JP3700906B2 - 電動ガン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した又は連結部に独立して回動自在に軸支した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、前記第1および第2ガンア―ムの連結部より後方に配置した電動機の出力軸に減速機を接続し、該減速機の出力側に設けた動力伝達機構により前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにした電動ガンに関し、特にそのア―ムの回動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、エアシリンダのピストンロッドにより前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにした溶接ガン(以下,前者という)は公知である(例えば実公昭52ー44582号公報参照)。
【0003】
また、X型電動ガンにおいて、サ―ボモ―タの容量を小さく抑えて高加圧力を得るために、ガンブラケットと一体化した第1ガンア―ムに対してガンブラケットに回動自在に軸支された第2ガンア―ムをサ―ボモ―タ,減速装置を介して減速装置の出力側に固定された出力円板と該出力円板の外周寄り位置に設けたピンと該ピンと前記第2ガンア―ムの後端間を連結するように設けられたコネクタア―ム(リンク)によって構成されたクランク機構(加圧機構)によって加圧するようにしたもの(以下,後者という)がある(例えば特開平9ー248678号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで前記公知の前者の溶接ガンでは、エアシリンダからのピストンロッドをガンア―ムの駆動に用いているため、加圧力の調整や開放ストロ―クの調整が困難である、という問題がある。
【0005】
また、前記公知の後者のガンア―ムの回動手段では、サ―ボモ―タの容量を小さく抑えるために、減速装置を介した出力円板の中心と該円板の外周寄り位置に設けたピンの中心を結ぶ線と、前記第2ガンア―ムの後端と前記ピンをつなぐリング、とのなす角度が180度となる少し手前に位置で加圧動作を行わせ、所謂トグル機構を利用して加圧力の増大を図っている。ところが、このような加圧手段では、円板の回転トルクに対するリンクの出力の関係から、円板の回転角度の変化量に対して加圧力の変化度合が大きく、それも一次関数的な変化ではなく、180度に近付くほど指数関数的に変化し、ピンとリンクのなす角度の少しの変化で電極加圧力は大きく変化するものである。そして、溶接機の実使用上では、電極の摩耗量の変化の他にア―ムの撓み量が各加圧力毎に変化することと主軸部を含めた各支持ピン軸受の経年摩耗の変化によって上記角度が変化して安定した角度が得難いものである。そのため、円板の回転角度の変化量に対して加圧力が指数関数的に変化するトグル機構の特性から、前記公知の技術では設定加圧値に合った正確な加圧力を得るように制御することは極めて難しい、という問題がある。
【0006】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1ないし第4ガンア―ムを備えた2セットの電極を有する電動ガンにおいて各セットにおける加圧力の調整や開放ストロ―クの調整が極めて容易であり、且つ電極や軸受の摩耗や各加圧力毎に変化するガンア―ムの撓み等に電極加圧力が影響を受けることなく、簡単な制御で設定した加圧力に対して正確な加圧力が出力され、安定した加圧力が得られる電動ガンを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明における電動ガンは、それぞれ先端に電極を有する第1ないし第4ガンア―ムを備え、第1ガンア―ムの電極を第2ガンア―ムの電極と、第3ガンア―ムの電極を第4ガンア―ムの電極とそれぞれ相対向させて2セットの電動ガンとし、第1及び第3ガンア―ムを固定ア―ムとし、第2及び第4ガンア―ムを可動ア―ムとして、電動機の駆動により減速機を介して前記両可動ア―ムの電極に対して、一方の電極が加圧動作時に他方の電極に開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたことを特徴とするものである。
また、先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、前記第1および第2ガンア―ムの連結部より後方に配置した電動機の出力軸にガンブラケットに固定した減速機を接続し、該減速機の出力側に設けた動力伝達機構により前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにし、該動力伝達機構が、減速機の出力側に固定された揺動レバ―と、該レバ―と第2ガンア―ム間又は第4ガンア―ム間に形成されたリンクとからなり、前記揺動レバ―とリンクはガンブラケットを固定節としたほぼ平行四節リンクの構成要員とし、前記電動機軸のトルクと、前記揺動レバ―の先端からリンクを介して電極に伝達される電極加圧力とがほぼ線形関係にあるように揺動レバ―とリンクを連結し、且つ第1および第2ガンア―ムの加圧動作時に第3および第4ガンア―ムが開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
