JP3690680B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、半導体単結晶の製造方法に関し、より詳しくはルツボに収容された融液に種結晶を浸漬し引上げることによって種結晶の下方に単結晶を成長するチョクラルスキー法(Czochralski Method、CZ法)を用いたシリコン単結晶の製造方法に関する。
背景技術
CZ法を用いてシリコン単結晶を育成する方法は、原料となる多結晶シリコンを石英製のルツボに入れ製造装置炉内で1400℃以上の高温に加熱し融液とした後に、融液表面に種結晶を着液させ、この種結晶を回転させながら静かに引上げることによってその下方に単結晶を育成するものである。
しかし、種結晶には高温の融液に着液した際に融液との温度差で生じる熱衝撃により高密度にスリップ転位が導入されるため、種結晶の下方に単結晶を育成するにはこのスリップ転位を除去する操作が必要となる。
そこで、種結晶を融液に着液し温度が安定したら、種結晶を引上げつつ先端に育成される結晶の径を5mm程度以下まで細くして、結晶からスリップ転位が除去されるまではその状態で結晶育成を行ない、それ以降の育成される結晶に種結晶着液時に生じたスリップ転位がおよばないようにしている。この工程を絞り工程と言い、この時形成された単結晶部分を絞り部と称する。
通常、種結晶を融液に着液させた際に導入されたスリップ転位は、結晶径を5mm以下とした状態で5〜20cm程度引上げれば消滅し、それ以降はスリップ転位を排除した単結晶を育成することができる。スリップ転位が消滅した後は、育成される結晶径を徐々に大きくして行き所望の結晶径となるまで径を広げる拡大工程を経て、所望の工程となったところで径拡大を止め、以降、略一定の直径で単結晶の育成を行う直胴工程に移り、所望の結晶直径を持った単結晶棒を育成していく。拡径工程で形成された単結晶部位を拡径部と言い、拡径工程の後、略一定の直径で引上げられた部分を直胴部あるいは定径部と呼んでいる。この定径部が半導体ウエーハに加工され、半導体素子を形成するための基板材料となる。
また最近では、特開平4−104988号公報に示されるような、絞り部を形成することなく単結晶を引上げる方法も用いられている。絞り工程を行わずに単結晶を育成するには、種結晶の先端の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形の円錐または角錐状の種結晶を用いることによって行われる。
このような種結晶を用いれば、種結晶先端を原料融液に着液した際に生じる熱衝撃によりスリップ転位がもたらされること無く、あるいは例え種結晶にスリップ転位がもたらされたとしても軽微であり、種結晶先端が所望の径まで融液に浸漬される間に消滅してしまい、所望の径まで種結晶を浸漬した後は転位が無くなっているので絞り部を形成する必要がなく、直ちに結晶直径の拡大を図る拡径部を形成する工程に移行することができる。
この絞り部を形成することなく単結晶を引上げる方法では、絞りを行わない、即ち種結晶の先端に形成される結晶を一端細くする必要がなく、種結晶の先端部を所望の太さまで浸漬したら、その後、直ちに結晶直径を所望の径まで広げる拡径工程へ移行できる点に特徴がある。
最近のシリコン単結晶の製造においては、生産性の向上を目指し大直径長尺の単結晶育成が行われており、引上げられる結晶の重量は200kg以上にも達している。このような高重量結晶をCZ法により育成するためには、絞り部の強度が重要な問題となる。種結晶からもたらされるスリップ転位を消滅させるために直径が5mm以下となる絞り部を形成し、その下方に200kgを超える高重量結晶を育成することは絞り部の強度から考えても限界近くに達しており、更なる大直径長尺単結晶ウエーハを効率良く生産する為に、新たな単結晶の育成方法が必要とされていた。この課題を解決する手段の一つとして、絞り部を作らないで単結晶を育成する技術が検討、実用化されている。
しかし、絞りを行い単結晶を製造する方法でも、絞り部を形成することなく単結晶を製造する方法でも、問題となるのはスリップ転位を確実に除去あるいはスリップ転位を導入することなく所望の単結晶を育成できるかどうか、即ち、その成功率である。
絞り部を形成し単結晶を育成する方法では、絞り部の直径を5mm以下程度まで一旦細くしてスリップ転位を抜く必要があることから、絞り部径が最小となる絞り込み部の径が太いと、スリップ転位を除去できずにスリップ転位が直胴部にまで導入され、製品となる単結晶が育成することができなくなってしまう。その一方で、絞込み部の径を必要以上に細くすると融液の温度変動により適切に形状を保つことができず、絞り部形成の途中で結晶が融液から離れてしまい単結晶を育成することが不可能となる。
単結晶の育成工程で絞り部形成に失敗した場合は、再度、種結晶先端を融液に浸漬し絞り工程を最初からやり直せば良いが、単結晶の生産性や作業性を考えると一回でスリップ転位を除去し絞り工程を終えることが望ましい。特に、絞り工程をやり直すと、一回の失敗で1時間以上余計に工程時間をロスする等により、高温下での原料融液を満たした石英製ルツボの劣化を促進し耐久性を弱め、育成途中で結晶が有転位化する等の結晶成長を疎外する要因を誘導することにもなる。また、絞り工程をやり直すことは、一旦形成された種結晶先端の絞り部を溶かし、原料融液温度を調整した後に再び種結晶先端を融液に浸漬する等の工程が新たに加わるため作業者にとっても負担になる。
このような理由から、絞り部を形成し単結晶育成を行なう方法においては、スリップ転位を確実に除去し、所望の直径を持った絞り部を失敗することなく一回で形成できる、あるいは失敗する回数が可能な限り少ないことが望まれる。
