JP3348569B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JP3348569B2 JP19331495A JP19331495A JP3348569B2 JP 3348569 B2 JP3348569 B2 JP 3348569B2 JP 19331495 A JP19331495 A JP 19331495A JP 19331495 A JP19331495 A JP 19331495A JP 3348569 B2 JP3348569 B2 JP 3348569B2
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polyester resin
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル樹脂組
成物に関する。詳しくは、成形性、生産性に優れ、かつ
透明性、耐熱性、耐衝撃性、紫外線遮断性、ガスバリヤ
−性、耐クリープ性などの諸物性に優れたボトル、シー
ト、フィルムなどの成形体材料として好適なポリエステ
ル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート(以下「PET」という)は、機械的強度、化
学的安定性、透明性、衛生性などに優れており、また軽
量、安価であるために、各種のシート、容器として幅広
く成形体材料に用いられ、特に、炭酸飲料、果汁飲料、
液体調味料、食用油、酒、ワイン用の容器としての伸び
が著しい。
【0003】また、近年ではPETの安全衛生性や易焼
却性、さらにはリサイクルの可能性の高さに注目が集ま
り、従来はアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ンなどを原料としていた成形体、例えば、押出シート、
絞り容器、ダイレクトブロー成形によるボトルなどへの
用途が増加しつつある。
【0004】しかしながら、従来の汎用のPETでは上
記の種々の用途に充分に対応できない場合もあり、PE
Tに性質が近く、かつ、性能的に特色のある各種の共重
合ポリエステルあるいはポリエステル樹脂組成物が多数
提案されている。これらの中でも、近年、エチレンナフ
タレンジカルボキシレート単位を含むポリエステルが、
紫外線遮断性、ガスバリヤ−性、延伸性、耐熱性などの
諸物性に優れた成形体の材料として特に注目されている
(特開昭63−168451、特開平4−23962
4、特開平3−122116、特開平4−33125
5、特開平5−255492など)。
【0005】上記のエチレンナフタレンジカルボキシレ
ート単位を含むポリエステルとしては、PETのモノマ
ー原料にナフタレンジカルボン酸又はその誘導体を加え
て共重合ポリエステルとしたもの、あるいは、PETと
主たる繰り返し単位がエチレンナフタレンジカルボキシ
レート単位である樹脂をブレンドして組成物としたもの
が考えられる。このうち、後者の樹脂組成物は、汎用の
PETにエチレンナフタレンジカルボキシレート単位を
含む樹脂を適当量混合することにより種々の物性を有す
るポリエステルを簡便に得ることができるという利点が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エチレ
ンナフタレンジカルボキシレート単位を含むポリエステ
ル樹脂組成物についての検討は現状ではまだ必ずしも充
分ではなく、成形体材料として広く実用化を進めていく
ためには、解決すべき課題がなお多く存在する。ポリエ
ステル樹脂組成物の用途としては一般に食品容器や飲料
ボトルなどの成形材料が考えられるが、この場合、大量
生産を行うためにはより高い生産性が要求される。
【0007】また、該樹脂組成物中の各樹脂成分は各々
の相溶性により成形条件が変化しやすく、成形体の透明
性が損なわれやすい。また、汎用のPETと比較する
と、成形時にオリゴマ−類が副生し易い。該オリゴマー
類は、成形時に金型などの装置類に付着汚染し、該樹脂
組成物中由来の成形体の表面肌荒れや白化などの原因と
なる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に鑑み、エチレンナフタレンジカルボキシレート単位
を含むポリエステル樹脂組成物の物性と、該組成物の構
成ポリステル成分の性質との関係について入念に精査検
討を重ねた結果、従来の問題点が大きく改良される特定
のポリエステル樹脂組成物を見いだし、本発明に到達し
た。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、主たる繰り返
し単位がエチレンテレフタレート単位である樹脂(a)
x重量%と、主たる繰り返し単位がエチレンナフタレン
ジカルボキシレート単位である樹脂(b)y重量%から
成るポリエステル樹脂組成物であって、(1)上記のx
は5〜95、yは95〜5、(2)該組成物に占めるエ
チレンナフタレンジカルボキシレート単位が7〜50モ
ル%、(3)下記の式(I)、(II)で表されるAとB
の和が25〜130
【0010】
【数7】 A=(x/100){[Ge]a+(1/3)[Sb]a+3[Ti]a} −−−(I)
【0011】
【数8】 B=(y/100){[Ge]b+(1/3)[Sb]b+3[Ti]b} −−−(II) 式(I)、(II)において、[Ge]a、[Sb]a
[Ti]aは、樹脂(a)のゲルマニウム原子含有量、
アンチモン原子含有量、チタン原子含有量を各々示す
(単位:ppm)。また[Ge]b、[Sb]b、[T
i]bは樹脂(b)中ゲルマニウム原子含有量、アンチ
モン原子含有量、チタン原子含有量を各々示す(単位:
ppm)。)(4)下記の式(III)、(IV)で表され
るMとNの和が0.80以下、
【0012】
【数9】 M=(x/100)[CT]a −−−(III)
【0013】