また、先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、前記第1および第2ガンア―ムの連結部より後方に配置した電動機の出力軸にガンブラケットに固定した減速機を接続し、該減速機の出力側に設けた動力伝達機構により前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにし、該動力伝達機構が、減速機の出力側に固定された揺動レバ―と、該レバ―と第2ガンア―ム間又は第4ガンア―ム間に形成されたリンクとからなり、前記揺動レバ―とリンクはガンブラケットを固定節としたほぼ平行四節リンクの構成要員とし、前記電動機軸のトルクと、前記揺動レバ―の先端からリンクを介して電極に伝達される電極加圧力とがほぼ線形関係にあるように揺動レバ―とリンクを連結し、且つ第1および第2ガンア―ムの加圧動作時に第3および第4ガンア―ムが開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
また、先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、前記第1および第2ガンア―ムの連結部より後方に配置した電動機の出力軸に減速機を接続し、該減速機の出力側に設けた動力伝達機構により前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにし、該動力伝達機構が、減速機の出力側に固定された揺動レバ―と、該揺動レバ―に設けた溝又はロ―ラと、前記第2ガンア―ムに設けたロ―ラ又は溝とからなり、揺動レバ―の揺動時に減速機の出力軸とロ―ラと連結部とが同一直線上になる位置を、第1および第2ガンア―ムによる加圧位置と第3および第4ガンア―ムによる加圧位置のほぼ中間位置にし、前記電動機軸のトルクと、前記揺動レバ―の先端からロ―ラ又は溝を介して電極に伝達される電極加圧力とがほぼ線形関係にあるように、前記揺動レバ―の先端を第2ガンア―ムに設けたロ―ラ又は溝を揺動レバ―の先端の溝又はロ―ラに接続し、且つ第1および第2ガンア―ムが加圧動作時に第3および第4ガンア―ムが開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
また、先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、前記第1および第2ガンア―ムの連結部より後方に配置した電動機の出力軸に減速機を接続し、該減速機の出力側に設けた動力伝達機構により前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにし、該動力伝達機構が、減速機の出力側に固定されたギヤと、第2ガンア―ムに設けられたギヤとからなり、これら両ギヤの噛合い箇所を減速機の出力軸と連結部を結ぶ直線上にほぼ位置させ、前記電動機軸のトルクと、前記減速機の出力側に固定されたギヤから第2ガンア―ムに設けられたギヤを介して電極に伝達される電極加圧力とがほぼ線形関係にあるように減速機の出力側に固定されたギヤと第2ガンア―ムに設けられたギヤとを噛み合わせ、且つ第1および第2ガンア―ムが加圧動作時に第3および第4ガンア―ムが開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は本発明に係る電動ガンの側面図、図2はその平面図、図3は本発明に係る電動ガンの他の実施例の側面図、図4は更に他の実施例の側面図、図5は更にまた他の実施例の側面図であり、いずれの図も二次電流回路等についてはその図示を省略している。
【0012】
図1および図2において、1は固定ガンア―ムであり本発明における第1ガンア―ムを構成するものであって、先端に電極2を備えていると共に、後端は枢軸からなる連結部3に固定されている。また、4は可動ガンア―ムであり本発明における第2ガンア―ムを構成するものであって、先端に前記電極2と対向する電極5を備え中間上部にはリンク6が接続されていると共に、後端は前記枢軸からなる連結部3に回動可能に軸支されている。そして、これら第1ガンア―ム1と第2ガンア―ム4とでX型電動溶接機を構成している。また、前記第1ガンア―ム1の中間から下方に固定ガンア―ムである第3ガンア―ム7が分岐され該第3ガンア―ム7の先端には電極8が備えられ、更に前記第2ガンア―ム4の後端の連結部3からは可動ガンア―ムである第4ガンア―ム9が延長され該第4ガンア―ム9の先端には前記電極8と対向する電極10が備えられている。
