JP3682875B2 - 容器入りコーヒー飲料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器入りコーヒー飲料の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、アルミニウム製容器に充填するためのコーヒー飲料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶コーヒーなどの容器に密封されて流通する製品は、保存中にpHが低下することが主原因となって沈殿が生じて品質が劣化し、著しく商品価値を損なってしまうことがある。コーヒーは、保存中にpHが低下しやすく、従来から保存中の品質劣化を防止するためにさまざまな提案がされている。例えば、炭酸水素ナトリウムを添加して製造する濃厚コーヒーの製造方法が知られている(特許文献1を参照)。しかし、炭酸水素ナトリウム単独の添加では濃縮コーヒー保存中のpH低下の防止が十分とはいえない。また、アルカリ性非炭酸塩として強アルカリ性塩を添加して、沈殿の発生を防止するとともに密閉容器に充填した場合に容器の膨張や破損も防止する方法が知られている(特許文献2を参照)。さらに、強アルカリ性塩と酸を併用してコーヒー抽出液を安定化させる方法が知られている(特許文献3を参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−292509号公報
【特許文献2】
特開平11−225673号公報
【特許文献3】
特開平10−215771号公報
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術では、弱アルカリ性塩の添加ではコーヒーのpH低下の防止が不十分であり、強アルカリ性塩の添加は密閉容器への充填作業性には優れるもののコーヒーの風味に影響を及ぼす恐れがある。
【0004】
そこで、本発明の目的は、密閉容器としてアルミニウム製容器を選択した場合に、長期保存性や良好な風味の保持性に優れるとともに密閉容器への充填作業性にも優れるコーヒー飲料の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく、長期保存時のpH低下や風味低下を抑制しつつ密閉容器への充填作業性について鋭意研究したところ、下記要件を満たすことにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の容器入りコーヒー飲料の製造方法は、沸騰水に溶解した弱アルカリ性塩をコーヒー液に添加し、次いで、酸を添加した後、アルミニウム製容器に充填することを特徴とする。
【0007】
前記弱アルカリ性塩は、炭酸水素ナトリウムであることが好ましい。
【0008】
前記酸は、クエン酸またはリン酸であることが好ましい。
【0009】
前記コーヒー液の固形分が0.01重量%以上5重量%未満の場合、炭酸水素ナトリウムを固形分当たり5〜50重量%添加し、クエン酸またはリン酸を固形分当たり0.01〜5重量%添加することが好ましい。
【0010】
前記コーヒー液の固形分が5重量%以上30重量%以下の場合、炭酸水素ナトリウムを固形分当たり1〜30重量%添加し、クエン酸またはリン酸を固形分当たり0.01〜10重量%添加することが好ましい。
【0011】
[作用効果]
本発明の容器入りコーヒー飲料の製造方法によると、弱アルカリ性塩を沸騰水に溶解して添加し、さらに酸を添加することにより、長期保存時のpH低下を抑制し、風味、特に香りの損失を低減しつつ、アルミニウム製容器への充填時に発泡が防止され、充填作業性が向上するとともに充填後も容器破損を防止することができる。容器破損防止の効果は、発泡性の炭酸水素ナトリウムを添加して同じく発泡しやすい濃縮コーヒーを充填する場合にも顕著である。弱アルカリ性塩として炭酸水素ナトリウムを選択することにより、香りの損失の低減効果が優れ、容器入りストレートコーヒー(ミルクや砂糖を含まないブラックコーヒー)を製造する際に有利である。さらに、充填するコーヒーの固形濃度に応じて適切な量の弱アルカリ性塩と酸を添加することにより、保存時のpH低下を抑制する効果と香りの損失を低減させる効果が長期間発揮される。
【0012】
これまで、特に濃縮コーヒーを充填した容器は膨張や破損が起こりやすいため、伸縮性の高いPE容器等が使用され、伸縮性や剛性の低いアルミニウム製容器は使用され難い状況であった。しかし、本発明により炭酸水素ナトリウムや原料コーヒー液の性質に由来する発泡を抑制することで、コーヒー飲料のアルミニウム容器への充填が可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0014】
