができる。
一例として、カドミウム電極の場合について具体的に説明する。カドミウムは、ニッケル−カドミウム蓄電池の負極活物質として広く用いられている。ニッケル−カドミウム蓄電池のイオン伝導体すなわち電解液には、KOH水溶液が用いられている。カドミウム電極の主反応は、以下の式(23)に示すように水酸化カドミウムとカドミウム金属の相変化を伴う二相共存反応として表される。
【0058】
【数16】
Figure 0003705703
【0059】
以上の関係式をもとに、20℃、1atmでのカドミウム電極を用いた半電池の充放電曲線を計算し、実際に測定した充放電曲線と比較した。その結果を図3および図4に示す。
図3は、実際に半電池を、8mA、16mA、40mAまたは80mAの定電流で、参照電極として用いた水銀電極に対して−1.2Vまで充電したときの充電曲線に、式(4)および式(17)〜(23)を用いて計算して得られた値をプロットしたものである。なお、計算には、表1に示すパラメータおよび物理定数を用い、さらにそれぞれの関数式を二次の項まで級数展開した近似式を用いた。
図4は、同じ半電池を、8mA、16mA、40mAまたは80mAの定電流で、参照極としての水銀電極に対し電圧が−0.6Vに低下するまで放電したときの放電曲線に、上記と同様に計算により得られた値をプロットしたものである。
図3および図4から明らかなように、充放電レートの違いによらずそれぞれの曲線と計算値は非常に良く一致している。
これより、上記のモデル群から電極の充放電動作を再現できることがわかる。
なお、充放電中の残存容量は、電極の充放電動作はC* OxおよびC* Redに直接依存するため、残量検出も可能である。
【0060】
参考例では、充放電動作の再現として上記の式を用いたが、これ以外の電気化学反応の式を用いることもできる。また、それぞれの関係式を近似式で置き換えて解くこともできる。さらに、あらかじめ用意されたパラメータ関数に実測データをフィッティングしてパラメータ値を求める方法、実験結果そのものを用いて解く方法、またはそれぞれの関係式と等価な回路記述を行なった回路シミュレータを用いて解く方法も有用である。
【0061】
《実施例
主反応以外に、正極、負極またはイオン伝導体で起こる副反応を含む場合の充放電動作の再現について説明する。
高温での保存や充放電サイクルにより劣化が起こるのは副反応の影響が大きく、それぞれの抵抗値がどのように変化しているかを調べることは非常に重要となる。例えばニッケル電極では、主反応以外に、過充電時に生じる酸素発生反応、過放電時に生じる水素発生反応、満充電状態での保存により顕著に現れる自己放電反応、残存容量を充分に残したままで放電を終了し、充電を行なった場合に現れるメモリー効果、および充放電時にニッケル電極の活物質の不可逆な相変化に伴う不活性化などが充放電中に副反応として起こる。
本実施例では、特に過充電時に生じる酸素発生反応について検討を行う。
酸素発生反応は、以下の式(24)で表される。
【0062】
【数17】
Figure 0003705703
【0063】
過充電時に生じる酸素発生反応は、式(2)のような無負荷状態での電位モデルおよび有負荷状態での電位分極分により表される。これらの関係式を、式(25)および式(26)に示す。
【0064】
【数18】
Figure 0003705703
【0065】
ここで発生した酸素分子の活量は、酸素のKOH水溶液中への溶解度定数KSと、酸素分圧PO2で表される。また、Ijは、全電流の中で酸素発生反応に使われる電流の割合を示す。分極の度合いにより、酸素発生反応が生じることが分かり、流れた電流から、どれだけイオン伝導体中の水酸化物イオンが消費されたかが推定できる。これにより、式(12)または、式(4)で示されたイオン輸送現象のパラメータ値が大きく変化し、電気化学反応の分極分が変化することが推定できる。
【0066】
参考例1で用いられたニッケル電極の主反応と併せて、20℃、1atmでの上述の電気化学反応に伴う充電曲線を計算し、実際の充電曲線と比較した。その結果を図5に示す。
図5は、参考例1と同じく、ニッケル電極からなる半電池を実際に5mA、10mA、25mAまたは50mAの定電流で、全容量の125%まで充電したときの充電曲線に、式(4)、式(13)〜式(15)、式(25)および式(26)と、表1に示すパラメータおよび物理定数を用いて得られた値をプロットしたものである。なお、計算において、それぞれの関数式を二次の項まで級数展開した近似値を用いた。
【0067】
