JP3701657B2 - 熱成形用ポリエステルシート及びそれからなる透明耐熱容器 - Google Patents

熱成形用ポリエステルシート及びそれからなる透明耐熱容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特殊な前処理をすること無しに、優れた透明性と耐熱性を有する容器を得ることの出来る熱成形性に優れたポリエステルシートとそれを熱成形して得られる、電子レンジやボイル殺菌、ホットフィルが可能な透明耐熱容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
透明性に極めて優れる非晶状態のポリエステルシート(一般的にはA−PETと呼ばれる)は包装された内容物が見えるために包装材料として急速に使用が広まってきている。特に、食品安全性に優れ燃焼時の有害ガス発生が無いことから、従来用いられていた塩化ビニールの代替素材として、食品包装容器やブリスターパック等の用途に広く使用されている。
【0003】
しかしながら、A−PETは耐熱温度が約65℃と低いため、耐熱性の要求される分野には使用することが出来なかった。例えば、弁当のフタに用いた場合、電子レンジで加熱を行うと容器が変形してしまうことから用いることが出来なかった。
【0004】
そこで、ポリエステル容器の耐熱性を向上させる多くの試みが行われてきた。例えば、高ガラス転移温度を有するポリアリレート樹脂を積層する方法(特開平1−200959号公報)は耐熱性もシートの物性も良好であるが、原料にビスフェノールAを使用しているために環境ホルモンの溶出が懸念される。
【0005】
二軸延伸フィルムとPETボトルの耐熱性付与の方法を利用した熱成形方法も数多く提案されてきた。一例を挙げると、ポリエステルシートを熱成形が可能な程度に予め延伸配向させた後に、熱成形を行って更に延伸させ、ヒートセットによって結晶化度を高めて、透明なまま耐熱性を向上させる方法である(特開2000−351154号公報)。技術的には可能であるが、透明な耐熱容器を得るためには、熱成形時の絞り比により、予め延伸させておく倍率が都度異なるため、実質的な利用はされていないのが現実である。
【0006】
又、特開昭59−5019号公報に記載されているように、無配向のポリエステルシートを熱成形時に高温の金型を用いて結晶化を高め、耐熱容器を得る方法が提案され、耐熱が必要な用途で一部利用されている。しかしながら、この技術では、極めて優れた耐熱性を付与することは可能であるが、透明性が完全に失われてしまう欠点がある。
【0007】
そこで、特開平4−7119号公報に記載されているように、特殊な共重合ポリブチレンテレフタレートを用いた上に、特殊な前処理をして透明性を改善することが試みられた。しかしながら、この方法は特殊共重合ポリマーを使用するためにコストが高い上、熱成形容器の透明性も未だ不充分なものであった。
【0008】
更に、様々な検討が行われ、特開平4−063836号公報に記載されているように、特殊なポリブチレンテレフタレートを用いる代わりに、ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと記載)にポリエチレンテレフタレート(以下PETと記載)を配合することによって、熱成形性を改善することが見出された。PBT単独の組成の場合、透明性や耐熱性には優れるが、結晶化速度が速過ぎるために、熱成形加工をすることが極めて困難であるが、PETを配合することにより、結晶化速度をやや低下させることが可能であるため、熱成形加工が可能となった。しかしながら、この方法では充分な熱成形性を付与出来る迄PETを配合すると、熱成形後の容器の透明性が低下する問題があり、熱成形性と熱成形容器の透明性を両立することが出来なかった。そこで、熱成形等の加工適正には制約があるが、容器のヘイズが大幅に悪化しない範囲の組成のものが提案された。
【0009】
特開平4−363229号公報に記載されているように、加工適正に優れた範囲の組成での熱成形後の容器の透明性を改善するために、熱成形の前に特殊な前処理を行い透明性を改善する方法が考え出されたが、長時間のアニールは生産効率を大きく阻害するだけでなく改善効果も低く、技術的な解決には至らなかった。
【0010】
熱成形性と透明性の両立を実現するために、更に様々な改善が試みられ、特開平5−31799号公報に記載されているように、熱成形時にプラグを用いて延伸をすることにより、透明性を改善する方法も試みられた。しかしながら、熱成形時に一定倍率の延伸を均一に行うには特殊な熱成形設備が必要なだけでなく、容器形状の制限も発生し実用的でない。
【0011】
