JP3679627B2 - ポリオレフイン樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、押出成形に適した物性を有するポリオレフィン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィンはその優れた成形性を有することから、射出成型品、押出成型品などの幅広い用途に用いられてきている。ポリオレフィンの中でも、ポリプロピレンは、優れた成形性に加えて、各種用途に適合する優れた樹脂物性を有していることから、近年特に需要を伸ばしている。
たとえば、押出成形による各種形状の押出し成形物、ブロー成形による各種中空成形物、フィルム形成能を利用したフィルム、シートなどその応用は極めて広い。
【0003】
これら、ポリオレフィンの成形品の分野では、これまで新たな市場を開拓するために、また市場の要望に応えるために、種々の改良がなされてきた。その改良は、樹脂製造工程、樹脂同士の混合、添加剤との混合、樹脂の変性処理に及んでいる。例をあげれば、ポリプロピレンの物性を改良する目的で、あるいは溶融時・発泡時の流動性を改良する目的でポリプロピレンを多段階で重合する方法あるいは性質の異なる複数の樹脂を溶融混合する方法が知られており、また同じ流動性を改良する目的で、ポリプロピレンを架橋することも種々行われている。
例えば、2官能性の単量体とラジカル開始剤をポリオレフィンと混合する方法や、成形物に放射線を照射する方法が知られており、また、アルケニルシランとオレフィンの共重合体を含むポリオレフィン粒子と、特定のヒドロシリル化触媒を含むポリオレフィン粒子などを混合溶融成形する方法も試みられている。
【0004】
ポリオレフィン、中でもポリプロピレンの主たる用途である押出し成形においては、種々の改良対象の一つとして、樹脂の溶融時の特性が注目されてきた。樹脂の溶融時特性は、成形時の溶融樹脂の安定性、成形サイクル、成形物の外観及び物性などを左右する重要な要素である。
この課題について上記したような種々の改良努力がなされているものの、更なる改善が望まれている分野である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、押出し成形に適した溶融特性を有する成形用樹脂の開発に鋭意取り組んだ結果本発明に到達した。即ち、本発明は、押出し成形において優れた溶融特性を有する結果、優れた成形性を発揮する樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンに由来するケイ素原子を4ppm〜3800ppm含有するポリα−オレフィン組成物をアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシ化合物の存在下に加熱溶融混練することにより得られるポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
また本発明は、分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンと、少なくとも1種のポリα−オレフィンとの混合物であるポリα−オレフィン組成物をアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシ化合物の存在下に加熱溶融混練することにより得られるポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
【0007】
本発明で提供される上記ポリオレフィン樹脂組成物において、ポリα−オレフィンのいずれかが、下記の性質を満たす結晶性ポリピロピレンであるポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
▲1▼230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜50g/10分。
▲2▼ 極限粘度[η]8〜13dl/gの高分子量成分の含有量が15〜50重量%。及び
▲3▼ 13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が0.970以上。
【0008】
加えて本発明は、分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンと、下記▲1▼〜▲3▼の特性を有する結晶性ポリプロピレンとの混合物、または該結晶性ポリプロピレンおよび他のポリα−オレフィンとの混合物を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシ化合物の存在下に加熱溶融混合してなるポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
▲1▼230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜50g/10分
▲2▼ 極限粘度[η]8〜13dl/gの高分子量成分の含有量が15〜50重量%
▲3▼ 13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が0.970以上
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンとしてはシロキサン構造を持つオリゴマーないしポリマーが好ましく用いられ、直鎖状・環状いずれのものも用いることができる。分子内のSi−H結合は主鎖あるいは末端のどちらに存在していても構わない。
【0010】
ポリシロキサンは、主鎖にシロキサン結合−Si−O−を持つ重合体の総称であり、下記一般式で表すことができる。
−(−SiR20−)n
式中Rは例えばアルキル基、またはアリール基を表し、nは2ないし2000の数を表す。
上記式のRがメチル基、フェニル基のポリシロキサンがよく知られている。
【0011】
本発明で使用される、分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンは、上記式で表されるポリシロキサンの主鎖中のSi−R結合の一部がSi−Hに置き換わったハイドロゲンポリシロキサンが代表的例である。特には、式中のRがメチルであるジメチルポリシロキサンの主鎖中のSi−CH3結合の一部がSi−Hに置き換わったメチルハイドロゲンポリシロキサンが好ましい例として例示できる。