【数10】 N=(y/100)[OL]b −−−(IV)(式(I
II)、(IV)において、[CT]aは樹脂(a)中の環
状三量体含有量(単位:重量%)、[OL]bは樹脂
(b)中のオリゴマー含有量(単位:重量%)を示
す。)であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物
に関する。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ポリエステル樹脂組成物の構成成分である、主たる繰り
返し単位がエチレンテレフタレート単位である樹脂
(a)(以下「PET系樹脂(a)」という)とは、汎
用のPETを包含するものであって,エチレンテレフタ
レート単位が通常80モル%以上、好ましくは90モル
%以上含有するものである。PET系樹脂(a)には少
量の共重合成分が含まれていてもよく、イソフタル酸、
オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキ
サンジカルボン酸、フェニレンジオキシジ酢酸などのジ
カルボン酸成分、ジエチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン
ジメタノールなどのジオール成分などを挙げることがで
きる。
【0015】また、本発明の構成要件を逸脱しない範囲
で、3官能以上の多官能成分が少量共重合されていても
よい。3官能以上の多官能成分としては、従来から一般
にPETに用いられる公知の化合物が用いられていてよ
いが、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメ
リット酸などの多価カルボキシル成分、トリメチロール
エタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタ
エリスリトールなどの多価ヒドロキシ成分、ビスフェノ
ールAジグリシジルエーテルやビスフェノールSジグリ
シジルエーテルのような芳香族ジヒドロキシ化合物のグ
リシジルエーテル成分などを挙げることができる。これ
ら3官能以上の多官能成分を使用する場合には、実質的
にゲル化が進行しない範囲、つまり樹脂組成物を構成す
る全モノマー単位成分に対して、通常1.0モル%以
下、好ましくは0.6モル%以下の範囲であることが望
ましい。多官能成分が少量共重合されていることによ
り、押出ブロー時のパリソンのドローダウン(垂れ下が
り)や、シートを絞り加工する際のシートのドローダウ
ンの程度がより小さくなる傾向がある。
【0016】さらに、本発明の構成要件を逸脱しない範
囲で、単官能成分が少量共重合されていてもよい。単官
能成分としては、例えば、安息香酸、t−ブチル安息香
酸、ベンゾイル安息香酸、ステアリン酸、ベンジルアル
コール、ステアリルアルコールなどを挙げることができ
る。これら単官能成分を使用する場合には、樹脂組成物
を構成する全成分に対して、通常0.005〜1.0モ
ル%、好ましくは0.01〜0.75モル%の範囲であ
ることが望ましい。単官能成分が共重合されていること
により、本発明のポリエステル樹脂組成物を溶融成形す
る際のオリゴマーやアセトアルデヒドの増加を抑制する
ことが可能である。
【0017】次に、本発明のポリエステル樹脂組成物の
構成成分である、エチレンナフタレンジカルボキシレー
ト単位である樹脂(b)(以下「PEN系樹脂(b)」
という)とは、エチレンナフタレンジカルボキシレート
単位が通常50モル%以上、好ましくは80モル%以上
含有するものである。エチレンナフタレンジカルボキシ
レート単位以外の構成単位は、通常、エチレンテレフタ
レート単位から構成されるものであるが、前記のPET
系樹脂(a)と同様にその他の共重合成分が少量含まれ
ていてもよい。
【0018】本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記
のPET系樹脂(a)x重量%と、PEN系樹脂(b)
y重量%から成るものであり、ここに、xは5〜95、
yは95〜5であり、好ましくは、xは10〜90、y
は90〜10である。そして、本発明のポリエステル樹
脂組成物では、PET系樹脂(a)とPEN系樹脂
(b)の混合割合xとyの範囲内であって、かつ、該組
成物で溶融混合した際のエチレンナフタレンジカルボキ
シレート単位が7〜50モル%、好ましくは8〜40モ
ル%、特に好ましくは10〜35モル%の範囲に調整し
たものである。エチレンナフタレンジカルボキシレート
単位が7モル%未満では、通常のPETと比較した場合
の耐熱性、ガスバリヤー性、紫外線遮断性などの諸物性
における優越性が認めがたい。また、エチレンナフタレ
ンジカルボキシレート単位が50モル%を越える程度に
なると成形条件の設定が難しくなったり、コスト高にな
るなどの問題があり、あまり適当とはいえない。
【0019】本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記
のPET系樹脂(a)とPEN系樹脂(b)を溶融成形
を行う直前までに混合(ブレンド)していればよい。通
常はチップ状あるいはペレット状の各樹脂をドライブレ
ンドしたものとして成形を行うが、各樹脂を予め溶融混
練したものをチップ状あるいはペレット状にしたもので
もよい。
【0020】PET系樹脂(a)とPEN系樹脂(b)
は、通常のポリエステル樹脂の製造方法に準じて製造さ
れる。PET系樹脂(a)については、テレフタル酸、
エチレングリコールおよびそれらのエステル形成性誘導
体など公知のPETで用いられる原料を用いればよい。
また、PEN系樹脂(b)のナフタレンジカルボン酸単
位の原料としては、2,6−、2,7−、1,4−、
1,5−、または2,3−などのナフタレンジカルボン
酸およびそのジメチル、ジエチル等のエステル類が挙げ
