JP3705132B2 - 感光性樹脂組成物、スペーサーおよび液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物、それを材料とした液晶表示素子用スペーサーおよび液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶ディスプレイ(LCD)のギャップを制御する技術としては、二枚の基板の中間にガラスビーズ、プラスチックビーズなどのスペーサー粒子を散布し、それらの大きさによって液晶層の厚みを制御する方式が用いられてきた。しかし、この方式では、つぎのような問題があった。
1)スペーサー粒子が有効画素部内に配置された場合、スペーサー粒子の存在する面積部分の画素は表示に寄与しないため、コントラストおよび開口率が低下し、表示品位が低下する。
2)スペーサー粒子の移動による配向膜の損傷、スペーサー粒子の凝集、またはスペーサー粒子周辺の配向異常により表示不良を引き起こす。
3)スペーサー粒子径のバラツキによりギャップムラが生じやすい。
4)スペーサー粒子径が小さくなるとパネル強度が低下する。
さらに、これらの問題は、LCDが大画面化、高精細化(狭ギャップ化、高解像度化)するにつれて顕著になる。
【0003】
これらの問題を解決するためにスペーサーをフォトリソグラフィーにより形成する方法が提案された。この方法によれば、感光性樹脂を基板に塗布し所定のマスクを介し紫外線を照射した後、現像してドット状やストライプ状のスペーサーを形成することができる。これによると有効画素部以外の場所にスペーサーを形成することができる。さらにこの方法であれば、セルギャップを感光性樹脂の塗布膜厚によりコントロールできるためギャップ厚みの制御が容易で、精度が高くなり上記問題を解決できる。
【0004】
LCDを製造する工程において、スペーサーとラビングされた配向膜を備える方法として、以下の3通りの方法が使用できる。
a.配向膜を塗布する前にスペーサーを形成し、ラビングを行う。
b.配向膜を塗布した後にスペーサーを形成し、ラビングを行う。
c.ラビングした配向膜にスペーサーを形成する。
感光性樹脂により形成されたスペーサーを、これらa〜cのすべての方法で使用可能にするためには、つぎのような特性が必要とされる。
1)スペーサーを形成するフォトリソグラフィー工程においては、歩留まり向上のため、▲1▼高感度であることと、▲2▼現像後、現像残渣(スカム)がないことが必要である。
2)また、形成されたスペーサーには、
▲1▼配向膜を塗布する前の洗浄工程における耐アルカリ性、耐水性を備えていること、
▲2▼配向膜に使用されている溶剤への耐溶剤性を備えていること、
▲3▼配向膜の焼成工程で熱変形を起こさない耐熱性を備えていること、
▲4▼ラビングにより表示不良が生じないようラビング耐性が高いこと、および
▲5▼液晶配向不良を生じさせず、電圧保持率、残留DCを低下させないことなどが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フォトリソグラフィーにより液晶表示素子用スペーサーを形成する際の新規な感光性樹脂組成物を提供することである。さらに詳しくは、従来の特性を備えた上に、高感度で、現像残渣(スカム)のない優れた現像性、耐アルカリ性、耐水性を備えたスペーサーの形成材料として好適な、ネガ型の感光性樹脂組成物を提供することである。そして、該樹脂組成物で形成されるスペーサーおよび液晶表示素子を提供することも本発明の目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アルカリ可溶性樹脂、アルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体、エチレン性二重結合含有化合物、ベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物、およびクマリン構造を有する光増感剤を含有する感光性樹脂組成物を用いて形成されるスペーサーが、耐溶剤性、耐熱性、およびラビング耐性に優れ、液晶配向不良を生じさせず、電圧保持率、残留DCを低下させないといった特性も兼備していることを見出し、この知見を元に本発明を達成するに至った。
【0007】
本発明の感光性樹脂組成物は、つぎの(1)〜(9)項で示される。
(1)不飽和カルボン酸モノマーの少なくとも1種と式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含むラジカル重合性モノマーの混合とを重合させて得られる共重合体であるアルカリ可溶性樹脂、アルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体、エチレン性二重結合含有化合物、ベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物、およびクマリン構造を有する光増感剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
(式中、R 1 はHまたはメチルであり、R 2 はHまたは炭素数1〜5のアルキルであって、テトラヒドロフラン環の2〜4位のどの炭素原子に結合してもよく、nは0〜5の整数である。)
【0008】
(2)アルカリ可溶性樹脂とアルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体との混合物に対して、10〜200重量%のエチレン性二重結合含有化合物、0.1〜50重量%のベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物、および0.1〜30重量%のクマリン構造を有する光増感剤を含有し、組成物中の全固形分の含有量が10〜50重量%であることを特徴とする、前記の(1)項に記載の感光性樹脂組成物。
【0009】
(3)アルカリ可溶性樹脂とアルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体との混合物中のアルカリ可溶性樹脂の割合が40〜100重量%であることを特徴とする、前記の(1)または(2)項に記載の感光性樹脂組成物。
【0012】
(4)式(1)において、nが1または2であり、R2がHである、前記の(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【0013】
(5)アルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体が、エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーの単独重合、エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーの2種以上の共重合、またはエポキシ基を有するラジカル重合性モノマーの少なくとも1種と不飽和カルボン酸ではないラジカル重合性モノマーであってエポキシ基を有しない化合物の少なくとも1種との共重合により得られる重合体である、前記の(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【0014】
(6)ベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物が、式(2)
【化4】