【0013】
また、11はガンブラケットであり、該ガンブラケット11の先端には前記枢軸からなる連結部3が形成されていると共に、後端は図示しないロボットの手首に接続されるようになっている。そして、該ガンブラケット11の中間上方には電動機12が取付けられ、該電動機12の出力軸13とガンブラケット11内に配置された減速機14とは例えばベルト伝動装置15によって接続されている。
【0014】
前記減速機14の出力側には板体からなる揺動レバ―16が固着されている。また、前記第2ガンア―ム4の中間上部には前記リンク6の一端が枢軸17されており、該リンク6の他端は前記揺動レバ―16の先端に枢軸18されている。そして、揺動レバ―16の中心点19と連結部3間のガンブラケット11と、揺動レバ―16と、リンク6と、軸17と連結部3間のア―ム4とで動力伝達機構はガンブラケット11を固定節としたほぼ平行四節リンクを形成するようになっている。なお、20は前記ガンブラケット11の後部に取付けられた溶接機用トランスである。
【0015】
上記のような構成からなる電動ガンにおいて、電動機12は正逆交互に回転するようになっている。そして、図1に示すように上下の電極2,5をワ―ク21に当接・加圧させた状態(この時,電極8,10は開放状態にある)で溶接を終了したならば、電動機12を例えば時計方向に回転させると、その回転が減速機14で減速されて揺動レバ―16を時計方向に回動させ、第2ガンア―ム4はリンク6によって引かれて開放動作を行う(この時,電極8,10は加圧動作に入る)。そして、第1および第2ガンア―ムが開放状態で電動ガンはロボットにより移動され次のワ―クに導かれて、下部の電極2をワ―クに当接させた状態で電動機12を逆転させる。この回転が減速機14で減速されて揺動レバ―16を反時計方向に回動させ、第2ガンア―ム4はリンク6によって押されて加圧動作を行い(この時,電極8,10は開放動作を行う)、図1の状態に戻り溶接作業を行う(以上は第1および第2ガンア―ムによる溶接作業を行わせ、第3および第4ガンア―ムによる溶接作業は行わせない場合の説明である)。
【0016】
そして、図1の状態から第3および第4ガンア―ムによる溶接作業を行わせるには、電極8にワ―クを当接させて、電動機12を例えば時計方向に回転させて電極8,10を加圧動作させ、第3および第4ガンア―ムによる溶接作業が終了したならば、電動機12を逆転させて電極8,10を開放状態とすればよい。
【0017】
このように、該電動ガンにおいては、電動機12の急速回転が減速機14で減速された後、揺動レバ―16とリンク6を介して第2ガンア―ム4および第4ガンア―ム9を開放或は加圧動作させるので、電動機12の軸換算の慣性モ―メント値が小さくなり、その結果,電動ガンの電極開閉時の加減速時間が短くなって溶接機の打点速度の短縮が有効に望めるものである。また、減速機14で出力を増幅した後に揺動レバ―16,リンク6を介して第2ガンア―ム4および第4ガンア―ム9を開放或は加圧動作させるので、電極5,10よる加圧力にばらつきが生ずることが少なく所望の溶接ができ、しかも、比較的に直径の大きな減速機14をガンア―ム1,4の連結部3より後方に配置したため、従来例のようなガンア―ムの有効懐深さが小さくなることもなく、大きなワ―クへのガンの適用が可能となる。また、電動機12の正転時と逆転時のトルクと回転量は自由に変えることが可能であるので、電極2,5による溶接と電極8,10による溶接はそれぞれ独立してワ―クに最適な加圧力および開放ストロ―クを選定することができるものである。
【0018】
そして、前述の如く、動力伝達機構は揺動レバ―16,リンク6はガンブラケット11を固定節としたほぼ平行四節リンクの構成要員となっていることから、揺動レバ―16が固定された減速機14の出力軸の出力である電動機軸13の出力と、前記揺動レバ―16の先端からリンク6を介して電極5,10に伝達される電極加圧力とは比例してほぼ線形関係にあるので、簡単な制御で設定した加圧力に対して正確な加圧力が得られる。しかも、第2ガンア―ム4および第4ガンア―ム9の変位角度と揺動レバ―16の変化角度が同一角度であるので、電極摩耗による電極位置補正や第2ガンア―ム4および第4ガンア―ム9の開放角度の制御も極めて容易である。
【0019】
なお、以上の実施例では、リンク6を揺動レバ―16と第2ガンア―ム4の間に設けたものについて説明をしたが、このリンク6は揺動レバ―16と第4ガンア―ム9の間に設けても略同様の動作を行うものである。
【0020】
