JP3691355B2 - 荷吊り装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷吊り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば建設中のマンションやビル等におけるクレーン作業の際に、荷揚げ地点あるいは荷下ろし地点の上方に庇状の突起物や天井等があって、荷をクレーンで直接吊ることができない場合がある。このような場合に、一般に「天秤」と呼ばれる種類の荷吊り装置を介して荷を吊り上げている。この種の荷吊り装置は、壁面に物の取り付け、取り外しをする場合や、壁面の近くに荷揚げ、あるいは荷下ろしをする場合等にも使用される。
【0003】
従来、このような荷吊り装置は、クレーンのフックにチェーン等で吊り下げられる長尺のビームの前方端に荷を吊るすためのフックを設け、ビームの後方端に吊り荷との釣り合いをとるための錘を固定的に設置した構成となっている。
【0004】
このような錘固定式の荷吊り装置では、吊り荷を吊っている状態(荷重がかかっている状態)と吊っていない状態(荷重がかかっていない状態)とでビームの姿勢が大きく異なる。このため、クレーンの吊り芯(吊り位置)を固定した状態で、荷揚げ地切り(以下、「荷揚げ」という。)、荷下ろし着地(以下、「荷下ろし」という)をすると、ビームが大きく移動し、これに伴なって荷が横方向に移動してしまう。
【0005】
このため、前述したような従来の荷吊り装置では、クレーン操作に当たり、荷が移動しないように、昇降操作とともにクレーンの吊り芯を移動させる操作をビームの動きに合わせて頻繁に行わなければならず、クレーン操作が煩雑になっている。また、クレーン操作を誤るとビームや吊り荷が大きく動き、場合によっては危険な状態が発生することがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するものであり、その目的は、迅速かつ安全に荷揚げおよび荷下ろしをすることができる荷吊り装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
【0008】
(1) クレーンの吊り芯から吊り荷の重心を偏心させて吊る荷吊り装置であって、
長尺のビームと、
前記ビームを吊る吊り部材と、
前記ビームに設けられ、前記吊り荷を支持する支持部を有する荷受け部と、
前記ビームの長手方向に沿って移動可能に設置された錘と、
前記荷受け部にかかる荷重の大きさに応じて、前記錘を前記ビームに対し、前記クレーンの吊り芯と前記吊り荷の重心との水平方向の距離が可及的に一定となるような位置に、自動的に移動する移動手段とを有し、
前記移動手段は、前記ビームに設けられた滑車と、該滑車を通って前記荷受け部と前記錘との間に渡された線状体または帯状体と、前記錘を吊る第2の吊り部材とを有し、
前記荷受け部にかかる荷重が前記線状体または帯状体を介して前記錘に作用し、前記錘を移動するよう構成されていることを特徴とする荷吊り装置。
【0009】
(2) 前記ビームの両端部にそれぞれ滑車が設けられている上記(1)に記載の荷吊り装置。
【0010】
(3) 前記荷受け部は、前記ビームの一端部から前記線状体または帯状体によって吊り下げられるように設けられている上記(1)または(2)に記載の荷吊り装置。
【0011】
(4) 前記荷受け部は、第2のビームを有し、前記支持部は、前記第2のビームの端部に設置されており、
前記第2のビームは、前記ビームに対し、前記第2のビームの前記支持部と反対側の端部付近を回動中心として回動可能に設けられている上記(1)に記載の荷吊り装置。
【0012】
(5) 前記第2のビームの回動中心は、前記ビームの前記支持部と反対側の端部付近に位置している上記(4)に記載の荷吊り装置。
【0013】
(6) 前記第2のビームは、前記支持部が設置された端部が前記ビームの端部より外側に突出しているものである上記(4)または(5)に記載の荷吊り装置。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の荷吊り装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の荷吊り装置の第1実施形態を示す図であり、(A)が断面側面図、(B)が正面図、(C)が平面図である。図2および図3は、それぞれ、図1に示す荷吊り装置20Aの使用状態を示す断面側面図である。なお、以下の説明では、図1の(A)、図2および図3中の左側を「前方」、右側を「後方」と言う。
【0030】
荷吊り装置20Aは、クレーンの吊り芯100から吊り荷60の重心61(吊り荷の吊り芯200)を水平方向に遠ざけて(偏心させて)吊るものであり、例えば図示のように床40の上方に天井50があるような場所での荷揚げおよび荷下ろしを可能とするものである。
【0031】
図1に示すように、荷吊り装置20Aは、長尺のビーム3と、ビーム3を吊る一対のチェーン2a(吊り部材)と、ビーム3の長手方向に沿って移動可能に設置された錘4と、錘4を吊るチェーン(第2の吊り部材)2bと、荷吊り部8と、荷吊り部8に設けられたフック(支持部)9と、ワイヤー(線状体)10とを有している。以下、各部の構成について説明する。
【0032】
ビーム3は、細長の部材を梯子状(枠状)に組んで形成された長尺物である。ビーム3の中央から前方に寄った位置には、一対のブラケット31がそれぞれ設けられ、長さの等しい一対のチェーン2aの下端部がそれぞれブラケット31に接続されている。ビーム3は、このチェーン2aのブラケット31への接続部を支点32として、一対のチェーン2aで吊られている。
