JP3694593B2 - 酸性染毛料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、染毛料組成物、特に酸性染毛料組成物に関する技術分野の発明である。
【0002】
【従来の技術】
毛髪を染色するための染毛料は、例えば「白髪染め」や「おしゃれ染め」として広く用いられている。この染毛料には、当然毛髪を所望の色彩に染めるための色剤が配合されているが、この色剤として、酸性領域でその染毛効果を最も良く発揮する「酸性染料」は、染毛料の色剤として優れた安全性を有する、という点において最も好適なものの一つである。特に、半永久的に染毛効果を持続させることを企画する「半永久染毛料」の色剤としては、主にアゾ系の酸性染料が用いられており、染毛料における酸性染料の必要性は大きい。
この酸性染料を色剤として用いる染毛料である「酸性染毛料」は、使用時にpH領域を1.5 〜4.5 という強酸性の領域に調整する必要があり、この強酸性の染毛料が使用時にたれ落ちて毛髪以外のものに接触しないように、一般には増粘剤が配合されている。
【0003】
しかしながら、この強酸性領域のpHにおいて使用可能な増粘剤は、かなり限定され、しかも強酸性領域で使用可能といわれている増粘剤でも染毛料に配合する増粘剤としては必ずしも全面的に満足し得るものではない。
すなわち、現在酸性染毛料において用いられている主な増粘剤としては、キサンタンガム(特公平2―32253号公報)が挙げられ、更にキサンタンガムに加え改良剤として、ベントナイト及び/又は架橋性ポリアクリル酸ナトリウムを併用する系(特公平2―32253号公報)が用いられてきた。
【0004】
しかし、従来知られているキサンタンガム配合の染毛料は、pH4.0 〜5.0 付近では確かに安定であるが、染色効果を発揮するpH1.5 〜4.0 の強酸性領域では粘度が著しく変化し、安定性に課題があった。また、流動性に乏しいことも否定できず、手にとってから頭に塗布する際に、垂れ落ちたり、毛髪において延ばしにくい傾向もあった。さらには、べたついた使用感を伴い、使用感触においても満足できるものではなかった。
そこで、ベントナイトおよび/又は架橋性ポリアクリル酸ナトリウムを併用する系が見出されて、上記の流動性に関して改良がなされたが、未だ安定性の点で問題が残り、さらに使用後の洗い落としに手間がかかる等の問題点も生じていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決すべき課題は、染色効果を発揮する強酸性領域(pH1.5 〜4.0 )であっても、安定であり、流動性に富み、さらに使用感触に優れ、かつ使用後の洗い落としに手間がかからない増粘手段を施した酸性染毛料用組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題の解決に向けて鋭意検討した結果、サクシノグルカンと、ヒドロキシセルロース誘導体及び/又はカルボキシビニルポリマーを組み合わせて配合した酸性染毛料組成物は、上記の強酸性領域でも酸性染料の種類に関係せず、施術時の毛髪の生え際を効率よく染色でき、安定であり、さらに使用感触に優れ、かつ使用後の洗い落としに手間がかからないこと等の特徴を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、サクシノグルカン、並びにヒドロキシセルロース誘導体及び/又はカルボキシビニルポリマーを含む酸性染毛料組成物を提供する発明である。なお、本発明においては、ヒドロキシセルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースを選択することが好適である。
【0008】
なお、本発明において、「酸性染毛料組成物」とは、酸性領域(pH4.0 以下)でその染色効果を最も良好に発揮する「酸性染料」を色剤として用いた染毛料組成物を意味するものである。なお、この「酸性染毛料組成物」は主に半永久染毛料として用いられているが、「白髪染め」用か「お洒落染め」用かを問うものではない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係わる酸性染毛料組成物(以下、本発明酸性染毛料組成物という)は、その必須成分の一つとして、微生物に由来する多糖類の一種であるサクシノグルカンを含む酸性染毛料組成物である。
サクシノグルカンは、ガラクトース及びグルコースから誘導される糖単位に加え、コハク酸及びピルビン酸並びに随意成分としての酢酸、又はこれらの酸の塩から誘導される単位を含む微生物に由来する多糖類である。
【0010】
より具体的にはサクシノグルカンは、平均分子量が約600万で、以下の構造式を有するガラクトース単位:1、グルコース単位:7、コハク酸単位:0.8及びピルビン酸単位:1に、随意成分である酢酸単位を含むことのある水溶性高分子である。
【0011】
【化1】
〔式中、Glucはグルコース単位を、Galac はガラクトース単位を表す。また、括弧内の表示は糖単位同士の結合様式を表す。例えば、(β1、4)はβ1―4結合を表す。〕