られるが、これらのうち、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、ないしはそのジメチルエステル体が好ましい。
【0021】ポリエステル樹脂の重合方法としては、例
えば、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン
酸、エチレングリコールを用いて加圧下で直接エステル
化反応を行った後、さらに昇温するとともに次第に減圧
とし、重縮合反応させる方法がある。あるいは、テレフ
タル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸、例えば、ジ
メチルエステル誘導体、およびエチレングリコールを用
いてエステル交換反応を行い、その後、得られた反応物
をさらに重縮合(溶融重合)することで製造できる。こ
の溶融重合の際には、ゲルマニウム、アンチモンあるい
はチタンのいずれか1以上の金属化合物触媒が使用さ
れ、その使用量が本発明のポリエステル樹脂組成物の物
性を得る際に重要となるが、この詳細については後述す
る。
【0022】以上のような方法で得られたポリエステル
樹脂は、常法によりペレット化あるいはチップ化され、
これをそのまま成形体の原料として利用可能であるが、
本発明で使用するPET系樹脂(a)とPEN系樹脂
(b)は、共に、通常は、更に、固相重合処理を行い、
樹脂中のオリゴマ−含有量の低減、あるいは、固有粘度
などの諸物性の調整を行うことが必要である。
【0023】重縮合反応後に得られるプレポリマーは、
通常、固有粘度が0.4〜0.8dl/gの粒状チップ
で得られる。該チップが供給される固相重合工程は、少
なくとも1段からなり、重合温度が、通常180〜23
0℃であり、不活性ガス流通法の場合、15000〜1
Paの広い範囲での任意の圧力条件下において、窒素、
アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガス流通下で実施さ
れる。固相重合時間は、温度が高いほど短時間で所望の
物性に到達するが、通常1〜50時間、好ましくは5〜
30時間である。
【0024】以上で得られるポリエステル樹脂成分の固
有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1
/1)の混合溶媒中で30℃で測定して、通常0.4〜
1.2dl/gである。0.4dl/g未満ではポリエ
ステル樹脂を成形体となした場合に、実用上の十分な強
度を持ち得ない。また、1.2dl/gを越える場合
は、溶融粘度が高くなりすぎて成形が困難となり、ま
た、成形機内での剪断発熱が大きくなるため、成形時に
オリゴマーが多量に発生して金型を汚染するので好まし
くない。かかる固有粘度範囲は、PET系樹脂(a)と
PEN系樹脂(b)で共通しているが、これらを混合し
て組成物にするに際して、特に、PET系樹脂(a)の
固有粘度は好ましくは0.6〜1.4dl/gであり、
PEN系樹脂(b)の固有粘度は好ましくは0.5〜
1.3dl/gである。また、この際に、PET系樹脂
(a)の固有粘度値からPEN系樹脂(b)の固有粘度
値を減じた値は、通常、−0.1〜0.4dl/g、好
ましくは0〜0.3dl/gである。
【0025】次に、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、該組成物中の残存重合触媒の金属含有量が特定範囲
にあることを特徴としている。そのためには、組成物を
構成するPET系樹脂(a)とPEN系樹脂(b)にお
いて、共にその溶融重合の際に、ゲルマニウム、アンチ
モンあるいはチタンのいずれか1以上の金属化合物触媒
が特定量の範囲で使用されることが必要である。
【0026】PET系樹脂(a)での触媒の種類と使用
量は、通常のPETの場合で知られている範囲のもので
あって、ゲルマニウム、アンチモン、チタンのいずれか
1以上の金属化合物、好ましくはゲルマニウムまたはア
ンチモンの化合物を使用する。ゲルマニウム、アンチモ
ン、チタンの化合物としては、それらの酸化物、無機酸
塩、有機酸塩、ハロゲン化物、硫化物など特に制限はな
いが、通常、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、
酸化チタンのような酸化物が使用される。触媒量は、金
属原子の重量として、全重合原料中、通常5〜2000
ppm、好ましくは10〜500ppmの範囲で用いら
れる。特に、ゲルマニウム化合物を用いる場合、その使
用量は、製造するPET系樹脂中に、ゲルマニウム原子
の含有量が、通常10〜100ppm、好ましくは25
〜60ppmの範囲となるような量を使用するのが望ま
しい。また、アンチモン化合物を用いる場合、その使用
量は、製造するPET系樹脂中に、アンチモン原子の含
有量が、通常150〜300ppm、好ましくは170
〜280ppmの範囲となるような量を使用するのが望
ましい。さらに、また、チタン化合物を用いる場合、そ
の使用量は、製造するPET系樹脂中に、チタン原子の
含有量が、通常1〜100ppm、好ましくは5〜50
ppmの範囲となるような量を使用するのが望ましい。
【0027】ゲルマニウム原子、アンチモン原子及びチ
タン原子の含有量が上記範囲にある場合には、プレポリ
マーを固相重合する際のオリゴマーの低減化速度や固相
重合速度、および成形時のオリゴマー副生量の低減化が
一層大きくなるため特に良好である。触媒量が多すぎる
と、オリゴマー低減化速度が速く、固相重合速度も速く
なり、生産性が向上するが、成形時のオリゴマーやアセ
トアルデヒドの副生量が多くなる傾向があるので好まし
くない。逆に、触媒量が少なすぎると、成形時のオリゴ
マーやアセトアルデヒドの副生量自体は少なくなる傾向
があるが、重合生産性が低下し、また、成形体の透明性
が低下するので好ましくない。
【0028】なお、PET系樹脂(a)においては、重