【0033】
ビーム3には、支点32のすぐ後方からビーム3の後方端に渡って、ガイド(レール)5が形成(設置)されている。ガイド5には、これに沿ってスライド可能なスライドブロック(スライド部材)6が組み付けられている。スライドブロック6のガイド5に対する接触面には、移動をしやすくする(抵抗を少なくする)ための図示しない適当な摩擦軽減部品が組み込まれている。
【0034】
錘4は、正面視で略コの字状をなし、ビーム3を上方からまたぐように位置している。そして、錘4は、スライドブロック6に例えばピンを介して回動可能に連結されている。これにより、錘4は、ビーム3に対し、支点32より後方の範囲で、ビーム3の長手方向に沿って移動可能であるとともに、ビーム3に対し、回動可能になっている。
【0035】
錘4の上端部には、チェーン2bの下端部が接続されており、錘4は、チェーン2bで吊られている。これにより、錘4には、チェーン2bの長手方向に沿ってチェーン2bの張力が作用する。錘4には、これに加えて、当然に重力が下方に向かって作用する。図3に示すように、錘4が最下点(クレーンの吊り芯100の位置)より後方に移動した状態では、チェーン2bは、鉛直方向に対して傾斜し、よって、チェーン2bの張力が前方に向かう成分を有する。したがって、錘4には、重力とチェーン2bの張力との合力により、常に、最下点(クレーンの吊り芯100の位置)に向かって移動させるような力が作用する。
【0036】
一対のチェーン2aおよびチェーン2bの上端部は、ともに、リング状の吊り具1に接続されており、吊り具1を図示しないクレーンのフック等に掛けて、ビーム3および錘4をチェーン2a、2bで吊ることができるようになっている。
【0037】
一対のチェーン2aおよびチェーン2bの長さは、それぞれ、荷吊り部8に荷重が作用していない状態(図2に示す状態)で、ビーム3の前方端がその後方端よりやや高く位置するような長さに設定されている。
【0038】
ここで、ビーム3の重心と、錘4の重心と、クレーンの吊り芯100と、吊り荷60の重心61(吊り荷の吊り芯200)とは、すべて、ほぼ同一平面上に位置している。換言すれば、これらは、すべて、正面視および平面視で、ほぼ同一直線上に位置している。これにより、吊り荷60の荷重が作用したときに、図1(B)で見て紙面に対し垂直な軸の周りのモーメントが荷吊り装置20Aに働くことがなく、よって、荷吊り装置20Aがその軸の周りに揺動することがない。また、一対のチェーン2aの両方に均等に重さがかかり、片寄りが生じない。なお、本発明では、ビーム3の重心と、錘4の重心と、クレーンの吊り芯100と、吊り荷60の重心61とのうちの少なくとも2つ以上、好ましくは少なくとも3つ以上がほぼ同一平面上にあればよい。
【0039】
ビーム3の前方端には、滑車7aが設置されており、ビーム3の後方端には,滑車7bが設置されている。滑車7a、7bは、図示しないベアリング等を介して滑らかに回転可能になっている。
【0040】
荷吊り部8は、ビーム3の前方端の滑車7aからワイヤー10を介して吊り下げられるように設けられている。荷吊り部8には、滑車7cと、吊り荷60を吊るすフック9とが設けられている。滑車7cは、図示しないベアリング等を介して滑らかに回転可能になっている。また、フック9は、図示しないベアリング等を介して鉛直軸周りに旋回可能に組み込まれている。なお、荷吊り部8と、滑車7cと、フック9とで荷受け部が構成されている。
【0041】
ワイヤー10の一端は、ビーム3の前方端に接続されている。ここからワイヤー10は、ビーム3の前方端と荷吊り部8との間を2往復するように、滑車7aと滑車7cとに通されている。すなわち、ワイヤー10は、ビーム3の前方端(滑車7a)と荷吊り部8(滑車7c)との間に4本掛けとなっている(図4(B)参照)。
【0042】
荷吊り部8との間を2往復してビーム3の前方端に戻ってきたワイヤー10は、滑車7aを通ってビーム3の後方端に向かい、滑車7bを通って折り返してビーム3の前方端方向に向かい、スライドブロック6に接続されている。
【0043】
このようにワイヤー10が配置されていることにより、錘4がビーム3の長手方向に沿って移動すると、フック9(荷吊り部8)が連動して、ビーム3に対し、鉛直方向に移動する。すなわち、錘4が可動範囲の最も前方(支点32のすぐ後方)に位置しているときには、フック9とビーム3の前方端との鉛直方向の距離が最小になり、錘4が可動範囲の最も後方に位置しているときには、フック9とビーム3の前方端との鉛直方向の距離が最大となる。
【0044】
前述したように、ワイヤー10がビーム3の前方端と荷吊り部8との間に4本掛けとなっていることから、フック9とビーム3の前方端との鉛直方向の距離の変化量と、錘4のビーム3に対する移動量(移動距離)との比は、1:4となる。すなわち、吊り荷60を吊って、錘4がビーム3に対して後方に移動したときの、フック9とビーム3の前方端との鉛直方向の距離の変化量は、錘4の移動量の1/4倍と小さい。このため、吊り荷60を吊ったときにも、フック9とビーム3の前方端との鉛直方向の距離がそれほど長くならないので、床40と天井50との間隔が狭い場所でも使用することができる。
【0045】
また、滑車7aと滑車7cとの間における、ワイヤー10の掛け数は、変更することができ、例えば、3本掛けにすると、フック9とビーム3(の前方端)との距離の変化量と、錘4のビーム3に対する移動量との比率は、1:3となり、5本掛けにすると1:5となる。このように、滑車7a、7cおよびワイヤー10で、フック9とビーム3の前方端との距離の変化量と錘4のビーム3に対する移動量との比率を調整する調整手段が構成されている。