【0012】
このサクシノグルカンの供給源となる微生物として、例えばシュードモナス属、リゾビウム属、アルカリゲネス属叉はアグロバクテリウム属に属する細菌であるアグロバクテリウム・ツメファシエンスI−736[ ブタペスト条約に従い1988年3月1日に微生物培養締結国収集機関(CNCM)に寄託され、I―736の番号で公に入手できる。] が特にサクシノグルカンの供給源として好ましい。
【0013】
サクシノグルカンは、これらの微生物を培養中で培養することによって製造することができる。
より具体的には、概ねグルコース、蔗糖、デンプンの加水分解物等の炭素源;カゼイン、カゼイネート、野菜粉末、酵母エキス、コーンスティ ―プリカー(CSL)等の有機窒素源;金属の硫酸塩、リン酸塩、炭素塩等の無機塩類や随意微量元素等を含む培地で上記の微生物を培養することによって製造することができる。
【0014】
また、一般にこの培養は1〜4バールの圧力下、25〜35℃で、攪拌培養等の好気条件に設定して行うことが好ましい。また、培地のpHは、5〜9、好ましくは6〜8である。
培養終了後、培養培地を熱処理後、これをイソプロピルアルコール等の有機溶媒と連続的に接触させることにより、サクシノグルカンを単離することができる。サクシノグリカンを培養培地から単離する際に好ましくはこれを濾過し、遠心分離を施し、加圧、乾燥することにより、本発明酸性染毛料組成物に配合するサクシノグルカンを得ることができる。
【0015】
なお、本発明酸性染毛料組成物には、このようにして製造したサクシノグルカンをそのまま配合し得ることは勿論、必要に応じて酸分解、アルカリ分解、酵素分解、超音波処理剤等の分解処理物も同様に配合することができる。
本発明酸性染毛料組成物におけるサクシノグルカンの配合量は、概ね組成物全体に対して0.001〜50.0重量%の範囲で配合され、好ましくは同0.1〜5.0重量%の範囲で配合される。
【0016】
サクシノグルカンの配合量が、組成物全体の0.001重量%未満であると、サクシノグルカンの増粘剤としての機能が十分に発揮されなくなり好ましくなく、同50.0重量%を超えると染毛料組成物の流動性が乏しくなる傾向が強くなり好ましくない。
【0017】
サクシノグルカンは、通常の条件下では増粘剤として汎用されているキサンタンガムに匹敵する流動学的性質を示し、しかも過酷な温度、pH、塩濃度においてもその性質は極めて安定である。
【0018】
特に、サクシノグルカンは、系の酸性に対して分解することなく(上記の酸分解処理工程は、他の酸分解処理工程と同様に、単に酸にサクシノグルカンを接触させるだけではなく他の分解工程を含んで始めて分解されるものである)、サクシノグルカンを配合した本発明酸性染毛料組成物は、経時でpHが変化しても粘度変化、着色や匂いの劣化等の分解が起こらず、安定である。また、本発明酸性染毛料組成物は、サクシノグルカンを配合したことによりチキソトロピー性を有することから、垂れ落ちない粘度を系に持たせても、伸展性、塗布性、均染性及び染着性に優れ、なおかつ皮膚や眼に対する刺激性も低く、感作性もない上記保湿性に優れ、しっとりとした使用感を伴うものである。
【0019】
サクシノグルカンは水溶性高分子でありながら、その使用感触はべたつかず、さっぱりとしており、保湿性を有することから、本発明酸性染毛料組成物は、従来の酸性染毛料組成物と比較して使用後の感触が向上し、毛髪に光沢、はりこし感やなめらか感を与え、使用時のべたつき感がなく、さっぱりとした使用感触を有するものである。また、使用後の洗い落としが容易であるという特徴も備えている。
【0020】
このように、本発明酸性染毛料組成物にサクシノグルカンを必須成分の一つとして配合することにより、酸性染毛料組成物として非常に優れた特性を発揮させることが可能であるが、これに、さらにヒドロキシセルロース誘導体及び/又はカルボキシビニルポリマーを、必須成分として組み合わせて配合することにより、毛髪の生え際の染色性を飛躍的に向上させることが可能である。
【0021】
本発明おいて用いられるヒドロキシセルロース誘導体は、セルロースの水酸基の一部又は全部が、ヒドロキシアルキルに置換されてエーテル化されているセルロース誘導体を意味するものであり、低分子であっても高分子であっても本発明において用いることができる。具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、さらには、セルロースのメチル及びヒドロキシプロピル置換の混合エーテルであるヒドロキシプロピルメチルセルロース等を例示できる。本発明においては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースを、このヒドロキシセルロース誘導体として選択することが好ましい。これらのヒドロキシセルロース誘導体は、通常公知の手段により合成することが可能である。また、水溶性高分子として、市販もされており(例えば、信越化学工業社製のメトローズシリーズ等)、これを本発明において用いることも可能である。
