JP3687066B2 - 記録可能な光ディスク装置の回転モータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、記録が可能な光ディスクを駆動する光ディスク装置(以下、記録可能な光ディスク装置という)に係り、特に記録可能な光ディスク装置の回転モータ制御装置における制御回路およびLSIに関する。
【0002】
【従来の技術】
大容量の情報を記録する装置として、光ディスクが使用されている。
ここで、光ディスクとドライブ構成について、概略を説明する。
一般的なCD−RとCD−Eディスクは、書き込みが可能な(記録可能な)CD(コンパクトディスク)である。
前者のCD−R(CDレコーダブル)は、1回だけ書き込みが可能なCDである(なお、CD−Write Onceともいわれている)。
また、後者のCD−E(CDイレーザブル)は、複数回の書き込みが可能なCDである(なお、CD−RW:CDリライタブルともいわれている)。
これらのCD−RやCD−Eディスク、すなわち、光ディスクは、次の図25のようなドライブによって情報の記録再生が行われる。
【0003】
図25は、光ディスクドライブについて、その要部構成の一例を示す機能ブロック図である。図において、1は光ディスク、2はスピンドルモータ、3は光ピックアップ、4はモータドライバ、5はリードアンプ、6はサーボ手段、7はCDデコーダ、8はATIPデコーダ、9はレーザコントローラ、10はCDエンコーダ、11はCD−ROMエンコーダ、12はバッファRAM、13はバッファマネージャ、14はCD−ROMデコーダ、15はATAPI/SCSIインターフェース、16はD/Aコンバータ、17はROM、18はCPU、19はRAMを示し、LBはレーザ光、Audioはオーディオ出力信号を示す。
【0004】
この図25において、矢印はデータが主に流れる方向を示しており、また、図を簡略化するために、図25の各ブロックを制御するCPU18には、太線のみを付けて各ブロックとの接続を省略している。
光ディスクドライブの構成と動作は、次のとおりである。
光ディスク1は、スピンドルモータ2によって回転駆動される。このスピンドルモータ2は、モータドライバ4とサーボ手段5により、線速度が一定になるように制御される。この線速度は、階段的に変更することが可能である。
【0005】
光ピックアップ3は、図示されない半導体レーザ、光学系、フォーカスアクチュエータ、トラックアクチュエータ、受光素子およびポジションセンサを内蔵しており、レーザ光LBを光ディスク1に照射する。
また、この光ピックアップ3は、シークモータによってスレッジ方向への移動が可能である。
これらのフォーカスアクチュエータ、トラックアクチュエータ、シークモータは、受光素子とポジションセンサから得られる信号に基いて、モータドライバ4とサーボ手段5により、レーザ光LBのスポットが光ディスク1上の目的の場所に位置するように制御される。
【0006】
そして、リード時には、光ピックアップ3によって得られた再生信号が、リードアンプ5で増幅されて2値化された後、CDデコーダ7に入力される。
入力された2値化データは、このCDデコーダ7において、EFM(Eight to Fourteen Modulation)復調される。
なお、記録データは、8ビットずつまとめられてEFM変調されており、このEFM変調では、8ビットを14ビットに変換し、結合ビットを3ビット付加して合計17ビットにする。
この場合に、結合ビットは、それまでの「1」と「0」の数が平均的に等しくなるように付けられる。これを「DC成分の抑制」といい、DCカットされた再生信号のスライスレベル変動が抑圧される。
【0007】
復調されたデータは、デインターリーブとエラー訂正の処理が行われる。
その後、このデータは、CD−ROMデコーダ14へ入力され、データの信頼性を高めるために、さらに、エラー訂正の処理が行われる。
このように2回のエラー訂正の処理が行われたデータは、バッファマネージャ13によって一旦バッファRAM12に蓄えられ、セクタデータとして揃った状態で、ATAPI/SCSIインターフェース15を介して、図示しないホストコンピュータへ一気に転送される。
なお、音楽データの場合には、CDデコーダ7から出力されたデータが、D/Aコンバータ16へ入力され、アナログのオーディオ出力信号Audioとして取り出される。
【0008】
また、ライト時には、ATAPI/SCSIインターフェース15を通して、ホストコンピュータから送られてきたデータは、バッファマネージャ13によって一旦バッファRAM12に蓄えられる。
そして、バッファRAM12内にある程度の量のデータが蓄積された状態で、ライト動作が開始されるが、この場合には、その前にレーザスポットを書き込み開始地点に位置させる必要がある。
この地点は、トラックの蛇行により予め光ディスク1上に刻まれているウォブル信号によって求められる。
【0009】
ウォブル信号には、ATIPと呼ばれる絶対時間情報が含まれており、この情報が、ATIPデコーダ8によって取り出される。
また、このATIPデコーダ8によって生成される同期信号は、CDエンコーダ10へ入力され、光ディスク1上の正確な位置へのデータの書き込みを可能にしている。
バッファRAM12のデータは、CD−ROMエンコーダ11やCDエンコーダ10において、エラー訂正コードの付加や、インターリーブが行われ、レーザコントローラ9、光ピックアップ3を介して、光ディスク1に記録される。
【0010】
なお、EFM変調されたデータは、ビットストリームとしてチャンネルビットレート4.3218Mbps(標準速)でレーザを駆動する。
この場合の記録データは、588チャンネルビット単位でEFMフレームを構成する。
チャンネルクロックとは、このチャンネルビットの周波数のクロックを意味する。
以上が、図25の光ディスクドライブの構成と動作の概要である。
【0011】
ところで、MD(ミニディスク)や、CD−R(CDレコーダブル:1回だけ追記が可能なコンパクトディスク)、CD−E(CDイレーザブル:消去可能で、複数回の追記が可能なコンパクトディスク)には、らせん状の案内溝が刻まれている。
この案内溝は、CLV(Constant Linear Velocity:線速度一定)の回転制御が可能なように、一定の空間周波数(例えば17,000cycle/m:1周期当り59μm)でディスクの径方向に微少量(例えば0.03μm程度)蛇行している。
駆動装置は、この蛇行信号周波数が一定(例えば22.05KHz)になるように回転モータを駆動すると、一定(例えば1.3m/s)の線速度でディスクを回転させることができる。
このように、案内溝は蛇行しており、その蛇行周波数を検出して、ディスクの回転制御を行うディスク装置は、従来から知られている(例えば、特開平6−338066号公報)。
【0012】
また、蛇行信号周波数には、アドレス情報が、FM(周波数変調)されて重畳されている。
例えば、情報「1」は23.05KHz、情報「0」は20.05KHzに変調されている。
この情報「1」と「0」の個数が、平均的には同じになるようにされているので、CLV制御は、実際には、蛇行信号の平均周波数が22.05KHzになるように設定されている。
【0013】
そして、アドレス情報は、ATIP(Absolute Time In Pre−groove:溝上の絶対時間)と呼ばれている。
また、蛇行信号は、ウォブル(Wobble)信号と呼ばれる。このウォブル信号は、ATIPのキャリア信号になっている。
蛇行溝の搬送波が一定になるように回転制御することによって、CLV制御を行い、蛇行溝の搬送波変調成分によって、アドレス信号を得る装置も知られている(例えば、特開平5−225580号公報)。
【0014】
さらに、このような光ディスクドライブ、例えばCD−Rドライブで使用する1チップLSIが、すでに市販されている(例えば、三洋電機株式会社製のLC89590およびその解説と応用の資料)。
以上のように、従来の技術として、ウォブル信号に同期して、CLV制御をかける回路と、ATIPのアドレス同期信号(ATIPSYNC)に同期して、CLV制御をかける回路は周知である。
しかし、これら従来の技術では、再生信号用ディスクを再生する時の回転制御回路と、記録用ディスクを回転する時の回転制御回路との関係は、開示されていない。
また、記録用ディスクに一部記録されたデータ領域での回転制御に関する開示もない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
先に従来の技術で説明したように、ウォブル信号に同期して、CLV制御をかける回路と、ATIPのアドレス同期信号(ATIPSYNC)に同期して、CLV制御をかける回路は周知である。
