JP3681548B2 - 油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路に係わり、特に、車体持ち上げ状態でのエンジン起動時の安全性を改善した油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路に関する。
【０００２】
【従来の技術】
特開平８−６８０７８号公報に従来技術に係わる油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路が示されている。同回路の概要を図３に示す。
【０００３】
同図において、１は油圧ポンプ２および補助油圧ポンプ７を駆動するエンジン、２はブームシリンダ油圧回路に圧油を供給する油圧ポンプ、３は油圧ポンプ２の吐出油をブームシリンダ４に切り換えて供給する方向切換弁、４は油圧ショベルの図示されていないブームを駆動するブームシリンダ、５はブームシリンダ４のロッド側油室４１の油圧の最大値を制御し、通常は高圧側にセットされセット圧可変部１３の油室１３１に圧油が供給されると低圧側にセットされるリリーフ弁、６はブームシリンダ４のボトム側油室４２の油圧の最大値を制御するリリーフ弁、７はリリーフ弁５のセット圧可変部１３の油室１３１に電磁切換弁９を介して圧油を供給する補助油圧ポンプ、８は補助油圧ポンプ７の吐出油圧を制御するリリーフ弁、９は制御装置１０からの指令信号に従ってセット圧可変部１３の油室１３１への圧油の供給またはタンク１４への流出を切り換える電磁切換弁、１０はセット圧切換スイッチ１１および方向切換弁操作検出部１２からの信号に基づいて電磁切換弁９へ切換信号を出力する制御装置、１１はリリーフ弁５が低圧または高圧で動作するようにセット圧可変部１３を制御するための指令信号を出力するセット圧切換スイッチ、１２は方向切換弁３がブームシリンダ４のロッドを縮み側に作動させる縮み側位置３１またはロッドを伸び側に作動させる伸び側位置３３に切り換えられたことを検出する方向切換弁操作検出部、１３は油室１３１を備えリリーフ弁５のセット圧を高圧または低圧に制御するセット圧可変部である。
【０００４】
このブームシリンダ用油圧回路は、掘削作業時、セット圧切換スイッチ１１によってリリーフ弁５のリリーフセット圧を低圧に切り換えるように指令され、かつ方向切換弁操作検出部１２が方向切換弁３の縮み側位置３１または伸び側位置３３に切り換えられたことを検出すると、制御装置１０から電磁切換弁９に切換信号が出力され、電磁切換弁９は補助油圧ポンプ７からセット圧可変部１３の油室１３１へ圧油を供給する側に切り換わる。その結果、リリーフ弁５はリリーフセット圧が低圧に切り換えられるので、ブームシリンダ４のロッド側油室４１内の油圧はリリーフ弁５の低圧であるリリーフセット圧までしか上昇できず、大きな掘削力が作用した時にはブームは上方に揺動して、図示していないバケットを自動的に上方に移動することができ、掘削負荷が大きい時にオペレータによる操作によってバケットを上方に操作する必要がなくなる。一方、セット圧切換スイッチ１１によりリリーフ弁５が高圧側に切り換える指令が出力された時は、制御装置１０から電磁切換弁９に切換信号が出力され、電磁切換弁９はセット圧可変部１３の油室１３１からタンク１４に圧油を流出する側に切り換わる。その結果、リリーフ弁５のリリーフセット圧は高圧となるので、ブームシリンダ４のロッド側油室４１の油圧を高めることができ、車体を持ち上げることができる。また強い掘削力も得ることができる。さらに、車体を持ち上げた状態で、方向切換弁３を中立位置３２に切り換えると、セット圧切換スイッチ１１を操作してリリーフ弁５を低圧のリリーフセット圧に切り換えても、方向切換弁操作検出部１２が方向切換弁３の縮み側位置３１または伸び側位置３３を検出しないので低圧側に切り換えるための信号が制御装置１０から出力しないので、電磁切換弁９は切り換わらず、リリーフ弁５のリリーフセット圧は高圧に保持され車体は持ち上げられた状態で保持される。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術のものは、エンジン１が停止状態で、車体が持ち上げられた状態において、何らかの理由でセット圧切換スイッチ１１によりリリーフ弁５のリリーフセット圧が低圧側に切り換わるように操作された状態でエンジン１を始動し、オペレータの操作により操作レバーが方向切換弁３の縮み側位置３１または伸び側位置３３に位置すると、不本意にも車体が落下してしまうことがある。従って、このような時には、油圧ショベルの周囲に人がいるかどうか細心の注意を払って確認する必要があるのでわずらわしい。。
