JP3692842B2 - インクジェットプリンタヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットプリンタヘッドの製造方法 Download PDF

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリントヘッドのオリフィス板に正しい形状のインク吐出ノズルを短時間で一括形成できる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット方式のプリンタが広く用いられている。このインクジェット方式によるプリンタには、インクを加熱し気泡を発生させてその圧力でインク滴を飛ばすサーマル方式や、ピエゾ抵抗素子(圧電素子)の変形によってインク滴を飛ばすピエゾ方式等がある。これらは、色材たるインクをインク滴にして直接記録紙に向かって吐出し印字を行うから、粉末状の印材であるトナーを用いる電子写真方式と比較した場合、印字エネルギーが低くて済み、インクの混合によってカラー化が容易であり、印字ドットを小さくできるので高画質であり、印字に使用されるインクの量に無駄が無くコストパフォーマンスに優れており、このため特にパーソナル用プリンタとして広く用いられている印字方式である。
【0003】
上記のサーマル方式には、インク滴の吐出方向により二通りの構成がある。一つは発熱素子の発熱面に平行な方向へインク滴を吐出する構成のサイドシュータ型と呼称されるものであり、他の一つは発熱素子の発熱面に垂直な方向にインク滴を吐出する構成のルーフシュータ型と呼称されるものである。
【0004】
図15(a) は、そのようなルーフシュータ型のインクジェットプリンタヘッドを備えたプリンタの構成を模式的に示す斜視図であり、同図(b) は、そのインクジェットプリンタヘッドのインク吐出面を模式的に示す平面図、同図(c) は、そのD−D′断面矢視図、同図( ) は、このインクジェットプリンタヘッドが製造されるシリコンウエハを示す図である。
【0005】
先ず、同図(a) に示すプリンタ1は、家庭で個人的に使用される小型のプリンタであり、キャリッジ2に印字を実行するインクジェットプリンタヘッド3とインクを収容しているインクカートリッジ4が取り付けられている。キャリッジ2は、一方ではガイドレール5により滑動自在に支持され、他方では歯付き駆動ベルト6に固着している。これにより、インクジェットプリンタヘッド3及びインクタンク4は、図の両方向矢印Bで示す印字の主走査方向に往復駆動される。このインクジェットプリンタヘッド3とプリンタ1本体の不図示の制御装置との間にフレキシブル通信ケーブル7が接続され、このフレキシブル通信ケーブル7を介して制御装置から印字データと制御信号がインクジェットプリンタヘッド3に送出される。
【0006】
このインクジェットプリンタヘッド3に対向し、インクジェットプリンタヘッド3の上記主走査方向に延在して、装置本体のフレーム8の下端部にプラテン9が配設されている。このプラテン9に接して用紙10が給紙ローラ11と排紙ローラ12により図の矢印Cで示す印字副走査方向に間欠搬送される。この用紙10の間欠搬送の停止期間中に、インクジェットプリンタヘッド3は、モータ13により歯付き駆動ベルト6及びキャリッジ2を介して駆動されながら、用紙10に近接した状態でインク滴を噴射して紙面に印字する。この用紙10の間欠搬送とインクジェットプリンタヘッド3による往復移動時の印字との繰り返しによって用紙10の全面に印字を行う。
【0007】
上記のようなプリンタは、旧来はモノクロプリンタが主流であったが、昨今ではフルカラープリンタがむしろ主流である。フルカラープリンタに用いられる上記のインクジェットプリンタヘッド3は、同図(b) に示すように、およそ10×15mmの大きさのチップ基板14の上に積層されたオリフィス板15に、4色のインクを吐出するための互いに平行する四列のノズル列16が形成されている。各ノズル列16には例えば128個のオリフィス、つまりインク吐出ノズル17が一列に配置されている。
【0008】
このインクジェットプリンタヘッドの製法としては、シリコンLSI形成技術と薄膜形成技術を利用して、複数の発熱素子とそれらを個々に駆動する駆動回路とインク吐出ノズルとを一括してモノリシックに形成する方法がある。この方法によれば、同図(b) に示す10×15mmの大きさのチップ基板14の上に、同図(c) に示すように、上記128個のインク吐出ノズル17に対応する発熱素子18と駆動回路19とを形成した解像度360dpi(ドット/インチ)のインクジェットプリンタヘッド3を作成することができる。また解像度が720dpiの場合であれば256個の発熱素子と駆動回路とインク吐出ノズルを形成することになる。
【0009】
このようなインクジェットプリンタヘッド3は、同図(d) に示すシリコンウエハ21上に多数一括形成することによって製造される。シリコンウエハ21上に所定の数だけ個々に区画された各チップ基板14には、上記のインク吐出ノズル17や発熱素子18、駆動回路19などの他に、発熱素子18を個別に駆動する個別配線電極22及び共通電極23、これらへの配線端子24及び給電端子25、インク流路26を形成するための隔壁27、インク流路26に外部のインクカートリッジ4から供給されるインクを受け取るインク受給孔28及び共通インク供給溝29等が形成されている。
【0010】
このようにシリコンウエハ21の状態で各部を形成されたインクジェットプリンタヘッド3は、最後に、ダイシングソーなどを用いてスクライブラインに沿ってカッテングされ、個別に分割されて、実装基板にダイスボンデングされ、端子接続されて、実用単位のインクジェットプリンタヘッド3が完成する。
【0011】
このインクジェットプリンタヘッド3は、印字に際しては発熱素子18が印字情報に応じて選択的に通電され、瞬時に発熱して膜沸騰現象を発生させ、その発熱抵素子18に対応するインク吐出ノズル17からインク滴が吐出される。このようなインクジェットプリンタヘッド3ではインク滴はインク吐出ノズル17の径に対応する大きさの略球形で吐出され、紙面上に略その倍の径の大きさとなって印字される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、各チップ基板14上のオリフィス板15に上記のインク吐出ノズル17を孔空けするには、オリフィス板15にAl、Ni又はCuなどの金属膜を積層した後、これをパターン化し、このパターン化した金属膜をマスクにして、通常のドライエッチング装置によるか又はエキシマレーザなどによって、オリフィス板15を選択的にエッチングする。
【0013】
しかしながら、インク吐出ノズル17は所定の位置に所定の大きさ及び形状で正確に形成されることが要求されるが、厚いオリフィス板15に多数のインク吐出ノズル17を一括して適正に明けることは難しいため、従来は、適数個づつに分割して孔空けを行っていた。このためインク吐出ノズル17の孔空けに時間がかかるという問題を有していた。
【0014】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、オリフィス板に正しい形状の多数のインク吐出ノズルを短時間で一括して適正且つ均一に空けるインクジェットプリンタヘッドの製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
