JP3702865B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内へ吹き出す空気と熱交換する暖房用熱交換器における空気流れを均一化するガイド構成を備えた車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両用空調装置の空調ユニット部の小型化に伴って、暖房用熱交換器周辺の空気通路のスペースが狭くなって、無理な空気通路形状を強いられる結果となっている。
【0003】
図6は従来の空調ユニット10の代表例を示すものであり、冷房用熱交換器12及び暖房用熱交換器13を空調ケース11内に一体に内蔵している。空調ユニット10は、車両計器盤内側の狭い空間内に搭載されるので、車両前後方向(図6の左右方向)の体格を小型化することへの要求が非常に強い。その結果、冷房用熱交換器12と暖房用熱交換器13との間の車両前後方向の間隔が狭められて、エアミックスドア16の長さLが制約される。
【0004】
フェイス開口部27を開口するフェイスモード時の通風抵抗を低減するため、冷風バイパス通路15を暖房用熱交換器13の上方側に配置している。これに伴って、エアミックスドア16の回転軸16aも暖房用熱交換器13の上部付近に配置している。
【0005】
この結果、暖房用熱交換器13の空気流れ上流側に、暖房用熱交換器13の下部から上方へ向かって立ち上がるシール壁面18を配置して、最大冷房時には、エアミックスドア16の先端部を図6の2点鎖線に示すようにシール壁面18の上端部に当接して、暖房用熱交換器13の入口通風路17を全閉するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の空調ユニット10によると、エアミックスドア16が図6の実線位置に操作されて暖房用熱交換器13の空気通路を全開する最大暖房時に、シール壁面18が空気流れの障害になって暖房用熱交換器13のコア部13aの下部へ空気が流入しにくくなる。その結果、暖房用熱交換器13の前面風速分布に大きな偏りが発生する。すなわち、暖房用熱交換器13の上部の風速分布>下部の風速分布という関係が生じる。このことが原因となって、暖房用熱交換器13の熱交換効率を低下させ、ひいては最大暖房能力を低下させるので、必要能力を確保できない場合が生じる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、暖房用熱交換器の空気流れ上流側に、暖房用熱交換器の下部から上方へ向かって立ち上がるシール壁面を配置する構成であっても、暖房用熱交換器の前面風速分布を均一化できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、暖房用熱交換器(13)の入口通風路(17)と冷風バイパス通路(15)を開閉するエアミックスドア(16)を備える車両用空調装置において、
暖房用熱交換器(13)を空調ケース(11)内において略上下方向に設け、
冷風バイパス通路(15)は、空調ケース(11)内において暖房用熱交換器(13)の上方側に設け、
エアミックスドア(16)は、暖房用熱交換器(13)の上部付近に配置された回転軸(16a)を中心にして回転可能になっており、
暖房用熱交換器(13)の空気流れ上流側部位に、暖房用熱交換器(13)の下部付近から上方へ向かって立ち上がるシール壁面(18)を設け、
エアミックスドア(16)により入口通風路(17)を全閉し、冷風バイパス通路(15)を全開する最大冷房時には、エアミックスドア(16)の先端部がシール壁面(18)の上端部に当接するようになっており、
更に、入口通風路(17)の空気流れを暖房用熱交換器(13)の上部から下部側へガイドする空気ガイド板(19)を、入口通風路(17)に配置することを特徴とする。
【0009】
これによると、暖房用熱交換器(13)の空気流れ上流側に、暖房用熱交換器(13)の下部から上方へ向かって立ち上がるシール壁面(18)を配置する構成であっても、空気ガイド板(19)により入口通風路(17)の空気流れを暖房用熱交換器(13)の上部から下部側へガイドすることができる。その結果、暖房用熱交換器(13)の前面風速分布を均一化することができ、暖房用熱交換器(13)の最大暖房能力を向上できる。
【0010】
更に、請求項1に記載の発明では、空調ケース(11)を樹脂製として、空気ガイド板(19)を空調ケース(11)に一体成形しているから、空気ガイド板(19)を簡単に低コストで形成できる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、空気ガイド板(19)を暖房用熱交換器(13)の幅方向の左右両端部から、暖房用熱交換器(13)の幅方向の内側方向へ所定量(W1)突出するように配置し、左右両側の空気ガイド板(19)の先端部相互間に、空気が通過する空隙(19a)を設定することを特徴とする。
