JP3689182B2 - 固化性塑造材製構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、道路,橋梁等の土木構造物および建築構造物における、合理的なコンクリート等の固化性塑造材の補強用筋材を有する固化性塑造材製構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリート床版、壁体等の構造体は、鉄筋等の筋材を所定間隔で碁盤の目状に縦,横に、かつ平面状に配筋した構造とされている。このように、コンクリート床版や壁体等に使用される筋材は、直線材であるため筋材の運搬,筋材の配置等の作業性の面からその長さが制限され、短い筋材を現場で継なぎ合わせて使用しなければならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、図18に示されるように従来のコンクリート床版7では、筋材6を所定間隔で碁盤の目状に縦,横に交叉させ、かつ平面状に配置した構造となされている。このようなコンクリート床版7の構造は、当該コンクリート床版7上を走行する例えば自動車の車輪圧等の集中荷重圧Pにより平面的な広がりをもってあらゆる方向に断面力が発生する。これに対して前記従来の技術では、前記の碁盤の目状に縦,横に平面状に配置した筋材6により集中荷重圧の発生力に対して2方向の補強を行っているのみであり、均等な面的補強がなされていない。
【0004】
また、このような単なる碁盤の目状配置の筋材6による二方向の補強は、コンクリート29に対する周辺からの拘束力が小さいため、コンクリート床版7はせん断耐力や疲労耐力が小さい。また、コンクリート29の硬化時の収縮や乾燥による収縮によって発生する収縮力に対する補強抵抗が小さいことから、特に道路,橋梁用ではコンクリート床版7に亀裂8が発生し問題となっている。
【0005】
壁体構造においても同様で、設計においては2方向からの荷重を想定して、筋材を碁盤目状に配置して2方向からの補強を行っているのみであるが、特に地下構造などの壁体には、実際には平面的な広がりをもってあらゆる方向から荷重が作用すると考えられる。しかしながら均等な面補強はなされていない。
【0006】
また、このような単なる碁盤目状配置の筋材による2方向の補強は、コンクリートに対する周辺からの拘束力が小さいためコンクリート壁は剪断耐力の疲労耐力が小さい。
【0007】
さらに、従来では、筋材6として直線材を用いるため運搬,筋材の配置等の作業性の限界から筋材の長さが制限され、短尺の筋材6を使用しなければならず、そのため筋材6同士の連結部15が多くなり、この連結部分が構造上の欠陥となりやすい。
【0008】
また、短い筋材6を碁盤の目状に平面状に配置する配筋作業には、多くの人手と、厳しい労働を必要としている。
【0009】
本発明は前記従来の問題点を解決したコンクリート床版,壁体等の固化性塑造材製構造体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明では、環状の筋材2を所定間隔でオーバラップさせて平面状に配置し、これらをコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12中に埋設する。前記環状の筋材2は、鉄筋又は繊維強化樹脂で構成するとよい。そして、図9に示されるようにオーバラップして複数段に平面状に配置される円形閉合された環状の筋材2または上下方向または左右方向に隣り合う円形閉合された筋材2の前記オーバラップにより形成される閉空間17にせん断補強部材5を介在させる。
また本発明では、環状の筋材2を所定間隔でオーバラップさせて配置し、前記環状の筋材2によって形成される閉空間16と、前記オーバラップによって形成される閉空間17にコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aを充填することにより、床版,壁体等の固化性塑造材製構造体1を均等に補強すると同時に、充填されるコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aを拘束するものである。
【0011】
一般に筋材により拘束を受けるコンクリート等の固化性塑造材の強度は、拘束を受けない場合に比べて高い強度を発揮することが知られており、この特性の利用方法としては、従来例として図19に示される鉄筋コンクリート製の柱9や、梁(図示せず)において使用されている主筋11間を連結する帯筋10があり、柱9や梁では、帯筋10内のコンクリート29の強度が高くなると同時に、この柱9や梁に破壊荷重が作用しても、当該柱9や梁が急激に破壊することがなく徐々に破壊する靱性を与えることができる。
【0012】
しかし、前記の柱9と異なって図18に示すコンクリート床版7や壁体では、面的な構造物であるため、そこには帯筋10のごときものは存在せず、したがって、従来は筋材を碁盤の目状に配置する方法が採用されているが、この従来の方法では、帯筋10と同様な役割を果たすべき筋材が配置されていないことから高強度化ができていない。