次に図3に示す実施例について説明をする。この実施例の場合、揺動レバ―16に二個のリンク接合部を設けると共に、第2ガンア―ム4および第4ガンア―ム9にそれぞれリンクを接合した以外は前の実施例と実質的に同一であるので、実質的に同一部材については同一符号を付してその説明を省略することがある。図において、揺動レバ―16はその上下にリンク接合部を備えるように形成されている。そして、第2ガンア―ム4の中間上部にリンク6aの一端が枢軸17されており、該リンク6aの他端は前記揺動レバ―16の上部のリンク接合部に枢軸18されている。また、第4ガンア―ム9にリンク6bの一端が枢軸22されており、該リンク6bの他端は前記揺動レバ―16の下部のリンク接合部に枢軸23されている。
【0021】
したがって、この実施例の場合、リンク6a,6bが協働して第2ガンア―ム4および第4ガンア―ム9の開閉を確実に行わせるものである。
なお、第4ガンア―ム9は第2ガンア―ム4から延長させることなく、前記連結部に独立して回動自在としてもよく、この場合には、リンク6aによって第2ガンア―ム4が開閉され、リンク6bによって第4ガンア―ム9が開閉されるようになる。
【0022】
次に図4に示す実施例について説明をする。なお、この場合も前の実施例と実質的に同一部材については同一符号を付してその説明を省略することがある。
図において、31は第2ガンア―ム4の後部上方に取付けられたロ―ラであり、また揺動レバ―16の先端には溝32が形成されており、前記ロ―ラ31は溝32の内周に沿って移動可能になっている。
【0023】
また、ガンブラケット11には、溶接機用トランス20が取付けられていると共に、該溶接機用トランス20には、電動機の出力軸に接続された減速機14が保持されている。
【0024】
上記のような構成からなる電動ガンにおいて、図4に示すように上下の電極2,5をワ―ク21に当接・加圧させた状態(この時,電極8,10は開放状態にある)で溶接を終了したならば、電動機を反時計方向に回転させると、その回転が減速機14で減速されて揺動レバ―16を反時計方向に回動させ、第2ガンア―ム4はロ―ラ31を介して揺動レバ―16によって引かれて開放動作を行う(この時,電極8,10は加圧動作に入る)。そして、ガンは開放状態でロボットにより移動され次のワ―クに導かれて、下部の電極2をワ―クに当接させた状態で電動機を逆転させる。この回転が減速機14で減速されて揺動レバ―16を時計方向に回動させ、第2ガンア―ム4はロ―ラ31を介して揺動レバ―16によって押されて加圧動作を行い(この時,電極8,10は開放動作を行う)、図4の状態に戻り溶接作業を行う。なお、前記第2ガンア―ム4の開放動作および加圧動作時にロ―ラ31は揺動レバ―16に形成された前記溝32の内周に沿って移動可能であるので揺動レバ―16に無理な力が掛ることはない。(以上は第1および第2ガンア―ムによる溶接作業を行わせ、第3および第4ガンア―ムによる溶接作業は行わせない場合の説明である)。
【0025】
そして、図4の状態から第3および第4ガンア―ムによる溶接作業を行わせるには、電極8にワ―クを当接させて、電動機12を例えば反時計方向に回転させて電極8,10を加圧動作させ、第3および第4ガンア―ムによる溶接作業が終了したならば、電動機12を逆転させて電極8,10を開放状態とすればよい。
【0026】
そして、この実施例の場合には、第2ガンア―ム4に設けたロ―ラ31を揺動レバ―16の先端の溝32内に移動可能に配置し、揺動レバ―16の揺動時に減速機14の出力軸33とロ―ラ31と連結部3とが同一直線上になる位置を、第1および第2ガンア―ムによる加圧位置と第3および第4ガンア―ムによる加圧位置のほぼ中間位置にすることにより、揺動レバ―16が固定された減速機14の出力軸33の出力である電動機軸の出力と、前記揺動レバ―16の先端からロ―ラ31を介して電極5又は電極10に伝達される電極加圧力とはほぼ比例してほぼ線形関係にあるので、電極2,5,8,10等の摩耗やガンア―ム1,4,7,9等の撓み量の変化や各軸受の摩耗等によっても電極加圧力が影響を受けることが少ない。しかも、第2ガンア―ム4や第4ガンア―ム9の変位角度と揺動レバ―16の変化角度がほぼ直線的な比例関係にあるので、電極摩耗による電極位置補正や第2ガンア―ム4や第4ガンア―ム9の開放角度の制御も極めて容易である。
【0027】
なお、この実施例の場合、第2ガンア―ム4の後部上方にロ―ラ31を取付け、揺動レバ―16の先端に溝32を形成して前記ロ―ラ31を溝32の内周に沿って移動可能としたが、第2ガンア―ム4の後部上方に溝を形成し、揺動レバ―16の先端にロ―ラを取付けて該ロ―ラを前記溝の内周に沿って移動可能としても、実質的にほぼ同様の動作を行うものである。
【0028】
次に図5に示す実施例について説明をする。なお、この場合も前の実施例と実質的に同一部材については同一符号を付してその説明を省略することがある。
図において、41は第2ガンア―ム4の後端部に取付けられたギヤであり、また42は揺動レバ―16の先端に形成されたギヤ(減速機14の出力軸33に固定されたギヤ)であり、両ギヤ41,42は相互に噛合い状態にある。
【0029】