本発明の容器入りコーヒー飲料の製造方法は、沸騰水に溶解した弱アルカリ性塩をコーヒー液に添加し、次いで、酸を添加した後、アルミニウム製容器に充填することを特徴とする。
【0015】
本発明に用いられる容器は、アルミニウム製であれば特に限定されるものではない。アルミニウム製容器の材質としては、純アルミニウムまたはAl−Mg系合金などのアルミニウム合金が挙げられる。前記アルミニウムは再生アルミニウムであってもよい。前記容器の形状は、円筒状、直方体状など特に限定されるものではなく、その大きさもコーヒー液を充填したアルミニウム製容器が一定の形状を維持できる程度であればよいが、流通や取扱いに適した形状と大きさが好ましい。
【0016】
本発明の容器入りコーヒー飲料の原料となるコーヒー液は、いかなる方法によって製造されたものでもよく、焙煎し、粉砕したコーヒー豆を大気圧下、100℃以下の水で抽出したストレートコーヒーまたは種々の方法により調製された濃縮コーヒー液が挙げられる。
【0017】
前記コーヒー液は、遠心分離またはろ過等により適宜不純物を除去した後、容器に充填される前に、沸騰水に溶解した弱アルカリ性塩を添加する。
【0018】
沸騰水とは、脱イオン水または蒸留水を95〜100℃に加温した水をいう。
【0019】
前記弱アルカリ性塩は、コーヒー液のpH低下を抑制するために添加するものであり、強アルカリ性塩よりも弱アルカリ性塩の方がpH低下の抑制効果が高い。なかでも、炭酸水素ナトリウムがpHの低下抑制効果と風味の損失の低減効果に優れるため、好ましい。炭酸水素ナトリウムを沸騰水に溶解させることにより前もって積極的に炭酸ガスを放出させ、容器への充填時にはガスの発生が抑制されるので、作業効率を高め、保存時の容器の変形を防止することができる。
【0020】
次に、弱アルカリ性塩を添加したコーヒー液に、酸を添加する。
【0021】
酸は、前記弱アルカリ性塩と共存して緩衝作用によりコーヒー液のpH低下を抑制するものであり、食品に添加可能なものであれば特に限定されるものではない。長期間のpH低下を有効に抑制する観点から、弱酸が好ましく、なかでもクエン酸またはリン酸が好ましい。
【0022】
以下、コーヒー液の濃度を固形分5重量%未満の場合と5重量%以上の場合に分けて説明する。本発明においてコーヒー液の固形分とは、Bx濃度をデジタル屈折率計にて測定した値をいう。
【0023】
前記コーヒー液の固形分が0.01重量%以上5重量%未満の場合(ストレートコーヒーはこの範囲内に含まれる)、そのまま飲用されることが多いという事情を考慮し、pH低下に伴う沈殿物の発生を効果的に抑制し、風味を損なわないようにするため、炭酸水素ナトリウムを固形分当たり5〜50重量%添加し、クエン酸またはリン酸を固形分当たり0.01〜5重量%添加することが好ましい。より好ましくは、炭酸水素ナトリウムを固形分当たり20〜40重量%添加し、クエン酸またはリン酸を固形分当たり1〜3重量%添加する。
【0024】
前記弱アルカリ性塩と酸の添加容量は、弱アルカリ塩を溶解する沸騰水の容量を調節して添加後のコーヒー液が所望の濃度となるようにすればよい。
【0025】
弱アルカリ性塩と酸を添加した直後のコーヒー液のpH(20℃)は、通常5.0〜7.5程度である。
【0026】
前記コーヒー液の固形分が5重量%以上30重量%以下の場合、加圧抽出したコーヒーエキスを原料にしたり、濃縮工程を経たことなどの履歴を考慮し、炭酸水素ナトリウムを固形分当たり1〜30重量%添加し、クエン酸またはリン酸を固形分当たり0.01〜10重量%添加することが好ましい。より好ましくは、炭酸水素ナトリウムを固形分当たり10〜20重量%添加し、クエン酸またはリン酸を固形分当たり1〜5重量%添加する。
【0027】
前記弱アルカリ性塩と酸の添加容量は、弱アルカリ性塩を溶解する沸騰水の容量を調節して添加後のコーヒー液が所望の濃度となるようにすればよいが、濃縮コーヒーを必要以上に希釈しないようになるべく添加容量を少なくすることが好ましい。
【0028】
弱アルカリ性塩と酸を添加した直後のコーヒー液のpH(20℃)は、通常5.0〜7.5程度である。
【0029】
このようにして得られたコーヒー液を加熱殺菌し、前記アルミニウム製容器に充填し、密閉する。あるいは、コーヒー液を前記アルミニウム製容器に充填し、密閉した後、加熱殺菌する。
【0030】
加熱殺菌は、110〜135℃で0.5〜25分程度行う。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら限定されるものではない。下記実施例および比較例等で共通する測定方法は、下記の通りである。