【0046】
また、滑車7aと滑車7cとの間における、ワイヤー10の掛け数によって、フック9にかかる荷重が所定の比率で縮小して錘4に伝えられる。例えば、滑車7aと滑車7cとの間における、ワイヤー10の掛け数が4本掛けであると、ワイヤー10が錘4に作用する力は、フック9にかかる荷重のほぼ1/4倍となり、3本掛けであると、ワイヤー10が錘4に作用する力は、フック9にかかる荷重のほぼ1/3倍となる。このように、滑車7a、7cおよびワイヤー10は、フック9(荷受け部)にかかる荷重と、ワイヤー10が錘4に作用する力の比率を調整する作用力調整手段ともなっている。
【0047】
以上のような荷吊り装置20Aでは、チェーン2bと、滑車7a〜7cと、ワイヤー10とで錘4の移動手段が構成されている。錘4は、後に詳述するように、このような移動手段の作用によって、荷受け部(フック9)にかかる荷重に応じて、ビーム3に対し、クレーンの吊り芯100と吊り荷60の重心61(吊り荷の吊り芯200)との水平方向の距離が可及的に一定となるような位置に自動的に移動する。
【0048】
以下、図2および図3を参照して、荷吊り装置20Aの作用について説明する。
【0049】
図2は、床40に載置された吊り荷60を吊り上げる前の状態(フック9に荷重がかかっていない状態)の荷吊り装置20Aを示している。この状態を以下、「無荷重の状態」と言う。
【0050】
以下、無荷重の状態の荷吊り装置20Aについて説明する。
この状態では、錘4は、ほぼ最下点に位置している。すなわち、錘4は、クレーンの吊り芯100とほぼ同じ位置にある。また、錘4は、ビーム3に対しては、可動範囲の最も前方に位置している。すなわち、錘4は、支点32のすぐ後方に位置している。よって、フック9とビーム3との鉛直方向の距離は、最も短い状態となっている。
【0051】
ビーム3は、その前方端が後方端よりやや高く位置するような姿勢になっている。
【0052】
クレーンの吊り芯100と吊り荷60の重心61(吊り荷の吊り芯200)との水平方向の距離(以下、「偏心距離」と言う。)は、図2中のL1で示す長さになっている。
【0053】
次に、無荷重の状態における荷吊り装置20Aに作用する力の釣り合いについて説明する。
【0054】
吊り具1にはチェーン2a、2bを介してビーム3、錘4および荷受け部(滑車7c、荷吊り部8、フック9)から、それぞれの質量による垂直力(鉛直方向の力)V3、V4、V8が働く(その他の部品については無視した場合)。
【0055】
また、吊り具1を中心として、ビーム3、錘4、荷受け部から、それぞれの質量(重量)と、それぞれの重心から吊り具1までの水平距離とを乗じたモーメントM3、M4、M8が働く(その他の部品については無視した場合)。
【0056】
よって、図2に示すように、バランスを保った状態では、吊り具1において下記の関係式が成り立つ。
垂直力の釣り合い :V3+V4+V8=クレーンフックの支持力
モーメントの釣り合い:M3+M4+M8=0
【0057】
図3は、図2に示す無荷重の状態から、クレーンを作動してクレーンのフックを上昇させ、吊り荷60を吊り上げた状態(吊り荷60の荷重がすべてフック9にかかっている状態)の荷吊り装置20Aを示している。この状態を以下、「有荷重の状態」と言う。
【0058】
以下、有荷重の状態の荷吊り装置20Aについて説明する。
図3に示す荷吊り装置20Aの状態は、吊り荷60の重量が比較的大きい場合を示しており、錘4は、ビーム3の後方端付近に位置している。錘4がビーム3の後方端付近に移動したことにより、ビーム3の前方端(滑車7a)とフック9(滑車7c)との鉛直方向の距離は、無荷重の状態よりも長くなっている。
【0059】
ビーム3の前方端(滑車7a)には、吊り荷60の荷重Vwおよび荷受け部(滑車7a、荷吊り部8、フック9)の重量V8がワイヤー10を介して作用している。すなわち、ビーム3の前方端(滑車7a)には、鉛直方向下向きに(Vw+V8)の力が作用している。この力は、支点32を中心として図3中の反時計周りにビーム3を回転させるような方向に作用している。
【0060】
錘4がビーム3の後方端付近に移動したことにより、錘4とビーム3の支点32との距離が長くなっているため、錘4は、ビーム3に、支点32を中心として図3中の時計回りに回転させるような力(モーメント)を作用している。この力が、前述したビーム3の前方端に作用する荷重がビーム3を図3中の反時計回りに回転させようとする力と打ち消し合う(相殺する)。これにより、ビーム3の姿勢は、平行に近く維持されている。ただし、ビーム3は、チェーン2bの長さに規制され、無荷重の状態と逆に、その後方端が前方端よりもやや高く位置する姿勢となっている。
【0061】
また、錘4の移動により、荷吊り装置20Aに吊り荷60を含めた全体の重心位置の水平方向(前後方向)の移動量が小さく抑制され、支点32の位置は、無荷重の状態と水平方向(前後方向)についてほぼ同じ位置にある。
【0062】
このように、ビームの姿勢および支点32の位置が無荷重の状態に近く保たれるため、有荷重の状態の偏心距離(図3中のL2で示す長さ)は、無荷重の状態の偏心距離L1と比べて、一定に近く維持されている。
【0063】
荷吊り装置20Aは、主に、次に説明する5つの力(作用)のバランスによって、偏心距離を一定に近く保つような釣り合い姿勢をとる。
【0064】