【0022】
カルボキシビニルポリマーは、酸性高分子化合物で、主にアクリル酸の重合体であり、通常公知の手段で製造することが可能である。また、増粘剤、分散剤、乳化安定剤として市販もされており(例えば、和光純薬工業株式会社のハイビスワコー103、104、105)、これを本発明において用いることも可能である。また、本発明で用いることが可能なカルボキシビニルポリマーには、その塩、例えば、カルボキシビニルポリマーカルシウム・カリウム塩(例えば、日本油脂社製のユニセーフECT-203 等)も含まれる。
【0023】
本発明酸性染毛料組成物には、ヒドロキシセルロース誘導体とカルボキシビニルポリマーとを別々に配合することも可能であり、両者を組み合わせて配合することも可能である。
【0024】
本発明酸性染毛料組成物における、ヒドロキシセルロース誘導体とカルボキシビニルポリマーの配合量は、両者を組み合わせて配合する場合は、両者の総量で、概ね組成物全体の1.0〜5.0重量%、好ましくは、同1.5〜4.0重量%である。
この両者の配合成分を組み合わせた配合量が、組成物全体の1.0重量%未満であると、所望する毛髪の生え際における染色性を向上させる効果を十分に発揮させることが困難になり好ましくなく、逆に同5.0重量%を超えて配合すると組成物が固くなり過ぎ、取扱いにくくなる傾向が強くなる故に好ましくない。
【0025】
本発明酸性染毛料組成物に、カルボキシビニルポリマーを配合せずにヒドロキシセルロース誘導体を配合する場合には、ヒドロキシセルロース誘導体の配合量は、概ね組成物全体の0.5〜5.0重量%、好ましくは同1.0〜3.0重量%である。逆に、本発明酸性染毛料組成物に、ヒドロキシセルロースを配合せずにカルボキシビニルポリマーを配合する場合には、カルボキシビニルポリマーの配合量は、概ね組成物全体の1.0〜7.0重量%、好ましくは同2.0〜4.0重量%である。
これらの配合量が上記した量よりも少ない(カルボキシビニルポリマーを配合せずにヒドロキシセルロース誘導体を配合する場合:組成物全体の0.5重量%未満、ヒドロキシセルロース誘導体を配合せずにカルボキシビニルポリマーを配合する場合:組成物全体の1.0重量%未満)と、所望する毛髪の生え際における染色性を向上させる効果を十分に発揮させることが困難になり好ましくない。逆にこれらの配合量が上記した量よりも過剰(カルボキシビニルポリマーを配合せずにヒドロキシセルロース誘導体を配合する場合:組成物全体の5.0重量%を超える量、ヒドロキシセルロース誘導体を配合せずにカルボキシビニルポリマーを配合する場合:組成物全体の7.0重量%を超える量)であると、組成物が固くなり過ぎ、取扱いにくくなる傾向が強くなる故に好ましくない。
【0026】
このようにして、サクシノグルカンと、ヒドロキシセルロース誘導体及び/又はカルボキシビニルポリマーを必須成分として配合することにより、上述のように、非常に優れた特性を有する本発明染毛料組成物が提供される。
【0027】
本発明酸性染毛料組成物には、上記の必須成分以外に、通常酸性染毛料に用いられる他の成分も本発明の所期の効果を妨げない限り、適宜配合することが可能であり、例えば、酸性染料、アルコール、有機溶媒及びpH調整剤等が必要に応じて適宜配合され得る。
【0028】
本発明酸性染毛料組成物に配合される酸性染料としては、人体に対して有害な作用を示さない医薬品、医薬部外品及び化粧品の着色に使用することが許可されている「医薬品などに使用することのできるタール色素を定める省令」に列挙される法定色素が極めて有効で、その配合量は組成物全体に対して0.01〜2.0重量%が好ましい。また、本発明酸性染毛料組成物をリンス兼用酸性染毛料として使用する場合には、組成物全体に対して0.01〜0.1重量%が好ましい。
【0029】
また、本発明酸性染毛料組成物に配合される有機溶剤類としては、例えば、エタノール、N−ブチルアルコール、sec −ブチルアルコール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンジルアルコール、2―フェノキシエタノール、フェニルエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネイト、メチルカルビトール、エチルカルビトール、1,3―ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等が挙げられ、これらの有機溶媒の群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒を、概ね組成物全体に対して5.0〜50.0重量%程度を配合する。
【0030】
また、本発明酸性染毛料組成物に配合されるpH調整剤用の酸としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、しゅう酸、酒石酸、蟻酸、レブリン酸、グリコール酸等の有機類や、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸が挙げられ、配合量は系のpHが1.5 〜4.0 、好ましくはpH1.5 〜3.0 の強酸性領域になるように配合する。