合安定剤を使用してもよく、通常、リン酸エステル類、
亜リン酸エステル類、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、
ポリリン酸などのリン化合物が好適に使用される。安定
剤は、安定剤中のリン原子の重量として、全重合原料
中、通常10〜1000ppm、好ましくは20〜20
0ppmの範囲で用いられる。特に、重縮合触媒として
ゲルマニウム化合物を使用する場合には、PET系樹脂
中に含有されるリン原子が、併せて含有されるゲルマニ
ウム原子に対して重量比で、通常0.3〜1.5倍、好
ましくは0.4〜1.0倍の範囲となるように使用する
のが望ましい。リン原子の含有量がこの範囲にある場合
には、PET系樹脂の熱安定性が良い他、オリゴマーの
低減化速度が大きくなる傾向があるので好ましい。
【0029】一方、PEN系樹脂(b)においても、ゲ
ルマニウム、アンチモンあるいはチタンのいずれか1以
上の金属化合物触媒が使用される。また、同様に重合安
定剤を使用することもできる。触媒の使用量及び重合速
度はPET系樹脂(a)と概ね同様である。また、重合
温度をPET系樹脂(a)より10℃程度高くして重合
速度を早めることが可能であるが、一部熱分解が生じる
場合があるので注意する必要がある。本発明のポリエス
テル樹脂組成物は、以上の残存重合触媒の金属含有量で
あるPET系樹脂(a)とPEN系樹脂(b)を混合し
た組成物であって、該組成物中の残存重合触媒の金属含
有量が、下記の式(I)、(II)で表されるAとBの和
(A+B)で25〜130の範囲にあることを特徴とし
ている。
【0030】
【数11】 A=(x/100){[Ge]a+(1/3)[Sb]a+3[Ti]a} −−−(I)
【0031】
【数12】 B=(y/100){[Ge]b+(1/3)[Sb]b+3[Ti]b} −−−(II) 式(I)、(II)において、[Ge]a、[Sb]a
[Ti]aは、樹脂(a)のゲルマニウム原子含有量、
アンチモン原子含有量、チタン原子含有量を各々示す
(単位:ppm)。また[Ge]b、[Sb]b、[T
i]bは樹脂(b)中ゲルマニウム原子含有量、アンチ
モン原子含有量、チタン原子含有量を各々示す(単位:
ppm)。)
【0032】本発明のポリエステル樹脂組成物において
は、これを成形する際に、PET系樹脂(a)とPEN
系樹脂(b)が溶融混合して互いの残存重合触媒が影響
することになるので、PET系樹脂(a)もPEN系樹
脂(b)も共に触媒使用量に留意し、上記の(A+B)
が25以上、130以下、好ましくは30以上、120
以下とする。(A+B)が130を超えると、成形時の
オリゴマーやアセトアルデヒドの副生量が多くなる傾向
があるので好ましくない。逆に、(A+B)が25未満
であると、成形時のオリゴマーやアセトアルデヒドの副
生量自体は少なくなる傾向があるが、重合生産性が低下
し、また、成形体の透明性が低下するので好ましくな
い。
【0033】さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、該組成物中のオリゴマ−が下記式(III)、(IV)
で表されるMとNの和(M+N)が0.80以下、好ま
しくは0.60以下にあることも特徴である。
【0034】
【数13】 M=(x/100)[CT]a −−−(III)
【0035】
【数14】 N=(y/100)[OL]b −−−(IV) (式(III)、(IV)において、[CT]aは樹脂(a)
中の環状三量体含有量(単位:重量%)、[OL]b
樹脂(b)中のオリゴマー含有量(単位:重量%)を示
す。)
【0036】PET系樹脂(a)中のオリゴマー含有量
については、オリゴマーの主成分である環状3量体の含
有量として、0.55重量%以下、好ましくは0.40
重量%以下である。一般に、環状3量体の含有量が少な
ければ少ないほど、金型などの汚染が少なくなる。
【0037】また、本発明におけるPEN系樹脂(b)
中のオリゴマーとは、オリゴマーの主成分であるエチレ
ンナフタレンジカルボキシレート単位が2〜5量体化し
た鎖状又は環状の低分子化合物をいい、その総量をオリ
ゴマー含有量として定義する。PEN系樹脂(b)中の
オリゴマー含有量については、オリゴマーの主成分であ
る環状3量体の含有量として、1.0重量%以下、好ま
しくは0.7重量%以下である。一般に、オリゴマー含
有量が少なければ少ないほど、金型などの汚染は少なく
なる。
【0038】本発明のポリエステル樹脂組成物において
は、上記(M+N)が0.80を越える場合には、金型
などの汚染が顕著になるのはもちろん、成形体の透明性
が低下したり、あるいは成形体の耐熱性が低下傾向とな
り、延伸成形体をヒートセットした場合の熱固定効果に
よる耐熱性の向上度も小さくなるので好ましくない。
【0039】さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、以上のように残存触媒金属量とオリゴマー量の範囲
について規定しているものであるが、これらの物性範囲
においてはポリエステル樹脂組成物を成形体にした時の
該成形体中のアセトアルデヒドの含有量が少ないので、
本ポリエステル樹脂組成物からなる成形体を食品に直接
接触する包装材料として用いても、内容物に味や臭いの
変化をきたさないので非常に好ましい。本発明のポリエ
ステル樹脂組成物中ののアセトアルデヒドは下記式
(V)、(VI)で表されるSとTの和(S+T)が通常
6.5以下、好ましくは6.0以下、特に好ましくは
5.0以下である。
【0040】
【数15】 S=(x/100)[ALD]a −−−(V)
【0041】
【数16】 T=(y/100)[ALD]b −−−(VI) (式(V)、(VI)において、[ALD]aは樹脂
(a)中のアセトアルデヒド含有量(単位:ppm)、
[ALD]bは樹脂(b)中のアセトアルデヒド含有量
(単位:ppm)を示す。)