ところが、記録用ディスクにデータが記録された領域では、ウォブル信号が、記録されたデータによって乱されるため、正確に検出できない場合があり、連続してウォブル信号による回転制御を続けると、不安定になりやすい、という問題がある。
また、ウォブル信号は、S/N比を良くするために、一般に狭帯域のバンドパスフィルタ(BPF)を通して検出しなければならないが、アクセス時や、回転立ち上げ時など、目標線速度に達していない時は、バンドパスフィルタの通過帯域からズレた状態になるので、ウォブル信号を正確に検出できない。
したがって、このような場合にも、回転制御が不安定になりやすい、という問題が生じる。
【0016】
さらに、アドレス同期信号(ATIPSYNC)に同期して回転制御をするモードを設定することも知られている(前出の三洋電機株式会社製のLC89590の解説と応用の資料)。
このモードは、ウォブル信号の制御では、ビットスリップなどによってアドレス情報との完全な同期をとることができないので、付加されている。
しかし、アドレス同期信号(ATIPSYNC)は、75Hzという低い周波数であるから、回転制御を高帯域にすることができず、精密な制御をすることが難かしい、という不都合がある。
【0017】
その上、以上に述べたような制御では、再生ディスクの制御モードや、ウォブル信号による制御モード、アドレス同期信号(ATIPSYNC)による制御モード等の切り換えは、一般にCPU(マイクロコンピュータ)からの指令、あるいは外付け回路によって行わなければならないので、プログラミングが困難であったり、外付け回路によるコストアップなど多くの問題があった。
この発明では、これら多数のモードを効果的かつ自動的に切り換えることによって、常に安定で精密な回転制御が可能な光ディスクの回転モータ制御装置を実現することを課題とする。
また、低コストで、プログラミング負担の少ないモータ制御装置を提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、記録可能な光ディスク装置における回転モータ制御装置であり、ディスクの案内溝の蛇行に対応して生成される蛇行信号に基づいて回転モータの回転制御を行う蛇行同期回転制御回路と、前記案内溝の線方向に所定距離ごとに、案内溝の蛇行として配置されているアドレス同期信号を検出する同期信号検出回路と、前記アドレス同期信号と基準クロック信号との位相を比較する位相比較器と、前記位相比較器の比較結果に応じた周波数を有する基準信号を出力する可変周波数発振器とを有し、該基準信号を蛇行同期回転制御回路に供給するアドレス同期回転制御回路とを備え、前記蛇行同期回転制御回路は、記録開始アドレスの所定位置だけ手前までは、蛇行信号に基づいて回転モータを制御し、該記録開始アドレスの所定位置だけ手前から記録動作中にかけては、蛇行信号および基準信号に基づいて回転モータを制御するようにしている。
【0021】
請求項2の発明では、請求項1記載の回転モータ制御装置を備えた記録可能な光ディスク装置であって、記録されたデータ信号に同期して回転モータの回転制御を行うデータ同期回転制御回路と、前記データ信号に位相同期する位相同期回路と、前記位相同期回路が同期状態にあることを検出してロック信号を出力する同期検出回路とが、第1のデジタル信号処理LSIに内蔵され、その他の処理手段は、第2のデジタル信号処理LSIに内蔵させるようにしている。
【0022】
【発明の実施の形態】
最初に、この発明の記録可能な光ディスク装置の回転モータ制御装置が収納される1チップLSI、すなわち、記録可能な光ディスクであるCD−Rディスクのドライブ装置のための機能が集積された1チップLSIについて説明する。
【0023】
図2と図3は、CD−Rディスクのドライブ装置のための機能が集積された1チップLSIについて、その要部構成の一例を示す機能ブロック図である。図における符号は図25と同様であり、インターフェースには同じ符号にaを付けて示し、20は回転モータ制御装置、21はクロックジェネレータ、22はクロックシンセサイザ、23はCIRCエンコーダ、24はサブコードオペレータ、25はセクタプロセッサ、26aはCD−DAインターフェース、27aはRAMインターフェース、28aはDRAMインターフェースを示す。
【0024】
この図2と図3に示したCD−Rディスクのドライブ装置のための機能を有する1チップLSIは、先の図25に示した光ディスクドライブの機能ブロックの内、主としてEFMエンコード機能とCD−ROMエンコード/デコード機能のブロック、およびモータドライバ4の駆動を制御する回転モータ制御装置20に関するブロックをLSI化したものである。
その全体的な構成と基本的な動作原理は、従来の各ブロックと同様であるが、以下、第1から第14の実施の形態で説明するように、モータドライバ4の駆動を制御する回転モータ制御装置20に特徴を有している。
【0025】
ここでは、この発明の回転モータ制御装置を含む1チップLSIについて、全体的な説明をする。
この図2と図3で、サブコードインターフェース24a、CD−DAインターフェース26a、CDエンコーダ10、バッファマネージャ13、セクタプロセッサ25、DRAMインターフェース28a、ATAPIインターフェース15a、システムコントローラインターフェース18aは、リード/ライト・データ処理回路を構成している。
システムコントローラインターフェース18aには、図25に示したCPU18から1チップLSIに対する指令を書き込んだり、1チップLSIの内部状態を読み出したりするレジスタ群が内蔵されている。
この発明の回転モータ制御装置は、この図2のブロックで、下方に示した回転モータ制御装置20に集積されている。
関連を有するピンのアサイン(モータ制御のインターフェース信号)は、次の図4に詳しく示す。
【0026】
図4は、図2に示した回転モータ制御装置20において、そのインターフェース信号を示す図である。
【0027】
REVDET信号は、モータが逆転したことを示す信号である。
DPLOCK信号は、CD−DSP(CDデジタル信号処理回路)のPLLのロック状態を示す信号である。
FGIN信号は、モータの回転数に比例した周波数をもつ信号である。
TON信号は、光ビームがディスクのトラックを追跡中であることを示す信号である。
MPWM信号は、モータ制御出力信号で、MPWMPとMPWMNは、その正負の信号である。
【0028】
DMCON信号は、この図2と図3に示した1チップLSIのCD−DSPサーボの切り換え信号である。
MON信号は、モータドライバのオン信号である。
SBRK信号は、モータのコイルをショートさせて、モータにブレーキをかけるための信号である。
ところで、この回転モータ制御装置20に関する指令、ステータスレジスタについては、次の図5から図8に説明するが、レジスタは8ビット構成のものが必要な数だけ(全体では例えば13個)設けられている。
その内、特に実施の形態で説明するサーボコントロールレジスタは、アドレス0x80から0x84(0xは16進表記の意味を示している)。
【0029】
図5は、TON信号とDPLMSK信号レジスタの一例を示す図である。
【0030】
まず、TON信号レジスタは、そのアドレス0x80で、そのビット7に格納される。
そして、トラッキングサーボがオンの時は、このビット7が「1」に、オフの時は「0」に設定される。
例えば、トラッキングサーボのオン/オフによって、後述するFG/DECまたはFD/WBLオートモードによる自動切り換えが行われる。
また、このトラッキングサーボのオンによって、ATIPデコードの強制サーチがスタートし、同期検出時に、CDエンコーダのタイミングがイニシャライズされる。
【0031】
次に、DPLMSK信号レジスタは、同じアドレス0x80で、そのビット2に格納される。
このDPLMSK信号は、オートモード時の切り換え判定条件として、DPLOCK信号を入れる否かを設定するビットである。
このビットを「1」にすると、オートモード時の切り換え判定条件に、DPLOCK信号が入れないよう設定され、DECモードを含むオートモード(FG/DECモードまたはFG/WBL/DECモード)で有効となり、TON信号のみを切り換え条件とされる。
なお、このビットを「0」に設定すると、DPLOCK信号が判定条件とされることになる。
【0032】
図6は、SVMODE信号レジスタの一例を示す図で、(1)はスピンドルサーボモード、(2)はマニュアルモード、(3)はオートモードを示す。
【0033】
このSVMODE信号レジスタは、この図6(1)に示すように、そのアドレス0x81で、ビット7〜4である。
その詳細は、マニュアルモードについては図6(2)に、オートモードについては図6(3)に、それぞれ示している。