【0031】
さらにこれに加え、例えば、上記の有機溶媒以外の可溶化剤、コンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸塩、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ピロリドンカルボン酸、ラクトース、オリゴ糖等を本発明酸性染毛料組成物に配合することができる。
【0032】
また、例えばラノリン、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、高級脂肪酸、トリグリセライド、エステル油等の油性成分も本発明酸性染毛料組成物に配合することができる。
【0033】
また、分散、可溶化剤として、両親媒性物質や界面活性剤を本発明酸性染毛料組成物に配合することが可能で、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、グリセリンモノステアレート等を本発明酸性染毛料組成物に配合することができる。
【0034】
また、例えばラウリル酸ジエタノールアミド、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ペクチン、ファーセラン、アラビアガム、ガッチガム、カラヤガム、トラガカントガム、カンテン末、ベントナイト等の増粘剤も本発明酸性染毛料組成物に配合することができる。ただし、これらの増粘剤は、その配合によって本発明の所期の効果を損なうことのないよう、特に留意して配合する必要がある。
【0035】
また、コラーゲン加水分解物、ケラチン加水分解物、シルクプロテイン加水分解物、エラスチン加水分解物、大豆蛋白加水分解物等の蛋白質加水分解物及びこれらの四級化塩も本発明酸性染毛料組成物に配合することができる。
【0036】
また、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等のポリオキシエチレン系界面活性剤、例えばオクチルポリグリコキシド等のアルキルポリグリコキシド類、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル等のポリグリセリン系界面活性剤類、マルチトールヒドロキシアルキルエーテル、ソルビトールアルキルエーテル類の糖アルコールエーテル類、脂肪酸ジエタノールアミド類等の非イオン界面活性剤;高級脂肪酸類、リン酸エステル類、アルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミンオキサイド等のカチオン活性剤やその他の界面活性剤を適宜本発明酸性染毛料組成物に配合することができる。
【0037】
また、上述した以外の低級アルコール類や、高級アルコール類も本発明酸性染毛料組成物に配合することができる。
【0038】
また、例えばフェナセチン、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩、EDTA及びその塩、パラベン類、スズ酸塩類等の金属イオン封鎖剤及び防腐剤や、例えばポリ(ジメチルアリルアンモニウムハライド)型カチオン性高分子、ポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン、ヤシ油脂肪より得られるココイルアミンの縮合生成物であるカチオン高分子、ビニルピロリドン、ジメチルアミノメタアクリレート共重合体型カチオン高分子、第4級窒素含有セルロースエーテル型カチオン高分子類、香料、各種の薬効成分、水等を本発明酸性染毛料組成物に配合することができる。
上記の各成分は、必要に応じて適宜選択されて本発明酸性染毛料組成物に配合されるが、これらの成分に配合可能な他の成分が限定されるものではない。
【0039】
本発明酸性染毛料組成物は、酸性染毛料組成物が一般的に採え得るあらゆる形態に用いることができる。例えば、半永久染毛料、一時染毛料、白髪染め用染毛料、お洒落染め染毛料、リンス・染毛兼用染毛料等の形態を採ることができる。
【0040】
またさらに、所望する形態に応じた剤型に適宜調製することができる。例えば、液状、クリーム状、ジェル状、スプレー、ムース、スティック、一剤型、二剤型等の形態を採り得る。
本発明酸性染毛料組成物の具体的処方は、後述する実施例において示す。
【0041】
【実施例】
以下、実施例等を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明の技術的範囲が、これらの実施例等により限定されるものではない。また、配合量は、特に断わらない限り、その成分が配合される対象全体に対する重量%で表される。
【0042】
〔製造例〕 サクシノグルカンの製造