【0013】
そこで、本発明では、図1に示されるとおり円形に閉合された鉄筋又は、繊維強化樹脂からなる筋材2を、所定間隔でその一部がオーバラップするようにして配置することにより、コンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aを拘束して強度を向上するとともに、破壊時に靱性を向上させることが可能となったものである。
【0014】
前記円形閉合された筋材2同士は図7に示されるとおり、互いに嵌合してチェーン状に連鎖形成してもよい。
【0015】
さらに本発明では、図14に示すように鉄筋からなる環状の筋材2aと、繊維強化樹脂からなる環状の筋材2bを配設領域を分けて、それぞれ所定間隔でオーバラップさせて配置し、これらをコンクリートの固化性塑造材12中に埋設して壁体30を構成し、この壁体30をシールド用掘進機の発進又は到達用立坑を構成する壁体とし、前記繊維強化樹脂からなる環状の筋材2aで補強される壁体部分を、前記掘進機で切削される被切削壁体部分として構成することができる。
【0016】
【作用】
本発明によると、環状の筋材2により形成される閉空間16と、複数段に平面状に配置される筋材2のオーバラップにより形成される閉空間17にもそれぞれコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aが充填されることで、各閉空間16,17に充填されたコンクリート等の固化性塑造材12,12aが筋材2により拘束され、かつ前記環状の筋材2同士の連結が堅固となり、簡単な配筋作業になると共に、コンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12の打設作業により、各閉空間16,17にもコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aを充填して、非常に強固な固化性塑造材製構造体が構成される。
【0017】
本発明では、環状の筋材2として通常は金属、たとえば鉄、鋼、棒鋼、線材或いはその他の金属材料が使用されるが、前述のようにこれに限らず筋材2bを、繊維強化樹脂(FRP:Fiber Reinforced Plastics)によって構成してもよく、このFRP筋材で補強された構造体は切削が容易であるので、一旦構築した後、再度切削や掘削することが想定される床版,壁体などの構造体に使用するとき、その切削や掘削作業性が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
まず、本発明の実施の形態に対する比較例として示す図11には、鉄筋を円形に加工形成すると共に、鉄筋材の端部相互を溶接により固着して、円形閉合した筋材2を構成し、前記円形閉合された筋材2の中心が縦,横碁盤の目状に連なるように平面状に並べられ、かつ互いに隣接した状態が示されている。このような筋材2の平面状の配列のもとでコンクリート等の固化性塑造材を打設するとき、円形閉合の筋材2内にコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12が充填される一方で、何れの円形閉合した筋材2にも拘束されていないコンクリート等の固化性塑造材13が生じてしまう。
【0019】
そこで、本発明の第1の参考形態では、図11に示されるような多数の円形閉合された筋材2の中心が平面から見て碁盤の目状配列を変更し、図1および図2に示すように当該筋材2が縦(前後方向),横(左右方向)方向に一部重合するように複数段平面状に配列したうえ、コンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aを打設してコンクリートまたはモルタルからなる床版,壁体等の固化性塑造材製構造体1を構成した例が示されている。前記筋材2は、本発明では例えば鉄筋又は、繊維強化樹脂のいずれかで構成される。なお、環状の筋材2を、繊維強化樹脂で構成するには、図15、図16を参照して後述するように、繊維を螺旋状に巻回して1回又は数回トラバースして筒状とし、この筒状の繊維に樹脂を含浸,埋設して筒状体を構成し、この筒状体を長手方向に所定幅で切断することで構成できる。
そして、図9には、図8に示すせん断補強部材5を用いて補強を行った例が示されてい る。この第1の実施の形態では、二つの円形閉合された筋材2のオーバラップした部分に囲まれた閉空間17のコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12aの中に、断面L字状の鋼材からなるせん断補強部材5を隣り合う筋材2の対向する交差部にわたって配置することで、このせん断補強部材5によりオーバラップした二つの円形閉合された筋材2同士が連鎖状に結合され、コンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体1の強度(せん断耐力)を飛躍的に向上させることが可能となる。
