JP3677701B2 - 制振構造物 - Google Patents

制振構造物 Download PDF

Info

Publication number
JP3677701B2
JP3677701B2 JP10497297A JP10497297A JP3677701B2 JP 3677701 B2 JP3677701 B2 JP 3677701B2 JP 10497297 A JP10497297 A JP 10497297A JP 10497297 A JP10497297 A JP 10497297A JP 3677701 B2 JP3677701 B2 JP 3677701B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
support
ground
upper structure
damper
improvement body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10497297A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10299007A (ja
Inventor
康裕 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Corp filed Critical Shimizu Corp
Priority to JP10497297A priority Critical patent/JP3677701B2/ja
Publication of JPH10299007A publication Critical patent/JPH10299007A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3677701B2 publication Critical patent/JP3677701B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Foundations (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震等による振動応答を抑制するための機構を備え、特に軟弱地盤上に構築されて好適な制振構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、軟弱地盤上に構造物を構築するための基礎工法としては、近年、種々のものが実現しており、その一例としては、図10に示すように構造物1を地盤2上に構築する工法が挙げられる。
【0003】
図10(a)中において、構造物1は、地盤2中に構築された下部構造体3と、下部構造体3によって支持された上部構造体4とを備えて構成されている。
下部構造体4は、地盤2中の支持地盤6上に位置する表層地盤7の一部を、深礎混合処理等を施して固結させることによって形成された地盤改良体8と、支持地盤6に少なくともその下端が到達するように、表層地盤7中に打設された基礎杭9とから構成されている。
【0004】
図10(b)は、下部構造体3の水平断面を示す図である、図中に示すように地盤改良体8は、表層地盤7中の上部構造体4の下方の中心付近に形成されており、その周囲に、基礎杭9が打設されている。
【0005】
図10のように、構造物1を構築した場合には、地盤改良体8により、表層地盤7の地震時の変形や経年的な変形を抑制でき、これにより基礎杭9に対して作用する応力を低減して、構造物1の安定化を図ることが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構造物1においては、地盤2の変形を抑制する目的で地盤改良体8が形成されているが、これにより、上部構造体4が、地盤改良体8を介して連結される構成となり、地震時には、上部構造体4の振動応答が抑制されず、上部構造体4の安全性を保つことが困難となっていた。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明においては、軟弱地盤上においても、構造物の安定性が保たれるとともに、地震時において上部構造体の安全性が保たれるような制振構造物を提供することをその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては以下の手段を採用した。
請求項1記載の制振構造物は、地中の支持地盤上に構築された下部構造体と、該下部構造体によって支持された上部構造体とを備えてなり、
該下部構造体は、その下端部が前記支持地盤に当接するとともに、その上端部が前記上部構造体に固定されて前記上部構造体の中央部を支持する支持構造体と、その上端部が前記上部構造体の周縁部とダンパーを介して連結された地中構造体とを備えて構成され、
前記支持構造体の下端部は、少なくとも一つの鉛直面をもって側断面視した場合に、前記支持構造体および前記上部構造体が振動する際、交互に支点となる水平方向に離間した二点を有するものとされ、