サクシノグルカンを特公平6―74283号の記載に従い製造した。すなわち、後述する組成の培養培地で、アグロバクテリウム・ツメファシエンスI―736株を用いて発酵を行った。すなわち、培養培地にアグロバクテリウム・ツメファシエンスI―736株を接種して、使用容量15Lを有する20LのBiolaffite(登録商標)容器中で、28℃で、Ruston(登録商標)タイプ攪拌機を用いて400rpmの攪拌培養を行い、培地を825L/時の風量で曝気した。蔗糖の全消費乃至事実上全消費に相当する90時間の攪拌培養後、使用蔗糖重量に関して定義されるヘテロ多糖類66重量%が得られた。30rpm での円筒型スピンドルNo.4を用いたブルックフィールドLTV (登録商標)粘度計により測定した発酵液の粘度は6800Pa/sであった。
【0043】
サクシノグルカンは、90℃で3分間熱処理された上記発酵液2kgから回収された。
すなわち、このようにして熱処理された発酵液にイソプロピルアルコール2300mLを加え、硫酸ナトリウム150 gで沈殿を生じさせた。次いで、この沈殿から生じた繊維をイソプロピルアルコール1200mLで脱水処理を2回行ない、この脱水済繊維を加圧してばらばらに引き裂いて、85℃のオーブンで乾燥させ、得られた乾燥物を粉砕した。このようにして、クリーム色のサクシノグルカン粉末を得た。
【0044】
上記により得られたサクシノグルカンを、以下の実施例に供した。
【0045】
また、以下の実施例においては、ヒドロキシセルロース誘導体として、信越化学工業社製の市販品を用い、カルボキシビニルポリマーとしては、和光純薬工業社製のハイビスシリーズ(実施例中に「カルボキシビニルポリマー」の後ろに記載されている数字は、ハイビスシリーズの番号である)。
【0046】
[酸性染毛料組成物の評価]
下記の各処方で調製した酸性染毛料組成物の評価は、安定性試験、染毛・たれ落ち試験、さらに洗い落とし試験を通じて行った。
安定性試験
各染毛料組成物をー5℃、室温、M1サイクル(1カ 月のサイクルで45℃〜―5℃まで変温)及び50℃で1カ 月保管した後、系のpH及び粘度を測定し、安定性を評価した。
【0047】
染毛・たれ落ち試験
各染毛料組成物をパネル20名が使用し、頭髪の生え際の染色性、均染性、頭髪への伸展性、頭髪の付着性、たれ落ちの評価をした。
【0048】
洗い落とし試験
上記の染毛・たれ落ち試験において、上記パネル20名が各染毛料組成物で毛髪を染色後、毛髪を30℃の水道水で軽く水洗いをした後、さらに市販のシャンプーで2回、市販のリンスで1回の毛髪洗浄を実施した。その後、室温下で染毛毛髪を乾燥させ、染毛料組成物の洗い落としの評価をした。
【0049】
【0050】
<製法>
上記処方でプロピレングリコールとベンジルアルコールの混合物にサクシノグルカンを添加分散させ、あらかじめ調製したヒドロキシプロピルメチルセルロースとイオン交換水の3/4部からなる混合物を、これに添加し、さらにシルクプロテイン加水分解物、香料を添加した。最後に、各染料を1/4部のイオン交換水に溶解した液を添加し、リン酸によりpH調整し、均一なゲル化合物を得た。
【0051】
また、同様の方法で、上記実施例A1の酸性染毛料の処方において、サクシノグルカンに代えてキサンタンガムを2.0 重量%配合した酸性染毛料組成物[他の成分の配合量は、実施例A1の処方と同じ:比較例A1(pH2.5 に調整)]及び上記実施例A1の酸性染毛料の処方において、サクシノグルカンに代えてキサンタンガム、ベントナイト及び架橋性ポリアクリル酸ナトリウムを配合した比較例A2、上記実施例A1の酸性染毛料の処方において、ヒドロキシセルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の代わりにカラギーナンを配合した比較例A3、をそれぞれ調製した。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
<製法>
上記処方でプロピレングリコールとベンジルアルコールの混合物にサクシノグルカンを添加分散させ、あらかじめ調製したとイオン交換水の3/4部からなる混合物を、これに添加し、さらにシルクプロテイン加水分解物、香料を添加した。最後に、各染料を1/4部のイオン交換水に溶解した液を添加し、リン酸によりpH調整し、均一なゲル化合物を得た。
【0057】
また、同様の方法で、上記実施例B1の酸性染毛料の処方において、サクシノグルカンに代えてキサンタンガムを2.0 重量%配合した酸性染毛料組成物[他の成分の配合量は、実施例B1の処方と同じ:比較例B1(pH2.5 に調整)]及び上記実施例B1の酸性染毛料の処方において、サクシノグルカンを配合せずに、カルボキシビニルポリマーを配合した比較例B2を、それぞれ調製した。
【0058】
【0059】
【0060】
これらの実施例A1及び比較例A1〜A3、並びに実施例B1及び比較例B1とB2について、上記の試験を行った。
【0061】
安定性試験の結果(A)
実施例A1及び比較例A1〜A3の酸性染毛料組成物について安定性試験(1カ 月間における粘度変化の有無)を行った結果を第1表に示す。
【0062】
第 1 表
