JP3687046B2 - 電子装置 - Google Patents
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Description
本発明は、アナログ信号処理技術さらにはアナログデータ信号をディジタルデータ信号に変換する信号処理システムに関し、例えば磁気ディスクから読み出した信号を処理するハードディスクドライブ装置に利用して有効な技術に係わり、特に読み出し信号や書き込み信号を生成するリードチャネルの高速化かつ低消費電力化、さらには図11に示されるように、ハードディスク装置を含む電子装置の高速化、小型化、経済化に有効な技術に関するものである。
背景技術
近年の情報化社会の進展に対応して、各種情報やデータをディジタル化して記録するための記録装置には、より一層の高速化と大容量化が求められている。このような要求に応える記録装置の一つにハードディスク装置がある。
ハードディスク装置は、例えば図12に示されているように、磁気ヘッドHDを駆動して2値化されたディジタルデータを磁気記録ディスクに書き込むためのパルス電流を生成するライトアンプと磁気ヘッドHDを介して読み出したデータ信号を増幅するリードアンプを含むリード/ライト実行部11、該リード/ライト実行部11により読み出されたデータの照合等を行なう信号処理部12、データを外部装置とのデータ授受に適した形式にフォーマット変換する等の機能を有したフォーマット制御部13、ディスク回転軸を駆動するスピンドルモータSPMや磁気ヘッドを保持するアーム(ピックアップ)を移動させるボイスコイルモータVCMを制御してディスク回転数やヘッドの位置を調整するサーボ制御部14、ホストコンピュータ20等の外部装置との接続やディスク装置全体の制御を行なうディスクコントロール部15等から成る。
このうちディスクから読み出されたデータの照合等を行う信号処理部12は、ディスクの読み出し/書き込み速度を左右するため特に高速信号処理が要求されるので、アンプやフィルタ、アナログ/ディジタル変換器(以下、A/D変換器と記す)などからなるアナログ信号処理回路(リードチャネルと呼ばれる)とディジタル信号処理回路とを最適に混載させた半導体集積回路(以下、リードチャネルLSIと称する)で実現される。
図13は、リードチャネルLSIに内蔵されている機能ブロックのうちリード処理側の概略構成例を示す。
可変利得増幅回路VGAは読み出し信号の増幅回路で、磁気ヘッド等が持つ非線形の電磁気特性で劣化減衰した読み出し信号の振幅を、所定の振幅レベルに可変増幅する機能回路である。
フィルタ回路FILは、後段のA/D変換器ADCにおけるA/D変換動作に伴って生じる折り返し雑音を前もって除去するとともに、読み出し信号から最大限の有効情報を引き出すために、ディスクの内周部と外周部とで異なるデータレートに応じてカットオフ周波数をこまめに、具体的には概略1MHz程度の間隔で切り替えることが要求される。
ディジタル信号処理部DSPでは、読み出した信号の振幅レベルやデータ速度等の検出を行ない、書込みデータと読み出した信号との照合がとれるように上記可変利得増幅回路VGAやフィルタ回路FILへの制御情報、A/D変換器のサンプリングクロック等のタイミング情報を生成して、同一半導体集積回路内のタイミングコントロール回路部TGC又は外部のマイコン等のコントロールLSIに供給し、これらを介して例えば検出されたレベルが所望の値になるように、利得可変増幅回路VGAがフィードバック制御される。
また、A/D変換器ADCのサンプリングクロックの周波数や位相は、上記データレート検出信号に基づいて上記タイミングコントロール回路部TGCに設けたシンセサイザ又は位相ロックトループ(PLL:Phase Locked Loop)回路を制御することによって調整される。
ところで、上記した機能回路を含む従来のリードチャネルLSIは、各機能回路が電圧入力・電圧出力の回路構成で実現されている。例えば、A/D変換回路について言えば、第1の文献;アイ・エス・エス・シー・シー98、ダイジェスト オブ テクニカル ペーパー、セッション9に発表された3件、エフ・エー9.6〜9.8、1998年2月(ISSCC98,Digest of Technical Papers,February 1998,FA 9.6-9.8)に示されているように、いずれも入力アナログ信号は電圧である。
一方、フィルタ回路に関しては、高周波特性に優れ、低電源電圧を用いて低消費電力で実現できる非サンプリング(コンティニュアス・タイム)型電流駆動フィルタ回路が近年多く用いられている。しかし、その多くは入力・電圧を電流に変換し、その電流をキャパシタCに充放電させて電圧に変換するいわゆるgm−C回路又はOTA(Operational Transconductance Amplifier)−C回路で実現されている。この例としては第2の文献;アイ・イー・イー・イー、ジャーナル オブ ソリッドステートサーキッツ、32巻4号、499ページから512ページ、1997年4月(IEEE Journal of Solid-State Circuits,VOL.32,NO.4,April 1997,pp.499-513)等がある。
また、電流駆動タイプのフィルタ回路の他の方式としては、電流ミラー回路を1次完全積分回路及び係数回路として用いたものが提案されており、該1次完全積分回路又は係数回路の入力信号及び出力信号は電流とされている。
しかし、それらの基本回路を組み合わせて構成したリードチャネルLSIに必要な高次フィルタ、具体的には7次のローパス・フィルタ等に対する入力信号としては電圧信号が用いられており、電圧/電流変換回路を上記フィルタの前段に付加している。この例としては、第3の文献;アイ・イー・イー・イー、ジャーナル オブ ソリッドステートサーキット、33巻3号、427ページから438ページ、1998年3月(IEEE Journal of Solid-State Circuits,VOL.33,NO.3,March 1998,pp.427-438)等がある。
さらに、上記公知文献には記載されていないが、フィルタ回路からの電流出力信号を前述の電圧入力型のA/D変換回路に供給するには、フィルタ回路とA/D変換回路との間に電流/電圧変換回路が不可欠である。
しかしながら、上記した従来のアナログ・フロント・エンド部の構成には、次のような問題がある。すなわち、各機能回路内部又は回路間に電圧/電流変換又は電流/電圧変換回路を複数個設ける必要があり、それによって、回路規模並びに消費電力の増加を招く。しかも、さらに大きな問題となるのは、電圧/電流変換に伴なって信号振幅及び周波数帯域の劣化、信号の位相ずれが生じ、今後さらに要求が高まるハードディスクドライブ装置の高速化に対応することが難しくなることである。
さらに、フィルタ回路に用いられる完全積分回路は、電源電圧で制限されない範囲においてその入出力電流利得が信号周波数に逆比例する特性を有するため、フィルタ回路の設計は比較的容易である。しかし反面、完全積分回路は、例えば直流電流の入力または意図しない入力オフセットの発生があると、利得が無限大になって出力信号が飽和するため、単独ではフィルタ回路として使用できず、安定化のためには別に帰還回路が必要である。したがって、1次の完全電流積分回路はその内部に帰還パスを有するほか、1次フィルタ回路としても別に帰還回路を有するため、高次のフィルタを実現するにはより多数のトランジスタと消費電力が必要となる。
本発明の目的は、回路規模並びに消費電力の増加を招くことなく高速・高周波動作でアナログ信号処理が可能な電子装置を実現し、例えば磁気ディスクのリード・ライト信号を処理する高速・低消費電力のリードチャネルLSIを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記した高速動作のリードチャネルLSIを用いて、市場の高速化要求に応えることができるハードディスクドライブ装置、ひいてはハードディスク装置の実現に寄与することにある。
この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
発明の開示
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
即ち、アナログデータ信号をディジタルデータ信号に変換する信号処理システムにおいて、システムを構成するフィルタ回路として電流入力・電流出力型の回路を、またA/D変換器として電流入力型の回路を用いるとともに、フィルタ回路の前段には受信したアナログ入力信号を電流に変換して出力する電圧/電流変換回路(もしくは電圧入力・電流出力型増幅回路)を設けるようにした。さらに、上記フィルタ回路は、不完全電流積分回路を用いて構成するようにした。