一方、先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶を用いて種結晶の先端部を所望の径となるまで浸漬した後、絞り部を形成することなく径を拡大して単結晶を育成する方法においても、先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶を所望の直径となるまで溶かし込む間に、スリップ転位が種結晶に導入されないことが望まれる。特に、先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形の特殊な形状の種結晶を用いる方法では、種結晶を原料融液中に浸漬すると同時に融液に接した部分から溶解してしまうので、種結晶の浸漬に失敗し、種結晶の着液時あるいは溶かし込みの途中でスリップ転位が種結晶にもたらされた場合には、再び同じ種結晶を用いて単結晶育成をやり直すことは不可能となる。このような特殊な形状を持った種結晶を用いる単結晶育成においては、一回の溶かし込み操作で転位が導入されることなく所望の直径まで種結晶を浸漬することが必須となる。
仮に、先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶を所望の太さとなるまで融液に浸漬した後に種結晶にスリップ転位がもたらされていた場合には、種結晶を単結晶育成炉から取り出して新しい種結晶と交換し、再び融液に種結晶を溶かし込み直す必要がある。しかし、種結晶を新しい物に交換する操作は、不活性ガスで満たされた高温の単結晶育成炉から種結晶を取り出し新しい種結晶に交換して再び炉内に戻す操作が必要となるため作業は複雑で、種結晶を融液に浸漬できる状態に炉内環境を整えるのにも時間を必要とする作業となる為に、絞り部を形成しないで単結晶を育成する方法においては、種結晶の溶かし込みに失敗すると、作業負担を増大し極端に生産性を落とす結果となることから、一回で種結晶の沈み込みを成功させることが単結晶育成の生産性や歩留りをあげる上で重要な課題となっている。
一方、最近のCZ法によるシリコン単結晶の育成においては、結晶内に存在する欠陥を所望の値にコントロールした高品質結晶を得る、あるいは育成された結晶の冷却速度を速め高速で単結晶を育成し生産性の向上を図る等の為に、ルツボに収容した原料融液の上方に育成された単結晶を囲繞するようにガス整流筒や遮熱スクリーン等の上部炉内構造物を配置して、結晶の熱履歴を所望の値に保ちながら単結晶を育成する方法が広く用いられている。
特に、シリコン単結晶育成の熱履歴に起因して発生する、いわゆるグローンイン欠陥が低減されたあるいは完全に排除されたシリコン単結晶の育成においては、熱履歴改善のために上部炉内構造物とシリコン融液面との間隔を比較的広めにする必要がある。通常、上部炉内構造物とシリコン融液面との距離は10mmから30mm程度であるが、低欠陥あるいは無欠陥結晶を育成する時にはこの距離が50mmから150mm程度に広げられる。しかしながら、このようにしてシリコン単結晶を育成する場合には、前記した絞り部の形成の成功率や種結晶溶かし込みの成功率が低下する問題があった。
発明の開示
本発明はこのような問題に鑑みて成されたものであり、CZ法を用いてシリコン単結晶を育成するにあたり、種結晶を原料融液に浸漬した後に種結晶を静かに引上げながら絞り部を形成し単結晶を育成する方法では、絞り部形成時に絞り径を所望の値に安定させ必要な直径をもつ絞りを形成するあるいは絞り部が融液から離れる絞り切れを無くし、スリップ転位を結晶から確実に消滅させて絞り部の下方に無転位の単結晶棒を育成することができる絞り部形成の成功率を高め、また先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶を用いて種結晶の先端部を所望の径となるまで浸漬した後、絞り部を形成することなく単結晶を育成する方法においては、種結晶を原料融液に溶かし込みを行う際に種結晶にスリップ転位がもたらされることなく種結晶を所望の径まで浸漬できる種結晶溶かし込みの成功率を向上させ、さらに単結晶定径部の育成時に上部炉内構造物とシリコン融液面との間隔を所望の広さとすることによって定径部が低欠陥あるいは無欠陥の単結晶を容易に得ることができるようにしたシリコン単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決する為に、本発明のシリコン単結晶の製造方法の第1の態様は、単結晶製造装置炉に育成した単結晶を囲繞するように配置した円筒あるいは円錐状の上部炉内構造物を有する単結晶製造装置を用いて、製造装置炉内のルツボに収容されたシリコン融液に種結晶を浸漬した後に種結晶を引上げながら絞り部を形成し、その後径を拡大して単結晶を育成するチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法において、少なくとも種結晶を融液に着液させてから絞り部の形成が終了するまでの間は、上部炉内構造物の下端とシリコン融液面間の距離が5mm以上100mm以下となる位置に上部炉内構造物あるいは原料融液を収容したルツボを配置し、絞り部の形成が終了した以降に上部炉内構造物とシリコン融液面間の距離を徐々に広げ、単結晶定径部を形成するのに適した位置に上部炉内構造物あるいはルツボを移動させて単結晶を育成することを特徴とする。なお、以下の記述において上記上部炉内構造物とシリコン融液面間の距離は隙間又は間隔として説明することがある。