図5から明らかなように、主反応とともに副反応である酸素発生反応を考慮にいれることで、充電末期まで実測値と計算値が非常に良く一致する。
これより、上記の充放電動作から副反応を含めた電極の充電動作を再現できることがわかる。
本実施例においては、充放電動作の再現として、式(4)、式(13)〜式(15)、式(25)および式(26)を用いたが、それ以外の関係式を用いてもよい。
なお、参考例1および2で述べたとおり、充放電中の電極容量は、C* OxおよびC* Redに直接依存するため、電極の残存容量の検出を行うことも出来る。
高温保存、サイクル等を考慮する場合には、副反応の式として上記のニッケル電極の酸素発生反応以外に、ニッケル電極の水素発生反応、ニッケル電極の自己放電反応、ニッケル電極のメモリー効果やニッケル電極の活物質の不可逆な相変化に伴う不活性化などのモデルを用いることができる。
【0068】
また、それぞれの関係式を近似式で置き換えて解くこともできる。さらに、あらかじめ用意されたパラメータ関数に実測データをフィッティングしてパラメータ値を求める方法、実験結果そのものを用いて解く方法、またはそれぞれの関係式と等価な回路記述を行なった回路シミュレータを用いて解く方法も有用である。
本実施例によると、保存および充放電サイクルにおいて電極反応以外の副反応がどれだけ起こっているのか検知できるため、劣化検出が可能となる。また、それぞれの電極で副反応が生ずる過電圧が事前に分かっているので、充放電条件を制御することで、副反応による劣化を防止し、効率的な電極の使用が可能となる。
【0069】
《実施例
本実施例では、各電極またはイオン伝導体で起こる副反応として電池内圧力の変化を考慮に入れた充放電動作モデルについて説明する。
高温での保存や充放電サイクルの繰り返しにより生じた副反応で気体が発生する場合が多々ある。電池は完全密閉されているので、発生した気体は電池外部に出ていくことができずに電池内に残存し、電池内部の圧力が上昇する。これを検知することは副反応の反応を把握する上で重要となってくる。
ニッケル電極では、その主反応以外に起こる副反応として、過充電時に生じる酸素発生反応、満充電付近で顕著に見られる自己放電反応、メモリー効果およびニッケル電極の活物質の不可逆な相変化に伴う不活性化などがあげられるが、気体発生が生じるの酸素発生反応の場合が主である。酸素発生反応は、実施例で示したように、以下の式(27)で表される。
【0070】
【数19】
Figure 0003705703
【0071】
過充電時に生じる酸素発生反応では、無負荷状態での電位Eeqは式(25)で表され、有負荷状態での電位分極分ηは式(26)で表される。酸素気体のよる酸素気体分圧PO2は、以下の式(28)で表される。
【0072】
【数20】
Figure 0003705703
【0073】
なお、mO2は発生した酸素のモル数であり、Vは電池の体積である。これにより、発生した酸素分子により、電池内の圧力がどれだけ上昇し、過充電時の酸素発生反応にどのように寄与するかが分かる。
【0074】
以下、ニッケル−カドミウム蓄電池を例に具体的に説明する。ニッケルカドミウム二次電池は、水酸化ニッケルを含むニッケル電極を正極に、水酸化カドミウムを含むカドミウム電極を負極に、KOH水溶液をイオン伝導体すなわち電解液に用いた二次電池である。ニッケル電極の反応形態には、参考例1および実施例で示したような電気化学反応(主反応)および酸素発生反応を始めとする副反応がある。一方、カドミウム電極の主反応は、参考例2で示したように、水酸化カドミウムとカドミウム金属の相変化を伴う二相共存反応であるため、相変化を伴う複相電極反応の式を用いることができる。これらはいずれも電池内の反応であるため、参考例1および参考例2と同様に、各電極のEeq、Rel、Rmtおよび電極の電極抵抗Rohmを定めることができる。イオン伝導体の場合、イオン伝導の抵抗を考慮し、実施例で示したような副反応の一つである酸素発生反応を含めて検討を行った。
【0075】
以上の関係式をもとに、20℃、1atmでのニッケル−カドミウム蓄電池の充電曲線を計算し、実際に測定した充電曲線と比較した。その結果を図6に示す。
図6は、実際にニッケル−カドミウム蓄電池を、80mAの定電流で、理論容量の125%まで充電したときの充電曲線に、式(4)および式(12)〜(15)、式(17)〜(22)、式(25)〜(28)を用いて計算して得られた値をプロットしたものである。なお、計算には、表1に示すパラメータおよび物理定数を用い、さらにそれぞれの関数式を二次の項まで級数展開した近似式を用いた。