(式中、R3〜R6はそれぞれ独立に炭素数1〜13のアルキルであり、X1およびX2はそれぞれ独立に−O−、−O−O−または−NH−であって、ベンゾフェノン構造におけるカルボニル基は、ベンゼン環の置換基を有する炭素原子に対してそれぞれp位にある炭素原子のどちらに結合してもよい。)
で表される化合物である、前記の(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【0015】
(7)式(2)において、X1およびX2が−O−である、前記の(6)項に記載の感光性樹脂組成物。
【0016】
(8)エチレン性二重結合含有化合物が、アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルである、前記の(1)〜(7)項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【0017】
(9)エチレン性二重結合含有化合物が、3個以上のエチレン性二重結合を含むことからなる、前記の(1)〜(8)項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【0018】
本発明の塗膜、スペーサーおよび液晶表示素子は、次の(10)〜(13)項に示される。
(10)前記の(1)〜(9)項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を材料として形成されてなる塗膜。
【0019】
(11)前記の(1)〜(9)項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を材料として形成されてなる、液晶表示素子用スペーサー。
【0020】
(12)前記の(1)〜(9)項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を材料として形成された塗膜を、フォトリソグラフィーによってパターニング後、熱硬化することによって形成されてなる、前記の(11)項に記載の液晶表示素子用スペーサー。
【0021】
(13)前記の(11)または(12)項に記載のスペーサーを備えた液晶表示素子。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられるアルカリ可溶性樹脂(以下、見分け易くするため記号[A]を付して表示し、場合によっては[A]のみで表示することがある。)は、不飽和カルボン酸モノマー(以下、記号(a−1)を付して表示し、(a−1)のみで表示することもある。)の少なくとも1種と(a−1)以外のラジカル重合性モノマーの少なくとも1種を重合させて得られる。(a−1)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸およびメサコン酸などが挙げられる。これらは、単独または組み合わせて用いられる。(なお、上記の(メタ)は接頭語「メタ」が付く場合と付かない場合の両方の化合物を含むことを示し、以下も同様である。)
【0023】
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂[A]は、アルカリ水溶液に対する溶解性を適度に調節するために、不飽和カルボン酸モノマー(a−1)と(a−1)以外のラジカル重合性モノマーとを共重合させて得られる。[A]中の(a−1)に由来する重合成分の含有量は、5〜40重量%であり、10〜20重量%であることが好ましい。(a−1)に由来する重合成分が、[A]中の5重量%未満であるとアルカリ水溶液に溶解しにくくなり、40重量%を超えるとアルカリ水溶液に対する溶解性が大きくなりすぎて現像後の皮膜に膜荒れが発生しやすくなる傾向がある。即ち、(a−1)以外のラジカル重合性モノマーは、その単独重合物がアルカリ不溶性であるラジカル重合性モノマー(以下、記号(a−2)を付して表示し、(a−2)のみで表示することもある。)を含むものでなければならない。
【0024】
その単独重合物がアルカリ不溶性であるラジカル重合性モノマー(a−2)として、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、クロトン酸エチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,Nージメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、3−シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、N−メチルー2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレートなどの脂環式基または複素環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが例示される。そして、これらは単品または混合品を市販品として入手できる。
【0025】
本発明では、式(1)
【化5】
(式中、R1はHまたはメチルであり、R2はHまたは炭素数1〜5のアルキルであって、テトラヒドロフラン環の2〜4位のどの炭素原子に結合してもよく、nは0〜5の整数である。)で表されるラジカル重合性モノマー(以下、記号(a−3)を付して表示し、(a−3)のみで表示することもある。)を、不飽和カルボン酸モノマー(a−1)以外のラジカル重合性モノマーに含まれる成分として用いる。
【0026】
式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(a−3)は、現像性を向上させるために用いられ、nが1または2であり、R2がHである化合物が好ましい。現像性を向上させるためには、不飽和カルボン酸モノマー(a−1)の使用量を増してアルカリ現像液に対するアルカリ可溶性樹脂[A]の可溶性を増加させればよいが、この場合には、感光性樹脂組成物の安全な溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどに対する溶解度が低下したり、現像後の表面荒れなど特性の低下が起こる。(a−3)を用いることによって、[A]の前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどに対する溶解性が改善され、またアルカリ現像液の感光性樹脂塗膜への浸透性をコントロールすることができるので、不飽和カルボン酸モノマーの使用量を増加することなく、現像性を向上させることができる。[A]を得るための全モノマー中に占める(a−3)の含有量は30重量%以下であるが、5重量%以下だとアルカリ現像液に対する溶解性増加の効果はわずかであり、30重量%以上だと、溶解性が大きくなりすぎ、現像後の皮膜に膜荒れが発生しやすくなる。なお、(a−3)を用いるときには、(a−1)と(a−3)との合計量をモノマー中の10〜50重量%とすることが好ましく、15〜40重量%が更に好ましい。
【0027】