せん断補強部材5の形状は、図8に示されるような断面L字型をした山形鋼等の鋼材に特定されず、せん断補強を目的として配置される鋼材の形状は、コ字型,I字型等の断面形状の鋼材を用いても何ら不具合は生じない。要するに、互いにオーバラップして多段状に平面状に配置される円形閉合された筋材2の閉空間17にせん断補強部材5が介在することにより、このせん断補強部材5に係止されて隣合う円形閉合された筋材2同士が離間しない構造であればよい。
【0020】
本発明の第1の実施の形態では、打設されるコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材は、円形閉合された前記筋材2内の閉空間16と、上下に隣り合う円形閉合された筋材2同士のオーバラップにより形成された部分の閉空間17にも充填するように打設されるので、結果として、コンクリートまたはモルタルからなる床版や壁体などの固化性塑造材製構造体1を構成すべく打設されるすべてのコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aが円形閉合された筋材2で拘束され、したがって、比較例として図11に示されるようないずれの円形閉合された筋材2にも拘束されないコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材13の存在をなくすることができる。
【0021】
この場合、例えば図2に示すように多数の円形閉合された筋材2を、その隣り合う筋材2が同一平面上において接触するようにして、第1筋材層20を構成し、その第1筋材層20の上面に前後方向にのみ筋材2の半径分(半ピッチ分)ずらした状態で、第1筋材層20と同様な構成の第2筋材層21を形成して、複数の筋材層からなる複合筋材層27を構成する方法がある。コンクリート床版,壁体等の固化性塑造材製構造体1を構築する場合の一例として、例えば、図2に示すように、所定厚の下部コンクリート層25を型枠内に打設形成した後、下部コンクリート層25の固化前で、かつ下部コンクリート層25が各筋材層20,21を支持できる所定の強度に達する適当時間後に、各筋材層20,21を設置した後、各閉空間16,17にも充填すると共に各筋材層20,21を埋込むように、上部コンクリート層26を打設する。そしてこのような工程を繰り返して、図3に示すように、固化性塑造材製構造体1の内部に、各筋材層20,21からなる複合筋材層27を埋込み形成したコンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体1を築造する。
【0022】
発明の第1の実施の形態に係るコンクリート製床版,壁体等の塑造材製構造体1では円形閉合された筋材2により、コンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体1が全ての方向について一様に補強された構造であり、従来のコンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体に比べ強度が高く、ひび割れ発生を防止できるコンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体を供給することが可能である。
【0023】
また、円形閉合された筋材2を異形鉄筋により構成すれば、筋材2とコンクリート等の塑造材料との付着性能が一段と向上し、さらに強度が高く、ひび割れの発生を防止できるコンクリート等の塑造材製床版が提供される。筋材2を繊維強化樹脂で構成する場合においても、その形状を異形断面形状とすることにより、前記異形鉄筋の場合と同じ作用効果が得られる。
【0024】
図1に示す本発明の第1の参考形態に係るコンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体1よりもさらに高強度化するために、発明の第2の参考形態として図4に示すように、円形閉合された筋材2をその中心を半径分だけ縦(前後方向)または横(左右方向)にずらしながら複数段平面状に配列することにより、強固なコンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体を築造することが可能となる。
【0025】
この場合、例えば図5に示すように多数の円形閉合された筋材2を、その隣り合う筋材2が同一平面上において接触するようにして、第1筋材層20を構成し、その第1筋材層20の上面に左右方向にのみ筋材2の半径分(半ピッチ分)をずらした状態で、第1筋材層20と同様な構成の第2筋材層21を形成し、その第2筋材層21の上面に、前後方向にのみ半ピッチ分ずらした状態で、第3筋材層22を形成し、次いで前後方向および左右方向の両方向に半ピッチ分ずらした状態で第4筋材層23を形成して、複数の筋材層からなる複合筋材層27を構成する方法がある。