錘4には、前述したように、チェーン2bから、最下点(クレーンの吊り芯100の位置)に向かって移動させるような力が作用する。すなわち、チェーン2bは、錘4に、ビーム3の前方端に向かう方向の力を作用する(第1の力)。
【0065】
また、錘4には、ワイヤー10を介して、吊り荷60の荷重Vwおよび荷受け部の重量V8が作用する。ワイヤー10の張力の大きさは、ワイヤー10がビーム3の前方端と荷吊り部8との間に4本掛けとなっていることから、(Vw+V8)/4となる。すなわち、ワイヤー10は、錘4を、ビーム3の後方端(滑車7c)に向かう方向に(Vw+V8)/4の大きさの力を作用する(第2の力)。
【0066】
また、前述したように、ビーム3の前方端(滑車7a)に作用する(Vw+V8)の大きさの鉛直方向下向きの力は、ビーム3を、支点32を中心として図3中の反時計周りに回転させるように作用している。このため、ビーム3は、錘4を押し上げるような力(ほぼ上向きの力)を錘4に及ぼしている。このビーム3が錘4に及ぼす力は、ビーム3(ガイド5)に垂直な方向の力であるので、ガイド5とスライドブロック6との接触面の角度(水平面に対する角度)に応じて水平方向の成分を有し、錘4に前方あるいは後方に向かう力を作用する(第3の力)。これにより、図3に示す状態では、錘4は、ビーム3から、前方に向かう方向の力を受けている。
【0067】
また、吊り荷60が重力により最下点(クレーンの吊り芯100の位置)に向かって移動しようとすることから、ビーム3の前方端(滑車7a)には、ビーム3を後方に移動させようとする力が作用している(第4の力)。
【0068】
さらに、ワイヤー10が錘4を後方に引く力の反力として、ビーム3の後方端(滑車7b)には、ビーム3を前方に移動させようとする力が作用している(第5の力)。
【0069】
錘4のビーム3に対する移動距離(移動量)は、主に、前記第1〜第3の力のバランスによって定まる。前記第1の力は、錘4が最下点(クレーンの吊り芯100)から離れるほど大きく、前記第2の力は、荷受け部(フック9)にかかる荷重(吊り荷60の荷重)が大きいほど大きい。よって、荷受け部(フック9)にかかる荷重に応じて、錘4がビーム3に対しある位置まで後方に移動すると、前記第1〜第3の力が釣り合い、錘4は、その位置で停止する。すなわち、荷受け部(フック9)にかかる荷重(吊り荷60の重量)が大きいほど、錘4がビーム3に対して大きく移動し、逆に、荷受け部(フック9)にかかる荷重(吊り荷60の重量)が小さいほど、錘4の移動量が小さい。
【0070】
このため、荷受け部(フック9)にかかる荷重(吊り荷60の重量)が大きいと、これに合わせて、錘4が支点32を中心として図3中の時計回りにビーム3を回転させるような力(モーメント)が大きく作用し、常に吊り荷60との釣り合いを取る。これにより、所定範囲内のどのような重さの吊り荷60に対しても、ビーム3の姿勢が平行に近く保たれる。
【0071】
また、ビーム3に作用する前記第4の力と前記第5の力とが打ち消し合うように働くことにより、ビーム3の前後方向の移動量が小さく抑制され、支点32の位置が無荷重の状態と水平方向(前後方向)についてほぼ同じ位置に保たれる。
【0072】
図2に示す無荷重の状態から、クレーンのフックを徐々に上昇させ、図3に示す有荷重の状態に至るまでの間の状態では、フック9(荷受け部)に作用する荷重が次第に大きくなる。錘4は、前述したようにフック9(荷受け部)に作用する荷重の大きさに応じた距離だけ移動する。このため、フック9(荷受け部)に作用する荷重の変化(増大)に応じて、錘4は、徐々にビーム3に対して移動し、ビーム3の姿勢を常に平行に近く維持する。よって、無荷重の状態から有荷重の状態に至るまでの間の任意の状態で、偏心距離が一定に近く保たれる。
【0073】
このため、吊り荷60を吊り上げる(荷揚げする)とき、クレーンの吊り芯100の位置を固定したままでクレーンのフックを上昇させても、吊り荷60が横方向に移動することがない。
【0074】
以上では、吊り荷60を荷揚げする場合について説明したが、吊り上げた吊り荷60を床40に着地する(荷下ろしする)ときも同様に、偏心距離が一定に近く保たれる。
【0075】
したがって、荷揚げや荷下ろしをするとき、クレーンの吊り芯100を移動(調節)するための操作が不要であるため、迅速に荷揚げおよび荷下ろしをすることができる。また、吊り荷60が横方向に移動するおそれがなく、周囲の作業員らに対し、安全性が高い。
【0076】
また、以上のような荷吊り装置20Aでは、錘4の移動手段として、モーターやエンジン等の駆動源が不要であり、安価に製造することができる。さらに、維持・管理も容易である。
【0077】
以上説明したように、錘4は、移動手段(チェーン2b、滑車7a〜7c、ワイヤー10)の作用により、ビーム3に対し、荷受け部(フック9)にかかる荷重の大きさに応じて、偏心距離が可及的に一定となるような位置に自動的に移動する。その荷重の変化に対して、偏心距離が一定である度合い(偏心距離の変動が抑制される程度)は、例えば次の各要素を調整することにより調節することができ、偏心距離をより一定に近く保つようにすることができる。
【0078】
・ビーム3の前方端(滑車7a)と荷吊り部8(滑車7c)との間のワイヤー10の掛け数
・チェーン2a、2bの長さ
・ビーム3の傾斜(ガイド5とスライドブロック6との接触角度)
・錘4の重さ
・滑車7aと支点32との距離
【0079】
有荷重の状態における荷吊り装置20Aの釣り合いについて、次に詳述する。吊り具1にはチェーン2a、2bを介してビーム3、錘4、荷受け部から、それぞれの質量による垂直力V3、V4、V8が働き、加えて吊り荷60の荷重Wによる垂直力Vwが働く(その他の部品については無視した場合)。