本発明の感光性樹脂組成物の第2の成分であるアルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体(以下、記号[AIS]を付して表示し、場合によっては[AIS]のみで表示することがある。)は、エポキシ基を有するラジカル重合性モノマー(以下、記号(a−4)を付して表示し、(a−4)のみで表示することもある。)の単独重合、(a−4)の2種以上の共重合、または(a−4)の少なくとも1種と不飽和カルボン酸ではないラジカル重合性モノマーであってエポキシ基を有しない化合物(以下、記号(a−5)を付して表示し、(a−5)のみで表示することもある。)の少なくとも1種との共重合により得られる。(a−4)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。(a−5)としては、前記の(a−2)(その単独重合物がアルカリ不溶性であるラジカル重合性モノマー)のうちのエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の例や、式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(a−3)が挙げられる。そして、これらも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0028】
アルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体[AIS]中の(a−4)に由来する重合成分の含有量は、通常20〜100重量%、好ましくは50〜100重量%である。(a−4)に由来する重合成分の含有量が20重量%未満であると、パターニング後、熱硬化して得られた皮膜の耐アルカリ性が低下する傾向がある。
【0029】
アルカリ可溶性樹脂[A]およびアルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体[AIS]は、従来の公知の重合方法によって得られる。重合溶媒は、重合反応に不活性で重合反応条件下で安定な化合物であれば何でもよい。具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トルエン、キシレン、γーブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランなどが好ましく、これらの中でもメタノール、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが特に好ましい。もちろん2種以上の混合溶媒でもよい。
【0030】
重合反応は、通常、反応液中のモノマー濃度を5〜50重量%、同じく重合開始剤濃度を0.01〜5重量%とし、反応温度50〜160℃、反応時間3〜12時間で行う。分子量を調節するためにチオグリコール酸などの連鎖移動剤を加えてもよい。重合反応終了後、反応液そのままから、または反応液を大量の非溶媒中に投入して、オリゴマーや未反応モノマーを除去し、生成した沈殿を乾燥したものが用いられる。反応液を大量の非溶媒中に投入して精製する場合は、メタノールと酢酸エチルの混合液を反応溶媒とし、シクロヘキサンもしくは酢酸エチル/シクロヘキサン混合液を非溶媒として使用すると乾燥性が良好で好ましい。
【0031】
アルカリ可溶性樹脂[A]およびアルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体[AIS]はどちらも、N,N−ジメチルホルムアミドを溶媒とするGPC分析で、ポリエチレンオキシド換算重量平均分子量(Mw)が1,000〜100,000であることが望ましく、2,000〜30,000であることが更に好ましい。この平均分子量(Mw)が1,000未満では膜の強度が弱く、現像時の膜荒れ、パターンの剥離が起きやすい。一方、200,000を超えると、現像性や感度が低下したり、現像後に残査が残ることがある。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物の第3の成分であるエチレン性二重結合含有化合物(以下、記号[B]を付して表示し、[B]のみで表示することもある。)としては(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体例としてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、
【0033】
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、モノヒドロキシペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらの化合物は、単独でまたは組み合わせて用いられる。
【0034】
なお、エチレン性二重結合含有化合物[B]としては、3個以上のエチレン性二重結合を含有する化合物が好ましく、上記化合物のうちからその例の一部を選べば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物の第4の成分であるベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物(以下、記号[C]を付して表示し、[C]のみで表示することもある。)は、光重合開始剤として用いられるものである。その具体例として4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,5,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,5−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3,4−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、
【0036】
3,4,4’−トリ(t−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−オクチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、 3,3,4’−トリ(t−クミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−メトキシー2’,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−メトキシー2’,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−メトキシー2’,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−メトキシー2’,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−エトキシー2’,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0037】
また、上記のベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物[C]と他の光重合開始剤とを組み合わせて用いることもできる。他の光重合開始剤としては、2,2ージメトキシー1,2−ジフェニルエタンー1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチルー1[4−(メチルチオ)フェニル]ー2−モルフォリノプロパンー1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)ーブタノンー1、2,4,6ートリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6ートリメチルベンゾイル)ーフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4−メトキシー1−ナフチル)ー4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0038】