該支持構造体は、前記支持地盤上に位置する表層地盤の一部を固結させた地盤改良体からなり、かつ該地盤改良体の下端部における水平断面積は上端部の水平断面積よりも小さくされていて、該地盤改良体の下端縁が前記支持地盤に当接して前記支点となることで前記支持構造体および前記上部構造体の振動時にそれらをロッキングさせて前記ダンパーを作動させる構成とされていることを特徴とする。
【0009】
上記のような構成とされるため、この制振構造物においては、地震時に水平振動が加えられた場合に、支持構造体としての地盤改良体の下端部の二点が交互に支点となって、上部構造体および支持構造体が一体となってロッキングすることとなる。また、このロッキングに伴う振動エネルギーは、上部構造体と地中構造体との間に介装されたダンパーによって吸収される。また、地盤改良体を支持構造体とするので、この制振構造物においては、地震時および経年変化に伴う表層地盤の変形が地盤改良体により抑制される。
【0010】
請求項2記載の制振構造物は、請求項1記載の制振構造物における支持構造物としての地盤改良体に代えて、その下端部が前記支持地盤に到達するように地中に打設された支持杭を備えてなり、該支持杭の下端部が前記支点となることで前記支持構造体および前記上部構造体の振動時にそれらをロッキングさせて前記ダンパーを作動させる構成とされていることを特徴とする。
【0011】
この制振構造物においては、支持杭の打設位置が、支持構造体および上部構造体がロッキング変形する際の支点の位置となる。
【0012】
請求項3記載の制振構造物は、請求項1または2記載の制振構造物であって、前記地中構造体は、地中に打設された基礎杭から構成されることを特徴とする。
【0013】
上記のような構成とされるため、この制振構造物においては、支持構造体および上部構造体がロッキングした場合においても、地中構造体は上下方向に変位することがなく、これにより、地中構造体と上部構造体の間に介装されたダンパーが、良好にロッキングによる振動エネルギーを吸収することが可能となる。
【0016】
請求項4記載の制振構造物は、請求項1から3のいずれかに記載された制振構造物であって、前記支持構造体は、前記上部構造体の下方を平面視した場合に、その一定領域に設けられるとともに、前記地中構造体は、前記支持構造体の周囲に設けられていることを特徴とする。
【0017】
この制振構造物においては、支持構造体が一定領域に設けられるために、支持構造体および上部構造体において、ロッキングを生じ易くすることができる。
【0018】
請求項5記載の制振構造物は、請求項1から4のいずれかに記載された制振構造物であって、前記ダンパーはオイルダンパーであることを特徴とする。
この制振構造物においては、支持構造体および上部構造体からなる系がロッキングした場合の振動エネルギーを、効率的に吸収することができる。
【0019】
請求項6記載の制振構造物は、請求項1から5のいずれかに記載された制振構造物であって、前記上部構造体と、前記地中構造体との間には、前記上部構造体の少なくとも一部の上下位置を調整するためのジャッキが設けられていることを特徴とする。
【0020】
この制振構造物においては、地震後に上部構造体の一部が沈下などにより上下方向に変位した場合に、ジャッキを駆動することにより、この変位を補正することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、地盤11に構築された制振構造物13を示す図である。制振構造物13は、地中に構築された下部構造体15と、下部構造体15によって支持された上部構造体16とを備えて構成されている。
【0022】
下部構造体15は、地盤11中の支持地盤18上に形成された地盤改良体(支持構造体)19と、地盤改良体19の周囲に打設された基礎杭(地中構造体)20,20,…とを備えて構成される。地盤改良体19は、支持地盤18上に位置する表層地盤21に、石灰またはセメントなどの安定材を混合し、さらに、これらを攪拌することによって、表層地盤21の一部を固結させて形成したものであり、また、基礎杭20,20,…は、その下端が支持地盤18にまで到達するように表層地盤21中に打設された支持杭である。
【0023】
図中に示すように、地盤改良体19は、その上端部19aにおいて上部構造体16の基礎梁22を支持するとともに、その下端部19bにおいて支持地盤18と当接する構成とされている。また、地盤改良体19の下端部19bは、本体部19cから下方に突出するように形成されており、その水平面での断面積が、上端部19aにおける水平面での断面積より小となるように構成されている。
【0024】
また、地盤改良体19および基礎杭20,20,…は、一体となって上部構造体16の基礎梁22を支持する構成とされており、基礎梁22の上に立設された上部構造体16の一階の柱23,23,…のうち、基礎杭20,20,…の上方に位置するものについては、その下端部23aと基礎杭20との間にダンパー部25が設けられている。
【0025】
図2は、下部構造体15の水平断面を示した図である。図2に示すように、地盤改良体19は、上部構造体16の下方の中心付近の一定領域に形成されており、基礎杭20,20,…は地盤改良体19の周囲に打設されている。
【0026】
