JP3703454B2 - ディジタル遅延補償が施されるレーザ測定システム - Google Patents
ディジタル遅延補償が施されるレーザ測定システム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学測定システムに関するものであり、とりわけ、光学レシーバの遅延特性を実験によって求め、それらの特性をディジタル・データとして記憶し、そのデータを用いて、測定プロセスにおける位相補償を実施するための技法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザ干渉を利用したシステムは、距離、及び派生的にその移動を並外れて正確に測定するように設計されている。典型的なレーザ干渉計構成では、基準信号と測定信号の位相差が、絶対位置から固定オフセットを引いた値に相当するように、ドップラ・シフト・レーザ信号が利用される。従って、測定における非静的遅延によって、システムが報告する位置データにエラーが生じることになる。測定におけるわずかな定遅延の補償は、既知の方法で実施可能であるが、入力周波数、入力信号パワー、または、システム温度に関連した補償されない遅延変化によって、位置エラーが生じることになる。位相遅延とこれらのパラメータのどれかとの量的関係が、測定システムの最終製品試験中に測定可能であれば、補償が可能になるかもしれない。
【0003】
レーザ干渉計システムの場合、レーザからの光信号を電気信号に変換する装置は、「レシーバ」と呼ばれる。この電気信号は、次に、「軸カード」または「位相測定カード」と呼ばれるディジタル位相測定装置に送られる。軸カードは、測定の複数チャネルまたは軸を備えることが可能である。
【0004】
レシーバ回路要素の一次位相エラーを相殺するため、非静的レシーバ遅延補償方法では、これまで、トリムポット・ベースのアナログ回路が用いられてきた。トリムポットは、最終製品試験において技術者によって調整される。この技法は、コンポーネントの許容差の寛容度から生じる位相エラーの補償には有用であるが、位相エラーの全ての原因を補償するには、過剰な数のトリムポットが必要になる。
【0005】
干渉の応用による位置測定におけるその他のエラー原因は、測定信号経路と基準信号経路との間における定遅延の差に端を発する。定遅延の原因は、数多くあり、例えば、ケーブル長、光路長、光電検出器の遅延、回路遅延、及び、位相計のオフセットが含まれている。これらの定遅延の効果が、測定における「データ・エイジ」の差を構成する。すなわち、「データ・エイジ」遅延は、位置測定に相当する事象からユーザに位置データが入手可能になる時点までの間の経過時間から得られる。1つ以上の同じ定遅延の調整によるこれらの定遅延補償は、実行不可能である。先行技術の方法におけるこれら定遅延の補償には、位置測定が施されている物体の速度、並びに、各測定軸における遅延について知る必要がある。この測定エラーの原因に対する従来のアプローチが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
さらに、レーザ測定技法の当業者には明らかなように、レシーバ自体に起因する遅延は、とりわけ、レシーバの電子回路の特性による入力周波数、信号パワー、及び、温度を含む、いくつかの動作パラメータの関数である。さらに、レシーバ遅延が適用可能な動作パラメータに応じて変化する固有の様態は、レシーバ毎に異なる。
【0007】
従って、望ましいのは、アナログ手段を用いた先行技法よりもはるかに広範囲にわたる非静的遅延補償を可能にする技法である。すなわち、アナログ・トリムポットの必要をなくす技法が歓迎される。位相遅延は、1つ以上のレシーバ動作パラメータの関数として変化することが予想できるので、遅延補償を施して、関連動作パラメータの変動に追従するか、または、それらと相関することができれば、大幅な性能向上が実現される。また、補償データがディジタル形式で得られる限り、ユーザとほとんどまたは全く対話せずに、レシーバにデータを記憶することが可能であり、これによって、最終試験の手順が単純化される。また、光学測定システムは、光学レシーバ・モジュールを関連測定モジュールから物理的に区別し、分離できるように分割されるのが一般的であり、これによって、保守、修理、または、トラブル・シューティングのため、それぞれのレシーバ及び測定モジュールを分離し、交換することが可能になる。従って、遅延補償技法によって、同じ種類の多数のレシーバと同じ種類の多数の測定モジュールとの相互運用性が助長されれば、システムの柔軟性を保つことが可能になる。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第5,767,972号明細書;「Method and Apparatus for Providing Data Age Compensation in an Interferometer」