上記のベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物[C]の具体例のうち、光重合開始剤として好ましい化合物は、下記の式(2)
【化6】
(式中、R3〜R6はそれぞれ独立に炭素数1〜13のアルキルであり、X1およびX2はそれぞれ独立に−O−、−O−O−または−NH−であって、ベンゾフェノン構造におけるカルボニル基は、ベンゼン環の置換基を有する炭素原子に対してそれぞれp位にある炭素原子のどちらに結合してもよい。)で表される化合物であり、具体的には、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0039】
本発明の感光性樹脂組成物の第5の成分であるクマリン構造を有する光増感剤(以下、記号[D]を付して表示し、[D]のみで表示することもある。)の具体例として、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイルクマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3−アセチル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−カルボキシクマリン、3−カルボキシ−7−メトキシクマリンなどを挙げることができる。これらは、単独でまたは組み合わせて用いられる。
【0040】
本発明の感光性樹脂組成物の成分含有比率は、アルカリ可溶性樹脂[A]とアルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体[AIS]との混合物(以下、[A]と[AIS]との混合物を「重合物成分」と表記する。)に対し、エチレン性二重結合含有化合物[B]が10〜200重量%、好ましくは30〜150重量%、ベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物[C]が0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、およびクマリン構造を有する光増感剤[D]が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。[C]と他の光重合開始剤を併用する場合は、[C]に対し、他の光重合開始剤10〜100重量%を用いることが好ましい。
【0041】
重合物成分に対して、エチレン性二重結合含有化合物[B]が10重量%未満であると、感光性樹脂の光による硬化が不十分となり、現像液への溶解性が増加して現像後の塗膜表面に膜荒れが生じることがある。重合物成分に対する[B]の割合が200重量%を超えた場合にも、塗膜表面のタックが大きくなりすぎ、硬化後に得られる被膜に膜荒れが生じたり、現像後に残査が残ったりすることがある。重合物成分に対するベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物[C]の割合が0.1重量%未満であると、[B]の架橋(硬化)反応が十分に進行しないことがある。重合物成分に対する[C]の割合が50重量%を超えると、現像性が低下することがある。重合物成分に対するクマリン構造を有する光増感剤[D]の割合が0.1重量%未満であると、[C]への増感作用が不十分となって感度が低下し、現像後膜荒れが生じることがある。そして、重合物成分に対する[D]の割合が30重量%を超えると、得られる被膜の残膜率が低下することがある。
【0042】
重合物成分は、前述のようにアルカリ可溶性樹脂[A]とアルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体[AIS]との混合物である。重合物成分中に占める[AIS]の割合は0〜60重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。[AIS]は熱硬化後の被膜に耐アルカリ性および耐熱性を付与するために用いられ、上記の割合が5重量%未満になるとこれらの物性が低下する可能性があるが、アルカリ可溶性樹脂を製造する際の共重合用モノマーとしてエポキシ基を有するラジカル重合性モノマーを用いるか、または前記のチレン性二重結合含有化合物[B]としてエポキシ基を含有する化合物を用いる場合には、アルカリ可溶性樹脂のみを用いてもよい。
【0043】
本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて上記成分以外の他の成分を含有してもよい。このような他の成分としては、カップリング剤(表面処理剤)、界面活性剤などが挙げられる。カップリング剤は、基板との密着性を向上させるために使用するものであり、上記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた残りの成分(以下「固形分」と略記する。)に対し10重量%以下の添加量で用いられる。
【0044】
カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系およびチタネート系の化合物が用いられる。具体的には、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシラン系、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウム系、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートなどのチタネート系化合物を挙げることができる。
【0045】
界面活性剤は、下地基板への濡れ性、レベリング性、塗布性を向上させるために使用するものであり、上記感光性樹脂組成物に対し0.01〜1重量%の添加量で用いられる。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、フッソ系界面活性剤などが用いられ、それぞれ市販品を入手できる。
【0046】
本発明の感光性樹脂組成物は、通常、適当な溶媒に溶解させて溶液状態で用いられる。この溶液は、溶媒中に重合物成分を投入して完全に溶解させた後、その溶液中にエチレン性二重結合含有化合物[B]、ベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物[C]、クマリン構造を有する光増感剤[D]、および必要に応じてカップリング剤、界面活性剤などを所定の割合で混合し、固形分濃度が10〜50重量%となるように調製し、その後、撹拌して完全に溶解させることによって得られる。
この固形分濃度は、基板表面への塗布を円滑に行うために、または塗膜の厚みを調節するための補助手段として必要な設定であり、重合物成分の分子量が大きいとき、または塗膜の厚みを薄くしようとするときには固形分濃度を低く、また重合物成分の分子量が小さいとき、または塗膜の厚みを厚くしようとするときには固形分濃度を高く調整すればよい。
【0047】
この際に使用される溶媒としては、メトキシジエタノール、エトキシエタノール、1−メトキシー2−プロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどを挙げることができ、これらの溶媒は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0048】