先ず、請求項1記載の発明のインクジェットプリンタヘッドの製造方法は、インクに圧力を加えて該インクを複数の吐出ノズルより記録媒体に噴射させて記録を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、基板の表面に複数のインク流路を区画する隔壁と上記インク流路毎に設けられた圧力エネルギー発生素子とを設置する工程と、上記基板の裏面と上記表面間を貫通するインク供給路を形成する工程と、上記基板の裏面から上記インク供給路を介して上記インク流路に至る流通経路を遮蔽する工程と、上記基板の表面上に上記吐出ノズルを形成すべき表裏に熱可塑性ポリイミドの接着材が設けられたオリフィス板を設置する工程と、該オリフィス板の表面に金属マスクを形成する工程と、上記基板の裏面を冷却媒体ガスを介在させつつ上記熱可塑性ポリイミドのガラス転移点以下に冷却しながら上記オリフィス板に上記複数の吐出ノズルを所定位置にヘリコン波エッチングにより一括形成する工程と、上記流通経路の遮蔽を解除する工程とを有して構成される。
【0016】
上記流通経路の遮蔽工程は、例えば請求項2記載のように、上記基板裏面に遮蔽シートを貼着して行うことが好ましく、また、例えば請求項3記載のように、上記流通経路内に溶剤または水により容易に溶解される可溶性樹脂を充填して行っても良い。この場合、上記可溶性樹脂は、例えば請求項4記載のように、上記圧力エネルギー発生素子を被覆しているものであることが好ましい。
【0017】
次に、請求項5記載の発明のインクジェットプリンタヘッドの製造方法は、インクに圧力を加えて該インクを複数の吐出ノズルより記録媒体に噴射させて記録を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、基板の表面に複数のインク流路を区画する隔壁と上記インク流路毎に設けられた圧力エネルギー発生素子とを設置する工程と、上記基板を貫通せず表面上にのみインク供給溝を形成する工程と、上記基板の表面上に上記吐出ノズルを形成すべき表裏に熱可塑性ポリイミドの接着材が設けられたオリフィス板を設置する工程と、該オリフィス板の表面に金属マスクを形成する工程と、上記基板の裏面を冷却媒体ガスを介在させつつ上記熱可塑性ポリイミドのガラス転移点以下に冷却しながら上記オリフィス板に上記複数の吐出ノズルを所定位置にヘリコン波エッチングにより一括形成する工程と、上記基板の裏面側から穿設し表面側に形成されている上記インク供給溝に連通するインク受給孔を形成する工程とを有して構成される。
【0018】
更に、請求項6記載の発明のインクジェットプリンタヘッドの製造方法は、インクに圧力を加えて該インクを複数の吐出ノズルより記録媒体に噴射させて記録を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、基板の表面に複数のインク流路を区画する隔壁と上記インク流路毎に設けられた圧力エネルギー発生素子とを設置する工程と、上記基板の裏面から上記表面に貫通するインク供給路を形成する工程と、上記基板の裏面から上記インク供給路を介して上記インク流路に至る流通経路を遮蔽する工程と、上記基板の表面上に上記吐出ノズルを形成すべき表裏に熱可塑性ポリイミドの接着材が設けられたオリフィス板を設置する工程と、該オリフィス板の表面に金属マスクを形成する工程と、上記基板の裏面側への冷却媒体ガスの供給を開始し、該ガスを介在させつつ上記基板を上記熱可塑性ポリイミドのガラス転移点以下に冷却しながら上記オリフィス板に上記複数の吐出ノズルを所定位置に形成するためのヘリコン波エッチングを開始し、上記吐出ノズルが貫通した実質的直後に上記冷却媒体ガスの供給を停止し、この後、所定時間後にヘリコン波エッチングを終了するヘリコン波エッチング工程とを有して構成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1(a),(b),(c) は、第1の実施の形態におけるモノリシック型インクジェットプリンタヘッドの製造方法を工程順に示す図であり、それぞれ一連の工程においてシリコンウエハのチップ基板上に形成されていく状態の概略の平面図と断面図を模式的に示している。尚、これらの図には、説明の便宜上、いずれもフルカラー用のインクジェットプリンタヘッドの1個の印字ヘッド(モノクロ用インクジェットプリンタヘッドの構成と同じ)のみを示しているが、実際には後述するように、このような印字ヘッドが複数個(通常は4個)連なった形状のものが、1個のチップ基板上に形成される。また、同図(c) には36個のオリフィスとしてのインク吐出ノズル44を示しているが、実際には64個、128個、256個等、設計上の方針によって多数形成されるものである。
【0020】
図2(a),(b),(c) は、上段に図1(a),(b),(c) の平面図をそれぞれ拡大して詳細に示しており、中段に上段のE−E′断面矢視図(同図(a) 参照)、下段に上段のF−F′断面矢視図(同図(a) 参照)を示している。また、同図(a),(b),(c) の中段に示す断面図は、それぞれ図1(a),(b),(c) の下に示す断面図と同一のものである。尚、図2(a),(b),(c) には、図示する上での便宜上、64個、128個又は256個のインク吐出ノズルを、5個のインク吐出ノズル44で代表させて示している。
【0021】
最初に、基本的な製造方法について説明する。先ず、工程1として、4インチ以上のシリコン基板にLSI形成処理により駆動回路とその端子を形成すると共に、厚さ1〜2μmの酸化膜(Si O2 )を形成し、次に、工程2として、薄膜形成技術を用いて、タンタル(Ta)−シリコン(Si)−酸素(O)からなる発熱抵抗体膜の層と、Ti−W等の密着層を介在させてAuなどによる電極膜を順次積層形成する。そして、電極膜と発熱抵抗体膜をフォトリソグラフィー技術によって夫々パターニングし、ストライプ状の発熱抵抗体膜上の発熱部とする領域の両側に配線電極を形成する。この工程で発熱部の位置が決められる。
【0022】
図1(a) 及び図2(a) は、上記の工程1及び工程2が終了した直後の状態を示している。すなわち、チップ基板30には酸化膜からなる絶縁層の下に駆動回路31及び駆動回路端子32(図1(a) 参照)が形成され、絶縁層の上には、発熱抵抗体層が複数条にパターン化され、その発熱部33となる両端に共通電極34と個別配線電極36が形成されて共通電極34、発熱部33、及び個別配線電極36からなる複数条の発熱素子が所定の間隔で平行に並設形成され、発熱部列33′及び個別配線電極列36′を形成している。また、上記の共通電極34には共通電極給電端子35が形成されている(図1(a) 参照)。
【0023】
続いて、工程3として、個々の発熱部33に対応するインク加圧室とこれらへのインク流路を形成すべく感光性ポリイミドなどの有機材料からなる隔壁部材をコーティングにより高さ20μm程度に形成し、これをフォトリソ技術によりパターン化した後に、300℃〜400℃の熱を30分〜60分加えるキュア(乾燥硬化、焼成)を行い、高さ10μm程度の上記感光性ポリイミドによる隔壁をチップ基板30上に形成・固着させる。更に、工程4として、ウェットエッチングまたはサンドブラスト法などにより上記チップ基板30の面に共通インク供給溝を穿設し、更にこの共通インク供給溝に連通しチップ基板30の下面に開口するインク受給孔を形成する。
【0024】
図1(b) 及び図2(b) は、上述の工程3及び工程4が終了した直後の状態を示している。すなわち、共通電極34に取り囲まれるようにして共通インク供給溝37及びインク受給孔38が形成されている。そして、共通インク供給溝37の左側に位置する共通電極34部分にはインクシール隔壁39−1が形成され、右方の個別配線電極36が配設されている部分にはインクシール隔壁39−2が形成され、このインクシール隔壁39−2から各発熱部33と発熱部33の間に延び出す区画隔壁39−3が形成されている。