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光学レシーバにおける位相及び時間差を求めて、常に把握し、こうしたエラーの補償のため、適正な補償値を提供する方法及びシステムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の実施態様の1つでは、光学レシーバの測定信号の第1のサイクルが測定される。基準レシーバは、その第1のサイクルが測定される基準信号を出力する。基準またはシステム・クロックを利用して、測定信号の次の後続サイクルからシステム・クロックの次のパルスまでの時間値、及び、基準信号の次の後続サイクルから基準クロックの次のパルスまでの時間値が測定される。測定信号からシステム・クロックの次のパルスまでの時間期間は、測定信号のサイクルによって割られ、基準信号からシステム・クロックの次のパルスまでの時間期間は、基準信号のサイクルによって割られる。それぞれの割り算によって算出される2つの商の差は、位相エラーとして相関させられる。
【0011】
本発明の実施態様のいくつかでは、測定信号から導き出された商を時間に関する第1の導関数として計算し、周波数値が求められる。後続の周波数値は、ルックアップ・テーブルまたは同様のメモリ・アプリケーションによって位相エラーと相関させることが可能である。
【0012】
本発明の他の実施形態では、第2の位相エラーは、第2の位置値を計算することによって算出される。第2の位置値は、それぞれ、測定信号の次の後続サイクル、及び、基準信号の次の後続サイクルから、次の後続クロック・パルスに後続するクロック・パルスまで測定される、第2の時間値集合を計算することによって導き出される。第2の時間値集合は、それぞれのサイクル値によって割られる。結果得られる値の差は、位置または位相エラーとして導き出され、処理される。
【0013】
本発明のさらに他の実施形態では、時間差エラーは、測定信号から後続のクロック・パルスまでの時間を計測し、基準信号から後続のクロック・パルスまでの時間を計測し、2つの時間差を計算することによって算出される。この時間差は、周波数のような動作パラメータと関連づけて、ルックアップ・テーブルまたは同様のメモリ・アプリケーションに記憶することが可能である。
【0014】
以上は発明の概要であり、従って、必然的に、単純化され、概括されたものであり、及び、細部の省略を伴っている。結果として、当業者には明らかなように、この概要は、単なる例証にすぎず、決して制限を意図するものではない。請求項によってのみ規定される、本発明の他の態様、創意に富む特徴、及び、利点については、後述の非限定的な詳細な説明において明らかになるであろう。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下は、本発明の一例に関して詳述することを意図したものであり、本発明自体を制限するものとみなしてはならない。本発明は、特許請求の範囲の記載により定められるべきであり、発明の範囲内において当業者には様々な変形・変更が可能である。
【0016】
<概要>
この詳細な説明の中で後述する部分において明らかにされるように、本発明は、光学測定システムにおけるレシーバの位相及び時間エラーの補償を実施するための技法である。本質的に、例えば、レシーバの動作周波数の関数としてのレシーバの位相及び時間エラーは、測定システムの生産中に、実験によって測定される。補償データが、ディジタル形式でルックアップ・テーブルに書き込まれる。補償データとディジタル位相及び時間測定を組み合わせて、位相及び時間測定の補正が実質的に実行される。
【0017】
<位置計算について>
次に図1を参照すると、測定信号と基準信号の位相差が、補間技法を用いて計算される方法のグラフ表現を示してある。とりわけ、本発明の特定の実施態様では、40MHzのクロック(クロック信号)100によって、システムまたは基準クロック信号が生じ、これが2.5×10−8秒の基準インクリメンタル時間に変換される。40.96Ghzのクロック(クロック信号)105によって、2.44×10−11秒のインクリメンタル時間が得られる。
【0018】
図1のグラフ表現は、いくつかの時間例にわたる測定を表している。本発明の実施態様では、入力及び出力の連続測定が位相、時間、及び、位置に関連するように、測定はリアルタイムで実施される。
【0019】