上記した手段によれば、電圧入力・電圧出力型のフィルタ回路および電圧入力型のA/D変換器を用いたシステムに比べて高周波数特性が向上する。また、フィルタ回路の前段に電圧/電流変換回路を設けるとともに、フィルタ回路を電流出力型とし、A/D変換器を電流入力型としているため、フィルタ回路とA/D変換器との間に電圧/電流変換回路を設ける必要がなく、システム全体を簡略化することができ、消費電力を低減することができる。しかも、従来のように電流入力・電圧出力型のフィルタ回路を用いるシステムでは高次のフィルタ回路を構成する場合に1次や2次の低次のフィルタを組み合せて構成するが、その場合各フィルタ間に電圧/電流変換回路が必要になるのに対し、本発明では電流入力・電流出力型のフィルタ回路を用いているため高次フィルタ回路を構成する場合に電圧/電流変換回路が不要となり、その分消費電力が少なくて済むようになる。
また、本発明をハードディスクドライブ装置に適用する場合には、図1に例示されるように、リードアンプの出力信号すなわちリードチャネルLSIへの入力信号が電圧信号であることを前提に、リードチャネルLSIのアナログ信号処理部の初段に設けられる可変利得増幅回路VGAに電圧/電流変換手段を設け、可変利得増幅回路VGAの出力電流信号の振幅を上記した外部のマイクロコンピュータ等からレジスタREGの設定値を書き換えることによって制御できるようにし、かつ可変利得増幅回路VGAの出力電流信号を後段の電流入力・電流出力型フィルタ回路の入力端子に直接入力できるようにした。
また、高速A/D変換回路の変換精度劣化を最小限に抑えるために必要とされるトラック・ホールド回路(サンプル・ホールド回路とも呼ばれる)を電流信号トラック・ホールド回路とし、前段の電流入力・電流出力型フィルタ回路の出力電流信号をA/D変換回路に直接入力できるようにした。これらにより、上記各機能回路からの出力信号の振幅や周波数帯域の劣化を最小限に抑えることが可能である。
また、上記電流入力・電流出力型フィルタ回路を、内部に帰還パスを有しない1次不完全積分回路を係数回路として用いて構成した。不完全積分回路は、受動型素子である抵抗と容量からなるローパスフィルタと同様に、直流電流入力に対しては出力が一定値に収束するから単体でも安定な1次フィルタを実現できる。これにより、高次のフィルタを実現するのに、従来のフィルタ回路のように積分回路内に帰還パスを有する1次完全積分回路を用いるのに比較して、大幅にトランジスタ数を減少させ、かつ消費電力を低減することが可能である。
なお、上記した手段の説明に含まれる可変利得回路、電圧/電流変換回路、電流積分回路、フィルタ回路及び電流信号トラック・ホールド回路の具体的な構成例は、後述の実施形態の説明の中において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係るハードディスク装置に用いられるリードチャネルLSIのブロック構成図、
図2は、リードチャネルLSIを構成する電圧/電流変換回路を示す回路図、
図3は、リードチャネルLSIを構成する電圧/電流変換回路の実施例とバイアス電流回路を示す回路図、
図4は、リードチャネルLSIを構成する電圧/電流変換回路の電流オフセット補償回路を示す回路図
図5は、図3に示した電圧/電流変換回路のシミュレーション結果を示す入力・電圧−ドレイン電流特性図、
図6は、不完全電流積分回路を用いて構成される2次フィルタ回路のブロック構成図、
図7は、不完全電流積分回路を用いて構成される1次フィルタ回路のブロック構成図、
図8は、不完全電流積分回路を用いて構成される等リップル7次ローパスフィルタ回路のブロック構成図、
図9は、図8に示されている7次ローパスフィルタ回路の解析シミュレーション結果を示す群遅延および電流利得の周波数特性図、
図10は、A/D変換器用電流トラック・ホールド回路の回路図、
図11は、本発明に係る電子装置のブロック構成図、
図12は、本発明に係るハードディスクドライブ装置の構成例を示すブロック図、
図13は、従来のハードディスク用リードチャネルの機能を示すブロック構成図、
図14は、従来の電圧/電流変換回路の一例を示す回路図、
図15は、従来の電圧/電流変換回路の他の例を示す回路図、
図16は、本発明装置を構成する電流入力・電流出力型フィルタに用いた不完全積分回路の回路図、
図17は、従来の完全電流積分回路の一例を示す回路図、
図18は、完全電流積分回路を用いて構成される従来の2次フィルタ回路のブロック構成図、
図19は、完全電流積分回路を用いて構成される従来の1次フィルタ回路のブロック構成図である。
発明を実施するための最良の形態
図1は本発明を適用して有効なハードディスク装置に用いられるリードチャネルLSI10の構成の一例をブロック図で示したものである。
VGAは磁気ディスクからの読み出し信号を増幅する可変利得増幅回路で、磁気ヘッド等が持つ非線形の電磁気特性で劣化減衰した読み出し信号の振幅を、所定の振幅レベルに可変増幅する機能を有する。FILは、後段のA/D変換器ADCにおけるA/D変換動作に伴って生じる折り返し雑音を前もって除去するとともに、読み出し信号から最大限の有効情報を引き出すためのフィルタ回路である。
DSPは、読出し信号レベルやデータレート等の検出を行ない、書込みデータと読み出した信号との照合がとれるように上記可変利得増幅回路VGAやフィルタ回路FILへの制御情報、A/D変換器ADCのサンプリングクロック等のタイミング情報を生成するディジタル信号処理回路である。
また、TGCは上記ディジタル信号処理回路DSPからの制御情報に基づいて上記可変利得増幅回路VGAやフィルタ回路FIL、A/D変換器ADCに対する制御信号を形成し出力するタイミングコントロール回路部で、その制御信号により例えば利得可変増幅回路VGAは検出されたレベルが所望の値になるようにフィードバック制御される。一方、フィルタ回路FILは、タイミングコントロール回路部TGCからの制御信号によりディスクの内周部と外周部とで異なるデータレートに応じてカットオフ周波数が概略1MHz程度の間隔で切り替えられる。
さらに、A/D変換器ADCは、タイミングコントロール回路部TGCによりサンプリングクロックφsのタイミングが調整されることによって読出し信号波形のサンプリングポイントのずれが補正される。
また、この実施例では、上記可変利得増幅回路VGAに付随してレジスタREGが設けられており、可変利得増幅回路VGAは、その出力電流信号の振幅が、外部のマイコン等からレジスタREGの設定値を書き換えることによって制御されるように構成されている。同様に、上記フィルタ回路FILに対しても外部のマイコン等から設定値を書き換えることができるレジスタを設けて、そのレジスタの設定値によりフィルタ回路のカットオフ周波数等の周波数特性を変えることができるように構成してもよい。
特に制限されるものではないが、上記可変利得増幅回路VGAとレジスタREG、フィルタ回路FIL、A/D変換器ADC、ディジタル信号処理部DSPおよびタイミングコントロール回路部TGCは、単結晶シリコン基板のような1個の半導体チップ上において半導体集積回路として形成される。また、図示しないが、上記リード系の回路の他、磁気ヘッドHDを駆動してディスクに対する書込みを行なうライトアンプに供給する書込み信号を形成して出力するライト系の回路も同一の半導体チップ上に形成される。
図1のシステムにおいては、磁気記録されたディスクの情報は、例えば磁気抵抗素子を用いた磁気ヘッド(以下、MRヘッドと称する)HDによって電気信号に変換され、リードアンプ11によって増幅される。このリードアンプ11の出力信号は一般に電圧信号である。
この実施例のリードチャネルLSIでは、上記リードアンプ11の出力信号すなわちリードチャネルLSIの入力信号が電圧信号であるのに対応して、その信号が入力される可変利得増幅回路VGAとして、例えば図2〜図4に示すような電圧入力・電流出力型増幅回路を用い、可変利得増幅回路VGAの出力電流信号を後段のフィルタ回路FILに直接入力できるように構成されている。また、フィルタ回路FILとして図6〜図8に示すような電流入力・電流出力型のフィルタ回路を用いている。
さらに、A/D変換器ADCは、高速動作時における回路の変換精度劣化を最小限に抑えるために、図10に示すような電流信号トラック・ホールド回路を用い、前段の電流入力・電流出力型のフィルタ回路FILの出力電流信号をA/D変換器ADCに直接入力できるように構成されている。