【0025】
上記の個別配線電極36上のインクシール隔壁39−2を櫛の胴とすれば、各発熱部33と発熱部33との間に延び出す区画隔壁39−3は櫛の歯に相当する形状をなしている。これにより、この櫛の歯状の区画隔壁39−3を仕切り壁として、その歯と歯の間の付け根部分に発熱部33が位置する微細なインク加圧室41が、発熱部33の数だけ形成される。
【0026】
この後、工程5として、ポリイミドからなる厚さ10〜30μmのフィルムのオリフィス板を、上記積層構造の最上層つまり隔壁39(39−1、39−2、39−3)の上に張り付けて290〜300℃で加熱しながら加圧してそのオリフィス板を固着させる。続いてNi、Cu又はAlなどの厚さ0.6〜1μm程度の金属膜を形成する。
【0027】
更に、工程6として、オリフィス板の上の金属膜をパターン化して、ポリイミドを選択的にエッチングするマスクを形成し、続いて、オリフィス板を詳しくは後述するヘリコン波エッチング装置により上記の金属膜マスクに従って31μmφ〜15μmφの孔空けをして多数のインク吐出ノズルを一括形成する。
【0028】
図1(c) 及び図2(c) は、上述した工程5と工程6が終了した直後の状態を示している。すなわち、オリフィス板42が共通給電端子35及び駆動回路端子32の部分を除く全領域を覆っており、区画隔壁39−3によって形成されている高さ10μmのインク加圧室41が共通インク供給溝37方向に開口を向けている。そして、これらインク加圧室41の開口と共通インク供給溝37とを連通させる高さ10μmのインク流路43が形成されている。
【0029】
そして、オリフィス板42には、発熱部33に対向する部分にオリフィス、つまりインク吐出ノズル44が形成されている。これにより、64個、128個又は256個のインク吐出ノズル44を1列に備えたモノカラーインクジェットプリンタヘッド45が完成する。
【0030】
上記のように1列のインク吐出ノズル44を備えたモノカラーインクジェットプリンタヘッド45は、モノクロ用のインクジェットプリンタヘッドの構成であるが、通常フルカラー印字においては、減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色に、文字や画像の黒部分に専用されるブラック(Bk)を加えて合計4色のインクを必要とする。したがって最低でも4列のノズル列が必要である。
【0031】
図3(a) は、上記のモノカラーインクジェットプリンタヘッド45を4列並べてフルカラーインクジェットプリンタヘッドを構成した状態を示す図であり、同図(b) は、そのフルカラーインクジェットプリンタヘッドがシリコンウエハ上に多数形成された状態を示す図である。上述した製造方法によれば、図3(b) に示すように、図1(a),(b),(c) に示したチップ基板30よりも大きく設定したチップ基板46をシリコンウエハ47上に多数形成し、そのチップ基板46に、図1(c) に示したモノカラーインクジェットプリンタヘッド45を4列にモノリシックに構成して、図3(a) に示すようにフルカラーのインクジェットプリンタヘッド48を製造することは可能であり、各ノズル列49の位置関係も今日の半導体の製造技術により正確に配置することが可能である。
【0032】
そして、上述した製造工程により、シリコンウエハ47の状態で処理した後、最後にダイシングソーなどを用いてシリコンウエハ47をスクライブラインに沿ってカッテングし、チップ基板46毎に個別に分割して、図3(a) に示すフルカラーインクジェットプリンタヘッド48が出来上がる。これを実装基板にダイスボンデングし、端子接続して、実用単位のフルカラーインクジェットプリンタヘッド48が完成する。
【0033】
次に、上述したインクジェットプリンタヘッドの製造方法の工程6において概略説明したヘリコン波エッチング装置によるインク吐出ノズルの孔空けについて更に詳しく説明する。本例においてヘリコン波ドライエッチング装置を用いるのは、ヘリコン波ドライエッチング装置は高速ドライエッチングが可能であり作業能率が上がるからである。尚、ヘリコン波は、固体プラズマの中を伝搬する電磁波の一種で、別名ホイスラー(笛)波とも呼ばれ、高密度プラズマを発生させるものである。
【0034】
図4(a) は、上記のドライエッチングのための前工程を行った製造途上のインクジェットプリントヘッド48(但し、以下、圧力エネルギー発生素子については、1個の発熱部33及びその近傍部分のみを切り出して示している)を示す図であり、同図(b) は、そのインクジェットプリントヘッド48に対して、ヘリコン波ドライエッチング装置でドライエッチングを行っている状態を示す図である。尚、同図(a) には、チップ基板46上の構成において、図1(a),(b),(c) 及び図2(a),(b),(c) と同一の構成部分には図1(a),(b),(c) 及び図2(a),(b),(c) と同一の番号を付与して示している。
【0035】
同図(a) に示すように、オリフィス板42は、接着材51a、ポリイミドフィルム52、接着材51bの3層で構成されている。接着材51a及び51bの材料は、例えば熱可塑性ポリイミドやエポキシ系接着材などであり、厚さ約30μmのポリイミドフィルム52の表裏に厚さ2〜5μm程度にコーテングされている。このような接着材51aまたは51bのような熱可塑材料はガラス転移点以上の温度になると急激に弾性率が低下して粘着性が増加し接着効果を発揮する。
【0036】
但し、この性質は、隔壁39(39−1、39−2、39−3)に接着されるオリフィス板42の裏面の接着材51bに要求されている性質であって、オリフィス板42の表面には必要のない性質である。それにも拘らず、オリフィス板42の裏面の接着材51bだけでなく表面にも接着材51aが設けられるているのは、もし裏面の接着材51bだけであるとポリイミドフィルム52が製造工程の処理作業中に捲き上がって具合が悪いからであり、同図(a) のように接着材51aと51bによって表裏両面に同一の熱膨張特性を持たせることによりポリイミドフィルム52が製造工程の処理作業中に捲き上がる不具合を防止しているものである。
【0037】
このようなオリフィス板42を、上記接着材51bの面をチップ基板46に向けて隔壁39(39−1、39−2、39−3)の上に載置して、インク加圧室41やインク流路43に蓋を形成し、このオリフィス板42を隔壁39に均一に固定接着するために、数10分の間、200〜250℃に加熱し、数Kg/cm2の圧力を加えて固定する。
【0038】
続いて、マスク材としてNi、Cu又はAlなどの厚さ0.5〜1μm程度の金属膜53を形成し、これに図1(c) 又は図2(c) に示したインク吐出ノズル44に対応するパターン54を形成して、オリフィス板42を選択的にエッチングする為のマスクを形成する。本例のように、オリフィス板42にインク吐出ノズル44を孔空けするのにヘリコン波ドライエッチング装置を用いる場合は、上記のようにNi、Cu又はAlなどの金属膜35をマスクに使うことでポリイミドフィルム52と金属膜53との選択比が概略50〜100程度得られる。従って、約30μmのポリイミドフィルム52のエッチングには1μm以下の金属膜53のマスクでも十分に可能である。
【0039】
上記の金属マスク形成後、チップ基板46、つまり図3(b) に示したシリコンウエハ47を、ヘリコン波エッチング装置に入れて、図4(b) に示すように、ドライエッチングによるインク吐出ノズル44の孔空けを行う。ヘリコン波エッチング装置によるドライエッチングのプロセスガスとしては酸素が用いられる。処理用酸素O2はヘリコン波エッチング装置内で、図4(b) に示すように、酸素プラズマ55となり、酸素イオン56、酸素ラジカル原子57となって金属マスク面に吹き付けられ、パターン54に従ってインク吐出ノズル44を穿設する。
