JP3698139B2 - 実装ケース入り電気光学装置及び投射型表示装置並びに実装ケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶プロジェクタ等の投射型表示装置にライトバルブとして用いられる液晶パネル等の電気光学装置を実装するための実装ケース、また該実装ケースに当該電気光学装置が実装或いは収容されてなる実装ケース入り電気光学装置、及びこのような実装ケース入り電気光学装置を備えてなる投射型表示装置の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
一般に、液晶パネルを液晶プロジェクタにおけるライトバルブとして用いる場合、該液晶パネルは、液晶プロジェクタを構成する筐体等にいわば裸の状態で設置されるのではなく、該液晶パネルを適当な実装ケースに実装ないし収容した上で、この実装ケース入り液晶パネルを、前記筐体等に設置することが行われる。これは、当該実装ケースに適当なねじ孔等を設けておくことで、液晶パネルの前記筐体等に対する固着を容易に実施することなどが可能となるからである。
【0003】
このような液晶プロジェクタでは、光源から発せられた光源光は、当該実装ケース入り液晶パネルに対して集光された状態で投射されることになる。そして、液晶パネルを透過した光は、スクリーン上に拡大投射されて画像の表示が行われることになる。このように液晶プロジェクタにおいては、拡大投射が一般に予定されているため、前記光源光としては、例えばメタルハライドランプ等の光源から発せられる比較的強力な光が使用されることになる。
【0004】
すると、まず、実装ケース入り液晶パネル、とりわけ液晶パネルの温度上昇が問題となる。すなわち、このような温度上昇が生じると、液晶パネル内において一対の透明基板間に挟持されている液晶の温度も上昇して、該液晶の特性劣化を招く。また特に光源光にむらがあった場合には、部分的に液晶パネルが加熱されて所謂ホットスポットが発生して、液晶の透過率のムラができて投射画像の画質が劣化する。
【0005】
このような液晶パネルの昇温を防止する技術としては、例えば特許文献1等に開示されているものが知られている。この特許文献1では、液晶パネル及び該液晶パネルを収容保持するとともに放熱板が備えられたパッケージ(本明細書にいう「実装ケース」に該当する。)からなる液晶表示モジュールにおいて、前記液晶パネル及び前記放熱板間に放熱シートを設けることにより、液晶パネルの昇温を防止する技術が開示されている。
【0006】
また、このような問題点に対処するため、その他にも、液晶パネルの光入射側に位置する基板に遮光膜を設けること、液晶パネルを実装あるいは収納してなる実装ケースを光反射性材料から構成すること等といった技術も知られている。
【0007】
【特許文献1】
再表WO98/36313
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来における液晶パネルの昇温防止対策には次のような問題点がある。すなわち、光源光からの強力な光が投射される限り、液晶パネルの温度上昇の問題は常に顕在化するおそれがあるから、更なる高画質化等を図るためには、上記各種の対策に代えて又は加えて、より効率的な温度上昇の防止対策が要求されているという点である。
【0009】
例えば、前記の特許文献1で開示されている放熱シートを利用する対策では、たしかに液晶パネルに蓄積されていく熱を外部へと有効に放射することが可能になるとは考えられるものの、この特許文献1では、放熱「板」或いは放熱「シート」というように、或いは特許文献1のFig2等に示されているように、該放熱シートは、基板全面を覆うようにして設けられることが前提とされているようであるから、反射型の液晶パネルには利用できても、透過型の液晶パネルに対しては無力である。
【0010】
また、遮光膜及び実装ケースによる光反射対策では、それらの面積を増大させれば反射光量が増大するから、たしかに液晶パネルの温度上昇の防止を相応に達成することができると考えられるものの、反射光量をむやみ増大させると、実装ケース入り液晶パネルを収納するハウジング内の迷光を増加させることとなって、画像の品質に悪影響を及ぼすことが考えられる。また、遮光膜については、その面積を広げれば広げるほど、液晶パネルに本来入射・透過されるべき光源光の量が減ることになるから、画像が暗くなってしまうことが考えられる。これでは、より明るい画像を表示しようとして、強力な光源光を用いているという趣旨に反することになる。このように、上記の対策は、抜本的に問題を解決するものとはいえない点にも問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、比較的強力な投射光が入射される電気光学装置における温度上昇を効率的に抑制可能とする、実装ケース入り電気光学装置及びこれを備えてなる投射型表示装置を提供することを課題とする。また、本発明は、このような実装ケース入り電気光学装置に使用されて好適な実装ケースを提供することをも課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の実装ケース入り電気光学装置は、上記課題を解決するため、画像表示領域に光源から光が入射される電気光学装置と、該電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記プレートとで前記電気光学装置を収容するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースとを備えた実装ケース入り電気光学装置であって、前記カバーは、その表面積を増大させる表面積増大手段を備えている。さらに具体的には、前記プレートは、前記電気光学装置の側面に対向する折り曲げ部を備え、前記カバーは、前記カバーの内側面が前記プレートの前記折り曲げ部に接するとともに、前記カバーの外表面には表面積増大手段として複数のフィンを備えている。
また、本発明の実装ケース入り電気光学装置は、画像表示領域に光源から光が入射される電気光学装置と、
該電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記プレートとで前記電気光学装置を収容するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレートで保持するように当該電気光学装置を収納する実装ケースとを備えた実装ケース入り電気光学装置であって、
前記プレートは、前記電気光学装置の側面に対向する折り曲げ部を備え、
前記カバーは、前記電気光学装置の側面に対向する側壁部を有し、前記側壁部の内側面が前記プレートの前記折り曲げ部に接するとともに、前記側壁部の外表面には前記折り曲げ部に対向する位置に複数のフィンを備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明の実装ケース入り電気光学装置によれば、画像表示領域に光源から光が入射される電気光学装置が、カバー及びプレートからなる実装ケース内に実装される。このような電気光学装置としては、例えば投射型表示装置におけるライトバルブとして実装される液晶装置或いは液晶パネルが挙げられる。なお、このような実装ケースには、電気光学装置の周辺領域を少なくとも部分的に覆うことにより、当該周辺領域における光抜けを防止したり或いは周辺領域から画像表示領域内に迷光が進入するのを防止する遮光機能を持たせてもよい。
【0014】
そして、本発明では特に、前記カバーは、その表面積を増大させる表面積増大手段を備えている。これにより、カバーの放熱能力を高めることができ、もって電気光学装置の効果的な冷却を実現することができる。これは以下の事情による。
【0015】
まず、電気光学装置には前記光が入射されることにより、該電気光学装置の温度は上昇する。すると、この電気光学装置の熱は、前記周辺領域を保持するプレート及びカバーの少なくとも一方に直接的に伝達され、或いはプレートに伝達された熱は前記当接する部分を介してカバーに間接的に伝達されることになる。この場合、これらプレート及びカバーは、電気光学装置に対するヒートシンクとして機能しているということができる。ここで、本発明においては、カバーには表面積増大手段が備えられていることにより、該カバーの放熱能力、或いは冷却能力は高められている。したがって、カバーは、殆ど常に、好適に冷却された状態にされているということができる。このことは、該カバーが、前述のヒートシンクとしてよりよく機能するということを意味する。
【0016】
以上の結果、本発明によれば、電気光学装置の効果的な冷却が実現されることになるのである。したがって、本発明では、電気光学装置の温度上昇によって発生する不具合(例えば、該電気光学装置を構成し得る液晶層の特性劣化、或いは該液晶層中におけるホットスポットの発生等)を被らなくて済むから、より高品質な画像を表示することが可能となる。
【0017】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の一態様では、前記カバーは、前記電気光学装置の側面に対向する側壁部を有し、前記表面積増大手段は、前記側壁部の表面積を増大させる。
【0018】
この態様によれば、表面積増大手段によって、カバーの表面積が増大されるのは、前記側壁部ということになる。ここで、側壁部とは、上述のように電気光学装置の側面に対向する部分であることから、カバー全体において占める割合は、そもそも当初より大きいということができる。本態様では、このようなカバー全体の中で比較的広範な面積を有している側壁部において、前記表面積増大手段が備えられていることにより、カバー全体の面積増大効果をより効果的に享受できることになる。