これ迄多くの試みが行われてきたが、一般的に用いられているA−PET並みの優れた熱成形性と透明性を有し、優れた耐熱性を付与することが出来るポリエステルシート及び熱成形容器は実用化には至っていなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開平1−200959号公報
【特許文献2】
特開2000−351154号公報
【特許文献3】
特開昭59−5019号公報
【特許文献4】
特開平4−7119号公報
【特許文献5】
特開平4−063836号公報
【特許文献6】
特開平4−363229号公報
【特許文献7】
特開平5−31799号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等はこのような従来の問題点を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達したものであって、その目的とするところは、特殊な熱成形機を用いる必要がなく、更に特殊な熱成形条件や前処理が不要でありながら、A−PET並みの成形性を有し、単に熱成形時に結晶化度を高めただけで優れた透明性と耐熱性を有する成形品が生産可能なポリエステルシートを得ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、固有粘度0.7〜1.8のポリブチレンテレフタレート系樹脂70〜30重量%と固有粘度0.5〜1.0のポリエチレンテレフタレート系樹脂30〜70重量%の樹脂100重量部に対して両末端を封鎖した数平均分子量が500〜2500のポリエーテルグリコールを0.3〜15重量部配合した樹脂組成物からなる実質的に無配向のポリエステルシートと該シート熱成形して得られた成形品によって達成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に言うPBT系樹脂とはジカルボン酸成分の50モル%以上がテレフタル酸で、主たるジオール成分の50モル%以上が1.4ブタンジオールのポリエステル系樹脂を指し、PET系樹脂とはジカルボン酸成分の50モル%以上がテレフタル酸で、ジオール成分の50モル%以上がエチレングリコールのポリエステル系樹脂を指す。
【0016】
本発明はPBT系樹脂70〜30重量%とPET系樹脂30〜70重量%の樹脂100重量部に対してポリエーテルグリコール系の化合物を0.3〜15重量部配合したものである。
PBT系樹脂は本発明のベースとなる樹脂であるが、単独では結晶性が極めて速いために非結晶状態のシートが得難い。急冷によって非結晶状態のシートが得られたとしても、ガラス転移温度と結晶化温度との差が極めて小さいため、熱成形時のシート加熱時に結晶化が進行してしまい熱成形性を行うことが実質的に不可能である。
【0017】
熱成形性を改善するためには、ガラス転移温度と結晶化温度に差があることが必要である。PBT系樹脂にPET系樹脂を配合するとPBTの結晶性が低下するために、ガラス転移温度と結晶化温度の差は徐々に大きくなり、熱成形性は改善されていく。割合が多ければ多い程、熱成形性は改善され、最終的にはA−PETの加工適正に近づいてくる。
【0018】
熱成形性を問題無く行うためにはPBT系樹脂:PET系樹脂の重量比率は70:30よりもPBT系樹脂の割合が少ないことが必要である。70:30よりもPBT系樹脂の割合が多くなると、その結晶性のために熱成形性が不良となる。具体的には、熱成形時のシート加熱時の微妙な温度ムラでも延びムラが生じたり、金型の再現性が不良でかん合性が不良となったり、あるいは絞りの深い容器での延び不良が発生したりする。
【0019】
一方、PBT系樹脂:PET系樹脂の重量比率は30:70よりPBT系樹脂の割合が多いことが必要である。PET系樹脂の割合が多くなると、熱成形して結晶化度を高めた場合に容器の透明性が低下する傾向があり、透明性の改善のために、ポリエーテルグリコール系の化合物を多く配合する必要があるが、配合量が多い場合には熱成形後の容器の弾性率がやや不足するためである。
【0020】
上記理由から、PBT系樹脂とPET系樹脂の重量比率は70:30〜30:70である必要があり、好ましくは65:35〜50:50の範囲である。
【0021】
更に、本発明において、PBT系樹脂70〜30重量%とPET系樹脂30〜70重量%の樹脂100重量部に対して、両末端を封鎖した数平均分子量が500〜2500のポリエーテルグリコール系の化合物を0.3〜15重量部配合することが必須条件である。上述の様に、急冷により得られたシートが十分な熱成形性を有するためには、PBT系樹脂:PET系樹脂の割合が特定の比率であることが必要であるが、結晶化により透明性が低下する問題点があり、A−PET並みの透明性を維持するためには、ポリエーテルグリコール系化合物が必須である。
【0022】