【0032】
[コーヒー固形分の測定]
コーヒー液の固形分は、デジタル屈折計(RX−5000、ATAGO製)にて測定し、Bx濃度として示した。
【0033】
[pHの測定]
コーヒー液のpHは、pHメーター(HM−30G、TOA製)にて20℃で測定した。
【0034】
[ガスクロマトグラフィーによる香気成分の測定]
コーヒー液に含まれる香気成分量は、ガスクロマトグラフィーにより以下の条件で分析した。得られたクロマトグラムをコンピューターに入力処理し、各ピークの強度面積合計を算出し、比較した。香気量の残存率は、保存前の面積値を100%として保存後の面積値を表した値である。
【0035】
(a)測定試料の調整
各コーヒー液10gを22mlのバイアル瓶に採取し、密栓した。密栓したバイアル瓶を、Tekmar製ガスクロマトグラフィー用オートサンプラーにて80℃で20分間加温し、その気相をガスクロマトグラフィーに導入し、分析を行った。
【0036】
(b)測定条件
測定装置:日立製ガスクロマトグラフィー G−3000
カラム:ジーエルサイエンス(株)製TC−WAX 0.53mm×30m
キャリヤーガス:ヘリウム
キャリヤーガス流量:1ml/分
カラム温度40℃・5 分→220℃(5℃/分で昇温)
検出器:FID(検出器温度230℃)。
【0037】
[官能評価]
コーヒー液は、65℃で官能評価を行った。評価方法は5名の専門パネラーにより、香りと風味の総合評価について、○:好ましい、△:普通、×:好ましくないとし、最も多い評価で表した。
【0038】
(試験例1)
既存のストレート飲料のpH低下検証
既存のストレート飲料を、反応速度論より検証した結果、25℃で1ヶ月保存した場合のpH低下は、55℃で1週間保存した場合に等しいことがわかった。反応速度論より求めた速度定数(1/日) は、0. 00025(25℃)および0. 00095(55℃)であり、温度係数Q10=1. 61となる。逆に、温度係数Q10=1. 61の場合の保存期間の推定は、1月(25℃)および1週間(55℃)となる。
【0039】
(試験例2)
粉砕した焙煎コーヒー豆700kgに、98℃の温水を8000L加水して、コーヒー抽出液を6700L得た。その後、前記コーヒー抽出液を遠心分離( 5300rpm)にて不純物を除去した。コーヒー固形分は、2.0重量%であった。遠心分離後のコーヒー液に、沸騰水にて溶解した炭酸水素ナトリウムをコーヒー固形分当たり10重量%添加し、規定倍率(2倍)まで希釈した。前記希釈コーヒー液をスチール缶またはアルミニウム缶に充填し、密閉して、120℃で20分殺菌した。殺菌終了後の缶コーヒーと55℃で1週間保存した後の缶コーヒーについて、pHと風味を調べた。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003682875
表1より、容器として、スチール缶よりアルミニウム缶の方がコーヒー液のpH低下抑制効果が高い。また、風味や香りの残存率は、ほとんど差がないことがわかる。
【0041】
(実施例1〜3)
コーヒー豆700kgに、98℃の温水を8000L加水して、コーヒー抽出液を6700L得た。その後、前記コーヒー抽出液を遠心分離(5300rpm)にて不純物を除去した。コーヒー固形分は、2.0重量%であった。遠心分離後のコーヒー液に、沸騰水にて溶解した炭酸水素ナトリウムをコーヒー固形分当たり20、30または40重量%添加し、次いで、リン酸をコーヒー固形分当たり1.9重量%それぞれ添加し、規定倍率(2倍)まで希釈した。前記希釈コーヒー液をアルミニウム缶に充填し、密閉して、120℃で20分殺菌した。
【0042】
(比較例1〜4)
実施例1において、沸騰水の代わりに常温(25℃程度)水を用いて溶解した炭酸水素ナトリウムをコーヒー固形分当たりそれぞれ10、20、30または40重量%添加すること以外は実施例1と同様にしてコーヒー液をアルミニウム缶に充填し、密閉して、120℃で20分殺菌した。
【0043】
(検証1) 炭酸水素ナトリウムのバックリング検証
炭酸水素ナトリウムを過剰に添加すると、アルミニウム缶の場合、高温殺菌の際に巻き締めした缶蓋が膨張し、バックリング(蓋変形) が起こる。このバックリングの抑制効果を、実施例1〜3および比較例1〜4で製造したアルミニウム缶コーヒーで検証した。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0003682875