【0080】
また、吊り具1を中心として、ビーム3、錘4、荷受け部から、それぞれの質量(重量)と、それぞれの重心から吊り具1までの水平距離とを乗じたモーメントM3、M4、M8が働き、加えて、吊り荷60の荷重Wと、吊り荷60の重心61から吊り具1までの水平距離とを乗じたモーメントMwが働く(その他の部品については無視した場合)。
【0081】
よって、有荷重の状態で、バランスを保ったとき、吊り具1において下記の関係式が成り立つ。
垂直力の釣り合い :V3+V4+V8+Vw=クレーンフックの支持力
モーメントの釣り合い:M3+M4+M8+Mw=0
【0082】
また、ワイヤー10に作用する張力は、スライドブロック6と、ビーム3の後端の滑車7bとの間で、互いに引き合う力となっている。また、このビーム3の前方端に作用する垂直力(Vw+V8)は、ビーム3を支点32を中心として図3中の反時計周りに回転させるよう働き、ビーム3を介して錘4を押し上げる力として作用している。
【0083】
ガイド5のスライドブロック6に対する接触面を、吊り具1を支点として支点と荷吊り部8との間の水平距離を一定とした場合に荷重Wと釣り合う位置に錘4が移動し、安定するようガイド5とスライドブロック6との各位置での接触面の傾斜角を求め、これを連ねた連続曲線(曲面)とした場合には、荷重Wの変化に対応して、変化する前記引き合う力と前記押し上げる力の作用によって錘4がこのようなガイド5上を移動し、有荷重時の装置全体の重心位置を吊り具1の鉛直線上(クレーンの吊り芯100)により高精度に保つことが可能となる。
【0084】
前述したようなガイド5の連続曲線(曲面)の形状は、チェーン2a、2bの長さ、ビーム3の傾斜、吊り具1から荷吊り部8までの水平距離、滑車7aの回転中心から支点32までの水平距離および角度、滑車7aと荷吊り部8の滑車7cとの間のワイヤー10の掛け数、荷重Wに対応する錘4の質量(重さ)および、その移動量等によって決定されるものであり、その形状は一様でない。
【0085】
図4は、本発明の荷吊り装置の第2実施形態について、ビーム3の前方端部を拡大して示す図であり、(A)が側面図、(B)が正面図、(C)が平面図である。図5は、第2実施形態の荷吊り装置20Bの使用状態を示す断面側面図である。なお、以下の説明では、図4の(A)および図5中の左側を「前方」、右側を「後方」と言う。
【0086】
以下、これらの図を参照して、本発明の荷吊り装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0087】
図4および図5に示す荷吊り装置20Bは、ビーム3の前方端部の構成以外は、前記第1実施形態の荷吊り装置20Aと同様である。以下、荷吊り装置20Aとの構成の相違点について説明する。
【0088】
ビーム3の前方端の滑車7aの回転軸であるシャフト12と同軸上には、滑車7dが回転自在に設置されている。
【0089】
ビーム3の前方端には、手巻きウインチ(ワイヤー巻き取り装置)11が設置されている。手巻きウインチ11は、ハンドル11aと、巻き胴11bとを有しており、減速機構(図示せず)やブレーキ機構(図示せず)を内蔵し、ワイヤー10にかかる張力以上の巻き取り能力を備えている。
【0090】
ワイヤー10の一端は、滑車7dを通り、手巻きウインチ11の巻き胴11bに接続されている。そして、ハンドル11aを回転操作することにより、ワイヤー10を巻き取り/巻き出しすることができる。
【0091】
このように、手巻きウインチ11は、ワイヤー10の有効長さ(荷吊り部8と錘4との間に渡されている部分の長さ)を調節可能な長さ調節手段を構成するものである。
【0092】
以下、図5を参照して、荷吊り装置20Bの作用について説明する。
床40に載置された吊り荷60を荷揚げする(吊り上げる)場合について説明する。図5中の「無荷重時の姿勢」に示すように、吊り荷60の上方にフック9が位置するようにクレーンを操作し、クレーンを停止する。
【0093】
次に、手巻きウインチ11のハンドル11aを回転操作し、ワイヤー10を巻き出して、荷受け部(滑車7c、荷吊り部8、フック9)を下降させる。そして、フック9に吊り荷60の玉掛けワイヤーをかける。この時、ワイヤー10が巻き胴11bに必要長さが残るよう、予め長くしておくことは、言うまでもない。
【0094】
次に、手巻きウインチ11のハンドル11aを回転操作し、ワイヤー10を巻き取っていく。すると、錘4は、ビーム3の後方に移動していく。そして、ワイヤー10に作用する張力が次第に大きくなっていく。また、荷吊り装置20Bの姿勢は、図5中の「有荷重時の姿勢」に近づいていく。
【0095】
続けて手巻きウインチでワイヤー10を巻き取っていくと、錘4が吊り荷60とのバランスをとる位置にまで移動し、吊り荷60の荷重がすべてフック9にかかり、吊り荷60は、地切りする(床40から離間する)。
【0096】
このように、手巻きウインチ11の作用により、クレーンのフックを上下させずに停止させたままの状態で、荷揚げすることができる。これにより、上方にビーム3を上昇させる余裕が少ない場所でも荷揚げすることができる。また、クレーン操作による挟まれ事故を防止することができ、安全性もより高い。
【0097】
以上、荷揚げをする場合について説明したが、荷下ろしをする場合にも手巻きウインチ11を操作して、クレーンのフックを停止させた状態で、荷下ろしすることができる。
【0098】