測定信号を表す方形波信号Em110は、信号の立ち上がりエッジで測定される信号パルスによって表されており、パルス110a、110b、及び、110cを含んでいる。基準信号を表す方形波信号Er115は、信号の立ち上がりエッジで測定される信号パルスによって表されており、パルス115a、115b、及び、115cを含んでいる。Em110及びEr115は、クロック信号100及びクロック信号105に対して時間が計測される。
【0020】
分母の時間Dm120は、方形波Em110の第1の立ち上がりエッジまたはパルス110aから方形波Em110の第2の立ち上がりエッジまたはパルス110bまで測定される。分母の時間Dr125は、方形波Er115の第1の立ち上がりエッジまたはパルス115aから方形波Er115の第2の立ち上がりエッジまたはパルス115bまで測定される。
【0021】
分子Nm1130は、方形波Em110のパルス110bからパルス信号「クロック1」135まで測定される。分子Nm2140は、方形波Em110のパルス111bからパルス信号「クロック2」145まで測定される。パルス信号「クロック1」135及び「クロック2」145は、40MHzのクロック100の周期的クロック・パルスである。分子Nr1150は、方形波Er115のパルス115bからパルス信号「クロック1」135まで測定される。分子Nr2155は、方形波Er115のパルス115bからパルス信号「クロック2」145まで測定される。測定値を用いて、下記の計算を行い、それぞれの商(Qm1、Qr1、Qm2、及び、Qr2)及び位置(Posision1及びPosition2)値が求められる。
Qm1=Nm1/Dm
Qr1=Nr1/Dr
Qm2=Nm2/Dm
Qr2=Nr2/Dr
Position1=(Qm1−Qr1)
Position2=(Qm2−Qr2)
【0022】
測定方形波Em110または基準方形波Er115における非静的差分位相エラーは、測定可能な位置値Position1またはPosition2として現れることになる。
【0023】
<位相補償回路要素について>
次に図2を参照すると、本発明の実施形態の1つに従って測定チャネルに位相補償が加えられる、位相測定システムの高レベルのブロック図が例示されている。本発明のこの特定の実施態様の場合、位相測定システムには、光学レシーバが含まれており、位相エラーの測定、記録、及び、補償が行なわれる。この位相測定システムは、リアルタイムに移動または位置を測定して、無制限に続く入力及び出力(位相及び位置)に変換する。
【0024】
基準またはシステム・クロック200によって、位相検出器205によって受信される40MHzの基準時間期間が得られる。位相検出器205の出力は、線形演算増幅器(op amp)210に送られる。op amp210の出力は、電圧制御式発振器(VCO)215に送られる。事実上、位相検出器205、op amp210、及び、VCO215は、典型的な位相ロック・ループ(PLL)回路を構成している。この特定の実施態様では、位相検出器205、opamp210、及び、VCO215(または同様のPLL回路)を利用して、40MHz及び40.96GHzのクロックの位相がロックされる。
【0025】
VCO215(または同様のPLL回路)から、40.96GHzのクロック信号217が提供される。クロック信号217によって、正確な計算ができる程度の時間間隔でわずかずつ増加するような測定可能な時間量が得られる。クロック信号217は、ブロック220によって1024分割され、40MHzのシステムまたは基準クロック信号222が得られる。他の実施形態の場合、実際には、40.96GHzのクロック信号217を生成しないが、640MHzのクロック及びリング・オシレータを用いて、同等の機能を果たすことが可能である。クロック信号を生じる他の方法、及び、異なるクロック周波数対の他の組み合わせも可能である。
【0026】
光入力225は、位相測定システムによって受光される。光学レシーバ230は、光入力225を受光する。光学レシーバ230は、多少の測定エラーを生じることが予測される。光学測定システム設計の経験を積んだものには明らかなように、光学レシーバ230のような光学レシーバの動作態様の1つは、ある程度の位相エラーが不可避的に導入されることである。光学レシーバ230は、その入力に加えられる信号とその出力に生じる信号との間にある程度の移相を導入する。周知のように、光学レシーバ230によって導入される位相エラーは、おそらく、光学レシーバ230の動作周波数、周囲温度、及び、入力パワーといったいくつかの動作パラメータによって決まることになる。こうした動作パラメータは、光学レシーバ230の生産中に設定し、測定エラーに備えて記録することが可能であるが、真の正確な位置測定結果が得られるようにするには、測定エラーを求め、記録し、補償しなければならない。
【0027】