【0040】
ところで、上記のオリフィス板42上面の接着材51aは、通常のドライエッチング装置による孔空けや、エキシマレーザなどによる孔空けでは、さしたる問題とはならない。しかし、本発明の如く孔空け作業を高速に行うべくヘリコン波エッチング装置を用いる場合、ヘリコン波エッチングは大イオン電流を用いるため、工作対象物の温度上昇が他のエッチング方法を採用した場合よりも格段に大きく、その結果、次の様な不具合が発生する。
【0041】
図5(a) は、ヘリコン波エッチング装置により通常に孔空けを行った場合の不具合を示す図であり、同図(b) は、同図(a) の不具合の孔とその周辺を示す平面図である。図5(a),(b) に示すように、ヘリコン波エッチング装置により通常に孔空けを行った場合には、オリフィス板42の表面に皺58が発生し、その結果、インク吐出ノズル44内にエッチング残渣が残ったり、吐出口44′の形状が歪んだ状態で仕上がってしまう。このため、印字の際に、本来吐出されるべき方向、すなわちオリフィス板42の面に垂直な方向とは異なる方向にインクが吐出されるという不具合や、着弾ドットの周囲にサテライトと呼ばれる微細な不要ドットが着弾する不具合が発生する。
【0042】
上記のオリフィス板42の表面に発生する皺の原因としては、Al、Cu又はNiなどの金属マスクと接着材51aとの熱膨張係数の差が大きいことが上げられる。しかし、前述したように、オリフィス板42表面の接着材51aは、作業工程中におけるオリフィス板42の捲き上がりを防止するためのものであるため省くことはできない。
【0043】
そこで、本発明のヘリコン波エッチング装置によるオリフィス板42へのインク吐出ノズル44の孔空け方法では、接着材51aとして用いる熱可塑ポリイミドのガラス転移点Tgが約200℃であることに注目して、シリコンウエハ29を200℃以下に冷却しながらエッチングを行う。
【0044】
図6(a) は、ヘリコン波エッチング装置を模式的に示す図であり、同図(b) はそのウエハ固定用ステージの平面図、同図(c) は同図(a) の部分拡大図である。同図(a) に示すように、ヘリコン波エッチング装置は、プロセスチャンバー(処理室)61を中心に、この処理室61内に突設されるウエハ固定用ステージ62を備えている。図3(b) に示したシリコンウエハ47は、図6(a) の矢印Gで示すように装置左方から搬入されて、上記のウエハ固定用ステージ62上に載置される。
【0045】
上記シリコンウエハ47は、メカチャック法(機構的に行う固定方法)又は静電チャック法(静電的に行う固定方法)で固定される。ウエハ固定用ステージ62は、支持台63上に、支持台63と一体に構成され、この支持台63を介して、例えば13.56MHzのRF(radio−frequency:高周波)バイアスが接地側交流電源64から印加される。
【0046】
また、このウエハ固定用ステージ62には、低温サーキュレータ65による不凍液が支持台63を介して循環している。さらに、本発明の特徴であるウエハ固定用ステージ62とシリコンウエハ47との間に生じている微細な隙間hに、熱伝導を促進するためのHeガスなどの冷媒ガス66を、冷媒送入ポンプ67から、支持台63及びウエハ固定用ステージ62内に配設された冷媒送入路68を介し、ウエハ固定用ステージ62のウエハ支持面に開口する冷媒吹き出し口69から送入して、シリコンウエハ47の低温サーキュレータ65による冷却を促進させる。
【0047】
つまり、ヘリコン波エッチング装置のウエハ固定用ステージ62を循環不凍液で−10℃以下に冷却し、且つ、ウエハ固定用ステージ62とシリコンウエハ47間に冷媒ガス66を介在させることにより、ヘリコン波ドライエッチングの際のシリコンウェハ47の温度上昇を効果的に抑制するようにしている。
【0048】
また、上記の処理室61の周囲には、酸素(O2)プラズマ55を処理室61内に閉じ込めるためのマグネット(磁石)71が配設され、処理室61の上部中央にはソースチャンバー(源流室)72が配置される。源流室72の周囲には上下二段にアンテナ73が配設され、その外側には、プラズマを封じ込めるために、内外二重にインナーコイル(内コイル)74とアウターコイル(外コイル)75が配置されている。
【0049】
この源流室72の上部には、パイプライン76が開口し、ここからプロセスガス(処理用酸素)が供給される。また、二段のアンテナ73にはソースパワーサプライ(源流電源)77から、例えば上記接地側交流電源64のサイクルに対応する13.56MHzの電圧が印加される。
【0050】
この構成により、源流室72内においてパイプライン76から供給される処理用酸素がアンテナ73によってプラズマ化され、内コイル74及び外コイル75によって処理室61に送り込まれる。この酸素プラズマ55を、処理室61内で、支持台63及びウエハ固定用ステージ62を介してシリコンウエハ47(つまりインクジェットプリンタヘッド48のチップ基板46、以下、実際にはシリコンウエハ47の状態での処理であるが、チップ基板46として説明する)に印加されているRFバイアス電圧で吸引・加速する。
【0051】
処理室61の周囲壁面に配設されている磁石71が上記酸素プラズマ55の電子が壁面で消滅するのを防止する。これにより、酸素プラズマ55は、均一な分布となってチップ基板46に降り注ぎ、金属膜53のマスクのパターン54で露出しているオリフィス板42表面に激突し、エッチングする。処理後のプロセスガスは、図6(a) の矢印Jで示すように装置右方に排出される。
【0052】
ヘリコン波エッチングは、RIE(反応性イオンエッチング)のように電極配置が平行平板型ではないが、それと同じように、酸素プラズマ55に対してチップ基板46の電位が、酸素イオンを引き込む方向にある。これにより、工作物(オリフィス板47)を酸素イオン56スバッタするのと同時に、ラジカル原子57を利用して化学エッチングもしている。
【0053】
例えば、工作物がポリイミドの場合、その主成分は、炭素であるため、CxHy+O→CO2↑+H2O↑の化学反応によるエッチングを行っている。よって、上記のヘリコン波エッチングは、スパッタ(物理的エッチング)+ラジカル反応(化学的エッチング)を使って、孔加工のような異方性エッチングを高い選択比で行うことができる。
【0054】
ところで、このようにチップ基板46を充分に冷却しながエッチングするにも拘らず、上記の冷却方法だけでは、図5(a),(b) に示したような不具合が発生する。その理由を調べていくと次のようなことが判明した。
【0055】
図7は、チップ基板46を冷却しながらエッチングしても発生する不具合の原因を説明する図である。すなわち、同図に示すように、チップ基板46の裏面には、インク受給孔38が開口しているため、上記のヘリコン波ドライエッチングでインク吐出ノズル44が貫通した瞬間から、冷媒ガス66が、同図の矢印Kで示すように、インク受給孔38、共通インク供給溝37及びインク流路43を通って、インク吐出ノズル44から上部に逃げ出してしまう。
【0056】
通常、ドライエッチングでは、インク吐出ノズル44が貫通した段階では接着材51a等の残渣が孔壁に付着していたりするので、それらを取り除いて所望の適正な形状に仕上げるために、時間にして1分乃至3分程度のオーバーエッチングを行う。ところが、このとき上記のように冷媒ガス66がインク吐出ノズル44から上方に抜け出てしまうと、ウエハ固定用ステージ62とチップ基板46裏面の隙間hの真空度が高まって、その分だけ熱伝導度が低下して、チップ基板46の温度が急激に上昇してしまう。