上記のような構成からなる電動ガンにおいても、電動機の正逆交互に回転により、減速機14の出力軸33に固定されたギヤ42によって第2ガンア―ム4および第4ガンア―ム9の開放動作或は加圧動作を行わせることができる。そして、両ギヤ41,42の噛合い箇所が軸33と連結部3を結ぶ直線上にほぼ位置していることから、直前の実施例と実質的にほぼ同様の動作を行うものである。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る電動ガンは、上述のように、請求項1の発明においては、それぞれ先端に電極を有する第1ないし第4ガンア―ムを備え、第1ガンア―ムの電極を第2ガンア―ムの電極と、第3ガンア―ムの電極を第4ガンア―ムの電極とそれぞれ相対向させて2セットの電動ガンとし、第1及び第3ガンア―ムを固定ア―ムとし、第2及び第4ガンア―ムを可動ア―ムとして、電動機の駆動により減速機を介して前記両可動ア―ムの電極に対して、一方の電極が加圧動作時に他方の電極に開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたので、第1および第2ガンア―ムを用いた溶接と、第3および第4ガンア―ムを用いた溶接は、それぞれ独立してワ―クに最適な加圧力および開放ストロ―クを選定することができる電動ガンである。
また、請求項2ないし5の発明においても、先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した又は連結部に独立して回動自在に軸支した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、前記第1および第2ガンア―ムの連結部より後方に配置した電動機の出力軸に減速機を接続し、該減速機の出力側に設けた動力伝達機構により前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにし、且つ第1および第2ガンア―ムの加圧動作時に第3および第4ガンア―ムが開放動作を行うようにしたので、該電動ガンにおいては電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変えることが可能であり、第1および第2ガンア―ムを用いた溶接と、第3および第4ガンア―ムを用いた溶接は、それぞれ独立してワ―クに最適な加圧力および開放ストロ―クを選定することができる電動ガンである。
【0031】
また、請求項2ないし5の発明においては、比較的に直径の大きな減速機をガンア―ムの連結部より後方に配置したため、従来例のようなガンア―ムの有効懐深さが小さくなることもなく、大きなワ―クへのガンの適用が可能となる電動ガンでありながら、電動機軸のトルクと、電極に伝達される電極加圧力とがほぼ線形関係にあるようにしたので、簡単な制御で設定した加圧力に対して正確な電極加圧力が得られ、しかも電極の摩耗やガンア―ムの撓み量の変化や各軸受の摩耗等によっても、電極加圧力が影響を受けることがない。また、ガンア―ムの変位角度と電動機の回転数も一次関数的に比例しているので、位置の制御も容易な電動ガンである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る電動ガンの側面図である。
【図2】図2はその平面図である。
【図3】図3は本発明に係る電動ガンの他の実施例の側面図である。
【図4】図4は更に他の実施例の側面図である。
【図5】図5は更にまた他の実施例の側面図である。
【符号の説明】
1 第1ガンア―ム
2,5,8,10 電極
3 連結部
4 第2ガンア―ム
6,6a,6b リンク
7 第3ガンア―ム
9 第4ガンア―ム
12 電動機
13 電動機の出力軸
14 減速機
16 揺動レバ―
31 ロ―ラ
32 溝
41,42 ギヤ
Claims (5)
- それぞれ先端に電極を有する第1ないし第4ガンア―ムを備え、第1ガンア―ムの電極を第2ガンア―ムの電極と、第3ガンア―ムの電極を第4ガンア―ムの電極とそれぞれ相対向させて2セットの電動ガンとし、第1及び第3ガンア―ムを固定ア―ムとし、第2及び第4ガンア―ムを可動ア―ムとしとして、ガンブラケットに固定された電動機の出力軸に減速機を接続し、該減速機の出力側を揺動レバ―及びリンクを介して前記可動ア―ムの一方に接続し、前記両可動ア―ムの電極に対して、一方の電極が加圧動作時に他方の電極に開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたことを特徴とする電動ガン。