上述のようにして調製された感光性樹脂組成物溶液を、基板表面に塗布し、加熱により溶媒を除去すると、塗膜を形成することができる。基板表面への感光性樹脂組成物溶液の塗布は、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法など従来からの公知の方法により行うことができる。次いで、この塗膜はホットプレート、オーブンなどで加熱(以下「プリベーク」と略記する)される。プリベーク条件は各成分の種類、配合割合によって異なるが、通常70〜110℃で、ホットプレートなら1〜5分間、オーブンなら5〜15分間である。
【0049】
本発明の液晶表示素子用スペーサーは、上述のプリベークされた塗膜を液晶表示素子用の電極基板上に形成して後、所定パターンのフォトマスクを介して紫外線などを照射した後、現像液により現像し、不要な部分を除去することにより得られる。(スペーサーの形成方法については、後述の本発明の液晶表示素子の説明でさらに詳しく述べる。)
【0050】
現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ類、またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ類などの水溶液を用いることができる。また、上記アルカリ水溶液にメタノール、エタノール、界面活性剤などを適当量添加して用いることもできる。
【0051】
現像方法は、ディッピング法、シャワー法、スプレー法など何れを用いてもよく、現像時間は通常30〜240秒であり、現像後、流水でリンスし、乾燥させることによりパターンを形成することができる。その後、このパターンをホットプレート、オーブンなどで加熱(以下「ポストベーク」と略記する)することによって、エチレン性二重結合含有化合物[B]の未反応分の架橋をさらに進めると同時に溶媒を完全に除去し、所定の塗膜パターンを得ることができる。ポストベーク条件は各成分の種類、配合割合によって異なるが、通常180〜250℃で、ホットプレートなら5〜30分間、オーブンなら30〜90分間である。
【0052】
本発明の液晶表示素子は、前述の本発明の感光性樹脂組成物により形成されるスペーサーを備えていることが特徴である。その液晶表示素子の作製方法について説明する。
透明導電性電極(例えば、インジウム−スズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnOx)などを挙げることができる。)と配向膜を順次積層した基板の配向膜表面、または透明導電性電極を積層した基板の電極表面に、本発明の感光性樹脂組成物溶液を塗布し乾燥して目的とする厚さの塗膜を形成する。その後、例えば5μm×5μm〜15μm×15μmの格子状の透光部分を有するパターンが画かれたフォトマスクを通して放射線を照射し、現像によって放射線非照射部分の塗膜を除き、焼成を行うことで、液晶パネルの開口部以外の部分(例えば、画素間)に、感光性樹脂組成物の硬化膜即ち格子状模様となった柱状のスペーサーを形成する。
【0053】
該スペーサの形状は、特に制限はないが、真上から見た場合、正方形、長方形、円形、楕円形であることが好ましく、長方形、楕円形の場合、長軸方向が、ラビング方向と水平もしくは直交しているのが好ましい。また、真横から見た場合、正方形、長方形、台形であり、特に台形が好ましい。さらに、台形の上部の角が丸まっていても良く、台形の下部が裾を引いても良い。台形の形状はスペーサー上に配向膜を塗布、ラビング処理する際、均一に配向膜を塗布するまたは均一なラビング処理をする際に特に有効である
【0054】
基板としては、たとえば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラスなどの透明ガラス基板、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの合成樹脂製シート、フィルムまたは基板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板などの金属基板、その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板などが挙げることができる。これらの基板には所望により、シランカップリング剤などの薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を行うことができる。
【0055】
基板への感光性樹脂組成物の塗布は、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法など従来からの公知の方法により行うことができる。塗膜の乾燥は、塗膜に対して過熱された空気を吹き付けるか、または基板を過熱されたホットプレート上に載置することにより行うことができる。乾燥風またはホットプレートの加熱温度は通常30〜300℃、特に好ましくは50〜200℃である。加熱時間は1〜30分が好適であり、加熱温度は一定に保っても良いが、段階的に上昇させても良い。乾燥後の膜厚として、通常0.1〜10μm好ましくは1〜7μmである。
【0056】
スペーサーを形成する際に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線などを使用することができる。特に好ましくは、波長が190nm〜450nmの範囲の放射線である。放射線の照射エネルギーは、好ましくは1〜1000mJ/cm2である。
【0057】
現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ類、およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ類などの水溶液を挙げることができる。また、上記アルカリ水溶液にメタノール、エタノール、界面活性剤などを適当量添加して用いることもできる。現像方法は、ディッピング法、シャワー法、スプレー法など何れを用いてもよく、現像時間は通常30〜240秒であり、現像後、流水でリンスし、乾燥させることによりパターンを形成することができる。
【0058】
このようにして形成されるスペーサーは点状でも線状でも良い。さらに、該樹脂塗膜中に従来から用いられてきたビーズを分散させ、固定させて使用することもできる。また、感光性樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、同様にパターニングを行い基板の周辺部のみ該組成物を残し、その上に別の基板を対向するように液晶セルを組み立て、圧着し、焼成することにより該組成物をシール材として液晶素子に組み込むことができる。さらに、該樹脂塗膜上に配向処理を行う膜を形成させても良い。
【0059】
液晶表示素子は、上記のようにして形成された上下の素子基板の位置を合わせて圧着後、熱処理して組み合わせて後、液晶を注入し、注入口を封止することによって製作される。また、液晶素子基板上に液晶を散布した後、基板を重ね合わせ、液晶が漏れないように密封して液晶表示素子を製作してもよい。このようにして、本発明の感光性樹脂組成物で形成された優れた耐液晶性を有するスペーサーを液晶表示素子中に存在させることができる。