以上のように電流入力・電流出力型の増幅回路とフィルタ回路を用いることにより、上記各機能回路からの出力信号の振幅や周波数帯域の劣化、信号の位相ずれを最小限に抑えることが可能となる。
なお、可変利得増幅回路VGAとして図2に示されているような電圧入力・電流出力型増幅回路を用いる代わりに、利得可変な電流増幅回路の前段に電圧/電流変換回路を設けた構成とすることも可能である。
ところで、電圧/電流変換回路としては、以下のような従来技術が知られている。
図14は従来技術による電圧/電流変換回路の第1の例である。この回路は、正負対称の電圧入力信号Vin+,Vin-に対して、それぞれドレイン端子がカレントミラー回路CMに接続され互いにゲート・ソース間のバイアス動作点が異なり飽和領域動作する2つのMOSトランジスタM1とM3、M2とM4のドレイン電流をそれぞれ合成し、正電圧入力信号Vin+に対応してM1,M3に流れる電流から負電圧入力信号Vin-に対応してM4,M2に流れる電流を差し引くように構成されている。これによって、電圧入力信号Vin+,Vin-に対する線形の電流出力信号Ioutを得ることができる。
なお、電流出力信号Ioutの振幅は、M1,M3のゲート間およびM2,M4のゲート間のバイアス電位差VBの値で制御される。このような回路に関しては、第4の文献-IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS,VOL.26,NO.9,SEPTEMBER 1991,pp1293-1301等に記載がある。
また、図15は前記第3の文献に記載された従来技術による電圧/電流変換回路の第2の例である。
この回路は、正負対称の電圧入力信号Vin+,Vin-に対して、それぞれ互いにドレイン・ソース間のバイアス動作点が異なりトライオード領域(非飽和領域)で動作する2つのMOSトランジスタM1とM2、M3とM4のドレイン電流を合成し、正入力・電圧信号Vin+に対応してM1,M4に流れる電流から負入力・電圧信号Vin-に対応してM2,M3に流れる電流を差し引くことによって、電圧入力信号に対する線形の電流出力信号Ioutを得ることができる。なお、出力電流の振幅は、M1〜M4のドレイン側に直列形態に挿入されたMOSトランジスタM5〜M8のゲート端子に印加されているバイアス電圧VwpとVwnの差電圧値で制御される。
しかしながら、上記従来の電圧/電流変換回路は、いずれも線形出力電流信号は正負対称の電圧入力信号に対するドレイン電流の差分として得られるものであり、単相の電圧入力信号では十分な線形性が得られない。電流の差分を得るためには、正負電流信号のいずれか一方を反転して加算する必要がある。例えば、電流反転加算の最も簡易で実用的な回路はカレントミラー回路を用いる形式であるが、信号の一方のみを反転することは、交流信号、特に高周波領域の信号に対しては信号間の遅延差を生じ、正負電流信号間の正確な差分を得ることができない。そこで、図14および図15の回路では、差動入力形式としているが、それによって回路の構成素子数が多くなる。
また、高速・高周波回路をMOSトランジスタで実現する場合、可能な限りPチャネルトランジスタより高速のNチャネルトランジスタのみを用いて構成するのが一般的であるが、上記した従来回路では正負信号の差分をとるための反転加算回路としてのカレントミラー回路にPチャネルトランジスタを用いらざるを得ないため、高周波領域での適用に制限がある。つまり、回路の動作帯域が制限されてしまう。
図2は上記した従来技術の問題点を解決するためになされた本発明に係る電圧/電流変換回路の第1の実施例である。第1の定電流源(電流値IB)と、ゲートに固定電位(VGC)が印加された第1のMOSトランジスタM1と、ゲートが上記MOSトランジスタM1のドレインに接続された第2のMOSトランジスタM2が電源電位と接地電位間に直列形態に接続されている。そして、上記第1の定電流源およびトランジスタM1,M2と並列に、第2の定電流源(電流値IB)と、ゲートに上記と同じ固定電位(VGC)が印加された第3のMOSトランジスタM3と、ゲートが上記MOSトランジスタM2のゲートに接続された第4のMOSトランジスタM4が電源電位と接地電位間に直列形態に接続されてカスコード・ミラー回路が構成されている。
このカスコード・ミラー回路に対して、上記MOSトランジスタM2と並列に接続されゲートに電圧入力信号Vinが入力されるようにされた第5のMOSトランジスタM5を設けることにより、MOSトランジスタM3のドレインから入力信号Vinに対応した電流信号Ioutを得るように構成されている。ここで、ゲートにバイアス電圧VGCが印加されたMOSトランジスタM1とM3は、回路の周波数特性を伸ばす働きがある。
上記のカスコード・ミラー回路は、例えば図16に示されているような電流積分回路への応用例として、前記第3の公知文献において紹介されている。すなわち、図16の積分回路では、図2のMOSトランジスタM2に対応したトランジスタM2のゲートと接地電位間に容量C1が接続され、MOSトランジスタM1のドレインに入力された電流Iinが上記容器C1によって積分され、MOSトランジスタM3のドレインから電流出力Ioutを得るようにしている。
この従来の電流積分回路では、入力電流IinがMOSトランジスタM1のドレイン側に入力されており、この入力電流Iinの変化によってMOSトランジスタM1のドレイン電位が例えば高い値に変動すると、M2のドレイン電圧すなわちMOSトランジスタM1のソース電位が低くなり、このフィードバック作用によりMOSトランジスタM1のドレイン電位の変化を減少させるように動作することによって、電流入力部のインピーダンスを小さくできる。言い換えると、MOSトランジスタM1とM2からなる入力部のコンダクタンスを大きくすることができ、これによって高周波特性が改善される。ここで、上記回路の積分容量C1を除けば電流反転アンプとして使用できることが分かる。
図2の実施例の電圧/電流変換回路は、MOSトランジスタM1のソース電位がドレイン電位よりも低インピーダンスで安定した値に維持される。しかも、前記公知例(図16)のような積分回路として使用する場合には、MOSトランジスタM1のソース電位が低過ぎるため電流入力点としては使用しにくいが、そのM1のソース電位が低いという特徴が電圧/電流変換回路には好適である。
つまり、図2の実施例回路においては、MOSトランジスタM2と並列に接続されたMOSトランジスタM5のゲートに電圧入力信号Vinが入力されており、このMOSトランジスタM5のゲート電圧信号Vinは、MOSトランジスタM5をリニア特性を示す非飽和領域(トライオード領域)で動作させるのに必要十分な範囲で比較的高めの電圧であることを必要とするが、ドレイン電位が低いほどゲート電圧信号を低くすることができる。そのため、本発明の目的を達成する上では最適である。すなわち、図2の回路形式によれば、電圧/電流変換回路全体、ひいてはこの電圧/電流変換回路を含んで構成されるリードチャネルLSI全体の電源電圧を下げて消費電力を低減することができる。
ところで、非飽和領域で動作する上記MOSトランジスタM5のドレイン電流ID5とドレイン電圧VD5、ゲート電圧Vinの関係は次式、
-ID5=K5{(Vin−Vth5)VD5−VD52/2}
=K5VD5Vin−K5VD5(Vth5+VD5/2)−−(1)
で表わされる。ここで、Vth5はトランジスタM5のしきい値電圧、K5はトランジスタM5のトランスコンダクタンス定数である。この定数K5は、M5のチャネルコンダクタンス・フィッティングパラメータをβo、ゲート幅をW、ゲート長をLで表わしたときに、K5=βo・(W/L)で与えられる。
一方、トランジスタM2のドレイン電流ID2は
-ID2=IB-ID5 −−−−−−−−(2)
である。この電流ID2は、M2とM4が同一サイズで同一特性のトランジスタのとき、ミラー電流としてM4にコピーされるから-ID2=ID4であり、式(2)より
-Iout=IB-ID4=ID5 −−−−−−−−(3)
となることが分かる。さらに、Vin=VIB+vin(ただしVIBは直流バイアス電圧、vinを交流信号成分)とすれば、対応する電流信号ID5は、上記式(1)より次式のように書き表せる。
ID5B+iD5=K5VD5(VIB−Vth5−VD5/2)+K5VD5vin−−(4)
したがって、M5のドレイン電圧VD5が一定値ならば、ドレイン電流ID5の交流信号成分iD5はゲート電圧Vinの交流信号成分vinに完全に比例することが分かる。すなわち、
-iD5=K5VD5vin −−−−−−−−(5)