表2より、炭酸水素ナトリウムを沸騰水に溶解することによって過剰な炭酸ガスを事前に発生させ、高温殺菌後のバックリングを防止する効果があることがわかる。バックリングを確実に防止するためには、炭酸水素ナトリウムを沸騰水に溶解することが重要である。
【0045】
(実施例4、5)
コーヒー豆700kgに、98℃の温水を8000L加水して、コーヒー抽出液を6700L得た。その後、前記コーヒー抽出液を遠心分離(5300rpm)にて不純物を除去した。コーヒー固形分は、2.0重量%であった。遠心分離後のコーヒー液に、沸騰水にて溶解した炭酸水素ナトリウムをコーヒー固形分当たり20または30重量%添加し、次いで、リン酸をコーヒー固形分当たり1.9重量%それぞれ添加し、規定倍率(2倍)まで希釈した。前記希釈コーヒー液をアルミニウム缶に充填し、密閉して、120℃で20分殺菌した。
【0046】
(比較例5、6)
実施例4において炭酸水素ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを10または15重量%添加すること以外は、実施例4と同様にして、アルミニウム缶コーヒーを得た。
【0047】
(検証2)アルカリ剤の添加後殺菌前後のpHの測定
実施例4および5ならびに比較例5および6で得られた缶コーヒーについて、殺菌前と殺菌後のコーヒー液のpHを測定し、比較した。結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
Figure 0003682875
表3より、炭酸水素ナトリウムの方が、水酸化カリウムよりも高温殺菌によるコーヒー液のpH低下抑制効果が高いことがわかる。
【0049】
(実施例6〜8)
コーヒー豆700kgに、98℃の温水を8000L加水して、コーヒー抽出液を6700L得た。その後、前記コーヒー抽出液を遠心分離(5300rpm)にて不純物を除去した。コーヒー固形分は、2.0重量%であった。遠心分離後のコーヒー液に、沸騰水にて溶解した炭酸水素ナトリウムをコーヒー固形分当たり20、30または40重量%添加し、次いで、リン酸をコーヒー固形分当たり1.9重量%それぞれ添加し、規定倍率(2倍)まで希釈した。前記希釈コーヒー液をアルミニウム缶に充填し、密閉して、120℃で20分殺菌した。
【0050】
(実施例9、10)
コーヒー豆700kgに、98℃の温水を8000L加水して、コーヒー抽出液を6700L得た。その後、前記コーヒー抽出液を遠心分離(5300rpm)にて不純物を除去した。コーヒー固形分は、2.0重量%であった。遠心分離後のコーヒー液に、沸騰水にて溶解した炭酸水素ナトリウムをコーヒー固形分当たり30または50重量%添加し、次いで、クエン酸をコーヒー固形分当たり1.9重量%それぞれ添加し、規定倍率(2倍)まで希釈した。前記希釈コーヒー液をアルミニウム缶に充填し、密閉して、120℃で20分殺菌した。
【0051】
(比較例7、8)
実施例6において炭酸水素ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを10または15重量%添加すること以外は、実施例6と同様にして、アルミニウム缶コーヒーを得た。
【0052】
(比較例9、10)
実施例9において炭酸水素ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを10または20重量%添加すること以外は、実施例9と同様にして、アルミニウム缶コーヒーを得た。
【0053】
(検証3)
実施例6〜10および比較例7〜10で得られたアルミニウム缶コーヒーを55℃で1週間保存し、保存前後のコーヒーのpH変化および風味の変化について調べた。結果を表4および5に示す。
【0054】
【表4】
Figure 0003682875
【表5】
Figure 0003682875
表4および5より、アルカリ性塩として、強アルカリ性塩の水酸化カリウムよりも弱アルカリ性塩の炭酸水素ナトリウムを添加した方が、缶コーヒーの保存中のpH低下を抑制する効果がある。酸として、リン酸とクエン酸は、pH低下を抑制する効果については同等であった。コーヒーの香気残存率は、水酸化カリウムよりも、炭酸水素ナトリウムの方が高かった。なお、炭酸水素ナトリウムを40重量%以上添加すると、風味が若干低下する傾向にあった。
【0055】
(試験例3)
常法により得られた濃縮コーヒー液(固形分20重量%)を、アルカリ剤と酸を添加せずに、殺菌 (90℃で10分) してPE製容器またはアルミニウム製容器に充填し、55℃で1週間保存した。結果を表6に示す。
【0056】
【表6】
Figure 0003682875
表6より、容器の材質としてアルミニウムの方がPEよりもpH低下の抑制効果があることがわかる。さらに、風味や香気残存率についても、アルミニウム製容器の方が好ましい。