【0019】
したがって、本態様によれば、前述したようなカバーの放熱能力をより効果的に向上させ、もって電気光学装置の冷却効果をより効果的に享受することができることになる。
【0020】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記表面積増大手段は、前記カバーの表面に突出するように形成されたフィンを含む。
【0021】
この態様によれば、比較的容易にカバーの表面積を増大させることができる。
【0022】
なお、本態様にいう「フィン」は、カバー本体を形成するのに併せて又はその後に、例えば切削加工、鍛造加工、プレス加工、射出成形又は鋳造等により形成することが可能である。
【0023】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記フィンは、当該実装ケース入り電気光学装置に対して送られてくる冷却風の流れに沿うようにして形成されている。
【0024】
この態様によれば、フィンは、実装ケース入り電気光学装置に対して送られてくる冷却風の流れに沿うようにして形成されているから、当該フィンに起因するカバーの冷却効果を効果的に引き出すことができる。
【0025】
すなわち仮に、フィンが冷却風の流れを阻害するように形成されているとすると、当該冷却風は、それ以降の部分に流れることが困難となるため、カバーの冷却を効果的に行うことができなくなる。しかし、フィンが冷却風の流れに沿うようにして形成されていれば、当該フィンが冷却風の流れをストップするということがなく、カバー全体に冷却風を行き渡らせることが可能である。これにより、本態様によればカバーの冷却を効果的に行うことができるのである。
【0026】
なお、本態様の「フィンは、冷却風に沿うようにして形成されている」とは、具体的には次のような各場合を含む。例えば第一に、冷却風がカバー周囲を直線的に流れているという場合には、フィンが、当該方向に一致するように形成されているという場合を含む。第二に、冷却風がカバー周囲を渦巻くように流れているという場合においては、当該フィンのカバー上の設置場所に応じて、当該フィンが、その方向を変じて形成されているなどという場合を含む。その他、実装ケース入り電気光学装置を中心として、冷却風がやや不規則な流れをみせる場合においても、当該フィンのカバー上の設置場所に応じて、当該フィンが、前記不規則な流れの方向の全部又は一部に一致するように、その方向を変じて形成されているなどという場合も含む。
【0027】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記フィンは、直線状に形成されている。
【0028】
この態様によれば、直線状に突出したフィンにより、カバーの表面積を増大することができる。したがって、本態様によれば、カバーの放熱能力を向上させることができる。
【0029】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記フィンは、千鳥足状に配列されるように形成されている
この態様においては、一般に、「フィン」は複数の小フィン(後述も参照)からなるとともに、これら複数の小フィンが、千鳥足状に配列されるように(より具体的には、「当該小フィンが二列間で交互に配置されるように」、或いは「平面視して市松模様を形成するように」等)形成されているという場合が典型的には想定される。このような態様によれば、千鳥足状に突出したフィンにより、カバーの表面積を増大することができる。したがって、本態様によれば、カバーの放熱能力を向上させることができる。
【0030】
この態様では、前記千鳥足状に配列されるように形成されたフィンは、複数の小フィンが列状に配列されて構成される第1列のフィンと、これに平行に延在し且つ複数の小フィンが列状に配列されて構成される第2列のフィンとを含み、前記第2列のフィンを構成する前記小フィンの少なくとも一つは、前記第1列のフィンを構成し且つ相隣接する前記小フィン間の間隙の位置に対応するように形成されているように構成してもよい。
【0031】
このような構成によれば、前述の千鳥足状に配列されるように形成された「フィン」の配置態様が、より具体的に限定されている。すなわち、本態様では、前記の第1列のフィンを構成する小フィンと、第2列のフィンを構成する小フィンとが、いわば相互に重ならないように且つ互い違いに形成されるようになっている。例えば、第1列のフィンを構成する小フィンに、順番に1(1)、1(2)、…、1(n)という番号を付し、第2列のフィンを構成する小フィンにも、同様に2(1)、2(2)、…、2(n)という番号を付すとすると、1(m)番と1(m+1)番(但し、m=1,2,…,n−1)の小フィン間には、同一列(第1列)に属する小フィンは存在しないが、列を変えた第2列には2(m)番の小フィンが存在するなどという配置態様が採られることになる。
【0032】
これによれば、前記の小フィンが適度な密度でもって配列されることにより、カバーの放熱能力を更に向上させることが可能である。例えば、前述の番号を用いて、仮に、2(m)番の小フィンが、1(m)番の小フィンの隣に存在するような場合を仮定すると、この場合には、これら2(m)番及び1(m)番の小フィンが互いに熱を放散することよって、その周囲(特に、両小フィン間の空気)の温度が上昇し、該両小フィンにおける熱の放散がされにくくなるなどという事態が考えられる。しかるに、本態様によれば、少なくとも、2(m)番の小フィンの「隣」に1(m)番の小フィンが存在するなどということはないから、前述のような不具合を被らなくて済むのである。
【0033】
なお、本態様の表現に代えて、「第1列のフィンを構成する前記小フィンの一つは、前記第2列のフィンを構成し且つ相隣接する前記小フィン間の間隙の位置に対応するように形成されている」というように言い換えても同じである。
【0034】
また、本態様では、あたかも第1列のフィン及び第2列のフィンしか存在しないようであるが、場合によって、二列のフィンに加えて、三列目、四列目、…のフィンが備えられていてよい。このような場合、本態様にいう「第1列のフィン」と「第2列のフィン」との関係は、普遍的に適用され得る。例えば、全部で3列のフィンが形成されているとして、そのうちの1番目の列のフィンと2番目の列のフィンとが、それぞれ、本態様の「第1列のフィン」と「第2列のフィン」との関係を満たし、2番目の列のフィンと3番目の列のフィンとが、それぞれ、本態様の「第2列のフィン」と「第1列のフィン」との関係を満たしているというようである。
【0035】
このような構成では、前記小フィン間の間隙は、前記小フィンの長さよりも大きいように構成してもよい。
【0036】
このような構成によれば、前述のように第2列のフィンを構成する小フィンの一つを、「第1列のフィンを構成する小フィン間の間隙の位置に対応するように形成」すると、当該小フィンの一つを、いわば前記間隙内に完全に収めるように形成することができる。
【0037】
したがって、前述したような小フィンにおける放熱性の向上をより確実に享受することができる。というのも、本構成によれば、2(m)番の小フィンと1(m)番の小フィンとが、隣り合わないことは勿論、前者の一部が後者の一部に「重なり合う」ということもないから、各小フィンにおける放熱作用は、如何なく発揮されることになるからである。
【0038】
また、本構成によれば特に、前記の千鳥足状に配列されるフィンの成形を比較的容易に行うことができる。例えば、本態様にかかるフィンは、以下に述べるような射出成形法等で好適に形成することができる。すなわち、山部及び谷部が交互に形成されたジグザグの型を二つ用意し、一方の型の山部(又は谷部)が他方の型の谷部(又は山部)に噛み合うように、且つ、山型のてっぺんと谷型の底との間に所定の隙間が形成されるように、これら二つの型を配置した後、前記の隙間を用いて射出注入を実施すれば、前述のような配置態様を有する、千鳥足状に配列・形成されたフィンを容易に作ることができる。この場合特に、前記の製造方法において必然的に必要となる型抜きは、極めて容易に行われることになる(前記の二つの型を互いに離間させるように移動させればよい。)。
【0039】
なお、本態様にいう「小フィンの長さ」とは、上の説明からも明らかなように、当該小フィンにおける前記第1列又は前記第2列の列方向に沿った長さのことを言う。
【0040】
或いは、前記小フィン間の間隙を含む前記小フィン間のピッチは3mm以上とされているように構成してもよい。
【0041】
このような構成によれば、小フィン間のピッチが好適に設定されていることにより、前述した当該フィンの形成容易性、或いは放熱性の向上という作用効果を、より効果的に享受することができる。
【0042】
或いは更に、前記小フィンの高さは0.5mm以上、幅は0.3mm以上とされているように構成してもよい。
【0043】
このような構成によれば、小フィンの大きさが好適に設定されることにより、カバーの表面積増大量が十分に確保される。したがって、カバーの放熱能力を有効に向上させることができる。
【0044】
なお、本態様にいう「小フィンの高さ」とは、「カバーの表面に突出」したフィンの先端部から、カバーの表面に至るまでの長さを意味し、「幅」とは、当該小フィンにおける前記第1列又は前記第2列の列方向に交差する方向に沿った長さをいう。
【0045】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記フィンは、第1列のフィンと、これに平行に延在する第2列のフィンとを含み、前記第1列のフィンと前記第2列のフィンとの間の間隔は1mm以上とされている。