CZ法を用いてシリコン単結晶を育成するにあたり、種結晶を原料融液に浸漬し静かに融液から単結晶を引上げ絞り部を形成する際に、単結晶育成炉内の融液真上に配設されたガス整流筒や遮熱スクリーン等の円筒あるいは円錐状の上部炉内構造物を融液面に近づけて絞り部を形成し、絞り部形成が終了した後に単結晶育成に適した位置に配置すれば、絞り部育成時においては絞り部の径が安定し絞り部形成途中で絞り部が融液から離れる絞り切れが生じる可能性も少なく、また、安定した絞り部径が得られることで、絞り部からスリップ転位を消滅させるのに必要な絞り部径まで絞り部を細くする絞り込み部形成が容易となり、スリップ転位の除去をより確実なものとすることができる。そして、単結晶定径部の育成時には上部炉内構造物とシリコン融液面間の距離を所望の広さとすることができるので、定径部が低欠陥あるいは無欠陥の単結晶を得ることができる。
そして、これら上部炉内構造物をシリコン単結晶の原料である多結晶シリコン融解時等には作業の妨げとならないよう、単結晶育成に関係しない作業では特許第2640683号に示すような装置構造とすることで上部炉内構造物を上下動可能とし育成炉上方に収容する装置も知られている。これらの機構や装置を用いることによってより容易に本発明を実行することが可能である。
また、融液面真上に配置された整流筒や遮熱スクリーン等の上部炉内構造物を移動するような装置を用いることなく本発明を達成することも可能である。
現在、単結晶育成に用いられている製造装置には、多結晶シリコンを効率的に溶解することや、単結晶定径部の育成にあたり融液面を一定にして精度よく定径部を形成し、原料融液から得られる単結晶の収率向上を図る、あるいは単結晶を半導体ウエーハに加工する際の研削ロスを減らすこと等を目的に、原料融液を満たしたルツボを上下動可能な機構が付加されている。この機構を利用することにより、上部炉内構造物とルツボに満たされた原料融液面との間を調整して必要とする位置関係にすれば、複雑な装置構成とすることなく本発明を利用することができる。
このような装置や方法を用いることにより、融液上方に配置された炉内構造物あるいはルツボを上下動可能とし、種結晶を融液に浸漬した後に絞り部を形成する時には、上部炉内構造物と原料融液面の間の距離が5〜100mm、好ましくは5〜50mm、より好ましくは10〜25mmの範囲となる位置に上部炉内構造物あるいはルツボを配置して絞り部の形成を行うのがよい。
原料融液面と上部炉内構造物の隙間を5mm以上100mm以下の範囲に設定して絞り部の形成を行えば、80%以上の高い確率でスリップ転位を除去し絞り部の下方に無転位の単結晶を育成することができる。また、隙間を25mm以下に設定して絞り部を形成すれば、略確実に無転位化を成功させることが可能となる。なお、絞り部形成工程中に絞り部の育成状態を観察したり、炉内構造物上方から下流する不活性ガス等を考えれば、炉内構造物と融液面は最低でも10mm程度の隙間を保っておくのが好ましいものである。
そして、本発明のシリコン単結晶の製造方法の第2の態様は、単結晶製造装置炉に育成した単結晶を囲繞するように配置した円筒あるいは円錐状の上部炉内構造物を有する単結晶製造装置を用いて、製造装置炉内のルツボに収容されたシリコン融液に先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状を有する種結晶を用いて種結晶の先端部を所望の径となるまで浸漬した後に、絞り部を形成することなく径を拡大して単結晶を育成するチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法において、少なくとも種結晶を融液に着液させてから該種結晶先端の融液と接している部分の径が所望の径となるまで浸漬を行っている間は、上部炉内構造物の下端とシリコン融液面間の距離を5mm以上100mm以下となるように上部炉内構造物あるいは原料融液を収容したルツボを配置し、種結晶の浸漬が完了した以降に上部炉内構造物とシリコン融液面間の距離を徐々に広げ、単結晶定径部を形成するのに適した位置に上部炉内構造物あるいはルツボを移動させて単結晶を育成することを特徴とする。
CZ法を用いたシリコン単結晶の育成において、先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状を有する種結晶を用いて種結晶の先端部を所望の径となるまで浸漬した後に絞り部を形成することなくシリコン単結晶を育成する方法であっても、先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶を所望の径となるまで原料融液に浸漬するまでの間は、整流筒や遮熱スクリーン等の上部炉内構造物と原料融液面の間の距離が5〜100mm、好ましくは5〜50mm、より好ましくは10〜25mmの範囲となる位置に上部炉内構造物あるいはルツボを配置して種結晶の溶かし込み操作を行うのが好ましい。
先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶を用いて絞りを作ることなく単結晶を育成する方法の場合は、種結晶原料融液面と上部炉内構造物の隙間を5mm以上100mm以下の範囲に設定して尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶先端を原料融液へ溶かし込めば、50%程度以上の高い確率で種結晶にスリップ転位が導入されることなく溶かし込みを行うことが可能である。更には、隙間を25mm以下に設定して種結晶の溶かし込みを行えば、より略確実に転位を導入することなく溶かし込みを成功させることができる。なお、絞り部を形成して単結晶を育成する方法と同じ理由から、炉内構造物と融液面は最低でも10mm程度の隙間を保っておくのが好適である。