上述したとおり、本発明の分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンは、Hが主鎖ではなくて、末端に入った化合物であってもよい。
【0012】
分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンは、オリゴマーないしポリマー領域の分子量を有するものが好ましく、ポリシロキサンの重合度を上記式のnの数で表して、2ないし2000、好ましくは3ないし100もののが望ましい。
本発明で好ましく使用される分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサン中の、Si−H結合の量は、Si−R及びSi−H結合全量に対して1ないし100%であることがこのましい。
である。
【0013】
分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンと混合されるαーオレフィンの単独共重合体又は共重合体(以下ポリαーオレフィンという)としては、αーオレフィンの単独共重合体又は共重合体を例示できる。具体的には、プロピレンの単独共重合体、プロピレンとエチレンのランダム共重合体もしくはブロック共重合体、エチレンとブテンー1との共重合体、エチレンと4−メチルー1−ペンテンとの共重合体、エチレンとヘキセンとの共重合体、エチレンとオクテンとの共重合体を挙げることができる。なかでも、プロピレンの単独重合体、およびプロピレンとエチレンのランダム共重合体もしくはブロック共重合体が好ましい。
【0014】
使用されるαーオレフィンの単独共重合体又は共重合体は、公知の触媒を用いて、αーオレフィンを単独重合させるか、又はコモノマーの存在下で共重合させることにより得ることができる。また市販されているポリαーオレフィンを適宜選択することも可能である。使用される重合体の、230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)は、通常0.01ないし100で、好ましくは0.01ないし50である。
【0015】
得られた分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンとポリαーオレフィンの混合物よりなるポリαーオレフィン組成物は、さらに他の同種または異種の1種または2種以上のポリαーオレフィンと混合してポリαーオレフィン組成物としてもよい。
【0016】
分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンとポリαーオレフィンとの混合よりなるポリαーオレフィン組成物中の混合割合は適宜選択できる。
【0017】
本発明における上記ポリシロキサンの添加量は、ポリαーオレフィン1重量部に対して1/100000重量部以上であり、好ましくは1/10000重量部以上である。ここでポリシロキサンの添加量の上限については特に制限はないが、過剰に添加する必要はないので、実際には1/100重量部以下とすることが好ましい。
分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサン由来するケイ素の量で表すと4ppmないし3800ppmとなる。ケイ素の量は、蛍光X線によって測定することができる。
【0018】
分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するとポリαーオレフィンとの混合物を調整するにあたって、ポリαーオレフィンとして下記▲1▼〜▲3▼の特性を有する結晶性ポリプロピレンを使用することにより溶融特性が改善された樹脂組成物を得ることができ、物性が改善された成形物を得ることができる。
▲1▼230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜50g/10分、
▲2▼ 極限粘度[η]8〜13dl/gの高分子量成分の含有量が15〜50重量%、および
▲3▼13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が0.970以上。
【0019】
さらに該結晶性ポリプロピレンが下記▲4▼の特性を有していることが好ましい。
▲4▼ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布Mw/Mnが6以上かつMz/Mwが4以上。
【0020】
結晶性ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であってもいいし、プロピレンとエチレンあるいは他のモノマーとの共重合体であってもいい。一般的にはプロピレンの単独重合体が用いられるが、低温衝撃強度が要求される場合にはエチレンとのブロック共重合体を、また透明性を要求される場合にはエチレンとのランダム共重合体を用いると好適な結果が期待できる。
【0021】
本発明における結晶性ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、230℃、2.16kg荷重下で測定して0.01〜50g/10分の範囲内にあるが、好ましくは0.05〜35g/10分である。
【0022】
また結晶性ポリプロピレンは極限粘度[η]8〜13dl/gの高分子量成分を15〜50重量%含有している。さらに、極限粘度[η]が8.5〜12dl/gの高分子量成分の含有量が15〜45重量%であることが好ましい。
【0023】
本発明における結晶性ポリプロピレンの、13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は0.970以上あるが、好ましくは0.980〜0.995である。
