JP3686627B2 - ガスワイピング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属板の溶融めっき付着量を噴射ガス流で制御するガスワイピング装置であって、騒音防止を図れるとともにスプラッシュによるワイピングノズル詰まり等の防止も図ることができるガスワイピング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、めっき浴21を通過して上方に引き上げられる金属板20の溶融めっき付着量を制御する方法として、図3に示されるように、金属板20を挟むように対向して設けたワイピングノズル10、10より噴出する噴射ガス流で余剰めっき液を除去して制御するガスワイピングが広く知られている。この場合、金属板エッジ付近および金属板のない部分では噴射ガス流同士が衝突して激しい騒音を発生するため、図4に示されるように、金属板20の両脇部にバッフルプレート11、11を取り付け、噴射ガス流同士の衝突を回避することにより騒音の防止を図ったものが知られている。
【0003】
しかしながら、近年ガスワイピングの高速化に伴い溶融めっき液の持上げ量が増大したり、めっき付着量の薄目付け化に伴いワイピング圧の高圧化が進み、金属板エッジ付近においてスプラッシュと称される溶融めっき液の飛散現象が生じてきた。この結果、スプラッシュがワイピングノズルを詰まらせたり、スプラッシュ固化物が金属板上に付着して均一なめっき付着量の制御をすることが難しくなるという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、金属板の溶融めっき付着量を噴射ガス流で制御するガスワイピング装置であって、騒音防止を図れるとともにスプラッシュ発生によるワイピングノズル詰まり等の防止も図ることができるガスワイピング装置を提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明のガスワイピング装置は、金属板の溶融めっき付着量をワイピングノズルの噴射ガス流で制御するガスワイピング装置であって、前記ワイピングノズルの騒音を防止するバッフルプレートを設けるとともに、ワイピングノズル下部の金属板エッジ付近には発生したスプラッシュの飛散方向を金属板の幅中心部に向かう方向に変える方向変換手段を設けたことを特徴とするものである。
また方向変換手段は、スプラッシュに電磁力を作用させて飛散方向を変えるものが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1〜図2は、本発明をガスワイピングによる亜鉛めっき工程に適用した場合の斜視図および正面図を示すものであって、図中21は亜鉛めっき浴、20は該めっき浴21を通過して上方に引き上げられる金属板、10はこの金属板20を挟むように対向して設けられたワイピングノズルであり、このワイピングノズル10より噴出する噴射ガス流で板表面の余剰めっき液を除去して溶融めっき付着量を制御するものである。また、金属板20の両脇部にはバッフルプレート11、11が取り付けられ、ワイピングノズル10から噴射される噴射ガス流同士の衝突を回避することにより騒音の防止が図られており、以上の構成は従来のこの種のガスワイピング装置と基本的に同じである。
【0007】
そして本発明では、ワイピングノズル下部の金属板エッジ付近に発生したスプラッシュの飛散方向を金属板20の幅中心部に向かう方向に変える方向変換手段2を設けたものとなっており、この点に特徴的構成を有する。
即ち、本発明者の研究によれば、ガスワイピングの高速化あるいはめっき付着量の薄目付け化に伴い金属板エッジ付近においてスプラッシュが発生するのは、金属板エッジ付近で外向きのガス流が発生して亜鉛めっき液に外向きの飛散力が働き、表面張力の限界を超えるとスプラッシュとして飛散することを解明した。従って、ワイピングノズル下部の金属板エッジ付近において、金属板上に付着している溶融めっき液に働く外力を金属板20の幅中心部に向かう方向に変える方向変換手段2を設けることで、金属板エッジ付近でのスプラッシュ発生を抑制し、ワイピングノズル詰まり等を防止するものとしたのである。
【0008】