【０００６】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑みて、車体が持ち上げられた状態で、エンジンの停止状態から、リリーフセット圧が低圧側に切り換わるように操作された状態でエンジンを始動し、オペレータが操作を開始しても車体が落下することのない油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために次のような手段を採用した。
【０００８】
油圧ショベルのブームを上下に揺動するブームシリンダのロッド側油室とボトム側油室にエンジンにより駆動される油圧ポンプの吐出圧油を方向切換弁により切り換えて供給する油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路において、前記ロッド側油室と前記方向切換弁を接続するロッド側油圧回路に設けられ、リリーフセット圧を高圧と低圧のいずれかに切り換え可能なリリーフ弁と、このリリーフ弁の前記リリーフセット圧を前記高圧と前記低圧のいずれかにする指令信号を出力するセット圧切換スイッチと、エンジン停止時に前記高圧に切り換えられていた前記リリーフ弁の前記リリーフセット圧を、エンジン駆動後、前記セット圧切換スイッチから前記低圧を指令する指令信号が出力され、しかも前記ロッド側油圧回路の油圧が前記低圧のリリーフセット圧以下のときに前記低圧に切り換え可能な切換制御手段を備えたことを特徴とする。
【０００９】
また、請求項１に記載の油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路において、前記切換制御手段は、少なくとも、前記エンジンによって駆動される補助油圧ポンプと、前記リリーフ弁に設けられ前記補助油圧ポンプの吐出圧油が供給されると前記リリーフセット圧を前記低圧に切り換えるセット圧可変部と、前記補助油圧ポンプと前記セット圧可変部間に設けられ前記セット圧可変部に圧油を供給または排出する切換弁と、エンジン駆動時に前記セット圧切換スイッチによるリリーフセット圧の前記低圧への指令、および前記ロッド側油圧回路の油圧が前記低圧のリリーフセット圧以下であることを検出した時に、前記切換弁に前記油圧ポンプからセット圧可変部に圧油を供給するように切り換え指令を出力可能な制御部とを設けたことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図１および図２を用いて説明する。
【００１１】
図１は、本実施形態に係わる油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路の構成を示す図である。
【００１２】
同図において、１５はブームシリンダ４のロッド側油圧回路、１６はロッド側油圧回路１５の油圧を検出する圧力検出部、１７はセット圧切換スイッチ１１、方向切換弁操作検出部１２および圧力検出部１６からの信号に基づいて電磁切換弁９への切換信号を出力する制御装置である。
【００１３】
なお、その他の構成は、図３に示した同符号の箇所と同一であるので説明を省略する。
【００１４】
ここで、制御装置１７は、（１）セット圧切換スイッチ１１によりリリーフセット圧を低圧側に切り換えるように指令された時、（２）方向切換弁操作検出部１２が方向切換弁３が操作されて縮み側位置３１または伸び側位置３３にあることを検知し、かつ（３）圧力検出部１６がロッド側油圧回路１５の油圧がリリーフ弁５の低圧のリリーフセット圧よりも低い圧力を検出した時に、電磁切換弁９に低圧のリリーフセット圧に切り換わるように切換信号を出力するように構成されている。なお、圧力検出部１６としては所定の圧力で回路を開閉する圧力スイッチを用いてもよいし、また圧力に応じた電圧または電流を出力する圧力センサを用いてもよい。
【００１５】
図２は、本実施形態に係わるブームシリンダ用油圧回路各部のタイムチャートを示す図であり、図２（ａ）はエンジン１の駆動状態および停止状態、図２（ｂ）はセット圧切換スイッチ１１からのリリーフセット圧の低圧側への切り換え指令信号、図２（ｃ）は方向切換弁操作検出部１２によって検出される操作検出信号、図２（ｄ）はロッド側油圧回路１５の油圧、図２（ｅ）は圧力検出部１６によって検出された検出信号、図２（ｆ）は制御装置１７から出力され電磁切換弁９への切換信号を示す。
【００１６】
図１および図２に基づいて、本実施形態に係わるブームシリンダ用油圧回路の動作を説明する。
【００１７】