【0012】
これにより、左右両側の空気ガイド板(19)の先端部相互間に設定した空隙(19a)を空気が通過するので、空気ガイド板(19)の配置に伴う圧損の増加を僅少量に抑えることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項2において、空隙(19a)は、空気ガイド板(19)の突出量(W1)より大きい寸法(W2)を有していることを特徴とする。
【0014】
これにより、空気ガイド板(19)の配置に伴う圧損の増加をより一層僅少量に抑えることができる。しかも、空気ガイド板(19)の突出量(W1)<空隙(19a)の寸法(W2)という寸法関係の設定により、空気ガイド板(19)の成形時の倒れ込みを防止して空気ガイド板(19)の倒れ込みによる不具合を回避できる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、空気ガイド板(19)を入口通風路(17)において暖房用熱交換器(13)の上部側領域に配置し、空気ガイド板(19)の上端部とエアミックスドア(16)の回転軸(16a)との間に空気が通過する空隙(19b)を設定し、空気ガイド板(19)の下端部を暖房用熱交換器(13)の上下方向の中央部付近に配置したことを特徴とする。
【0016】
これにより、空気ガイド板(19)の上側に位置する空隙(19b)を通して暖房用熱交換器(13)の上部側領域の左右両側部にも適度の量の空気を流入させることができるとともに、空気ガイド板(19)のガイド作用により空気を暖房用熱交換器(13)の中央部付近よりも下側へ積極的に導くことができる。
【0017】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。本実施形態による車両用空調装置の室内ユニット部は、大別して、図1の空調ユニット10と、この空調ユニット10に空気を送風する送風機ユニット(図示せず)との2つの部分に分かれている。
【0019】
空調ユニット10は車室内前部の計器盤(図示せず)内側のうち、車両幅(左右)方向の略中央部に配置される。空調ユニット10部は、車室内の計器盤内側の略中央部にて、車両の前後方向および上下方向に対して、図1の矢印で示す搭載方向で配置される。
【0020】
これに対し、図示しない送風機ユニットは車室内前部の計器盤内側のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されている。送風機ユニットは周知のごとく外気(車室外空気)と内気(車室内空気)を切替導入する内外気切替箱、およびこの内外気切替箱を通して空気を吸入し送風する遠心式の送風機を備えている。
【0021】
空調ユニット10は樹脂製の空調ケース11を有し、この空調ケース11の内部には車室内へ向かって空気が流れる空気通路が構成される。なお、空調ケース11は、具体的には車両幅方向の中央部の分割面にて左右に分割された左側分割ケースと右側分割ケースとを一体に締結することにより構成されている。
【0022】
この空調ケース11内に冷房用熱交換器をなす蒸発器12と暖房用熱交換器をなすヒータコア13を両方とも一体に内蔵している。空調ケース11の、最も車両前方側の部位には空気入口空間14が形成されている。この空気入口空間14には、上記送風機ユニットの遠心式送風機のスクロールケーシング出口から送風空気が流入する。
【0023】
空調ケース11内において空気入口空間14直後の部位に蒸発器12が上下方向(略垂直)に配置されている。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して、空調空気を冷却するものである。そして、蒸発器12の空気流れ下流側、すなわち、車両後方側に、所定の間隔を開けてヒータコア13が配置されている。従って、空調ケース11内の空気入口空間14に流入した空気が蒸発器12、ヒータコア13の順に通過して車両前方側から車両後方側へと流れる。
【0024】
ヒータコア13は空調ケース11内にて略上下方向に配置されている。ここで、ヒータコア13を略上下方向に配置するとは、下記熱交換用コア部13aの面が略上下方向に沿って延びるように配置されることである。なお、本実施形態では、ヒータコア13の上端部が下端部よりも車両後方側に位置するように微小角度だけ傾斜して略上下方向に配置されている。
【0025】