そして、絞り部を形成した後に結晶径を拡径して所望の直径を有する単結晶を育成する方法でも、また、先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶を用いて絞り部を形成することなく所望の直径を有する単結晶を育成する方法であっても、種結晶を原料融液に浸漬する時、あるいはそれ以前の多結晶シリコン原料の溶融終了直後から原料融液面の間の距離が5〜100mm、好ましくは5〜50mm、より好ましくは10〜25mmとなる間隔に配置しておいた上部炉内構造物あるいは融液を満たしたルツボを単結晶定径部の育成条件に適した位置に移動するタイミングは、結晶径を拡大する工程である拡径部の形成を行っている間に上部炉内構造物あるいはルツボを所望の位置に移動させるのが最適である。
このように単結晶育成工程の中で、拡径部を形成している間を利用して上部炉内構造物あるいはルツボを単結晶の定径部を育成するのに適した位置まで移動させておけば、単結晶の拡径部形成から定径部形成に移行した直後には、上部炉内構造物あるいは融液を満たしたルツボは定径部の育成に適した位置にあることになり、半導体ウエーハとなる定径部の育成開始直後から所望の品質を有する単結晶定径部を形成することが可能となる。これにより、育成した定径部全長にわたって安定した品質の単結晶が得られるため歩留りも向上する。
なお、炉内構造物あるいはルツボを定径部形成に適した位置に移動するにあたっては、絞り部形成後または先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶の溶かし込み終了後から徐々に上部炉内構造物またはルツボを移動させ、拡径部の形成が終了する前あたりで炉内構造物またはルツボが定径部を形成するのに適した位置に配置されるように静かに移動させるのがよい。
単結晶拡径部の形成途中で炉内構造物あるいはルツボを急いで移動させると、育成炉内の環境が急激に変わることで原料融液の温度や対流が不安定となり、結晶の異常成長や熱衝撃によりスリップ転位の発生を招くことになる。また、ルツボを移動させる場合は、結晶の成長速度に合わせてルツボを移動させないと結晶が融液から切り離され結晶育成が中断することになる。
以下、本発明の技術的思想について更に詳しく説明する。
単結晶育成炉内の融液真上に配置されたガス整流筒や遮熱スクリーン等の円筒あるいは円錐状をした上部炉内構造物は、原料融液から引上げられた単結晶が冷却される時の熱履歴を所望の値に調整することを目的として配置されている。この上部炉内構造物の形状や材質を色々と変えることにより、結晶を保温して結晶中の欠陥を抑制したり、あるいは融液からの輻射熱を遮断して結晶冷却速度を高め結晶を高速で引上げる等の効果を得ているものである。
しかし、その一方で原料融液の真上に配置された上部炉内構造物は、原料融液の熱対流を制御する役割も担っている。
ルツボ内の原料融液は、ルツボの周囲に配設されたヒータからの加熱により絶えず熱対流を生じている。そして、ヒータの加熱により原料融液に与えられた熱はこの熱対流によって融液表層まで運ばれ、その一部を融液表面からの輻射によって外部へと放散する。この時、原料融液面の真上に融液からの熱輻射を抑える構造物が配置されていると、融液表面からの熱輻射が小さくなり融液内の温度バラツキ抑制され熱対流を安定させることができる。
融液の熱輻射を抑える効果は、同じ断熱効果を持つ炉内構造物であれば融液表面との距離が小さい程その効果は大きく効率的に熱輻射を抑え融液対流を安定させられるものである。そして、融液表面から離れるに従ってその効果はしだいに小さなものとなる。
CZ法により単結晶を育成する場合には、結晶成長界面近傍での融液温度を安定させることが重要なポイントとなる。結晶育成時に結晶成長界面近傍の温度が安定していないと、育成途中で結晶に変化が生じたりあるいは融液温度の急激な変化によりスリップ転位が結晶にもたらされる等の問題が起こる。特に、種結晶を融液に着液させた後に絞り部を形成する時や、あるいは先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶の溶かし込みを行っている作業の時には、この融液の温度変動の影響を受けやすい。これは単結晶の定径部育成時に比べ結晶径が細く原料融液の表面が大きく露出しているためであり、これによって融液表面から逃げる熱量も多くなり、結果、融液温度にバラツキが出て結晶と融液が接している付近の融液温度が安定しなくなる為と考えられている。
不安定な融液温度状態で、種結晶を融液に浸漬し絞り部の形成を行った場合には、結晶の形状が安定せず結晶からスリップ転位を消滅させるのに必要な太さまで結晶径を細くすることが難しくなるばかりか、スリップ転位が消滅し難くなり絞り工程の時間が必要以上に長くなったり、あるいは融液から結晶が離れてしまい結晶の育成が中断してしまう等の不具合が生じる。また、先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶を用いて絞り部を形成することなく単結晶を育成する方法においては、温度が安定しないことにより種結晶の溶かし込み部周辺で再結晶化が起こりこれが原因となって種結晶にスリップ転位が導入され無転位で結晶を引上げることができなくなる等の問題が出る。