本発明の実施形態の1つによれば、光学レシーバ230には、実験によって確認された光学レシーバ230の動作パラメータと測定エラー、とりわけ、位相エラーとの関係を明らかにするデータを記憶する、不揮発性メモリ素子235を含むことが可能である。本発明によれば、不揮発性メモリ素子235には、光学レシーバ230に起因する位相エラーが動作周波数に応じて変動する様態を明らかにするデータが記憶されているものと仮定することができる。本発明の実施形態のいくつかにおいて、光学レシーバ230及びメモリ素子235は、互いに結合されており、1つのディバイス・ブロック237とみなされる。光学レシーバ230(またはディバイス・ブロック237)は、方形波Em110を出力する。
【0028】
基準レシーバ245は、光入力225を受光して、方形波Er115を出力する。基準レシーバ245は、補償回路要素または他の方法を用いて較正されており、従って、基準レシーバ245によって、理想の方形波Er115が得られる。方形波Er115には、位相エラーがないものと仮定される。
【0029】
ブロック255は、クロック信号217及び222と、方形波Emに基づいて分子Nmを導き出すプロセスを実施する。すなわち、分子Nm1130及びNm2140の時間値が導き出される。分子Nm1130及びNm2140の値は、40MHzの基準クロック信号222によって互いに区別される。
【0030】
ブロック260は、分母Dm120を導き出すためのプロセスを実施する。ブロック260は、クロック信号217及び222、及び、方形波Em110を受信して、分母Dm120を導き出す。
【0031】
ブロック265は、クロック信号217及び222、及び、方形波Erに基づいて分子Nrを導き出すためのプロセスを実施する。すなわち、分子Nr1150及びNr2155の値は、40MHzのクロック信号222によって互いに区別される。
【0032】
ブロック270は、分母Dr270を導き出すためのプロセスを実施する。ブロック270は、クロック信号217及び222、及び、方形波信号Er115を受信して、分母Dr270を導き出す。
【0033】
ブロック281は、商Qm、すなわち、商Qm1及びQm2に関するプロセスを実施する。ブロック281の出力は、ベクトル位相値283であり、ブロック291によって受信される。ブロック291は、時間に関する位相の導関数を求めるプロセスを実施する。ブロック291には、時間に関する位相の数学的1次導関数を用いて、周波数を求める周波数計算回路を含むことが可能である。
【0034】
ブロック291の周波数データ293は、ルックアップ・テーブル277のADDR入力297に結合されている。ルックアップ・テーブル277のDATA出力279は、加算回路275に対する入力として加えられる。
【0035】
プロセス・ブロック291では、プロセス・ブロック281の数学的1次導関数を用いて、光学レシーバ230の動作周波数を計算するが、当業者には明らかなように、他の技法を利用することも可能である。動作周波数情報は、光学レシーバ230に加えられるか、または、光学レシーバ230によって生じる同調制御信号を含む、光学測定システム内の他の情報源から導き出すことが可能である。いかなる情報源であろうと、周波数データ293は、ルックアップ・テーブル277のADDR入力297として相関させられる。
【0036】
周波数データ293の構文に従って、周波数データ293は、ルックアップ・テーブル277に適用される形式のアドレス情報として直接機能することが可能である。しかし、より一般的な命題として、周波数データ293は、ある形式の論理変換を必要とする可能性がある。もしそうなら、プロセス・ブロック291の出力とルックアップ・テーブル277のADDR入力297の間に、アドレス変換論理を結合することが可能である。あるいはまた、同等ではあるが、ルックアップ・テーブルそれ自体に、必要な周波数・アドレス変換論理をレシーバ動作周波数の関数として組み込むことも可能である。
【0037】
ルックアップ・テーブル277の既知の位相エラー・データは、ブロック255の出力におけるディジタル値と組み合わせられ(すなわち、加算または減算される)、補正値が、ブロック281の入力に加えられることになる。もちろん、本発明の実際の実施形態では、ブロック281の入力に加えられる値は、全てのエラーが補償されたという意味において、必ずしも、理想的にまたは完全に補正されていないかもしれない。位相エラーは、光学レシーバ230の少なくとも1つの動作パラメータによって決まる、光学レシーバ230に起因する位相エラーのかなりの部分が排除されたという意味において、補償されている。
【0038】
本発明の特定の実施形態の場合、ルックアップ・テーブル277は、メモリ素子235の一部として含まれるか、あるいは、メモリ素子235に直接結合される。
【0039】