なお、本発明の液晶表示素子に用いられる液晶、すなわち液晶化合物および液晶組成物については特に限定されず、いずれの液晶化合物および液晶組成物をも使用することができる。
【0060】
本発明の液晶表示素子に用いられる配向剤としては、液晶分子の配向を規制するものであれば、特に限定されるものでなく、無機物もしくは有機物どちらでもよい。一般的にはポリイミド系、ポリアミド系の樹脂が多く用いられているが、具体的には、次の式(3)または式(4)で表される構造の重合単位を有する樹脂が好ましい。
【化7】
(式中、Gはジアミン化合物の残基であって、芳香族基を含有する有機基または脂肪族基であり、Yはテトラカルボン酸化合物の残基であって、脂肪族基、芳香族基、脂環式基、縮合環式基、架橋環式基、またはこれらの基の2種以上を含む有機基である。)
【0061】
2価の有機基Gの具体例としては、つぎの式(G1)〜(G10)で示される基を挙げることができる。
【0062】
【化8】
(式中、R8はHまたは炭素数1〜10のアルキルを示し、R9は炭素数1〜10のアルキルを示し、nは1〜3の整数を示し、mは1または2を示す。)
【0063】
4価の有機基Yの具体例としては式(Y1)〜(Y11)で示される基を挙げることができる。
【化9】
(式中、R8はHまたは炭素数1〜10のアルキルであり、qは0〜4の整数であり、rは0または1である。)
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(アルカリ可溶性樹脂[A]の調製)
実施例、比較例で用いるアルカリ可溶性樹脂[A−1]〜[A−3]をつぎのように調製した。
<[A−1]の調製>
撹拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を装着したセパラブルフラスコに、不飽和カルボン酸(a−1)としてメタクリル酸20g、その単独重合物がアルカリ不溶性であるラジカル重合性モノマー(a−2)としてベンジルメタクリレート130gおよび2−ヒドロキシエチルアクリレート20g、式(1)のラジカル重合性モノマー(a−3)として5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチルアクリレート30g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1g、連鎖移動剤としてチオグリコール酸3g、溶媒としてメタノール167gおよび酢酸エチル333gを仕込んだ。その後、30分間窒素でフラスコ内の空気を除去し、油浴でフラスコの内温を65℃に保って6時間重合反応を行った。その後、重合液にシクロヘキサン3,000gを加えてポリマーを析出させ、上澄みをデカンテーションで除いた後、40℃で20時間真空乾燥してアルカリ可溶性樹脂[A−1]を得た。得られた[A−1]のポリエチレンオキシド換算重量平均分子量は7,000であった。 (表1参照)
【0065】
<アルカリ可溶性樹脂[A−2]および[A−3]の調製>
表1に示すようにモノマ−成分の割合を変え、アルカリ可溶性樹脂[A−1]と同様にして、[A−2]および[A−3]を得た。得られた樹脂の分子量を表1に示す。
【表1】
【0066】
(アルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体[AIS]の調製)
実施例、比較例で用いるアルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体[AIS−1]〜[AIS−4]をつぎのように調製した。
<[AIS−1]の調製>
撹拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を装着したセパラブルフラスコに、エポキシ基を有するラジカル重合性モノマー(a-4)としてグリシジルメタクリレート160g、エポキシ基を有しないラジカル重合性モノマー(a−5)としてメチルメタクリレート40g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル8g、溶媒としてメチルエチルケトン800gを仕込み、30分間窒素でフラスコ内の空気を除去してから、フラスコを油浴で内温を80℃に保って6時間重合反応を行った。その後、重合液にシクロヘキサン3,000gを加えてポリマーを析出させ、上澄みをデカンテーションで除いた後、40℃で20時間真空乾燥して[AIS−1]を得た。[AIS−1]のポリエチレンオキシド換算重量平均分子量は6,100であった。(表2参照)
【0067】
<アルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体[AIS−2]〜[AIS−4]の調製>
表2に示すようにモノマ−成分の割合を変え、アルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体[AIS−1]と同様にして、[AIS−2]〜[AIS−4]を得た。それぞれの分子量を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
以下に感光性樹脂組成物の調製、その性能評価、それを用いたスペーサーと液晶表示素子の作製、およびそれらの評価を行った結果を以下の実施例にて説明する。
【0070】
(感光性樹脂組成物の調製)
実施例1
アルカリ可溶性樹脂[A−1]1.00g、アルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体[AIS−1]0.15g、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.50gを混合し溶解させた後、エチレン性二重結合含有化合物[B]としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(東亞合成化学工業(株)製「アロニックスM400」)0.60gと、ベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物[C](光重合開始剤)として、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンの25重量%トルエン溶液0.24g、クマリン構造を有する光増感剤[D]として、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン0.03g、およびその他の成分として、シリコン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン(株)製「Byk−344」)0.003gを混合し、固形分濃度が39重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた。その後、均一な溶液が得られるまで攪拌し、孔径0.22μmのメンブランフィルターで濾過して感光製樹脂組成物の溶液を得た。
【0071】
実施例2〜34
表3〜7に記載の各成分を所定量加える以外は、実施例1と同様に行い、それぞれの感光性樹脂組成物を得た。
【0072】
比較例1〜8
クマリン構造を有する光増感剤[D]の代わりに、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン構造を有する光増感剤[D’]を使用し、各成分を表8に記載のように加える以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