特に、200mmを超える大直径高重量結晶の生産にあたっては、直径が50cm以上の大口径石英ルツボを用いて単結晶を引上げるのが一般的であり、ルツボ周囲に配置されたヒータと種結晶を原料融液に着液させた時の着液部の距離は広がる一方で、ルツボに収容された融液温度の変動は益々大きくなる傾向にあった。その為、このような大口径ルツボを用いた単結晶の生産では、絞り部を形成して単結晶を育成する場合、または種結晶先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶を融液に溶かし込む際の融液温度の安定が必要であり、本発明の方法を用いることによって絞り部形成時あるいは種結晶先端部の溶かし込み時に結晶周辺の温度安定を図ることが容易に可能となったものである。
一方、シリコン単結晶育成の熱履歴に起因して発生する、いわゆるグローンイン欠陥が低減されたあるいは完全に排除されたシリコン単結晶の育成においては、熱履歴改善のために上部炉内構造物とシリコン融液面との間隔を比較的広めにする必要がある。通常、上部炉内構造物とシリコン融液面との距離は10mmから30mm程度であるが、低欠陥あるいは無欠陥結晶を育成する時にはこの距離が50mmから150mm程度に広げられる。しかしながら、このようにしてシリコン単結晶を育成する場合には、前記した絞り部の形成の成功率や種結晶溶かし込みの成功率が低下する問題があった。本発明方法によれば、絞り部の形成の成功率や種結晶溶かし込みの成功率を向上させることができる他、単結晶定径部の育成時に上部炉内構造物とシリコン融液面間の距離を所望の広さとすることができるので、定径部が低欠陥あるいは無欠陥の単結晶を容易に得ることができる。定径部が低欠陥あるいは無欠陥の単結晶を育成する場合に、育成する単結晶の直径が大きくなるほどこの上部炉内構造物とシリコン融液面間の距離を広げる必要があり、この点においても本発明の有効性がある。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明方法を実施するための単結晶装置の一例を示す断面概略図である。
図2は、本発明方法を実施するための単結晶装置の他の例を示す断面概略図である。
図3は、実験例1における融液面と上部炉内構造物の距離と無転位化成功率との関係を示すグラフである。
図4は、実験例2における融液面と上部炉内構造物の距離と無転位化成功率との関係を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の実施の形態を添付図面を参照しながらCZ法によるシリコン単結晶の育成例をあげて説明するが、本発明はこれらにのみ限定されるものではない。例えば、本発明の単結晶の育成方法は、原料融液に磁場を印加しながら単結晶を育成するMCZ法を用いた単結晶製造でも当然利用することは可能である。
図1は、本発明方法を実施するための単結晶製造装置の一例を示す断面概略図である。図1において単結晶製造装置12は、育成炉本体14と上部育成炉21を有しており、育成炉本体14内部の中央にはルツボ支持軸15を軸として、内側を石英製で外側を黒鉛製で構成されたルツボCがルツボ支持軸15の下端に取り付けられたルツボ駆動機構16により回転動可能かつ上下動可能に配置されている。ルツボCにはシリコン単結晶を育成するための原料となる原料融液(シリコン融液)Mが収容されており、この原料融液Mの上方には育成された結晶を囲繞するように、円筒状ないしはその下端部が狭められた円錐状の上部炉内構造物17が設けられている。図1の例では、上部炉内構造物17として円筒状の不活性ガス整流筒を装備した単結晶製造装置を示したものである。
また、ルツボCの外側にはルツボCを取り囲むように黒鉛製の加熱ヒータ18が配置され、このヒータ18を発熱させることでルツボC内に仕込まれた多結晶シリコン原料を溶解し、得られたシリコン融液Mから単結晶Sを引上げるものである。更に、加熱ヒータ18と育成炉本体14の間には断熱材20が設けられ、育成炉壁の保護と炉内を保温する役目を果たしている。
上部育成炉21の上部には育成した単結晶Sを引上げる為のワイヤー23を巻き取るあるいは巻き出すためのワイヤー巻き取り機構25があり、結晶育成時にはルツボCと反対方向にワイヤー23を回転させながら静かに巻き取ることによって、種結晶28の下方に結晶の成長を図る。ワイヤー23の先端には種結晶28を保持する為の種ホルダー26が取り付けられ、種結晶28はこの種ホルダー26によってワイヤー23と係合されている。
そして、単結晶Sを育成するにあたっては育成炉本体14内をAr(アルゴン)等の不活性ガスで満たし炉内の圧力を所望の値に調整して育成作業を行うため、育成炉外には不活性ガスの流量と炉内圧力を調整するガス量制御装置30とコンダクタンスバルブ32が装備されており、これによって育成炉内の不活性ガス圧力と流量を育成条件に合わせ適宜調整可能としている。
この単結晶製造装置を用いてシリコン単結晶Sを育成するには、まず多結晶シリコン原料を育成炉本体14内のルツボCに充填し炉内を不活性ガスで満たした後に、炉内に流す不活性ガスの量と圧力を調整しながらヒータ18を加熱して多結晶シリコン原料を融解する。多結晶シリコン原料が完全に融解したら、原料融液Mを満たしたルツボCを上下動させ種結晶28を融液に着液させるのに適した位置、即ち上部炉内構造物17と原料融液面M1の距離(隙間又は間隔)dが絞り部S1を形成して単結晶Sを育成する方法では絞り部S1の形成に適した間隔に、種結晶先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶28を用いて絞り部S1を形成せず単結晶Sを育成する方法では、種結晶28を溶かし込むのに適切となるような位置にルツボを移動させ、上部炉内構造物17による保温効果が十分得られるようにする。その為には、上部炉内構造物17と融液面M1の距離dを5〜100mm、好ましくは5〜50mm、より好ましくは10〜25mmとなるようにルツボ位置の位置決めを行えばよい。なお、図1において、S1は絞り部又は尖った種結晶の先端部、S2は単結晶の拡径部、S3は単結晶の定径部である。