オートモードの場合には、図6(3)に示したように、8つのモードが設定可能であり、ここでは6つのモードを設定した場合について示している。
SVMODE信号レジスタで、ビット7〜4に設定された内容が「1000」の時は、キックモードからFGモードへの自動切り換えが行われる。
また、その設定が「1001」の時は、ブレーキモードから停止モードへの自動切り換えが行われる。
その他についても、各モードが設定されるが、それぞれの実施の形態で詳しく説明する。
【0034】
図7は、KICDAT信号レジスタの一例を示す図である。
【0035】
このKICDAT信号のレジスタは、そのアドレス0x82で、そのビット7〜0に格納される。
このKICDAT信号のレジスタは、キックモード時とブレーキモード時のキックデータを設定するレジスタである。
【0036】
図8は、FGMTH信号とFGMTL信号レジスタの一例を示す図で、(1)はFGMTH信号レジスタ、(2)はFGMTL信号レジスタを示す。
【0037】
FGMTH信号レジスタは、図8(1)に示すように、ビット4〜0に設定された場合を示している。
また、FGMTL信号レジスタについては、図8(2)に示している。
詳細な説明は、後出の実施の形態で説明する。
以上の図5から図8に示したように、図2の1チップLSIに設けられた回転モータ制御装置20に関する指令、ステータスレジスタについて、それぞれのビット7〜0に設定することができる。
次に、この発明の光ディスクの回転モータ制御装置について、ハード構成と機能の概略を説明する。
【0038】
図1は、この発明の光ディスクの回転モータ制御装置について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。図における符号は図2および図3と同様であり、31はモータ制御回路、32はCD−DSP LSI、32aはデコードPLL、32bは周波数制御部、32cはEFM同期ロック部、32dはCLV制御部、33はモータドライバ、34はフィルタ、35はスイッチ、36は途中スイッチ、Cはコンデンサ、RとR1は抵抗器を示す。
【0039】
図1の左上のCD−DSP LSI32は、再生分CDおよび記録可能なCDの記録された部分の再生時に、ディスクからのデータEFMを入力してデータを解読する機能を備えている。なお、以下には、CD−DSP LSI32は、その機能を重視する観点から、CD−DSPと略称する。
このCD−DSPは、また、ディスクの線速度を一定に保つCLV制御機能も有している。
このCLV制御機能は、再生データ信号EFMに位相同期するPLL(デコードPLL)回路の出力するクロックと、基準周波数信号を位相・周波数比較して、その結果により回転モータを駆動することによって実現される。
あるいは、再生データ信号EFMに含まれる特定の同期パターンの周期が基準周波数の周期に一致するように、回転モータを駆動してもよい。
さらには、再生データ信号EFMの最大反転間隔がある周期(11T:標準速度で約2.5μs)であることを利用して、最大反転間隔が基準周波数の周期に一致するようにモータを駆動してもよい。
要するに、ディスクに記録されたデータ信号に同期して、回転モータを制御する構成であれば十分である。
このようなCD−DSP LSI32は、すでに市販されており、このLSIの入手は可能である。
【0040】
この図1では、CD−DSPによる回転モータ駆動出力は、その「CLV」ブロックであるCLV制御部32dから出力され、モータドライバ33に入力される。
途中スイッチ36と、抵抗器R・コンデンサCがあるが、この抵抗器R・コンデンサCは、一般に、CD−DSPからの出力が、PWM(Pulse Width Modulation)で変調されたデジタル信号であるから、この信号を、抵抗器R・コンデンサCで構成された低域フィルタによってアナログ信号に直すために付加されている。
【0041】
そして、途中スイッチ36は、モータ制御回路31からのDMCON(Decoder Motor Control ON)信号によってオン/オフ制御される。
この途中スイッチ36がオンの時は、CD−DSPのCLV出力によってモータドライバ33を駆動し、また、オフの時は、モータ制御出力MPWMによってモータドライバ33を駆動する。
この場合に、途中スイッチ36がオンになる時は、モータ制御出力MPWMはハイインピーダンスになり、CD−DSPの制御出力とぶつからないように設定されている。
【0042】
CD−DSPからは、データEFM信号に同期するPLLがロックしていることを示すDPLOCK(Decoder PLL Lock)信号が出力され、この信号がモータ制御回路31へ入力される。
モータ制御回路31では、このDPLOCK信号によって、モータ制御モードを切り換える。
DPLOCK信号は、例えば、データEFMに含まれる同期パターンが連続的に検出できる時、アクティブになるように設計される。
SBRK信号は、モータのコイルをショートさせて、モータにブレーキをかけるための信号で、モータドライバ33に入力される。
FGIN信号は、モータの回転数に比例した周波数をもつ信号で、一般にモータドライバ33から出力される。
REVDET信号は、モータが逆転したことを示す信号で、この信号も、一般にモータドライバ33から出力される。
【0043】
ところで、一般に、CD−ROMやCD−R装置では、回転モータに3相ブラシレスモータが使用されている。
この3相ブラシレスモータは、駆動コイルが3相になっており、これらのコイルに3相電流を順次流すことによって、回転トルクを発生する。
この電流切り換えのために、モータの回転角をホール素子等で検出するように構成されており、このホール素子等からは、モータの回転数に比例した周波数の信号が得られる。
この信号は、FG(Frequency Generator)信号と呼ばれており、このFG信号が入力される信号が、FGINである。このFGIN信号は、FG信号をドライバICで波形整形したものが一般的に用いられる。
また、モータの3相コイル端を全て接続(ショート)すると、モータは止まろうとする。これがショートブレーキである。
さらに、ホール素子等は、一般に2個か3個取り付けられて、その出力の位相関係によって、回転方向が検出される。
これを利用した信号が、REVDETである。
その他の信号については、この発明の回転モータ制御装置と直接関連を有していないので、説明は省略する。
【0044】
以上が、図1に示したこの発明の光ディスクの回転モータ制御装置31の構成と機能の概略である。
次に、この発明の回転モータ制御装置31において、設定可能な制御モードを説明する。
スピンドルモータのサーボモードの設定は、先の図6(1)に示したSVMODE信号レジスタで行う。すなわち、そのアドレス0x81のビット7〜4に設定される。
【0045】
図9は、スピンドルモータのサーボモードについて、マニュアルモードの設定の一例を示す図である。
【0046】
マニュアルモードの設定は、この図9に示すように8種類が可能で、モータ停止モードSTOPでは、DMCON=L(スイッチオフ)、MPWM=Z(ハイインピーダンス)となり、モータは駆動されない。
キック加速モードKICKでは、モータを所定のパワーで加速する。この場合の所定のパワーは、レジスタ0x82(図7のKICDAT)で指定できる。ブレーキモードBRAKEでは、モータを所定のパワーで減速する。この場合の所定のパワーも、レジスタ0x82(図7のKICDAT)で設定されたものが使用される。
FGモードは、FGIN信号のパルス入力を使用したCAV(Constant Angular Velocity)制御によって、FGIN信号の周期と目標周期との差に応じて、モータ制御出力信号MPWMを出力することにより、FGIN周期が目標周期と一致するように制御する。
【0047】
WBLモードは、CD−Rディスクの案内溝の蛇行信号であるウォブル信号に同期して回転モータを回転させるモードである。
AXモードは、ウォブル信号にFM変調されているATIP信号(アドレス情報信号)に一定周期で含まれる同期信号(ATIP Sync)に位相同期して回転モータを回転させるモードである。
DECモードは、先に述べたCD−DSPのCLV制御(ディスクの線速度を一定に保持する制御)機能によって、回転モータを回転させるモードである。
なお、HOLDは、前値ホールドであるが、この発明の回転モータ制御装置とは直接関係がないので、説明は省略する。
以上が、スピンドルモータのサーボモードにおけるマニュアルモードの内容である。
【0048】
図10は、スピンドルモータのサーボモードについて、オートモードの設定の一例を示す図である。
【0049】
KICK to FGは、キック加速モードKICKからFGモードへの自動切り換えを行うモードである。