【0073】
表3〜8に記載の略称の意味は、下記のとおりである。
<1>エチレン性二重結合含有化合物[B]
B−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(東亞合成化学工業(株)製「アロニックスM−400」)
B−2:トリメチロールプロパントリアクリレート
B−3:ペンタエリスリトールトリアクリレート
B−4:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
<2>ベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物[C](光重合開始剤)
C−1:3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンの25重量%トルエン溶液
C−2:3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンの25重量%トルエン溶液
C−3:3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンの20重量%トルエン溶液
<3>クマリン構造を有する光増感剤[D]
D−1:3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン
D−2:3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン
D’:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
<4>その他の成分(界面活性剤)
E−1:シリコン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン(株)製「Byk−344」)
<5>その他の成分(カップリング剤)
F−1:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
なお、表3〜8における各成分の使用量は、アルカリ可溶性樹脂[A]の使用量を100とした重量比で表した。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
【表8】
【0080】
上記、実施例および比較例で得られた感光性樹脂組成物を用いて、塗膜、スペーサーを形成してその性能を評価した。その方法と結果を以下にのべる。
<スペーサーの形成法(a)>
実施例、比較例で得られた感光性樹脂組成物溶液を、ガラス基板/またはITO膜からなる透明電極付きガラス基板上に所定量載せて900rpmで15秒間スピンコートした後、ホットプレートで90℃、3分間プリベークして塗膜を形成させた。その後、得られた塗膜を、PLA−501Fマスクアライナー(キャノン(株)製)を用い、10μm×10μmの透光部分により格子状パターン模様を形成するフォトマスクを介して露光した。なお、露光は、空気雰囲気中、(i)全線(フィルターなし)、および(ii)g、h線(HOYA(株)製i線カットフィルター、COLORED OPTICAL GLASS、GLASS TYPE L40、2.5mm厚使用)のそれぞれで行った。露光量を積算光量計で測定しながら、全線の場合i換算で100mJ/cm2照射し、g、h線の場合g、h線混合のエネルギーで100mJ/cm2の紫外線を照射した。露光量の測定には積算光量計UIT−102(ウシオ(株)製)を用い、受光器は、全線の場合は感度波長域330−390nmの受光器UVD−365PD(ウシオ(株)製)を用い、g、h線露光時には感度波長域330−490nmの受光器UVD−405PD(ウシオ(株)製)を用いた。次いで、0.05重量%水酸化カリウム水溶液を用いて、23℃で所定時間(30sec〜120sec)現像(シャワー現像、シャワー圧0.04MPa)を行った後、純水で15秒間シャワーリンスし、乾燥した。更に、オーブンで200℃、30分間加熱焼成して、基板上に10μm×10μm柱状の感光性樹脂組成物の硬化膜により格子状パターン模様にパターンニングされた厚さ5μmのスペーサーを形成した。
<スペーサの形成法(b)>
1000rpmでスピンコートし、塗布厚み4.8μmに変える以外は形成法(a)と同様に行った。
<スペーサの形成法(c)>
露光量200mJ/cm2の紫外線照射に代える以外は形成法(a)と同様に行った。
【0081】
上記のようにして得られたスペーサー(塗膜)について、次のような物性を調べた。
<感度>
上記のようにして得られたスペーサーにおいて、現像後の残膜率((現像後の膜厚/プリベーク後の膜厚)×100)▲1▼および得られた塗膜の残膜率▲2▼を測定し、つぎの基準で判定した。
〇:残膜率が90%以上
×:残膜率が90%未満
<耐アルカリ性>
上記のようにして得られた4cm×4cmのバルクパターン付きガラス基板を、5重量%水酸化ナトリウム水溶液に60℃で10分間浸漬処理をした後、碁盤目テープ法(JIS K5400、8.5.2項、クロスカットガイド1mm角×100個を使用)による密着性試験を施し、さらに、浸漬処理前後の膜厚の変化率、及び400倍の光学顕微鏡で塗膜表面の変化を観察し、次の基準で判定した。
○:碁盤目テープ法で剥離がなく、膜厚の変化率が5%未満、かつ処理前後で塗膜表面に変化がない。
×:上記以外の場合
<耐水性>
上記のようにして得られた4cm×4cmのバルクパターン付きガラス基板を、超純水に80℃で1時間浸漬処理し、更に超純水に浸漬して60℃で1時間超音波洗浄処理した後、碁盤目テープ法(JIS K5400、8.5.2項、クロスカットガイド1mm角×100個を使用)による密着性テストを施し、さらに、処理前後の膜厚の変化率、及び400倍の光学顕微鏡で塗膜表面の変化を観察し、次の基準で判定した。
○:いずれの処理においても、碁盤目テープ法で剥離がなく、膜厚の変化率が5%未満、かつ処理前後で塗膜表面に変化がない。
×:それ以外の場合
<耐熱性>
基板に形成されたスペーサーを240℃で1時間再加熱した後、再加熱後の残膜率((再加熱後の膜厚/ポストベーク後の膜厚)×100)を測定し、次の基準で判定した。
○:再加熱後の残膜率が95%以上
×:再加熱後の残膜率が95%未満
<耐溶剤性>
基板に形成されたスペーサーを、N−メチル−2−ピロリドンに25℃で1時間浸漬処理を施した後、処理前後の膜厚の変化率、および400倍の光学顕微鏡で塗膜表面の変化を観察し、次の基準で判定した。
○:膜厚の変化率が5%未満、かつ処理前後で塗膜表面に変化がない。
×:膜厚の変化率が5%以上
【0082】
実施例で得られた感光性樹脂組成物を用いて形成したスペーサーの評価結果を表9〜11に、また比較例で得られた感光性樹脂組成物を用いて形成したスペーサーの評価結果を表12に示す。
【表9】
【0083】
【表10】
【0084】
【表11】
【0085】
【表12】
【0086】
つぎに、本発明の感光性樹脂組成物を用いて液晶素子用スペーサーを作製し、さらにこのペーサーを備えた液晶表示素子を作製した。その実施例について以下に述べる。
実施例35