【0026】
なお、各筋材層20〜23を形成する場合、隣り合う円形閉合された筋材2相互を番線または連結金具等により予め連結して構成しておくとよい。
【0027】
また各筋材層20〜23のずれ防止の為に、上下に隣り合う各筋材層20〜23を番線等により結合しておいてもよい。
【0028】
図5には、前記発明の第2の参考形態として、所定厚に打設された下部コンクリート層が所定強度に達した後で固化前に、円形閉合された筋材2により構成された第1ないし第4筋材層を順次重ねるように配設した状態が縦断側面図で示されている。
【0029】
図6には前記発明の第3の参考形態として示される固化性塑造材製構造体1の内部に複合筋材層27が2段埋込み成形された構造体1が断面図で示されおり、先の実施の形態と同一要素に同一符号を付して説明する。
【0030】
図1,図2に示される円形閉合された筋材2を用いたコンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体1の補強構造では、補強する各筋材2の量が多量の場合には、床版等の構造体の破壊は、円形閉合された筋材2に囲まれたコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aのせん断破壊耐力によって決まる。
【0031】
前述のようなコンクリート12,12aの剪断破壊によるコンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体1の耐破壊力を更に向上させるには、各筋材2同士を筋材の交差重合部相互の接触部において溶接又は、番線により結合することが望ましい。円形閉合された筋材2の場合には特に好ましい。
【0032】
図7には、円形閉合された筋材2における、隣り合う筋材2を連結してチェーン状に連続した筋材4が示されている。このようなチェーン状に連続した筋材4を用いて、図1に示されるような平面状に配列の構成にしてコンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体1の補強構造とすることにより、二つの円形閉合された筋材2に囲まれたコンクリートまたは、モルタルからなる固化性塑造材12,12aがせん断破壊した場合であっても、筋材2同士が連続しているため、コンクリート床版,壁体等の塑造材製構造体1の急激な破壊を防止することが可能である。
【0033】
本発明を実施する場合、構造体が床版等である場合は、図10に示すように、複数の環状の筋材2からなる筋材層20単体を傾斜させると共にオーバーラップさせて、ほぼ平面状に配置してもよい。
【0034】
さらに、オーバラップして平面状に配置される円形閉合された筋材2を連結する手段として、図9に示す発明の第1の実施の形態、図7に示す発明の第4の参考形態のほかに、番線または略Ω形状のクリップ金具(図示せず)を用いて隣合う筋材2同士を連結してもよい。
【0035】
12,図13には、本発明の第5の参考形態として鉄筋又は、繊維強化樹脂からなる環状の筋材2で補強された固化性塑造材製構造体の他の具体例として壁体30が示されている。この壁体30を現場施工で構築するには、図示省略する型枠内,掘削溝内等において任意の保持手段で、前記環状の筋材2を複数垂直面でオーバラップさせた状態に保持しておき、環状の筋材2が埋設されるように型枠内,掘削溝内などにおいて、コンクリート等固化性塑造材12を打設して構築する。
【0036】
前記環状筋材2の保持手段の具体例としては、例えば各筋材2同士を連結する。この場合、筋材2が鉄筋であるときは、各筋材2同士を溶接又は結束のいずれかで連結できる。筋材2が繊維強化樹脂からなる場合は、各筋材2同士を結束する。鉄筋の筋材2の結束にはなまし鉄線を使うのがよい。また繊維強化樹脂の環状筋材2同士の結束には、樹脂、繊維強化樹脂などの非金属系材料からなる紐、帯、線などを結束材料として用いることができる。更に、繊維強化樹脂製の環状筋材2の場合は、鉄筋等の結束に通常使われるなまし鉄線程度のものを使用することもできる。
【0037】
このようにして連結した任意数の環状筋材2を、その最上部で吊下げ支持し、型枠内や掘削溝内に建込んでゆき、つづいて前述のとおりコンクリート等固化性塑造材12を打設するとよい。
【0038】
また、図12、図13において、垂直配置の環状筋材2が繊維強化樹脂からなり、これらが横方向に複数層重層配置するときは、必要に応じて各図に示すように繊維強化樹脂からなる補強筋32を用いて横方向に位置する筋材2同士を連結し、相互間に間隔が適正に保持されるように構成するのがよい。
【0039】
図14には、本発明の第2の実施の形態として、鉄筋からなる環状の筋材2aと、繊維強化樹脂からなる筋材2bを組合わせて、これらで補強された固化性塑造材製構造体の具体例としての壁体30が断面で示されている。特にこの第2の実施の形態では、鉄筋からなる環状の筋材2aと、繊維強化樹脂からなる環状の筋材2bの配設領域を分けて、それぞれ所定間隔でオーバラップさせて配置し、これらをコンクリートの固化性塑造材12中に埋設して壁体30を構成している。