【0042】本発明でのアセトアルデヒドの含有量と
は、ポリエステル樹脂試料を160℃で2時間、水抽出
したアセトアルデヒドの量である。該ポリエステル樹脂
組成物よりなる成形体中のアセトアルデヒド含有量は、
通常0〜50ppm、特に0〜40ppmの範囲に抑え
ることができる。
【0043】なお、以上の本発明のポリエステル樹脂組
成物には、本発明の構成要件を逸脱しない範囲で、ヒン
ダードフェノール系やリン系、チオエーテル系などの酸
化防止剤、二酸化チタンなどの着色剤、タルクなどの核
剤、炭酸カルシウムやシリカなどの滑剤、さらには離型
剤、難燃剤、熱安定剤、耐加水分解剤、帯電防止剤、ハ
ードコート剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、蛍光増白剤
などの添加剤が適宜含有されていてもよい。これら添加
剤は本発明の樹脂組成物の製造時にそのままの状態で、
ないしはマスターバッチ化された状態で添加されてもよ
いし、成形時に添加されてもよい。さらには、これら添
加剤は塗布ないしはラミネーションなどの方法で、成形
体の表面処理に用いられていてもよい。
【0044】このようにして得られた本発明のポリエス
テル樹脂組成物は、PETで一般的に用いられる溶融成
形法を用いて、容器、シート、フィルムなどに成形する
ことができる。なお、以上のポリエステル樹脂組成物
を、あるいは、該組成物にする前においてPET系樹脂
(a)とPEN系樹脂(b)を、加温した水又は水蒸気
と接触させてもよい。該接触処理によれば、樹脂中の残
存金属触媒の少なくとも一部を失活させることにより、
成形時のオリゴマーやアセトアルデヒドの副生を抑制さ
せることが可能である。該接触処理の方法としては、通
常40〜120℃程度の水に樹脂を浸漬させてもよい
し、同様の加熱水蒸気を樹脂と接触させてもよい。ま
た、該接触処理自体は製造工程の増加になるので、PE
N系樹脂(b)だけを水又は水蒸気と接触処理するよう
な方法が特に適当である。
【0045】次に、以上の本発明のポリエステル樹脂組
成物を用いて容器を製造する場合は、一般のPETの容
器で採用される方法がそのまま適用される。例えば、射
出成形また押出成形で一旦予備成形体(以下「プリフォ
ーム」という)を成形する。そのままで、あるいは口栓
部、底部を加工後それを再加熱し、コールドパリソン法
などの二軸延伸ブロー成形法が適用される。この場合の
成形温度、具体的には成形機のシリンダー各部およびノ
ズルの温度を、通常250〜300℃の範囲である。延
伸温度は、通常85〜140℃、好ましくは90〜12
0℃で、延伸倍率は、縦方向、横方向に各々、通常1.
2〜10倍程度で行なわれる。
【0046】得られた中空容器は、そのまま使用できる
が、特に果汁飲料、ウーロン茶などのように熱充填を必
要とする内容液の場合には、一般に、さらにブロー金型
内で熱固定し、さらに耐熱性を付与して使用される。熱
固定は、通常、圧空などによる緊張下、通常120〜2
00℃で、数秒〜数分間行われる。また、本発明のポリ
エステル組成物を用いて容器を製造する場合は、ホット
パリソン法の内、押出成形機または射出成形機で成形さ
れたプリフォームが、まだ軟らかく可塑性を失わないう
ちにブロー成形を完了させてしまうダイレクトブロー成
形法や、パイプ状のものを得る押出成形法を採用するこ
ともできる。この場合、成形温度はシリンダー各部やノ
ズルの温度が通常240〜300℃である。
【0047】一方、本発明のポリエステル樹脂組成物か
ら成る延伸フィルムは、射出成形もしくは押出成形して
得られたシート状物を、通常PETの延伸に用いられる
一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のうちの任意の
延伸方法を用いて成形される。さらには、圧空成形、真
空成形によりカップ状やトレイ状に成形することもでき
る。延伸シート又はフィルムを製造するに際は、延伸温
度は通常70〜170℃、好ましくは80〜140℃で
ある。延伸は一軸でも二軸でもよいが、好ましくはフィ
ルム実用物性の点から二軸延伸である。延伸倍率は、一
軸延伸の場合であれば通常1.1〜10倍の範囲で行
い、二軸延伸の場合であれば、縦方向及び横方向ともそ
れぞれ通常1.1〜8倍の範囲で行えばよい。また、縦
方向倍率/横方向倍率は通常0.5〜2である。また、
得られた延伸フィルムは、さらに熱固定して、耐熱性、
機械的強度を改善することもできる。熱固定は、通常、
緊張下120〜200℃で、数秒〜数分間行われる。
【0048】本発明の樹脂組成物を用いて透明シートを
製造する場合は、従来よりPETやポリスチレンのシー
ト成形に用いられている溶融成形法により製造すること
ができる。これら溶融成形法としては、押出成形や射出
成形、プレス成形などが用いられる。
【0049】例えば、透明シートを押出キャスト成形に
より製造する場合には、通常、ギアポンプを経てTダイ
が接続された一軸または二軸の押出機のホッパーに原料
の樹脂組成物を供給して、押出機のシリンダ内で溶融さ
せてTダイからシート状に押出し、それをキャスティン
グロールにより冷却することで製造できる。この場合の
成形温度、具体的には押出機のシリンダ各部、ギヤポン
プ、Tダイの温度は、通常250〜320℃、好ましく
は260〜300℃である。キャスティングロールの表
面温度は、通常15〜70℃、好ましくは20〜60℃
に制御すればよい。
【0050】押出キャスト成形に用いる押出機は、シリ
ンダ部にベントポートを有していてもよいし、なくても
よい。原料の樹脂組成物は、結晶化処理直後または固相
重合処理直後のものである場合以外は、一般に数百から
数千ppmの水分を含有しているため、ベントポートが
ない押出機を用いる場合には、シリンダ内での樹脂組成
物の加水分解を防止するため、原料の樹脂組成物は乾燥
処理して、含水率を通常100ppm以下、好ましくは