図3は、ダンパー部25およびその近傍の状況を示した図である。図中に示すように、基礎杭20は、その上端部20aが基礎梁22,22の交差部26に対して連結されるとともに、基礎梁22,22およびその上方に設けられた床スラブ27を下方から支持する構成とされる。また、ダンパー部25は、基礎杭20の上端部20a側に固定された床スラブ27と、その上方に位置する柱23の下端部23aとの間を連結するオイルダンパー30,30によって構成されている。さらに、床スラブ27と柱23の下端部23aとの間には、クリアランス31が設けられている。
【0027】
各オイルダンパー30は、内部にオイルが充填されたシリンダ30aと、シリンダ30aの内部に挿通されたピストンロッド30bとからなるものであり、シリンダ30aは、床スラブ27側に固定され、ピストンロッド30bは、柱23の下端部23aに対して固定されている。さらに、これらオイルダンパー30,30は、柱23に作用する鉛直荷重を支持せず、下端部23aと床スラブ27を、上下方向の相対変位を許容するとともに、水平方向の相対変位を規制するように連結する構成とされている。すなわち、ダンパー部25においては柱23と基礎梁22および基礎杭20とは縁切りされており、上部構造体16の荷重は、ダンパー部25が設けられていない柱23にのみによって下方に伝達される。したがって、上部構造体16の荷重は、主に地盤改良体19によって支持されることとなる。
【0028】
以上が本実施の形態の主要な構成であるが、次に、制振構造物13の地震時における作用を説明する。
図1に示したように地盤改良体19は、上端部19aおよび本体部19cに比較してその水平断面積が小とされた下端部19bが、本体部19cから下方に突出して支持地盤18と当接する構成とされている。地盤改良体19において、図1に示した断面と直交する軸回りのモーメントが作用した場合の下端部19bの支持地盤18からの浮き上がり易さは、下端部19bと支持地盤18との接触部の幅寸法Lに比例するため、このように下端部19bの水平断面積を狭めることによって、大規模な地震が生じた際には、地盤改良体19が支持地盤18から浮き上がらせることができる。
【0029】
図4は、地盤改良体19の下端部19bにおけるモーメントMと回転角Rとの関係を示したグラフである。地盤改良体19に浮き上がりが生じる際のモーメントは、地盤改良体19および地盤改良体19と一体となって変位すると考えられる上部構造体16の一部の質量の和をWとした場合、WL/6と略算されるため、モーメントMがWL/6を越えた場合に、地盤改良体19が支持地盤18から浮き上がることになる。地盤改良体19が支持地盤18から浮き上がると、地盤改良体19が支持地盤18からうける反力が大きく減少し、図4中に示すように、わずかなモーメントMの上昇に対して、下端部19bの回転角Rが増大することとなる。
【0030】
このようにして、地盤改良体19の下端部19bの回転が増大すると、地盤改良体19から支持された上部構造体16も地盤改良体19と一体となって振動することになる。しかしながら、上部構造体16の可動方向は、上述のように柱23の下端部23aに取り付けられたオイルダンパー30によって限定されているため、結果的には、上部構造体16と地盤改良体19とが一体となって、図5に示すように、地盤改良体19の下端縁19d,19dを交互に支点とするようなロッキング振動をするようになる。
【0031】
図5は、上部構造体16および地盤改良体19において、ロッキングが生じた際の状況を示したものであり、図中においては、ロッキングの振動方向を矢印によって、また、ロッキングが生じる前の上部構造体16および下部構造体15の位置の概略を二点鎖線によって示している。
【0032】
図中に示すように、地盤改良体19がロッキングした場合、基礎梁22は、地盤改良体19から離間した位置においては、基礎杭20,20,…および表層地盤21によって、その上下変位が拘束されているため、この部分においては、上下方向にはわずかにしか変位しない。
【0033】
一方、上部構造体16は、地盤改良体19から離間した位置においては、上下方向に大きく変位するため、当然、ダンパー部25において、上部構造体16および基礎梁22の離間、接近が繰り返されることとなり、これにより、オイルダンパー30が、上部構造体16の振動エネルギーを吸収するように作用することになる。
【0034】
また、このとき、クリアランス31は、床スラブ27と柱23との相対変位を許容するように機能するが、上部構造物16の変位が過大となった際には、床スラブ27と柱23とが当接してストッパーとしての役割を果たし、これにより、上部構造物16の破壊・転倒が防止される。
【0035】
上述のように制振構造物13は、地震時に水平振動が作用した場合に、上部構造体16および地盤改良体19を積極的にロッキングさせる構成とされているために、地震時には、上部構造体16全体が、剛体として振動することとなり、その内部の柱や梁に、必要以上の応力が加わることがない。さらに、この際の振動エネルギーは、オイルダンパー30によって効率的に減衰されることから、制振構造物13においては、地震時の安全性が保たれることとなる。
【0036】
また、制振構造物13においては、地盤改良体19によって、地震時または経年変化による表層地盤21の変形が抑えられ、安定性が保たれることとなる。
【0037】