【0040】
したがって、例えば前記の壁体30をシールド用掘進機の発進又は到達用立坑を構成する壁体とし、前記炭素繊維を主とした繊維強化樹脂からなる環状の筋材2aで構成される部分を前記掘進機で切削される被切削壁体部分として構成することができる。
【0041】
繊維強化樹脂としては、炭素繊維,ガラス繊維,アラミド繊維等によって強化した樹脂を使用することができる。図15,図16には、繊維強化樹脂(FRP)の一例として、強化繊維に炭素繊維を用いた炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbn Fiber Reinforced Plastics) からなる環状の筋材2bが示されている。このCFRPの筋材2bを製作するには、先ず長尺の炭素繊維33の連続繊維を螺旋状に巻き、そしてこれを1回ないし複数回トラバースしながら筒状とし、炭素繊維33に樹脂を含浸させ、または樹脂を含浸させた上で、さらに繊維が埋設されるようにして長尺筒体を構成し、この長尺筒体を所定幅で輪切り状に切断することで容易に製作できる。このようにして構成された繊維強化樹脂の環状の筋材2bは、炭素繊維33の連続繊維が円周(軸)方向に存在するので、鉄筋に匹敵する高弾性率の環状筋材を得ることができ、かつ被切削性に優れている。なお、これらの繊維強化樹脂は上記のような単一の繊維で強化したものに限らず、炭素繊維とガラス繊維或いは、炭素繊維とアラミド繊維といったように複数の種類の繊維によって強化した樹脂を用いても良い。たとえば、円周(軸)方向を炭素繊維とし、軸方向以外の繊維配向や軸方向にあって繊維と樹脂との密着を良くするための機能を与えるために、ガラス繊維を補強繊維として用いることもできる。なお、強化繊維として炭素繊維或いはアラミド繊維を用いると、ガラス繊維のようにコンクリートのアルカリに侵されることもないので、長期間の耐久性を要する場合には好ましい。
【0042】
このように、繊維強化樹脂(FRP)は、弾性率の高いものが得やすい半面、小さな歪に対しても発生応力が高く、特に曲線形状のものは応力がその曲率半径に大きく依存する。例えば矩形の隅角部の曲げ半径の小さいものでは、隅角の曲げ加工部の応力が高くなりすぎて適用が効率的ではないが、環状の場合は材料の曲率半径を大きく取った状態で、環状の筋材を得ることができるため、強固の優れた筋材となる。また、このFRP筋材は軽量であるため施工作業が容易であるほか、被切削性が金属に比べてよいため、FRP筋材を用いて構築した床版或いは壁体などの構造体を再度切削、掘削さる際の作業性のにも優れている。
【0043】
また、このCFRP筋材は軽量であるため施工作業が容易であるほか、被切削性が金属に比べてよいため、前述のようにCFRP筋材を用いて構築した床版或いは壁体を再度切削、掘削する際の作業性にも優れている。
【0044】
なお、本発明の各実施の形態では、筋材2が円形閉合された例として真円形のものが示されているが、本発明はこのような形状に限定されず、無端状に閉合されていれば、楕円形等の非円形のリングであっても構わず、要するに、両端が閉じた環状の筋材であれば本発明の実施の形態における所期の効果を奏することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明のコンクリート固化性塑造材製構造体とその構築方法によると、環状の筋材2をオーバラップさせながら配置し、前記環状の筋材2によって形成される閉空間16及び、オーバラップにより形成される閉空間17にコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aを打設することにより、前記環状の筋材2によりコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aが拘束され、かつコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12,12aを介して各環状の筋材2同士が強固に結合されるので、従来のコンクリート等の塑造材製床版,壁体、その他の構造体の問題点であったコンクリートまたはモルタル等のひび割れの発生を防ぎ、かつ、簡易な配筋作業により高強度で経済的な固化性塑造材製構造体を供給することが可能となる。
【0046】
さらに、本発明によると、環状筋材を繊維強化樹脂で構成することにより、この環状筋材で補強された構造体は、強靱にしてなおかつ切削可能であり、特に、一旦構築した後、再度掘削することが想定される床版や、トンネル掘進用立坑におけるシールド掘進機の発進,到達部の壁体等の部分は、繊維強化樹脂からなる環状筋材を用い、その他の部分は金属製例えば鋼製の環状筋材を用いて構築しておくことにより、掘削する部分の掘削作業性が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の参考形態として、円形に閉合した筋材で補強されたコンクリート床版を示す説明図である。