図6は、本発明の荷吊り装置の第3実施形態を示す図であり、(A)が断面側面図、(B)が正面図、(C)が平面図である。図7は、図6に示す荷吊り装置20Cの使用状態を示す断面側面図である。なお、以下の説明では、図6の(A)および図7中の左側を「前方」、右側を「後方」と言う。
【0099】
以下、これらの図を参照して、本発明の荷吊り装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0100】
図6に示す荷吊り装置20Cは、ビーム3および荷受け部(滑車7c、荷吊り部8、フック9)の構成が異なること以外は、前記第1実施形態の荷吊り装置20Aと同様である。以下、荷吊り装置20Aとの構成の相違点について説明する。
【0101】
ブラケット31は、ビーム3の前方端部に設置されており、支点32がビーム3の前方端付近に位置している。
【0102】
第2のビーム(荷吊り部)8は、長尺のビームで構成され、ビーム3に沿って、その下方に位置している。第2のビーム8は、ビーム3の後方端部の付近を支点(回動中心)13として、ビーム3に対し、回動可能に設けられている。第2のビーム8の前方端は、ビーム3の前方端よりも前方に延長されており、さらに外側に突出している。第2のビーム8の前方端には、フック(支持部)9が図示しないベアリング等を介して旋回可能に設けられている。第2のビーム8の中間部には、ビーム3の前方端の滑車7aの下方に位置する部分に、滑車7cが設置されている。滑車7cは、図示しないベアリング等を介して滑らかに回転可能になっている。
【0103】
第2のビーム8は、ビーム3の前方端よりフック9をさらに遠方(前方)の位置に位置させる延長手段を構成している。また、第2のビーム8と、滑車7cと、フック9とで荷受け部が構成されている。
【0104】
ワイヤー10は、ビーム3(滑車7a)と第2のビーム8(滑車7c)との間で4本掛けとなっていることを始め、その接続・配設の仕方は、前記第1実施形態の荷吊り装置20Aと同様となっている。
【0105】
ビーム3の前方端から滑車7cまでの長さと、滑車7cから支点13までの長さとの比は、特に限定されないが、例えば、1:1〜1:15程度とすることができる。
【0106】
以下、図7を参照して、荷吊り装置20Cの作用について説明する。
図7中の「無荷重時の姿勢」は、床40に載置された吊り荷60を吊り上げる前の状態(フック9に荷重がかかっていない状態)の荷吊り装置20Cを示している。この状態を以下、「無荷重の状態」と言う。
【0107】
図7に示すように、荷吊り装置20Cは、ビーム3の前方端よりさらに前方に突出した部分の第2のビーム8を床40と天井50との間の空間に差し入れて使用する。無荷重の状態では、錘4は、ほぼ最下点(クレーンの吊り芯100)に位置している。また、錘4は、ビーム3に対しては、可動範囲の最も前方(支点32のすぐ後方)に位置している。ビーム3と第2のビーム8とのなす角は、ほぼ0°(ビーム3と第2のビーム8とがほぼ平行)になっている。
【0108】
図7中の「有荷重時の姿勢」は、無荷重の状態から、クレーンを作動してクレーンのフックを上昇させ、吊り荷60を吊り上げた状態(吊り荷60の荷重がすべてフック9にかかっている状態)の荷吊り装置20を示している。この状態を以下、「有荷重の状態」と言う。
【0109】
フック9にかかる荷重は、ワイヤー10を介して錘4に作用し、錘4がビーム3の後方に移動する。そして、錘4は、チェーン2bが及ぼす力とワイヤー10が及ぼす力とのバランスにより、ビーム3の後方に位置する。これにより、偏心距離が無荷重の状態とほぼ一定に保たれている。
【0110】
錘4の移動により、滑車7aと滑車7bとの間隔は、やや広がって、第2のビーム8がビーム3に対して開くように回動する。よって、有荷重の状態では、ビーム3と第2のビーム8との間が広がり、ビーム3の前方端の位置が高くなる。しかし、前述したように、第2のビーム8の突出部分を床40と天井50との間の空間に差し入れて使用するので、ビーム3の前方端と天井50との干渉の問題が生じない。
【0111】
このように、荷吊り装置20Cは、有荷重の状態でも、床40と天井50との間に差し入れられている部分の高さ(第2のビーム8の前方端部とフック9との鉛直方向の距離)が増大しない。これにより、天井50との干渉の問題がなく、床40と天井50の間隔がより狭い場所でも荷揚げおよび荷下ろしをすることができる。
【0112】
以下、荷吊り装置20Cの有荷重の状態におけるバランスについて詳述する。ビーム3の前方端の滑車7aと荷吊り部8の滑車7cと間には、てこの原理により(吊り荷60の荷重による垂直力Vw)×(フック9から支点13までの距離)/(滑車7cから支点13までの距離)の力が働き、ワイヤー10を介してビーム3と錘4とのそれぞれに働き、スライドブロック6と、ビーム3の後方端の滑車7bとの間で互いに引き合う力となり、錘4を後方に移動させる。また、支点13には、同様にてこの原理により(吊り荷60の荷重による垂直力Vw)×(フック9から滑車7cまでの距離)/(滑車7cから支点13までの距離)の上向きの力が働きビーム3を介して錘4を押し上げる働きをする。吊り荷60の荷重による垂直力Vwは、ビーム3を吊り下げているチェーン2aのビーム側連結点を支点32としてビーム3を介して錘4を押し上げる働きをする。その結果、図7中の「有荷重時の姿勢」のようなバランス状態が得られる。
【0113】
図8は、本発明の荷吊り装置の第4実施形態を示す図であり、(A)が断面側面図、(B)が平面図である。なお、以下の説明では、図8の(A)中の左側を「前方」、右側を「後方」と言う。
【0114】