【0057】
これによって、この場合も図5(a),(b) に示したように、オリフィス板42の表面に皺が発生する。また、このときオリフィス板42の上方に多量に吹き出した冷媒ガス66のために酸素プラズマ55′の密度が不均一になってしまい、その結果、駆動回路31のMOSトランジスタやキャパシタの破壊もしくは劣化を引き起こして、駆動回路31にダメージを与える場合があることも判明した。
【0058】
この第1の実施の形態においては、上記のインク吐出ノズル44の貫通時に冷媒ガス66がインク受給孔38からインク吐出ノズル44を通って上部に逃げ出すことによる不具合を除去するために、インク受給孔38を仮封止することにした。
【0059】
図8(a) は、チップ基板46の裏面に接着剤付きシートを張り付けてインク受給孔38を仮封止した例を示す図であり、同図(b) は、この方法によりインク吐出ノズル44の孔空けを行った場合の正しい形状のインク吐出ノズル44近傍部分の拡大断面図、同図(c) は同図(b) の正しい形状のインク吐出ノズル44の孔とその周辺を示す平面図である。
【0060】
同図(a) に示す接着剤付きシート78は基材のポリエステルフィルム79に熱剥離接着剤81を積層した2層構造を有するシートである。上記の熱剥離接着剤81は、室温では接着力を持つが、ある温度以上になると容易にチップ基板46との界面から剥離する性質がある。この剥離する温度は例えばαタイプは90℃以上、βタイプは120℃以上、γタイプは150℃以上等である。
【0061】
図9は、被着体にPETフィルムを用いて熱剥離接着剤81の接着力の試験を行った結果を示す図表である。同表では、左端の欄にタイプα、β、γを示し、次にそれぞれのタイプに対する熱剥離温度(℃)を「90、120、150」として示してある。同表に示す様に、熱剥離温度が120℃であるタイプβの接着剤は、熱剥離温度が150℃のγタイプよりその塗り厚が15μm薄くても、剥離前の接着力が500g/20mmと他の2タイプと比べて最も強い。
【0062】
なお、チップ基板46に接着剤付きシート78を張り付けるときには、チップ基板46と熱剥離接着剤81との界面に空気を巻き込んでしまうと、チップ基板46をヘリコン波エッチング装置内に搬入したとき、真空中で上記の巻き込まれた空気が膨張してチップ基板46をウエハ固定用ステージ62から持ち上げてしまう不具合が発生するから、そのように空気を巻き込まないように、ローラや刷毛などの道具を使用して密着させるようにする。
【0063】
このようにして、図6(a) に示したヘリコン波エッチングを行うと、インク吐出ノズル44が貫通した後も、図6(c) に示したと同様の均一な冷却状態を維持でき、これによって、余裕を持ってオーバーエッチングを行うことができ、図8(b),(c) に示すように、所望の適正な形状のインク吐出ノズル44を形成することができる。
【0064】
そして、ヘリコン波エッチングのプロセス終了後は、接着剤付きシート78を張り付けたままのチップ基板46をオーブンに入れて、各接着剤の熱剥離温度に応じて90℃、120℃または150℃で3分以上加熱する。これにより、図8(b) に示すように、熱剥離接着剤81をチップ基板46側に残すことなく簡単に剥離することができる。
【0065】
尚、以下の設定データは、熱剥離温度90℃の熱剥離接着剤81を塗着した接着剤付きシート78を用いた場合の、チップ基板46に対するヘリコン波エッチングによるオリフィス板42への孔空けプロセスの一例を示すものである。
【0066】
オリフィス板の厚み;16μm
到達真空度:5.6×10E−4
プロセスガス(酸素):50sccm
プロセス圧:0.5Pa
ソースパワー:1000W
バイアスパワー:300W
プロセス時間:13分
サーキュレータ設定温度:−30℃
冷却用He流量:10sccm
ポリイミドのエッチングレート:約1.6μm/分
上記の条件において、オリフィス板の貫通までのエッチング時間は10分、オーバエッチング時間は3分である。処理中における接着剤付きシート78の接着力の低下もなく、インク受給孔38を塞いだことによるチップ基板46の膨張もヘリコン波ドライエッチングに悪影響を与えることは無かった。
【0067】
上記チップ基板46のインク受給孔38の仮封止には、接着剤付きシート78と限ることなく、例えばドライフィルムを用いてもよい。
図10は、ドライフィルム82を80〜90℃でチップ基板46の裏面にラミネート(積層化)した例を示す図である。このようにドライフィルム82を用いても、インク受給孔38を塞ぐことが可能である。この場合は、ヘリコン波ドライエッチングによる孔空けプロセス終了後に、例えばモノエタノールアミン等の剥離液により剥離する。
【0068】
図11(a) 〜(e) は、第2の実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッドの製造方法を模式的に示す図である。尚、同図(a) 〜(c) に示す構成は、製造工程の順序がやや異なる点を除いて、図4(a) 及び図8(b),(c) の構成と同一であり、したがって、図4(a) 及び図8(b),(c) と同一の構成要素には同一の番号を付与して示している。
【0069】
この第2の実施の形態においては、先ず、図11(a) に示すように、チップ基板46に、不図示の駆動回路を形成した後、発熱部33、共通電極34、個別配線電極36、及び共通インク供給溝37を形成して、更に隔壁39(39−1、39−2、39−3(不図示))を形成する。更に、同図(b) に示すように、オリフィス板42を積層し、同図(c) に示すように金属膜53を形成し、マスクパターン54を形成する。このようにチップ基板46の表側からの処理のみを行って、ヘリコン波ドライエッチングによる孔空けプロセスに移って、同図(d) に示すようにインク吐出ノズル44を穿設する。この後、同図(e) に示すように、チップ基板46裏面からインク受給孔38を穿設して表側の共通インク供給溝37に連通させ、チップ基板46のインク流通路を貫通させる。
【0070】
上記のように、チップ基板46の裏面から穿設作業を行う同図(e) に示すインク受給孔38の形成は、同図(d) に示すヘリコン波ドライエッチングの段階では未だ行われておらず、したがって、インク吐出ノズル44が貫通したとき、チップ基板46のインク流通路は貫通していないので、このインク吐出ノズル44からチップ基板46裏面の図6(c) に示す冷媒ガス66が表側に流出することは無く、これにより、図8(a) 又は図10の場合のようにチップ基板46裏面の既に空いているインク受給孔38を仮封止した場合と同様に、インク吐出ノズル44が貫通した後も、図6(c) に示したと同様の均一な冷却状態を維持でき、これによって、余裕を持ってオーバーエッチングを行うことができ、所望の適正な形状のインク吐出ノズル44を形成することができる。
【0071】
図12(a),(b) は、第3の実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッドの製造方法を模式的に示す図である。尚、同図(a),(b) に示す構成は、図4(a) 及び図8(b),(c) に示した構成と同一であるので、図12(a),(b) には、図4(a) 及び図8(b),(c) と同一の番号を付与して示している。
【0072】