【0046】
この態様によれば、前記フィンは、第1列のフィンと第2列のフィンからなる。この場合、ここにいう「第1列のフィン」及び「第2列のフィン」とは、それぞれ、フィンが千鳥足状に配列されるように形成される場合においては、既に述べたような「第1列のフィン」及び「第2列のフィン」がそのまま該当すると考えることができる。また、この他、フィンが直線状に形成される場合においては、「第1列のフィン」としての直線状のフィンと、「第2列のフィン」としての直線状のフィンとが二列形成されているなどという場合を考えることができる。
【0047】
そして、本態様においては、このような二列のフィンの間隔が1mm以上とされている。これにより、当該実装ケース入り電気光学装置に対して冷却風が送り込まれる場合等においては、その冷却風を前記二列のフィン間にも無理なく行き届かせることが可能となる。
【0048】
特に、投射型表示装置内に本発明に係る実装ケース入り電気光学装置を装着する場合を想定すると、該投射型表示装置に別途設置される冷却ファンと当該実装ケース入り電気光学装置とは、通常、他の構成要素を配置等しなけれならない関係から、相当程度距離を離して設置しなければならなかったり、両者間の位置関係を完全に対向させるように配置することが困難な場合が想定される。このような場合、実装ケース入り電気光学装置には、静圧が低く、風量が小さい冷却風しか送られてこないことが考えられることになる。
【0049】
ここで本態様においては、前述のように二列のフィン間の距離が、1mm以上と比較的大きく設定されていることから、これら二列のフィン間にも、前述のような静圧が低く風量が小さい冷却風を吹きぬかせることが可能となる。そして、これによれば、冷却風に曝されることになるフィンの表面積が増大することになるから、当該フィンの放熱性は更に向上することになる。
【0050】
したがって、本態様によれば、カバー全体の放熱能力を更に向上させることができる。
【0051】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記表面積増大手段は、前記カバーの表面に窪みをつけるように形成されたディンプルを含む。
【0052】
この態様によれば、比較的容易にカバーの表面積を増大させることができる。
【0053】
なお、本態様にいう「ディンプル」と前記の「フィン」との相違点は、「カバーの表面」を基準面として突出しているか、或いは凹んでいるかということにある。
【0054】
或いは、場合により、本態様にいう「ディンプル」は、「当該実装ケース入り電気光学装置に対して送られてくる冷却風の流れを全く阻害しない」という属性を有していてもよい。この観点からすると、前記のフィンは、前記冷却風の流れを全く阻害しないということはない、という属性を有するものと解した上で、この点について、ディンプル及びフィン間の相違点を設定するという考え方を採ることも可能である。
【0055】
また、本態様にいう「窪みをつけるように」とは、当該ディンプルをカバーの表面に形成する場合において、実際に「窪みをつける」ような加工を実施しなければならないということを意味しない。当該ディンプルの形成方法としては、前記のフィンと同様、カバー本体を形成するのに併せて又はその後に、例えば切削加工、鍛造加工、プレス加工、射出成形又は鋳造等により形成することが可能である。
【0056】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記カバーは、高熱伝導率材料から構成されている。
【0057】
この態様によれば、カバーが高熱伝導率材料からなるから、前記のフィン、或いはディンプル等の表面積増大手段に起因する作用効果とも相俟って、カバーの放熱能力をより高めることができる。
【0058】
なお、本態様にいう「高熱導電率材料」とは、具体的には例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅又はこれらそれぞれの合金等を好適には挙げることができる。
【0059】
本発明の実装ケースは、上記課題を解決するために、画像表示領域に光源から光が入射される電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部分を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースであって、前記カバーは、その表面積を増大させる表面積増大手段を備えている。
【0060】
本発明の実装ケースによれば、前述の本発明の実装ケース入り電気光学装置に使用されて好適な実装ケースを提供することができる。
【0061】
本発明の実装ケースの一態様では、前記カバーは、前記電気光学装置の側面に対向する側壁部を有し、前記表面積増大手段は、前記側壁部の表面積を増大させる。
【0062】
この態様によれば、前述の本発明の実装ケース入り電気光学装置において、カバーが側壁部を有し、表面積増大手段が、この側壁部の表面積を増大させる態様に使用されて好適な実装ケースを提供することができる。
【0063】
本発明の投射型表示装置は、上記課題を解決するために、前述の本発明の実装ケース入り電気光学装置(但し、その各種態様を含む)と、前記光源と、前記投射光を前記電気光学装置に導く光学系と、前記電気光学装置から出射される投射光を投射する投射光学系と、前記実装ケース入り電気光学装置に対して冷却風を送出する冷却風送出手段とを備えている。
【0064】
本発明の投射型表示装置によれば、前述の本発明の実装ケース入り電気光学装置を具備してなるから、当該実装ケースを構成するカバーの表面積が増大していることにより、また、当該投射型表示装置には前記冷却風送出手段が設けられていることにより、電気光学装置の効果的な冷却を実現することができるから、より高品質な画像を表示することが可能である。
【0065】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0067】
(投射型液晶装置の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明による投射型液晶装置の実施形態について、その光学ユニットに組み込まれている光学系を中心に説明する。本実施形態の投射型表示装置は、実装ケース入りの電気光学装置の一例たる液晶ライトバルブが3枚用いられてなる複板式カラープロジェクタとして構築されている。
【0068】
図1において、本実施形態における複板式カラープロジェクタの一例たる、液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された電気光学装置を含む液晶ライトバルブを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0069】
本実施形態のライトバルブ100R、100G及び100Bとしては、例えば、後述の如きTFTをスイッチング素子として用いたアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置が使用される。また、当該ライトバルブ100R、100G及び100Bは、後に詳述するように実装ケース入り電気光学装置として構成されている。
【0070】
また、この液晶プロジェクタ1100には、図1に示すように、ライトバルブ100R、100G及び100Bに冷却風を送るためのシロッコファン1300(本発明にいう「冷却風送出手段」の一例に該当する。)が設けられている。このシロッコファン1300は、その側面に複数のブレード1301を備えた略円筒形状の部材を含んでおり、該円筒形状の部材がその軸を中心として回転することで前記ブレード1301が風を生じさせるようになっている。なお、このような原理から、シロッコファン1300で作り出される風は、図1に示されるように、らせん状に渦巻いたものとなる。
【0071】
このような風は、図1において図示されない風路を通じて各ライトバルブ100R、100G及び100Bに送給され、各ライトバルブ100R、100G及び100Bの近傍に設けられた吹き出し口100RW、100GW及び100BWから、これらライトバルブ100R、100G及び100Bに対して送り出されるようになっている。
【0072】
ちなみに、前述したようなシロッコファン1300を用いれば、静圧が高くライトバルブ100R、100G及び100B周囲の狭い空間にも風を送りやすいという利点が得られる。
【0073】
以上説明した構成においては、強力な光源たるランプユニット1102からの投射光により各ライトバルブ100R、100G及び100Bで温度が上昇する。この際、過度に温度が上昇してしまうと、各ライトバルブ100R、100G、100Bを構成する液晶が劣化したり、光源光のむらによる部分的な液晶パネルの加熱によるホットスポットの出現により透過率にムラが生じたりする。そこで、本実施形態では特に、各ライトバルブ100R、100G、100Bは、後述のように、電気光学装置を冷却する能力を有する実装ケースを備えている。このため、後述の如く各ライトバルブ100R、100G、100Bの温度上昇は効率的に抑制されている。
【0074】
なお、本実施形態では好ましくは、液晶プロジェクタ1100のハウジング内には、各ライトバルブ100R、100G、100Bの周辺空間に、冷却媒体を流す循環装置等からなる冷却手段を備える。これにより、後述の如き放熱作用を持つ実装ケース入りの電気光学装置からの放熱を一層効率的に行うことができる。
【0075】
(電気光学装置の実施形態)