図6から明らかなように、実際の充電曲線と計算値は非常に良く一致している。これより、副反応を含めた電極の充電動作を再現できることがわかる。
【0076】
なお、本実施例で用いたニッケル−カドミウム蓄電池の場合、その容量が正極により規制されているので、参考例1および、ならびに実施例1から明らかなように充放電中の電池の残存容量は、正極のC* OxおよびC* Redから検出可能である。
本実施例によると、充放電サイクルの繰り返しや保存中において主反応以外にも副反応がどれだけ生じているのかが検知できるため、劣化検出が可能となる。また、それぞれの電極において副反応に起因して起こる過電圧が事前に分かっているので、充放電条件を制御することで、副反応による劣化を防止し、効率的な電極および電池の使用が可能となる。
【0077】
本実施例においては、充電動作の再現として、式(4)、式(12)から式(15)、式(17)〜式(22)、式(25)から式(28)を用いたが、それ以外の関係式を用いることもできる。
また、高温保存、サイクル等を考慮する場合、副反応の式としてニッケル電極の酸素発生反応以外のニッケル電極の水素発生反応、ニッケル電極の自己放電反応、ニッケル電極のメモリー効果やニッケル電極の活物質の不可逆な相変化に伴う不活性化、カドミウム電極の酸素発生反応、水素発生反応、カドミウム電極の電極表面におけるデンドライト生成反応などを用いることができる。さらに、それぞれの関係式を近似式で置き換えて解くことも有用である。さらに、あらかじめ用意されたパラメータ関数に実測データをフィッティングしてパラメータ値を求める方法、実験結果そのものを用いて解く方法、またはそれぞれの関係式と等価な回路記述を行なった回路シミュレータを用いて解く方法も有用である。
【0078】
《実施例
本実施例では、イオン伝導体とそれぞれの電極界面で生じる電気化学反応に伴う反応熱、電気化学反応に伴うエネルギー損失およびイオン伝導体のイオン輸送、電極のイオン輸送および電子輸送に伴うエネルギー損失による温度変化を含む場合の充放電動作モデルについて説明する。電池内の温度は、使用環境温度だけではなく、内部で生じた主反応または副反応により変化する場合があり、特に環境温度が低温の時には電池内温度は充放電時に非常に変化する。電池の発熱は、以下の式(29)に示すように、電池内で起こる主反応および副反応の化学反応熱、それぞれの反応電流と分極分の積によるジュール熱、および内部抵抗と電池内を流れる電流の積によるジュール熱の和で表される。
【0079】
【数21】
Figure 0003705703
【0080】
ここで、ijは電極反応またはそれぞれの副反応に消費される電流の割合であって、ΔSはエントロピー変化を示す。
熱伝導は、一般的には、以下の式(30)に示す熱伝導方程式として表される。
【0081】
【数22】
Figure 0003705703
【0082】
ここで、αは熱伝導係数である。また、Tbatは電池内温度であり、Tambは電池外部の環境温度である。この式により、電池内で発生した熱が電池外部にどのように出て行くかがわかり、電池内の温度がわかる。
【0083】
以下実際にニッケル−カドミウム蓄電池を例に説明する。
ニッケル電極の主反応は、参考例1の式(16)で示され、カドミウム電極は、参考例2の式(23)で表される。これらの主反応は電池内の反応であるため、式(12)で示されているイオン伝導体の抵抗を考慮した。また、実施例および実施例で用いたように副反応として酸素発生反応を考慮に入れた。
【0084】
以上の関係式をもとに、1atmでのニッケル−カドミウム蓄電池の充電曲線を計算し、実際に測定した充放電曲線と比較した。その結果を図7および図8に示す。
図7は、実際にニッケル−カドミウム蓄電池を、外部環境温度0℃、20℃または40℃において80mAの定電流で、理論容量の125%まで充電したときの充電曲線に、式(4)、式(12)から式(15)、式(17)〜式(22)、および式(25)〜式(30)を用いて計算して得られた値をプロットしたものである。一方、図8は、実際にニッケル−カドミウム蓄電池を、同様の外部環境温度において80mAの定電流で、電池電圧が0.9Vに低下するまで放電したときの放電曲線に、これらの式を用いて計算して得られた値をプロットしたものである。なお、計算には、いずれも表1に示すパラメータおよび物理定数を用い、さらにそれぞれの関数式を二次の項まで級数展開した近似式を用いた。