この第3の実施の形態においては、先ず、図12(a) に示すように、図6(a),(b),(c) に示したヘリコン波ドライエッチングにより、インク吐出ノズル44の孔空けを行う。この場合の処理条件は、第1の実施の形態の場合と同様である。そして、図12(b) に示すように、インク吐出ノズル44が貫通した直後に冷媒送入ポンプ67を停止させてウエハ固定用ステージ62の冷媒吹き出し口69からの冷媒ガス66の吹き出しを停止させる(図6(a),(b),(c) 参照)。このインク吐出ノズル44が貫通したことの検出については後述する。
【0073】
上記のウエハ固定用ステージ62の冷媒吹き出し口69からの冷媒ガス66の吹き出し停止により、冷媒ガス66の流動が停止して、流動の慣性及び圧力が低下し、上記貫通したインク吐出ノズル44方向へは、インク受給孔38近傍の冷媒ガス66が僅かに抜けるのみとなり、大半はチップ基板46底面とウエハ固定用ステージ62上面間の間隙に均一に滞留する。これにより、短い期間ではあるが滞留冷媒ガス66による基板冷却の冷媒機能が維持される。この滞留する冷媒ガス66が散逸しないうちに、オーバーエッチングを行う。
【0074】
図13は、上記の第3の実施の形態におけるヘリコン波ドライエッチングの処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず、基板(シリコンウエハ47)にオリフィス板42を設置する、つまり隔壁39上に積層・固着させる(ステップS1)。次に、そのオリフィス板42表面に金属膜53を形成し、その金属膜53にエッチングマスク54を形成する(ステップS2)。
【0075】
続いて、その基板をヘリコン波エッチング装置内に入れ、ウエハ固定用ステージ62上に固定し、低温サーキュレータ65(図6参照)を駆動して不凍液を循環させると共に冷媒送入ポンプ67を駆動して冷媒ガスの流動を開始させ、基板冷却用冷媒ガス(He)66を基板47とウエハ固定用ステージ62間に送入する(ステップS3)。
【0076】
更に続いて、ヘリコン波ドライエッチングを開始すると共にインク吐出ノズルの貫通を監視する(ステップS4)。このエッチング処理では、インク吐出ノズルの貫通までに時間約10分が必要である。そして、時間約10分が経過後にインク吐出ノズルの貫通時点を検出すると(ステップS5)、冷媒送入ポンプ67を駆動を止めて基板47とウエハ固定用ステージ62間の冷媒ガスの流動を停止させる(ステップS6)。この処理で、およそ100msecの時間が経過する。
【0077】
これに引き続いて、エッチングを時間1分だけ継続し、すなわち、オーバーエッチングを1分間おこなった後、このヘリコン波ドライエッチングを停止する(ステップS7)。これにより、オリフィス板42へのインク吐出ノズル44の孔空けが完成する。
【0078】
このように、本例では、前述の第1の実施の形態の場合に示した条件のうち、オリフィス板のインク吐出ノズルの貫通までの時間が約10分であることは変わりないが、基板の冷却に残留冷媒ガスのみを利用するためオーバエッチングの処理時間は短めに設定して、オーバエッチング時間を1分としている。
【0079】
次に、本例の要部である上記のインク吐出ノズル44の貫通時点の検出について説明する。このインク吐出ノズル44の貫通時点の検出には、発光分光分析法、反射光分析法、ガス分析法、圧力測定法、流量測定法等種々あるが、これら諸方法のうち、いずれかの方法を用いる。
【0080】
先ず、発光分光分析法は、上記のヘリコン波ドライエッチングにおけるプラズマエッチングプロセスで発生する反応生成物や反応ガスの固有波長の光を検出し、その光強度の経時変化をモニタする。エンドポイント近辺では、反応に寄与する物質が減少するので、モニタしている信号に変化が生じる。本実施例では、ポリイミドが発生する反応生成物や反応ガスの固有波長の光を検出する。
【0081】
次に、反射光分光法は、対象が被エッチング物と基板とで構成されていた場合、エッチング中は被エッチング物の反射光を見ることになり、エッチング貫通後は、基板の反射光を見る事になる。本実施例の場合、エッチング中はオリフィス板であるポリイミドの反射光、エッチング貫通後はSi、配線材料(Au,Alなど)又は抵抗体(Ta−Si−Oなど)の反射光を検出することになる。
【0082】
また、ガス分析法は、エッチング中は、オリフィス板のインク吐出ノズルが貫通していないため基板裏面とウエハ固定用ステージとの隙間に流れている冷媒ガスは基板表面に流れ出さないが、インク吐出ノズル貫通直後から基板表面に冷媒ガスが吹き出す。そのガスを検出する。本例の場合、例えばHeを検出する。
【0083】
また、圧力測定法は、エッチング中は、オリフィス板のインク吐出ノズルが貫通していないため基板裏面とウエハ固定用ステージとの隙間に流れている冷媒ガスは基板表面に流れ出さないが、インク吐出ノズル貫通直後から基板表面に冷媒ガスが吹き出す。つまりインク吐出ノズルの貫通前後における冷媒ガスの圧力変化でエッチング終点を検出する。
【0084】
そして、流量測定法は、エッチング中は、上記のように基板裏面とウエハ固定用ステージとの隙間に流れている冷媒ガスは基板表面に流出せず、インク吐出ノズル貫通直後から基板表面に冷媒ガスが吹き出すことから、その冷媒ガスを制御している流量計が変化する時点を、エッチング終点として検出する。
【0085】
図14(a) 〜(f) は、第4の実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッドの製造方法を模式的に示す図である。尚、同図(a) は、前述した製造工程1〜工程4までを終了した直後のチップ基板の状態、すなわち図1(b) 又は図2(b) と同じ状態を示しており、図1(b) 又は図2(b) と同じ番号を付与して示している。
【0086】
本例では、図14(a) の状態から、処理方法がやや異なってくる。すなわち同図(b) に示すように、先ず、PVA(ポリビニルアルコール)などの水溶性樹脂材料を、保護膜84として、チップ基板46の表面にコートする。チップ基板46の裏面にはインク受給孔38が貫通しているので、保護膜84が共通インク供給溝37からインク受給孔38に入り込んだとき、更にチップ基板46裏面に回り込まないようにするためにチップ基板46すなわちシリコンウエハ47の裏面に流出防止フィルム(不図示)などを貼っておくことが好ましい。
【0087】
上記の保護膜84は、後にチップ基板46から容易に除去する必要があり、したがって、例えば水に溶けるPVA、ポリビニールエーテル、ポリエチレンオキサイド等の水溶性樹脂材料や、酸性溶剤に溶けるナイロン、尿素樹脂、グリプタル樹脂、セルロース樹脂等の樹脂材料、或はアルカリ性溶剤に溶けるポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の樹脂材料、または、他の溶剤、例えばアセトン、ベンゼン、エタノール、クロロホルム等に溶ける樹脂材料等を用いる。
【0088】
また、この保護膜84のコート方法としては、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、印刷、ポッテリング、モールディングなど種々の方法があり、いずれの方法も用いることが可能である。
【0089】
同図(b) に示す隔壁39上にコートされた保護膜84は、その後のオリフィス板42の貼り付けの邪魔になるので、拭き取り、削り取り或は他の適宜の方法で、同図(c) に示すように除去した後、乾燥などによる保護膜84の硬化を行う。更に、不用となった流出防止フィルムを剥がし取る。次に、通常の製造工程と同様にして、同図(d) に示すように、オリフィス板42を接着材層によって隔壁39上に加熱接着し。金属膜53を形成し、パターン54を形成する。