さらに、制振構造物13においては、下部構造体15が、基礎杭20,20,…を備えて構成されているため、上部構造体16および地盤改良体19が振動した場合にも、基礎杭20,20,…が変位せず、基礎杭20,20,…と上部構造体16との間に介装されたオイルダンパー30が、ロッキングによる振動エネルギーを良好に吸収することが可能となる。したがって、制振構造物13の安全性が高められる。
【0038】
また、下部構造体15においては、図2に示すように、地盤改良体19が、上部構造体16の下方を平面視した場合に、その一定領域に設けられる構成とされるため、地盤改良体19と支持地盤18との当接箇所の位置を限定して、地盤改良体19の下端部19bを支持地盤18から浮き上がり易くするとともに、地盤改良体19にロッキングを生じ易くすることができる。
【0039】
さらに、基礎杭20は、地盤改良体19の周囲に配置されてる構成とされており、地盤改良体19の下端縁19d,19dを支点として上部構造体16および地盤改良体19がロッキングする場合には、基礎杭20の位置は、支点から離間することになる。したがってこの際には、基礎杭20に対して上部構造体16が鉛直方向に大きく接近および離間を繰り返すこととなり、これにより、基礎杭20と上部構造体16との間に介装されたオイルダンパー30,30,…が大きな制振作用を発揮することが可能となる。
【0040】
さらに、制振構造物13においては、上部構造体16および地盤改良体19の振動を減衰させるためのダンパーとして、オイルダンパー30,30,…が用いられるため、上部構造体16および地盤改良体19の振動が良好に吸収され、硬度の制振性能が実現されることになる。
【0041】
なお、上記実施の形態において、本願発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、制振構造物13の各部の構造等について他の構成を採用するようにしてもよい。
【0042】
例えば、図6に示すように、上記実施の形態における基礎杭20として、支持杭の代わりに、その下端部20bが支持地盤18に到達しない摩擦杭を用いるようにしてもよい。この場合も、地震時には、地盤改良体19および上部構造体16は一体となってロッキングすることとなり、上記実施の形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0043】
また、図6に示した制振構造物13においては、ダンパー部25およびその近傍を図7に示すように構成することが好適である。
図7においては、基礎杭20が、上部構造体16の基礎梁22および床スラブ27を挿通する構成とされるとともに、その上端部20aが、基礎梁22および床スラブ27よりも上方に位置する構成とされている。また、基礎杭20の上端部20aと柱23との間には、オイルダンパー30,30が設けられ、さらに、上端部20aと床スラブ27との間には、油圧ジャッキ(ジャッキ)33,33が介装されている。
【0044】
図6および図7に示した制振構造物13においては、基礎杭20が摩擦杭から構成されているため、基礎杭20,20,…の一部、およびこれら基礎杭20によって支持された基礎梁22のうちの一部が、図8に示すように、地震による表層地盤21の局所的な沈下に伴い下方に変位することが予想される。このような場合には、油圧ジャッキ33,33を駆動して基礎杭20,20,…から反力を取ることにより、基礎梁22に生じた傾きを補正し、柱23および基礎梁22の相対位置を適正に保つこととする。
【0045】
このように、基礎杭20と上部構造体16との間に、油圧ジャッキ33を介装させることによって、基礎梁22の一部が、表層地盤21の沈下により傾斜した場合においても、その傾斜を補正して、上部構造体16を健全な状態に保つことができる。さらに、このように基礎梁22の位置を補正して、上部構造体16との相対位置を適正なものとすることによって、地震によってオイルダンパー30のストロークの限界が影響を受けることを防ぐことができ、これにより、地震後にも制振構造物13の制振機能を保つことができる。
【0046】
また、図9は、上記の実施の形態において用いられた地盤改良体19の代わりに、下端部35aが支持地盤18に到達するように地中に打設された支持杭35,35およびその周囲に設けられた摩擦杭36を用いた場合の例である。この場合には、支持杭35,35が上部構造体16と一体となって、支持杭35の下端部35a、35aを交互に支点としてロッキングすることとなり、上記実施の形態と同様の作用、効果が期待できる。
【0047】
このように、地盤改良体19の代わりに、支持杭35および摩擦杭36を用いることにより、下部構造体15の質量を軽減化して、制振構造物13の制振機能を高めることができる。
【0048】
また、この場合、支持杭35の打設位置が、ロッキングの際の支点の位置となるため、ロッキング時の支点の位置を正確に知ることができ、制振構造物13の制振性能を事前に把握することができる。また、支持杭35の打設位置を調整することによって、制振構造物13の制振性能を調整することができる。
【0049】