【図2】 所定厚に打設された下部コンクリート層が所定強度に達した後で固化前に、円形閉合された筋材により構成された第1および第2筋材層を重ねるように配設した状態を示す縦断側面図である。
【図3】 本発明の第1の参考形態に係る固化性塑造材製構造体を示す側面図である。
【図4】 本発明の第2の参考形態として円形に閉合した筋材の他の平面配置例により補強された固化性塑造材製構造体を示す図である。
【図5】 所定厚に打設された下部コンクリート層が所定強度に達した後で固化前に、円形閉合された筋材により構成された第1ないし第4筋材層を順次重ねるように配設した状態を示す縦断側面図である。
【図6】 本発明の第3の参考形態として、固化性塑造材製構造体を示す側面図である。
【図】 円形閉合した筋材をチェーン状に連続した状態を示す図である。
【図】 せん断補強部材の斜視図である。
【図】 本発明の第1の実施の形態として、図1の閉合した筋材の平面配置に図のせん断補強部材を組合せた配置の固化性塑造材製構造体を示す説明図である。
【図10】 円形閉合された筋材または筋材層の他の配置方法を説明するための側面説明図である。
【図11】 比較例として示す円形に閉合した筋材の平面配置例の説明図である。
【図12】 本発明の第5の参考形態として、鉄筋又は繊維強化樹脂からなる環状の筋材で補強された固化性塑造材製構造体の他の具体例として壁体を示す図である。
【図13】 図12と直角方向の一部断面図である。
【図14】 本発明の第2の実施の形態として、鉄筋からなる環状の筋材と、繊維強化樹脂からなる筋材を組合わせて、これらで補強された固化性塑造材製構造体を示す断面説明図である。
【図15】 繊維強化樹脂からなる環状の筋材の正面図である。
【図16】 図15のA−A断面図である。
【図17】 従来の直線の筋材により補強されたコンクリート床版の説明図である。
【図18】 集中荷重によりコンクリート床版に発生するひび割れの状態を示す断面説明図である。
【図19】 複数の主筋に跨って円形に閉合して配置された帯筋の配設状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 固化性塑造材製構造体
2 環状の筋材
2a 鉄筋からなる筋材
2b 繊維強化樹脂からなる筋材
4 チェーン状に連続した筋材
5 せん断補強部材
6 筋材
7 コンクリート床版
9 柱
10 帯筋
12,12a コンクリートまたモルタルからなる固化性塑造材
16 閉空間
17 閉空間
20 第1筋材層
21 第2筋材層
22 第3筋材層
23 第4筋材層
24 コンクリート床版
25 下部コンクリート層
26 上部コンクリート層
27 複合筋材層
28 型枠
29 コンクリート
30 壁体
32 補強筋
33 連続炭素繊維

Claims (6)

  1. 環状の筋材2を所定間隔でオーバラップさせて配置し、これらをコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材12中に埋設した固化性塑造材製構造体であって、
    前記筋材2のオーバラップにより形成される閉空間17に、せん断補強材5を隣り合う筋材2の対向する交差部にわたって配置することを特徴とする固化性塑造材製構造体。
  2. 前記環状の筋材2は、鉄筋又は、繊維強化樹脂のいずれかで構成されることを特徴とする請求項1記載の固化性塑造材製構造体。

  3. 鉄筋からなる環状の筋材2aと、繊維強化樹脂からなる環状の筋材2bとを配設領域を分けて、それぞれ所定間隔でオーバラップさせて配置し、これらをコンクリートまたはモルタルからなる固化性塑造材14に埋設した固化性塑造材製構造体であって、
    前記構造体が、掘進機の発進又は到達用立坑を構成する壁体であり、この壁体において、前記掘進機による被切削用壁を補強する筋材が、前記繊維強化樹脂からなる環状の筋材2bで構成され、前記被切削用壁の周囲の壁を補強する筋材が前記鉄筋からなる環状の筋材2aから構成されることを特徴とする固化性塑造材製構造体。
  4. 環状の筋材2、2a、2bが円形閉合された筋材である請求項1〜3のいずれか1項に記載の固化性塑造材製構造体。
  5. 複数の前記環状の筋材2、2a、2bがチェーン状に連って構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の固化性塑造材製構造体。
  6. 前記固化性塑造材12によって構成される構造体は、床版又は壁体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の固化性塑造材製構造体。
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