である。また、M5のドレイン電圧VD5はM1のゲート電位VGCを変化させることによって任意に変えることができるので、図2の電圧/電流変換回路の利得はバイアス電圧VGCによって所望の値に可変することが出来る。
以上より、図2の電圧/電流変換回路は、正負入力電流信号の差分をとることなく、単相電圧入力信号でも十分な線形性の電流出力を得ることができ、かつ高速・高周波動作が可能となる。
すなわち、カスコード・ミラー回路を用いることにより、上記第1のMOSトランジスタM1のソースを低インピーダンスに、つまり、電流の変化に対して電位の変化を小さく抑えることができるので、非飽和領域で動作する第5のMOSトランジスタM5のゲート電圧信号をVinを直接的かつ線形的に電流信号Ioutに変換できる。
また、それによって、正負対称の電流信号を反転加算させるためのカレントミラー回路等が不要となり、かつ信号経路のトランジスタはNチャネルMOSトランジスタだけで構成されるので、高速・高周波領域への適用が容易である。さらにまた、この実施例の電流/電圧変換回路はMOSトランジスタのみで構成できるから、安価な論理専用LSIプロセスで実現することができる。
なお、図2には示されていないが、バイアス電圧VGCを変える手段は容易に得ることができる。例えば外部からの制御信号によってレジスタの値を変更し、その値に対応した電圧を発生させるディジタル/アナログ変換回路を用いて構成することができる。あるいは、複数の定電流源の電流IBを、選択スイッチ等を介して所定の抵抗回路に供給して電圧を発生させて上記バイアス電圧VGCとするとともに、レジスタの設定値に対応して上記
電流IBの値を選択することでVGCを変えるように構成してもよい。また、電圧/電流変換回路の利得制御は、MOSトランジスタM1のゲート電圧VGC以外に、バイアス電流IBを変えることによっても実現できる。
図3は、図2の基本構成回路を応用して正負対称の電圧/電流変換信号すなわち作動出力電流を得ることができる具体的な回路構成例を示したものである。図2の基本構成回路では、前記式(4)からも分かるように、出力電流Ioutには直流成分ID5Bが含まれており、この直流成分は式(4)および式(5)より次式、
ID5B=K5VD5(VIB−Vth5−VD5/2) −−−−−(6)
にて表わされることが分かる。かかる直流成分は次段の回路(図1のシステムではフィルタ回路)に対して入力オフセットとなる。
そこで、図3の実施例では、図2における電圧/電流変換回路の定電流IBを流す定電流用トランジスタ(MB8〜MB11,MB14〜MB17)のバイアス電圧を発生するバイアス回路部21を工夫することにより、出力電流Ioutの直流成分をなくすようにした。
すなわち、図3の実施例においては、電源電圧端子間に直列形態に接続されたMOSトランジスタMB1〜MB3からなるプリバイアス段と、同じく電源電圧端子間に直列形態に接続されたMOSトランジスタMB4〜MB7からなり前記MB1とMB4とがカレントミラー接続された主バイアス段と、MB4のドレイン電圧が反転入力端子に印加されMB1ドレイン電圧が非反転入力端子に印加されてMB5のゲート電圧を発生する作動アンプAMPBとによって、バイアス回路部21が構成されている。そして、MB1のドレイン端子と接地端子との間にバイアス定電流IB2を流す定電流源を設けるとともに、ゲートにVGCが印加された定電流用トランジスタMB2とゲートにVIBが印加された定電流用トランジスタMB3のカスコード構成により、MB3のドレイン電位が概ね入力トランジスタM5のドレイン電位と等しくなるようにして、上記の式(6)で表わされた直流電流を出力電流+Iout及び-Ioutから差し引いてキャンセルできるようにしている。
なお、上記作動アンプAMPBと主バイアス段(トランジスタMB4〜MB7)は、特に限定されるものではないが、電源電圧AVDDの変動や周囲温度の変化及び入力電流信号に対して、信号変換部22,23とオフセット調整部24,25の定電流源M8〜M19の電流値を安定化させるためのものである。この実施例においては、図2の電圧/電流変換回路の定電流源を、各々直列形態に接続された2個のPチャネルMOSトランジスタにより構成して定電流特性を向上させている。
信号変換部は、正信号変換部22と負信号変換部23とからなり、これらの信号変換部は、それぞれ前述した図2の電圧/電流変換回路に対応した構成を有する。また、オフセット調整部24,25は、後述する図4の電流オフセット補償回路と組み合わせて、出力電流Ioutの直流成分をさらに高精度にキャンセルするためのものである。このキャンセル動作については、以下に詳細に述べる。
オフセット調整部24は電源電圧端子間に直列形態に接続された4個のMOSトランジスタMB12,MB13,M6,M7により構成され、各々信号変換部22を構成するMOSトランジスタMB10,MB11,M3,M4のゲート電圧と同一の電圧がゲートに印加されており、これによってM6のドレインからは正信号変換部22の出力電流+Ioutと同じ電流が出力される。また、M16のドレインからは負信号変換部の出力電流-Ioutと同じ電流が出力される。また、オフセット調整部25は電源電圧端子間に直列形態に接続された4個のMOSトランジスタMB18,MB19,M16,M17により構成され、各々信号変換部23を構成するMOSトランジスタMB16,M17,M13,M14のゲート電圧と同一の電圧がゲートに印加されており、これによってM16のドレインからは負信号変換部23の出力電流-Ioutと同じ電流が出力される。
これらの出力はともに直流オフセットのモニター電流+Iofs,-Iofsとして、それぞれ図4の電流オフセット補償回路に供給される。上記各出力電流+Iout,-Iout,+Iofs,-Iofsが出力される端子と接地端子との間には、上記電流オフセット補償回路からのオフセット調整信号+VOF,−VOFによりゲートが制御されるMOSトランジスタM18〜M21が接続されている。
図4の電流オフセット補償回路は、MOSトランジスタMC1〜MC7で構成された第1のカスコード・ミラー回路31と、MC8〜MC14で構成された第2のカスコード・ミラー回路32と、MOSトランジスタMC15と定電流源ICで構成されたバイアス回路33と、MOSトランジスタMC16〜MC20からなる差動アンプ34とによって構成されている。そして、この差動アンプ34は、上記バイアス回路33のMOSトランジスタMC15とカレントミラー接続されて定電流源ICに流れる電流と同一のバイアス電流が流されるMOSトランジスタMC16と、ソース共通結合されたMOSトランジスタMC17,MC18と、カレントミラー結合されたMOSトランジスタMC19,MC20とによって構成されている。
第1のカスコード・ミラー回路31において、トランジスタMC3のドレインと接地電位との間に接続された素子MC21は、MOSトランジスタのゲート容量を利用した容量素子で、モニター電流+Iofsまたは-Iofsに含まれる交流信号成分を除去する素子として機能する。また、第1及び第2のカスコード・ミラー回路31,32は、前述した図16の電流積分回路とは異なって、MC5及びMC12のドレイン電圧VC5、VC12を、それぞれ差動アンプ34を構成する入力MOSトランジスタMC17,MC18のゲートに出力する。
図3の回路において、正負の出力電流+Iout及び-Ioutに直流オフセット電流が含まれていると、オフセット調整部24,25の出力+Iofs及び-Iofsは出力電流+Iout及び-Ioutに含まれる直流オフセット電流の値となる。図4の第1のカスコード・ミラー回路31にはこのオフセット電流+Iofsまたは-Iofsが入力され、一方、第2のカスコード・ミラー回路32には入力が無い、つまり入力電流が0であるため、差動アンプ34の入力MOSトランジスタMS17とMS18のゲート間に電位差が生じる。
今仮に、オフセット電流+Iofsが正の場合を考えると、MC5及びMC12のドレイン電圧はVC5<VC12となり、差動アンプ34の出力であるMC19のドレイン電位+VOFはMC20のドレイン電位より高い値となる。この出力電位+VOFは、図3の回路のオフセット調整用MOSトランジスタM18とM20のゲートにフィードバックされ、各出力電流+Ioutと+Iofsから出力電位+VOFの電位に応じた電流が引かれることによって差動アンプ34の入力電位が等しくなる。つまりVC5=VC12となるように動作する。オフセット電流+Iofsが負の場合には、上記とは逆にフィードバックにより各出力電流+Ioutと+Iofsに出力電位+VOFの電位に応じた電流を流し込むことによって差動アンプ34の入力電位が等しくなるように動作する。出力電流-Iout及び-Iofsについても上記と同様である。
図5には、図3の電圧/電流変換回路のゲート電圧VGCを変化させて利得を変化させたときの入力電圧Vinと出力電流Ioutを確認したシミュレーション結果が示されている。図5において、実線Aは利得が72μS(マイクロジーメンス)のときの入出力特性、破線Bは利得が59μSのときの入出力特性、点線Cは利得が42μSのときの入出力特性、一点鎖線Dは利得が27.5μSのときの入出力特性、二点鎖線Eは利得が7.4μSのときの入出力特性である。同図より、実施例の電圧/電流変換回路は、利得が0〜45μS以上の範囲に亘って良好な変換特性(直線性)が得られることが分かる。
なお、電圧/電流変換回路の利得制御は、ゲート電圧VGC以外に、バイアス電流IB2を変えることによっても実現できる。つまり、図3の回路において、信号変換部22,23のバイアス電流(図2の定電流IBに相当)はMOSトランジスタMB8,MB10,MB14,MB16によって与えられるが、これらのトランジスタはバイアス回路部21のMOSトランジスタMB1とカレントミラー接続されており、このMB1に流れる電流はこれと直列に接続されたMOSトランジスタMB2のドレイン電流と上記バイアス電流IB2との和であるので、MB2のゲート電圧VGCを変えなくてもバイアス電流IB2を変えることによってMB1の電流すなわち信号変換部22,23のバイアス電流を変えることができる。その結果、電圧/電流変換回路の利得を変えることができる。
次に、図1のリードチャネルを構成するフィルタ回路FILについて説明する。
図17は前記第3の文献に紹介されている公知の完全電流積分回路を示す。この完全電流積分回路は、図16の不完全電流積分回路を2つ設け、正負対称の電流入力信号+Iin,-Iinを用いてそれぞれの積分回路のキャパシタCIで積分し、各々その第1のミラー電流出力+If,-Ifを反対側の入力ノードに互いにフィードバックさせるように構成したものである。これによって、各積分回路の第2のミラー電流出力+Iout,-Ioutは入力電流に対して完全に積分されたものとなる。
すなわち、MOSトランジスタM1とM3とM5、M2とM4とM6のサイズをそれぞれ等しくし、かつトランジスタM1とM3とM5を介して供給される各定電流バイアス値IBを等しくすると、上記MOSトランジスタM2、M4及びM6のチャネルコンダクタンスgmは等しい値になる。従って、フィードバック電流Ifと出力電流Ioutの入力電流Iinに対する電流利得は等しくなり、次式
Iout/Iin=−gm/sC=−α/s −−−−(7)
で表わされる。ここで、α=gm/Cは積分時定数であり、sはjωで表わされる複素角周波数である。
上記式(7)では、入出力利得がsに反比例、すなわち信号周波数に反比例しており、これは図17の回路が完全電流積分回路であることを表わしている。また、一般にMOSトランジスタのチャネルコンダクタンスgmはバイアス電流IBの値の平方根に比例することから、バイアス電流IBを変化させて積分時定数αを可変することができ、カットオフ周波数が可変なフィルタ回路が実現される。
ハードディスクドライブ装置に必要とされるフィルタ回路は、ディスクから読み出したデータのレートに対応してカットオフ周波数を可変させる必要があるが、さらに重要な特性として、データ波形に含まれる各周波数成分に対して位相遅れ、すなわち群遅延特性がカットオフ周波数の2倍近くの周波数まで平坦であることが要求される。そのような特性を実現するのに適したフィルタ回路として、一般には、等リップル(Equi-ripple)特性の5次以上の伝達関数が用いられる。
高次のフィルタ回路は、2次フィルタと1次フィルタを多段に接続して実現できる。図18に、図17の完全電流積分回路を用いて高次のローパスフィルタを実現するために用いられる2次フィルタのブロック構成を示す。ここで、各係数を正の数値とすると伝達関数は次のように表わされる。
同様に、図19に示す1次フィルタの伝達関数は次の通りとなる。
図18及び図19における各係数A,Bは、前記不完全電流積分回路の中のMOSトランジスタのサイズ比(すなわち電流ミラー比)を適当に設定してやることにより所望の係数を実現できる。
以上、従来技術の完全積分回路を用いて高次のフィルタを構成する場合について説明したが、この従来技術には以下の問題がある。すなわち、積分回路内にフィードバックのためのミラー電流出力段を必要とする。また、完全積分回路は、角周波数sが0のときすなわち直流入力に対して原理上無限大の利得を有するため、それ単体では用いることができない。したがって、図19及び式(9)が示すように、1次フィルタを実現するにも係数回路を設けてフィードバックループを構成する必要があり、結果として回路規模及び消費電流が増加するとともに、回路規模の増加が動作周波数帯域の劣化を生じさせる。
一方、図16の積分回路は、入出力電流利得が次式(10)のように表わされ、不完全電流積分回路であることが分かる。
Iout/Iin=−gm/(sC+gm)
=−α/(s+α) −−−−−(10)
かかる不完全電流積分回路は、受動素子の抵抗−容量回路と同様に、直流電流入力に対しては有限の利得を有するため、それ単体でもフィルタとして用いることができる。この不完全電流積分回路を用いた2次のフィルタ及び1次のフィルタはそれぞれ図6、図7のようなブロック構成になり、2次フィルタの伝達関数は次のように表わされる。
ただし、α=gm/Cである。
ここでA’=A−2、
B’=A−B−1 −−−−−−−(12)
となる係数を用いれば、式(11)は前記の式(8)と同じになり、同じ特性が実現できることが分かる。
また、1次フィルタは不完全積分回路単独で構成することができ、係数回路は必要ない。帰還パスも不要である。そして、その伝達関数は式(10)と同じく次の通りとなる。
以上に説明したように、従来は一般的に設計が難しいために用いられなかった不完全電流積分回路を用いると、不完全電流積分回路単体で1次フィルタを実現でき、かつ積分回路内に帰還パスが不要である。また、上記式(12)から明らかなように、不完全電流積分回路を用いた2次フィルタは、その係数が前述の完全積分回路を用いた場合(図18,図19)の係数よりも一般的に小さくできる。
そこで、本実施例のリードチャネルLSIにおいては、フィルタ回路FILとして、図16に示されている不完全電流積分回路を用いることとした。これによって、従来技術(図17)のように完全積分回路を用いてフィルタを構成するのに比較して大幅にトランジスタ数を減少させ、かつ消費電力を低減することができる。
なお、図16に示されている不完全電流積分回路は、2つの定電流源IBの電流値を、制御装置により選択されるレジスタに設定された情報に対応して同時に可変することにより入力段のMOSトランジスタM2のチャネルコンダクタンスを変えて出力電流Ioutのカットオフ周波数を制御するように構成することも可能である。
図8は上記したCMOS不完全電流積分回路を用いた1次および2次のフィルタ(図6、図7)を組み合せて設計した7次等リップルローパスフィルタのブロック構成を示すもので、図1に示されているリードチャネルLSIのフィルタ回路FILとして用いられる。
図8において、ブロック内に伝達関数が記載されているものは不完全電流積分回路、ブロック内に「−1」が記載されているのは反転電流アンプである。反転電流アンプは、図16に示されている回路と基本構造は類似であり、ただ単に積分キャパシタCIを除くことで得られる。なお、図8において、各不完全積分回路及び反転電流アンプの各出力端に付記した数値は、ミラー電流利得を表わす。
本実施例におけるローパスフィルタ全体のバイアス電流源の総数は、各積分回路及び反転電流アンプの入力部バイアスを単体バイアス電流値としたときの30.32倍であり、最大カットオフ周波数を127MHzに設定した時の単位バイアス電流値は0.2mAである。
ところで、リードチャネルLSIには、一般的に少なくない規模の高速ディジタル信号処理部が一緒に内蔵されるから、ディジタル雑音の干渉を避けるためにアナログ回路部は正負作動的かつ対称的に設けることが望ましい。そこで、本実施例のフィルタ回路FILにおいても、前段の電圧/電流変換回路VGAからの正電流入力と負電流入力のそれぞれに対応して図16の不完全積分回路を設けるのが良い。この場合、半導体プロセスの製造ばらつきと周囲温度変動等による影響を無視したときのフィルタ回路全体の最大消費電流は、正側と負側の両方を合わせて12.1mAとなる。これは図17の従来の完全積分回路を用いて別途設計したフィルタ回路の消費電流値の約7割以下の値である。
図9は、上記7次等リップルローパスフィルタに関して計算機によるシミュレーションの結果得られた群遅延(位相)および電流利得の周波数特性を示す。図9より、群遅延リップルは、カットオフ周波数fc(127MHz)の1.7倍以上の周波数まで4±0.1nSであり、変動は3%以下に抑えられている。つまり、信号をこのフィルタに通してもカットオフ周波数を超えても位相がほとんどずれることがないことが分かる。その結果、ハードディスク装置では、このフィルタを通った信号の位相と後段のA/D変換器ADCのサンプリングクロックφsとの位相のずれが少なくなって、読出し信号波形の特徴点でタイミング良くサンプリングすることができる。
次に、図1のリードチャネルを構成するA/D変換回路について説明する。図10は本発明に係るリードチャネルを構成する6ビットのA/D変換回路用電流トラック・ホールド回路(サンプル・ホールド回路)を示す。
基準定電流源IBとN−MOSトランジスタM1及びM2が電源電位AVDDと接地電位AGND間に直列に接続され、上記MOSトランジスタM1のドレインが入力電流信号Iinの入力ノードとされている。このMOSトランジスタM1のドレイン電位変化は、N−MOSトランジスタM5およびそのソースと接地電位との間に接続された定電流源Isから成るソースフォロアを介して上記MOSトランジスタM2のゲート電極に伝達されるように構成されている。
また、上記基準定電流源IBとMOSトランジスタM1,M2と同様に、電源電位AVDDと接地電位AGND間に直列に接続された定電流源IRi(i=1~63)とN−MOSトランジスタM3i,M4iとからなる電流ミラー回路が設けられている。上記MOSトランジスタM3iのドレイン側からそれぞれ出力電流Iciが取り出され、図示しない後段の63個の電流比較回路のそれぞれに供給されるように構成されている。
そして、上記MOSトランジスタM301〜M363のゲートにはMOSトランジスタM1のゲート電圧と同一のバイアス電圧VBが印加されているとともに、MOSトランジスタM2のゲート電位は、N−MOSトランジスタM6とP−MOSトランジスタM7とから成るCMOS伝送スイッチのオン期間中に、並列に設けられた63個のN−MOSトランジスタM401〜M463のゲート電極に伝達されるように構成されている。従って、上記MOSトランジスタM1と並列に設けられたM301〜M363、及びM2とM401〜M463のサイズをそれぞれ等しくすれば、M2に流れる電流がM401〜M463にコピーされる。
一方、上記CMOS伝送スイッチM6,M7のオフ期間中は、オフにされた時点の電位が上記MOSトランジスタM401〜M463の各ゲートとソース電極間及びゲートとドレイン電極間の寄生容量(ゲート容量)Csに保持され、M401〜M463にはその保持電位に応じたドレイン電流が流されるようになる。
また、MOSトランジスタM301〜M363の各ドレインと電源電位との間に接続された定電流源IR1〜IR63のそれぞれの電流値は、上記入力電流信号Iinの振幅に対する参照電流値に設定される。例えばA/D変換回路の構成を6ビットとし-IB=80μA,-Iin=+32μA〜−32μAとすれば、IR1〜IR63は以下のように設定される。
定電流源IR1〜IR63の電流値が上記のように設定された場合、入力電流信号Iinが+32μA〜−32μAに変化したときの各出力電流Ic1〜Ic63は、それぞれ下記範囲の値に変化する。ただし、「+」は図10には示されていない後段の並列63個の電流比較回路への各吐き出し電流、「−」は逆に同電流比較回路からの吸い込み電流を表わす。
従って、上記各電流Ic1〜Ic63が後段の並列63個の電流比較回路で参照電流値「0」と比較されれば、入力電流値Iinに対する変換結果のディジタル出力を得ることができる。
また、特に制限されるものではないが、前段のフィルタ回路からの入力電流が正負の差動入力電流である場合には、図10に示したトラック・ホールド回路を正入力電流+Iinと負入力電流信号-Iinのそれぞれに対して設ける。そして、その場合、正入力電流信号+Iinに対する出力電流Ic1が供給される第1の電流比較回路には、負入力電流信号-Iinに対する出力電流Ic63が供給されてその大小を比較するように構成される。同様に、第2の電流比較回路は正信号入力側のIc2と負信号入力側のIc62に相当した電流の大小を、第32の電流比較回路は正信号入力側のIc32と負信号入力側のIc33に相当した電流の大小をそれぞれ比較するように構成される。
なお、上記の説明では、入力電流信号Iinと参照電流IR1〜IR63との差出力Ic1〜Ic63が、アナロググランドAGNDに対して正と負の側にそれぞれ変化するように設定されていたが、後段に設ける電流比較回路の構成に応じて、その構成に合わせるように上記各参照電流値を変更して、出力信号が常に正あるいは常に負となるように構成されてもよい。
また、上記電流比較回路の具体例としては、例えば本発明の発明者らがアイ・エス・エス・シー・シー99、ダイジェスト オブ テクニカル ペーパー、セッション18、ダブリュ・エー18.5、1999年2月(ISSCC99,Digest of Technical Papers,February 1999,WA 18.5)で提案した回路等、公知の任意の電流比較回路を用いることができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、上記説明では、図2〜図4及び図10では電流源をPチャネルMOSトランジスタにより構成し、カスコード・ミラー回路をNチャネルMOSトランジスタで構成するとしたが、目標仕様によってはMOSトランジスタの導電型を入れ替えても同様に実現できる。また、図8のフィルタの実施例では、2次フィルタ3段の後に1次フィルタを接続したが、各フィルタは任意の順番で配置することが可能である。つまり、2次フィルタ間あるいは2次フィルタの前に1次フィルタを配置しても良い。
また、上記実施例では、本発明をハードディスク装置のリードチャネルに適用した場合について説明したが、そのような信号処理システムのみならず、受信信号の振幅値が時間的に大きく変化する電圧信号であって、その信号を増幅、フィルタリング、A/D変換およびディジタル信号処理する一連の機能は、ハードディスクドライブ装置以外にも、例えば情報を電圧信号として信号伝送路を介して送受信する図11に示されているような通信装置等の電子装置においても必要とされるので、本発明をそれらに適用しても、同様な効果を得ることができる。なお、図11において、100は電圧信号の送信源、200は電圧信号が伝送される信号伝送路、V/Iは電圧信号を増幅して電流信号に変換する電圧/電流変換回路である。
産業上の利用可能性
本発明は、ハードディスク装置のリードチャネルのような信号処理システムのみならず、受信シリアルデータを処理する通信系における信号処理システムなどに広く利用することができる。
Claims (12)
- 磁気ディスクに記録されたデータを読み出しヘッドを介して読み出してその出力を電気信号に変換するリードアンプと、該リードアンプの出力信号を増幅する可変利得増幅回路と、その出力信号に含まれる不要な周波数成分を抑圧するフィルタ回路と、そのフィルタ出力信号の振幅をそれに対応したディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路と、そのディジタル信号を処理して読み出した信号の照合及びその照合に必要な信号処理を行なうディジタル信号処理回路とを含むハードディスクドライブ装置において、
上記リードアンプの出力は電圧信号であり、上記可変利得増幅回路は上記電圧信号をそれに比例した電流信号に変換する電圧/電流変換手段を備え、上記フィルタ回路は電流信号を入力としかつ電流信号を出力するよう構成され、上記アナログ/ディジタル変換回路はその入力部に上記フィルタ回路からの電流をトラック・ホールドする手段を備え、
上記フィルタ回路は等位相リップル特性を有するフィルタであって、かつ該フィルタを構成する電流積分回路は直流信号入力に対して出力が一定値に制限される不完全積分回路であることを特徴とするハードディスクドライブ装置。 - 請求項1において、
上記フィルタ回路の周波数特性が、制御装置により選択されるレジスタに設定された情報に対応して可変されるように構成されていることを特徴とするハードディスクドライブ装置。 - 磁気ディスクに記録されたデータを読み出しヘッドを介して読み出してその出力を電気信号に変換するリードアンプと、該リードアンプの出力信号を増幅する可変利得増幅回路と、その出力信号に含まれる不要な周波数成分を抑圧するフィルタ回路と、そのフィルタ出力信号の振幅をそれに対応したディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路と、そのディジタル信号を処理して読み出した信号の照合及びその照合に必要な信号処理を行なうディジタル信号処理回路とを含むハードディスクドライブ装置において、
上記リードアンプの出力は電圧信号であり、上記可変利得増幅回路は上記電圧信号をそれに比例した電流信号に変換する電圧/電流変換手段を備え、上記フィルタ回路は電流信号を入力としかつ電流信号を出力するよう構成され、上記アナログ/ディジタル変換回路はその入力部に上記フィルタ回路からの電流をトラック・ホールドする手段を備え、
上記可変利得増幅回路に具備された電圧/電流変換手段は、
第1の定電流源と、ゲートに固定電位が印加された第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、ゲートが上記第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインに接続された第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタとが、電源電位と接地電位間に直列形態に接続され、
これと並列に、第2の定電流源と、ゲートに上記と同じ固定電位が印加された第3の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、ゲートが上記第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに接続された第4の絶縁ゲート形電界効果トランジスタが電源電位と接地電位間に直列形態に接続されてなるカスコード・ミラー回路を有し、
このカスコード・ミラー回路の上記第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと並列に第5の絶縁ゲート形電界効果トランジスタを接続し、該第5の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに印加される電圧信号を入力とし、上記第3の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインから入力信号に対応した出力電流信号を得るよう構成され、上記固定電位が、制御装置により選択されるレジスタに設定された情報に対応して可変されることによって上記入力・電圧と出力電流の変換利得が可変される可変利得増幅回路を用いたことを特徴とするハードディスクドライブ装置。 - 請求項1または2において、
上記可変利得増幅回路に具備された電圧/電流変換手段は、
第1の定電流源と、ゲートに固定電位が印加された第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、ゲートが上記第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインに接続された第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタとが、電源電位と接地電位間に直列形態に接続され、
これと並列に、第2の定電流源と、ゲートに上記と同じ固定電位が印加された第3の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、ゲートが上記第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに接続された第4の絶縁ゲート形電界効果トランジスタが電源電位と接地電位間に直列形態に接続されてなるカスコード・ミラー回路を有し、
このカスコード・ミラー回路の上記第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと並列に第5の絶縁ゲート形電界効果トランジスタを接続し、該第5の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに印加される電圧信号を入力とし、上記第3の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインから入力信号に対応した出力電流信号を得るよう構成され、上記固定電位が、制御装置により選択されるレジスタに設定された情報に対応して可変されることによって上記入力・電圧と出力電流の変換利得が可変される可変利得増幅回路を用いたことを特徴とするハードディスクドライブ装置。 - 磁気ディスクに記録されたデータを読み出しヘッドを介して読み出してその出力を電気信号に変換するリードアンプと、該リードアンプの出力信号を増幅する可変利得増幅回路と、その出力信号に含まれる不要な周波数成分を抑圧するフィルタ回路と、そのフィルタ出力信号の振幅をそれに対応したディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路と、そのディジタル信号を処理して読み出した信号の照合及びその照合に必要な信号処理を行なうディジタル信号処理回路とを含むハードディスクドライブ装置において、
上記リードアンプの出力は電圧信号であり、上記可変利得増幅回路は上記電圧信号をそれに比例した電流信号に変換する電圧/電流変換手段を備え、上記フィルタ回路は電流信号を入力としかつ電流信号を出力するよう構成され、上記アナログ/ディジタル変換回路はその入力部に上記フィルタ回路からの電流をトラック・ホールドする手段を備え、
前記フィルタ回路は、
第1の定電流源と、ゲートに固定電位が印加された第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、ゲートが該第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインに接続された第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタとが、電源電位と接地電位間に直列形態に接続されて成る電流入力段と、
これと並列に、第2の定電流源と、ゲートに上記と同じ固定電位が印加された第3の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、ゲートが上記第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに接続された第4の絶縁ゲート形電界効果トランジスタが電源電位と接地電位間に直列形態に接続されて成る電流出力段と、
上記第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートと接地電位間に接続された容量素子と、
を備え、上記第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインに供給される電流信号を入力信号とし、上記第3の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインから上記入力電流に対応した出力電流信号を得るよう構成され、上記第1及び第2の定電流源の電流値が、制御装置により選択されるレジスタに設定された情報に対応して同時に可変されることにより、上記入力段の第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのチャネルコンダクタンスが変更されて出力電流のカットオフ周波数が制御されるように構成された不完全積分回路を有することを特徴とするハードディスクドライブ装置。 - 請求項1または2において、
前記フィルタ回路は、
第1の定電流源と、ゲートに固定電位が印加された第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、ゲートが該第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインに接続された第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタとが、電源電位と接地電位間に直列形態に接続されて成る電流入力段と、
これと並列に、第2の定電流源と、ゲートに上記と同じ固定電位が印加された第3の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、ゲートが上記第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに接続された第4の絶縁ゲート形電界効果トランジスタが電源電位と接地電位間に直列形態に接続されて成る電流出力段と、
上記第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートと接地電位間に接続された容量素子と、
を備え、上記第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインに供給される電流信号を入力信号とし、上記第3の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインから上記入力電流に対応した出力電流信号を得るよう構成され、上記第1及び第2の定電流源の電流値が、制御装置により選択されるレジスタに設定された情報に対応して同時に可変されることにより、上記入力段の第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのチャネルコンダクタンスが変更されて出力電流のカットオフ周波数が制御されるように構成された不完全積分回路を有することを特徴とするハードディスクドライブ装置。 - 請求項5または6において、
上記不完全積分回路は、上記電流出力段と並列に該電流出力段と同一の構成を有する第2の電流出力段を備え、上記電流入力段と上記第1の電流出力段と第2の電流出力段の各定電流源の電流値が、制御装置により選択されるレジスタに設定された情報に対応して同時に可変されることにより、上記入力段の第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのチャネルコンダクタンスが変更されて第1及び第2の電流出力段の出力電流のカットオフ周波数が同時に制御されるように構成されてなることを特徴とするハードディスクドライブ装置。 - 請求項7において、
上記フィルタ回路は、等位相リップル特性を有するフィルタであって、
第1の不完全積分回路と反転電流アンプと第2の不完全積分回路とから成る第1、第2、第3の2次フィルタと、第1の不完全積分回路から成る1次フィルタとが縦続に接続されてなり、
このうち第1及び第2の2次フィルタの第2の不完全電流積分回路の第1の出力は、それぞれ後段の第2及び第3の2次フィルタの入力に接続され、また上記第2の不完全電流積分回路の第2の出力はそれぞれ自フィルタの第1の不完全電流積分回路の入力に接続され、
第3の2次フィルタの第2の不完全電流積分回路の第1の出力は、後段の1次フィルタの入力に接続され、また上記第2の不完全電流積分回路の第2の出力は電流反転アンプの第2の出力と共に該第3の2次フィルタの第1の不完全電流積分回路の入力に接続され、上記1次フィルタの出力をフィルタ出力とする7次フィルタであることを特徴とするハードディスクドライブ装置。 - 磁気ディスクに記録されたデータを読み出しヘッドを介して読み出してその出力を電気信号に変換するリードアンプと、該リードアンプの出力信号を増幅する可変利得増幅回路と、その出力信号に含まれる不要な周波数成分を抑圧するフィルタ回路と、そのフィルタ出力信号の振幅をそれに対応したディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路と、そのディジタル信号を処理して読み出した信号の照合及びその照合に必要な信号処理を行なうディジタル信号処理回路とを含むハードディスクドライブ装置において、
上記リードアンプの出力は電圧信号であり、上記可変利得増幅回路は上記電圧信号をそれに比例した電流信号に変換する電圧/電流変換手段を備え、上記フィルタ回路は電流信号を入力としかつ電流信号を出力するよう構成され、上記アナログ/ディジタル変換回路はその入力部に上記フィルタ回路からの電流をトラック・ホールドする手段を備え、
前記アナログ/ディジタル変換回路は、
電源電位と接地電位間に直列に接続された第1の定電流源と、ゲートに固定電位が供給された第1のNチャネル型絶縁ゲート形電界効果トランジスタと第2のNチャネル型絶縁ゲート形電界効果トランジスタと 、ゲートが上記第1のNチャネル型絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインに、かつソースが上記第2のNチャネル型絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートにそれぞれ接続された第3のNチャネル型絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、該トランジスタのソースと接地電位間に接続された第2の定電流源とから成る電流入力部と、
それぞれ電源電位と接地電位間に直列に接続され、参照電流を供給する定電流源と、ゲートに上記固定電位が供給された第4のNチャネル型絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、第5のNチャネル型絶縁ゲート形電界効果トランジスタから成る複数個の電流出力部と、上記電流入力部の上記第2のNチャネル型絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートと上記複数個の電流出力部の各第5のNチャネル型絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートが伝送スイッチを介して接続されてなり、
上記参照電流が入力電流の所望の変換精度に対応してそれぞれ設定された値とされ、上記複数個の電流出力部から上記第1の定電流源の値と入力信号との加算値からそれぞれの参照電流の値を減算した電流が出力されるように構成されてなるトラック・ホールド回路と、
上記トラック・ホールド回路の出力電流を入力とし電圧信号を出力する電流比較回路と、
を備えていることを特徴とするハードディスクドライブ装置。 - 電圧信号を受けて該電圧信号に比例した電流を出力する電圧/電流変換回路と、該電圧/電流変換回路からの出力電流信号に対してフィルタ処理を行って電流信号を出力するフィルタ回路と、該フィルタ回路からの電流信号を受けて所定の信号処理を実行するディジタル信号処理回路とを含む電子装置であって、
上記電圧/電流変換手段は、
第1の定電流源と、ゲートに固定電位が印加された第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、ゲートが上記第1の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインに接続された第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタとが、電源電位と接地電位間に直列形態に接続され、
これと並列に、第2の定電流源と、ゲートに上記と同じ固定電位が印加された第3の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと、ゲートが上記第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに接続された第4の絶縁ゲート形電界効果トランジスタが電源電位と接地電位間に直列形態に接続されてなるカスコード・ミラー回路を有し、
このカスコード・ミラー回路の上記第2の絶縁ゲート形電界効果トランジスタと並列に第5の絶縁ゲート形電界効果トランジスタを接続し、該第5の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに印加される電圧信号を入力とし、上記第3の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインから入力信号に対応した出力電流信号を得るよう構成され、上記固定電位が、制御装置により選択されるレジスタに設定された情報に対応して可変されることによって上記入力・電圧と出力電流の変換利得が可変される可変利得増幅回路を用いたことを特徴とする電子装置。 - 請求項10において、
情報を電圧信号として出力する回路を含むことを特徴とする電子装置。 - 請求項11において、
上記電圧信号を出力する回路は磁気ディスクから読み取られた情報を出力するリードアンプを含み、上記ディジタル信号処理回路は上記フィルタ回路からの電流信号に従って動作するアナログ/ディジタル変換回路を含むことを特徴とする電子装置。
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