- 先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、前記第1および第2ガンア―ムの連結部より後方に配置した電動機の出力軸にガンブラケットに固定した減速機を接続し、該減速機の出力側に設けた動力伝達機構により前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにし、該動力伝達機構が、減速機の出力側に固定された揺動レバ―と、該レバ―と第2ガンア―ム間又は第4ガンア―ム間に形成されたリンクとからなり、前記揺動レバ―とリンクはガンブラケットを固定節としたほぼ平行四節リンクの構成要員とし、前記電動機軸のトルクと、前記揺動レバ―の先端からリンクを介して電極に伝達される電極加圧力とがほぼ線形関係にあるように揺動レバ―とリンクを連結し、且つ第1および第2ガンア―ムの加圧動作時に第3および第4ガンア―ムが開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたことを特徴とする電動ガン。
- 先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した又は連結部に独立して回動自在に軸支した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、前記第1および第2ガンア―ムの連結部より後方に配置した電動機の出力軸にガンブラケットに固定した減速機を接続し、該減速機の出力側に設けた動力伝達機構により前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにし、該動力伝達機構が、減速機の出力側に固定されリンク接合部を二個備えた揺動レバ―と、該レバ―の一方のリンク接合部と第2ガンア―ム間及び他方のリンク接合部と第4ガンア―ム間に形成された各リンクとからなり、前記揺動レバ―とリンクはガンブラケットを固定節としたほぼ平行四節リンクの構成要員とし、前記電動機軸のトルクと、前記揺動レバ―の先端から各リンクを介して電極に伝達される電極加圧力とがほぼ線形関係にあるように揺動レバ―と各リンクを連結し、且つ第1および第2ガンア―ムの加圧動作時に第3および第4ガンア―ムが開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたことを特徴とする電動ガン。
- 先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、前記第1および第2ガンア―ムの連結部より後方に配置した電動機の出力軸に減速機を接続し、該減速機の出力側に設けた動力伝達機構により前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにし、該動力伝達機構が、減速機の出力側に固定された揺動レバ―と、該揺動レバ―に設けた溝又はロ―ラと、前記第2ガンア―ムに設けたロ―ラ又は溝とからなり、揺動レバ―の揺動時に減速機の出力軸とロ―ラと連結部とが同一直線上になる位置を、第1および第2ガンア―ムによる加圧位置と第3および第4ガンア―ムによる加圧位置のほぼ中間位置にし、前記電動機軸のトルクと、前記揺動レバ―の先端からロ―ラ又は溝を介して電極に伝達される電極加圧力とがほぼ線形関係にあるように、前記揺動レバ―の先端を第2ガンア―ムに設けたロ―ラ又は溝を揺動レバ―の先端の溝又はロ―ラに接続し、且つ第1および第2ガンア―ムが加圧動作時に第3および第4ガンア―ムが開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆 転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたことを特徴とする電動ガン。
- 先端に相対向する電極を備えた第1および第2ガンア―ムを軸支してなるX型電動溶接機の第1ガンア―ムから分岐した第3ガンア―ムを形成すると共に、前記第2ガンア―ムから延長した第4ガンア―ムを形成し、第3ガンア―ムの先端に設けた電極に第4ガンア―ムの先端に設けた電極を対向させ、前記第1および第2ガンア―ムの連結部より後方に配置した電動機の出力軸に減速機を接続し、該減速機の出力側に設けた動力伝達機構により前記第2および第4ガンア―ムを回動させるようにし、該動力伝達機構が、減速機の出力側に固定されたギヤと、第2ガンア―ムに設けられたギヤとからなり、これら両ギヤの噛合い箇所を減速機の出力軸と連結部を結ぶ直線上にほぼ位置させ、前記電動機軸のトルクと、前記減速機の出力側に固定されたギヤから第2ガンア―ムに設けられたギヤを介して電極に伝達される電極加圧力とがほぼ線形関係にあるように減速機の出力側に固定されたギヤと第2ガンア―ムに設けられたギヤとを噛み合わせ、且つ第1および第2ガンア―ムが加圧動作時に第3および第4ガンア―ムが開放動作を行わせると共に電動機の正転時と逆転時のトルクと回転角度を自由に変え得るようにしたことを特徴とする電動ガン。
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- 1998-05-13 JP JP14669498A patent/JP3700906B2/ja not_active Expired - Lifetime
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