ここでアイソタクチックペンタッド分率とは、13C−NMRを使用して測定される結晶性ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖であり、プロピレンモノマー単位で5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。実際には、13C−NMRスペクトルで測定されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に、mmmmピークが占める分率として求めることができる。
【0024】
本発明における結晶性ポリプロピレンが満たしていればより好ましい性質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布がある。GPC法によって測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で示される値が6以上、好ましくは6〜20であり、同様にGPC法で測定されたZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)で示される値が4以上、好ましくは4〜7である。この範囲を満たすということは、通常のポリプロピレンに比べて高分子量側に分布が広いことを示す。
本発明の結晶性ポリプロピレンは、上記特性を満していればよく、製造方法には特に限定されない。
【0025】
本発明における結晶性ポリプロピレンの製造方法の一例を示せば、分子量の異なるポリプロピレンを別々に製造し、これらを溶融混練して配合するか、分子量の異なるポリプロピレンを多段重合で製造することにより分子量の異なるポリプロピレンを配合するのが好ましい。この際、相対的に低分子量のポリプロピレンと相対的に高分子量のポリプロピレンとを配合した組成物とすることにより物性の改善効果が著しく高くなる。
【0026】
本発明において該結晶性ポリプロピレンを使用する場合、分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンは、予め該結晶性ポリプロピレン以外のポリα−オレフィンと混合した後に該結晶性ポリプロピレンと混合しても良い、該結晶性ポリプロピレンに直接混合してもよい。また、該結晶性ポリプロピレンと混合後に、該結晶性ポリプロピレン以外のポリα−オレフィンと混合してもよい。、該結晶性ポリプロピレンと、該結晶性ポリプロピレン以外のポリα−オレフィンの合計量に占める、結晶性ポリプロピレンの割合は、1重量%ないし100重量%、好ましくは10重量%ないし100重量%である。
本発明において該結晶性ポリプロピレンを使用する場合、該結晶性ポリプロピレン以外のポリα−オレフィンが、[η]が8〜13の高分子量成分を15重量%未満含有するポリα−オレフィンであればより好ましい結果を得ることができる。
【0027】
さらに本発明のポリオレフイン樹脂組成物の溶融特性に注目するならば、高いせん断速度領域での溶融粘度を低く維持しつつ、低いせん断速度領域での溶融粘度をできるだけ高くすることが可能な樹脂組成物を提供することにある。
【0028】
本発明において上記で得られるポリαーオレフィン組成物はアルカリ土類金属のアルコキシ化合物の存在下に加熱溶融混合される。ここでアルカリ金属またはアルカリ土類金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが例示できる。アルコキシ基としては特に限定はないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、sec.−ブトキシ、tert.−ブトキシ、ペンタノキシ、ヘキサノキシ、ヘプタノキシ、オクタノキシ、シクロヘキサノキシなどの炭素数1ないし8のアルコキシ基、あるいはフェノキシ、4ーメチルフェノキシ、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシなどの炭素数6ないし20のアリーロキシ基が例示できる。また、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコールから誘導される置換基を有するアルコキシ基も好ましく例示できる。
【0029】
本発明において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシ化合物の使用量としては触媒量で充分であるが、通常、分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンと結晶性ポリプロピレンおよび他のポリα−オレフィンとの混合物に対し0.00001〜1重量%、好ましくは0.0001〜0.5重量%使用される。
【0030】
本発明において、上記ア分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンと結晶性ポリプロピレンおよび他のα−オレフィンの共重合体の混合物をアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシ化合物の存在下に加熱溶融混合する方法としては、上記のすべての成分を混合した後に押出機や二軸混練機に投入し、加熱溶融混練して行われる。接触温度としては150〜300℃程度、接触時間としては0.05〜20分程度である。
【0031】
混合に際し、必要に応じて酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、耐放射線剤、帯電防止剤、結晶造核剤、無機充填剤、滑剤、可塑剤、中和剤、顔料、着色剤などの通常オレフィン系重合体に使用される各種添加剤を添加することももちろん可能である。また、機械物性を改良するためにエラストマー等の副原料を添加することもできる。さらに得られるポリオレフィン樹脂組成物の分子量を調節する目的で、混合に際し、ラジカルを発生する化合物も添加することができ、通常のラジカル発生剤、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化アセチル、過酸化等ラウロイル、過安息香酸、過安息香酸t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサンなどの過酸化物類やアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物類等を用いることができる。