以下、図8を参照して、本発明の荷吊り装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0115】
図8に示す荷吊り装置20Dは、錘4の構成が異なること以外は、前記第1実施形態の荷吊り装置20Aと同様である。以下、荷吊り装置20Aとの構成の相違点について説明する。
【0116】
荷吊り装置20Dの錘4の下端部には、水平方向回転力(鉛直軸周りの回転力)HFを発生可能な姿勢制御装置14が着脱可能に設置されている。この姿勢制御装置14は、荷吊り装置20Dがクレーンの吊り芯100周りに回転することによる姿勢の変化(荷吊り装置20Dの指示方向)を制御するものである。姿勢制御装置14としては、例えば、一般的に使用されているジャイロ式、風力式等の姿勢制御装置を使用することができる。
【0117】
以下、荷吊り装置20Dの作用について説明する。姿勢制御装置14を操作して、目標とする方向を設定する。すると、姿勢制御装置14は、荷吊り装置20Dに目標の方向を向かせるように、水平方向回転力HFを発生する。この水平方向回転力HFは、錘4に伝わり、順次、スライドブロック6、ガイド5、ビーム3に伝達する。その結果、ビーム3(荷吊り装置20D)が回転し、目標の方向を向く。この時、回転可能に設けられたクレーンのフック(図示せず)が回転し、荷吊り装置20Dは、抵抗なく回転する。よって、チェーン2a、チェーン2bがビーム3の回転に伴って捻れることはない。
【0118】
このように姿勢制御装置14を設置した場合には、クレーン操作による慣性や風の影響により、荷吊り装置20Dを水平方向に回転させる力が作用するときに、荷吊り装置20Dの姿勢(向き)を制御し、特定の方向に固定することができ、よって、作業上の能率および安全性を向上することができる。また、姿勢制御装置14の重量も錘4として作用するので、錘4の質量(重量)を軽減することができる。また、前記第3実施形態の荷吊り装置20Cにも姿勢制御装置14を設置することができることは、言うまでもない。
【0119】
図9は、本発明の荷吊り装置の第5実施形態について、荷受け部の前方端部を拡大して示す図であり、(A)が断面側面図、(B)が正面図、(C)が平面図である。なお、以下の説明では、図8の(A)中の左側を「前方」、右側を「後方」と言う。
【0120】
図9に示す荷吊り装置20Eは、荷吊り部(第2のビーム)8に設置された支持部の構成が異なること以外は、前記第3実施形態の荷吊り装置20Cと同様である。以下、荷吊り装置20Cとの構成の相違点について説明する。
【0121】
荷吊り装置20Eの荷吊り部8の前方端には、フック9に代えて、アタッチメント(支持部)15が着脱可能に設置されている。アタッチメント15は、平面視で4つの端部を有するH字状をなし、その4つの端部付近には、それぞれ、フック9が設置されている。すなわち、アタッチメント15は、4個のフック9を有する。
【0122】
荷吊り装置20Eは、支持部がこのようなアタッチメント15で構成されていることから、様々な形状の吊り荷60を安定的に吊ることができる。また、アタッチメント15を吊り荷60の形状、態様に合わせて、適当な他の支持部と交換することができる。
【0123】
以上、本発明の荷吊り装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、荷吊り装置20A〜20Eを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
【0124】
例えば、ビーム3の前方端の滑車7aと荷吊り部8の滑車7cとの間のワイヤー10の掛け数は、4本掛けに限らない。また、ワイヤー10の掛け数を増減することは容易に可能である。
【0125】
また、ガイド5およびスライドブロック6は、例えば、ガイドバー、スライドガイド、ローラーガイド、ラックとピニオン等、錘4をビーム3に移動可能に設置できるものであれば、いかなるものでもよい。
【0126】
また、本実施形態では、吊り部材および第2の吊り部材をチェーン2aおよびチェーン2bで構成したが、これに限らず、例えばワイヤー、ロープ、棒材等、十分な強度を有するものであれば、いかなるものでもよい。また、その本数は、言うまでもなく何本でもよい。また、錘4を吊る第2の吊り部材を省略し、バネ等で置き換えた構成としてもよい。
【0127】
また、ワイヤー10は、荷受け部と錘4とを複数系列(複数本)で結ぶものでもよい。また、ワイヤー10に代えて、ローラーチェーン、綱、ベルト(帯状体)等を用いてもよい。また、ワイヤー10の端部を接続する箇所は、荷吊り部8、ビーム3の後方端部等であってもよい。
【0128】
また、吊り具1は、ベアリング等を介して、水平方向の回転が可能なものであってもよい。
【0129】
また、クレーンと荷吊り装置との接続は、吊り具1をクレーンのフックに掛ける構成に限らず、いかなる構成によってもよい。例えば、対象物(相手方)の形状に応じて、吊り具1を複数個としたり、チェーン2a、2bをクレーンのフック等の対象物に直接組み付けることとしてもよい。
【0130】
また、フック9は、吊り荷の形状や重さに応じて、複数個設置してもよい。また、支持部の構成は、フック9に限らず、荷を吊れる、あるいは載せられる形状で、十分な強度を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、液状体・粒状体等を入れるバケット型のものや、パレットと係合するフォーク型のもの等でもよい。
【0131】
また、アタッチメント15の構成を前記のバケット型やフォーク型等のものとしてもよい。