配合するポリエーテルグリコール系の化合物はPBT系樹脂70〜30重量%とPET系樹脂30〜70重量%の樹脂100重量部に対して0.3〜15重量部配合することが必要である。好ましくは0.5〜12重量部、特に好ましくは0.7重量部〜10重量部である。配合量が0.3重量部より少ないと、結晶化後の容器の透明性改善効果不充分なためである。一方、15重量部を超えて配合した場合には、熱成形容器の弾性率がやや低下する傾向があるため、耐熱容器として用いる場合に、より厚いシートを使う必要があるため経済的でないからである。
【0023】
PBT系樹脂比率の高い組成は、結晶化後の透明性の低下も比較的小さいため、配合するポリエーテルグリコール系の化合物も比較的少量で問題ないが、PETの配合量が増えてくると結晶化後の透明性低下も徐々に大きくなり、配合量を増やす必要がある。透明性改善剤の配合量の目安としては、配合するPET系樹脂重量の約1/100〜1/4.5が好ましく、更に好ましくは1/40〜1/5、特に好ましくは1/20〜1/7である。
【0024】
ポリエーテルグリコール系の化合物については両末端の水酸基を封鎖することが必須である。未封鎖のもの、あるいは片末端しか封鎖していないものをポリエステル系樹脂に配合した時には、樹脂を加水分解させ固有粘度の著しい低下を引き起こしてしまうためである。
【0025】
末端封鎖の方法としてはアルコールを用いてエーテル化させるか、カルボン酸を用いてエステル化する方法が一般的であるが、その他の反応基を用いて封鎖することも問題ない。封鎖に用いるアルコールやカルボン酸についても特に制限はないが、炭素数が極端に多いものを用いると、ポリエーテルグリコール系化合物全体に占める末端封鎖セグメントの割合が大きくなり、ポリエステルとの相溶性や透明性の改善効果に影響を与えるため好ましくないと考えられる。具体的には炭素数30以下のものが好ましいと考えられ、アルコールとしては、メタノールやエタノール、カルボン酸としてはラウリル酸やオレイン酸等が挙げられる。
【0026】
両末端を封鎖したポリエーテルグリコール系化合物の数平均分子量は500〜2500であることが必要であり、好ましくは700〜2000、特に好ましくは800〜2000である。数平均分子量が500より小さい場合には、熱安定性が不充分なため、製膜した時に溶融状態のポリマーから煙が発生したり、Tダイの樹脂出口部分に目脂が発生したりして製膜性を大幅に低下させる等の問題が発生する。一方、数平均分子量が2500を超える場合には、ポリブチレンテレフタレート系樹脂とポリエチレンテレフタレート系樹脂との相溶性が低下するため、配合した場合に透明性がやや低下する傾向がある。
【0027】
ポリエーテルグリコール系化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールあるいはそれらの共重合体の両末端を封鎖した物質が挙げられる。特に好ましくはポリエチレングリコールの両末端封鎖物である。
【0028】
本発明に用いるPBT系樹脂の固有粘度は、20℃の条件で重量比60/40のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒中での測定で、0.70以上が必要であり、特に好ましくは0.80以上である。0.70より小さいと樹脂の溶融粘度が低いためにシートの製膜性が低下するためである。一方、1.80以下であることが必要であり、好ましくは1.30以下である。固有粘度が1.80を超えると溶融粘度が著しく高くなるためシート製膜性が低下するからである。
【0029】
ポリブチレンテレフタレート樹脂はテレフタル酸と1,4ブタンジオールを縮重合することにより得られる。耐熱性や経済性の点からホモのPBTが好ましいが、耐熱性を大幅に低下させない範囲で共重合を行うことも可能である。例えば、イソフタル酸やアジピン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分や、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール等のグリコール成分を少量共重合することも出来るが、好ましくは10モル%以内、更に好ましくは5モル%以内である。
【0030】
本発明に用いるポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度は、20℃の条件で重量比60/40のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒中での測定で、0.50以上が必要であり、特に好ましくは0.65以上である。0.50より小さいと樹脂の溶融粘度が低いためにシートの製膜性が低下するためである。一方、1.00以下であることが必要であり、好ましくは0.95以下である。固有粘度が1.00を超えると溶融粘度が著しく高くなるためシート製膜性が低下するからである。