はじめに、車体が持ち上げられた状態で、かつセット圧切換スイッチ１１が低圧側に切り換えらている状態で、時点ｔ１において停止状態にあったエンジン１を起動したとする。次いで、時点ｔ２において、オペレータによりレバー操作され、その結果、方向切換弁操作検出部１２がレバー操作を検出しても、この時点では、ロッド側油圧回路１５の油圧が図２（ｄ）に示すように、リリーフ弁５の低圧のリリーフセット圧より高圧になっているので、圧力検出部１６は圧力検出信号を検出しない。そのため、この時点では、制御装置１７からは電磁切換弁９に対してリリーフセット圧を低圧側に切り換えるための指令信号は出力されない。次いで、時点ｔ３において、オペレータによるレバー操作の結果、ロッド側油圧回路１５の油圧が低圧のリリーフセット圧以下に低下すると、圧力検出部１６は圧力検出信号を制御装置１７に出力する。制御装置１７は、図２（ｆ）に示すように、セット圧切換スイッチ１１によるリリーフセット圧の低圧側への切り換え指令、方向切換弁操作検出部１２によるレバー操作の検出、および圧力検出部１６によるロッド側油圧回路１５の低圧側のリリーフセット圧以下の検出により、制御装置１７から電磁切換弁９にリリーフセット圧の低圧側への切換信号が出力し、電磁切換弁９は補助油圧ポンプ７から電磁切換弁９を介してセット圧可変部１３の油室１３１に圧油を供給し、リリーフ弁５は低圧のリリーフセット圧にセットされる。この時点では、既に、ブームシリンダ４のロッド側油室４１の油圧は低圧側のリリーフセット圧以下に低下しているので、車体は着地しているか、着地していない場合でも車体が不本意に急速に落下するようなことはなくなる。
【００１８】
【発明の効果】
上記のごとく、本発明は、ブームシリンダのロッド側油室と方向切換弁を接続するロッド側油圧回路に設けられ、リリーフセット圧を高圧と低圧のいずれかに切り換え可能なリリーフ弁と、このリリーフ弁の前記リリーフセット圧を前記高圧と前記低圧のいずれかにする指令信号を出力するセット圧切換スイッチと、エンジン停止時に前記高圧に切り換えられていた前記リリーフ弁の前記リリーフセット圧を、エンジン駆動後、前記セット圧切換スイッチから前記低圧を指令する指令信号が出力され、しかも前記ロッド側油圧回路の油圧が前記低圧のリリーフセット圧以下のときに前記低圧に切り換え可能な切換制御手段を備えたので、車体が持ち上げられた状態において、リリーフセット圧が低圧側に切り換わるように操作された状態でエンジンを始動しても、車体が不用意に落下してしまう危険な事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係わる油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路の構成を示す図である。
【図２】本実施形態に係わる油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路各部のタイムチャートを示す図である。
【図３】 従来技術に係わる油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
１ エンジン
２ 油圧ポンプ
３ 方向切換弁
４ ブームシリンダ
５ リリーフ弁
７ 補助油圧ポンプ
９ 電磁切換弁
１１ セット圧切換スイッチ
１２ 方向切換弁操作検出部
１３ セット圧可変部
１５ ロッド側油圧回路
１６ 圧力検出部
１７ 制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路に係わり、特に、車体持ち上げ状態でのエンジン起動時の安全性を改善した油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路に関する。
【０００２】
【従来の技術】
特開平８−６８０７８号公報に従来技術に係わる油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路が示されている。同回路の概要を図３に示す。
【０００３】
同図において、１は油圧ポンプ２および補助油圧ポンプ７を駆動するエンジン、２はブームシリンダ油圧回路に圧油を供給する油圧ポンプ、３は油圧ポンプ２の吐出油をブームシリンダ４に切り換えて供給する方向切換弁、４は油圧ショベルの図示されていないブームを駆動するブームシリンダ、５はブームシリンダ４のロッド側油室４１の油圧の最大値を制御し、通常は高圧側にセットされセット圧可変部１３の油室１３１に圧油が供給されると低圧側にセットされるリリーフ弁、６はブームシリンダ４のボトム側油室４２の油圧の最大値を制御するリリーフ弁、７はリリーフ弁５のセット圧可変部１３の油室１３１に電磁切換弁９を介して圧油を供給する補助油圧ポンプ、８は補助油圧ポンプ７の吐出油圧を制御するリリーフ弁、９は制御装置１０からの指令信号に従ってセット圧可変部１３の油室１３１への圧油の供給またはタンク１４への流出を切り換える電磁切換弁、１０はセット圧切換スイッチ１１および方向切換弁操作検出部１２からの信号に基づいて電磁切換弁９へ切換信号を出力する制御装置、１１はリリーフ弁５が低圧または高圧で動作するようにセット圧可変部１３を制御するための指令信号を出力するセット圧切換スイッチ、１２は方向切換弁３がブームシリンダ４のロッドを縮み側に作動させる縮み側位置３１またはロッドを伸び側に作動させる伸び側位置３３に切り換えられたことを検出する方向切換弁操作検出部、１３は油室１３１を備えリリーフ弁５のセット圧を高圧または低圧に制御するセット圧可変部である。