50ppm以下にしてからホッパーに供給する。ベント
ポートを有する押出機を用いる場合には、そこからシリ
ンダ内を減圧してシリンダ内で樹脂組成物の実質的な乾
燥が行えるため、原料の樹脂組成物を乾燥せずに供給で
きるうえ、原料の樹脂組成物に含まれているアセトアル
デヒドなどの揮発性不純物をさらにシリンダ内で低減化
することもできる。通常ベントポートは、0〜7000
Pa、好ましくは0〜3000Pa、特に好ましくは0
〜700Paの減圧系に接続して用いられる。また、二
軸押出機を用いる場合のスクリューは噛み合い型、非噛
み合い型、不完全噛み合い型のいずれでもよい。
【0051】Tダイについては、リップからの溶融体の
吐出方向が水平方向であってもよいし、垂直方向であっ
てもよい。また、Tダイと押出機の間には、フィルター
やサンプリング弁等の付属装置が接続されていてもよ
い。キャスティングロールについては、静電密着装置や
タッチロール等の密着装置を有することが望ましい。透
明シートは、キャスティングロールを経た後にトリミン
グカッターでシート両端を切除した後、ロール状に巻き
取るかもしくはパネル状に切断して最終的に得られる。
【0052】このようにして得られる透明シートの厚さ
に関しては、通常0.1〜2mmである。詳しくは、透
明シートの最適な厚さは、成形体の設計、即ち製造する
成形体の大きさ、厚さ、形状、重量、力学物性、加工に
おいて変形させる程度(例えば、絞り加工における絞り
率)などにより異なる。一般的には、包装材料などに用
いられる絞り成形体やブロー成形体のための原反シート
は、厚さが通常0.1〜2mm、好ましくは0.15〜
1.5mm、特に好ましくは0.2〜1.2mmであ
る。透明シートの透明性に関しては、シートの厚さ方向
で測定したヘーズ値として0〜6%、好ましくは0〜4
%、特に好ましくは0〜2%である。ヘーズ値が6%を
越える場合には、成形体の白化が明らかに認められる。
【0053】透明シートの絞り加工に際しては、従来よ
りポリエステル製シートの絞り加工法として知られてい
るいずれの方法を用いてもよい。絞り加工の方法として
は、真空成形、圧空成形、スナップバック成形、レバー
スドロー成形、エアースリップ成形、プラグアシスト成
形、およびこれらを組み合わせた加工方法等が例示され
るが、いずれの方法を用いてもよい。加工温度はシート
温度として、通常80〜150℃、好ましくは90〜1
40℃であり、絞り率は通常0.01〜10倍、好まし
くは0.05〜5倍である。シート温度に関しては、シ
ートの表面と内部で温度が異なることがあるが、加工さ
れる全ての部分が上記温度範囲となるようにして加工す
るのが望ましい。さらにシート温度は、一般にできる限
り厚さ方向の温度ムラが少なくなるようにするのが望ま
しい。
【0054】ブロー加工に際しては、シート温度を通常
80〜150℃、好ましくは90〜140℃とした後、
所定金型内にブローして金型に沿った形状とする。この
際、例えば、ブロー開始時にロッドによりシートをシー
ト面に対して垂直方向に機械的に延ばすことで、ブロー
性を向上させることもできる。また、金型をPETボト
ル用の延伸ブロー用金型に例示されるような分割可動型
にすることで、本体断面よりも開口部の方が小さい成形
体を得ることが可能である。シート温度に関しては、シ
ートの表面と内部で温度が異なることがあるが、加工さ
れる全ての部分が上記温度の範囲となるようにして加工
するのが望ましい。さらにシート温度は、一般にできる
限り厚さ方向の温度ムラが少なくなるようにするのよ
い。本発明のポリエステル樹脂組成物を用いてなる絞り
成形体は、高温、高湿の環境下に曝される包装材料など
の透明材料として好適である。これら包装材料として
は、例えば、惣菜、フルーツ、団子、ティーバッグなど
のための食品包装用トレーやカップ、およびそれらの
蓋、電子部品などの包装に用いられる工業用トレー、歯
ブラシやヘッドフォンなどのためのブリスターパッケー
ジ、贈答品やキャラクターグッズなどのための包装用ケ
ースなどを挙げることができる。通常、これら包装材料
は、絞り加工やブロー加工などの三次元化加工して得ら
れた成形体からなり、その厚みは通常0.05〜1.5
mmである。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例によって限定されるものではない。本実施例で用
いた種々の測定法を以下に示す。なお、固有粘度の測定
法は前述の通りである。 (1)環状3量体含有量(以下「CT量」という) PET系樹脂(a)試料200mgを、クロロホルム/
ヘキサフルオロイソプロパノール(容量比3/2)混液
2mlに溶解し、さらにクロロホルム20mlを加えて
希釈した。これに、メタノール10mlを加え、試料を
再析出させた後、濾過し、濾液を得た。該濾液を乾固
後、残渣をジメチルホルムアミド25mlに溶解した液
について液体クロマトグラフ法にて分析、定量した。
【0056】(2)オリゴマー含有量(以下「OL量」
という) PEN系樹脂(b)試料200mgを、クロロホルム/
ヘキサフルオロイソプロパノール(容量比3/2)混液
2mlに溶解し、さらにクロロホルム20mlを加えて
希釈した。これに、メタノール10mlを加え、試料を
再析出させた後、濾過し、濾液を得た。該濾液を乾固
後、残渣をジメチルホルムアミド25mlに溶解した液
について液体クロマトグラフ法にて分析、定量した。 (3)ゲルマニウム原子、アンチモン原子、チタン原子
の含有量(以下「Ge量」、「Sb量」、「Ti量」と
いう) ポリエステル樹脂試料2.0gを硫酸存在下、常法によ
り灰化、完全分解後、蒸留水にて100mlに定容した
ものにつき、発光分光分析法により定量した。
【0057】(4)アセトアルデヒド含有量(以下「A
LD量」という) 160℃で2時間水抽出後、ガスクロマトグラフで定量
した。 (5)ヘーズ JIS K−7105に準拠して、ポリエステル成形体