【0031】
ポリエチレンテレフタレート樹脂はテレフタル酸とエチレングリコールを縮重合することにより得られる。経済性の点からホモのPETが好ましいが、溶融押し出し時のエステル交換を防ぐために、押し出し温度を下げて加工出来る、低融点の共重合ポリエステルを行うことも何ら問題ない。例えば、イソフタル酸やアジピン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分や、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール等のグリコール成分を共重合することも出来る。場合によってはイーストマン社のKODAR PETG6763の様な非結晶性のポリエステルを用いることも出来る。
【0032】
又、実質的に直鎖状と見なされる範囲で三官能以上の化合物や単官能の化合物を含んでいても良い。更に、ポリエステル中に透明性を低下させない範囲内で熱安定剤、流動性改善剤、紫外線吸収剤、制電剤、防曇剤等を添加することができる。又、艶消しが必要な場合には二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄、カーボンブラック等の着色剤を含有させることもできる。
【0033】
本発明のシートは特別な押し出し機設備を用いる必要はなく、通常用いられているA−PETシートの生産設備を用いることが出来る。ポリエステル系樹脂は加水分解し易い性質があるため、押し出し前に水分量を0.01wt%以下にすることが望ましく乾燥工程が必要である、その工程を省略するために一般的にA−PETシートの生産は二軸押し出し機にベントを付けたものが用いられているが、乾燥樹脂を用いて単軸押し出し機を用いることも何等問題無い。
【0034】
押し出し条件についても、一般的なポリブチレンテレフタレート系樹脂やポリエチレンテレフタレート系樹脂の押し出し温度であれば特に問題無い。しかしながら、極端な高温度での押し出しや、樹脂の長時間の滞留によるエステル交換反応の進行には注意が必要である。
【0035】
本発明において、ポリブチレンテレフタレート系樹脂とポリエチレンテレフタレート系樹脂及びポリエーテルグリコール系化合物の両末端封鎖物からなるシートを作製する方法については特に限定しない。例えば、製膜時に所定の比率の原料を投入口から供給してシート化する方法でもよいし、或いは予めポリエーテルグリコール系化合物の樹脂マスターを作製しておいて、製膜時に他の樹脂と供給する方法でも良い。場合によっては全ての原料を予め混練機を用いて混練してから製膜する方法でも構わない。
【0036】
A−PETシートと同様に非結晶状態のシートを得るためには、溶融状態の樹脂を急冷することが必要であるが、冷却設備についても特別な設備を用いる必要は無く、金属ロール間で挟み冷却する方法(タッチロール法)や静電印加法、エアーナイフ法等の一般的なA−PETの生産設備がそのまま利用出来るが、シートの光沢性、厚み均一性の点からタッチロール法が好ましい。従来の技術では、急冷シートにより透明な容器が得られる組成では熱成形性が不充分であり、熱成形性に優れた組成では容器の透明性が著しく低下するため、溶融状態からシートにする際に特別な条件(冷却ベルト等を用いた徐冷)で冷却を行うか、あるいは長時間の熟成(熱エージング)を行い、透明性の改善が試みられてきたが改善効果は極めて小さいものであった。本発明においては、透明性改善剤の配合により、一般のA−PETと同様な製膜設備を用いて急冷シートを作製するのみで、徐冷製膜熱成形性に優れかつA−PET並みの透明性を有する透明耐熱容器を得ることが出来る。
【0037】
本発明のシートの厚みは、急冷により非結晶状態のものが得られるのであれば特に限定されないが、通常50〜900μmが好ましく、特に好ましくは100〜500μmである。本発明はポリブチレンテレフタレート系樹脂を含むために結晶化速度が速く、シートが厚い場合には、シートの中心部迄急冷することが難しくなり、非結晶状態のシートを得るための冷却効率アップ(生産量を低下させる等)が必要となり経済的でないからである。本発明のシートは、製膜時の透明性の低下が少ないものが、結晶化させた後の容器の透明性にも優れるため、出来るだけ急冷することが好ましい。シートのヘイズは3%以下が望ましい。
【0038】
本発明のシートは単層構造でも充分な熱成形性と容器の透明性を実現することができるが、
本発明の範囲内の組成であれば、多層構造でも何等問題無い。又、本発明のシートは、透明性を改善させるための延伸加工は全く不要であり、実質的に無延伸のものをそのまま熱成形に用いることが出来る。
【0039】