【0090】
続いて、ヘリコン波ドライエッチングによって、同図(e) に示すように、インク吐出ノズル44や特には図示しないが接続端子部分等の孔空けを行う。この場合も、インク吐出ノズル等の孔が貫通した後も、適宜の時間、オーバーエッチングを行うが、そのオーバーエッチングによるエッチング処理は保護膜84の表面が受けることとなり、保護膜84の下にある発熱体33や電極部分或は駆動回路31には、直接エッチング処理が加えられることが無く、したがって、オーバーエッチングによって発熱体33や駆動回路31が障害を受けるというような不具合は発生しない。
【0091】
また、第1〜第3の実施形態において説明したヘリコン波ドライエッチングにおけるインク吐出ノズル貫通時の冷媒ガスの吹き出しが、インク流路を塞いている保護膜84によって阻止されるので、インク吐出ノズル貫通後もチップ基板46の冷却が維持されて、これにより、正常にオーバーエッチングを行うことができると共に、冷媒ガスの吹き出しによる駆動回路障害の虞も解消する。
【0092】
この後、不用になった保護膜84を温水によって洗い流して、同図(f) に示すようにチップ基板46から除去する。尚、保護膜84に水溶性以外の樹脂材料を用いた場合は、その保護膜84が溶解可能な酸やアルカリ、溶剤などによって溶解せしめる。また、この保護膜84を除去する処理によって保護膜84の表面に残っていたドライエッチングに起因する残渣も一緒に取り去ることができる。
【0093】
尚、上述したヘリコン波ドライエッチングでは、酸素プラズマを用いてエッチング処理しているが。この酸素プラズマは、無機物や金属に対してよりも樹脂材料などの有機物に対するエッチング効果が高い。したがって、本例における保護膜84の形成では樹脂材料のみによるよりは、エッチング耐性の高い金属や無機物を含有した樹脂材料のほうが、より保護膜としての機能が高いこととなる。具体的には、PVAなどの樹脂材料にアルミナ、窒化珪素などのセラミックスやガラス粒子を含有させたり、Al、Ni、Cu、Fe、Co、Agなどの金属を含有させたものを保護膜材料として用いるようにしてもよい。
【0094】
また、保護膜には、上記のような樹脂又は金属や無機物を含有した樹脂材料の代わりに、ポリケイ皮酸ビニル系フォトレジストやゴム系ネガ型(環化ポリイソプレン・ビスアジド系)フォトレジスト、ノボラック樹脂系ポジ型フォトレジスト、アジド化合物系フォトレジストなどを用いてもよい。
【0095】
この場合は、保護膜をチップ基板上にコートした後、露光・現像を行うことによって隔壁上以外の部分に保護膜が残る様にパターン化し、その後ベーキングを行って保護膜を硬化させる。そして、オリフィス板を貼り付け、金属膜マスクを形成し、ドライエッチングによってインク吐出ノズルの孔空けを行った後、不用となった保護膜をアルカリ剥離液や溶剤などによって剥離して取り除く。
【0096】
これは、保護膜に感光性を付与してあるため、フォトリソグラフィー技術を使った微細パターン形成が可能となり、インクジェットプリントヘッドの微細化に合わせて微細加工が可能となるという利点がある。また、このように液状フォトレジストではなく、ドライフィルムレジスト材料を使っても良い。この場合は、ドライフィルムレジストの貼り付けは、加熱ローラによる加熱・加圧による貼り付けとなる。これは液状のレジスト材料と比較して、流動性を持たない材料であるため、シリコンウエハ裏面に流出防止フィルムを貼り付ける必要が無くなり工程の簡素化を行うことができる。
【0097】
また、上記実施の形態においては、ルーフシュータ型のインクジェットプリンタヘッドのインク吐出ノズルについて説明したが、これに限ることなく、サイドシュータ型のインクジェットプリンタヘッドのインク吐出ノズルに適用してもよい。また、サーマル方式のインクジェットプリンタヘッドに限ることなく、ピエゾ方式のインクジェットプリンタヘッドのインク吐出ノズルに適用することもできる。
【0098】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、多数のインク吐出ノズルを一括して高速に明けることができるヘリコン波エッチング装置を用い、基板を冷却しながらオーバーエッチング時に貫通したインク吐出ノズルから冷媒ガスが抜け出して製作中のインクジェットヘッドの温度が上がらないようにしてインク吐出ノズルの孔空けを行うので、オリフィス板表面に皺が発生したり、孔空け作業で生じる残渣がインク吐出ノズル内に垂れ込む等の不具合が解消され、これにより、高温を発生するヘリコン波ドライエッチングによる孔空けにも拘らず、所望の正しい形状のインク吐出ノズルを形成することができ、製品歩留りが向上し製品コストの低減に貢献する。
【0099】
また、インク吐出ノズル貫通時に冷媒ガスが大量に基板上面に吹き出ないようにするので、冷媒ガスを用いているにも拘らず冷媒ガスによる駆動回路の破壊の虞が無く、これにより、多数のインク吐出ノズルを一括して高速に明けることができるヘリコン波エッチング装置を有効に使用することができる。
【0100】
また、インク流通路遮蔽部材を用いて冷媒ガスの抜け道を塞ぐと共に発熱体も被覆することにより、オーバエッチングによる発熱体の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a),(b),(c) は一実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッドの製造方法を工程順に示す図であり、それぞれ一連の工程においてシリコンチップの基板上に形成されていく状態の概略の平面図と断面図を模式的に示している
【図2】 (a),(b),(c) の上段は図1(a),(b),(c) の平面図をそれぞれ拡大して詳細に示す図、中段は上段のE−E′断面矢視図、下段は上段のF−F′断面矢視図である。
【図3】 (a) はモノカラーインクジェットプリンタヘッドを4列並べてフルカラーインクジェットプリンタヘッドを構成した状態を示す図、(b) はフルカラーインクジェットプリンタヘッドがシリコンウエハ上に多数形成された状態を示す図である。
【図4】 (a) はインク吐出ノズル近傍部分のインク吐出ノズル孔空け前の状態を示す拡大断面図、(b) はヘリコン波エッチング装置により通常に孔空けを開始した状態を示す図である。
【図5】 (a) はヘリコン波エッチング装置により通常に孔空けを行った場合の不具合を示す図、(b) は(a) の不具合の孔とその周辺を示す平面図である。
【図6】 (a) はヘリコン波エッチング装置を模式的に示す図、(b) はウエハ固定用ステージの平面図、(c) は(a) の部分拡大図である。
【図7】チップ基板を冷却しながらエッチングしても発生する不具合の原因を説明する図である。
【図8】 (a) はチップ基板の裏面に接着剤付きシートを張り付けてインク受給孔を仮封止した例を示す図、(b) はこの方法により形成される正しい形状のインク吐出ノズル近傍部分の拡大断面図、(c) は(b) のインク吐出ノズルの孔とその周辺を示す平面図である。
【図9】被着体にPETフィルムを用いて熱剥離接着剤の接着力の試験を行った結果を示す図表である。
【図10】ドライフィルムを80〜90℃でチップ基板の裏面にラミネートした例を示す図である。
【図11】 (a) 〜(e) は第2の実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッドの製造方法を模式的に示す図である。
【図12】 (a),(b) は第3の実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッドの製造方法を模式的に示す図である。