次に本発明の電気光学装置に係る実施形態の全体構成について、図2及び図3を参照して説明する。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。本実施形態に係る電気光学装置は、上述した液晶プロジェクタ1100における液晶ライトバルブ100R、100G、100Bとして使用されるものである。ここに、図2は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図であり、図3は、図2のH−H’断面図である。
【0076】
図2及び図3において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0077】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、本実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
【0078】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0079】
画像表示領域の周辺に広がる領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また図2に示すように、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナーに対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0080】
図3において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0081】
尚、図2及び図3に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0082】
このように構成された電気光学装置の場合、その動作時には、図3の上側から強力な投射光が照射される。すると、対向基板20、液晶層50、TFTアレイ基板10等における光吸収による発熱によって、当該電気光学装置の温度が上昇する。このような温度上昇は、液晶層50等の劣化を早めると共に、表示画像の品位を劣化させる。
【0083】
そこで、本実施形態では特に、以下に説明する実装ケース入り電気光学装置によって、このような温度上昇を効率的に抑制している。
【0084】
(実装ケース入り電気光学装置―第1実施形態―)
次に、図4から図14を参照して、本発明の第1実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置について説明する。
【0085】
ここではまず、図4から図14を参照して、第1実施形態に係る実装ケースの基本構成について説明する。ここに、図4は第1実施形態に係る実装ケースを、前述した電気光学装置とともに示す分解斜視図であり、図5は当該実装ケース入りの電気光学装置の正面図、図6は図5のX1−X1´断面図、図7は図5のY1−Y1´断面図であり、図8は図5のZ1方向から臨んだ後面図である。なお、図4から図8は、電気光学装置を内部に収容した状態における実装ケースを夫々示している。また、図9は当該実装ケースを構成するプレート部の正面図、図10は図9のZ2方向から臨んだ後面図であり、図11は図9のZ3方向から臨んだ側面図である。さらに、図12は当該実装ケースを構成するカバー部の正面図、図13は図12のZ4方向から臨んだ後面図であり、図14は図12のZ5方向から臨んだ側面図である。
【0086】
図4から図8に示すように、実装ケース601は、プレート部610とカバー部620とを備える。実装ケース601内に収容される電気光学装置500は、図2及び図3に示した電気光学装置に加えて、その表面に重ねられた反射防止板等の他の光学要素とを備えてなり、更にその外部回路接続端子にフレキシブルコネクタ501が接続されてなる。尚、偏光板や位相差板は、液晶プロジェクタ1100の光学系に備えるようにしても良いし、電気光学装置500の表面に重ねてもよい。
【0087】
また、TFTアレイ基板10及び対向基板20それぞれの液晶層50に対向しない側には、防塵用基板400が設けられている(図4、図6及び図7参照)。この防塵用基板400は、所定の厚さを有するよう構成されている。これにより、電気光学装置500の周囲に漂うゴミや埃等が、該電気光学装置の表面に直接に付着することが防止される。したがって、拡大投射された画像上に、これらゴミや埃の像が結ばれるという不具合を有効に解消することができる。これは、防塵用基板400が所定の厚さを有することで、光源光の焦点ないしその近傍が、該ゴミや埃が存在する位置(すなわち、防塵用基板400表面)からは外れることによる(デフォーカス作用)。
【0088】
このようにTFTアレイ基板10及び対向基板20並びに防塵用基板400等を備えた電気光学装置500は、図4等に示すように、プレート部610及びカバー部620からなる実装ケース601内に収容されているが、これら電気光学装置500及び実装ケース601間には、図6及び図7に示すように、モールド材630が装填されている。このモールド材630によって、電気光学装置500及び実装ケース601間の接着が確実に行われるとともに、前者の後者の内部における位置ずれの発生が極力防止される。
【0089】
なお、第1実施形態においては、カバー部620の側から光が入射し、電気光学装置500を透過して、プレート部610の側から出射するということを前提とする。つまり、図1でいえば、ダイクロイックプリズム1112に対向するのは、カバー部620ではなくて、プレート部610ということになる。
【0090】
さて、以下では実装ケース601を構成するプレート部610及びカバー部620の構成についてのより詳細な説明を行う。
【0091】
まず第一に、プレート部610は、図4から図11に示すように、平面視して略四辺形状を有する板状の部材であって、電気光学装置500の一面に対向するように配置される。第1実施形態では、プレート部610と電気光学装置500とは相互に直接に当接し、後者が前者に載置されるが如き状態が採られる。
【0092】
より詳細には、プレート部610は、窓部615、強度補強部614、折り曲げ部613、カバー部固定孔612、並びに取付孔611a乃至611d及び611eを有する。
【0093】
窓部615は、略四辺形状を有する部材の一部が開口形状に形成されており、例えば図6中、上方から下方への光の透過を可能とする部分である。電気光学装置500を透過してきた光の出射は、この窓部615によって可能となる。なお、これにより、プレート部610上に電気光学装置500を載置した場合には、該電気光学装置500における画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域が、窓部615の辺縁に当接されるが如き状態になる。プレート部610は、このようにして電気光学装置500の保持を実現する。
【0094】
強度補強部614は、略四辺形状を有する部材の一部を、他の部分の平面からみて盛り上げるような加工を施すことによって形成されており、立体的な形状を有する部分である。これにより、該プレート部614の強度は補強されることになる。なお、該強度補強部614は、電気光学装置500の一辺に略接するが如き位置に形成するとよい(図7参照。ただし、図7では、両者は厳密には接していない。)。
【0095】
折り曲げ部613は、略四辺形状を有する部材の対向する二辺それぞれの一部が、該四辺形状の内側に向かって折り曲げられている部分である。この折り曲げ部613の外側面は、プレート部610及びカバー部620の組み付け時、該カバー部620の内側面に接するようにされている(図6参照)。また、該折り曲げ部613の内側面は、モールド材630を介して電気光学装置500の外側面に接するようにされている(同じく図6参照)。これにより、プレート部610上における電気光学装置500のある程度の位置決めが実現されることになる。
【0096】
加えて、折り曲げ部613の内側面が、モールド材630を介して電気光学装置500の外側面に接するようにされていることは、後者から前者への熱の吸い上げを可能とする。すなわち、プレート部610を、電気光学装置500に対するヒートシンクとして機能させることが可能となる。これによれば、ランプユニット1102による電気光学装置500に対する強力な光照射によって、該電気光学装置500における熱の蓄積の生じることを有効に防止することができる。また、該折り曲げ部613の外側面は、前述のようにカバー部620の内側面に接していることから、前者から後者への熱の伝達も実現されることになる。このように、電気光学装置500からの熱の奪取は、原理的には、プレート部610及びカバー部620の双方において観念される熱容量の分だけ行い得るから、当該電気光学装置500の冷却は、極めて有効に行われることになる。
【0097】
カバー部固定孔612は、カバー部620において対応する位置に形成された凸部621と嵌合するための孔部である。プレート部610及びカバー部620とは、このカバー部固定孔612及び凸部621が互いに嵌合することによって相互に固定される。なお、第1実施形態においては、該カバー部固定孔612は、各図に示すように、二つの孔部からなる(以下、これらの区別が必要な場合には、カバー部固定孔612a及び612bと呼ぶことがある。)。また、これに対応するように、前記凸部621もまた、二つの凸部からなる(以下、これらの区別が必要な場合には、凸部621a及び621bと呼ぶことがある。)。
【0098】