なお、スプラッシュのバッフルプレート1への付着を防止するには、バッフルプレート1を金属板エッジから遠ざけるようにすればよいが、この場合には噴射ガス流同士の衝突を回避できず騒音の発生を防止することができなくなる。このように、スプラッシュ防止と騒音防止とは相反する問題であるため、バッフルプレート1のみで両方の問題を解消する有効な手段はなかったのが現状であった。
しかし、本発明では金属板上に付着している溶融めっき液に働く外力を金属板20の幅中心部に向かう方向に変える方向変換機構2を設けることにより、スプラッシュを抑制し、ワイピングノズル詰まり等の防止と騒音防止という相反する問題を一挙に解決するのである。
【0009】
前記方向変換機構2は、金属板エッジ付近の溶融めっき液に働く外力を金属板20の幅中心部に向かう方向に変えるためのもので、ワイピングノズル下部の金属板エッジ付近に取り付けられている。そして、もしスプラッシュが発生したとしても、スプラッシュの飛散方向を金属板内向きに変えることにより、金属板20の中心部付近に付着したり、めっき浴21に落下したりすることで、何ら悪影響を及ぼすことはない。この場合、方向変換機構2はスプラッシュをワイピングノズル10よりも上側へ飛ばさないように、水平方向よりも若干斜め下向きに力が作用するように取り付けるのが好ましい。
【0010】
前記方向変換機構2としては、例えば電磁コイルを有していて金属亜鉛を含んだスプラッシュに電磁コイルから発生する電磁力を作用させて飛散方向を変えるものを用いることができる。その他、エアノズルを有していて噴出エアによりスプラッシュの飛散方向を変えるもの等も用いることができる。
なお、方向変換機構2は左右にそれぞれ設けられ、かつ各ワイピングノズル10に対応するように金属板20の表裏両面にそれぞれ設けられている。
【0011】
このように本発明では、方向変換機構2によって金属板エッジ付近の溶融めっき液に働く外力を金属板20の幅中心部に向かう方向に変えることにより、従来のように亜鉛めっき液に外向きの飛散力が働くのを防止するのである。この結果、スプラッシュが飛散してワイピングノズル10の詰まりを発生させるのを確実に防止できることとなる。また、スプラッシュが発生したとしても内側に向けて方向変換されることで金属板20の中央下方部に飛ばされて付着させられるため、その後のワイピングによって適正に除去処理されることとなって不良品を発生させることもないものである。
【0012】
[実施例]
表1に示される実施例1〜5の条件下でワイピングを行ったところ、溶融めっき付着量を十分均一に制御することができることは勿論のこと、騒音防止を図れるとともにスプラッシュ発生によるワイピングノズル詰まり等の防止も確実に図れて品質不良を発生することがないことが確認できた。なお、表中の条件(L)とは、金属板のエッジ部とバッフルプレートの端縁部との隙間距離である。
比較例として、それぞれ実施例と同一のワイピング条件下で従来タイプのバッフルプレートを用いた場合を示すが、いずれも騒音防止と品質不良の防止の双方を図れるものはなかった。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明は金属板の溶融めっき付着量を噴射ガス流で制御するガスワイピング装置であって、騒音防止を図れるとともにスプラッシュ発生によるワイピングノズル詰まり等の防止も図ることができるものである。
よって本発明は従来の問題点を一掃したガスワイピング装置として、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す正面図である。
【図3】従来例を示す斜視図である。
【図4】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 バッフルプレート
2 方向変換機構
10 ワイピングノズル
20 金属板
21 めっき浴
Claims (2)
- 金属板の溶融めっき付着量をワイピングノズルの噴射ガス流で制御するガスワイピング装置であって、前記ワイピングノズルの騒音を防止するバッフルプレートを設けるとともに、ワイピングノズル下部の金属板エッジ付近には発生したスプラッシュの飛散方向を金属板の幅中心部に向かう方向に変える方向変換手段を設けたことを特徴とするガスワイピング装置。
- 方向変換手段が、スプラッシュに電磁力を作用させて飛散方向を変えるものである請求項1に記載のガスワイピング装置。
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