────────────────────────────────────
保存温度 −5℃ 室温 50℃ M1サイクル
────────────────────────────────────
実施例A1(pH2.5 ) ◎ ◎ ○ ○
比較例A1(pH2.5 ) ◎ ◎ × ○
比較例A2(pH2.5 ) ○ ○ × ○
比較例A3(pH2.5 ) ◎ ○ × ×
────────────────────────────────────
【0063】
注)表中、◎:粘度変化なし。
○:粘度変化が認められるが、染毛料としての許容範囲にある。
×:染毛料としての許容範囲を逸脱するほど、粘度変化が著しい。
【0064】
実施例A1の酸性染毛料組成物は、上記の各温度状態において僅かながら粘度変化が認められたが、染毛料としての使用の許容範囲にある。比較例A1、A2、A3の酸性染毛料組成物では、特に50℃では著しい粘度変化が認められ、染毛料としての使用し難いものであった。
【0065】
また、実施例A1の酸性染毛料組成物は、従来の酸性染毛料組成物に比較して、pH安定性及び粘度安定性に優れることがわかった。
【0066】
安定性試験の結果(B)
実施例B1及び比較例B1とB2の酸性染毛料組成物について安定性試験(1カ 月間における粘度変化の有無)を行った結果を第2表に示す。
【0067】
第 2 表
────────────────────────────────────
保存温度 −5℃ 室温 50℃ M1サイクル
────────────────────────────────────
実施例B1(pH2.5 ) ◎ ◎ ○ ◎
比較例B1(pH2.5 ) ◎ ◎ × ○
比較例B2(pH2.5 ) ○ ○ × ×
────────────────────────────────────
注)表中の評価基準は、前記した第1表における判断基準と同様である。
【0068】
第2表に示した結果により、実施例B1の酸性染毛料組成物は、上記の各温度状態において殆ど粘度変化が認められなかった。比較例B1とB2の酸性染毛料組成物では、特に50℃では著しい粘度変化が認められ、染毛料としての使用し難いものであった。
【0069】
また、実施例B1の酸性染毛料組成物は、従来の酸性染毛料組成物に比較して、pH安定性及び粘度安定性に優れることがわかった。
【0070】
染毛・垂れ落ち試験の結果(A)
実施例A1及び比較例A1、A2、A3の酸性染毛料組成物について、染毛・垂れ落ち試験を行った結果を、第3表(毛髪の付着性、頭髪の生え際の染色性)及び第4表(垂れ落ち)に示す。
【0071】
注)A:毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高い。
B:毛髪の付着性があるが、頭髪の生え際の染色性が弱く、不十分である。
C:毛髪の付着性が弱いため、頭髪の生え際の染色性が低い。
【0072】
第 4 表
─────────────────
評価 A B
─────────────────
実施例A1 20 0
比較例A1 19 1
比較例A2 18 2
比較例A3 15 5
──────────────────
注)A:垂れ落ちがまったく認められない。
B:施術の仕方により垂れ落ちが認められる場合がある。
【0073】
第3及び第4表からわかるように、サクシノグルカン及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合した本発明酸性染毛料組成物は、従来の酸性染毛料組成物に比べて、垂れ落ちがなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、しっかりと根元から毛髪を染めることができる酸性染毛料組成物であることがわかる。
【0074】
染毛・垂れ落ち試験の結果(B)
実施例B1及び比較例B1とB2の酸性染毛料組成物について、染毛・垂れ落ち試験を行った結果を、第5表(毛髪の付着性、頭髪の生え際の染色性)及び第6表(垂れ落ち)に示す。
【0075】
注)表中の評価基準は、前記した第3表における判断基準と同様である。
【0076】
第 6 表
─────────────────
評価 A B
─────────────────
実施例B1 20 0
比較例B1 19 1
比較例B2 15 5
──────────────────
注)表中の評価基準は、前記した第4表における判断基準と同様である。
【0077】
第3及び第4表からわかるように、サクシノグルカン及びカルボキシビニルポリマーを配合した本発明酸性染毛料組成物は、従来の酸性染毛料組成物に比べて、垂れ落ちがなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、しっかりと根元から毛髪を染めることができる酸性染毛料組成物であることがわかる。
【0078】
洗い落とし試験の結果
洗い落とし試験においては、いずれの実施例(A1,B1)及び比較例(A1〜A3、B1とB2)においても、よく洗い落ちており、洗い落としが容易であることが判明した。