ITO膜からなる透明電極付きガラス基板上に、前述のスペーサー形成法(a)に従い、スピンコート、プリベーク、露光、現像およびポストベーク工程を経て、10μm×10μmであるスペーサーパターンを格子状に縦100μm間隔、横50μm間隔で形成した。つぎに、液晶配向剤(チッソ(株)製「LIXONアライナーPIA−5004」)を、上記スペーサー形成基板に塗布した後、70℃、10分間ホットプレート上で乾燥、さらにオーブン中200℃で60分間加熱処理を行い、膜厚0.06μmの配向膜をスペーサ付基板上に形成した。この配向膜を、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビング装置により、ロールの回転数1000rpm、ステージの送り速度59mm/秒でラビング処理を行った。この配向処理された配向膜面をもつスペーサー付き基板の外縁に、ガラスファイバースペーサーを2%混合したエポキシ系シール剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように、しかもラビング方向が直交するように重ね合わせて圧着し、熱により硬化させた。ついでこの一対の基板間に液晶注入口よりTFT用液晶組成物(後述のFB01)を封入した後、光硬化性樹脂で注入口を封止した。その後、110℃で30分間アイソトロピック処理を行い、室温まで徐冷して液晶表示素子を得た。
【0087】
このようにして得られた液晶表示素子について、耐ラビング性、液晶配向性、電圧保持率、および残留DCについて下記の方法で評価した。
<耐ラビング性>
スペーサー上に配向膜を形成し、この配向膜面をラビング処理をする時の状態をつぎの基準で判定した。
○:スペーサーに削れや、剥がれがなかった場合
×:それ以外の場合
<液晶配向性>
配向性の確認は偏光板を用いて行い、次の基準で判定した。
○:良好な配向性を有する
×:配向不良である
<電圧保持率>
測定は、ゲートパルス幅69μs、周波数60Hz、波高±4.5Vの矩形波をソースに印加し、変化するドレインをオシロスコープより読み取ることにより行った。これを4回行って平均値を計算し、全く電圧が減少しなかった場合を100%として相対値を電圧保持率とした。なお、測定は60℃で行った。
<残留DC>
測定は、通常よく用いられる方法であるC−Vカーブ法によって行った。即ち、液晶素子に25mV、1KHzの交流を印加し、さらに周波数0.0036Hzの直流バイアス電圧を±10Vの範囲で掃引して直流の三角波をかけ、変化する容量Cを測定した。なお、測定は60℃で行った。
各特性の測定および判定結果を表13に示す。
【0088】
実施例36〜68
下記の表13および表14に記載のように、実施例2〜34で得られた感光性樹脂組成物と後述の液晶組成物とを組み合わせ、実施例35と同様にしてそれぞれ液晶表示素子を作製した。得られた液晶表示素子についての特性データを表13および表14に示す。
【0089】
【表13】
【0090】
【表14】
【0091】
上記実施例の液晶表示素子に用いた液晶組成物の組成をつぎに示す。また、それらの物性値を表15に示す。
<液晶組成物LA>
【化10】
【0092】
<液晶組成物LB>
【化11】
【0093】
<液晶組成物LC>
【化12】
【0094】
<液晶組成物LD>
【化13】
【0095】
<液晶組成物LE>
【化14】
【0096】
<液晶組成物FB01>
【化15】
(上記3種の化合物の等量混合物)
【0097】
【表15】
【0098】
上記の結果から、本発明の感光性樹脂組成物を用いた塗膜が、g、h線を用いて露光することが可能であり、高感度で、現像残渣がなく現像性に優れていること、また、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐熱性等に優れたスペーサーに調製できること、そして、このスペーサーを備えた液晶表示素子が、耐ラビング性、液晶配向性、電圧保持率、残留DCに優れた液晶表示素子であることが明らかである。
【0099】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物によって、高感度で、現像残渣(スカム)がなく現像性に優れ、かつ耐アルカリ性、耐水性を備えた液晶表示用スペーサーを形成することができる。また、このスペーサーを備えることによって、ラビング耐性に優れ、液晶の残像現象、電圧保持率などの電気特性の良好で、機械的強度が高く液晶層の層厚が均一な液晶表示素子とすることができる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜は、g、h線で露光することができるので、開口率やコントラストに優れた液晶表示素子とすることが可能である。
Claims (13)
- アルカリ可溶性樹脂とアルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体との混合物に対して、エチレン性二重結合含有化合物10〜200重量%、ベンゾフェノン構造を有する有機過酸化物0.1〜50重量%、およびクマリン構造を有する光増感剤0.1〜30重量%を含有し、組成物中の全固形分の含有量が10〜50重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- アルカリ可溶性樹脂とアルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体との混合物中のアルカリ可溶性樹脂の割合が40〜100重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
- 式(1)において、nが1または2であり、R2がHである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- アルカリ不溶性エポキシ基含有ビニル重合体が、エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーの単独重合、エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーの2種以上の共重合、またはエポキシ基を有するラジカル重合性モノマーの少なくとも1種と不飽和カルボン酸ではないラジカル重合性モノマーであってエポキシ基を有しない化合物の少なくとも1種との共重合により得られる重合体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 式(2)において、X1およびX2が−O−である、請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
- エチレン性二重結合を有する化合物が、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- エチレン性二重結合を有する化合物が、3個以上のエチレン性二重結合を有することからなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を材料として形成されてなる塗膜。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を材料として形成されてなる液晶表示素子用スペーサー。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を材料として形成された塗膜を、フォトリソグラフィーによってパターニングした後、熱硬化することによって形成されてなる、請求項11に記載の液晶表示素子用スペーサー。
- 請求項11または12に記載のスペーサーを備えた液晶表示素子。
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