【0032】
これら化合物の添加量は分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンと結晶性ポリプロピレンおよび他のポリα−オレフィンのの混合物に対して0.00001〜0.1重量%程度である。
【実施例】
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
(1) メルトフローレート(以下MFRと記す):ASTM−D1238(230℃)に準拠した。
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布Mw/MnおよびMz/Mwの測定:重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Z平均分子量(Mz)を次の条件で測定した。即ち、Waters社製の150C型GPCを用い、ポリマーラボラトリーズ社製PLmlxedBカラムを取り付け、ポリマー濃度0.15重量%のサンプルを400μ1供給した。溶媒はo−ジクロルベンゼンで、測定温度は135℃であった。そしてポリマーラボラトリーズ社製の標準ポリスチレンで作成した検量線からMw、Mn、およびMzを求めた。解析には、Waters社製の解析ソフト(ミレニアム)を使用した。
(3)曲げ剛性度の測定:ASTM−D747−63(20℃)に準拠した。
【0033】
実施例1
極限粘度[η]が2.90dl/gのポリプロピレンパウダー((株)グランドポリマー製、銘柄名EB)100重量部に対し、メチルハイドロゲンポリシロキサン(信越化学工業(株)製シリコーンオイル、銘柄名KF99)0.3重量部、触媒としてカリウム−tert.−ブトキシド0.05重量部を添加した後、酸化防止剤としてイルガホス168(チバ・ガイギー社製)0.1重量部、塩酸捕捉剤としてステアリン酸カルシウム0.05重量部を加え、50mmφ単軸押出機を用い、スクリュー回転数70rpm、温度230℃で加熱溶融混練しペレットを得た。このペレットのMFRは0.54g/10分であった。示差走査熱分析計(以下DSCと記す)を用いてこのペレットの結晶化温度(以下Tcと記す)および融点(以下Tmと記す)、125℃における等温半結晶化時間(以下t1/2と記す)の値を測定したところ、Tcは113.3℃、Tmは161.6℃、t1/2は2.2分であった。また円錐円盤形レオメーター(レオロジ社MR−500、円錐角5deg、円盤径20mm)を用い、測定温度230℃、測定角周波数0.1〜100rad/sec.、測定ひずみ1〜10%の線形範囲内でこのペレットの溶融粘度の測定を行ったところ、測定角周波数100rad/sec.(高せん断速度領域)における溶融粘度は1150Pa・sで、測定角周波数0.019rad/sec.(低せん断速度領域)における溶融粘度は68800Pa・sであった。
【0034】
次いで上記ペレットを使用し、厚さ1mmのインジェクションシートを作成し、曲げ剛性度を測定した。曲げ剛性度の値は15400kg/cm2であった。
比較例1
メチルハイドロゲンポリシロキサンおよびカリウム−tert.−ブトキシドを添加せずに、実施例1と全く同様に実施した。得られたペレットのMFRは0.28g/10分で、Tcは110.3℃、Tmは160.7℃、t1/2は5.0分であった。また測定角周波数100rad/sec.における溶融粘度は1250Pa・sで、測定角周波数0.019rad/sec.における溶融粘度は62600Pa・sであった。
また、インジェクションシートの曲げ剛性度の値は15000kg/cm2であった。
【0035】
実施例1と比較例1を対比して、実施例では、比較例1よりTc・Tmが共に若干上昇し、t1/2は短くなった。また高せん断速度領域における溶融粘度に差はほとんどないものの、低せん断速度領域における溶融粘度が高くなった。さらに曲げ剛性度の値も上昇した。これらのことから架橋反応が進行していると考えられる。
【0036】
実施例2
結晶性ポリプロピレンの調製
(固体状チタン触媒成分の調整)
無水塩化マグネシウム4.8キログラム、デカン25.0リットルおよび2−エチルヘキシルアルコール23.4リットルを200リットルのオートクレーブに装入し、130℃で2時間加熱反応を行い、均一溶液とした。その後、この溶液中に無水フタル酸11.1キログラムを添加し、130℃にてさらに1時間攪拌混合を行って無水フタル酸を溶解させ、均一溶液とした。このようにして得られた均一溶液を室温まで冷却した後、−20℃に保持された200リットル中に1時間かけて全量滴下した。滴下終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところで、ジイソブチルフタレート2.7リットルを添加し、それから2時間攪拌下に同温度を保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、110℃のへキサンにて洗浄した。洗浄は、洗液中の遊離のチタン化合物濃度が0.1ミリモル/リットル以下になるまで充分に行った。以上の方法により固体状チタン触媒成分を得た。
【0037】
(予備重合触媒成分の調整)
内容積200リットルのオートクレーブに、上記固体状チタン触媒成分を250グラム、トリエチルアルミニウム(以下TEAと記す)を32.1グラム、ヘプタン125リットルを装入した。次いで内温を10℃に保ちながらプロピレンを1250グラム装入し、30分間攪拌した後、四塩化チタン18グラムを装入して予備重合触媒成分のスラリーを得た。
【0038】
(多段重合の実施)
1段目の重合では1基の重合器、2段目の重合では4基の重合器を用いて連続2段法で実施した。即ち、内容積500リットルの重合器−1にヘプタンを53リットル/時間、触媒として上記の予備重合触媒成分を5.4グラム/時間、トリエチルアルミニウムを10.3グラム/時間、ジシクロペンチルジメトキシシラン(以下DCPMSと記す)を20.9グラム/時間の割合で連続的に供給し、温度60℃で実質的に水素の存在しない条件下で、重合器−1の内圧を0.76MPa(7.8kgf/cm2、ゲージ圧)に保つようにプロピレンを連続的に装入した(1段目の重合)。重合器−1のスラリーをサンプリングし、ポリプロピレンの極限粘度[η]を測定したところ、9.4dl/gであった。
続いて2段目の重合として、内容積500リットルの重合器を4基用い、第1段の重合を行った重合器−1のスラリーを重合器−2へ連続的に送りさらに順次後の重合器に送って重合した。2段目の重合では、ヘプタンを装入しながら、温度70℃で加圧下、気相部の水素濃度を30vol.%に保つようにプロピレンおよび水素を連続的に供給した。重合器を出たスラリーから未反応のモノマーを除去した後、通常の方法でヘプタンを遠心分離し、80℃、9300Pa(70mmHg、ゲージ圧)で10時間乾燥して製品とした。この製品パウダーは78kg/時間の割合で得られた。この製品のMFRは4.0g/10分であった。また物質収支から算出した、最終的に得られたポリプロピレンに占める1段目の重合で生成したポリプロピレンの割合は25wt.%であった。また13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッド分率(以下mmmmと記す)は0.983であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布Mw/Mnは18.9、Mz/Mwは5.6であった。
【0039】
(樹脂組成物の製造および評価)
ポリプロピレンパウダー((株)グランドポリマー製、銘柄名EB)の代わりに上記の方法で得られたポリプロピレンを用いること以外は実施例1と全く同様に実施した。得られたペレットのMFRは5.6g/10分で、Tcは117.0℃、Tmは162.7℃、t1/2は0.9分であった。また測定角周波数100rad/sec.における溶融粘度は261Pa・sで、測定角周波数0.038rad/sec.における溶融粘度は6760Pa・sであった。
また、インジェクションシートの曲げ剛性度の値は22000kg/cm2であった。
以下に示す比較例2と比較すると、Tc・Tmが共に上昇し、t1/2は短くなった。また高せん断速度領域における溶融粘度に差はほとんどないものの、低せん断速度領域における溶融粘度が高くなった。さらに曲げ剛性度の値も高いことがわかる。
【0040】
比較例2
メチルハイドロゲンポリシロキサンおよびカリウム−tert.−ブトキシドを添加せずに、実施例2と全く同様に実施した。得られたペレットのMFRは7.1g/10分で、Tcは114.0℃、Tmは161.0℃、t1/2は3.0分であった。また測定角周波数100rad/sec.における溶融粘度は219Pa・sで、測定角周波数0.038rad/sec.における溶融粘度は2450Pa・sであった。
また、インジェクションシートの曲げ剛性度の値は19800kg/cm2であった。
【0041】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、剛性が高く、優れた溶融特性を有するため、優れた成形性を発揮し、成形品に良好な物性を与える工業的に価値が高いものである。

Claims (6)

  1. 分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンに由来するケイ素原子を4〜3800ppm含有するポリα−オレフィン組成物をアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシ化合物の存在下に加熱溶融混練することを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物。
  2. ポリα−オレフィン組成物が、分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンと、少なくとも1種のポリα−オレフィンとの混合物であることを特徴とする請求項1の記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  3. ポリα−オレフィンのいずれかが、下記の性質を満たす結晶性ポリピロピレンであることを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物。
    ▲1▼230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜50g/10分。
    ▲2▼ 極限粘度[η]8〜13dl/gの高分子量成分の含有量が15〜50重量%。及び
    ▲3▼ 13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が0.970以上。
  4. 結晶性ポリプロピレンがさらに下記の特性を有することを特徴とする請求項3記載のポリプロピレン樹脂組成物。
    ▲4▼ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布Mw/Mnが6以上かつMz/Mwが4以上。
  5. 分子内に少なくとも一つ以上のSi−H結合を有するポリシロキサンと、下記▲1▼〜▲3▼の特性を有する結晶性ポリプロピレンとの混合物、または該結晶性ポリプロピレンおよび他のポリα−オレフィンとの混合物を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシ化合物の存在下に加熱溶融混合してなるポリオレフィン樹脂組成物。
    ▲1▼230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜50g/10分
    ▲2▼ 極限粘度[η]8〜13dl/gの高分子量成分の含有量が15〜50重量%
    ▲3▼ 13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が0.970以上
  6. 結晶性ポリプロピレンがさらに下記▲4▼の特性を有する請求項5記載のポリプロピレン樹脂組成物。
    ▲4▼ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布Mw/Mnが6以上かつMz/Mwが4以上。
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