【図13】第3の実施の形態におけるヘリコン波ドライエッチングの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】 (a) 〜(f) は第4の実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッドの製造方法を模式的に示す図である。
【図15】 (a) は従来のルーフシュータ型のインクジェットプリンタヘッドを備えたプリンタの構成を模式的に示す斜視図、(b) はインクジェットプリンタヘッドのインク吐出面を模式的に示す平面図、(c) はそのD−D′断面矢視図、(c) はインクジェットプリンタヘッドが製造されるシリコンウエハを示す図である。
【符号の説明】
1 プリンタ
2 キャリッジ
3 インクジェットプリンタヘッド
4 インクカートリッジ
5 ガイドレール
6 歯付き駆動ベルト
7 フレキシブル通信ケーブル
8 本体フレーム
9 プラテン
10 用紙
11 給紙ローラ
12 排紙ローラ
13 モータ
14 チップ基板
15 オリフィス板
16 ノズル列
17 インク吐出ノズル
18 発熱素子
19 駆動回路
21 シリコンウエハ
22 個別配線電極
23 共通電極
24 配線端子
25 給電端子
26 インク流路
27 隔壁
28 インク受給孔
29 共通インク供給溝
30 チップ基板
31 駆動回路
32 駆動回路端子
33 発熱部
33′ 発熱部列
34 共通電極
35 共通電極給電端子
36 個別配線電極
36′ 個別配線電極列
37 共通インク供給溝
38 インク受給孔
39 隔壁
39−1、39−2 インクシール隔壁
39−3 区画隔壁
41 インク加圧室
42 オリフィス板
43 インク流路
44 インク吐出ノズル
45 モノカラーインクジェットプリンタヘッド
46 チップ基板
47 シリコンウエハ
48 フルカラーインクジェットプリンタヘッド
49 ノズル列
51a、51b 接着材
52 ポリイミドフィルム
53 金属膜
54 パターン
55、55′ 酸素(O2 )プラズマ
56 酸素イオン
57 酸素のラジカル原子
61 プロセスチャンバー(処理室)
62 ウエハ固定用ステージ
63 支持台
64 接地側交流電源
65 低温サーキュレータ
h 隙間
66 冷媒ガス
67 冷媒送入ポンプ
68 冷媒送入路
69 冷媒吹き出し口
71 マグネット(磁石)
72 ソースチャンバー(源流室)
73 アンテナ
74 インナーコイル(内コイル)
75 アウターコイル(外コイル)
76 パイプライン
77 ソースパワーサプライ(源流電源)
78 接着剤付きシート
79 ポリエステルフィルム
81 熱剥離接着剤
82 ドライフィルム

Claims (6)

  1. インクに圧力を加えて該インクを複数の吐出ノズルより記録媒体に噴射させて記録を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、
    基板の表面に複数のインク流路を区画する隔壁と前記インク流路毎に設けられた圧力エネルギー発生素子とを設置する工程と、
    前記基板の裏面と前記表面間を貫通するインク供給路を形成する工程と、
    前記基板の裏面から前記インク供給路を介して前記インク流路に至る流通経路を遮蔽する工程と、
    前記基板の表面上に前記吐出ノズルを形成すべき表裏に熱可塑性ポリイミドの接着材が設けられたオリフィス板を設置する工程と、
    該オリフィス板の表面に金属マスクを形成する工程と、
    前記基板の裏面を冷却媒体ガスを介在させつつ前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移点以下に冷却しながら前記オリフィス板に前記複数の吐出ノズルを所定位置にヘリコン波エッチングにより一括形成する工程と、
    前記流通経路の遮蔽を解除する工程と
    を有することを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  2. 前記流通経路の遮蔽工程は、前記基板裏面に遮蔽シートを貼着して行うことを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  3. 前記流通経路の遮蔽工程は、前記流通経路内に溶剤または水により容易に溶解される可溶性樹脂を充填して行うことを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  4. 前記可溶性樹脂は、前記圧力エネルギー発生素子を被覆していることを特徴とする請求項3記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  5. インクに圧力を加えて該インクを複数の吐出ノズルより記録媒体に噴射させて記録を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、
    基板の表面に複数のインク流路を区画する隔壁と前記インク流路毎に設けられた圧力エネルギー発生素子とを設置する工程と、
    前記基板を貫通せず表面上にのみインク供給溝を形成する工程と、
    前記基板の表面上に前記吐出ノズルを形成すべき表裏に熱可塑性ポリイミドの接着材が設けられたオリフィス板を設置する工程と、
    該オリフィス板の表面に金属マスクを形成する工程と、
    前記基板の裏面を冷却媒体ガスを介在させつつ前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移点以下に冷却しながら前記オリフィス板に前記複数の吐出ノズルを所定位置にヘリコン波エッチングにより一括形成する工程と、
    前記基板の裏面側から穿設し表面側に形成されている前記インク供給溝に連通するインク受給孔を形成する工程と
    を有することを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  6. インクに圧力を加えて該インクを複数の吐出ノズルより記録媒体に噴射させて記録を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、
    基板の表面に複数のインク流路を区画する隔壁と前記インク流路毎に設けられた圧力エネルギー発生素子とを設置する工程と、
    前記基板の裏面から前記表面に貫通するインク供給路を形成する工程と、
    前記基板の裏面から前記インク供給路を介して前記インク流路に至る流通経路を遮蔽する工程と、
    前記基板の表面上に前記吐出ノズルを形成すべき表裏に熱可塑性ポリイミドの接着材が設けられたオリフィス板を設置する工程と、
    該オリフィス板の表面に金属マスクを形成する工程と、
    前記基板の裏面側への冷却媒体ガスの供給を開始し、該ガスを介在させつつ前記基板を前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移点以下に冷却しながら前記オリフィス板に前記複数の吐出ノズルを所定位置に形成するためのヘリコン波エッチングを開始し、前記吐出ノズルが貫通した実質的直後に前記冷却媒体ガスの供給を停止し、この後、所定時間後にヘリコン波エッチングを終了するヘリコン波エッチング工程と
    を有することを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
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