のヘーズを測定した。
【0058】[PET系樹脂(a)の製造]所定量のテ
レフタル酸とエチレングリコールのスラリーを調製し、
250℃に保持したエステル化槽に4時間かけて順次供
給した。供給終了後、さらに250℃でエステル化反応
を進行させた後、半量を重縮合槽に移し、所定量の触媒
(二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、二酸化チタ
ンのいずれか)を仕込み、250℃から280℃まで漸
次昇温するとともに、常圧から漸次減圧し、70Paに
保持した。重縮合反応を行った後、生成したプレポリマ
ーを重縮合槽の底部に設けた抜出口よりストランド状に
抜き出し、水冷後、チップ状にカットした。該プレポリ
マーチップを攪拌結晶化機(Bepex社式)にて14
0℃にて予備結晶化させた後、静置固相重合塔に移し、
20リットル/kg/hrの窒素流通下、約140℃で
3時間乾燥後、210℃で固相重合することによりPE
T系樹脂(a)のチップを得た。重縮合反応に使用した
触媒量、重縮合反応時間、固相重合時間などを調整する
ことにより、表−1に示すPET系樹脂(a)1〜9を
得た。
【0059】
【表1】
【0060】[PEN系樹脂(b)の製造]所定量の
2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコール
のスラリーを調製し、250℃に保持したエステル化槽
に4時間かけて順次供給した。供給終了後、さらに25
0℃でエステル化反応を進行させた後、半量を重縮合槽
に移し、所定量の触媒(二酸化ゲルマニウム、三酸化ア
ンチモン、二酸化チタンのいずれか)を仕込み、250
℃から280℃まで漸次昇温するとともに、常圧から漸
次減圧し、70Paに保持した。重縮合反応を行った
後、生成したプレポリマーを重縮合槽の底部に設けた抜
出口よりストランド状に抜き出し、水冷後、チップ状に
カットした。該プレポリマーチップを攪拌結晶化機(B
epex社式)にて140℃にて予備結晶化させた後、
静置固相重合塔に移し、20リットル/kg/hrの窒
素流通下、約140℃で3時間乾燥後、210℃で固相
重合することによりPEN系樹脂(b)のチップを得
た。重縮合反応に使用した触媒量、重縮合反応時間、固
相重合時間などを調整することにより、表−1に示すP
EN系樹脂(b)11〜16を得た。
【0061】
【表2】
【0062】実施例1〜5、比較例1〜4 前記で得られた樹脂チップを所定比率でドライブレンド
した後、真空乾燥器を用い、真空条件下、140℃で1
2時間乾燥した。乾燥したチップ混合物を成形用の樹脂
組成物として、シリンダー型射出成形機(日精ASB機
械(株)製、ASB−50TH型)を用い、シリンダー
温度285℃、金型温度20℃、スクリュー回転数10
0rpm、射出時間14秒、冷却時間8秒、射出圧力4
0〜120kg/cm2 の条件で、外径30mm、長さ
145mm、肉圧4mmのプリフォームを成形し、これ
を軸方向に約2倍、円周方向に約3倍、面積倍率で約6
倍に延伸して、全高300mm、胴部外径80mm:胴
部肉厚0.35mm、内容積約1500mlのボトルを
連続成形した。470〜500本目のボトルについての
製品評価を実施した。評価結果(平均値)を表−3に示
す。
【0063】
【表3】 注1)EN単位:エチレンナフタレンジカルボキシレート
単位(モル%)
【0064】実施例6〜9、比較例5〜6 前記で得られた樹脂チップを所定比率でドライブレンド
した後、真空乾燥器を用い、真空条件下、140℃で1
2時間乾燥した。乾燥したチップ混合物を成形用の樹脂
組成物として、シリンダー型射出成形機(日精ASB機
械(株)製、ASB−50TH型)を用い、シリンダー
温度285℃、金型温度20℃、スクリュー回転数10
0rpm、射出時間14秒、冷却時間8秒、射出圧力4
0〜120kg/cm2 の条件で、外径30mm、長さ
145mm、肉圧4mmのプリフォームを成形し、これ
を軸方向に約2倍、円周方向に約3倍、面積倍率で約6
倍に延伸して、全高300mm、胴部外径80mm:胴
部肉厚0.35mm、内容積約1500mlのボトルを
連続成形した。470〜500本目のボトルについての
製品評価を実施した。評価結果(平均値)を表−4に示
す。
【0065】
【表4】 注2)EN単位:エチレンナフタレンジカルボキシレート単位(モル%)
【0066】実施例10〜13、比較例7〜8 表−5に示す通りに樹脂チップを所定比率でドライブレ
ンドした後、シート化装置としてギアポンプ、フィルタ
ー、Tダイなどが接続された日本製鋼所製TEX65型
同方向2軸押出機(ベントポート付き)を用いて、設定
温度295℃、ベントポート内部圧力1mmHg以下の
条件で押出し、表面温度を40℃としたキャスティング
ロール(タッチロール付き)を経て巻き取り、厚さ60
0μmの透明シートを成形した。該透明シートの物性値
を表−4に示す。
【0067】次いで、該透明シートを、浅野研究所製プ
ラグアシスト式真空圧空成形機を用いて、シート加熱時
間5秒、シート表面温度115℃、金型温度40℃の条
件にて、底面が縦11cm、横14cmの長方形であ
り、上端開口部が縦12.5cm、横15.5cmの長
方形であり、高さが3cmである四角錐台形状(絞り率
=0.24)であり、かつ開口部の外側に隣接して幅5
mmの平らなフランジ部を有するトレーに絞り加工し
た。このトレー成形を連続して行った。470〜500
個目のトレーの底面についてヘーズ値を測定した。評価
結果(平均値)を表−5に示す。
【0068】
【表5】 注2)EN単位:エチレンナフタレンジカルボキシレート単位(モル%)
【0069】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物は、成
形性、生産性に優れ、かつ透明性、耐熱性、耐衝撃性、