シリコーンの塗布については熱接着性を低下させる方向に作用するために多量に付着させることは好ましくないが、本発明の場合にはブロッキング防止に必要な量のシリコーン塗布については特に問題ない。
【0040】
製膜時にシート又は積層体を所定の幅にカットする際に出る耳部や熱成形後容器を打抜いたスケルトン部を粉砕して原料として戻すインラインリサイクルがA−PETでは一般的に用いられるが、本発明でもシート又は積層体の固有粘度を極端に低下させない範囲内でリサイクルすることは何等問題ない。
【0041】
本発明品のシートから耐熱性を有する透明耐熱容器を得るためには、C−PETの熱成形技術と同様なヒートセット熱成形が必要である。C−PETの熱成形では、シートを加熱軟化させた後、真空や圧空を用いてポリエステルの結晶化温度以上に加熱された金型に密着させて、シートの結晶化度を高める。本発明においても、C−PETの熱成形と基本的には全く同様な方法を用いて熱成形が可能である。
【0042】
一般的にポリブチレンテレフタレート系樹脂とポリエチレンテレフタレート系樹脂は130〜185℃程度の温度で、結晶化速度が一番速いことが知られておりこの範囲内で金型温度を選定することにより、熱成形で結晶化温度を高めるのに必要な時間が短縮出来るため好ましい。特に好ましい範囲は140〜175℃であり、更に好ましくは155〜170℃である。
【0043】
本発明においては、この温度を選定することにより、金型に付着させて結晶化させるのに必要な時間は僅か6〜8秒程度で良く、商業生産も充分可能である。又、一般的なポリエステルの性質で知られている様に、結晶化温度が高ければ高い程、結晶化度は高くなり、容器の耐熱温度も高くなる。本発明品の場合金型温度が130℃の場合には容器の耐熱温度は約110℃程度であるが、160℃の場合には140℃迄容器の耐熱性は上昇し、更に金型温度を上げて180℃で熱成形を行った場合には160℃迄アップする。しかしながら、結晶化温度が高過ぎると、熱成形時に容器の透明性がやや低下する傾向があるため、185℃を超える金型温度は好ましくない。
【0044】
本発明品シートの熱成形において、ヒートセットが可能な金型を用いるのであれば、通常A−PETで用いられている真空成形、圧空成形、熱盤成形、プラグアシスト成形、リバースドロー成形、エアースリップ成形等、またはこれらを組み合わせた成形方法何れの方法を用いても差し支えない。
【0045】
【発明の効果】
本発明品のポリエステルシートは特殊な製膜設備を用いることなく、又熱成形前にも特殊な前処理をすることなしに、熱成形により高耐熱の透明性に極めて優れた容器を得ることが出来る。優れた熱成形性と安全衛生性を有しており、電子レンジ加熱やボイル殺菌、ホットフィルを行う食品容器に有用である。
【0046】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、各特性値測定、評価は次の方法に従って行った。
【0047】
(1)固有粘度(シート又は積層体のIV)
重量比60/40のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒中を用い1.0g/dlの濃度、20℃の条件で測定した。
【0048】
(2)シート、成形品のヘイズ
日本電色(株)製ヘイズメーター NDH−20Dを使用し、JIS−K−7105に準じた方法にてシートのヘイズ(曇価)を測定した。
ヘイズ値が3%未満のものを「○」
3%以上7%未満を「△」
7%以上を「×」とした
【0049】
(3)容器の耐熱性
熱成形容器を100〜180℃(10℃刻みで評価)のオーブンで10分間加熱し、変形の有無で耐熱温度を評価した。
【0050】
(4)熱処理による容器へイズの変化(ΔX)
熱成形した容器のヘイズ(X1)を、(2)に記載の方法で測定した。この容器に150℃×10分の熱処理を行った後ヘイズ(X2)を測定した。次式により容器へイズの変化量ΔX(%)を求めた。
ΔX=X2−X1
ここで、ΔXが1%未満のものを「○」
1%以上3%未満を「△」
3%以上を「×」と評価した。
【0051】
(5)シート及び成形品の耐衝撃強度
積層体及び成形品より縦90mm×横90mmの試験片を作製(成形品は容器の天板部を切り出して作製)し、島津製作所製恒温槽付き面衝撃試験機(ハイドロショット)を使用し、打抜き速度5m/秒、打抜きポンチ直径13mm、ダイス直径3インチの条件にて20℃の破壊エネルギーを測定した。
破壊エネルギーが4.0kJ/m以上のものを「○」
2.5kJ/m以上4kJ/m未満のものを「△」
2.5kJ/m未満のものを「×」と評価した。
【0052】
(6)ポリエーテルグリコール系化合物の数平均分子量測定
東ソー株式会社製高温GPC装置 型式HLC−8121GPCを用いて、TSK標準ポリスチレン換算により、数平均分子量の測定を行った。
【0053】
(7)成形品のこし
成形品に300gのご飯を入れ、容器を手で持った時、
容器の変形が無く持ちやすいものを「○」
内容物の重みで容器が変形して持ちにくいものを「×」と評価した。
【0054】
(8)製膜性
実施例に記載した組成でシートを製膜した時、以下の点について評価を行い全ての項目において問題無い場合を「○」と評価した。問題が有るが何とかシートを得ることの出来るものを「△」、問題がありシートを得ることが難しい場合には「×」と評価した。
▲1▼押し出し機の負荷のレベル(溶融粘度が高過ぎて過負荷となる場合は問題有り)
▲2▼溶融ポリマーの熱安定性(煙や昇華物が発生する場合には問題有り)
▲3▼Tダイから出た溶融ポリマーの安定性(加水分解等による溶融粘度不足でポリマーがTダイから安定して出てこない場合問題有り)
▲4▼シートの品質(面あれや厚み不良が発生する場合問題有り)
【0055】
(9)熱成形性
実施例に記載した組成のシートを熱成形した時、金型再現性の良いものを「良好」と評価した。シート加熱時に結晶化が進行してシートののびが悪くなり、金型再現性が不良となるものを「不良」と評価した。
【0056】
(10)総合評価
各評価項目が全て○か良好であり、その中でも熱成形容器の透明性に優れているものを「◎」
各評価項目が全て○か良好であり、「◎」以外のものを「○」
各評価項目の内1つでも△があるものを「△」
各評価項目の内1つでも×か不良があるものを「×」と評価した。
【0057】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、表1に示す組成のもの(A〜D)を定法に従って重合した。 ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、表2に示す組成のもの(ア〜エ)を定法に従って重合した。ポリエーテルグリコール系化合物(透明性改善剤)は、表3に示す組成のもの(I〜VII)を定法に従って重合し、末端封鎖にはメタノールを用いた。各種ポリエーテルグリコール系化合物(透明性改善剤)は、混練温度270℃の条件で、各実施例で用いるポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いて15重量%のマスターチップを予め作製した。次に、実施例に記載する組成・配合比になるようにポリブチレンテレフタレート系樹脂とポリエチレンテレフタレート系樹脂とポリエーテルグリコールマスターを設定温度270℃、ベント部の真空度667Paの条件で二軸押出機に供給し、Tダイより溶融押出を行った。Tダイから出た溶融状態のポリマーを、温度20℃に設定した冷却ロールにより急冷しシートを得た。所定の幅のシートを得るためにカットしたシートの耳はコア層へリターンさせた。更にブロッキング防止のためシリコーンを10mg/m2塗布した。
【0058】
熱成形性、物性評価のために、プラグアシスト付きの真空成形機(真空度8000Pa)を用いて、135mm×横190mm 深さ45mmの成形品を作製した。金型温度は適正条件範囲である140〜165℃の範囲で条件を変更した。
【0059】
実施例1〜11、比較例1〜14
ポリブチレンテレフタレート系樹脂とポリエチレンテレフタレート系樹脂のみを溶融ブレンドして得られたシートは、熱成形容器の透明性が良好な範囲の組成では、充分な熱成形性を有していない。一方、熱成形性が良好な範囲の組成では、熱成形後の容器の透明性が極端に低下する問題がある。本発明品は、透明性改善剤を配合することにより、優れた熱成形性と熱成形容器の透明性の両方を同時に達成することが出来ることが分かる。
【0060】
【表1】
Figure 0003701657
【0061】
【表2】
Figure 0003701657
【0062】
【表3】
Figure 0003701657
【0063】
【表4】
Figure 0003701657
【0064】
【表5】
Figure 0003701657
【0065】
【表6】
Figure 0003701657

Claims (2)

  1. 固有粘度0.7〜1.8のポリブチレンテレフタレート系樹脂70〜30重量%と、固有粘度0.5〜1.0のポリエチレンテレフタレート系樹脂30〜70重量%の樹脂100重量部に対して、両末端を封鎖した数平均分子量が500〜2500のポリエーテルグリコール系化合物を0.3〜15重量部配合した樹脂組成物からなる実質的に無配向の熱成形用ポリエステルシート。
  2. 請求項1のポリエステルシートを熱成形して得られた透明耐熱容器。
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