【０００４】
このブームシリンダ用油圧回路は、掘削作業時、セット圧切換スイッチ１１によってリリーフ弁５のリリーフセット圧を低圧に切り換えるように指令され、かつ方向切換弁操作検出部１２が方向切換弁３の縮み側位置３１または伸び側位置３３に切り換えられたことを検出すると、制御装置１０から電磁切換弁９に切換信号が出力され、電磁切換弁９は補助油圧ポンプ７からセット圧可変部１３の油室１３１へ圧油を供給する側に切り換わる。その結果、リリーフ弁５はリリーフセット圧が低圧に切り換えられるので、ブームシリンダ４のロッド側油室４１内の油圧はリリーフ弁５の低圧であるリリーフセット圧までしか上昇できず、大きな掘削力が作用した時にはブームは上方に揺動して、図示していないバケットを自動的に上方に移動することができ、掘削負荷が大きい時にオペレータによる操作によってバケットを上方に操作する必要がなくなる。一方、セット圧切換スイッチ１１によりリリーフ弁５が高圧側に切り換える指令が出力された時は、制御装置１０から電磁切換弁９に切換信号が出力され、電磁切換弁９はセット圧可変部１３の油室１３１からタンク１４に圧油を流出する側に切り換わる。その結果、リリーフ弁５のリリーフセット圧は高圧となるので、ブームシリンダ４のロッド側油室４１の油圧を高めることができ、車体を持ち上げることができる。また強い掘削力も得ることができる。さらに、車体を持ち上げた状態で、方向切換弁３を中立位置３２に切り換えると、セット圧切換スイッチ１１を操作してリリーフ弁５を低圧のリリーフセット圧に切り換えても、方向切換弁操作検出部１２が方向切換弁３の縮み側位置３１または伸び側位置３３を検出しないので低圧側に切り換えるための信号が制御装置１０から出力しないので、電磁切換弁９は切り換わらず、リリーフ弁５のリリーフセット圧は高圧に保持され車体は持ち上げられた状態で保持される。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術のものは、エンジン１が停止状態で、車体が持ち上げられた状態において、何らかの理由でセット圧切換スイッチ１１によりリリーフ弁５のリリーフセット圧が低圧側に切り換わるように操作された状態でエンジン１を始動し、オペレータの操作により操作レバーが方向切換弁３の縮み側位置３１または伸び側位置３３に位置すると、不本意にも車体が落下してしまうことがある。従って、このような時には、油圧ショベルの周囲に人がいるかどうか細心の注意を払って確認する必要があるのでわずらわしい。。
【０００６】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑みて、車体が持ち上げられた状態で、エンジンの停止状態から、リリーフセット圧が低圧側に切り換わるように操作された状態でエンジンを始動し、オペレータが操作を開始しても車体が落下することのない油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために次のような手段を採用した。
【０００８】
油圧ショベルのブームを上下に揺動するブームシリンダのロッド側油室とボトム側油室にエンジンにより駆動される油圧ポンプの吐出圧油を方向切換弁により切り換えて供給する油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路において、前記ロッド側油室と前記方向切換弁を接続するロッド側油圧回路に設けられ、リリーフセット圧を高圧と低圧のいずれかに切り換え可能なリリーフ弁と、このリリーフ弁の前記リリーフセット圧を前記高圧と前記低圧のいずれかにする指令信号を出力するセット圧切換スイッチと、エンジン停止時に前記高圧に切り換えられていた前記リリーフ弁の前記リリーフセット圧を、エンジン駆動後、前記セット圧切換スイッチから前記低圧を指令する指令信号が出力され、しかも前記ロッド側油圧回路の油圧が前記低圧のリリーフセット圧以下のときに前記低圧に切り換え可能な切換制御手段を備えたことを特徴とする。
【０００９】