ヒータコア13は蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に図示しない車両エンジンから高温の温水(エンジン冷却水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱するものである。ヒータコア13は、偏平チューブとコルゲートフィンとにより構成される熱交換用コア部13aの上下両側にタンク部13b、13cを配置した公知の構成である。
【0026】
ヒータコア13の上方側の部位に冷風バイパス通路15が形成されている。この冷風バイパス通路15は、蒸発器12通過後の冷風がヒータコア13をバイパスして流れる通路をなすものである。そして、蒸発器12とヒータコア13との間で冷風バイパス通路15の下方側部位に、平板状の板ドアからなるエアミックスドア16が回転軸16aを中心にして回転可能に配置されている。
【0027】
ここで、エアミックスドア16の回転軸16aはヒータコア13の上部付近に配置されている。図1の例では、回転軸16aはヒータコア13の上部タンク13cの車両前方側部位に車両幅方向(図1の紙面垂直方向)に延びるように配置されている。
【0028】
エアミックスドア16の回転軸16aは空調ケース11の左右両側の壁面の軸受穴(図示せず)により回転可能に支持される。そして、回転軸16aの一端部は空調ケース11の外部に突出して、図示しないリンク機構を介在して温度調整操作機構に連結され、この温度調整操作機構によりエアミックスドア16は回転操作される。この温度調整操作機構はサーボモータを用いた電気駆動機構から構成され、サーボモータの回転動力にてエアミックスドア16を回転させる。但し、温度調整操作機構として乗員の手動操作力にてエアミックスドア16を直接回転させるマニュアル方式のものを用いてもよい。
【0029】
エアミックスドア16は冷風バイパス通路15とヒータコア13の入口通風路17の開度を調整することにより、入口通風路17を通過してヒータコア13の熱交換用コア部13aで加熱される温風(矢印a)と、冷風バイパス通路15を通過する冷風(矢印b)との風量割合を調整する。
【0030】
なお、図1において、エアミックスドア16の下側の2点鎖線位置は入口通風路17を全閉して冷風バイパス通路15を全開する最大冷房位置(ドア開度=0%)であり、また、上側の実線位置は入口通風路17を全開して冷風バイパス通路15を全閉する最大暖房位置(ドア開度=100%)である。そして、下側の2点鎖線位置と上側の実線位置との間の中間開度位置(破線位置)にエアミックスドア16を回転操作すれば、温風と冷風とを混合して吹出空気温度を所望の中間温度に調整することができる。
【0031】
ヒータコア13の空気流れ上流側(車両前方)部位に、ヒータコア13の下部付近から上方へ向かって立ち上がるシール壁面18を設けている。このシール壁面18はヒータコア13の入口通風路17の開口範囲の下端部を規定するものであって、上記最大冷房位置では、エアミックスドア16の先端部がシール壁面1)の上端部に当接することにより入口通風路17を全閉するようになっている。
【0032】
シール壁面18は樹脂製の空調ケース11に一体成形されるものであって、車両幅方向(図1の紙面垂直方向)には空調ケース11の内部空間の全域にわたって成形される。
【0033】
ヒータコア13の入口通風路17において、ヒータコア13の上部側領域に空気ガイド板19が配置されている。この空気ガイド板19は、入口通風路17の空気流れをヒータコア13の上部から下部側へガイドするものであり、樹脂製の空調ケース11に一体成形される。
【0034】
図2は図1のA矢視図であり、空気ガイド板19の配置形態を具体的に例示するものであり、ヒータコア13の空気流れ上流側の上部側領域において、ヒータコア13の幅方向の左右両端部から、ヒータコア13の幅方向の内側方向へ所定量W1だけ突出するように空気ガイド板19が配置される。この所定の突出量W1は、ヒータコア13の幅方向寸法W0より十分小さい寸法であるので、この左右両側の空気ガイド板(19)の先端部相互間に、突出量W1より十分大きい幅寸法W2を有する空隙19aを設定することができる。
【0035】
ここで、突出量W1は例えば、50mmであり、ヒータコア13の幅方向寸法W0は例えば、240〜260mm程度であるので、空隙19aの幅寸法W2は例えば、190〜210mm程度となり、突出量W1より十分大きい寸法である。
【0036】
また、空気ガイド板19の上端部とエアミックスドア16の回転軸16aとの間にも、図1に示すように所定間隔の空隙19bを設定して、この空隙19bにも空気が通過するようにしてある。この空隙19bの間隔H1(後述の図5(b)参照)は例えば、20〜30mm程度である。空気ガイド板19の高さ寸法H2は、上記突出量W1と同程度、例えば、50mmである。なお、図2に示す空気ガイド板19の形状は正方形の例を示している。