【0057】
(試験例4)
一般に、濃縮コーヒー液に炭酸水素ナトリウムを直接添加すると、泡立ちが多く、また炭酸ガスが発生するので容器への充填が困難である。仮に、充填したとしても、保存中の容器の破損にもつながる恐れがある。そこで、常法により得られた濃縮コーヒー液(固形分15重量%)に、コーヒー固形分に対して4重量%以下の炭酸水素ナトリウムを直接添加してPE製容器またはアルミニウム製容器に充填することを試みた。結果を表7に示す。
【0058】
【表7】
Figure 0003682875
表7より、PE製容器よりもアルミニウム製容器の方が破損し易いことがわかる。4重量%以下の炭酸水素ナトリウムを添加した場合は、泡立ちも少なく何とか充填することができた。
しかし、pHの低下を確実に抑制するために5重量%以上の炭酸水素ナトリウムを添加した場合は、泡立ちが多くなり、容器への充填が困難であった。
【0059】
(試験例5)
常法により得られた濃縮コーヒー液(固形分20重量%)に、沸騰水にて溶解した炭酸水素ナトリウムを添加してPE製容器またはアルミニウム製容器に充填することを試みた。結果を表8に示す。
【0060】
【表8】
Figure 0003682875
表8より、炭酸水素ナトリウムを沸騰水に溶解することにより、溶解中に炭酸ガスを飛ばし、その後に濃縮コーヒー液に添加すれば、泡立ちもなく、アルミニウム製容器に充填することが可能である。さらに、充填後も容器の破損は観察されなかった。
【0061】
(実施例11〜13)
常法により得られた濃縮コーヒー液(固形分20重量%)に、沸騰水にて溶解した炭酸水素ナトリウムを添加(コーヒー固形分に対してそれぞれ5、10、15重量%)し、その後リン酸を添加した。添加後の濃縮コーヒー液を90℃で10分間殺菌し、アルミニウム製容器に充填し、55℃で1週間保存した。結果を表9に示す。
【0062】
(比較例11〜13)
実施例11において、炭酸水素ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを添加すること以外は実施例11と同様にして、アルミニウム製容器に充填した濃縮コーヒー液を調製した。結果を表9に示す。
【0063】
(比較例14〜16)
実施例11において、アルミニウム製容器の代わりにPE製容器に充填すること以外は実施例11と同様にして、PE製容器に充填した濃縮コーヒー液を調製した。結果を表10に示す。
【0064】
【表9】
Figure 0003682875
【表10】
Figure 0003682875
表9より、炭酸水素ナトリウムは、濃縮コーヒー液の固形分に対して10重量%以上添加することによりpH低下を抑制する効果は特に高くなることがわかる。また、炭酸水素ナトリウム添加コーヒー液は、アルカリ無添加コーヒー液よりも香りの残存率が高かった。水酸化カリウムは、10重量%以下の添加量では、pH低下抑制効果は低い。一方、水酸化カリウムを15重量%以上添加すると、薬品臭のような刺激的な風味になり、味覚上好ましくない。これらを総合すると、水酸化カリウムよりも、炭酸水素ナトリウムの方がpH低下の抑制効果と香り損失の低減効果があることがわかる。
【0065】
表9と10より、コーヒーの保存容器としてPE容器を用いると、アルミニウム製容器と比較して、pH低下抑制効果および香り残存率が低いことがわかる。

Claims (5)

  1. 容器入りコーヒー飲料の製造方法において、沸騰水に溶解した弱アルカリ性塩をコーヒー液に添加し、次いで、酸を添加した後、アルミニウム製容器に充填することを特徴とする製造方法。
  2. 前記弱アルカリ性塩が炭酸水素ナトリウムである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記酸がクエン酸またはリン酸である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記コーヒー液の固形分が0.01重量%以上5重量%未満であり、炭酸水素ナトリウムを固形分当たり5〜50重量%添加し、クエン酸またはリン酸を固形分当たり0.01〜5重量%添加する、請求項1〜3いずれかに記載の製造方法。
  5. 前記コーヒー液の固形分が5重量%以上30重量%以下であり、炭酸水素ナトリウムを固形分当たり1〜30重量%添加し、クエン酸またはリン酸を固形分当たり0.01〜10重量%添加する、請求項1〜3いずれかに記載の製造方法。
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