また、請求項１に記載の油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路において、前記切換制御手段は、少なくとも、前記エンジンによって駆動される補助油圧ポンプと、前記リリーフ弁に設けられ前記補助油圧ポンプの吐出圧油が供給されると前記リリーフセット圧を前記低圧に切り換えるセット圧可変部と、前記補助油圧ポンプと前記セット圧可変部間に設けられ前記セット圧可変部に圧油を供給または排出する切換弁と、エンジン駆動時に前記セット圧切換スイッチによるリリーフセット圧の前記低圧への指令、および前記ロッド側油圧回路の油圧が前記低圧のリリーフセット圧以下であることを検出した時に、前記切換弁に前記油圧ポンプからセット圧可変部に圧油を供給するように切り換え指令を出力可能な制御部とを設けたことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図１および図２を用いて説明する。
【００１１】
図１は、本実施形態に係わる油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路の構成を示す図である。
【００１２】
同図において、１５はブームシリンダ４のロッド側油圧回路、１６はロッド側油圧回路１５の油圧を検出する圧力検出部、１７はセット圧切換スイッチ１１、方向切換弁操作検出部１２および圧力検出部１６からの信号に基づいて電磁切換弁９への切換信号を出力する制御装置である。
【００１３】
なお、その他の構成は、図３に示した同符号の箇所と同一であるので説明を省略する。
【００１４】
ここで、制御装置１７は、（１）セット圧切換スイッチ１１によりリリーフセット圧を低圧側に切り換えるように指令された時、（２）方向切換弁操作検出部１２が方向切換弁３が操作されて縮み側位置３１または伸び側位置３３にあることを検知し、かつ（３）圧力検出部１６がロッド側油圧回路１５の油圧がリリーフ弁５の低圧のリリーフセット圧よりも低い圧力を検出した時に、電磁切換弁９に低圧のリリーフセット圧に切り換わるように切換信号を出力するように構成されている。なお、圧力検出部１６としては所定の圧力で回路を開閉する圧力スイッチを用いてもよいし、また圧力に応じた電圧または電流を出力する圧力センサを用いてもよい。
【００１５】
図２は、本実施形態に係わるブームシリンダ用油圧回路各部のタイムチャートを示す図であり、図２（ａ）はエンジン１の駆動状態および停止状態、図２（ｂ）はセット圧切換スイッチ１１からのリリーフセット圧の低圧側への切り換え指令信号、図２（ｃ）は方向切換弁操作検出部１２によって検出される操作検出信号、図２（ｄ）はロッド側油圧回路１５の油圧、図２（ｅ）は圧力検出部１６によって検出された検出信号、図２（ｆ）は制御装置１７から出力され電磁切換弁９への切換信号を示す。
【００１６】
図１および図２に基づいて、本実施形態に係わるブームシリンダ用油圧回路の動作を説明する。
【００１７】
はじめに、車体が持ち上げられた状態で、かつセット圧切換スイッチ１１が低圧側に切り換えらている状態で、時点ｔ１において停止状態にあったエンジン１を起動したとする。次いで、時点ｔ２において、オペレータによりレバー操作され、その結果、方向切換弁操作検出部１２がレバー操作を検出しても、この時点では、ロッド側油圧回路１５の油圧が図２（ｄ）に示すように、リリーフ弁５の低圧のリリーフセット圧より高圧になっているので、圧力検出部１６は圧力検出信号を検出しない。そのため、この時点では、制御装置１７からは電磁切換弁９に対してリリーフセット圧を低圧側に切り換えるための指令信号は出力されない。次いで、時点ｔ３において、オペレータによるレバー操作の結果、ロッド側油圧回路１５の油圧が低圧のリリーフセット圧以下に低下すると、圧力検出部１６は圧力検出信号を制御装置１７に出力する。制御装置１７は、図２（ｆ）に示すように、セット圧切換スイッチ１１によるリリーフセット圧の低圧側への切り換え指令、方向切換弁操作検出部１２によるレバー操作の検出、および圧力検出部１６によるロッド側油圧回路１５の低圧側のリリーフセット圧以下の検出により、制御装置１７から電磁切換弁９にリリーフセット圧の低圧側への切換信号が出力し、電磁切換弁９は補助油圧ポンプ７から電磁切換弁９を介してセット圧可変部１３の油室１３１に圧油を供給し、リリーフ弁５は低圧のリリーフセット圧にセットされる。この時点では、既に、ブームシリンダ４のロッド側油室４１の油圧は低圧側のリリーフセット圧以下に低下しているので、車体は着地しているか、着地していない場合でも車体が不本意に急速に落下するようなことはなくなる。
【００１８】
【発明の効果】