また、上記実施の形態における地盤改良体19の形状は、必ずしも図1に示したものである必要はなく、下端部19bと支持地盤18との当接部分の水平断面積が本体部19cに比較して小さいものであればよい。したがって、例えば、地盤改良体19を逆角錐台のような形状としても構わない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る制振構造物は、上部構造体と、支持構造体および地中構造体からなる支持構造体とから構成され、地中構造体と上部構造体との間には、ダンパーが設けられるとともに、支持構造体の下端部が、支持地盤に当接し、なおかつ、支持構造体および上部構造体が振動する際に交互に支点となる二点を有するような構成とされる。本発明の制振構造物は、このような構成としたことにより、地震時に水平振動が作用した場合に、上部構造体および支持構造体を積極的にロッキングさせ、その振動エネルギーをダンパーによって減衰させることにより、制振効果を得るものであり、これにより、地震時には、上部構造体内部の柱や梁に必要以上の応力が加わることがなく、上部構造体内部の安全が保たれることとなる。特に、支持構造体が、表層地盤の一部を固結させた地盤改良体によって形成されるため、地震時または経年変化による表層地盤の変形が抑えられ、構造物の安定性が保たれることとなる。
【0051】
請求項2に係る制振構造物によれば、支持構造体が、その下端部が支持地盤にまで到達するように地中に打設された支持杭から構成されるため、下部構造体の質量を軽減化して、制振構造物の制振機能を高めることができる。また、この場合、支持構造体としての支持杭の打設位置が、上部構造体および支持構造体のロッキングの際の支点となるため、支持構造体の地震時の挙動を明確化することができ、これにより、制振構造物のの制振性能を事前に把握することができる。また、支持構造体としての支持杭の打設位置を調整することによって、制振構造物の制振性能を調整することができる。
【0052】
請求項3に係る制振構造物によれば、地中構造体が、基礎杭から構成されているため、上部構造体と支持構造体とがロッキングした場合にも、地中構造体は変位することなく、したがって、地震時には、地中構造体と上部構造体とが接近および離間を繰り返すこととなり、これにより、地中構造体と上部構造体との間に介装されたダンパーにおいて、ロッキングによる上部構造体の振動エネルギーを良好に吸収することが可能となる。
【0054】
請求項4に係る制振構造物においては、上部構造体の下方を平面視した場合に、支持構造体がその一定領域に設けられる構成とされるため、支持構造体と支持地盤との当接箇所の位置を限定して、支持構造体の下端部を支持地盤から浮き上がり易くするとともに、支持構造体がロッキングした場合に、わずかなモーメントにより大きな回転角が得られるようにすることができる。さらに、この制振構造物においては、地中構造体が支持構造体の周囲に配置される構成とされるため、支持構造体の下端部の一部を支点として上部構造体および支持構造体がロッキングした場合には、地中構造体の位置が支点から離間していることから、上部構造体が地中構造体に対して鉛直方向に大きく接近および離間を繰り返すこととなり、これにより、ダンパー部において大きな制振効果を得ることが可能となる。
【0055】
請求項5に係る制振構造物においては、ダンパーとして、オイルダンパーが用いられるため、上部構造体および支持構造体の振動が良好に吸収されることとなり、制振構造物の制振性能が高められる。
【0056】
請求項6に係る制振構造物においては、地中構造体と上部構造体との間にジャッキが介装されるため、上部構造体の一部が、表層地盤の沈下により傾斜した場合においても、地中構造体から反力を取って上部構造体に生じた傾斜を補正することができる。これにより、地震後の上部構造体の健全性を保つことができるだけでなく、地震によってダンパーのストロークの限界に影響がでることを防ぐことができ、地震後の制振機能を適正に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を模式的に示す制振構造物の立断面図である。
【図2】 図1に示した制振構造物における上部構造物の下方の状態を示した平断面図である。
【図3】 図1に示した制振構造物におけるダンパー部とその近傍の状況を示した立断面図である。
【図4】 本発明の制振構造物の地震時における作用を示す、地盤改良体の下端部におけるモーメントと回転角との関係を示すためのグラフである。
【図5】 本発明の制振構造物の地震時における作用を示すための立断面図である。
【図6】 本発明の他実施の形態を模式的に示す制振構造物の立断面図である。
【図7】 図6に示した制振構造物におけるダンパー部とその近傍の状況を
示した立断面図である。
【図8】 図6に示した制振構造物における地盤沈下時の作用を示すための
立断面図である。
【図9】 本発明の他実施の形態を模式的に示す制振構造物の立断面図であ
る。
【図10】 本発明の従来技術を示すための図であって、(a)は、従来技術による構造物を示すための立断面図、(b)は、(a)に示した構造物の下部構造体を示すための平断面図である。
【符号の説明】
11 地盤
13 制振構造物
15 下部構造体
16 上部構造体
18 支持地盤
19 地盤改良体(支持構造体)
19a 上端部
19b 下端部
19c 本体部
20 基礎杭(地中構造体)
20a 上端部
21 表層地盤
25 ダンパー部
30 オイルダンパー
33 油圧ジャッキ
35 支持杭(支持構造体)
35a 下端部