【0085】
図7および図8より明らかなように、いずれの環境温度においても、計算値と実測値は非常によく一致している。
これより、上記のモデル群から電極の充放電動作を再現できることがわかる。なお、本実施例で用いたニッケル−カドミウム蓄電池の場合、その容量が正極により規制されているので、参考例1および2、ならびに実施例1および2と同様に充放電中の電池の残存容量は、正極のC* OxおよびC* Redから電極反応以外の副反応がどれだけ生じているのか検知できるため、劣化検出が可能となる。また、副反応が生ずる過電圧が事前に分かっているので、充放電条件を制御することで、副反応による劣化を防止し、効率的な電池の使用が可能となる。
【0086】
なお、本実施例においては、充放電動作の再現として、上記の式を用いたがこれ以外の電極反応の式を用いても構わない。
また、非線形連立方程式を用いて充放電動作を再現しているが、それぞれの関係式をある近似式で置き換えて解く方法、実験から得られた結果をある関数でフィティングし、その関数を用いて解く方法、実験結果そのものを用いて解く方法、またはそれぞれの関係式と等価な回路記述を行ない回路シミュレータで解く方法も有用である。
【0087】
【発明の効果】
本発明によると、電気化学素子の残量検出、劣化検出および充放電制御をより精度よく実施することができる制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一参考例の半電池の充電曲線の実測データと計算値を示す特性図である。
【図2】 同放電曲線の実測データと計算値を示す特性図である。
【図3】 本発明の他の参考例の半電池の充電曲線の実測データと計算値を示す特性図である。
【図4】 同放電曲線の実測データと計算値を示す特性図である。
【図5】 本発明の実施例の半電池の充電曲線の実測データと計算値を示す特性図である。
【図6】 本発明の他の実施例のニッケル−カドミウム蓄電池の充電曲線の実測データと計算値を示す特性図である。
【図7】 本発明のさらに他の実施例のニッケル−カドミウム蓄電池の充電曲線の実測データと計算値を示す特性図である。
【図8】 同放電曲線の実測データと計算値を示す特性図である。

Claims (9)

  1. 電極とイオン伝導体とを具備する電気化学素子の状態を、劣化を表す副反応を事前に含めた前記電極の電位モデル、前記電極の電子輸送モデル、前記電極のイオン輸送モデル、前記イオン伝導体のイオン輸送モデル、および前記電極と前記イオン伝導体との界面で生じる電気化学反応を表すモデルからなる群より選択される少なくとも一種のモデルを用いて分析し、その分析結果に基づいて、副反応による更なる劣化を防止するように充放電条件を制御する電気化学素子の制御方法。
  2. 前記イオン伝導体のイオン輸送モデルの入力パラメータが、前記イオン伝導体中のイオンの拡散係数およびイオン濃度の少なくとも一方を含む請求項1記載の電気化学素子の制御方法。
  3. 前記電極の電子輸送モデルの入力パラメータが、前記電極の電子伝導度を含む請求項1記載の電気化学素子の制御方法。
  4. 前記電極のイオン輸送モデルの入力パラメータが、前記電極内のイオンの拡散係数およびイオン濃度の少なくとも一方を含む請求項1記載の電気化学素子の制御方法。
  5. 前記電極と前記イオン伝導体との界面で生じる電気化学反応を表すモデルの入力パラメータが、前記電気化学反応の交換電流密度を含む請求項1記載の電気化学素子の制御方法。
  6. 前記電極の電子輸送モデルおよびイオン輸送モデルが、前記電極の均一複相反応を表すモデルである請求項1記載の電気化学素子の制御方法。
  7. 前記電極とイオン伝導体との界面で生じる電気化学反応を表すモデルが、前記電極の均一複相反応以外の副反応を表すモデルである請求項1記載の電気化学素子の制御方法。
  8. イオン伝導体と電極界面で生じる電気化学反応の反応熱、前記電気化学反応に伴うエネルギー損失、前記イオン伝導体内のイオン輸送に伴うエネルギー損失、前記電極内のイオン輸送に伴うエネルギー損失、および電子輸送に伴うエネルギー損失からなる群より選択される少なくとも一種による前記電気化学素子の温度変化をモデルとしてさらに含む請求項1記載の電気化学素子の制御方法。
  9. 前記電気化学素子が電池であり、電池の充放電の制御を行う請求項1〜8のいずれかに記載の電気化学素子の制御方法。
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