光学測定システムにおいて、加算回路289は、ベクトル位相283及びベクトル位相287を受信する。位置値295は、適切に較正され、補償された光学レシーバ230が測定し、出力する所望の真の測定値に相当する。
【0040】
光学レシーバ230の位相エラーは、ルックアップ・テーブル277に記憶される。位相エラー・データは、周波数情報に従って選択的にアクセスされ、ルックアップ・テーブル277のDATA出力279から加算回路275に加えられる。
【0041】
ブロック255、260、265、270、281、285、及び、291のようなプロセス・ブロックは、専用集積回路(ASIC)、または、同様のハードウェア、ファームウェア、または、ソフトウェアに基づく関連装置によって実施可能である。さらに、それぞれのプロセス・ブロック及び回路は、互いに一体化することもできるし、あるいは、同様の論理プロセス・ブロックに同様の機能を実施させることもできるように企図されている。
【0042】
<光学レシーバについて>
次に図3を参照すると、多かれ少なかれ従来式の光学レシーバ設計のブロック図が例示されている。光学レシーバは、光学または光信号300を受信する。光学レシーバには、相互インピーダンス増幅器310に結合されたフォトダイオード305が含まれている。相互インピーダンス増幅器310には、相互インピーダンス増幅器310の出力から相互インピーダンス増幅器310の入力に結合されたフィードバック抵抗器R315が含まれている。光学レシーバには、相互インピーダンス増幅器310の出力の高域フィルタ320と、自動利得制御(AGC)ブロック325の出力の低域フィルタ330も含まれている。高域フィルタ320及び低域フィルタ330によって、光学レシーバの通過帯域が決まる。レシーバ出力段のコンパレータ350によって、光学レシーバ出力に方形波が生じる。米国特許第5,455,705明細書、「Transimpedance Amplifier for Optical Receiver」及び米国特許第5,382,920明細書、「Circuit Arrangement for Optical Receiver」には、光学レシーバ設計の他の例も見受けられる。光学レシーバ110に独自の設計は、それ自体が、本発明の態様とみなすべきではない。本発明は、さまざまな設計特性を示す光学レシーバに関連して利用することが可能である。
【0043】
<時間補償回路要素について>
次に図4を参照すると、光学レシーバの時間エラーが測定される位相測定システムの高レベルのブロック図が例示されている。本発明のこの実施態様の場合、図2に例示の位相エラーとは対照的に、時間エラーが測定される。商値が位相エラーに等しいとみなされるのに対して、分子値が時間エラーに等しいとみなされる。
【0044】
本発明のこの実施態様では、光学レシーバ230の分子値と基準レシーバ245の分子値との差に関して求められる。分子値の差は、光学レシーバ230と基準レシーバ245との時間差の値に等しい。
【0045】
すなわち、分子Nm(Nm1及びNm2)の値は、分子Nr(Nr1及びNr2)の値と比較される。加算回路400は、それぞれの分子値を受信して、差を求め、その結果を時間エラー・データ405としてルックアップ・テーブル277に出力する。時間エラー・データ405は、ADDRデータ297として記憶された特定の周波数値と相関させられる。前述のように、ADDRデータ297は、周波数値293をアドレス変換したものである。本発明のこの実施態様において、ルックアップ・テーブル277は、メモリ素子235に結合されるか、または、その一部をなすことが可能であり、この場合、メモリ素子235は、光学レシーバ230に結合される。
【0046】
従って、以上の詳細な説明から明らかなように、本発明は、いくつかの実施態様に関連して解説されたが、本明細書に示された特定の詳細な実施形態に制限することを意図したものではない。本発明は、特許請求の範囲の記載される発明の内容について、当業者によって様々な変形・変更が可能であり、更に、その均等物をも含むものである。
【0047】
例えば、本明細書において、本発明の説明は、基準信号と測定信号との位相及び時間離隔が最終的に空間測度に変換される、光学測定システムに関連して行われているが、本発明が、位相及び時間測定が関係する数多くの信号処理操作に適用可能であることは明らかである。本発明の本質は、単なる上流の位相及び時間エラーの補正または補償を実施する技法ということである。補償データは、測定システムの1つ以上の動作パラメータの関数としてディジタル方式で記憶され、局所的に測定回路要素に利用可能である。非補償測定結果がディジタル形式で提示されると、便宜上、ディジタル補正情報と非補償測定結果が組み合わせられる。測定がアナログ環境で実施される場合には、アナログ・エラー補償ステップの前に、ディジタル方式で記憶される補償データをD/A変換器に通すことが必要になるだけである。