紫外線遮断性、ガスバリヤ−性、耐クリープ性などの諸
物性に優れたボトル、シート、フィルムなどの成形体材
料として好適である。本発明のポリエステル樹脂組成物
を用いた成形体は、例えば、従来の汎用PET製成形体
に比較して、高温・多湿の環境に長期間曝されても変形
を生じにくいという特徴を有する。従って、本発明のポ
リエステル樹脂組成物は、汎用のPETでは目標物性に
達しないような用途、例えば、耐熱ボトル、耐熱耐圧性
ボトル、繰り返し使用が可能リターナルボトル用途の材
料などとして使用可能性が大である。また、本発明のポ
リエステル樹脂組成物は絞り加工やブロー加工等に供さ
れる原反シートの原料として用いることで、オリゴマー
類によるシート成形時のロール汚れやシートを絞り加工
ないしはブロー加工した時の金型汚染が低減され、透明
性に優れるとともに、包装材として用いた場合に内容物
に異味や異臭の移行がない成形体を生産性良く製造する
ことができる。更に、本発明のポリエステル樹脂組成物
を成形して絞り容器を得る場合は、従来の汎用PET製
シートを用いた三次元成形体に比較して、耐湿熱変形性
と透明性が改善され、かつ耐衝撃性、耐薬品性、熱安定
性、ガスバリア性、紫外線遮断性、ヒートシール性、リ
サイクル性などに優れ、透明性が高く厚みの厚い三次元
成形体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/02 C08J 5/00 C08J 5/18

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
    レート単位である樹脂(a)x重量%と、主たる繰り返
    し単位がエチレンナフタレンジカルボキシレート単位で
    ある樹脂(b)y重量%から成るポリエステル樹脂組成
    物であって、(1)上記のxは5〜95、yは95〜
    5、(2)該組成物に占めるエチレンナフタレンジカル
    ボキシレート単位が7〜50モル%、(3)下記の式
    (I)、(II)で表されるAとBの和が25〜130、 【数1】 A=(x/100){[Ge]a+(1/3)[Sb]a+3[Ti]a} −−−(I) 【数2】 B=(y/100){[Ge]b+(1/3)[Sb]b+3[Ti]b} −−−(II) 式(I)、(II)において、[Ge]a、[Sb]a
    [Ti]aは、樹脂(a)のゲルマニウム原子含有量、
    アンチモン原子含有量、チタン原子含有量を各々示す
    (単位:ppm)。また[Ge]b、[Sb]b、[T
    i]bは樹脂(b)中ゲルマニウム原子含有量、アンチ
    モン原子含有量、チタン原子含有量を各々示す(単位:
    ppm)。)(4)下記の式(III)、(IV)で表され
    るMとNの和が0.80以下、 【数3】 M=(x/100)[CT]a −−−(III) 【数4】 N=(y/100)[OL]b −−−(IV) (式(III)、(IV)において、[CT]aは樹脂(a)
    中の環状三量体含有量(単位:重量%)、[OL]b
    樹脂(b)中のオリゴマー含有量(単位:重量%)を示
    す。)であることを特徴とするポリエステル樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 樹脂(a)のエチレンテレフタレート単
    位が80モル%以上である請求項1のポリエステル樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 樹脂(b)のエチレンナフタレンジカル
    ボキシレート単位が50モル%以上である請求項1又は
    2のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 樹脂(a)の固有粘度が0.6〜1.4
    dl/gであり、樹脂(b)の固有粘度が0.5〜1.
    3dl/gである請求項1ないし3のいずれかのポリエ
    ステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 下記の式(V)、(VI)で表されるSと
    Tの和が6.5以下である請求項1ないし4のいずれか
    のポリエステル樹脂組成物。 【数5】 S=(x/100)[ALD]a −−−(V) 【数6】 T=(y/100)[ALD]b −−−(VI)(式
    (V)、(VI)において、[ALD]a は樹脂(a)中
    のアセトアルデヒド含有量(単位:ppm)、[AL
    D]bは樹脂(b)中のアセトアルデヒド含有量(単
    位:ppm)を示す。)
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかのポリエス
    テル樹脂組成物を、射出成形もしくは押出成形によって
    プリフォームを成形した後、二軸延伸ブロー成形して成
    るポリエステル樹脂製容器。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれかのポリエス
    テル樹脂組成物を、射出成形または押出成形して成るポ
    リエステル製シート状物。
  8. 【請求項8】 厚さが0.1〜2mmである請求項7に
    記載のシート状物。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8のシート状物を絞り加工
    してなるポリエステル製絞り成形体。
  10. 【請求項10】 請求項7又は8のシート状物をブロー
    加工してなるポリエステル製ブロー成形体。
  11. 【請求項11】 請求項7又は8のシート状物を、少な
    くとも一方向に延伸して成るポリエステル製延伸フィル
    ム。
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