Claims (6)

  1. 地中の支持地盤上に構築された下部構造体と、該下部構造体によって支持された上部構造体とを備えてなり、
    該下部構造体は、その下端部が前記支持地盤に当接するとともに、その上端部が前記上部構造体に固定されて前記上部構造体の中央部を支持する支持構造体と、その上端部が前記上部構造体の周縁部とダンパーを介して連結された地中構造体とを備えて構成され、
    前記支持構造体の下端部は、少なくとも一つの鉛直面をもって側断面視した場合に、前記支持構造体および前記上部構造体が振動する際、交互に支点となる水平方向に離間した二点を有するものとされ、
    該支持構造体は、前記支持地盤上に位置する表層地盤の一部を固結させた地盤改良体からなり、かつ該地盤改良体の下端部における水平断面積は上端部の水平断面積よりも小さくされていて、該地盤改良体の下端縁が前記支持地盤に当接して前記支点となることで前記支持構造体および前記上部構造体の振動時にそれらをロッキングさせて前記ダンパーを作動させる構成とされていることを特徴とする制振構造物。
  2. 地中の支持地盤上に構築された下部構造体と、該下部構造体によって支持された上部構造体とを備えてなり、
    該下部構造体は、その下端部が前記支持地盤に当接するとともに、その上端部が前記上部構造体に固定されて前記上部構造体の中央部を支持する支持構造体と、その上端部が前記上部構造体の周縁部とダンパーを介して連結された地中構造体とを備えて構成され、
    前記支持構造体の下端部は、少なくとも一つの鉛直面をもって側断面視した場合に、前記支持構造体および前記上部構造体が振動する際、交互に支点となる水平方向に離間した二点を有するものとされ、
    該支持構造体は、その下端部が前記支持地盤に到達するように地中に打設された支持杭を備えてなり、該支持杭の下端部が前記支点となることで前記支持構造体および前記上部構造体の振動時にそれらをロッキングさせて前記ダンパーを作動させる構成とされていることを特徴とする制振構造物。
  3. 請求項1または2記載の制振構造物であって、前記地中構造体は、地中に打設された基礎杭から構成されることを特徴とする制振構造物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の制振構造物であって、前記支持構造体は、前記上部構造体の下方を平面視した場合に、その一定領域に設けられるとともに、前記地中構造体は、前記支持構造体の周囲に設けられていることを特徴とする制振構造物
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の制振構造物であって、前記ダンパーはオイルダンパーであることを特徴とする制振構造物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の制振構造物であって、前記上部構造体と、前記地中構造体との間には、前記上部構造体の少なくとも一部の上下位置を調整するためのジャッキが設けられていることを特徴とする制振構造物。
JP10497297A 1997-04-22 1997-04-22 制振構造物 Expired - Fee Related JP3677701B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10497297A JP3677701B2 (ja) 1997-04-22 1997-04-22 制振構造物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10497297A JP3677701B2 (ja) 1997-04-22 1997-04-22 制振構造物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10299007A JPH10299007A (ja) 1998-11-10
JP3677701B2 true JP3677701B2 (ja) 2005-08-03