【0048】
上述の実施形態に即して、本発明を説明すると、本発明は、測定信号(110)と基準信号(115)の位相差を計算する方法であって、前記測定信号(110)の第1のサイクルを測定して、第1の分母(120)を得るステップと、 前記基準信号(115)の第1のサイクルを測定して、第2の分母(125)を得るステップと、前記測定信号(110)の前記第1のサイクルの後、基準クロック信号(100)の後続パルス(135)までの時間を計算して、第1の分子(130)を得るステップと、前記基準信号(115)の前記第1のサイクルの後、基準クロック信号(100)の後続パルス(135)までの時間を計算して、第2の分子(150)を得るステップと、前記第1の分子(130)を前記第1の分母(120)で割って(281)、第1の商を得るステップと、前記第2の分子(150)を前記第2の分母(125)で割って(285)、第2の商を得るステップと、前記第1と第2の商の差を導き出して(289)、第1の位置値(295)を得るステップが含まれており、前記位置値が、第1の位相差(283)に変換されることを特徴とする方法を提供する。
【0049】
好ましくは、間に関して前記第1の商の導関数を計算し(291)、第1の周波数値(293)を得るステップが含まれる。
【0050】
好ましくは、前記第1の位相差(283)とルックアップ・テーブル(277)の前記第1の周波数値を相関させるステップが含まれる。
【0051】
好ましくは、前記測定信号(110)の前記第1のサイクルの後、基準クロック信号(100)の前記後続パルスに後続するパルスまでの時間を計算して、第3の分子(140)を得るステップと、前記基準信号(115)の前記第1のサイクルの後、基準クロック信号(100)の前記後続パルスに後続する前記パルスまでの時間を計算して、第4の分子(155)を得るステップと、前記第3の分子(140)を前記第1の分母(120)で割って(281)、第3の商を得るステップと、前記第4の分子(155)を前記第2の分母(125)で割って(285)、第4の商を得るステップと、前記第3と第4の商の差を導き出して(289)、第2の位置値(295)を得るステップが含まれており、前記位置値(295)が、第2の位相差(283)に変換される。
【0052】
好ましくは、さらに、時間に関して前記第3の商の導関数を計算し(291)、第2の周波数値(293)を得るステップが含まれる。
【0053】
好ましくは、前記第2の位相差(283)とルックアップ・テーブル(277)の前記第2の周波数値を相関させるステップが含まれる。
【0054】
更に、本発明は、光学測定システムであって、クロック・サイクルを有する測定信号(110)を出力する光学レシーバ(230)と、クロック・サイクルを有する基準信号(115)を出力する基準レシーバ(245)と、システム・クロック信号(222)と、測定クロック信号(217)が含まれており、前記測定信号(110)の前記クロック・サイクルと前記基準信号(115)のクロック・サイクルが、前記測定クロック信号(217)と対照して計算されることと、前記測定信号(110)の前記第2のサイクルの開始から前記システム・クロック信号(222)の次の後続パルスまでの時間を計り、前記測定信号(110)の前記クロック・サイクルで割ることによって、第1のベクトル位相値(283)が得られることと、前記基準信号(115)の前記第2のサイクルの開始から前記システム・クロック信号(222)の次の後続パルスまでの時間を計り、前記基準信号(115)の前記クロック・サイクルで割ることによって、第2のベクトル位相値(283)が得られることと、前記第1と第2のベクトル位相値の差(289)を計算することによって、第1の位置値(295)が得られることを特徴とする光学測定システムを提供する。
【0055】
好ましくは、さらに、周波数変換器(291)が含まれることと、前記周波数変換器(291)によって、前記第1のベクトル位相(283)が、第1の周波数値(293)に変換される。
【0056】
好ましくは、さらに、前記第1の位置値(295)と前記第1の周波数値(293)を相関させるルックアップ・テーブル(277)が含まれている。
【0057】
好ましくは、さらに、ルックアップ・テーブル(277)が納められている光学レシーバのメモリ(235)が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定信号と基準信号との位相差が補間技法を用いて計算される方法を表したグラフである。
【図2】測定チャネルに位相補償が加えられる位相測定システムの高レベルのブロック図である。