上記のごとく、本発明は、ブームシリンダのロッド側油室と方向切換弁を接続するロッド側油圧回路に設けられ、リリーフセット圧を高圧と低圧のいずれかに切り換え可能なリリーフ弁と、このリリーフ弁の前記リリーフセット圧を前記高圧と前記低圧のいずれかにする指令信号を出力するセット圧切換スイッチと、エンジン停止時に前記高圧に切り換えられていた前記リリーフ弁の前記リリーフセット圧を、エンジン駆動後、前記セット圧切換スイッチから前記低圧を指令する指令信号が出力され、しかも前記ロッド側油圧回路の油圧が前記低圧のリリーフセット圧以下のときに前記低圧に切り換え可能な切換制御手段を備えたので、車体が持ち上げられた状態において、リリーフセット圧が低圧側に切り換わるように操作された状態でエンジンを始動しても、車体が不用意に落下してしまう危険な事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係わる油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路の構成を示す図である。
【図２】本実施形態に係わる油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路各部のタイムチャートを示す図である。
【図３】 従来技術に係わる油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
１ エンジン
２ 油圧ポンプ
３ 方向切換弁
４ ブームシリンダ
５ リリーフ弁
７ 補助油圧ポンプ
９ 電磁切換弁
１１ セット圧切換スイッチ
１２ 方向切換弁操作検出部
１３ セット圧可変部
１５ ロッド側油圧回路
１６ 圧力検出部
１７ 制御装置
Claims (2)
- 油圧ショベルのブームを上下に揺動するブームシリンダのロッド側油室とボトム側油室にエンジンにより駆動される油圧ポンプの吐出圧油を方向切換弁により切り換えて供給する油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路において、
前記ロッド側油室と前記方向切換弁を接続するロッド側油圧回路に設けられ、リリーフセット圧を高圧と低圧のいずれかに切り換え可能なリリーフ弁と、
このリリーフ弁の前記リリーフセット圧を前記高圧と前記低圧のいずれかにする指令信号を出力するセット圧切換スイッチと、
エンジン停止時に前記高圧に切り換えられていた前記リリーフ弁の前記リリーフセット圧を、エンジン駆動後、前記セット圧切換スイッチから前記低圧を指令する指令信号が出力され、しかも前記ロッド側油圧回路の油圧が前記低圧のリリーフセット圧以下のときに前記低圧に切り換え可能な切換制御手段を備えたことを特徴とする油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路。 - 請求項１の記載において、
前記切換制御手段は、少なくとも、前記エンジンによって駆動される補助油圧ポンプと、前記リリーフ弁に設けられ前記補助油圧ポンプの吐出圧油が供給されると前記リリーフセット圧を前記低圧に切り換えるセット圧可変部と、前記補助油圧ポンプと前記セット圧可変部間に設けられ前記セット圧可変部に圧油を供給または排出する切換弁と、エンジン駆動時に前記セット圧切換スイッチによるリリーフセット圧の前記低圧への指令、および前記ロッド側油圧回路の油圧が前記低圧のリリーフセット圧以下であることを検出した時に、前記切換弁に前記油圧ポンプからセット圧可変部に圧油を供給するように切り換え指令を出力可能な制御部とを設けたことを特徴とする油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路。
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21279298A JP3681548B2 (ja) | 1998-07-28 | 1998-07-28 | 油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21279298A JP3681548B2 (ja) | 1998-07-28 | 1998-07-28 | 油圧ショベルのブームシリンダ用油圧回路 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000045338A JP2000045338A (ja) | 2000-02-15 |
| JP3681548B2 true JP3681548B2 (ja) | 2005-08-10 |
Family
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