【0037】
また、エアミックスドア16の最大冷房位置(図1の2点鎖線位置)においても、空気ガイド板19の上端部とエアミックスドア16との間に微小隙間が生じるように、空気ガイド板19の上端部位置が設定されている。
【0038】
空気ガイド板19の下端部は、ヒータコア13の上下方向の中央部付近に近接配置している。この空気ガイド板19の下端部位置と、ヒータコア13の熱交換用コア部13aの上端部との距離H3は60〜80mm程度である。なお、上記各寸法H2、H3は、後述の図5(b)にも図示してある。
【0039】
一方、ヒータコア13の車両後方側部位からヒータコア13の上方部にわたって湾曲状の形状からなる温風通路20が形成されている。温風通路20はヒータコア13の熱交換用コア部13aを通過した温風が流れる通路であって、その出口部は、ヒータコア13およびエアミックスドア16の上方側にて冷風バイパス通路15の下流側と合流し、冷風と温風の混合を行う空気混合部21を形成している。
【0040】
次に、空調ケース11の上面部において車両前後方向の中間部位に、空気混合部21から温度調整された空調空気が流入するデフロスタ開口部22が開口している。このデフロスタ開口部22は図示しないデフロスタダクトを介して計器盤上面のデフロスタ吹出口に接続され、このデフロスタ吹出口から車両前面窓ガラスの内面に向けて空調風(主に温風)が吹き出される。
【0041】
デフロスタ開口部22は平板状のデフロスタドア23により開閉される。このデフロスタドア23は回転軸23aを中心として回転可能になっており、デフロスタ開口部22と連通口24を切替開閉する。この連通口24は空気混合部21からの空調空気をフェイス開口部25とフット開口部26側へ流すための通路となる。
【0042】
フェイス開口部25は空調ケース11の上面部において、デフロスタ開口部22よりも車両後方側(乗員寄り)の部位に設けられている。このフェイス開口部25は図示しないフェイスダクトを介して、計器盤上方側に配置されるフェイス吹出口(図示せず)に接続され、このフェイス吹出口から車室内の乗員上半身側に向けて空調風(主に冷風)が吹き出される。
【0043】
上記したフェイス開口部25とフット開口部26は、フットフェイス切替用ドア27により切替開閉される。このドア27は回転軸27aを中心として回転可能な平板状ドアから構成される。
【0044】
次に、フット開口部26は空調ケース11において、フェイス開口部25の下方側に設けられている。このフット開口部26は、空調ケース11の左右両側の壁面に開口するフット吹出通路28に連通し、この左右両側のフット吹出通路28には下方に向かって形成されるフット吹出ダクト(図示せず)が接続され、このフット吹出ダクトの下端部に開口するフット吹出口(図示せず)から乗員の足元部に空調風(主に温風)を吹き出すようになっている。
【0045】
なお、デフロスタドア23とフットフェイス切替用ドア27は吹出モードを切り替える吹出モードドアを構成するものであって、図示しない吹出モード操作機構により連動操作される。
【0046】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。図示しない送風機ユニットの送風機が運転されると、送風機ユニットからの送風空気がケース11の最前部の空気入口空間14に流入した後、蒸発器12を通過する。ここで、図示しない空調用冷凍サイクルが運転されておれば、送風空気は蒸発器12にて冷却、除湿され冷風となる。
【0047】
そして、エアミックスドア16が図1の破線にて示す中間開度位置に操作されていると、蒸発器12通過後の冷風の一部が矢印aのように入口通風路17に流入し、ここから冷風がヒータコア13の熱交換用コア部13aを通過して加熱され温風となる。この温風は湾曲状の温風通路20を通過して空気混合部21に至る。これと同時に、蒸発器12通過後の冷風の残余が矢印bのように冷風バイパス通路15を通過して冷風のまま空気混合部21に至る。
【0048】
この空気混合部21において温風と冷風が混合して所望温度の空気となり、この所望温度の空気がデフロスタドア23とフットフェイス切替用ドア27とにより選択された所定の吹出開口部22、25、26を通過して車室内の所定部位に吹き出す。
【0049】
ところで、ヒータコア13の空気流れ上流側、すなわち、蒸発器12とヒータコア13との中間位置に、ヒータコア13の入口通風路17の開口範囲の下端部を規定するシール壁面18が設けれている。このシール壁面18はヒータコア13の下部付近から上方へ向かって立ち上がる形状になっている。
【0050】
従って、最大暖房時、すなわち、エアミックスドア16が図1の実線位置に操作されて入口通風路17を全開する状態において、シール壁面18の存在により、ヒータコア13の熱交換用コア部13aの下部領域への空気流れが阻害されるので、ヒータコア13の上部の風速分布>下部の風速分布という関係が生じる。このことが原因となって、ヒータコア13の熱交換効率を低下させ、ひいては最大暖房能力を低下させる。
【0051】
そこで、本実施形態においては、ヒータコア13の入口通風路17に空気ガイド板19を配置して、入口通風路18の空気流れをヒータコア13の上部から下部側へガイドさせるようにしている。
【0052】
図3(a)は本実施形態における最大暖房時の空気流れを示しており、蒸発器通過後の空気Bの主流は、シール壁面18の存在によりヒータコア13の熱交換用コア部13aの上部領域に向かおうとするが、この上部領域において左右両端部付近の空気は左右両側の空気ガイド板19によって矢印B2のように強制的にヒータコア13の下部側へガイドされる。
【0053】
ここで、左右両側の空気ガイド板19の上側の空気は矢印B1のように空隙19bを通過してヒータコア13の熱交換用コア部13aの上部側に流れ、また、左右両側の空気ガイド板19の先端部相互間の空気は空隙19aを通過してヒータコア13の熱交換用コア部13aの上部側に流れる。
【0054】
上記した空気ガイド板19による下部側への空気ガイド作用により、シール壁面18が存在してもヒータコア13の前面風速分布を均一化できる。その結果、ヒータコア13の熱交換用コア部13aの下部領域の熱交換効率を上部領域と同等レベルまで向上できるので、ヒータコア13の最大暖房能力を向上できる。
【0055】
なお、図3(b)は従来装置の最大暖房時の空気流れを示すもので、シール壁面18の存在によりヒータコア13の熱交換用コア部13aの下部領域への空気流れB2が制限されていることを示す。
【0056】
図4は本発明者による実験結果を示すもので、ヒータコア13の単体での暖房能力に対する比率を表している。すなわち、ヒータコア13を空調ユニット10の空調ケース11内に組み込まずに、ヒータコア13単体の状態でヒータコア13に送風した際の暖房能力を100%とし、そして、従来装置(空気ガイド板19を持たない)、および本実施形態(空気ガイド板19を持つ)はそれぞれヒータコア13を空調ユニット10内に組み込んだ状態にて暖房能力を測定し、それぞれの暖房能力をヒータコア13単体での暖房能力に対する比率で表している。
【0057】
空気ガイド板19を持たない従来装置では、ヒータコア前面風速の不均一により暖房能力が単体性能の90.3%付近まで低下してしまうが、本実施形態によると、空気ガイド板19による前面風速分布の均一化効果によって、暖房能力を単体性能の92.5%付近まで高めることができ、従来装置よりも暖房能力を2%強向上できる。
【0058】
なお、図4の実験に供した空気ガイド板19の突出量W1の寸法は50mmであり、その他の各寸法H1、H2、H3は図5(a)のNO.4の数値のものを用いている。図5(b)は、各寸法H1、H2、H3の部位を図示している。
【0059】
なお、図5(a)のNO.1〜3およびNO.5の検討品においても、空気ガイド板19の突出量W1はNO.4と同様に50mmである。図5(a)のNO.1〜3およびNO.5の検討品においても、従来装置よりも暖房能力を1%強〜2%強向上できる。
【0060】
ところで、空気ガイド板19の突出量W1をヒータコア13の全幅寸法W0より十分小さくしているが、これは、圧損の増加を抑制すると同時に、空気ガイド板19の成形時の倒れ込みによる不具合を回避するためである。
【0061】
すなわち、空気ガイド板19は空調ケース11の左右の樹脂製分割ケースに一体成形するのであるが、もし、空気ガイド板19をヒータコア13の全幅寸法W0の全域に形成すると、空気ガイド板19は高さH2=50mm程度の比較的小さい寸法でもって全幅寸法W0の1/2の範囲にわたって細長く突出することになる。
【0062】
その結果、左右の空気ガイド板19が剛性の低い形状となるので、左右の樹脂製分割ケースの成形時に成形歪みにより空気ガイド板19の倒れ込みが発生し易くなる。この倒れ込みが発生すると、左右の樹脂製分割ケースの締結時に、左右の空気ガイド板19の先端部相互の位置ずれが生じて、先端部相互を一体に組み付けることが困難となる。
【0063】
これに対し、本実施形態では、空気ガイド板19の突出量W1を空隙19aの幅寸法W2より小さくして、突出量W1をヒータコア13の全幅寸法Wより十分小さくしているので、空気ガイド板19の成形時の倒れ込みによる不具合を回避できる。しかも、左右の空気ガイド板19の先端部相互間の空隙19aに空気が流れるので、空気ガイド板19の追加による圧損増加も僅少量に抑えることができる。
【0064】
(他の実施形態)
なお、上記の一実施形態では、車室内前部の車両計器盤の内側に配置される前席側の空調ユニット10について説明したが、車室内後席側に配置される後席側の空調ユニットにおいても、本発明は同様に実施できる。
【0065】
なお、上記の一実施形態では、空気ガイド板19をヒータコア13の入口通風路17に1枚のみ配置しているが、空気ガイド板19をヒータコア13の入口通風路17に複数枚配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による車両用空調装置の空調ユニット部の断面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】(a)は本発明の一実施形態による最大暖房時でのヒータコア空気流れを示す要部断面図、(b)は従来技術による最大暖房時でのヒータコア空気流れを示す要部断面図である。
【図4】ヒータコアの暖房能力比率を示すグラフである。
【図5】(a)は本発明による空気ガイド板の各種寸法の具体例を示す図表、(b)は空気ガイド板の各種寸法の部位を示す要部断面図である。
【図6】従来技術による車両用空調装置の空調ユニット部の断面図である。
【符号の説明】
11…空調ケース、12…蒸発器(冷房用熱交換器)、
13…ヒータコア(暖房用熱交換器)、15…冷風バイパス通路、
16…エアミックスドア、17…ヒータコア入口通風路、
18…シール壁面、19…空気ガイド板。
Claims (4)
- 車室内へ向かって流れる空気の通路を構成する空調ケース(11)と、
前記空調ケース(11)内に設けられ、前記空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
前記空調ケース(11)内に設けられ、前記暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる冷風バイパス通路(15)と、
前記空調ケース(11)内に設けられ、前記暖房用熱交換器(13)の入口通風路(17)と前記冷風バイパス通路(15)を開閉するエアミックスドア(16)とを備える車両用空調装置において、
前記暖房用熱交換器(13)は前記空調ケース(11)内において略上下方向に設けられ、前記冷風バイパス通路(15)は、前記空調ケース(11)内において前記暖房用熱交換器(13)の上方側に設けられ、
前記エアミックスドア(16)は、前記暖房用熱交換器(13)の上部付近に配置された回転軸(16a)を中心にして回転可能になっており、
前記暖房用熱交換器(13)の空気流れ上流側部位に、前記暖房用熱交換器(13)の下部付近から上方へ向かって立ち上がるシール壁面(18)を設け、
前記エアミックスドア(16)により前記入口通風路(17)を全閉し、前記冷風バイパス通路(15)を全開する最大冷房時には、前記エアミックスドア(16)の先端部が前記シール壁面(18)の上端部に当接するようになっており、
更に、前記入口通風路(17)の空気流れを前記暖房用熱交換器(13)の上部から下部側へガイドする空気ガイド板(19)を、前記入口通風路(17)に配置し、
前記空調ケース(11)は樹脂製とし、前記空気ガイド板(19)は前記空調ケース(11)に一体成形されていることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記空気ガイド板(19)は前記暖房用熱交換器(13)の幅方向の左右両端部から、前記暖房用熱交換器(13)の幅方向の内側方向へ所定量(W1)突出するように配置され、
前記左右両側の空気ガイド板(19)の先端部相互間に、空気が通過する空隙(19a)を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記空隙(19a)は、前記空気ガイド板(19)の突出量(W1)より大きい寸法(W2)を有していることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
- 前記空気ガイド板(19)は前記入口通風路(17)において前記暖房用熱交換器(13)の上部側領域に配置され、
前記空気ガイド板(19)の上端部と前記エアミックスドア(16)の前記回転軸(16a)との間に空気が通過する空隙(19b)を設定し、前記空気ガイド板(19)の下端部を前記暖房用熱交換器(13)の上下方向の中央部付近に配置したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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