【図3】測定モジュールも含んでいる光学測定システムのコンポーネントとして利用可能な光学レシーバのブロック図である。
【図4】光学レシーバの時間エラーが測定される位相測定システムの高レベルのブロック図である。
【符号の説明】
230 光学レシーバ
235 メモリ
245 基準レシーバ
277 ルックアップ・テーブル
291 周波数変換器
Claims (10)
- レーザ干渉計システムにおける測定信号と基準信号との位相差を計算する方法で、クロック信号を時間の測定に利用する方法であって、
前記測定信号における所定の一対の方形波間隔である第1のサイクルの長さを測定して、第1の分母値を得るステップと、
前記基準信号における前記所定の一対の方形波間隔に対応する第1のサイクルの長さを測定して、第2の分母値を得るステップと、
前記測定信号の前記第1のサイクル終了時から所定の基準クロック信号となる後続パルスまでの時間を測定して、第1の分子値を得るステップと、
前記基準信号の前記第1のサイクル終了時から前記所定の基準クロック信号となる前記後続パルスまでの時間を測定して、第2の分子値を得るステップと、
前記第1の分子値を前記第1の分母値で割って、第1の商を得るステップと、
前記第2の分子値を前記第2の分母値で割って、第2の商を得るステップと、
前記第1と第2の商の差を導き出して、第1の位相差に相当する第1の位置値を決定するステップを有することを特徴とする方法。 - さらに、時間に関して前記第1の商の導関数を求め、該第1の商の導関数から第1の周波数値を得るステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の測定信号と基準信号の位相差を計算する方法。
- さらに、前記第1の位相差を、ルックアップ・テーブルを介して前記第1の周波数値と相関させるステップを含むことを特徴とする、請求項2に記載の測定信号と基準信号の位相差を計算する方法。
- さらに、前記測定信号の前記第1のサイクル終了時から前記所定の基準クロック信号となる前記後続パルスにさらに後続する基準クロック信号となるパルスまでの時間を測定して、第3の分子値を得るステップと、
前記基準信号の前記第1のサイクル終了時から前記後続パルスにさらに後続する前記基準クロック信号となるパルスまでの時間を測定して、第4の分子値を得るステップと、
前記第3の分子値を前記第1の分母値で割って、第3の商を得るステップと、
前記第4の分子値を前記第2の分母値で割って、第4の商を得るステップと、
前記第3と第4の商の差を導き出して、第2の位相差に相当する第2の位置値を決定するステップとを有することを特徴とする、請求項1に記載の測定信号と基準信号の位相差を計算する方法。 - さらに、時間に関して前記第3の商の導関数を求め、該第3の商の導関数から第2の周波数値を得るステップを含むことを特徴とする、請求項4に記載の測定信号と基準信号の位相差を計算する方法。
- さらに、前記第2の位相差を、ルックアップ・テーブルを介して前記第2の周波数値と相関させるステップを含むことを特徴とする、請求項5に記載の測定信号と基準信号の位相差を計算する方法。
- レーザ干渉計システムで測定信号と基準信号との位相差を計算する光学測定システムであって、
クロック・サイクルを有する測定信号を出力する光学レシーバと、
クロック・サイクルを有する基準信号を出力する基準レシーバと、
システム・クロック信号及び測定クロック信号を発生する手段と、
前記測定信号の前記クロック・サイクル及び前記基準信号のクロック・サイクルの長さを、前記測定クロック信号と対照して測定する手段と、
前記測定信号の前記第2のサイクルの開始時から前記システム・クロック信号の次の後続パルスまでの時間を測定し、前記測定信号の前記クロック・サイクルで割ることによって、第1のベクトル位相値を得る手段と、
前記基準信号の前記第2のサイクルの開始時から前記システム・クロック信号の次の後続パルスまでの時間を測定し、前記基準信号の前記クロック・サイクルで割ることによって、第2のベクトル位相値を得る手段と、
前記第1と第2のベクトル位相値の差を計算し第1の位置値を得る手段とを有することを特徴とする光学測定システム。 - さらに、周波数変換器を含み、該周波数変換器によって前記第1のベクトル位相値を第1の周波数値に変換することを特徴とする、請求項7に記載の光学測定システム。
- さらに、前記第1の位置値が、前記第1の周波数値に対して相関されるようにするルックアップ・テーブルを含むことを特徴とする、請求項8に記載の光学測定システム。
- さらに、前記ルックアップ・テーブルが納められている光学レシーバのメモリを含むことを特徴とする、請求項9に記載の光学測定システム。
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