Family

ID=14395022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10497297A Expired - Fee Related JP3677701B2 (ja) 1997-04-22 1997-04-22 制振構造物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3677701B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4363895B2 (ja) * 2003-02-06 2009-11-11 株式会社フジタ 建物の基礎構造
JP4762709B2 (ja) * 2005-12-26 2011-08-31 株式会社竹中工務店 既存建物の基礎地盤の液状化を低減し不同沈下を防止する工法
JP4852450B2 (ja) * 2007-03-15 2012-01-11 株式会社大林組 既存建物の補強方法及び既存建物の補強構造
CN101914922B (zh) * 2010-07-28 2011-12-14 河海大学 一种土工袋减震隔震建筑基础及其施工方法和应用
JP6000414B2 (ja) * 2015-07-08 2016-09-28 大成建設株式会社 杭基礎の改築方法および杭基礎構造

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10299007A (ja) 1998-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1069246A1 (en) Pile foundation structure
JP3677701B2 (ja) 制振構造物
JP6275314B1 (ja) 橋梁の耐震補強構造
JP2004332478A (ja) 橋梁の耐震構造
JP2004257120A (ja) 建物の基礎に用いる接続構造
JP3677696B2 (ja) 制振構造物
JP3740599B2 (ja) 免震装置の取付構造
JP3549183B2 (ja) 高架橋の下部構造
JP2002227127A (ja) 橋梁、及び橋脚の耐震強度補強方法
JP3797913B2 (ja) 基礎杭とフーチングとの間の接合構造
JP4363895B2 (ja) 建物の基礎構造
JPH11293685A (ja) 構造物の免震構造
JPH09209372A (ja) 免震地盤及び免震構造
JP2007162416A (ja) コンクリート杭の接合方法
JP2003155752A (ja) 杭基礎補強構造
KR102350527B1 (ko) 강재 구조물 기반의 보강 장치 및 이를 이용한 강재 구조물의 보강 공법
JP3469158B2 (ja) 橋梁およびその耐震補強方法
JP3827490B2 (ja) 免震構造物
JP4588909B2 (ja) 浮き上がり許容の制震構造
JPH08246705A (ja) 構造物の免震装置及び免震構法
JP4545987B2 (ja) 急な斜面地に建ち基礎レベルが大きく異なる建造物の直接基礎構造
JP2003096796A (ja) 構造物の基礎構造
JP4367814B2 (ja) 基礎構法
JP2002212958A (ja) 杭基礎構造
JP2001200508A (ja) ラーメン橋の免震構造

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050412

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050427

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080520

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090520

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees