JP3686806B2 - (チオ)エポキシ化合物の精製方法 - Google Patents
(チオ)エポキシ化合物の精製方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い屈折率および高い透明性が要求されるプラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、発光ダイオード等の光学材料等の樹脂分野に好適に使用される重合性組成物、特に眼鏡用プラスチックレンズの原料として好適に使用される(チオ)エポキシ化合物の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ、軽量で割れにくく、染色が可能なため、近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。これらのプラスチックレンズに要求され続けている性能は光学性能としては高屈折率、高アッべ数、物理的性質としては高耐熱性、低比重である。
【0003】
これらの性能の内、高耐熱性、低比重については現在の高屈折率プラスチックレンズでも高いレベルで実現されてきている。現在、これらの目的に広く用いられる樹脂としては、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)(以下、D.A.Cと称す)をラジカル重合させたものがある。この樹脂は、耐衝撃性に優れていること、軽量であること、染色性に優れていること、切削性および研磨性等の加工性が良好であること等、種々の特長を有している。しかしながら、この樹脂は、屈折率ndが1.50前後と低く、レンズの中心厚やコバ厚が厚くなってしまい、より屈折率の高いレンズ用樹脂が望まれていた。
【0004】
D.A.C樹脂よりも屈折率を高くしたものとして、樹脂中に硫黄原子を導入した、ポリウレタン樹脂(特開昭63−46213号公報等)や含硫O-(メタ)アクリレ-ト樹脂(特開平1−128966号公報、特開平3−217412号公報、特開平4−161410号公報等)やチオ(メタ)アクリレ-ト樹脂(特開昭63−188660号公報、特開平3−59060号公報等)が知られている。ポリチオウレタン樹脂は、高屈折率で耐衝撃性が良好である等、バランスの優れた樹脂である。
【0005】
しかしながら、屈折率とアッベ数に関して屈折率が上昇するほどアッベ数が低くなると言った相反する物性であるため両方を同時に向上させることは非常に困難である。そこで、アッベ数の低下を抑えながら、高屈折率化を行う検討が盛んに行われている。
【0006】
これらの検討の中で最も代表的な提案は、WO−89/10575、特開平9−110979号公報及び、特開平9−71580号公報及び、特開平9−255781号公報及び、特開平11−183702号公報及び、特開平11−189592号公報及び、特願平11−068448公報で(チオ)エポキシ化合物を使用する方法である。
【0007】
ところで、これらに開示された方法で製造した(チオ)エポキシ化合物は、自己重合して経時的劣化を起こす場合があり、長期保存することが困難になる場合がある。また経時的劣化を起こした時は増粘して粘度が高くなり、作業性が著しく低下する場合がある。例えばプラスチックレンズの場合、一般に常温での粘度が100Pa・s以下でなければ、モノマーの成形モールドへの注入作業に支障をきたすと言われている。(チオ)エポキシ化合物は高屈折率、低比重、透明性が要求されるプラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、発光ダイオード等の光学材料等の樹脂分野に大きく期待されている(チオ)エポキシ硬化樹脂の原料であるため、経時的劣化の問題を早急に解決する必要があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の光学物性に優れ、非常に高い屈折率を有する光学用樹脂を与える(チオ)エポキシ化合物の経時的安定性を向上させることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行ってきた。その結果、(チオ)エポキシ化合物中に存在する、当該化合物の高分子量化した不純物が(チオ)エポキシ化合物の経時的劣化を引き起こし、その安定性を損なう原因となっていることを見出し、さらに(チオ)エポキシ化合物を炭化水素系の溶媒で抽出することにより、(チオ)エポキシ化合物から当該高分子量化不純物を除去できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明は1分子内に下記式(1)又は(2)
【0011】
【化7】
【0012】
(式中、R1、R2、R3、はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子を示し、Xは酸素原子または硫黄原子を示す。)
【0013】
【化8】
【0014】
(式中、R4、R5、R6、はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子、R7は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、Xは酸素原子または硫黄原子を示す。)で示される構造を1個以上有する(チオ)エポキシ化合物を炭化水素系の溶媒に溶解して、静置後、該(チオ)エポキシ化合物由来の高分子量化物の層と炭化水素系の溶媒層とに分液し、該高分子量化物の層を取り除くことを特徴とする(チオ)エポキシ化合物の精製方法及び、前記(チオ)エポキシ化合物が下記式(3)で表される化合物である上記記載の(チオ)エポキシ化合物の精製方法に関するものである。
【0015】
【化9】
(式中、X、Yはそれぞれ酸素原子または硫黄原子を示す。)
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明でいう「高分子量化物」とは、本発明の(チオ)エポキシ化合物由来の高分子量化物であり、(チオ)エポキシ化合物の構造により一概には言えないが、例えば、次のような方法で規定できる。つまり、まず、得られた(チオ)エポキシ化合物を以下の液体クロマトグラフィーの分析条件で測定する。次に、目的の(チオ)エポキシ化合物のピークを特定した後、内標法により純度を算出する。その他のピークは目的の(チオ)エポキシ化合物以外の低分子量の副生物である。従って、その他ピークとして検出できない全ての残分が本発明でいう「高分子量化物」に対応する。
【0018】
分析条件
・HPLCポンプ:島津「LC−10AD」
・検出器:島津「SPD−10A」 UV−254nm
・オーブン:島津「CTO−10A」 40℃
・カラム:YMC 「A−312 S−5 ODS」
・溶離液:アセトニトリル−水混合溶媒
・流速:1ml/分
・分析試料:(チオ)エポキシ化合物(約40mg)+フタル酸ジイソブチル(約30mg、内標用)/アセトニトリル(5ml)
【0019】
本発明で(チオ)エポキシ化合物を抽出するために用いられる炭化水素系の溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの脂肪族炭化水素化合物、またはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ナフタリン、テトラリン、ビフェニルなどの芳香族炭化水素化合物、または塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン、トリクロロプロパン、塩化イソプロピル、塩化ブチル、塩化ヘキシル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロトルエン、クロロナフタリンなどのハロゲン化炭化水素化合物などである。
【0020】
(チオ)エポキシ化合物の構造により一概には言えないが、これら溶媒は単独でも2種類以上を混合しても使用することができる。単独で用いられるもの中で好ましいものは脂肪族炭化水素化合物であり、より好ましいのはシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどが挙げられる。2種類以上を混合して用いられるものの中で好ましいものは、脂肪族炭化水素化合物に芳香族炭化水素化合物或いはハロゲン化炭化水素化合物を混合したものである。
【0021】
使用する炭化水素系の溶媒の量は、(チオ)エポキシ化合物の総重量に対して、0.1〜100倍の重量比の範囲で用いられ、好ましくは0.5〜20倍の重量比の範囲で用いられる。0.1倍以下の重量比の範囲においては、(チオ)エポキシ化合物の抽出効率が悪く、また100倍以上の範囲においては作業性、経済性が悪い。
【0022】
炭化水素系の溶媒を用いて高分子量化物を取り除く精製方法としては以下の方法が挙げられる。(チオ)エポキシ化合物に上記記載の炭化水素系の溶媒を混合し撹拌する。撹拌温度は−20℃〜50℃であり、好ましくは10℃〜30℃である。−20℃以下の範囲においては(チオ)エポキシ化合物の抽出効率が悪く、50℃以上の範囲においては(チオ)エポキシ化合物の劣化が促進され、収率及び純度が低下する場合がある。撹拌時間は温度、化合物の組成、不純物等の様々な要因により異なるが、約1分〜24時間である。静置後、炭化水素系の溶媒層と高分子量化物の層に分液し、高分子量化物の層を除去する。炭化水素系の溶媒層から溶媒を留去することにより、安定性がより向上した(チオ)エポキシ化合物が得られる。
【0023】
本発明によって精製した(チオ)エポキシ化合物は、光学物性に優れ、非常に高い屈折率を有する光学用樹脂を与える。その(チオ)エポキシ化合物としては、例えばビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、3,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−3,6−ジチアオクタン、1,2,3−トリス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1−(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[{2−(β−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]−2−(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[{2−(β−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]エタン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族のβ−エピチオプロピルチオ化合物、及び、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[{2−(β−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]−1,4−ジチアン等の環状脂肪族のβ−エピチオプロピルチオ化合物、及び、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス{4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル}メタン、2,2−ビス{4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル}プロパン、ビス{4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル}スルフィド、ビス{4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル}スルフォン、4,4’−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族β−エピチオプロピルチオ化合物等を挙げることができる。これらの例示化合物のみに限定されるものではない。これらの化合物は単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
【0024】
又、上記エピスルフィド化合物のエピチオ基の一部又は全部がエポキシ基で置換された化合物も使用することができる。
【0025】
本発明に関わる(チオ)エポキシ化合物を含む重合性組成物とは、分子内に1つ以上の(チオ)エポキシ基を有する(チオ)エポキシ化合物を少なくとも1種類含有する組成物である。なお、本発明の重合性組成物では、高屈折率及び高アッベ数を発現させるためには、上記(チオ)エポキシ化合物中のエピチオ基が組成物中のエピチオ及びエポキシ基の合計に対して平均で50%以上となるように配合する。これらの組成物には、これら化合物の2量体、3量体、4量体などのポリスルフィドオリゴマ−類、重合抑制剤として添加した無機酸類及び有機酸類、溶媒その他副生物等の有機化合物、無機化合物も問題にならない範囲で含まれる。
【0026】
本発明に関わる(チオ)エポキシ化合物を含む重合性組成物は、主に得られる樹脂の屈折率等の光学物性の調節や耐衝撃性、比重等の諸物性を調節するためや、モノマーの粘度、その他の取扱い性を調整するためなど、樹脂の改良をする目的で、樹脂改質剤を加えることができる。
【0027】
樹脂の改質剤としては、本発明に関わる(チオ)エポキシ化合物以外のエポキシ化合物類、エポキシ樹脂、チオール化合物、メルカプト有機酸類、有機酸類及び無水物類、アミノ酸及びメルカプトアミン類、アミン類、(メタ)アクリレート類等を含むオレフィン類が挙げられる。
【0028】
樹脂改質剤として添加を可能とするアミン化合物の好ましいものの具体例としては、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、3−ペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチルヘキシルアミン、アリルアミン、アミノメチルビシクロヘプタン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、アニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、2,3−、あるいは4−メチルベンジルアミン、o−、m−、あるいはp−メチルアニリン、o−、m−、あるいはp−エチルアニリン、アミノモルホリン、ナフチルアミン、フルフリルアミン、α−アミノジフェニルメタン、トルイジン、アミノピリジン、アミノフェノール、アミノエタノール、1−アミノプロパノール、2−アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、メトキシエチルアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、2,2−ジエトキシエチルアミン等の単官能1級アミン化合物、エチレンジアミン、1,2−、あるいは1,3−ジアミノプロパン、1,2−、1,3−、あるいは1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−、1,3−、あるいは1,4−ジアミノシクロヘキサン、o−、m−あるいはp−ジアミノベンゼン、3,4−あるいは4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−あるいは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−、あるいは4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、2,7−ジアミノフルオレン、1,5−、1,8−、あるいは2,3−ジアミノナフタレン、2,3−、2,6−、あるいは3,4−ジアミノピリジン、2,4−、あるいは2,6−ジアミノトルエン、m−、あるいはp−キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノメチルビシクロヘプタン、1,3−、あるいは1,4−ジアミノメチルシクロヘキサン、2−、あるいは4−アミノピペリジン、2−、あるいは4−アミノメチルピペリジン、2−、あるいは4−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルモルホリン等の1級ポリアミン化合物、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、メチルヘキシルアミン、ジアリルアミン、N−メチルアリルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ジフェニルアミン、N−メチルアミン、N−エチルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジナフチルアミン、1−メチルピペラジン、モルホリン等の単官能2級アミン化合物、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジエチル−1,7−ジアミノヘプタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)ブタン、テトラメチルグアニジン等の2級ポリアミン化合物等を挙げることができるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。これら例示化合物の内、より好ましいものは、ベンジルアミン、ピペラジン類である。
【0029】
また、樹脂改質剤として添加を可能とするエポキシ化合物の好ましいものの具体例としては、ビスフェノールAグリシジルエーテル等の多価フェノール化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合反応により得られるフェノール系エポキシ化合物、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の多価アルコール化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるアルコール系エポキシ化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートや1,2−ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の多価有機酸化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるグリシジルエステル系エポキシ化合物、一級及び二級ジアミン化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるアミン系エポキシ化合物等その他、ビニルシクロヘキセンジエポキシド等脂肪族多価エポキシ化合物等を挙げることができるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0030】
また、チオール化合物の好ましいものの具体例としてはメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,2,3−トリメルカプトプロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトチオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトチオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス3−メルカプトプロピオネート)、1,1,1−トリメチルメルカプトエタン、1,1,1−トリメチルメルカプトプロパン、2,5−ジメルカプトメチルチオファン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ビス{(2−メルカプトエチル)チオメチル}−1,4−ジチアン、1,3−シクロヘキサンジチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン等の脂肪族チオール、及び、ベンジルメルカプタン、チオフェノール、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、ビス(4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフォン、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,2,5−トリメルカプトベンゼン等の芳香族チオールが挙げられるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0031】
メルカプト有機酸化合物の好ましいものの具体例としては、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオ酢酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0032】
有機酸及びその無水物の好ましいものの具体例としては、チオジグリコール酸、チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルノルボルネン酸無水物、メチルナルボルナン酸無水物、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0033】
オレフィン類の好ましいものの具体例としては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルアクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−アクロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクロキシジエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、1,1−ビス(4−アクロキシエトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−メタクロキシエトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−アクロキシジエトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−メタクロキシジエトキシフェニル)メタン、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、メチルチオアクリレート、メチルチオメタクリレート、フェニルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート、キシリレンジチオールジアクリレート、キシリレンジチオールジメタクリレート、メルカプトエチルスルフィドジアクリレート、メルカプトエチルスルフィドジメタクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等のアリル化合物、スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、3,9−ジビニルスピロビ(m−ジオキサン)等のビニル化合物、ジイソプロペニルベンゼン等が挙げられるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0034】
これら、数種の樹脂改質剤はいずれも単独種でも2種類以上を混合して使用しても良い。
【0035】
本発明の重合性組成物は、硬化触媒の存在下あるいは不存在下に、加熱あるいは常温放置により重合がなされ、樹脂を製造することができる。ただし、硬化触媒不存在下では重合が良好に進行せず重合不良となるまたは重合しない場合がある。本発明に用いる硬化触媒としては本発明の樹脂改質剤以外のアミン類、ホスフィン類、ルイス酸類、ラジカル重合触媒類、カチオン重合触媒類等が通常用いられる。
【0036】
硬化触媒の好ましいものの具体例としては、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン、トリn−ヘキシルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、トリベンジルアミン、N−メチルジベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−イソプロピルモルホリン、ピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、α−、β−、あるいはγ−ピコリン、2,2’−ビピリジル、1,4−ジメチルピペラジン、ジシアンジアミド、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセン、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪族及び芳香族3級アミン類、その他、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリn−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリn−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、テトラクロロ錫、ジブチル錫オキサイド、塩化亜鉛、アセチルアセトン亜鉛、塩化アルミ、フッ化アルミ、トリフェニルアルミ、テトラクロロチタン、酢酸カルシウム等のルイス酸、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、n−ブチル−4,4’−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のラジカル重合触媒、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ燐酸、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ砒酸、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロ硼酸、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロ燐酸、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロ砒酸等のカチオン重合触媒が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0037】
これら硬化触媒は単独でも2種以上を混合して用いても良い。
【0038】
硬化触媒の添加量は、式(1)で示される(チオ)エポキシ化合物を含有する組成物の総重量に対して0.001〜10.0質量%の範囲で用いられ、好ましくは0.01〜1.0質量%の範囲で使用される。硬化触媒の添加量が0.001質量%未満であるとその効果が小さいため重合不良の原因となる場合がある。一方、10.0質量%を越えてもできるが、ポットライフが短くなったり、透明性、光学物性、又は耐候性が低下するなどの不都合が生じてくる場合がある。
【0039】
本発明の樹脂を得るための重合法、重合条件等は、用いる硬化触媒等の種類や量、単量体の種類や割合によって、一概に限定する事はできないが、代表的な重合方法としては、たとえば注型重合が挙げられる。即ち、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド間に、本発明の減圧処理された重合性組成物を注入する。ここで重合性組成物には必要に応じて硬化触媒および樹脂改質剤を混合しておいてもよい。次いで、オーブン中や水中など加熱可能装置内で加熱することにより硬化させ、樹脂を取り出すことができる。
【0040】
成型モールドに注入された本発明の重合性組成物の加熱重合条件は、本発明の一定時間減圧処理された、上記(1)式で示される化合物、及び樹脂改質剤の種類、硬化触媒の種類、成型モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定できないが、およそ−50〜200℃の温度で0.1〜100時間かけて行われる。
【0041】
場合によっては、10℃から150℃の温度範囲で保持するかまたは徐々に昇温し、1〜80時間で重合させれば好ましい結果を与えることがある。
【0042】
更には、本発明の重合性組成物は、紫外線等の照射により重合時間の短縮を図ることも可能である。この際には、ラジカル重合触媒等の硬化触媒等を添加しても良い。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。実施例及び比較例については、下記式(4)で示されるビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド(以下、化合物Aと略す)に基づく結果を記した。(チオ)エポキシ化合物の安定性試験は、35℃で(チオ)エポキシ化合物を2ヶ月間保存し、その後B型粘度計を用いて25℃における粘度を測定することで安定性を評価した。
【0044】
【化10】
【0045】
実施例1
化合物A100g(72.0質量%,0.34mol;高分子量化物の含有量:25.0質量%)に1000mlのシクロヘキサンを加え、30分撹拌した。静置後、シクロヘキサンに不溶解な成分を除去し、シクロヘキサン溶液からシクロヘキサンを減圧留去することにより、純度86.3質量%の化合物A(精製品)80.5g(0.33mol)が得られた(高分子量化物の含有量10.7質量%)。得られた化合物A(精製品)の粘度は40Pa・s(25℃)であった。化合物A(精製品)を窒素下でガラス容器に密閉して35℃で保存した。2ヶ月後の粘度は42Pa・s(25℃)であり、粘度上昇はほとんどなく、経時的劣化は見られなかった。
【0046】
実施例2
化合物A100g(72.0質量%,0.34mol;高分子量化物の含有量:25.0質量%)に1000mlのヘキサンとトルエンの混合溶媒(ヘキサン:トルエン=5:1)を加え、30分撹拌した。静置後、ヘキサンとトルエンの混合溶媒に不溶解な成分を除去し、混合溶液から溶媒を減圧留去することにより、純度80.1質量%の化合物A(精製品)81.3g(0.31mol)が得られた(高分子量化物の含有量:16.9質量%)。得られた化合物A(精製品)の粘度は41Pa・s(25℃)であった。化合物A(精製品)を窒素下でガラス容器に密閉して35℃で保存した。2ヶ月後の粘度は44Pa・s(25℃)であり、粘度上昇はほとんどなく、経時的劣化は見られなかった。
【0047】
実施例3
実施例1で得られた化合物A(精製品)20gに、硬化触媒としてN,N−ジシクロヘキシルメチルアミン0.02gとN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.008gを添加して攪拌した。この混合溶液を成形モールドに注入し、30℃から120℃まで徐々に昇温し、24時間かけて重合を終了させた。冷却後、離型することで透明性の高いプラスチックレンズが得られた。
【0048】
比較例1
炭化水素系の溶媒抽出を行わなかった化合物A100g(粘度57Pa・s)を窒素下でガラス容器に密閉して35℃で保存した。2ヶ月後の粘度は171Pa・s(25℃)であり、粘度上昇は大きく、経時的安定性はなかった。
【0049】
比較例2
炭化水素系の抽出溶媒にシクロヘキサンの代わりに、メタノールを用いて実施例1と同様な処理を行い、純度72.7質量%の化合物A(精製品)90.7g(0.32mol)が得られた(高分子量化物の含有量:24.3質量%)。得られた化合物A(精製品)100g(粘度52Pa・s)を窒素下でガラス容器に密閉して35℃で保存した。2ヶ月後の粘度は157Pa・s(25℃)であり、粘度上昇は大きく、経時的安定性はなかった。
【0050】
比較例3
比較例1の化合物Aを実施例3と同様な方法で樹脂化した。(チオ)エポキシ化合物は増粘しており、モノマーを成形モールドへ注入する際の作業性が著しく低下していた。
【0051】
【発明の効果】
本発明により、光学物性に優れ、非常に高い屈折率を有する光学用樹脂を与える(チオ)エポキシ化合物の経時的安定性を向上させることができ、高い屈折率及び高い透明性が要求されるプラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録媒体用基板、フィルター、発光ダイオード等の光学材料等の樹脂分野、特にメガネレンズの分野に貢献する。
Claims (4)
- 前記炭化水素系の溶媒に前記チオエポキシ化合物を溶解するに際して、−20℃〜50℃の温度で撹拌することを特徴とする請求項1に記載のチオエポキシ化合物の精製方法。
- 前記炭化水素系の溶媒が、脂肪族炭化水素単独又は脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素又はハロゲン化炭化水素の混合溶媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載のチオエポキシ化合物の精製方法。
- 前記分液したチオエポキシ化合物を含む炭化水素系の溶媒層から、該溶媒を溜去してチオエポキシ化合物を得ることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のチオエポキシ化合物の精製方法。
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