また、図1の例では、ルツボ駆動機構16によりルツボC高さを調整し上部炉内構造物17と融液面M1位置との間隔dが所望の値となるよう調整したが、その他の手段によって上記間隔dを調整することも可能であり、図2を用いて説明する。図2は本発明方法を実施するための単結晶製造装置の他の例を示す断面概略図である。図2において、図1と同一または類似部材は同一の符号を用いて示されている。
図2において、34は上部炉内構造物17を上下動させるための上部炉内構造物昇降機構で、該上部炉内構造物17に接続された構造物昇降ワイヤー36及び構造物昇降ワイヤー36を巻き取るためのワイヤー巻き取りドラム38を有している。この上部炉内構造物昇降機構34を操作することによって上部炉内構造物17を自在に上下動することができ、したがって、上部炉内構造物17と融液面M1位置との距離dを自在に調整して所望の最適値に設定することができる。
どのような方法によって上部炉内構造物17と融液面M1位置の距離dを所望の値に保つかは、単結晶育成に使用する装置の構造や育成条件に合わせて種々選択されるべきものである。
距離dが所望の値に設定されたら、原料融液Mの温度を種結晶28を着液させるのに適した温度まで降温し、融液温度が十分に低下安定したらワイヤー23を巻き出して種結晶28を融液表面M1近くまで降下させて種結晶28を加温する。この操作は、種結晶28を加温することにより種結晶28を融液Mに着液した際に融液Mとの温度差によりもたらされる種結晶28への熱衝撃を小さくし、熱衝撃によって種結晶28に生じるスリップ転位を抑制するために行う作業である。
種結晶28の温度が融液温度近くまで上昇したら、再度種結晶28を下降させ種結晶28先端部を融液Mに静かに着液させる。
その後、絞り部S1を形成して単結晶Sを育成する方法では、次の▲1▼〜▲6▼の操作が行われる。
▲1▼種結晶28を回転させながらワイヤー23を静かに巻き取ることによって種結晶28の下方に単結晶Sを育成させる。
▲2▼この時、種結晶28を融液Mに着液した際に融液Mとの温度差によりもたらされたスリップ転位を結晶から除去するために、種結晶28の径を5mm以下程度まで充分に細くして長さが5〜20cm程度の絞り部S1を形成する。
▲3▼絞り部S1を形成することにより結晶からスリップ転位が除去されたら、結晶の引上げ速度および/または融液温度を所望の値に操作して単結晶拡径部S2の形成に移る。
▲4▼拡径部S2を形成する工程では、育成する単結晶Sの直径を徐々に拡大するとともに、融液Mと上部炉内構造物17の位置関係を単結晶定径部S3の形成に適した位置とするため、単結晶Sの成長に合わせて静かにルツボCを所定位置まで降下させて行く。
なお、図2に示した上部炉内構造物17を上下動させるための昇降機構34を備えた装置であれば、ルツボCを下降させるのに替えて上部炉内構造物17を昇降機構34により上方に移動させればよい。
▲5▼拡径部S2の径が必要とする定径部S3の径と同じになったら単結晶の拡径を終了し、再び融液温度および/または引上げ速度を所望の値に調整して、単結晶定径部S3の育成工程に移行する。
この時、拡径部S2の形成が終了する少し前にルツボCあるいは上部炉内構造物昇降機構34がある装置では上部炉内構造物17の移動を完了させ、単結晶Sの育成が定径部S3形成工程に移行する前に、単結晶Sの定径部S3形成に適した位置にルツボCあるいは上部炉内構造物17が配置されるようにそれぞれの移動を行うのが望ましい。
▲6▼定径部S3が所定の長さに達したら、結晶の直径を徐々に縮径して結晶を原料融液Mから切り離す。その後、単結晶Sが上部育成炉21で常温近くまで放冷したら製造装置から結晶を取り出して育成を終了する。
一方、種結晶28先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状の種結晶28を用いて絞り部を形成せず単結晶Sを育成する方法では、次の(1)〜(5)の操作が行われる。
(1)種結晶28先端が融液Mに着液した後も、種結晶28先端の融液Mと接している部分の径が所望の値になるまで種結晶28の原料融液Mへの溶かし込みを継続する。
(2)種結晶28の先端が所望位置まで沈み込んだら種結晶28の降下を止め溶かし込みを終了し、引上げ速度および/または融液温度を調整してワイヤー23を巻き取り拡径部S2の形成工程に移る。
(3)拡径部S2の形成工程では、育成する単結晶Sの直径を徐々に拡大すると同時に融液Mと上部炉内構造物17の位置関係を単結晶定径部S2の形成に適した位置とするため、単結晶Sの拡径に合わせて静かにルツボCを所定位置まで降下させる。
なお、図2に示した上部炉内構造物17を上下動させるための昇降機構34を備えた装置では、ルツボCを下降させるのに替えて上部炉内構造物17を昇降機構34により上方に移動させればよい。
(4)拡径部S2の径が所望の直径になったら単結晶径の拡径を終了し、再び融液温度および/または引上げ速度を調整して単結晶定径部S3の育成工程に移行する。
この時、拡径部S2の形成が終了する少し前にルツボCあるいは上部炉内構造物昇降機構34がある装置では上部炉内構造物17の移動を終了し、単結晶Sの育成が定径部S3の形成工程に移行する前に単結晶Sの定径部S3の形成に適した位置にルツボCあるいは上部炉内構造物17が配置されるよう、それぞれの移動を行うのが望ましい。