取付孔611a乃至611dは、当該実装ケース入り電気光学装置を、図1に示した如き液晶プロジェクタ1100内に取り付けする際に利用される。第1実施形態においては、該取付孔611a乃至611dは、略四辺形状を有する部材の四隅に設けられている。また、第1実施形態では、該取付孔611a乃至611dの他に、取付孔611eが設けられている。この取付孔611eは、前記の取付孔611a乃至611dのうち、取付孔611c及び611dとともに、三角形を形作るように配置されている(すなわち、取付孔611e、611c及び611dは、三角形の「各頂点」に配置されるように形成されている。)。これにより、第1実施形態では、四隅の取付孔611a乃至611dを用いた四点固定を実施すること、及び、取付孔611e、611c及び611dを用いた三点固定を実施することの双方が可能となっている。
【0099】
次に第二に、カバー部620は、図4から図8及び図12から図14に示すように、略立方体形状を有する部材であって、電気光学装置500の他の面に対向するように配置される。
【0100】
このカバー部620は、電気光学装置500の周辺領域における光抜けを防止すると共に周辺領域から迷光が画像表示領域10a内に進入するのを防ぐように、好ましくは遮光性の樹脂、金属製等からなる。また、該カバー部620は、プレート部610、或いは電気光学装置500に対するヒートシンクとして機能させることが好ましいから、該カバー部620は、熱伝導率の比較的大きい材料、より具体的には、アルミニウム、マグネシウム、銅又はこれらそれぞれの合金等から構成するようにするとよい。
【0101】
より詳細には、カバー部620は、凸部621、冷却風導入部622、冷却風排出部624及びカバー本体部623を有する。まず、凸部621は、既に述べたように、プレート部610との固定の際に用いられ、前記カバー部固定孔612a及び612bそれぞれに対応する位置に、二つの凸部621a及び621bを含むものとして形成されている。なお、第1実施形態に係る凸部621は、図5に示されるように、冷却風導入部622、ないしは後述するテーパ部622Tの一部を構成するようにして形成されている(図5の視点からは、本来凸部621は図示されないが、図5では特にこれを示した。)。
【0102】
冷却風導入部622は、図4、図5、図7、図12、或いは図14等によく示されているように、テーパ部622T及び導風板622Pからなる。第1実施形態において、テーパ部622Tは、概略、その底面が直角三角形となる三角柱の如き外形を有している。そして、テーパ部622Tは、カバー本体部623の一側面に、前記三角柱の一側面が付着されたような外形を呈している。この場合、当該三角柱の一側面は、該三角柱の底面における直角部とこれに隣接する角部との間に挟まれた辺を含んでいる。したがって、テーパ部622Tは、カバー本体部623の側面上において最大高さとなる根元部622T1を有し(ただし、ここでいう「高さ」とは、図7中、上下方向の距離をいう。図7では目安として当該方向に延びる破線を示した。)、そこから次第に高さを減じた先端部622T2を有するという形状となっている。一方、導風板622Pは、前記三角柱の底面において直角部を除く他の二角に挟まれた一辺に沿って立設された壁の如き外形を呈している。前記「高さ」を用いて説明すると、該導風板622Pの高さは、前記根元部622T1から前記先端部622T2へ向けてテーパ部622Tの高さが減ずるにもかかわらず、これら根元部622T1及び先端部622T2間のどの部分においても一定である。
【0103】
冷却風排出部624は、図4、図5、図8、図12、或いは図13等によく示されているように、フレキシブルコネクタ導出部624C及びリアフィン部624Fからなる。このうちフレキシブルコネクタ導出部624Cは、前記テーパ部622Tが形成されているカバー本体部623の側面に対向する側面上に形成されている。より具体的には、図8又は図13に示すように、該側面上に、断面がコの字状となる部材が、該コの字状断面の開口部を図8又は図13中下方に向けて取り付けられたような形状を呈している。電気光学装置500に接続されたフレキシブルコネクタ501は、このコの字に囲われた空間を抜けて、外部へと引き出されるようになっている。
【0104】
他方、リアフィン部624Fは、フレキシブルコネクタ導出部624Cにおける前記コの字状断面のいわば天井板上に設けられている。このリアフィン部624Fは、より詳しくは、図4、図5、図8、図12、或いは図13等によく示されているように、後述するサイドフィン部627たる直線状の突出した部分が延在する方向と符号を合わせるように、前記天井板から直線状に突出した部分が複数並列(図4等では、「四つ」の直線状に突出した部分が並列)された形状を含んでいる。これにより、カバー部620の表面積は増大することになる。
【0105】
最後に、カバー本体部623は、図4から図8及び図12から図14に示されているように、概略、直方体形状を有する部材であって、前述した冷却風導入部622及び冷却風排出部624間に挟まれるようにして存在している。ただし、前記の直方体形状の内方は、電気光学装置500を収容するため、いわばくり抜かれたような状態となっている。すなわち、カバー本体部623は、より正確にいえば、蓋なき箱型の如き形状を有する部材となっている(なお、このような表現によれば、ここにいう「蓋」としては、前記プレート部610が該当すると考えることができる。)。
【0106】
このカバー本体部623は、より詳細には、窓部625及びサイドフィン部627を有している。このうち窓部625は、前記箱型の形状の底面(図4、あるいは図6等では、「上面」ということになる。)が開口形状に形成されており、図6中、上方から下方への光の透過を可能とする部分である。図1に示した液晶プロジェクタ1100内のランプユニット1102から発せられた光は、この窓部625を通過して電気光学装置500に入射可能となる。なお、このような窓部625を有するカバー本体部623においては、プレート部610における窓部615に関して述べたのと同様に、電気光学装置500における画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域を、窓部625の辺縁に当接させるように構成してよい。これによれば、カバー本体部623、特にその窓部625の辺縁によっても、電気光学装置500の保持を実現することが可能となる。
【0107】
そして第1実施形態においては特に、カバー本体部623の両側面には、本発明にいう「表面積増大手段」、或いは「フィン」の一例たるサイドフィン部627が形成されている。ただし、ここにいう両側面とは、前述した冷却風導入部622及び冷却風排出部624が存在する側面以外の側面をいう。また、この両側面(以下では、これら両側面を「側壁部62W」と呼ぶこととする。)のそれぞれは、例えば図6等からわかるように、電気光学装置500の一側面及び該一側面に対向する他の側面にそれぞれ対向する。さらに、側壁部62Wの内側面には、カバー部620及びプレート部610の組み付け時、プレート部610における折り曲げ部613の外側面が接するようにされている(図6参照)。以上より、第1実施形態に係る側壁部62Wは特に、前記折り曲げ部613を介して、電気光学装置500の前記一側面及び他の側面に対向しているということができる(本発明にいう「対向する」には、このような場合を含む。)。
【0108】
前記サイドフィン部627は、より詳しくは、図4、あるいは図6及び図13等によく示されているように、冷却風導入部622から冷却風排出部624へ向けて、前記側面から直線状に突出した部分が複数並列した形状を含んでいる。第1実施形態においては特に、直線状のフィンが二列並列されるようにして形成されている。
【0109】
また、これら二列のフィン間の距離g(図13及び図14参照)は1mm以上となるようにされている。また、これら二列のフィンの大きさは、そのそれぞれの高さh及び幅w(図12及び図13参照)が、それぞれ0.5mm以上、0.3mm以上とされている。
【0110】
このようなサイドフィン部627の存在により、カバー本体部623、ないしはカバー部620の表面積は増大することになる。とりわけ、第1実施形態においては、サイドフィン部627が、カバー部620全体において占める割合が比較的大きい側壁部62Wに形成されていることから、前述の表面積増大効果はより効果的に享受されることになる。また、前記二列のフィンの高さh及び幅wが、上述のように設定されていることからしても、表面積増大効果は十分に確保されるということができる。
【0111】
ちなみに、前述のような形状を有するサイドフィン部627は、カバー部620を形成するのに併せて又はその後に、例えば切削加工、鍛造加工、プレス加工、射出成形又は鋳造等により形成することが可能である。このような方法によれば、当該サイドフィン部627を比較的容易に形成することができる。
【0112】
さて、カバー部620が以上のような構成をとることにより、図1に示した如き液晶プロジェクタ1100に備えられたシロッコファン1300から送られてきた風は、実装ケース601、ないしカバー部620の周囲において、図15に示すように流れることになる。ここに図15は実装ケース入り電気光学装置の斜視図であって、当該実装ケース入り電気光学装置に対する典型的な風の流れ方を示す図である。なお、図1に示した液晶プロジェクタ1100において、図15に示すような冷却風の流れを実現するためには、図1を参照して説明した吹き出し口100RW、100GW及び100BWが、カバー部620を構成する冷却風導入部622と対向するように、実装ケース入り電気光学装置、すなわちライトバルブ100R、100G及び100Bを設置する必要がある。
【0113】
まず、冷却風は、冷却風導入部622のテーパ部622Tをあたかも駆け上がるようにして、電気光学装置500の表面が露出するカバー本体部623へと吹き抜けることになる(符号W1参照)。また、冷却風導入部622には、導風板622Pが設けられていることにより、冷却風がどの方向からきても、その大部分をテーパ部622T上、ひいてはカバー本体部623へと導くことが可能となっている(符号W2参照)。このように、第1実施形態によれば、カバー本体部623へ向けて風を効率よく送り出すことが可能となっており、電気光学装置500で発生した熱を直接的に奪う(即ち、冷却する)ことが可能な他、カバー部620に蓄えられた熱をも効率的に奪うことができる。
【0114】
また、冷却風導入部622の導風板622Pの外側(すなわち、テーパ部622Tに対向しない側)にあたった風(符号W3参照)、或いは前記のように電気光学装置500の表面ないしその近傍に至った後、カバー本体部623の側面に流れる風等は、サイドフィン部627に至ることになる。このサイドフィン部627では、上述のように直線状のフィンが備えられており、カバー本体部623の表面積が増大されていることから、当該カバー本体部623ないしカバー部620の効率的な冷却を実現することができる。しかも、第1実施形態においては、前述のように、サイドフィン部627が側壁部62Wに形成されていること、或いは該サイドフィン部627を構成する二列のフィンの高さh及び幅wがそれぞれ好適に設定されていること等から、その表面積増大効果が十分に確保されることにより、前記のカバー部620の効率的な冷却は極めて有効に実現されることになる。
【0115】
さらに、前記のように電気光学装置500の表面ないしその近傍に至った後、そのままカバー本体部623の後端へ抜ける風等は、リアフィン部624Fに至ることになる(符号W1参照)。このリアフィン部624Fでは、上述のように直線状の突出した部分が備えられ、冷却風排出部624の表面積が増大されていることから、当該冷却風排出部624ないしカバー部620の効率的な冷却を実現することができる。
【0116】
以上のように、第1実施形態に係る実装ケース601では、総じて、冷却風による効率的な冷却が実現されるようになっている。そして、このことは、前述のように電気光学装置500、プレート部610及びカバー部620の順に伝達される熱を、最終的に外部へと放散するのに非常に有効である。また、カバー部620が効率的に冷却されるということは、電気光学装置500から折り曲げ部613等を介してプレート部610に、あるいはカバー部620へという熱の流れを、いつでも有効に維持しうることを意味する。すなわち、カバー部620は、常態において好適に冷却された状態にあるから、ヒートシンクとしての機能をいつでも有効に維持することにより、該カバー部620からみて、プレート部610からの熱の奪取、ひいては電気光学装置500からの熱の奪取をいつでも有効に行い得るのである。なお、これに加えて、第1実施形態におけるカバー部620を、上述のようにアルミニウム、マグネシウム、銅又はこれらそれぞれの合金等のような高熱伝導率材料からなるように構成すれば、前記の作用効果は更に効果的に発揮されることになるのは言うまでもない。
【0117】
よって、第1実施形態においては、電気光学装置500が過剰に熱を蓄えこむということがないから、液晶層50の劣化、あるいはホットスポットの発生等は未然に防止されることになり、これに基づく画像の劣化等を招くおそれは極めて低減されることになる。
【0118】
そして、第1実施形態においては特に、前記サイドフィン部627、或いは該サイドフィン部627と冷却風の流れとの関係に関して、次のような各種の特徴があることから、前述の電気光学装置500の冷却効果を十二分に引き出すことが可能となっている。
【0119】
まず第一に、サイドフィン部627は、上述のように直線状のフィンが二列並列されるように形成されているが、この直線状のフィンは、図15に示すように、冷却風(特に、符号W3を付した冷却風参照。)の流れに沿うようにして形成されていることがわかる。これにより、サイドフィン部627に起因するカバー部620の冷却効果を効果的に引き出すことができる。これは、該サイドフィン部627が、冷却風の流れを過度に阻害することがなく、該冷却風を、後段へ後段へと自然に導くことが可能となっていることによる。
【0120】
なお、図15の冷却風W2をみるとわかるように、前記直線状のフィンの延在方向とは必ずしも一致しない方向に冷却風が吹く場合も当然にあり得る。また、本実施形態において、液晶プロジェクタ1100に備えられた冷却風送出手段の一例たるシロッコファン1300は、既に説明したように、らせん状に渦巻いた風を送り出す(図1参照)。したがって、厳密にいうと、冷却風は、ライトバルブ100R、100G又は100Bたる実装ケース入り電気光学装置に対して必ずしも直線的な方向でもって流れるとは限らないということができる。
【0121】
しかしながら、第1実施形態に係るサイドフィン部627は、これらの事情を考慮するとしても、本発明にいう「冷却風の流れに沿うようにして」形成されているという場合に含まれる。これは、前記の事情の存在にもかかわらず、図15に示す冷却風の流れの大勢は、冷却風導入部622、カバー本体部623及び冷却風排出部624の順に流れているとみることができるからである。
【0122】
このように、本発明の「フィンは、冷却風に沿うようにして形成されている」というのは、フィンが、冷却風の流れに厳密に或いは完全に一致して形成されている場合(そのような場合が含まれるのは当然である。)のみを意味するのではない。前述のように、実装ケース入り電気光学装置を中心として、フィンが、冷却風の流れの大勢の方向に一致して形成されているという場合も含むのである。
【0123】
また第二に、第1実施形態に係るサイドフィン部627を構成する二列の直線状のフィンは、上述のように、それぞれの間に1mm以上の間隔を設けて形成されている。これにより、図15に示す冷却風W3の静圧が低く風量が低い場合であっても、当該冷却風W3を前記二列の直線状のフィン間に無理なく行き届かせることが可能となる。
【0124】
特に、第1実施形態では、実装ケース入り電気光学装置が、図1に示したような液晶プロジェクタ1100のライトバルブ100R、100G又は100Bとして装着されることになるから、当該実装ケース入り電気光学装置(即ち、ライトバルブ100R、100G及び100B)とシロッコファン1300とは、他の構成要素(例えば、入射レンズ1122、或いはリレーレンズ1123等)を配置しなけれならない関係から、相当程度距離を離して設置しなければならなかったり、両者間の位置関係を完全に対向させるように配置することが困難となっている。このような場合、実装ケース入り電気光学装置には、静圧が低く、風量が小さい冷却風しか送られてこないことが考えられることになる。
【0125】
しかるに、第1実施形態においては、前述のように二列のフィン間の距離が、1mm以上と比較的大きく設定されていることから、これら二列のフィン間にも、前述のような静圧が低く風量が小さい冷却風を吹きぬかせることが可能となる。そして、これによれば、冷却風に曝されることになるフィンの表面積が増大することになるから、当該フィンの放熱性は更に向上することになる。したがって、第1実施形態によれば、カバー部620全体の放熱能力を更に向上させることができる。
【0126】
(実装ケース入り電気光学装置―第2実施形態―)
次に、図16から図18を参照して、第2実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置について説明する。ここに図16から図18は、それぞれ、図12から図14と同趣旨の図であって、サイドフィン部の形態が異なるものを示すものである。なお、第2実施形態では、上述した「投射型表示装置」、「電気光学装置」及び「実装ケース入り電気光学装置」の主要な部分に係る構成及び作用は、上記の第1実施形態と全く同様である。したがって、以下では、これらの説明については省略することとし、主に第2実施形態において特徴的な部分についてのみ説明を加えることとする。
【0127】
第2実施形態では、図16から図18に示すように、上記第1実施形態においては、カバー本体部623の一側面につき直線状の二列のフィンが形成されていたのに代えて、千鳥足状に配列されるように形成された複数の小フィンからなるサイドフィン部628が形成されている。
【0128】
このサイドフィン部628は、より詳細には、図16から図18に示すように、カバー本体部623の一側面につき6個ずつ、即ちカバー部620全体について合計12個の小フィンからなっている。このうち一方の側面のみに着目すると、サイドフィン部628は、例えば図18によく示されているように、それぞれ図中左右方向に走る第1列のフィン及び第2列のフィンを含んでいる。そして、第1列のフィンは、小フィン1(1)、1(2)及び1(3)という三つの小フィンを含み、第2列のフィンは、小フィン2(1)、2(2)及び2(3)という三つの小フィンを含んでいる。
【0129】
なお、これら各小フィン1(1)乃至1(3)及び2(1)乃至2(3)は、すべて同じ形状及び同じ大きさでもって形成されている。その際、各小フィン1(1)乃至1(3)及び2(1)乃至2(3)の高さh(図16及び図17参照)、幅w(図17及び図18参照)が、それぞれ、0.5mm以上及び0.3mm以上という条件を満たしているのが好ましい。
【0130】
第2実施形態において、前記の第1列のフィン及び第2列のフィン間には次のような関係がある。すなわち第2列のフィンを構成する小フィン2(1)は、第1列のフィンを構成し且つ相隣接する小フィン1(1)及び1(2)間の間隙の位置に対応するように形成されている。また、小フィン2(2)についても、小フィン1(2)及び1(3)間の間隙の位置に対応するように形成されている。さらに、視点を転じて、小フィン1(2)は、小フィン2(1)及び2(2)間、小フィン1(3)は、小フィン2(2)及び2(3)間、それぞれの間隙の位置に対応するように形成されているということができる。要するに、第2実施形態において、第1列のフィンを構成する小フィン1(1)乃至1(3)と、第2列のフィンを構成する小フィン2(1)乃至2(3)とは、いわば相互に重ならないように、且つ、互い違いに形成されているということができる。
【0131】
ここで第2実施形態においては特に、例えば、前記の小フィン1(1)及び1(2)間の間隙の大きさqは、小フィン2(1)の長さlよりも大きくされている。このような関係は、前述したすべての小フィンについて当てはまる。
【0132】
また、第1列のフィンを構成する小フィン1(1)乃至1(3)間の配列ピッチp(図18参照)は3mm以上となるようにされている。これは、第2列のフィンを構成する小フィン2(1)乃至2(3)についても同様である。
【0133】
さらに、第1列のフィン及び第2列のフィン間の間隙g(図17及び図18参照)は、1mm以上とされている。これは、上記第1実施形態において、直線状の二列のフィン間の間隙gが1mm以上とされていたことと同様な作用効果をもたらすことになる(後にも改めて述べる。)。
【0134】
このようなサイドフィン部628が形成されていることにより、第2実施形態では以下のような作用効果が得られることになる。まず、第2実施形態においても、図15で示したような冷却風の流れが実現されて、カバー部620の冷却、ひいては電気光学装置500の冷却が効果的に実現されることには変わりはない。
【0135】
そして、第2実施形態においては特に、前記のサイドフィン部628が前記の作用効果を更に促進させることになる。
【0136】
第一に、前記各小フィン1(1)乃至1(3)及び2(1)乃至2(3)は、上述のように、いわば相互に重ならないように、且つ、互い違いになるように形成されていることから、これら各小フィン1(1)乃至1(3)及び2(1)乃至2(3)は適度な密度でもって配列されているということができ、当該各小フィンにおける放熱作用を如何なく享受することができる。例えば、図18において仮に、小フィン2(1)、2(2)及び2(3)のそれぞれが、小フィン1(1)、1(2)及び1(3)の隣(図中直下)に存在するような場合を仮定すると、この場合には、これら小フィン2(r)及び小フィン1(r)(但し、r=1,2,3)が互いに熱を放散することよって、周囲(特に、両小フィン2(r)及び1(r)間の空気)の温度が上昇し、該両小フィン2(r)及び1(r)における熱の放散がされにくくなるなどという事態が考えられるが、第2実施形態によれば、そのような不具合を被らなくて済むのである。このような効果は、小フィン間の間隙の大きさqが小フィンの長さlよりも大きくされていたこと、更には第1列及び第2列のフィンそれぞれを構成する小フィン間のピッチpが3mm以上とされていたことによっても支援される。
【0137】
第二に、第1列のフィン及び第2列のフィン間の間隙gが1mm以上とされていたことにより、前記の第1実施形態と同様に、静圧が低く風量の小さい冷却風であっても、これら第1列のフィン及び第2列のフィン間を吹き抜けることが可能である。したがって、当該フィンの放熱性は更に向上することになり、第2実施形態においても、カバー部620全体の放熱能力を更に向上させることができる。また、第2実施形態に係るサイドフィン部628、ないしは前記の各小フィン1(1)乃至1(3)及び2(1)乃至2(3)は、第1実施形態と同様に、冷却風の流れに沿うようにして形成されているということができるから、その点についても前記第1実施形態と略同様な作用効果が得られることになる。
【0138】
ちなみに、第2実施形態においては、このようなカバー部620の冷却等ということに加えて、サイドフィン部628を構成する前記各小フィン1(1)乃至1(3)及び2(1)乃至2(3)が、上述のように、いわば相互に重ならないように、且つ、互い違いになるように形成されていることにより、次のような特有の作用効果も発揮される。すなわち、これによれば、本発明にいう「千鳥足状」に配列されたフィンの成形を比較的容易に行うことができる。例えば、このような形態となるフィンは、以下に述べるような射出成形法等で好適に形成することができる。すなわち、山部及び谷部が交互に形成されたジグザグの型を二つ用意し、一方の型の山部(又は谷部)が他方の型の谷部(又は山部)に噛み合うように、且つ、山型のてっぺんと谷型の底との間に所定の隙間が形成されるように、これら二つの型を配置した後、前記の隙間を用いて射出注入を実施すれば、前述のような配置態様を有する、千鳥足状に配列されるように形成されたフィンを容易に作ることができる。この場合特に、前記の製造方法において必然的に必要となる型抜きは、極めて容易に行われることになる(前記の二つの型を互いに離間させるように移動させればよい。)。
【0139】
(実装ケース入り電気光学装置―第3実施形態―)
次に、図19及び図20を参照して、第3実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置について説明する。ここに図19は、前記の図18と同趣旨の図であって、サイドフィン部の形態が、ディンプルが形成されている点につき異なるものを示すものであり、図20は図19のW−W´線断面図であって、特に小フィン及びディンプルの断面形状のみを示すものである。なお、第3実施形態では、上述した「投射型表示装置」、「電気光学装置」及び「実装ケース入り電気光学装置」の主要な部分に係る構成及び作用は、上記の第1実施形態と全く同様である(ただし、サイドフィン部は、第2実施形態で説明したような千鳥足状に配列された小フィンから構成されている。)。したがって、以下では、これらの説明については省略することとし、主に第3実施形態において特徴的な部分についてのみ説明を加えることとする。
【0140】
第3実施形態では、図19及び図20に示すように、上記第2実施形態で説明した千鳥足状に配列されるように形成された複数の小フィンからなるサイドフィン部に加えて、ディンプル629が形成されている。このディンプル629は、前記の各小フィン1(1)乃至1(3)及び2(1)乃至2(3)間を埋めるように複数形成されている。
【0141】
このようなディンプル629を備えることにより、カバー部620表面積は更に増大されることとなるのは言うまでもない。したがって、第3実施形態によれば、前記第1及び第2実施形態にも増して、カバー部620の効果的な冷却が実現されることとなり、もって電気光学装置500の効果的な冷却が実現されることとなる。
【0142】
なお、図20において、第3実施形態のディンプル629と小フィン2(1)との相違点は、「カバーの表面」を基準面F(図20参照)として突出しているか、或いは凹んでいるかということにある。
【0143】
或いは、場合により、本発明にいう「ディンプル」は、「当該実装ケース入り電気光学装置に対して送られてくる冷却風の流れを全く阻害しない」という属性を有していてもよい。第3実施形態に係るディンプル629は、このような属性を有しているということができる。すなわち、図20に示すように、該図において紙面こちら側から向こう側へ流れる冷却風W4は、ディンプル629の存在によって、その流れが阻害されるということが全くない。他方、この観点からすると、図20における小フィン2(1)は、冷却風の流れを全く阻害しないということはない、という属性を有するものと解することができる(特に、図20の冷却風W5参照)。したがって、「ディンプル」及び「フィン」間の相違点は、このような点にあるという考え方を採ることも可能である。
【0144】
また、本発明において、「ディンプル」の具体的形状は、図19及び図20に示すような、平面視して円形状のものに限られない。例えば、長手方向に溝が掘られたような形態のものも含む。
【0145】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるわけではない。以下、本発明の範囲内にあるが、上記の各実施形態では触れることのできなかった変形形態について説明する。
【0146】
まず第一に、上記の各実施形態では、サイドフィン部627及び628は、冷却風導入部622から冷却風排出部624へ向けて、直線状に延在するような形となっていたが、本発明は、このような形態に限定されない。既に述べたように、図1に示すような液晶プロジェクタ1100においては、シロッコファン1300から送り出されてくる風がらせん状に渦巻いたものとなるため、ライトバルブ100R、100G又は100Bたる実装ケース入り電気光学装置の周囲では、必ずしも直線的に冷却風が吹いているとは限らない。したがって、本発明に係るフィンにおいては、このような場合ではあるが当該冷却風の流れ方はある程度定型的に把握され得るというときには、その事情を汲んだ上で、当該フィンの配置態様を決定することができる。
【0147】
そのような具体例としては、例えば図21のような配置態様を採用することができる。ここに図21は、図18と同趣旨の図であって、小フィンの配置態様が異なるものを示している。この図21において、実装ケース入り電気光学装置の周囲には、冷却風W6が、いわば斜めに吹いている。もし、このような冷却風W6の流れが、全体的にみても大勢を占めているということが高い確度で推測される場合においては、フィンについてもそれに合わせるように配置することが好ましい。したがって、図21においては、実際に、小フィン1´(1)等が、前記冷却風W6の流れに合わせるようにして、斜め約45°の角度をもって配置されるようになっている。このようにすれば、冷却風W6の流れを過度に阻害することなく、カバー部620の冷却を効果的に実現することができる。