BRAKE to STOPは、ブレーキモードBRAKEから停止モードSTOPへの自動切り換えを行うモードである。
FG/DECは、FG/DECモード間の自動切り換えを行うモードで、一定の条件によって両モードの切り換えが実行される。
【0050】
FG/WBLは、FG/WBLモード間の自動切り換えを行うモードで、一定の条件によって両モードの切り換えが実行される。
FG/WBL/DECは、FG/WBL/DECモード間の自動切り換えを行うモードである)。
WBL/AXは、WBL/AXモード間の自動切り換えを行うモードで、一定の条件によって両モードの切り換えが実行される。
これらのサーボモードの設定は、CPUからマニュアルによって設定することにより、それぞれのモードでモータ回転を制御することができるが、この発明ではさらに、これらのモードの切り換えを自動モードで設定可能とすることによって、プログラミングの簡略化と制御動作の安定性向上とを図った点に特徴を有している。
【0051】
第1の実施の形態
この第1の実施の形態は、先の図10に示したFG/DEC/WBLモードの内、DECモードとWBLモード(正確にいえば、先の図10に示したように全てオートモードであるが、適宜モードと略称する)の自動切り換えに関する動作に特徴を有している。
【0052】
DECモードは、CD−DSPの機能によるモータ制御を行うモードで、モータ制御出力信号であるMPWM信号、その正負の信号MPWMP,MPWMNは、図5に示したサーボコントロールレジスタのビット5を「1」にすると、ハイインピーダンスとなり、「0」にすると、ループフィルタの出力が一定値のPWM信号となる。
モータドライバとの接続切り換え制御信号DMCOMは「H」になる。
WBLモードは、ウォブル信号とエンコーダEFMフレームシンク信号(EEFS)の速度比較信号、位相比較信号を加算した結果を、PWM信号として出力する。
最初に、記録データがある場合のFG/DEC/WBLモードの動作について説明する。
【0053】
図11は、この発明の回転モータ制御装置について、記録データがある場合のFG/DEC/WBLモードの動作を説明するタイムチャートである。図の各波形に付けた符号は図1の符号位置に対応している。
【0054】
この場合のモードの自動切り換え動作は、DPLOCK信号がアクティブの時は、DECモード、インアクティブの時は、WBLモードとなる。
すなわち、CD−DSPのデコーダPLLがロック状態にある時は、安定したデータ同期がとれているので、回転モータ制御を記録データに基いて行う。
また、CD−DSPのデコーダPLLがロックしていない時は、回転モータ制御をウォブル信号に基いて行う。
このような動作は、記録済みの部分と未記録部分とが混在する状態のCD−RやCD−RW(書き換え可能なCD:CDリライタブル)の回転制御時に有効である。
【0055】
記録済み部分では、ウォブル信号がデータによって乱されてS/N比が低くなるため、安定して検出するのが困難になる。
したがって、そのままウォブル信号で回転制御を続けると、ノイズによって不安定になってしまう。
この第1の実施の形態では、このような場所では、記録されたデータ(EFM)に基いて制御する方が安定である、という点に着目し、CD−DSPのデコーダPLLがロック状態にある時は、回転モータ制御を記録データに基いて行うようにしている。
ところが、未記録部分では、データ(EFM)が存在していないため、データ(EFM)に基いて制御するのは不可能である。
そのため、ウォブル信号によって回転制御する必要がある。
ここで、WBLモードの回路の構成について説明する。
【0056】
図12は、WBLモードの回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。図における符号は図1と同様であり、41はデバウンス回路、42はウォブルPLL、43は速度差検出器、44は位相差検出器、45はPWM出力回路、46と47はアンプ、48は加算器を示す。
【0057】
この図12に示すように、WBLモードの回路では、ウォブル信号入力WBLINと、エンコーダEFMフレームシンク信号EEFSとを速度差検出器43によって比較して、速度比較信号を求め、同じくウォブル信号入力WBLINと、エンコーダEFMフレームシンク信号EEFSとを位相差検出器44によって比較して、位相比較信号を求める。
そして、速度比較信号と位相比較信号とを加算器48によって加算し、その加算した結果をPWM出力回路45へ入力して、MPWM,MPWMP,MPWMN信号を生成する。
したがって、WBLモードでは、CD−Rディスクの案内溝の蛇行信号であるウォブル信号に同期して回転モータを回転させることができる。
【0058】
このような切り換え動作をCPUによって行うためには、かなり頻繁にDPLOCK信号をモニタしなければならず、CPUの負担が大きくなり、高速で回転させるのは難しい。
その結果、ドライブ装置の記録再生スピードを上げるのが困難になる。
これに対して、この第1の実施の形態では、CPUによるモニタなしで、自動的に制御モードが切り換わるので、ドライブ装置の高速化が可能になる。
【0059】
なお、このモードは、図11に示すように、光ビームがディスクのトラックを追跡中であることを示すTON信号と、DPLOCK信号の両方がアクティブで、かつ一定時間(例えば、256EFMフレーム)経った時に、初めてDECモードに移行するように構成すれば、さらに好ましい。
ここで、EFMフレームとは、ディスク上のデータの1単位のことで、CDの標準速度の場合、約136μsである。
時間をフレームで数えることによって、標準速度(1倍速)より速い2倍速や4倍速、8倍速のようなスピードで制御している時は、自動的に短い時間設定になるので、高速化に好適である。
【0060】
また、TON信号を条件に入れることによって、トラック追跡状態にあることが保証され、アクセス時など過渡的にトラック追跡でない状態の時、データ再生が正常でないために、データ同期回転制御が不安定になる、という不都合が回避される。
なお、図11に示したタイミングチャートは、後出の図13に示すFG/WBLモードの動作に加えて、TON信号とDPLOCK信号の「H」期間がサーボゲインレジスタ(図示せず)での設定値以上続いた場合に、DECモードに自動的に切り換わることになる。
以上のように、この第1の実施の形態は、FG/DEC/WBLモードの内、DECモードとWBLモードとの自動切り換えに関する制御である。
【0061】
そのために、記録されたデータ信号に同期して回転モータの回転制御を行うデータ同期回転制御回路と、ディスクの案内溝の蛇行に同期して回転モータの回転制御を行う蛇行同期回転制御回路と、データ信号に位相同期する位相同期回路と、位相同期回路が同期状態にあることを検出してロック信号を出力する同期検出回路とを設け、ロック信号が得られた時は、データ同期回転制御回路により回転モータを駆動し、ロック信号が得られない時は、蛇行同期回転制御回路により回転モータを駆動するようにしている。
したがって、コントローラを構成するCPUに負担なしに、蛇行同期回転制御モードとデータ同期回転制御モードとが自動的に切り換えられ、記録済みの部分と未記録部分とが混在していても、安定な制御モードが得られる。
しかも、CPUの負担がないので、ファームウエアのコードサイズを小さくすることができ、コストダウンと共に、高速回転化も容易に実現される。
なお、以上の条件に加えて、さらに、FG制御モードを組み合わせた動作については、後述の第7の実施の形態で詳しく説明する。
【0062】
第2の実施の形態
先の第1の実施の形態では、FG/DEC/WBLモードの内、DECモードとWBLモードとの自動切り換えに関する制御について説明した。
この第2の実施の形態では、FG/DECモードの内、DECモードに切り換わる条件として、先の第1の実施の形態で述べたDPLOCK信号が入る動作である。
ここで、FG/DECオートモードの動作について説明する。
【0063】
図13は、この発明の回転モータ制御装置について、FG/DECオートモードの動作を説明するタイムチャートである。図の各波形に付けた符号は図1の符号位置に対応している。
【0064】
この図13には、トラックジャンプ時の動作を示している。
トラッキングサーボがオン状態の時、TON信号、DPLOCK信号から得られるデータEFMの同期状態を示す入力信号に基いて、FGモードとDECモードとの間の自動切り換えが行われる。
図13に示したように、DPLOCK信号がアクティブの時、DECモードで、CD−DSPの制御となり、DPLOCK信号がインアクティブの時は、FGモードとなる。
【0065】
DPLOCK信号がアクティブの時は、CD−DSPのデコーダPLLがロックしており、CLV制御は、データEFMに同期してかけることができる。
これに対して、DPLOCK信号がインアクティブの時は、データEFM信号が正常でないか、あるいはアクセス時等で線速度がPLL引き込み可能な範囲まで落ち着いていない場合である。
そこで、この場合には、FGモードとして、FG制御を行う。
【0066】
ここで、FGモードの回路とCDエンコーダのインターフェース回路の構成について説明する。
【0067】
図14は、FGモードの回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。図における符号は図1と同様であり、51はデバウンス回路、52は周期検出器、53はフル加減速パルス発生回路、54はPWM出力回路、55はパルス切り換え回路を示す。
【0068】
この図14に示すFGモードの回路は、周期検出器52によって、FGIN信号の周期と、目標周期との差を検出する。
この場合には、エンコーダEFMフレームシンクパルス(EEFS)でカウントする。
フル加減速パルス発生回路53からは、目標周期と検出周期との差にゲインをかけたパルスが発生される。
PWM出力回路54からは、ループフィルタデータ演算結果に応じたPWMパルスが出力される。
出力端子からは、フル加減速パルス発生部分からの出力パルス発生期間中は、そのパルスが出力され、非発生期間中は、PWM出力回路54からのPWMパルス出力部分からのパルスが出力される。
【0069】
図15は、CDエンコーダのインターフェース回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。図における符号は図1と同様であり、61はカウンタ、62は1/N分周器、63はサーボデコードEFSカウントレジスタを示す。
【0070】
この図15に示したCDエンコーダのインターフェース回路は、ディスク線速を検出する機能を有しており、CDエンコーダのEFMフレームシンク(DEFS)とサーボデコードFGレジスタ(図示せず)の内部FG信号が1パルス/1回転となる値を設定することによって、CDエンコーダのEFMフレームシンク(DEFS)数/1回転の値を、サーボデコードEFSカウントレジスタ63から読み出すことができる。
この値に基いて、ディスク線速を算出することができる。
【0071】
以上のように、この第2の実施の形態では、記録されたデータ信号に同期して回転モータの回転制御を行うデータ同期回転制御回路と、データ信号に位相同期する位相同期回路と、位相同期回路が同期状態にあることを検出してロック信号を出力する同期検出回路と、回転モータの回転数に比例した周波数を有するFG信号を出力する周波数発生手段と、FG信号に応じてモータを所定の回転数に制御するFG回転制御回路とを設け、ロック信号が得られた時は、データ同期回転制御回路により回転モータを駆動し、ロック信号が得られない時は、FG回転制御回路により回転モータを駆動するようにしている。
したがって、アクセス時の変速等で過渡的にデータ同期がとれない場合には、自動的にFG制御モードが選択され、データ同期がとれた時は、データ同期回転制御モードになると共に、先の第1の実施の形態の場合と同様の効果も得られる。
【0072】
第3の実施の形態
先の第2の実施の形態では、FG/DECモードにおいて、DECモードに切り換わる条件として、先の第1の実施の形態で説明したFG/DEC/WBLモードの内、DECモードとWBLモードとの自動切り換えに関する制御について説明した。
この第3の実施の形態では、先の第1の実施の形態で説明したFG/DEC/WBLモードの内、FG/DECモードの切り換え動作に係わり、特に、DECモードに切り換わる条件として、先の第1の実施の形態で述べたTON信号が入る動作である。
TON信号がアクティブであれば、光ビームはトラック追跡状態にあるため、データEFMは安定して得られる。
【0073】
DPLOCK信号は、図5に示した0x80レジスタのDPLMSK信号を「1」にすることで、DECへの移行条件に入れないようにすることができる。
また、DPLOCK信号ではなく、TON信号を条件にする理由は、次のとおりである。
アクセス時など、トラックをジャンプしている時は、たまたま光ビームがトラック上にある場合に、ある期間だけデータEFMが得られるため、PLLがロックすることがある。
しかし、この状態では、光ビームはトラック追跡はしていないので、この状態は長続きしない。
このような場合には、ずっとFG制御を続ける方が安定であるケースも多いことが想定される。
【0074】
そこで、この第3の実施の形態では、記録されたデータ信号に同期して回転モータの回転制御を行うデータ同期回転制御回路と、回転モータの回転数に比例した周波数を有するFG信号を出力する周波数発生手段と、FG信号に応じてモータを所定の回転数に制御するFG回転制御回路とを設け、光ディスク装置の光ビームが、ディスクのトラックを追跡するトラッキング状態にある時は、データ同期回転制御回路により回転モータを駆動し、それ以外の時は、FG回転制御回路により回転モータを駆動するようにしている。
したがって、アクセス時でも、安定なデータが得られてからデータ同期回転制御に自動的に移行することができると共に、先の第1の実施の形態の場合と同様の効果も得られる。
【0075】
第4の実施の形態
先の第3の実施の形態では、DECモードに切り換わる条件として、先の第1の実施の形態で述べたTON信号が入る動作について説明した。
この第4の実施の形態では、DECモードに切り換わる条件として、DPLOCK信号、かつ、TON信号とした。
このように、モードの自動切り換え条件を設定することによって、記録されたデータ(EFM)信号が完全に安定して得られてから、DECモードに移行することができるので、先の第3の実施の形態の場合に比べて、より安定した動作が可能になる。
【0076】
第5の実施の形態
先の第1の実施の形態では、FG/DEC/WBLモードの内、DEC/WBLモードの自動切り換えについて、また、第2から第4の実施の形態では、FG/DECモードの自動切り換えについて、それぞれ説明した。
この第5の実施の形態では、FG/WBLモードの自動切り換えに関する動作である。
FG/WBLオートモードの動作については、先の図13にその一例を示して説明した。
ここでは、記録データがない場合のFG/WBLモードの動作を説明する。
【0077】
図16は、この発明の回転モータ制御装置について、記録データがない場合のFG/WBLモードの動作を説明するタイムチャートである。図の各波形に付けた符号は図1の符号位置に対応している。
【0078】
この図16では、トラッキングサーボがオン状態を示すTON信号と、FGサーボ系検出回転数が目標回転数の±30%以内に入ったことを検出するFGLOCK信号とに基いて、FGモードとWBLモードとの間で自動切り換えを行う場合を示している。
このFG/WBLモードでは、FG信号による回転制御と、ウォブル信号による回転制御との切り換えを行う。
WBLモードへの移行の条件としては、例えば、FG制御時の目標回転数の±30%以内に入ったことにしている。
このようにする理由は、先に述べたように、ウォブル信号は、S/N比を良くするために、一般に狭帯域のバンドパスフィルタ(BPF)を通して検出するので、目標回転数から大きくズレていると、ウォブル信号周波数がバンドパスフィルタの通過帯域をはずれてしまい、検出できなくなってしまうことがあるからである。
【0079】
そこで、第5の実施の形態では、FG制御をかけて目標回転の所定範囲内(例えば±30%)に入ってから、WBL制御に移行するようにしている。
しかし、このような動作を、CPUのマニュアル動作で実現しようとすると、FGの周期測定や、この周期が所定範囲に入ったことの判定を頻繁に行う必要があるので、CPUの負担が大きくなり、高速で回転させるのは難しい。
その結果、ドライブ装置の記録再生スピードを上げるのが困難になる。
これに対して、この第5の実施の形態では、自動制御を採用しているので、CPUの負担が軽減されると共に、容易に高速化も実現される。
【0080】
そのために、第5の実施の形態では、ディスクの案内溝の蛇行に同期して回転モータの回転制御を行う蛇行同期回転制御回路と、回転モータの回転数に比例した周波数を有するFG信号を出力する周波数発生手段と、FG信号に応じてモータを所定の回転数に制御するFG回転制御回路とを設け、FG信号の周波数が所定範囲外の時は、FG回転制御回路により回転モータを駆動し、所定範囲内の時は、蛇行同期回転制御回路により回転モータを駆動するようにしている。
したがって、記録可能なディスクでのアクセス時の回転制御が常に安定に行えると共に、先の第1の実施の形態の場合と同様の効果も得られる。
【0081】
第6の実施の形態
先の第1の実施の形態では、FG/DEC/WBLモードの内、DEC/WBLモードの自動切り換えについて、また、第2から第4の実施の形態では、FG/DECモードの自動切り換えについて、さらに、先の第5の実施の形態では、FG/WBLモードの自動切り換えに関する動作についてそれぞれ説明した。
この第6の実施の形態では、先の第5の実施の形態において、FGモードとWBLモードで、ループフィルタを共通化した点に特徴を有している。
【0082】
図17は、FGモードにおけるゲイン補正回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。図における符号は図1と同様であり、71は周期検出器、72は第1のゲイン設定部、73はパルス発生器、74は第2のゲイン設定部、75はループフィルタ、76はゲイン補正部、77は総合ゲイン設定部、78はクリップ回路、79はPWM(パルス幅変調)器、80は加算器を示し、KF,KFL,KL,K1,K2は設定されるゲインを示す。
【0083】
この図17に示したゲイン設定、第1のゲイン設定部72への設定ゲインKFや、第2のゲイン設定部74への設定ゲインKFLは、サーボゲイン第1レジスタ(図示せず)への設定によって行われる。
また、ゲイン補正部76への設定ゲインKLや、総合ゲイン設定部77への設定ゲインK1,K2は、それぞれサーボゲイン第2レジスタ(図示せず)、サーボゲイン第3レジスタ(図示せず)への設定によって行われる。
なお、破線で囲んだ積算部(ループフィルタ)は、FGモード系とWBLモード系とで共用しており、積算中の積算データも、各モード間で継承される。
【0084】
そして、FGモードにおいては、図17に示したように、FGIN周期と目標周期との差を求める。
この差と、この差を積算してゲインをかけた結果とに応じて、モータ制御出力MPWMを出力する。
このように、周期の差(周波数差)を積算することによって、回転制御ループの低域ゲインを高くすることができ、精密な制御が可能になる。
なお、この積算部は、特に、ループフィルタと呼ぶことがある。
【0085】
図18は、WBLモードにおけるゲイン補正回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。図における符号は図1および図17と同様であり、81は速度差検出部、82は第2のゲイン補正部、83はクリップ回路、84は位相差検出部、85は第3のゲイン補正部、86はクリップ回路、87と88は加算器を示し、NとKpは設定されるゲインを示す。
【0086】
この図18に示すように、WBLモードでは、第2のゲイン補正部82への設定ゲインNや、第3のゲイン補正部85への設定ゲインKpは、それぞれサーボゲイン第2レジスタ(図示せず)、サーボゲイン第3レジスタ(図示せず)への設定によって行われる。
そして、このWBLモードでも、先の図17のループフィルタを共通に使用する。
WBLモードでは、ウォブル信号(WBLIN)の周波数(回転速度)と位相とを基準パルス(ESFS:エンコーダEFMフレームシンク)のそれと比較する。
基準パルスESFSは、一般に基準発振器から生成される。
【0087】
比較された速度差と位相差は、それぞれゲインをかけて加算される。
積算部(ループフィルタ)では、速度差系と位相差系を加算した結果を積算する。
この積算出力と、元の加算結果とをさらに加算し、ゲインをかけて、モータ制御出力MPWMを出力する。
このWBLモードのループゲイン特性は、次の図19のようになる。
【0088】
図19は、WBLモードにおけるループゲイン特性の一例を示す図である。
【0089】
この図19にはボード線図を示している。
この図19に示すように、速度系の低域を位相系が増幅し、さらに、その低域をループフィルタ系が増幅する特性になる。
このループフィルタによって、低域の制御特性が改善される。
このように、第6の実施の形態では、FGモードとWBLモードにおいて、積算ループフィルタを共通に使用するので、回路を簡略にして、いずれのモードでも、精密な制御特性が得られる。
さらに、積算値を引き継ぐので、モード切り換え時の制御にも乱れが生じず、スムースな移行が可能になる。
【0090】
以上のように、この第6の実施の形態では、先の第5の実施の形態で説明した回転モータ制御装置において、FG信号の周波数とFG回転制御回路の目標周波数とを比較する周波数比較器と、蛇行信号の位相と蛇行同期回転制御回路の基準信号の位相とを比較する位相比較器と、2つの比較器の比較結果の内、いずれか一方の比較結果を積算する積算器とを設け、FG回転制御回路により回転モータを駆動する時は、周波数比較器の出力と、この出力を積算器によって積算した結果とに応じて回転モータを駆動し、蛇行同期回転制御回路により回転モータを駆動する時は、位相比較器の出力と、この出力を積算器によって積算した結果とに応じて回転モータを駆動するようにしている。したがって、2つの制御モードで共通のループフィルタの使用が可能になり、回路コストの低下に加えて、積算値の引き継ぎもできるので、切り換え時の制御も安定される。
【0091】
第7の実施の形態
この第7の実施の形態は、先の第5の実施の形態で説明したFG/WBLモードに加えて、DECモードへの移行も可能にした点に特徴を有している。
記録データがある場合のFG/DEC/WBLモードの動作については、先の図11によって説明した。
ここでは、記録データがない場合のFG/DEC/WBLモードの動作について説明する。
【0092】
図20は、この発明の回転モータ制御装置について、記録データがない場合のFG/DEC/WBLモードの動作を説明するタイムチャートである。図の各波形に付けた符号は図1の符号位置に対応している。
【0093】
この図20と、先の図11に示したように、DPLOCK信号がアクティブの時は、DECモードとなり、DPLOCK信号がインアクティブで、FG信号が目標周期の所定範囲(例えば±30%)以内の時は、WBLモードに、さらに、DPLOCK信号がインアクティブで、FG信号が目標周期の所定範囲(例えば±30%)外の時は、FGモードに切り換える。
この自動モード切り換えによって、記録済みの部分と未記録部分とが混在するディスクでも、常に安定な制御が自動的に選択されて設定されるので、CPUの負担が軽減される。
したがって、高速化が可能になる。
【0094】
第8の実施の形態
この第8の実施の形態では、加速当初において、まず、キック加速モードを設定して、回転モータを所定のパワーで加速し、FGパルスが数発(例えば2発)得られた時点で、FGモード(キック加速モードからFGモード)に切り換えるようにした点に特徴を有している。
このキック加速モードからFGモードへの自動切り換えモード(KICK to FGオートモード)の設定については、先の図10で説明した。
【0095】
このように、加速当初にキック加速モードを設定する理由は、もし、最初からFGモードに設定すると、FGパルスが得られない間は、FG周期を測定することができず、加速することができないからである。
また、この動作を、CPUで行うとすると、FGパルスがきたかどうかをソフトウエアでモニタしなければならず、CPUの負担が大きくなり、高速で回転させるのが困難になる。
【0096】
以上のように、この第8の実施の形態では、先の第2から第7の実施の形態で説明した回転モータ制御装置において、回転モータを所定パワーで加速するキックモードを設定するキックモード設定手段を設け、回転モータの停止状態から、キックモードによって回転モータを加速し、FG信号パルスが所定回転数に達した時、FG回転制御回路により回転モータを制御するようにしている。
したがって、第2から第7の実施の形態による効果に加えて、CPUの負担を増加させることなく、安定したスタートが可能になる。
【0097】
第9の実施の形態
この第9の実施の形態は、モータが回転している状態から減速する場合の制御であり、回転モータの回転状態で、ブレーキモードを設定して、所定パワーで減速し、REVDET信号を入力させることによって、逆転が検出されると自動的に停止モード(ブレーキモードから停止モード)に移行するに点に特徴を有している。
このブレーキモードから停止モードへの自動切り換えモード(BRAKE to STOPオートモード)の設定についても、先の図10で説明した。
この第9の実施の形態によれば、回転モータの回転状態で、ブレーキモードを設定して、所定パワーで減速し、REVDET信号を入力させることによって、逆転が検出されると自動的に停止モードへの自動切り換えを行うので、先の第2から第8の実施の形態による効果に加えて、CPUで行う場合には負担が大きい、という不都合が解消されると共に、安定に停止させることができる。
【0098】
第10の実施の形態
この第10の実施の形態では、FG信号の周波数が目標値より所定範囲だけ高い時、ショートブレーキ信号を出力して、モータを減速させる点に特徴を有している。
【0099】
先に述べたFGモードや、FG/WBLモード、FG/DECモード、ブレーキモードから停止モードにおいて、モータを減速する時、モータドライバには逆回転方向のモータ制御出力MPWMが入力され、モータには逆回転方向の電流が流れる。
しかし、モータは、一般に回転している時は、回転数に比例した逆向きの起電力(逆起電力)を発生しており、逆回転方向に電流を流すと、逆起電力によって発生する逆回転方向の電流が加算されて、大きな電流が流れてしまう。
その結果、消費電力が大きくなり、モータコイルやモータドライバの発熱も大きくなる。
【0100】
従来は、モータコイル端を互いにショートさせることによって、自己ブレーキをかける制御方法が一般的に用いられている。
しかし、減速制御は、単にモータを停止させる時だけでなく、光ヘッドを外周方向にアクセスさせる時、CLV回転させるためにも必要である。
この第10の実施の形態は、あるゆる減速時に、ショートブレーキをかけることができる。
なお、アクセスを伴う減速時には、目標となるFG制御の回転数が設定されているので、ショートブレーキをかけて目標回転数に近づいた時点で、ショートブレーキを解除すればよい。
【0101】
以上のように、この第10の実施の形態では、先の第2から第9の実施の形態で説明した回転モータ制御装置において、回転モータのコイルをショートさせるブレーキ信号を発生させるショートブレーキ信号出力手段を設け、FG信号の周波数が目標値より所定範囲だけ高い時、ショートブレーキ信号を出力するようにしている。
したがって、先の第2から第9の実施の形態による効果に加えて、CPUの負担を増加させることなく、電力消費の少ない減速制御が実現される。
【0102】
第11の実施の形態
この第11の実施の形態は、請求項1の発明に関連している。先に述べた第1から第10の実施の形態では、FG/DEC/WBLモードの切り換えについて説明した。この第11の実施の形態は、WBLモードとAXモードに関連している。
【0103】
AXモードでは、ATIP信号をデコードして得られるATIP同期信号(ASYNC)と、基準信号ESFS(標準速で75Hz)との位相比較を行い、この出力によって回転モータを駆動する。
ATIP同期信号(ASYNC)は、ウォブル信号をFM変調してディスクの蛇行溝に埋め込まれており、標準速では75Hzの周波数をもっている。
したがって、このAXモードでは、ATIP同期信号(ASYNC)と、基準信号ESFSとが位相同期して回転制御が行われる。
そこで、基準信号ESFSを書き込みデータの基準タイミング信号に設定しておけば、書き込みデータとディスク上の位置とを完全に一致させた書き込みが可能になる。
【0104】
図21は、AXモードの回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。図における符号は図1と同様であり、91は位相比較器(PD)、92は位相補正器(DCO)、93は切り換えスイッチ、94はWBLモード系回路を示す。
【0105】
図22は、AXモードの回路構成について、その要部構成の他の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。図における符号は図21と同様であり、95はアンプ、96は1/3分周器、97は位相比較器(PD)を示す。
【0106】
WBLモードでは、エンコーダEFMフレームシンク信号(EEFS)を基準クロックとして使用し、AXモードでは、エンコーダサブコードシンク信号(ESFS)と検出されたATIPシンク信号(ASYNC)との位相差に応じて、基準クロックの位相を変化させる。
ディスク上のATIPシンク信号から検出されたATIPシンク信号までは、FSK復調器、ATIPシンク検出回路によるディレイが生じるので、ディレイ値を設定すればよい。
【0107】
図23は、書き込み開始時におけるFG/WBLモードの動作を説明するたるのタイムチャートである。図の各波形に付けた符号は図21の符号位置に対応している。
【0108】
図24は、書き込み終了時におけるFG/WBLモードの動作を説明するたるのタイムチャートである。図の各波形に付けた符号は図21の符号位置に対応している。
【0109】
この第11の実施の形態では、WBL/AXモードの切り換えは、書き込みを開始する位置(アドレス)の少し手前(例えば1セクタ手前)までは、WBLモードとし、少し手前になった時点で、AXモードに移行する。その理由は、WBLモードの方が、ウォブル信号の周波数が高い(22KHz)分だけ高速な制御が可能で、速やかな整定が行えるからであり、まず、WBLモードにおいて、完全に回転数をウォブル信号に同期させておく。そして、書き込み開始直前になったら、AXモードに移行して、書き込みを開始する。この第11の実施の形態でも、WBLモードとAXモードとの切り換えを、CPUで行う場合には、CPUは現在のアドレスを頻繁に監視して、書き込み開始アドレスの手前の所定数になったかどうかを判定しなければならないので、負担が大きく、高速化に限界がある、という不都合が解消される。すなわち、記録開始前までは蛇行同期回転制御による高速な制御が可能となり、記録中はアドレス同期がとれるので、精密な記録制御を行うことができると共に、先の第1の実施の形態と同様の効果も得られる。
第12の実施の形態
この第12の実施の形態は、請求項1の発明に関連している。先の第11の実施の形態では、WBL/AXモードの切り換えについて説明した。この第12の実施の形態は、AXモード自体の改良である。
【0110】
この第12の実施の形態では、ATIP同期信号(ASYNC)と、基準信号ESFS(標準速で75Hz)との位相比較を行い、この比較結果に基いて周波数を可変する可変周波数発振器を設け、その出力をWBLモード系の基準信号とする点に特徴を有している。
【0111】
この場合に使用する可変周波数発振器は、デジタル回路であるから、この実施の形態では、DCO(Digital Controlled Oscilator)という。このように構成することにより、DCOから出力される基準信号の周波数が、ATIP同期信号(ASYNC)と基準信号ESFSとの位相比較結果に応じて変化するので、結果的に、ATIP同期信号(ASYNC)と基準信号ESFSの位相同期回転制御が可能になる。そして、WBLモードに移行する時は、DCO出力に代りに、WPLモード系基準信号EEFS(エンコーダEFMフレームシンク信号:標準速度で7.35KHz)をWBLモード系の基準信号にすればよい。このような切り換えは、単なるスイッチによって実現できる。以上のように、この第12の実施の形態によれば、WBLモード系を共通に使用して、AXモードを実現することができる。また、AXモード中も、WBLモード系がウォブル信号に同期して閉じているため、高帯域な制御も可能である。
第13の実施の形態
この第13の実施の形態は、請求項1の発明に関連している。
【0112】
この第13の実施の形態では、WBL/AXモードにおいて、記録終了後に、自動的にWBLモードへ移行する点に特徴を有している。
その理由は、先の第11の実施の形態で説明したAXモードは、記録中以外は不要なモードであるので、記録が終った時は、速やかにWBLモードにするのが好ましいからである。
このように、記録終了後は、自動的にWBLモードへ移行させることにより、CPUに負担を与えることなく、WBLモードに復帰させることができる。
第14の実施の形態
先の第1から第13の実施の形態では、FG/DEC/WBL/AXモードの自動切り換え動作に関連して、オートモードの遷移により、CPUの負担を軽減させる場合について説明した。
これらの各実施の形態によれば、実装されるソフトウエア(実際にはROMに内蔵されるので、ファームウエアと呼ばれる)のコードサイズを小さくすることが可能になり、小容量のROMの使用によって、コストダウンも実現される。
この第14の実施の形態は、以上のような動作を行うドライブ装置のLSIチップの切り分けに関する。
【0113】
記録データに同期して回転制御を行う回路や、記録データに位相同期するPLL、PLLのロック状態(信号DPLOCK)を出力する回路は、一般にCD−DSPに内蔵されている。
このチップは、CD−ROM装置で広く使用されており、非常に大量に生産されるので、コストは安い。
また、それ以外のFG,WBL,AXオートモード等を、CD−R専用にチップ化する。
このように構成することにより、DECモードの制御自体は、CD−DSPに任せることができ、CD−Rチップ側に内蔵しなくてもよいので、CD−R用制御チップのコストの低減化が実現される。
したがって、トータルとして、低コストのCD−Rドライブが得られる。
【0114】
【発明の効果】
請求項1の発明では、記録可能な光ディスク装置における回転モータ制御装置であり、ディスクの案内溝の蛇行に対応して生成される蛇行信号に基づいて回転モータの回転制御を行う蛇行同期回転制御回路と、前記案内溝の線方向に所定距離ごとに、案内溝の蛇行として配置されているアドレス同期信号を検出する同期信号検出回路と、前記アドレス同期信号と基準クロック信号との位相を比較する位相比較器と、前記位相比較器の比較結果に応じた周波数を有する基準信号を出力する可変周波数発振器とを有し、該基準信号を蛇行同期回転制御回路に供給するアドレス同期回転制御回路とを備え、前記蛇行同期回転制御回路は、記録開始アドレスの所定位置だけ手前までは、蛇行信号に基づいて回転モータを制御し、該記録開始アドレスの所定位置だけ手前から記録動作中にかけては、蛇行信号および基準信号に基づいて回転モータを制御するようにしている。したがって、記録開始前までは蛇行同期回転制御による高速な制御が可能となり、記録中は蛇行同期回転制御モードの高速制御性を保ったまま、アドレス同期制御が行うことができ、精密な記録制御を行うことができる。
【0117】
請求項2の発明では、請求項1記載の回転モータ制御装置を備えた記録可能な光ディスク装置であって、記録されたデータ信号に同期して回転モータの回転制御を行うデータ同期回転制御回路と、前記データ信号に位相同期する位相同期回路と、前記位相同期回路が同期状態にあることを検出してロック信号を出力する同期検出回路とが、第1のデジタル信号処理LSIに内蔵され、その他の処理手段は、第2のデジタル信号処理LSIに内蔵させるようにしている。したがって、DECモードの制御自体は、CD−DSPに任せることができ、CD−Rチップ側に内蔵しなくてもよいので、CD−R用制御チップのコストの低減化が達成される。また、制御モードの自動切り換えによって、常に安定な回転制御ができると共に、切り換えに伴うCPUの負担も増加しないので、ファームウエアサイズの小型化、低コスト化、さらに、光ディスク装置の全体のコストダウンと、高速な装置が実現される。
【0118】
請求項4の光ディスクの回転モータ制御装置では、請求項1から請求項3の回転モータ制御装置を備えた記録可能な光ディスク装置であって、記録されたデータ信号に同期して回転モータの回転制御を行うデータ同期回転制御回路と、データ信号に位相同期する位相同期回路と、位相同期回路が同期状態にあることを検出してロック信号を出力する同期検出回路とを、第1のデジタル信号処理LSIに内蔵させ、その他の処理手段は、第2のデジタル信号処理LSIに内蔵させるようにしている。
したがって、DECモードの制御自体は、CD−DSPに任せることができ、CD−Rチップ側に内蔵しなくてもよいので、CD−R用制御チップのコストの低減化が達成される。
また、制御モードの自動切り換えによって、常に安定な回転制御ができると共に、切り換えに伴うCPUの負担も増加しないので、ファームウエアサイズの小型化、低コスト化、さらに、光ディスク装置の全体のコストダウンと、高速な装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光ディスクの回転モータ制御装置について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】CD−Rディスクのドライブ装置のための機能が集積された1チップLSIについて、その要部構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】CD−Rディスクのドライブ装置のための機能が集積された1チップLSIについて、その要部構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図4】図2に示した回転モータ制御装置20において、そのインターフェース信号を示す図である。
【図5】TON信号とDPLMSK信号レジスタの一例を示す図である。
【図6】SVMODE信号レジスタの一例を示す図である。
【図7】KICDAT信号レジスタの一例を示す図である。
【図8】FGMTH信号とFGMTL信号レジスタの一例を示す図である。
【図9】スピンドルモータのサーボモードについて、マニュアルモードの設定の一例を示す図である。
【図10】スピンドルモータのサーボモードについて、オートモードの設定の一例を示す図である。
【図11】この発明の回転モータ制御装置について、記録データがある場合のFG/DEC/WBLモードの動作を説明するタイムチャートである。
【図12】WBLモードの回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図13】この発明の回転モータ制御装置について、FG/DECオートモードの動作を説明するタイムチャートである。
【図14】FGモードの回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図15】CDエンコーダのインターフェース回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図16】この発明の回転モータ制御装置について、記録データがない場合のFG/WBLモードの動作を説明するタイムチャートである。
【図17】FGモードにおけるゲイン補正回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図18】WBLモードにおけるゲイン補正回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図19】WBLモードにおけるループゲイン特性の一例を示す図である。
【図20】この発明の回転モータ制御装置について、記録データがない場合のFG/DEC/WBLモードの動作を説明するタイムチャートである。
【図21】AXモードの回路について、その要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図22】AXモードの回路構成について、その要部構成の他の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図23】書き込み開始時におけるFG/WBLモードの動作を説明するたるのタイムチャートである。
【図24】書き込み終了時におけるFG/WBLモードの動作を説明するたるのタイムチャートである。
【図25】光ディスクドライブについて、その要部構成の一例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
20 回転モータ制御装置
21 クロックジェネレータ
22 クロックシンセサイザ
23 CIRCエンコーダ
24 サブコードオペレータ
25 セクタプロセッサ
31 モータ制御回路
32 CD−DSP LSI
32a デコードPLL
32b 周波数制御部
32c EFM同期ロック部
32d CLV制御部
33 モータドライバ
34 フィルタ
35 スイッチ
36 途中スイッチ
Claims (2)
- 記録可能な光ディスク装置における回転モータ制御装置であり、
ディスクの案内溝の蛇行に対応して生成される蛇行信号に基づいて回転モータの回転制御を行う蛇行同期回転制御回路と、
前記案内溝の線方向に所定距離ごとに、案内溝の蛇行として配置されているアドレス同期信号を検出する同期信号検出回路と、
前記アドレス同期信号と基準クロック信号との位相を比較する位相比較器と、前記位相比較器の比較結果に応じた周波数を有する基準信号を出力する可変周波数発振器とを有し、該基準信号を蛇行同期回転制御回路に供給するアドレス同期回転制御回路とを備え、
前記蛇行同期回転制御回路は、
記録開始アドレスの所定位置だけ手前までは、蛇行信号に基づいて回転モータを制御し、該記録開始アドレスの所定位置だけ手前から記録動作中にかけては、蛇行信号および基準信号に基づいて回転モータを制御することを特徴とする回転モータ制御装置。 - 請求項1記載の回転モータ制御装置を備えた記録可能な光ディスク装置であって、
記録されたデータ信号に同期して回転モータの回転制御を行うデータ同期回転制御回路と、
前記データ信号に位相同期する位相同期回路と、
前記位相同期回路が同期状態にあることを検出してロック信号を出力する同期検出回路とが、第1のデジタル信号処理LSIに内蔵され、
その他の処理手段は、第2のデジタル信号処理LSIに内蔵されていることを特徴とする光ディスク装置。
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