(5)定径部S3が所定の長さに達したら、結晶の直径を徐々に縮径して結晶を原料融液Mから切り離す。その後、上部育成炉21で単結晶Sを常温近くまで放冷したら製造装置から結晶を取り出して育成を終了する。
上述したように、絞り部S1を形成して単結晶Sを育成する方法あるいは絞り部を形成せず単結晶Sを育成する方法のいずれを採用した場合でも、単結晶育成時には上部炉内構造物17とシリコン融液面M1との距離又は間隔dを所望の値とすることができる。したがって、この上部炉内構造物17とシリコン融液面M1との距離又は間隔dを50mmから150mm程度に広げて単結晶定径部S3の育成を行うことによって定径部Sが低欠陥あるいは無欠陥の単結晶を容易に得ることができる。
実施例
以下、実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
(実験例1:絞り部を形成して単結晶を引上げる場合)
図1と同様の装置を用いて、本発明の方法を実施した。まず、単結晶製造装置に口径が70cmの石英製ルツボを入れ、その中に多結晶シリコン原料200kgを充填し単結晶育成炉内を不活性ガスであるArガスで満たした後に、装置内のヒータを加熱して多結晶シリコン原料を融解しシリコン融液とした。
多結晶シリコン原料が完全に溶融したのを確認しルツボを上昇させ、融液表面と上部炉内構造物(本実施例ではガス整流筒)との距離(隙間)が所望の値となるように調整し原料融液を種結晶の浸漬に適した温度まで下げ、融液温度が安定したところで種結晶を融液表面直近まで降下させて種結晶の加温を行った。種結晶の温度が融液温度と略同じくなったとことで種結晶を融液に浸漬し、その後、最小径が5mm、絞り部長さが150mmの絞り部の形成を行い、絞り部形成の後は直径を30mmまで拡径して一定の定径部を有するシリコン単結晶を得た。また、ルツボは拡径工程中に静かに移動し、単結晶の定径部育成時には融液と上部炉内構造物の間が適切な位置となるように再配置して定径部形成を行った。
この結果を図3に示す。絞り部形成時の融液と上部炉内構造物の距離を横軸に取り、縦軸には結晶を定径部5cmまで引上げた時に無転位であったものの比率を無転位化成功率として百分率で示したものである。なお、試験は融液と上部炉内構造物の距離(隙間)を5mm〜150mmの間で12水準を取り結晶製造を繰り返した結果を集計したものである。
この実験結果から、原料融液と上部炉内構造物の距離(隙間)が10mm以下では略90%以上の無転位化成功率であったが、その距離(隙間)が100mmを超えると急激に成功率が低下して行くことがわかった。また、原料融液と上部炉内構造物の距離(隙間)が25mm以下では殆ど失敗することなく単結晶を得ることができており、炉内構造物を融液に近づけて絞り分を形成した時の効果は上記距離(隙間)が小さいほど高いく、原料融液面に上部炉内構造物を25mm以下まで近づけて単結晶育成を行うのが好ましいことを確認した。
(実験例2:特殊な種結晶を用いて絞り部を形成しないで単結晶育成を行う場合)
実験例1と同様の条件により単結晶の製造を行った。まず、図1に示すような単結晶製造装置に口径が70cmの石英製ルツボを入れ、その中に多結晶シリコン原料200kgを充填し単結晶育成炉内を不活性ガスであるArガスで満たした後に、装置内のヒータを加熱して多結晶シリコン原料を融解しシリコン融液とした。
多結晶シリコン原料が完全に溶融したのを確認しルツボを上昇させ、融液表面と上部炉内構造物(本実施例ではガス整流筒)との距離(隙間)が所望の値となるように調整し原料融液を種結晶の溶かし込みを行うのに適した温度まで下げ、融液温度が安定したところで先端の角度が20°の先の尖った略円錐状の種結晶を融液表面直近まで降下させて種結晶の加温を行った。種結晶先端部の温度が融液温度と略同じになったとことで種結晶を静かに融液に接融し、その後、最小径が5mm、となるまで種結晶先端を溶かし込んだ。種結晶先端の溶かし込みが終了した後は結晶径を拡大しながら種結晶を引上げ、結晶直径が300mmとなったところで定径部形成工程に移行し所望のシリコン単結晶を得た。また、ルツボの移動は拡径工程中に静かに行い、単結晶の定径部育成時には融液と上部炉内構造物の距離(隙間)が適切な位置となるように再配置し定径部を形成した。
この結果を図4に示す。種結晶の溶かし込みを行った時の融液と上部炉内構造物の距離を横軸に取り、縦軸には結晶を定径部5cmまで引上げた時に結晶に転位が発生していなかったものの比率を無転位化成功率として百分率で示したものである。なお、実験は融液と上部炉内構造物の距離(隙間)を5mm〜150mmの間で12水準を取り結晶製造を繰り返した結果をまとめたものである。
この実験により、原料融液と上部炉内構造物の距離(隙間)が100mm以下では種結晶を無転位で溶かし込むことは難しく、無転位化成功率が50%以下となり単結晶の量産には適さなくなることがわかった。しかし、その一方で原料融液と上部炉内構造物の距離(隙間)が50mm以下であれば80%以上という高い確率で無転位で種結晶の溶かし込みを行うことが可能であり、25mm以下まで近づければ殆ど失敗することなく種結晶先端を溶かし込むのが成功できることを確かめることができた。
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。上記の実施の形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様の効果を奏するものはいかなるものであっても、本発明の技術的範囲に包含されることは勿論である。
例えば、本発明のシリコン単結晶の製造方法を原料融液に磁場を印加しないで単結晶を育成するCZ法を例に挙げて説明したが、原料融液に磁場を印加しながら単結晶棒を成長させるMCZ法を用いた単結晶製造においても同様の効果が得られることは言うまでもない。
産業上の利用可能性
以上述べたごとく、CZ法を用いたシリコン単結晶の育成において本発明の製造方法を用いれば、種結晶を原料融液に浸漬し絞り部を形成した後にシリコン単結晶を育成する方法では、種結晶が原料融液に接融したさいにもたらされるスリップ転位を絞り部形成工程で高い確率で消滅させることが可能となる。また、絞り部形成工程での原料融液の温度変動が小さくなることで、単結晶絞り部の形状が安定し容易に所望径を有する絞り部を形成することができる。
また、先端の尖ったあるいは尖った部分を切り取った形状の種結晶を用いて絞り部を形成することなく単結晶を育成する方法においては、種結晶先端を原料融液に溶かし込む際に、融液温度を所望の温度に安定させて溶かし込みを行うことができるので、種結晶を有転位化させることなく所望の径まで溶かし込むことが可能となる。
これによって高重量大直径の結晶でも安定した引上げを行うことができるようになるとともに、絞り部の形成あるいは種結晶の溶かし込みの成功率が向上することにより結晶の生産性をより高いものとすることができる。また、絞り部の形成あるいは種結晶の溶かし込みの際の失敗も大幅に減らせるので、作業者への負担も軽減することが可能である。特に、本発明方法は口径が50cmを超えるような大型のルツボを使用する際に、その効果を十分発揮するものである。
さらに、本発明方法によれば、単結晶定径部の育成時に上部炉内構造物とシリコン融液間の距離を所望の広さとすることができるので、定径部が低欠陥あるいは無欠陥の単結晶を容易に得ることができるという著大な効果が達成される。

Claims (6)

  1. 単結晶製造装置炉に育成した単結晶を囲繞するように配置した円筒あるいは円錐状の上部炉内構造物を有する単結晶製造装置を用いて、製造装置炉内のルツボに収容されたシリコン融液に種結晶を浸漬した後に種結晶を引上げながら絞り部を形成し、その後径を拡大して単結晶を育成するチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法において、少なくとも該種結晶を融液に着液させてから絞り部の形成が終了するまでの間は、上部炉内構造物の下端とシリコン融液面間の距離が5mm以上100mm以下となる位置に上部炉内構造物あるいは原料融液を収容したルツボを配置し、絞り部の形成が終了した以降に上部炉内構造物とシリコン融液面間の距離を徐々に広げ、単結晶定径部を形成するのに適した位置に上部炉内構造物あるいはルツボを移動させて単結晶を育成することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 請求項1に記載したシリコン単結晶の製造方法において、前記上部炉内構造物とシリコン融液面との隙間を広げる操作は、絞り部の形成が終了した後の単結晶直径を拡大する拡径部を形成している間に行われることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  3. 単結晶製造装置炉に育成した単結晶を囲繞するように配置した円筒あるいは円錐状の上部炉内構造物を有する単結晶製造装置を用いて、製造装置炉内のルツボに収容されたシリコン融液に先端部の尖ったあるいは尖った先端を切り取った形状を有する種結晶を用いて種結晶の先端部を所望の径となるまで浸漬した後に、絞り部を形成することなく径を拡大して単結晶を育成するチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法において、少なくとも該種結晶を融液に着液させてから該種結晶先端の融液と接している部分の径が所望の径となるまで浸漬を行っている間は、上部炉内構造物の下端とシリコン融液面間の距離を5mm以上100mm以下となるように上部炉内構造物あるいは原料融液を収容したルツボを配置し、種結晶の浸漬が完了した以降に上部炉内構造物とシリコン融液面間の距離を徐々に広げ、単結晶定径部を形成するのに適した位置に上部炉内構造物あるいはルツボを移動させて単結晶を育成することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  4. 請求項3に記載したシリコン単結晶の製造方法において、前記上部炉内構造物とシリコン融液面との隙間を広げる操作は、前記種結晶を所望の径まで浸漬した後以降の単結晶直径を拡大する拡径部を形成している間に行われることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載したシリコン単結晶の製造方法であって、前記上部炉内構造物とシリコン融液面との隙間を広げる操作は、シリコン融液を収容したルツボを降下させることによって行うことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載したシリコン単結晶の製造方法であって、前記上部炉内構造物とシリコン融液面との隙間を広げる操作は、シリコン融液直上に配置された上部炉内構造物を上昇させることによって行うことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
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