【0148】
また第二に、上記各実施形態においては、サイドフィン部627及び628ともに、二列のフィンを有する形態とされていたが、場合により、一列のフィンのみを有する形態としたり、或いは図22に示すように三列以上のフィンを有する形態としてもよい。ここに図22は、図18と同趣旨の図であって、小フィン群が三列配置されている態様を示している。ちなみに、この図22のように三列以上のフィンを備える形態では、その各列のフィンが、前記第2実施形態で述べたような配置関係を満たしていることが好ましい。すなわち、図22における三列目のフィンを構成する小フィン3(1)、3(2)及び3(3)は、二列目のフィンを構成する各小フィン2(1)、2(2)及び2(3)間の間隙の位置に対応するように配置され、また、小フィン3(1)、3(2)及び3(3)それぞれの長さは、小フィン2(1)、2(2)及び2(3)間の間隙の大きさよりも小さく、更には、これら三列目のフィンと二列目のフィン間の間隙は1mm以上とされているなどということである。この場合、三列目のフィンと二列目のフィンとが、それぞれ、本発明の「第1列のフィン」と「第2列のフィン」に該当すると考えることができる。このように、本発明にいう「第1列のフィン」と「第2列のフィン」とは、実際に形成されているフィンの列数にかかわらず、普遍的に適用され得る概念である。
【0149】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う実装ケース入り光学装置及び投射型表示装置並びに実装ケースもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。電気光学装置としては液晶パネルの他に、電気泳動装置やエレクトロルミネッセンス装置等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る投射型液晶装置の実施形態の平面図である。
【図2】 本発明に係る電気光学装置の実施形態の平面図である。
【図3】 図2のH−H′断面図である。
【図4】 本発明の第1実施形態に係る実装ケースを、電気光学装置とともに示す分解斜視図である。
【図5】 本発明の第1実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置の正面図である。
【図6】 図5のX1−X1´断面図である。
【図7】 図5のY1−Y1´断面図である。
【図8】 図5のZ1方向から臨んだ後面図である。
【図9】 本発明の第1実施形態に係る実装ケースを構成するプレート部の正面図である。
【図10】 図9のZ2方向から臨んだ後面図である。
【図11】 図9のZ3方向から臨んだ側面図である。
【図12】 本発明の第1実施形態に係る実装ケースを構成するカバー部の正面図である。
【図13】 図12のZ4方向から臨んだ後面図である。
【図14】 図12のZ5方向から臨んだ側面図である。
【図15】 本発明の第1実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置の斜視図であって、当該実装ケース入り電気光学装置に対する風の流れを示す図である。
【図16】 図12と同趣旨の図であって、該図とはフィンの形態が異なるものを示す正面図である。
【図17】 図16のZ4方向から臨んだ後面図である。
【図18】 図16のZ5方向から臨んだ側面図である。
【図19】 図18と同趣旨の図であって、サイドフィン部の形態が、ディンプルが形成されている点につき異なるものを示している。
【図20】 図19のW−W´線断面図であって、特に小フィン及びディンプルの断面形状のみを示すものである。
【図21】 図18と同趣旨の図であって、小フィンの配置態様が異なるものを示している。
【図22】 図18と同趣旨の図であって、小フィン群が三列配置されている態様を示している。
【符号の説明】
10…TFTアレイ基板、20…対向基板、400…防塵用基板、50…液晶層、500…電気光学装置
601…実装ケース、610…プレート部
620…カバー部
622…冷却風導入部、622T…テーパ部、622P…導風板
623…カバー本体部、62W…側壁部、627、628…サイドフィン部、
1(1)、1(2)、1(3)、2(1)、2(2)、2(3)、3(1)、3(2)、3(3)…小フィン
h…小フィンの高さ、w…小フィンの幅、l…小フィンの長さ
p…小フィン間のピッチ
g…各列間の間隙の大きさ
624…冷却風排出部、624F…リアフィン部
100R、100G、100B…ライトバルブ、1100…液晶プロジェクタ、
1102…ランプユニット、1300…シロッコファン
Claims (14)
- 画像表示領域に光源から光が入射される電気光学装置と、
該電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記プレートとで前記電気光学装置を収容するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレートで保持するように当該電気光学装置を収納する実装ケースとを備えた実装ケース入り電気光学装置であって、
前記プレートは、前記電気光学装置の側面に対向する折り曲げ部を備え、
前記カバーは、前記電気光学装置の側面に対向する側壁部を有し、前記側壁部の内側面が前記プレートの前記折り曲げ部に接するとともに、前記側壁部の外表面には前記折り曲げ部に対向する位置に複数のフィンを備えていることを特徴とする実装ケース入り電気光学装置。 - 前記フィンは、当該実装ケース入り電気光学装置に対して送られてくる冷却風の流れに沿うようにして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記フィンは、直線状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記フィンは、千鳥足状に配列されるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記千鳥足状に配列されるように形成されたフィンは、複数の小フィンが列状に配列されて構成される第1列のフィンと、これに平行に延在し且つ複数の小フィンが列状に配列されて構成される第2列のフィンとを含み、
前記第2列のフィンを構成する前記小フィンの一つは、
前記第1列のフィンを構成し且つ相隣接する前記小フィン間の間隙の位置に対応するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の実装ケース入り電気光学装置。 - 前記小フィン間の間隙は、前記小フィンの長さよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記小フィン間の間隙を含む前記小フィン間のピッチは3mm以上とされていることを特徴とする請求項5又は6のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記小フィンの高さは0.5mm以上、幅は0.3mm以上とされていることを特徴とする請求項5乃至6のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記フィンは、第1列のフィンと、これに平行に延在する第2列のフィンとを含み、
前記第1列のフィンと前記第2列のフィンとの間の間隔は1mm以上とされていることを特徴とする請求項5に記載の実装ケース入り電気光学装置。 - 前記カバーは、前記カバーの表面に窪みをつけるように形成されたディンプルを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記カバーは、高熱伝導率材料から構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 画像表示領域に光源から光が入射される電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記プレートとで前記電気光学装置を収容するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースであって、
前記プレートは、前記電気光学装置の側面に対向する折り曲げ部を備え、
前記カバーは、前記電気光学装置の側面に対向する側壁部を有し、前記側壁部の内側面が前記プレートの前記折り曲げ部に接するとともに、前記側壁部の外表面には前記折り曲げ部に対向する位置に複数のフィンを備えていることを特徴とする実装ケース。 - 前記カバーは、前記電気光学装置の側面に対向する側壁部を有し、
前記表面積増大手段は、前記側壁部の表面積を増大させることを特徴とする請求項12に記載の実装ケース。 - 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置と、
前記光源と、
前記投射光を前記電気光学装置に導く光学系と、
前記電気光学装置から出射される投射光を投射する投射光学系と、
前記実装ケース入り電気光学装置に対して冷却風を送出する冷却風送出手段と
を備えたことを特徴とする投射型表示装置。
Priority Applications (5)
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