【0079】
以下、種々の処方の本発明酸性染毛料組成物を実施例としてさらに記載する。なお、各実施例の本発明酸性染毛料組成物について上記各試験を行ったところ、いずれの実施例についても、それぞれの実施例のサクシノグルカンに代えて、上記のごとくキサンタンガムを配合した実施例や、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はカルボキシビニルポリマーを抜去した実施例と比べ、際だって優れていた。なお、実施例A3、A4、A8、A9は、本願出願後の補正により、本願発明の範囲外の例となっている。
【0080】
【0081】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0082】
【0083】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0084】
【0085】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0086】
【0087】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0088】
【0089】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0090】
【0091】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0092】
【0093】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0094】
【0095】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0096】
【0097】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0098】
【0099】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0100】
【0101】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0102】
【0103】
上記処方で常法で製造した酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0104】
【0105】
上記処方で、常法で製造したカラーリンスタイプの酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0106】
【0107】
上記処方で、常法で製造したカラーリンスタイプの酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0108】
【0109】
上記処方で、常法で製造したカラーリンスタイプの酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0110】
【0111】
上記処方で、常法で製造したカラーリンスタイプの酸性染毛料は、適度な粘度を得て特異臭もなく、頭髪からの垂れ落ちもなく、毛髪の付着性が良好で、その結果として頭髪の生え際の染色性が高く、染めむらもなかった。また、使用感も良好でしっとりするという特徴があった。さらに、洗い落としも容易であった。
【0112】
【発明の効果】
本発明により、強酸性領域であっても、粘度安定性に優れ、伸展性に富み、毛髪の付着性が良好で、毛髪の生え際でも染毛でき、かつ使用後の洗い落としに手間がかからない増粘手段を施した酸性染毛料組成物が提供される。
Claims (1)
- サクシノグルカン、並びに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はカルボキシビニルポリマー、を下記の量で含有する酸性染毛料組成物。
1)サクシノグルカンを組成物全体の0.1〜5.0重量%。
2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシビニルポリマーを含有する場合には、当該成分を組成物全量に対して1.5〜4.0重量%。
3)ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシビニルポリマーのうち、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのみを含有する場合には、当該成分を組成物全量に対して1.0〜3.0重量%。
4)ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシビニルポリマーのうち、カルボキシビニルポリマーのみを含有する場合には、当該成分を組成物全量に対して2.0〜4.0重量%。
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