【0132】
また、ワイヤー10(線状体または帯状体)の有効長さの長さ調節手段は、手巻きウインチ11のような構成に限らず、例えば、ストッパー機構を有するワイヤー巻き取りドラム、チェーンブロック、スクリュウ機構等、同様の機能を発揮するものであればいかなるものでもよい。また、その設置箇所は、ビーム3の前方端部に限らず、荷吊り部8等どの場所でもよい。また、その動作(駆動)方法も手動に限らない。
【0133】
また、姿勢制御装置14の設置箇所は、錘4の下部に限らず、その機能を発揮できる位置であればいかなる位置でもよい。
【0134】
また、錘4は、その重量を調節することができるようにされているものでもよい。
【0135】
また、支点32の位置がビーム3の長手方向に沿って移動することができるようになっていてもよい。
【0136】
また、ビーム3や荷吊り部(第2のビーム)8の前方端を伸縮することができるようになっていてもよい。
【0137】
また、ビーム3やガイド5の形状は、側面視において直線状であるものに限らず、湾曲したものであってもよい。
【0139】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、天井等の上方の障害物との間隔が狭い場所でも、衝突・干渉することなく、安全・確実に荷揚げおよび荷下ろしをすることができる。
【0140】
また、荷揚げおよび荷下ろしをする際に、荷受け部にかかる荷重の大きさに応じて、錘が自動的に移動し、偏心距離が可及的に一定に保たれる。このため、クレーンの吊り芯を固定した状態で、迅速に荷揚げおよび荷下ろしをすることができる。また、荷揚げおよび荷下ろしをする際に、吊り荷が横方向に移動するおそれがなく、安全性が高い。
【0141】
さらに、所定範囲内のどのような重さの吊り荷に対しても、上述したような効果が発揮され、吊り荷に合わせて錘を交換する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の荷吊り装置の第1実施形態を示す図であり、(A)が断面側面図、(B)が正面図、(C)が平面図である。
【図2】図1に示す荷吊り装置の使用状態(無荷重の状態)を示す断面側面図である。
【図3】図1に示す荷吊り装置の使用状態(有荷重の状態)を示す断面側面図である。
【図4】本発明の荷吊り装置の第2実施形態について、ワイヤー巻き取り装置の周囲を拡大して示す図であり、(A)が側面図、(B)が正面図、(C)が平面図である。
【図5】図4に示す荷吊り装置の使用状態を示す断面側面図である。
【図6】本発明の荷吊り装置の第3実施形態を示す図であり、(A)が断面側面図、(B)が正面図、(C)が平面図である。
【図7】図6に示す荷吊り装置の使用状態を示す断面側面図である。
【図8】本発明の荷吊り装置の第4実施形態を示す図であり、(A)が断面側面図、(B)が平面図である。
【図9】本発明の荷吊り装置の第5実施形態について、荷受け部の前方端部を拡大して示す図であり、(A)が断面側面図、(B)が正面図、(C)が平面図である。
【符号の説明】
1 吊り具
2a、2b チェーン
3 ビーム
31 ブラケット
32 支点
4 錘
5 ガイド
6 スライドブロック
7a、7b、7c、7d 滑車
8 荷吊り部、第2のビーム
9 フック
10 ワイヤー
11 手巻きウインチ
11a ハンドル
11b 巻き胴
12 シャフト
13 支点
14 姿勢制御装置
15 アタッチメント
20A、20B、20C、20D、20E 荷吊り装置
40 床
50 天井
60 吊り荷
61 重心
100 クレーンの吊り芯
200 吊り荷の吊り芯

Claims (6)

  1. クレーンの吊り芯から吊り荷の重心を偏心させて吊る荷吊り装置であって、
    長尺のビームと、
    前記ビームを吊る吊り部材と、
    前記ビームに設けられ、前記吊り荷を支持する支持部を有する荷受け部と、
    前記ビームの長手方向に沿って移動可能に設置された錘と、
    前記荷受け部にかかる荷重の大きさに応じて、前記錘を前記ビームに対し、前記クレーンの吊り芯と前記吊り荷の重心との水平方向の距離が可及的に一定となるような位置に、自動的に移動する移動手段とを有し、
    前記移動手段は、前記ビームに設けられた滑車と、該滑車を通って前記荷受け部と前記錘との間に渡された線状体または帯状体と、前記錘を吊る第2の吊り部材とを有し、
    前記荷受け部にかかる荷重が前記線状体または帯状体を介して前記錘に作用し、前記錘を移動するよう構成されていることを特徴とする荷吊り装置。
  2. 前記ビームの両端部にそれぞれ滑車が設けられている請求項1に記載の荷吊り装置。
  3. 前記荷受け部は、前記ビームの一端部から前記線状体または帯状体によって吊り下げられるように設けられている請求項1または2に記載の荷吊り装置。
  4. 前記荷受け部は、第2のビームを有し、前記支持部は、前記第2のビームの端部に設置されており、
    前記第2のビームは、前記ビームに対し、前記第2のビームの前記支持部と反対側の端部付近を回動中心として回動可能に設けられている請求項1に記載の荷吊り装置。
  5. 前記第2のビームの回動中心は、前記ビームの前記支持部と反対側の端部付近に位置している請求項4に記載の荷吊り装置。
  6. 前記第2のビームは、前記支持部が設置された端部が前記ビームの端部より外側に突出しているものである請求項4または5に記載の荷吊り装置。
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